TVドラマロケ殺人事件(名探偵コナン)

登録日:2016/02/23 (火) 00:46:44
更新日:2020/05/27 Wed 22:47:53NEW!
所要時間:約 15 分で読めます




『TVドラマロケ殺人事件』は、『名探偵コナン』において、かつて江戸川コナンが解決した事件のうちの一件。
アニメオリジナルエピソードで、第21話として1996年6月24日に放送された。
また、緋色シリーズの直前である2015年5月23日にも再放送された。

名前は出ていないものの、実質的に高木渉刑事の初登場回である。また、アニメ『名探偵コナン』では珍しくエンディング後のCパートが存在しない。

以下、ネタバレにご注意ください。





【あらすじ】
米花神社で、沖野ヨーコ主演の日売テレビのドラマ「闇に笑う脅迫者」の撮影が行われた。
小五郎は、そのドラマに推理監修として参加し、コナンと蘭も撮影を見学していた。

その夜、コンビニに買い物に行ったコナン・蘭・ヨーコはその帰り、神社の境内で不審な音と人影に遭遇する。
境内に上がってみると、ドラマの撮影助手である安西守男の遺体が転がっていた。

死体の手元には、血で「コマイヌ」と書かれたダイイングメッセージが残されていた…


【事件関係者】
  • 那智真吾(なち しんご)
CV:子安武人
二枚目俳優。23歳。
撮影中のドラマでは、ヨーコに刺殺される被害者役。
やたら自身の事を「二枚目」と強調するウザいキャラ。
宿泊先の米花旅館がダサいと言って、一人だけ帝丹ホテルに宿泊するわがまま男。
既婚者の女優・萩山律子と不倫関係にあり、二人でホテルから出てくる所を安西に写真に撮られ、脅されていた。
犯行時刻と思しき22時~22時半はホテルに一人でいたためアリバイは無い。
趣味はマッチ棒パズル。

  • 権藤武敏(ごんどう たけとし)
CV:宮田光
監督。57歳。
21時45分頃に外出した島崎に、ついでに自分の分のタバコも買うように頼んだ。
あまり登場シーンが無い。事件があった時は旅館におり、容疑者から外れている。

  • 豆垣妙子(まめがき たえこ)
CV:弥生みつき
スクリプター。24歳。
メガネをかけた女性。島崎と婚約している。
21時半頃に実家に用があると言って旅館を出て、22時頃には戻ってきた。
その際、入れ違いに外に出ていく安西を目撃するが、なぜか驚愕するような表情を浮かべていた。

  • 島崎裕二(しまざき ゆうじ)
CV:横堀悦夫
AD。26歳。
妙子の婚約者。やや長い髪を後ろで縛っている。
21時45分頃にタバコを買いに出かけ、22時15分頃に戻ってきた。

  • 安西守男(あんざい もりお)
CV:二又一成
撮影助手。25歳。被害者。
その年齢に見えない老け顔。「お呼びでない?こりゃまた失礼」と言い回しもオヤジ臭い。
嫌味な性格で、他人の結婚話に余計な口を出して水を差す。
加えて趣味も相当悪く、「ウヒャヒャヒャ」というアラームの鳴るガイコツの腕時計(アメリカ製)をしている。
神社近くの森で、不倫の証拠写真とネガを元に、那智を脅していた。
21時半頃にカメラの手入れがあると言って旅館の宴会場から出ていく。
その後、22時頃に腕時計のアラームを鳴らせた彼が、再び外へ出て行ったのを、コナン・蘭・ヨーコ、それに入れ違いに戻って来た妙子が目撃している。
その後、22時半頃に神社で遺体となって発見された。

