ウソ孫(笑ゥせぇるすまんNEW)

登録日:2017/06/12 Mon 03:17:49
更新日:2019/12/05 Thu 11:35:03
所要時間:約 5 分で読めます





「ウソ孫」とは、笑ゥせぇるすまんNEW10話Bパートのエピソード。
TV版オリジナルのストーリーになる。

NEWのBパートはオリジナル話で世相を反映した内容のものが多いが、
今作も独居老人・熟年離婚・メールなどのガジェットなど、原作の時代にはあまり見られなかった要素がふんだんに使われたものとなっている。
また「今回のお客様」が、既にかなり不幸な状態から始まっていることも大きな特徴の一つ。



【あらすじ】

定年退職を迎えたその日、妻に離婚届を突き付けられ、妻と娘・孫娘に家から出て行かれた初老の男性・老手一人。
ある日、1人寂しく公園で孫と遊ぶ他の老人たちを眺めていたところ、不気味なセールスマン・喪黒福造と出会う。
老手は馴れ馴れしく話しかけてくる喪黒に不快感を示すが、そんな喪黒は
「お孫さんに会えないあなたの寂しさを埋めて差し上げましょう」
といい、勝手に老手の携帯電話をとあるサービスに登録してしまう。

そのサービスとは架空の孫とその親の娘からメールが届く、孫に会えない&いない老人向けのメールサービスだった。
老手は赤の他人から届くメールなど嬉しいわけがない、と声を荒げるが、
喪黒は今はお試し期間で無料だからと言い、「お楽しみください」とその場を立ち去ってしまう。
所詮気休めと思いつつも、老手は1人暮らしの寂しさからぽつぽつメールのやり取りを始めるのだが…。




【登場人物】

CV:玄田哲章
ご存じ人の心を扱う笑ゥせぇるすまん。
今回のお客がズバリ「心のさみしい人」である老手だったため、結構強引に行動している。
本筋とは関係ないが、焼肉を食べていたり野球観戦していたりと、割と私生活が見れる。

  • 老手一人
CV:中尾隆聖
定年退職したその日に熟年離婚を告げられた男性。
現在はマンションで一人で暮らしており、警備員の仕事をしている。
娘と孫にも出ていかれたため寂しい生活を送っており、
そのため喪黒から架空の娘と孫からメールが来るサービスに強引に登録される。
ヤプールに誑かされるナックル星人とは言ってはいけない。

  • ウソ娘
CV:西村ちなみ
サービスでメールを送ってくる架空の娘。
父親とは仲が良く、しょっちゅうメールで写真や動画を送ってくる……という設定のよう。
息子が一人いるが、少々過保護気味。

  • ウソ孫
CV:田中あいみ
メールに登場する孫。
小さく元気な男の子で、父親のすすめで野球を始めている。
祖父のことは、「じいじ」と呼んでなついている。

  • 同僚
CV:細谷カズヨシ
老手の警備先の同僚。
気さくな人懐っこい性格をした若者。
扱いにくいであろう年上の後輩という老手を邪険にすることもなく、世間話をしたり飲みに誘ったりしている。
見た目はチャラいが、割といい人間。
しかし所々で老手がメールにハマるよう煽ったりするような言動や、老手が一線を越える重要な情報を知らせていたため、喪黒の仕込み疑惑がある。




【顛末】

最初は気休めだと思っていたメールだったが、老手はいつの間にかやり取りをするようになっていた。
送られてくる子供と作った夕飯の写真。
野球をやらせるかどうかの相談。
チームに入団し、借り物のぶかぶかのユニフォームとヘルメットをかぶった写真。
外食した時の楽しそうな様子。
職場の同僚に孫の写真を見られたときは、「目元なんかがそっくり」と笑われた。

「ま、まぁ孫だしな……」

やがて、老手も変わり始めていた。
動画を見るためにガラケーからスマホに変え、インスタント食品ばかりだった生活は孫たちと夕食を見せ合うために自炊に変わった。
メールを始めて、独りぼっちだった生活には張り合いが戻ってきていた。
孫からは「じいじ」と呼ばれ、老手にはそれが嬉しく思えるようになっていた。


