G線上の狙撃(ゴルゴ13)

登録日:2015/04/15 (水) 21:53:07
更新日:2019/07/28 Sun 01:17:32
所要時間:約 6 分で読めます







あんたは……この世界のナンバーワンだそうだな?
一度もしくじったことはないのか!?




概要


G線上の狙撃とは、ゴルゴ13の75巻に収録されたエピソード。

長編作品では無く、人が殺害されることもない短編作品。
短編作品ながら、話の完成度が優れていることから知名度は高い作品。


あらすじ


世界的バイオリニストとして知られる「トーマス・シンプソン」。

彼はコンサートで今日も客からの歓声を浴び、コンサートは成功したかのように思われた。
シンプソンはアンコールに応じて、『G線上のアリア』を演奏。
ところが、G線上のアリアを演奏中にバイオリンの「G線」が切れるという予想外のアクシデントが起きてしまう。

まさかの事態に立ち往生し、演奏を止めてしまう。
そうしているうちに、観客席からは残酷なブーイングが飛んできてしまう。
ブーイングに耐えきれず、舞台から走り去り、頭を抱えて震えるシンプソン。

この行動は新聞にも罵倒され、この出来事がトラウマとなったシンプソン。
その結果、人前で演奏することができなくなってしまった。
最終的にはフィラデルフィア管弦楽団との共演を降ろされてしまう。

後任に選ばれたソリストはロシアの巨匠「セルゲイ・ケルンスキー」。

ケルンスキーは、アメリカと敵対しているソ連の人間でもある。
シンプソンはこの二重に重なる屈辱に耐えきれずゴルゴに接触を図る。


主な登場人物


■トーマス・シンプソン
CV:森田順平

今回の話の重要人物。

天才と呼ばれるバイオリニストであり、かなり高い実力を持っている。
しかし、あらすじで述べたアクシデントとその時の対応の結果、評判を大きく落とすことに。

その時から、人前でバイオリンを弾こうとすると手が震えてしまい演奏できなくなる(1人の時だと演奏できる)。
そんな体調を考慮され、フィラデルフィア管弦楽団との共演を降板させられた。

本人は降板に関しては意外としょうがないとは思っていたらしいが、自身の代役がケルンスキーであることに憤怒。
ゴルゴに、演奏中のケルンスキーのバイオリンの弦を射撃するように依頼する。

そうすれば、ケルンスキーも自分と同じく立ち往生すると考えたためである。
それによって、演奏中にバイオリンの弦が切れたのは『不可抗力』だったと証明したいという目論見もあった。


■シンプソンの生徒

シンプソンの元でバイオリンを学んでいる4人の子供たち。

シンプソンの演奏失敗後も、マスコミの批判を気にしないようにシンプソンを励ました。
しかし、シンプソンは子供たちの前でも手が震えて演奏できなくなっており、レッスンは途中で休みとなる。

その姿を見て、シンプソンがよほどショックだったということを察した。
一週間後に再びシンプソンの元を訪れるが、シンプソンは回復していないことを伝えられる。
そのことを聞いて、コンサートはどうなるのかと心配する。


■スミス先生
CV:間宮康弘

シンプソンの症状を検査した医者。

彼曰く、シンプソンの症状は『身体的に異常はないが、軽いヒステリーか心身症の入り口』と診断する。
そして、『しばらくのんびりして演奏の失敗は忘れるように』という適当な助言を述べた。

コンサートが迫っていたシンプソンはこの助言に対して反論する。
それに対して『そのビリビリした性格がプレッシャーになっている』と述べ、ビタミン剤を注射した。


■J・マクシミリアン
CV:長克巳

フィラデルフィア管弦楽団常任指揮者。

シンプソンが体調を崩したことにより、代役を探すための会議を開く。
代役がケルンスキーにすると決めた後は、ケルンスキーの元に交渉しに行った。

後に電話で、シンプソンを降板させることを告げ、代役がケルンスキーであることを伝えた。
ケルンスキーの演奏を見に来るように、コンサートチケットも渡している。


■E・アーネスト

フィラデルフィア市文化局長。

マクシミリアンにシンプソンの体調はそんなに酷いのかと尋ねる。
最初に代役としてノーラン・グッテンという人物を検討するが、ハーケンに却下される。
代役にケルンスキーを提案された際には、その案に大賛成した。

そしてマクシミリアンと共に、ケルンスキーの元へ交渉しに出かける。


■C・バーマロイ

フィラデルフィアハイテクホール館長。

シンプソンの体調を、彼の生徒から聞いていたようだ。
そして、代役にケルンスキーを呼ぶことを提案する。


■F・ハーケン

フィラデルフィア演奏家組合会長。

シンプソンの体調を聞いた際にはだらしがないと批判。
「オクターブをあげるなり、楽屋から別のバイオリンをもってくるなりしていれば」というもっともなことを述べていた。


■ケルゲイ・ケルンスキー
CV:宝亀克寿

ソビエト連邦で名前が知られているらしいソリスト。

バーマロイ曰く、テクニック的にはシンプソンも上回るらしい。
彼の言動から見るに祖国ロシアへの愛国心は強い。
妻と子供もいるらしく、ウクライナに住んでいると推測できる。

20年間に及び、共産圏以外では演奏活動を行っていなかった。
しかし、今回のコンサートにシンプソンの代役的役割として候補に挙がる。

コンサート出演の際には、今回のコンサートが孤児へのチャリティーコンサートと新しいコンサートのこけら落としであることを尋ねる。
そして、ホールを建設する金を孤児に回せという正当な批判を述べた。