  • 豆垣久作(まめがき きゅうさく)
CV:丸山詠二
米花神社の神主。75歳。
妙子の祖父。

  • 山岸栄一(やまぎし えいいち)
CV:一条和矢
ヨーコのマネージャー。
原作ではアイドル密室殺人事件のみの登場だったが、アニメでは本作にも登場している。


【レギュラー陣】
ご存知主人公。
旅館から出掛ける前、蘭とヨーコの着替えを目撃し真っ赤になった。うらやま…いやらしい奴め。

ご存知蘭姉ちゃん。
友達(園子か?)から那智のサインを頼まれており、那智を探している途中に彼が安西から脅迫されている現場を目撃する。

ご存知おっちゃん。
多少名前が知られてきたのか、推理ドラマの監修に抜擢される。
まだ「眠りの小五郎」の異名は無いらしく、「平成の明智小五郎」などと称されていた。
ダイイングメッセージの「コマイヌ」が、神社の娘の妙子だと迷推理を披露。
「眠りの小五郎」になる際、樹木に寄りかかって寝ながら立ったままというえらくきつそうな体勢になった。

ご存知警部殿。

ご存知高木君。茶色いスーツを着ている。
名前は出てこないものの、顔と声優は同じで、前述の通り本作で初登場。
那智の不倫写真を安西の部屋から持ってきた。

ご存知超人気アイドル。年齢が21歳と明記されている。
「闇に笑う脅迫者」の主演で、那智を衝動的に刺殺する役どころ。
髪型を変えて帽子をかぶるといった変装をして、コナン・蘭と共に夜のコンビニへ買い物に行った。










【以下、事件のネタバレ】



あれ~、この字変なの!

これ書き方間違ってる!

ダイイングメッセージの「コマイヌ」をよく見てみると、「コ」「ヌ」の1画目が分割されてしまっていた。
そのため、字を書き換えられたのではないか、という疑いが浮上。
不自然に足されたと思われる棒を消すと…



ニマイメ





  • 那智真吾
事件がややこしくなる原因を作った男。
実は22時半に安西と神社境内で会う約束をしていた。
その時間に来ると、既に安西は殺されていた。
そして遺体の手元を見ると「ニマイメ」と書かれていたため、自分が犯人と疑われるのではないかと思い、
とっさにマッチ棒パズルの要領で棒を書き足し、「コマイヌ」に改竄したのであった。
コナンたちが見た不審な人影はこいつ。

ここでコナンは、ダイイングメッセージを偽装する犯人が、アリバイ工作をしないなんて事があるだろうかと思い立つ。
そして、遺体は腕が血まみれであるのにも関わらず、腕時計には血が付いていないことに気付く…。








【以下、事件の更なるネタバレ】






殺すつもりなんかなかったのに…


  • 豆垣妙子
事件の犯人。実は本当のダイイングメッセージは「マメ」であった。
(つまり、メッセージの読み方は間違っていたが、結果的に小五郎の迷推理は正解していた)
また、出掛けた人間の中で、返り血を洗い流す時間があったのは妙子だけであった。
ちなみに、コナンが「ニマイメ」からどこをどう見て本当のメッセージが「マメ」であることに気づいたのか*1は、
全く説明が無いため、不明のままである。

高校時代に事故で両親を亡くし、一時期グレて学校に行かず、悪い仲間との付き合いがあった。
そんな時、神社の蔵に高価な祭祀用具があることをうっかり口にし、安西を始めとする悪い仲間がそれを盗んでいった。
彼女はそれを打ち明けようとしたが、その前に蔵の管理者であった杉山が責任を感じて首吊り自殺をしたため、怖くなって言うに言えなくなってしまった。

それ以降は安西たちとの付き合いを断ち、真面目に学校に通うようにした。
忌まわしい出来事を心にしまい込み、忘れたつもりになって、島崎との結婚で幸せな家庭を築くはずであった。
そこに安西が現れ、祭祀用具の件で「お前にも責任がある」と彼女を脅してきた。
結婚がダメになると思った彼女は、安西に金を渡す約束をして21時半に神社で待ち合わせをした。
だが実際にはナイフを持って行って、「二度と私の前に現れないで」と告げた。
しかし安西は逆上して彼女に立ち向かい、はずみでナイフが安西に刺さってしまった。

殺すつもりはなく、軽い脅しのつもりだった模様だが、ナイフを用意している辺り、殺人罪が成立しないとは言い難い。
また、ナイフを用意したのが彼女だったこと、それが被害者を逆上させた理由だったことからしてして、正当防衛が認められる可能性も低そう。

