登録日:2025/11/06 Thu 23:17:00
更新日:2025/11/07 Fri 05:59:19NEW!
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■概要
『カテナチオ』とは、『週刊ヤングジャンプ』にて連載している
漫画作品である。
作者は森本大輔。2022年48号より連載開始。
そのタイトル(後述)通り、イタリアのプロサッカー(の下部組織)を舞台とし、
センターバックを主人公とするサッカー漫画。
華やかさの対極にある泥臭さを売りにし、絵柄のせいもあり人相の悪い男ばかりが並び立つテイストの渋い作風である。
2024年8月より作者の体調不良により長期休載していたが、同年12月の2025年1号より連載が再開された。現在は隔週ペースで掲載。
■あらすじ
東條高校サッカー部に所属する嵐木 八咫郎の夢は欧州を制覇し、世界一になること。
高校3年の最後の試合、夢への第1歩、プロ入りを目指しスカウトの目に留まるため奮闘をするが―…。
■主な登場人物
◆FCオリヴェーロ選手
○嵐木 八咫郎
主人公。作中では基本的に「アラキ」と呼ばれる。
金髪のなかなか端正な顔立ちなのだが、基本ハイライトがなくガンギマった表情が多いためイケメン感は薄い。
元々のポジションは攻撃的MFだったが、3年冬の県予選準決勝後に意識の違いからチームメイトとトラブルを起こしたため、懲罰として決勝にCBとして出場する。
サッカーで欧州の頂点に立つことを本気で目指しており、サッカーの練習はもちろん将来海外でプレーするために高校在学中から外国語を学習するなど高い目的意識を持つ。
身体能力や個人技術といった目に見えた才能は凡人レベルだが狂気にも似た勝利への執念を持ち、高校当時ですら「ファウルで止める」などのダーティなプレーに一切躊躇が無く、「99%勝ち目がなくても、それでも1%の勝機がこぼれてくるまでそれを掴むために俺はすべてを尽くせる。その一点には絶対の自信がある」と豪語する。シルヴィオ曰く「天性のCB」。
「高卒でプロになれなければ辞める」という親との約束があったため、決勝に敗れ全国で名を上げるチャンスを失ったことで一度はプロになる夢を挫折しかけるが、決勝を観ていたシルヴィオのスカウトによりCBとしてイタリア1部FCオリヴェーロに入団する。
と言っても当然トップチームではなくU-19の下部組織からのスタート。
当初は用意されていたホテル・リーベルの一室に住んでいたが、U-19の内情をより深く知るためにU-19選手寮に入寮する。
○モモ・トラオレ
U-19所属。17歳。ポジションはSB。ギニア出身。
入国初日にホテルで寝落ちしたアラキが翌朝物音に気づいてトイレのドアを開けると音楽聴きながら排便中の知らない奴(モモ)がいたという最悪の初対面だったものの、基本的に穏やかで気の利く少年であり何かとアラキの世話を焼く最初の仲間ポジ。
温厚だが普段から不気味なほどに周囲を観察しており、相手の動きを誘導して逆を突くことが天才的に上手い。
ただしパスを要求されるとシチュエーションに関わらず必ず出してしまう悪癖があり、状況判断が悪いと評価される。
○バルナバ・ダッダーリオ
U-19所属。18歳。ポジションはCB。イタリア出身。
ナザリオが発案したアラキへの嫌がらせにも積極的に参加したが、ナザリオに流されているだけの他の選手と違い、バルナバは自分自身の意思として本気で勝とうとしていない。
U-19カテゴリでもトップクラスの俊足を誇るが、その内面は「チームが負けても自分が活躍できればいい」「本気を出して負けたら恥ずかしい」という幼稚な感覚から脱却できておらず、アラキとはまさしく対照的な存在。
○ノアハ・デ・クヴァイ
U-19所属。18歳。ポジションはFW。オランダ出身。
寡黙な性格で、アラキからはナザリオらと同じ本気で勝とうとしていない選手の1人と思われていたが、本心は野心家で「人間が壁にぶつかった時、何もせずただ待っていようと、すべての人間に最低"2度"壁を越えるチャンスは降ってくる」という独自の哲学を持つ。
現在のチーム状態では勝てる確率は限りなく低いとして試合ではやる気を出していなかったが、アラキの来訪を2度目のチャンスと確信し彼に同調して勝利のための行動を開始する。
90分走り回り守備にも貢献する現代型のフォワード像に真っ向反発する、最前線に陣取り決定機だけは絶対に逃さない古典的点取り屋FW。
○ナザリオ・ランフランキ
U-19所属。18歳。ポジションはMF。イタリア出身。
一見物腰柔らかな男だが、選手寮のヒエラルキーの頂点に居座り周囲に本気で勝とうとしない空気を蔓延させている張本人。U-19が勝てない原因は大方この男の悪影響であり、アラキも初めての昇格戦でナザリオ発案の嫌がらせを受けてコーチ陣の評価を落とした。
