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トーマス・シンプソン(ゴルゴ13)

登録日:2015/04/15 (水) 21:53:07
更新日:2023/08/07 Mon 18:40:30
所要時間:約 8 分で読めます







あんたは……この世界のナンバーワンだそうだな?
一度もしくじったことはないのか!?




トーマス・シンプソンとは、ゴルゴ13の75巻に収録されたエピソード「G線上の狙撃」に登場するゲストキャラクター。

CV:森田順平

概要

世界的バイオリニストとして知られる男性。
天才と呼ばれるバイオリニストであり、本来はかなり高い実力を持っている。
大曲を子守歌のように軽々と演奏するその姿は「フィラデルフィアが生んだ天才」とまで呼ばれていた。

ところが追悼コンサートでアンコールに応じて『G線上のアリア』を演奏中、バイオリンの「G線」が切れるという予想外のアクシデントが起きてしまう。
唐突なアクシデントに困惑する中で観客のブーイングが始まると対応が出来ずに混乱してしまい、後日マスコミにも罵倒される始末。
まあブーイングを飛ばす聴衆のマナーはともかく、作中でも「楽屋から別のバイオリンを持って来るなりしていれば…」とちゃんと指摘されているので、プロのバイオリニストとしてお粗末な様子だったのは事実である。

これらの出来事がトラウマとなり、人のいない場所では演奏ができるが人前に出ると指が震えて演奏できなくなるというイップスのような症状に襲われる。
医者の診断では『身体的に異常はないが、軽いヒステリーか心身症の入り口』と診断されるが、新しい仕事が迫っていた焦りとピリピリした気質からビタミン剤による安静治療も効果が出なかった。

教え子を複数人抱えており、彼らには慕われているようで世間からのブーイングも気にしないように励まされていた。
一向に症状が改善せずにレッスンが出来ない状況でもなお心配していたが、手の震えの症状は彼らを通じてフィラデルフィア管弦楽団の耳に入ったようである。

症状が改善しなかったシンプソンは最終的にはフィラデルフィア管弦楽団との共演を降ろされてしまう。
後任に選ばれたソリストはロシアの巨匠「セルゲイ・ケルンスキー」だったが、彼は熱烈な愛国主義者かつ共産主義者でもあった。
シンプソンは精神的には荒れていると言っても降ろされること自体には一応理解はしていたが、時代背景もあってアメリカと敵対する共産主義を過剰に嫌うシンプソンには東側陣営の愛国者が代役と言う事実に一層精神が荒れることになる。
この辺りの共産主義国云々は作中ではシンプソンもチャイコフスキーの曲を何度も演奏しているだろと指摘されていたりもするが*1

シンプソンはこの二重に重なる屈辱に耐えきれずゴルゴにケルンスキーの演奏を妨害するため、暗殺ではないがあまりにもしょうもない依頼に乗り出す。
それは演奏中にバイオリンの弦が切れたのは『不可抗力』だったと証明したいという目論見もあったのだが…。

劇中の活躍

ゴルゴへの依頼後、コンサートが始まってバイオリンの演奏を始めるケルンスキーをシンプソンは観客席から忌々しく眺めていた。

その頃、ゴルゴはコンサートホールの映写室に侵入してカメラに仕込んでいた狙撃銃を取り出し、その場で組み立てる。
そして、ゴルゴはケルンスキーの弦を射撃して切ることに成功する。
弦が切れたことに驚きを見せるケルンスキーの様子を見て、醜態を晒すだろうと喜ぶシンプソンとケルンスキーと同様に困惑する観客。

ところが、一瞬動揺はするがすぐにD線を緩めるケルンスキー。
自分が予想した行動とは違う対応をケルンスキーがしたことにシンプソンは驚く。

ケルンスキーを護衛するエージェントの二人組は、弦が切れたのは狙撃だということに気が付いた。
一人が演奏を中止させようとするが、もう一人のエージェントは「犯人がケルンスキーの命を狙っているのなら、既に第二の狙撃でケルンスキーは死んでいるはず」と分析して演奏の続行を判断する。
犯人は既に目標を達成していると悟るエージェントの一方、動揺することなく演奏を続けるケルンスキーの様子に震えるシンプソン。

射撃をしたのに弦を切ることだけが目的という不可解な行動と演奏中のバイオリンの弦を狙撃するという普通は不可能な技術に困惑するエージェント達。
だが、それでもD線を緩めて演奏を続けるケルンスキーの技量を高く評価した。

演奏を難なく続けているケルンスキーの姿を見たシンプソンは、格の違いを見せつけられることととなり、打ちのめされるだけだった。

アニメ版

シンプソンが登場したエピソード「G線上の狙撃」は、深夜で放送されていたアニメ版ゴルゴ13にも第7話として収録されている。
時代設定が冷戦終結後になっているため、シンプソンがケルンスキーを嫌う理由が
「世間ではライバルと評価されているが、腕前では私が勝っている自負がある」というものに変更されている。
原作は時代背景的にシンプソンがケルンスキーを嫌うのも西側陣営の人間としての理由はあったので嫌う理由としては100%妬みという訳でもなかったが、アニメ版では完全に人間性のしょうもなさが増したと言える。