窃盗事件が起きた後すぐ真実を告白していれば、管理者の杉山が自殺することもなかった。
ただ、窃盗事件があってからどれくらいの時間で杉山が自殺したかがわからないため、すぐ言えなかったという点に限っては、彼女を責める理由にはなりづらい。
そもそも、妙子の話では言おうとしたらその前に杉山が自殺してしまった、ということなので、
それを信じるなら、すぐ言うつもりだったのにその間も無く彼が死んでしまった、という可能性は十分にある。

しかし、安西の脅迫に対し、ナイフを突きつけて脅迫を止めさせようとするのはあまりに短絡的だった言える。
仮に安西が脅迫を止めたとしても、金を取れなかったことを逆恨みして、窃盗事件の真実を彼女の関係者にばらしてしまった可能性は高い。
心情的に真実を言えなかったとしても後先のことを考えれば、脅迫された時点で自分から窃盗事件の真実を言うべきであったのは間違いない。

また、本物のナイフでなくドラマロケで使われた小道具の偽のナイフを使うべきだったとも言える。
彼女の「殺すつもりはなかった」という言葉を信じるなら、偽のナイフで十分良かったはずであり、もしそれを使っていればはずみで死なせてしまうまでには至らなかったはずである。
偽のナイフでも安西が逆上した可能性は高いが、それで安西をはずみで死なせてしまった場合、正当防衛が認められた可能性はあり、
それがだめでも悪くて傷害致死、良くて過失致死ですんだと思われる。(少なくとも殺人罪にならなかった可能性は高い)
もっとも、その場合、逆に安西に殺されていた可能性もあるが…。
また、小道具の偽ナイフだと、同じ撮影関係者の安西に見抜かれる怖れもあったかもしれない。

  • クズな人間に脅され、人生を狂わされてしまった。
  • 管理人の杉山が自殺してしまい、そのことに責任を感じたからこそ、窃盗事件の真相が話せなかった。
  • 最初から安西を殺すつもりは無かった。
    (安西が即死しておらず、とどめも刺していない点や、彼がダイイングメッセージを書く余力があったことからも、はずみで死なせてしまったという言葉には十分信憑性はある)

など同情できる要素は十分ある。

しかしその一方で、

  • 自分から安西と関わりを持ち、それが窃盗事件、今回の事件の発端になってしまった。
  • 安西に脅迫された際、後先を十分考えず、本物のナイフを持ちだしてしまったこと。
  • 安西をはずみとは言え、ナイフで刺してしまった際警察や救急車を呼ばずに逃げてしまったこと。

ダイイングメッセージを書く余力があったため助かった可能性は十分ある。
呼んでいればまだ正当防衛が認めたられた可能性もあるうえ、せめて匿名で救急車だけでも呼んでいれば安西が死んでしまったとしても、
裁判の際殺意がなかったことを証明できた可能性は高くなったはず。
(そのためはずみで刺してしまうまでは殺意が無かった可能性は高いが、刺してしまった際、安西に対し「このまま死んでしまえばいい」といった殺意に準じる感情があった可能性は否定できない。
 気が動転してそこまで頭が回らなかった可能性も、犯行後返り血を洗い流すと言った冷静な行動をとっているため低いと思われる)

そのためここまで事態を悪くさせてしまったことについて彼女自身にも十分非はある。

  • 島崎裕二
(ある意味)もう一人の犯人。妙子をかばうために様々な偽装工作を施した。
妙子の様子がおかしかったため、煙草を買いに行くふりをして彼女の後をつけた。
そして神社の様子を見に行くと、安西の死体と、ダイイングメッセージの「マメ」を発見した。
妙子が疑われないよう、ダイイングメッセージを「ニマイメ」に改竄(安西が那智を脅迫する光景を見ていたため、那智に罪を着せようとした)。
また、ナイフの指紋をぬぐい、腕時計も血をぬぐって旅館に持ち帰った。*2
その後、安西の部屋にあった帽子とベストを身につけて安西に成り済まし、わざと腕時計のアラームを鳴らして22時の時点で安西が生きていたかのように装った。
彼は、殺したのも自分だと主張するものの、服に返り血が飛んだ様子が全く無く、着替えてもいないため、それは成立しない。
これらの行為は妙子には言わずに行ったものである。22時に妙子がもう死んだはずの安西(実際は島崎)を見て驚愕していたのはそのため。

