登録日:2011/11/05(土) 11:15:09
更新日:2025/01/21 Tue 19:19:34
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「……それで、今日は何処のどいつを殺ってくれとおっしゃるんで?」
『必殺仕事人(ひっさつしごとにん)』は、1979年5月18日から1981年1月30日まで朝日放送・
テレビ朝日系列にて放映された日本の時代劇。
必殺シリーズの第15弾で、
中村主水シリーズとしては第7作目となる。
【概要】
無法の影で泣く弱者達の声を受け、背徳的な「殺し」を用いて悪人が悪人を裁く……と云う単純な勧善懲悪の世界で描かれて来た時代劇に新風を吹き込み人気シリーズとなった「必殺」だが、現在でも最高傑作と謳われる第10弾『
新必殺仕置人』の余りの完成度の高さと、衝撃的なラストの余韻から以降のシリーズは失速……。
遂に、最低視聴率を記録した前作『
翔べ!必殺うらごろし』の影響からシリーズ自体の打ち切りが決定事項となってしまっていた。
この事態に「必殺」を送り出して来たスタッフは、シリーズの「顔」中村主水を主人公に原点のイメージに準えた本作『必殺仕事人』の制作を決意。
当初は全26話が予定され、それにより「必殺」の有終の美を飾ろうとしたのだ。
……しかし、原点回帰を果たした王道的展開と、新加入の若手殺し屋錺職の秀に女性人気が集まり、視聴率は劇的に回復。
番組の延長を繰り返した末にシリーズ最長の全84話が放映される事となった。
これにより「仕事人」の名は、新たな「必殺」の代名詞となると共に、後期中村主水シリーズの代名詞として同タイトルを掲げたシリーズが制作されて行く事になる。
しかし、世間一般での「仕事人」のイメージが定着するのは次作『
新必殺仕事人』からで、本作『必殺仕事人』は寧ろ「必殺」の原点を意識した灰汁の強い作風にある。
また、主水らの存在感から熱心な視聴者でも無ければ見落としがちだが、役者の事情や数度の番組延長からレギュラーの入れ替わりも多く、番組の方向性、舞台設定に頻繁に変更点があったのも特徴である。
これ以降の「必殺シリーズ」は「仕事人」の名を冠する長期の主水シリーズと非主水シリーズである短期シリーズが交互に放送される形態となる。
一方で、初期からのケレン味の消えたバラエティー路線が加速するのもここからで、それを嘆く声も多い。
【物語】
江戸で、裏稼業に手を染める「仕事人」達の掃討作戦がお上の手により実行された……。
一方、八王子に左遷させられていた中村主水は、そんな身分にありながらものんびりとした田舎暮らしを満喫していたのだが、ある日の事、主水を江戸に呼び戻す為の書状が届くのであった。
何事かと江戸に戻った主水だが、当の奉行所では何事かと逆に問われる始末……。
実は、奉行所に働きかけ主水を呼び寄せたのは裏世界の大物鹿蔵で、主水の腕を見込み裏稼業に復帰させる為だったのだ。
渋る主水だが、勘違いから斬り合った左門の初仕事を助けるべく裏稼業に復帰……。
更に、失敗に終わりかけた左門の初仕事を結果的に影から助けた謎の仕事人=錺職人の秀を仲間に加えた主水は本格的に「仕事人チーム」を結成するのだった。
鹿蔵、おとわ、六蔵……元締めを替えつつも江戸の闇を主水達「仕事人」が走る……。
【主要登場人物】
◆
中村主水
演:藤田まこと
南町奉行所同心。
殺し技は二本刺しを利用した突き、斬り技。
相変わらずの昼行灯で、物語の開始当初は八王子に左遷させられていたが、鹿蔵に江戸に呼び戻される。
闇の稼業のプロとして経験の浅い左門や、若さ故に暴走しがちな秀を諫める役所で、特に秀には激しい鉄拳制裁を加える事もある。
◆中村せん
演:菅井きん
◆中村りつ
演:白木万理
相変わらず愛情ある婿いびりに余念が無い、主水の姑と古女房。
りつは八王子の左遷で畑作りに精を出す等、意外に満喫していたりもしていた。
◆畷左門
演:伊吹吾朗
浪人→
おでん屋。
殺し技は前半は胴太貫による斬撃、後半は怪力を利用した人体二つ折り。
妻・涼に懸想して手込めにしようとした家老を斬って脱藩、江戸へと逃亡して来た浪人。
殺しのプロである主水の殺人剣に対して、豪快な太刀筋を振るう剛剣の使い手であったが後に侍を廃業。
愛刀・胴太貫を売り払いおでん屋の屋台を引く様になってからは頭を丸め、怪力坊主キャラの系譜に連なる人体二つ折りを殺し技にする。
しかし、後のSP『恐怖の大仕事』では再び侍スタイルへと回帰している。
◆涼
◆美鈴
左門の愛妻と一人娘。
困窮の中でも夫を支える美人妻と、お隣の秀にも懐いている笑顔を絶やさぬ美鈴は左門の心の支えであったが……。
◆錺職の秀
演:三田村邦彦
錺職人。
殺し技は前半は仕事道具の鑿を、以降は飾り付きの簪を使用した刺し技と身軽さを利用した格闘技。