また、原作のケルンスキーはかなりの愛国家且つ皮肉屋であったが、アニメ版では物凄くいい人になっている。
具体的には…
  • 純粋に子供たちのためを願ってチャリティーを快く引き受ける
  • シンプソンを親友だと思っており、彼の体調を本当に心配している。(チケットを贈ったのも親切心から)
  • 花束を届けられた際にも気前よく応じている
何があった!?とツッコミたくなる非の打ちどころがない人物である(まあ原作でも何だかんだで依頼を受けている時点で別に嫌味な性格としても性悪という訳でもないが)。

なお、原作ではホテルのロビーでゴルゴはケルンスキーの演奏映像を何度も見返している。
3度に渡って再生を繰り返すため、周りから不思議な目で見られている面白シーンがあるのだが、
アニメ版では個室で見ているため残念ながら普通のシーンになっている(映像媒体もテープからDVDに変更されている。)。

また、ゴルゴとシンプソンの依頼の打ち合わせの場所がサウナ室から観覧車(ロンドンアイ)になっている。
襲撃された際に逃げ場がなさそうにも思えるが原作でも観覧車で依頼者に会ったことがある(そして襲撃されている)。

ゲーム版

ちなみに、ナムコのガンシューティング版の第一弾で「思い出のバイオリン」として収録されている。
原作とは内容が変わっており、こちら「では形見のバイオリンが借金のカタにとられてしまい、他人に弾かれるのが我慢ならない」という理由で依頼をしてくるので原作よりもしょうもなさは減っている。
…のだが、原作同様に弦を打ち抜くミッションの為、狙撃のタイミングをミスったり、照準のメンテが酷いと弦ではなくバイオリンに当たったり奏者の手に当たったりするプレイヤー泣かせの難易度。
ゴルゴのゲームなので当然チャンスは一度きり。失敗すると(どのミッションにも言えることだが)最大値100の信頼度が一気に80も持っていかれる。ミッション成功で回復する信頼度は20から30。
やる人によっては、歩いているターゲットのハイヒールを撃ち抜く「マフィアの履く靴」以上に難しいミッションである

テレビ番組にて

以前、「マンガ、アニメの技術は実現可能か」を検証する番組で、シンプソンの依頼が検証対象になったことがある。
検証のために、現在は引退している元米軍のスナイパーが呼ばれた。
来日した元スナイパーは、ゴルゴ13の数々の超人的な狙撃(ビルの外壁を落下しながら室内の目標を狙撃する、金属の棒に跳弾させて標的を狙撃する等)を見せられ、「こんなの無理だよ」と呟いた(当たり前だ)
だがその中で、唯一「これなら出来る」と言ったのが、この「G線上の狙撃」での「バイオリンの弦を狙撃して切断する」ことだった。

更にスナイパーは「ゴルゴ13がG線なら、僕はE線を狙撃して見せるよ」と言う。
検証のための準備が整い、スナイパーが位置につく。
皆が固唾を呑んで見守る中、狙いをつけるスナイパー。
そして、弾丸が発射され、発射された弾丸は、見事E線だけを撃ち抜いていた。
限定的ではあるが、ゴルゴ13の狙撃が見事再現された瞬間であった。
(ただし、検証の際には当然ながら、バイオリンは動かないマネキンに乗せられていた。よって、人が演奏している最中に狙撃したゴルゴ13の狙撃より優れているとは一概には言えないのだが)

余談

  • シンプソンが襲われたアクシデントだが、実際の演奏家の場合は演奏中に弦が切れた場合でも一時中断して弦を張り直したり、バイオリンを交換したりするのが普通であり、弦を緩めて演奏するのは音が悪くなるため非現実的らしい。
    ただし、上述したように楽屋から別のバイオリンを持って来いと作中でも指摘されているため、アクシデントにおける現実的なやり方がスルーされていたという訳でもない。

  • 項目冒頭にも記載したシンプソンのゴルゴに対する質問は返されることはなかったが、ゴルゴは狙撃に関しては何度かしくじったこともある(最終的に依頼自体は遂行しているが)。
    要は超一流でもミス自体はするものであり、いつまでもミスに苦悩しているシンプソンとミスをしても挽回して超一流としての評判を維持しているゴルゴは対照的と言えるかもしれない。

  • シンプソンの依頼はゴルゴ史にも屈指に残るしょうもない依頼として語られることも多い。
    ゴルゴも結構しょぼく卑劣な依頼にどう思ったのかは不明だが、依頼難易度自体はゴルゴにとっては難しくは無いことや殺人依頼でもないことから、シンプソンのような人間は仕事の面だけで見れば良心的で上客だったとも言えるが。
    シンプソンの依頼遂行のために駆り出されたデイブ・マッカートニーも依頼がいつもより容易だったことで仕事の品質を買われて頼んだと感じたのか、随分と上機嫌になっていた*2





追記・修正は、演奏中にバイオリンの弦が切れるというアクシデントを乗り越えてからお願いします。

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最終更新:2023年08月07日 18:40

*1 ただし、チャイコフスキーはロシア革命以前のロシア帝国時代の人間だったのでシンプソン的にはアカの手先ではないという認識だった可能性も高いが

*2 曰く、「これくらいの仕事ならそこらのチンピラでも出来る」「1時間あれば十分」