恋人を守ろうとしたと言えば聞こえはいいが、当初恨みも罪も無い那智に罪をなすりつけようとしたため、彼の行動は決して許されるものではない。

  • 安西守男
実は21時半には殺されていた。
自分の過去の犯罪のきっかけとなったことで昔の仲間だった妙子を脅すという2時間ドラマなどでよく登場しそうな典型的なクズ人間であり、その他に那智を脅している点から、他にも脅迫の被害者がいたかもしれない。
こんな安西を撮影助手にしていた権藤は彼の本性に気づいていなかったのだろうか。

  • 安西の仲間
妙子の回想に登場した不良達。
安西と共に神社の蔵に忍び込み、高価な祭祀用具を盗むという罰当たりな行動に出た。
窃盗の時効は7年であり、妙子の年齢からすると6~8年前に起こった出来事であり、捕まえるのが難しい。
恐らく、安西が妙子をこのタイミングで脅迫してきたことを考えると時効が成立していた可能性が高い。(妙子の結婚が迫っていたこともあるが)

  • 那智真吾
島崎の偽装工作によって犯人にされそうになった。
いずれにしても犯人扱いされる可能性があるから、一人で妙な行動を起こすのはやめた方が良いという例である。
なお「既婚の女優と不倫」という事実が今回の事件でばれたものの、もしそれが全国中に知れ渡った場合、今後はレポーターやマスコミに絡まれる可能性が高かっただろう。
勿論この回の放送当時はパソコン通信が主流だったのでネット社会もクソもないが、現在ならSNSが流行している為、しばらく芸能界から干されていた可能性はある。

だが、那智は後に同じくアニオリ回の『黒いイカロスの翼』で再登場しており*3
何事も無く二枚目俳優業を続けている辺りから不倫の事実は公にならなかったものと思われる。
(不倫そのものについては今回の件に懲りて関係を終わらせたかもしれないが)


【余談】
◇北米版DVDにおいて
北米で販売されているコナンのDVDでは、登場人物のキャラクターが当然ながら欧米名に変更されている。
例えば、江戸川コナンは「Conan Edogawa」のままだが、工藤新一は「Jimmy Kudo」、蘭は「Rachel Moore」、
小五郎は「Richard Moore」、目暮警部は「Joseph Meguire」、服部平次は「Harley Hartwell」などなど。

それは各事件のゲスト人物でも同様で、本作でも那智真吾は「Ringo Norris」、豆垣妙子は「Tina Fountain」となっている。

ここで問題となるのが上記で述べた「コマイヌ」→「ニマイメ」→「マメ」のダイイングメッセージである。
カタカナで名前を記したメッセージである以上、名前を改変してしまっては本来は成り立たない。
そこで北米版DVDはどうしたかと言うと…

「コマイヌ」→「Shrine god」(「神社の神像」という感じで、やや微妙だが間違いではない)

「ニマイメ」→「Ringo」(カタカナの「ニマイメ」が「Ringo」と書いてあると無理矢理な主張)

「マメ」→「Tina」(カタカナの「マメ」が「Tina」と書いてあると(ry)

…と、カタカナを無視して各人の名前が書いてあることにしてしまった(注:映像は置き換えられてない)。
アニメで日本語を学ぶ外国人がこのDVDを見た場合、えらく困惑したか、あるいは大きな勘違いをした可能性が高い。


◇闇に笑う脅迫者
今回撮影が行われたドラマ。
撮影の合間に殺人事件が発生したが、その後は問題なくOAされた模様。
第203話・第204話『黒いイカロスの翼』にて、そのドラマの再放送を小五郎が視聴するシーンがある。


◇米花神社
今回の舞台となった神社。
実はOVA版『青山剛昌短編集』収録の『探偵ジョージのミニミニ大作戦』と『プレイイットアゲイン』の舞台にもなっている。



追記・修正はマッチ棒パズルの要領でカタカナをいじって遊んでからお願いします。

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