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僕の小規模な奇跡

登録日:2010/05/27 Thu 15:48:16
更新日:2026/10/17 Sat 11:25:47
所要時間:約 2 分で読めます




あなたのこと全く好きではないけど、

付き合ってもいいわ。

その代わりに、わたしをちゃんと守ってね。

理想として、あなたが死んでもいいから。
















『僕の小規模な奇跡』とは、入間人間著のハードカバー小説である。文庫本版のイラストを担当しているのは宇木敦哉氏で、「『六百六十円の事情』と『ぼっちーズ』のコンビが贈る青春小説」というコンセプトで紹介されている。

2009年10月10日に単行本が刊行され、その約2年後となる2011年5月25日には、メディアワークス文庫から文庫本版も発売された。ちなみに、単行本の表紙には何故か黒ひげ危機一発が描かれている。しかも、イラスト風にアレンジされたものではなく、実物そのままという妙に印象的なデザインである。作品の内容とどのような関係があるのか、気になった人は実際に読んで確かめてみてほしい。

物語は複数の人物の視点から描かれ、とある人物をきっかけに始まった小規模な奇跡を巡って展開していく。もっとも、その奇跡が本当に奇跡と呼べるものなのか、あるいは別の意味を持っているのかは、読者によって受け取り方が変わるかもしれない。タイトルの「奇跡」を「鬼籍」と読み替えたくなるような、少々物騒な連想もできる作品である。

作風をあえて例えるなら、『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』と『電波女と青春男』を足して3で割り、そこにストーカーという要素を加えたような雰囲気。青春小説らしい恋愛要素を持ちながら、一筋縄ではいかない人物関係や、独特の語り口が物語を彩っている。登場人物の具体的な名前がほとんど明かされず、「僕」「私」といった一人称が、そのまま人物を示す呼び名として使われている点も特徴的だ。また、野菜の国やハンサム共和国など、著者の他作品を知っている読者なら思わず反応してしまいそうな人物も多数登場する。

主人公はストーカー気質の持ち主であり、その妹もまた、元引きこもりでありながら天然系の不法侵入者とでも呼びたくなるような人物。なかなか個性的な兄妹である。詳しい事情については、ネタバレを避けるためにも実際に読んで確認していただきたい。

作品全体としては、どちらかといえばラブコメに分類されるだろう。ただし、複数の視点や時間軸のずれが物語に組み込まれているため、読み始めたばかりの頃は、誰の視点なのか、いつの出来事なのかを把握するのに戸惑うこともある。登場人物たちの言動だけでなく、それぞれの出来事がどのようにつながっていくのかにも注目したい。

さらに、本作では著者の他作品とのクロスオーバーや小ネタも豊富に盛り込まれている。その一例が、作中に登場する靴屋「サクラ」である。この店は『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん8 日常の価値は非凡』に登場する靴屋と同一店舗という設定になっている。こうしたつながりは、入間人間作品を読み続けているファンにとって、ちょっとした楽しみの一つといえるだろう。

なお、装丁を担当しているのは、よつばスタジオの里見英樹氏である。

タイトルの由来については、著者がとても好きな漫画『僕の小規模な生活』からもじったものとされている。元となった漫画の作者からも許可を得ているらしい。また、作中には『ドラゴンボール』のフリーザや、『ジョジョの奇妙な冒険』のジョルノ・ジョバァーナを連想させる台詞など、さまざまな作品を元ネタとしたと思われるパロディが登場する。

中には「そういうのは昔懐かしいドラえもんにおねだりするように。」という台詞まである。これを読むと、本作の世界ではドラえもんがすでに過去の存在になっているのだろうか、と妙な疑問を抱いてしまう。さらに、「バ○ァリンも真っ青な組成だから、わたしの心」という台詞も飛び出す。言うまでもなく、優しさが半分でできているという某製品を思わせるネタである。

このように、本作は青春や恋愛を描きながら、独特の人物設定、複数視点による構成、他作品とのつながり、そして数々のパロディを詰め込んだ一冊となっている。最初は時間軸や登場人物の関係に戸惑うかもしれないが、そこも含めて作品の持ち味といえるだろう。



僕が彼女の為に生きたという結果が、

遠い遠い、いつの日か、

全く別の物語に生まれ変わりますように。


これは、そんな青春物語だ。














「どうですかね、(追記・修正の)脈あるんですかね」

店員「料金支払ってくれたらサービスでお答えしますよ」













店員「ねーよ」



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最終更新:2026年10月17日 11:25