それでもサッカーの技術だけならばスイッチさえ入っていればU-19レベルではチートと評されるほどの天才。かつては同世代が「ナザリオ世代」と呼ばれるほどの逸材だった。現在でも気分がノったり相手に煽られて不快になった時にその片鱗を見せる。
オリヴェーロが劇中相手チームに攻められっぱなしに見えるのはノアハとナザリオが一切守備しないため
現在のU-19でシルヴィオに直接スカウトされた選手はアラキ・ノアハ・ナザリオの3人。
○ラファエロ・アマーティー
トップチーム所属。ポジションはSBだが元々はWG。愛称は「ラファ」。
アラキの入団テストの相手となるが、当初は実績もなしにいきなり1部にスカウトされた彼に反目していた。
SBとしてスピードは特別速くないが、両利きという特徴を活かして相手のタイミングをズラすフェイントを得意としている。
○ブルーノ・マルキ
トップチーム所属。18歳。ポジションはMF。
18歳にしてトップチームで活躍するオリヴェ―ロの神童。会話のテンポが遅いがモモ曰く無口ではないらしい。シルヴィオに見出された選手であり、シルヴィオによって手が入れられた後のU-19からの唯一のトップチーム昇格者。
ちなみに彼とラファはホテル・リーベル暮らし。
◆FCオリヴェーロ関係者
○シルヴィオ・テスタ
「FCオリヴェーロ」のチーフスカウトの老人。
榊原目当てに愛知県予選決勝を視察に訪れるが、そこで偶然アラキを見出しスカウトする。
アラキのことは現在世界最高のCBであるエルベルト・ゼローラに似ていると評価しているが、同時に「他のスカウトの目に留まらず行く当てのないアラキはこちらの言い値で契約できる、つまり失敗しても大した痛手にはならない」と冷徹な目でも見ている。
○ダリア
シルヴィオの秘書(?)。日本語がわからない彼に付き添って通訳として来日した。サッカーには詳しくない。
言動はクールだが、海外挑戦のハードルの高さからアラキの人生のリスクを心配するなどシルヴィオに比べて感性は一般人寄り。
○グレゴリオ・デ・コラート
ディフェンス専門コーチ。元CB。
エルベルトと共にイタリア代表として活躍し、「欧州ベストイレブン選出2回・W杯優勝1回・イタリア1部リーグ優勝6回・欧州クラブカップ優勝1回」と華々しい経歴を持つ。
去年現役を引退しコーチに転向した。
◆その他の人物
○榊原 見鳥
東條高校と同じ愛知県内の高校である彩海学園のエース。ポジションはMF。
"日本サッカーの最高傑作"と呼ばれる神童。高校生にして異例のA代表招集、イングランドの名門チーム「ブルーベルFC」への入団が内定している。
愛知県予選決勝で嵐木ら東條高校と対戦。試合自体は勝利したものの嵐木の執拗な守備により自由を封じられ、彼の決定機は尽く潰されていた。
高校卒業後は就労ビザの関係で初年度はブルーベルではなくイタリアの「FCバラエナ」にレンタル移籍し活躍中。
■用語
イタリア1部リーグ所属。
アラキ入団時点のU-19のレベルは彼の所感で「俺と比べればほぼ全員足元の技術は高かったと思うが、間違いなく彩海学園には及ばない。ただしモモ・バルナバ・ノアハ・ナザリオの4人はチームで頭一つ抜けてる」
選手の質そのものは悪くないものの成績は低迷しており、チーム全体に諦めが蔓延しているために届くかもしれないという場面で勝つためのあと一歩が出ない、"負け癖"のついたチームと化している。
劇中のリーグ戦では第18節開始時点(USサリーサ戦前)でリーグ12位。
オリヴェーロ独自の取り組みでありU-19所属選手のトップチーム昇格条件のこと。
オリヴェーロはU-19とトップチームとの間にBチーム(U-23)が存在し、U-19は公式のリーグ戦やカップ戦で2連勝するとBチームに昇格戦を申し込むことができる。
そして昇格戦でBチームに勝てばその試合でいいプレーをした選手1人以上がBチームに昇格、ただし引き分け以下だとどんないいプレーをしようと誰も昇格できない。
またU-19はハンデとして2点もらったスコアから開始する。
前述のとおり、この仕組みができて以降U-19から昇格できた選手はブルーノのみ。それどころかブルーノの昇格以降U-19は自力で1点取ったことすらない。
直訳で扉に鍵をかける「閂」。
鍵をかけたように堅いイタリアの守備を指す言葉であり、イタリアサッカーの代名詞。1点を守り切った1-0勝利を至上とする守備の美学。
グレゴリオの「カテナチオとは何か?(イタリアの守備はなぜ堅かったか?)」という問いに、アラキは「高さ・速さ・組織、あらゆる面で守備が世界最高だったから」と答えた。
しかし正解は「どれでもない」。カテナチオとは迷いのない勝利への執着、そしてその感情を全員が共有したチーム。
かつてのイタリアは優れているから勝つのではなく、自分より優れた相手に勝つ力があったチームだったという。
追記・修正お願いします。
最終更新:2025年11月07日 05:59