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レ・ミゼラブル

登録日:2012/01/07 Sat 00:23:33
更新日:2026/05/19 Tue 10:49:52
所要時間:約 3 分で読めます




ヴィクトル・ユーゴー作の小説。

主人公のジャン・ヴァルジャンが罪人から聖人として天に召されるまでを描いた長編。
度々メディア化されており、特に世界各国でロングランとなっているミュージカル版が有名。
また日本では、『あゝ無情』の題名でも知られる。
レ・ミゼラブルの登場人物であるコゼットを主人公にアニメが放映されたりもした。
もちろん、我らが『世界名作劇場』(BS復活版)として。
世界名作劇場と言えば「フランダースの犬」やら「アルプスの少女ハイジ」やらの絵柄を連想する人も多いだろうが、こちらは2007年放映なのでだいぶ現代寄りの可愛い絵柄になっている。
続く「ポルフィの長い旅」「こんにちはアン」では従来寄りの絵柄に戻っているため「コゼット」が特異なのだ。


あらすじ


主人公ジャン・ヴァルジャンはパンを盗んだ罪で19年ものの間、牢獄に居た。
パンを盗んだ理由は、兄弟達の飢えを満たしてやるため。
彼は貧困であったが為にパンを買えなかったのだ。

長い牢獄生活で憎悪に満たされた彼を暖かく迎えてくれたのは、ミリエル司祭であった。
しかし、恩を仇で返すように彼は盗みを働いた。
あえなく警備隊に捕まり獄に戻されるという寸前で、司祭は彼が盗んだものを「私が与えたものだ」と彼を許し、2本の燭台まで与えた。司祭の情愛によって彼は改心した。

長い年月をかけて、別の街にてマドレーヌ氏という偽名と資産家という地位を手にし、市長にまで成り上がる。
ミリエル司教の説いた「正しい人」になる為に…… 。

だが、彼の過去を知る男ジャヴェールや貧困にあえぐ女フォンティーヌの出会いにより、物語は変化を迎えるのであった………。


登場人物


  • Jean Valjean ジャン・ヴァルジャン(ジャン・バルジャン) 偽名:Madeleine マドレーヌ、Ultime Fauchelevent ユルティーム・フォーシュルヴァン
この物語の主人公であり、元徒刑囚の男。
19年ものの獄中生活により、卑劣漢となったりもしたが、根は間違いなく善人。
ちなみに監獄生活は5年の予定だったが、脱獄を幾度も試みた結果、刑期がのびた模様。
ミリエル司教の情愛により改心し、正しい人であるよう努めた末、聖人と呼ぶに相応しい人間になる。
無類の力持ちで、作中でも度々その力でトラブルを解決するが、理不尽な暴力を振るうことはしない。
ミリエル司教に救われた後は過去を隠してマドレーヌと名乗り、モントルイユで黒ガラスの産業を興して莫大な資産を築き、4年後には市長にまでなる。しかしその4年後、ジャヴェールに正体がバレてしまったために*1、再び牢獄生活に戻る。
ふとしたきっかけで脱獄したのを機に身を隠し、フォンティーヌとの約束を果たすべくテナルディエからコゼットを引き取ると、二人でひっそりとパリに渡る。
パリではユルティームの名でつつましく暮らし、引き取ったコゼットを我が子のように愛し育て上げた。
物語終盤でコゼットとマリユスの結婚を見届けた後、些細なすれ違いにより疎遠となったが、今際の際で二人と再会し、彼らに看取られて天に召された。
遺体は彼の遺言通りにペール・ラシェーズ墓地の片隅に埋葬された。
その墓石には名前すら刻まれておらず、ただ何者かが彼の生き様を示す四行詩を記した跡だけが残っていたという。

  • Javert ジャヴェール(ジャベール)
ジャン・ヴァルジャンの過去を知る警官。監獄の看守を務めていたときもあった。
法の守護者としては優秀だが、人としては何処か抜けている。
他人にも厳しいが自分にも厳しい。
実は自分も牢獄生まれ。
ヴァルジャンを追ううちに彼の正しさに触れて自分の思う正義が崩壊し、川に身を投げて自殺する。

  • Fantine フォンティーヌ(ファンテーヌ)
しがない女工。ヴァルジャンの経営する黒ガラス工場で働いていたが、娘のコゼットがいることが知られ、工場長によってクビになる。
畜生以下の存在であるテナルディエに娘のコゼットを預けたが、テナルディエのいいなりになってしまったが為に髪や歯を売り、しまいには娼婦にまで堕ちた。
ヴァルジャンによって救済されるも、すでに病が彼女を蝕んでおり、コゼットを彼に託し病死。
原作ではトロミエスという夫がいたという設定だが、ミュージカルや映画で彼についてはほぼ語られず、コゼットは父無し子という設定。