「飾り職人の秀」と表記される場合もある「仕事人」を代表する人気キャラクター。
初登場となる本作では、とにかく青臭く理想だけは高い小生意気だが真っ直ぐな若者として描かれており、それ故に主水らと対立し制裁を受ける事も多かった。
表稼業の錺職も気に入った仕事以外は受けない等、その性格はとにかく徹底して描写されている。
「必殺シリーズ」の終焉を救った救世主であり、後のシリーズにも長らく登場。
その割に、[[パチンコ]]版での扱いは登場メンバーの中でぶっちぎりで悪い。
◆半吉
演:
山田隆夫
張替え屋。
座布団運びはしない。
最初期の繋ぎ役で、郭に肥満体の馴染みの女が居る。
26話で惨殺されて退場となるが、これは当時人気タレントだった山田君のスケジュールが当初の終了予定だった26話までしか確保出来なかった為。
◆おしま
演:三島ゆり子
質屋上総屋を営む。
中盤からの繋ぎ役。
人肌恋しい年増で、良く仲間からもからかわれていた。
口癖は「許せないわあ」。
◆加代
演:鮎川いづみ
質屋上総屋を営む。
おしまと共に繋ぎ役を務める若い女。
この頃はまだ怪しい「何でも屋」を開業してはおらず性格もまともでおしとやかである。
無理矢理に手込めにされた経験を持つ等、後には忘れ去られてしまった様な深い設定もあった。
江戸と木更津を早馬で行き来したりもしていた。
◆鹿蔵
演:二世中村鴈治郎
物語開始当初の元締めで、主水を江戸に呼び戻した実力者。
表向きは将棋会所を営む好々爺だが、確かな眼力を持つ。
演じる二世中村雁治郎の体調不良から退場。
◆おとわ
演:山田五十鈴
鹿蔵の内縁の女房を名乗る女傑で、鹿蔵の後を継いで元締めとなる。
キャラクターのイメージから『新必殺仕事人』から登場する“おりく”と混同されがちだが、情の深い“おりく”に対して“おとわ”はかなりドライな女性として描写されている。
◆六蔵
演:木村功
木更津の網元で村長。
江戸の仕事人を束ねる役目を引き継ぎ、加代を繋ぎ役として主水らに指示を与えていた。
後半には登場しなくなるが、設定的には六蔵が最後まで元締めのままである。
今日は、どこのどいつを追記修正しなさるんで?
- 最後が悲しすぎたな、涼ちゃんの発狂シーンが・・・。 -- 名無しさん (2014-12-25 17:27:40)
- ひぐらしみたいに感化されたアホの殺人が現実で起こって劇中での倒し方がより荒唐無稽になったんだっけ -- 名無しさん (2015-12-18 15:11:23)
- ↑それは仕置人の話じゃなかったっけ? -- 名無しさん (2016-02-21 15:43:58)
- 『仕置人』放映時にヤれないからって女殺した奴が、たまたま『仕置人』見てたのをマスゴミが勝手に結びつけたのが『仕置人殺人事件』。仕事人の技が荒唐無稽になったのは『仕事屋稼業』の半兵衛みたいに、剃刀での殺しがリアル過ぎて、理容師業界から文句付けられたりしたのが積み重なったって感じ。 -- 名無しさん (2016-02-21 16:21:54)
- のちに“おりく”も鹿蔵と昔夫婦だったことが判明。鹿蔵の好みわかりやすっ! -- 名無しさん (2017-12-30 22:49:01)
- 荒唐無稽が進んで「なんでもあり」「やりたい放題」の時代劇の代名詞になった -- 名無しさん (2021-12-20 19:20:39)
- バラエティー路線になってからの「仕事人」は、当時は子供心にも「ちょっとなあ…」と思っていたのだが、さすがに三十年以上たってから見ると各エピソードが懐かしいし面白い。ゆでたまごのお二人も結構芸達者だったのね。 -- 名無しさん (2022-03-06 19:38:26)
- 最近BSでまた初代の再放送が始まったので おでん屋路線は旧来ファンから不評だったみたいだけど、演じた伊吹吾郎的には寧ろ「(侍時代は)主水と武器が被ってたのが残念だった」「おでん屋の方が楽しかった」って評価なのはなかなか面白い -- 名無しさん (2024-11-19 16:19:21)
- ネットだと六蔵編はイメージで叩かれすぎてる印象。マンネリも定型化も言われてる程か?って感じだし…もっと言うと29話までが過度に神格化されすぎてるんだよなぁ -- 名無しさん (2024-12-05 17:45:43)
- 加代に限らずだけど密偵が仕事料貰ってる描写が基本無いのよな無印仕事人、元締から別でお給料貰ってるんだろうか? -- 名無しさん (2025-01-14 19:58:55)
- ↑後のシリーズだと仲間の1人だけど、この頃は元締めの使いみたいな感じだからそうなのかも。 -- 名無しさん (2025-01-15 09:17:37)
- そうなると22話以降の元締不在期間の半吉は無給で働かされてた可能性があるのが何とも…笑 -- 名無しさん (2025-01-21 19:19:34)
最終更新:2025年01月21日 19:19