しかし『文化と福祉の後進国に送るチャリティーコンサート』と皮肉を言いながらも、演奏することを決める。


■デイブ・マッカートニー
CV:千田光男

ゴルゴファンなら誰もが知っている、ゴルゴの協力者。

今回も面倒な依頼かとゴルゴに述べる。
しかし、ゴルゴから伝えられた依頼は、彼からしてみれば容易な依頼だった。

デイブは、ゴルゴの今回の依頼を「1時間あれば十分」と言っている。
さらには、「これくらいの仕事ならそこらのチンピラでも出来る」とも語っていた。

デイブからすれば依頼が簡単だったことに加え、その依頼をゴルゴがしてきたということにデイブは上機嫌だった。
仕事の内容自体はチンピラでも出来る簡単なものだが、それを自分にしてきたということが仕事の品質を買われて頼んだと感じたのだろう。



主人公。

今回は、ケルンスキーのバイオリンの弦を狙撃するように依頼される。
今までの依頼の中でも結構しょぼく卑劣な依頼に、ゴルゴは何を思ったのだろうか……

この程度の依頼はゴルゴにとっては難しくは無いから、仕事の難易度としては良心的ではあろうが。


結末(ネタバレ注意!)






ついに始まったコンサート。

バイオリンの演奏を始めるケルンスキー。
その光景をシンプソンは、観客席から忌々しく眺めていた。

その頃、ゴルゴはコンサートホールの映写室に侵入。
ヘンリーと呼ばれる男性は、殴られて気絶させられている。
ゴルゴは、カメラに仕込んであった銃を取り出し、その場で組み立てる。

一方、カメラ映像が映っていないことに気が付き、ヘンリーへ呼びかける中継車の男。
しかし、気絶しているせいで応答できないヘンリーが応じることは無く、困惑する。


そして、ゴルゴはケルンスキーの弦を射撃して切ることに成功する。
弦が切れたことに驚きを見せるケルンスキー。
それとは対照的に、ケルンスキーも醜態を晒すだろうと喜ぶシンプソン。
観客もそのアクシデントに困惑する。

ところが、一瞬動揺した後にD線を緩めるケルンスキー。
自分が予想した行動とは違う対応をケルンスキーがしたことにシンプソンは驚く。

シンプソンのエージェントの二人組は、弦が切れたのは狙撃だということに気が付いた。
一人が演奏を中止させようとするが、それを止めるもう一人のエージェント。

何故なら、犯人がケルンスキーの命を狙っているのなら既に第二弾でケルンスキーは死んでいるはずだからだ。
だから、犯人は既に目標を達成していると悟った。

動揺することなく演奏を続けるケルンスキーの様子に震えるシンプソン。

犯人は弦を切ることだけが目的という不可解な行動。
それに演奏中のバイオリンの弦を狙撃するということは不可能だと述べる片方のエージェント。
対してもう一人のエージェントは「しかし………弦は狙撃され切られた!」と冷汗をかきながら言う。
だが、それでもD線を緩めて演奏を続けるケルンスキーの技量を高く評価した。


演奏を難なく続けているケルンスキー。
その姿を見たシンプソンは格の違いを見せつけられることととなり、打ちのめされるだけだった。

そして、仕事を終えてホールを去ろうと階段を上るゴルゴの後ろ姿が見えた……



アニメ版

この話は深夜で放送されていたアニメ版ゴルゴ13にも第7話として収録されている。
時代設定が冷戦終結後になっているため、シンプソンがケルンスキーを嫌う理由が
「世間ではライバルと評価されているが、腕前では私が勝っている自負がある」というものに変更されている。

また、原作のケルンスキーはかなりの愛国家且つ皮肉屋であったが、アニメ版では物凄くいい人になっている。
具体的には…
 ・純粋に子供たちのためを願ってチャリティーを快く引き受ける
 ・シンプソンを親友だと思っており、彼の体調を本当に心配している。(チケットを贈ったのも親切心から)
 ・花束を届けられた際にも気前よく応じている
何があった!?とツッコミたくなる非の打ちどころがない人物である。

なお、原作ではホテルのロビーでゴルゴはケルンスキーの演奏映像を何度も見返している。
3度に渡って再生を繰り返すため、周りから不思議な目で見られている面白シーンがあるのだが、
アニメ版では個室で見ているため残念ながら普通のシーンになっている。(映像媒体もテープからDVDに変更されている。)

またシンプソンとの依頼の打ち合わせの場所がサウナ室から観覧車(ロンドンアイ)になっている。
襲撃された際に逃げ場がなさそうにも思えるが原作でも観覧車で依頼者に会ったことがある。(そして襲撃されている)


余談

実際の演奏家の場合、演奏中に弦が切れた場合でも一時中断して弦を張り直したり、バイオリンを交換したりするのが普通であり、
弦を緩めて演奏するのは音が悪くなるため非現実的らしい。


ちなみに、ナムコのガンシューティング版の第一弾で「思い出のバイオリン」として収録されているのだが、原作同様に弦を打ち抜くミッションの為、狙撃のタイミングをミスったり、照準のメンテが酷いと弦ではなくバイオリンに当たったり奏者の手に当たったりするので、やる人によっては「マフィアの履く靴」以上に難しいミッションである






追記・修正は、演奏中にバイオリンの弦が切れるというアクシデントを乗り越えてからお願いします。

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