そんなとき同僚に新品のユニフォームを着た孫の写真を見せたとき、そこが昔自分が入っていたスポーツ少年団のチームであることを聞かされる。
場所を聞きふと立ち寄ってみるが、時間も遅く当然そこには誰もいない。
そんなとき老手は喪黒と再会し、BAR「魔の巣」で一杯飲みに行くことに。

酒の席で、喪黒にスマホのウソ孫の写真をまるで本物の孫のように見せる老手。
スマホに変えた理由も、孫が「じいじ」にと動画を送ってくるからと嬉しそうに話す。
そんな老手に、喪黒は喜んでいただけたようで何よりと語る。

「ですが老手さん、これはあくまでもサービスです。ニセモノはニセモノ。くれぐれも直接会おうなどとはしないでくださいね」



そんなある日、メールで娘から孫が野球でケガをしたとの連絡が老手に届く。
幸いケガはなんてことのない取るに足らないもので、心配性の娘に呆れてメールを返す老手。
しかしその夜、ケガをした孫のことが老手の頭から離れることはなかった。

次の日、老手はスポーツ用品店に行き、プレゼント用にラッピングした子供用のグローブを手に持っていた。
ケガをした孫のことが心配になり、つい会いたくなってしまったのだ。
「渡すだけ。渡すだけだ……」と言い訳するように同僚から教えてもらった野球チームのグラウンドに向かう。
はたしてそこには、あの孫と娘の姿があった。
ふとこっちに飛んできたボールを孫に返し、老手は意を決してグローブを渡そうとするが……。

「老手さん。約束を破りましたね」

いつの間にか、老手の後ろには喪黒がいた。
約束を破った事実を冷徹に告げる喪黒に、老手は慌ててこれきりでもう2度と会わないと弁解するのだが……。

「残念ですが、幸せな時間は終わってしまったのです」


+ドーン!
結局プレゼントを渡せず、1人帰路に就く老手。
その時近くの家から、聞きなれたあの孫の声が。

「じいじ、ありがとう!」

そこで老手は見てしまう。見知らぬ老人からプレゼントをもらうあの孫の姿を。

「あ、あああああ……」

結局、あの孫は自分の本当の孫ではなく、ただの赤の他人だったのだ。
その現実を見せられた老手は、ショックでその場にプレゼントのグローブを落としてしまう。
その時、そこで初めて孫は老手の存在に気が付くのだった。




しかし、孫の反応は予想外のものだった。

「あ、じいじだ!」
「あ、あ、いや…」

まるで本当の祖父にあったかのような笑顔で、孫は老手に駆け寄り手を取る。

「じいじもおいでよ!」

手を引き、老手を家の中に案内する孫。
困惑する老手に、孫は嬉しそうに話す。

「こっちだよ! ここに並んで待っててね!


そこで老手が見たものは、自分と同じようにプレゼントを持ち、孫にあげるために順番を待つ大量の老人たちの姿だった


「な、なんだこれは!」
「ほっほっ、孫が野球をはじめたんですよ。私に似て頑張り屋でねぇ」

一番近くの老人が、スマホで老手に嬉しそうにウソ孫の写真を見せる。まるでいつかの自分のように。
同じように嬉しそうに笑う大勢の老人たち。

偽物は偽物。自分とあの孫はただの赤の他人で、本当の孫と祖父ではない。
ウソ孫にとっては、自分は有象無象の「じいじ」の中の一人でしかなく、また自分もここにいる数多くの孤独な老人の一人でしかない。
その現実をまざまざと見せられた老手は、壊れた夢と同じようにその場に呆然と崩れ落ちるのだった。



「これで老手さんも寂しくないでしょう。家族が沢山できてよかったですなぁ。ホーホッホッホッホッ……」





【余談】
  • 原作笑ゥせえるすまんには「シルバーバンク」というこれとは逆の、祖父がいない家庭に老人を貸し出すサービスを行う回がある。
    入れ込みすぎた結果、現実が襲い掛かり夢が壊されるという流れも共通している。

  • 老手の声を担当したのはばいきんまんフリーザ様でおなじみのベテラン声優・中尾隆聖。
    出演者コメントでは「お話はなんとも身につまされるお話で、早く孫の顔が見た~い…なんてね~」と語っている。



追記・修正は老後の独り身の寂しさを理解してからお願いします。


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