  • Cosette コゼット
フォンティーヌの娘。本の表紙にはだいたいこの子がいる。
テナルディエには虐待されており、えらく人見知り。8歳には見えないほど小柄でやつれている。
市長になったヴァルジャンによって助けられて以来、彼を父のように慕う。
革命の中心メンバーの1人であるマリユスと惹かれ合い、後に結婚する。
別作者によって描かれたレ・ミゼラブルの後日譚とアニメでは主人公になった。
アニメの彼女は可愛い、本当に可愛い。

  • Thenardier テナルディエ
宿屋を経営している夫妻。しかし、人間の悪い部分を凝縮したように卑劣。その性分からまともに金儲けしようとも考えておらず、客から盗みを働いたりととにかく悪い奴ら。
フォンティーヌからコゼットを預かるも、コゼットを虐待同然にしか扱わないどころか、病気にかかった等色々と理由を付けて養育費を巻き上げていた。
2012年に公開された映画版では、悪人ではあるがどこか憎めない脇役としてシリアスな展開を和らげる。
ファーストネームは不明だが、夫妻であり、二人の娘と一人の息子がいる。
娘の片割れと息子の方が別人な程に良い子である。
物語の中盤辺りでは、宿屋が破産したため見事に堕ちた姿を見せてくれる。
一時はジャヴェールに捕まるも脱獄し、警察の追っ手から逃れるべく地下水道に身を潜ませ、暴動を免れるという悪運の強さ。
六月暴動で重傷を負ったマリユスを抱えたジャン・ヴァルジャンと交渉するときも、ヴァルジャンが持っていた金を「山分けしよう」と言いながら独り占めし、ヴァルジャンとの遭遇を自分が有利になるような口実にしようとした。
「テナール」と名乗った彼は、マリユスに嫌悪感をもって出迎えられた。そうして、ジャン・ヴァルジャンの悪党ぶりを証明してマリユスに金銭を要求するために、彼にまつわる悪口雑言や作り話を並べ立てる。
しかし、テナルディエが弄した詭弁は、ヴァルジャンの行動の正しさを証明するだけのことになってしまうという結果につながる。
そうして、マリウスは、テナルディエの卑劣な本性を見抜き、父親の遺言に従うためと面倒事を避けるために、手切れ金として2万フランを与えて「アメリカへ渡って二度とフランスに戻るな」と命じた。
さらに映画版ではコゼットらの結婚式にも潜入する。なんだお前ら。
このようにどうしようもない人物ではあるが、皮肉にも彼の存在が、ふとしたきっかけで断ち切られた運命を再び結びつけることになる。
原作ではその後、奴隷貿易に身を落とすという成れの果てが描かれる。

ミュージカル版では森公美子さんやトレンディエンジェルの斎藤さんが宿屋の夫妻を務めていることがあり、そっちの印象が強いという人もいるかも。

  • Eponine エポニーヌ
テナルディエ夫妻の長女。
マリユスに想いを寄せていたがコゼットに惹かれる彼に想いを告げることなく革命に参加。兵士からマリユスを庇って銃撃され、彼の腕の中で息絶えた。

  • Marius Pontmercy マリユス(マリウス)
革命の中心となる青年達の1人。
コゼット(16歳)の落としたハンカチ(本当はヴァルジャンさん60代の)をクンカクンカスンスンして興奮する変態さん。
というのは冗談として、コゼットに一目惚れして以来ただひたすら愛する姿は気持ち悪いぐらい情熱的。
終盤、恋心との間で葛藤しながらも市民革命に身を投じる姿はかつての作者自身がモデル。
革命で負傷したがヴァルジャンに助けられて一命を取り留め、終盤ではコゼットと結婚する。

  • Enjolras アンジョーラ(アンジョルラス)
青年達をまとめるリーダー的存在。
作者ユゴーが「天使」「女神」と形容する絶世の美青年で、民衆達を演説によって団結させ、先導するカリスマ性も持つ。
バリケード陥落後も最後まで戦っていたが、兵士に追い詰められ射殺される。
彼の最期は各媒体で細部が異なるが、どれを取ってもカッコいい名シーンである。

  • Gavroche ガブローシュ
スラム街サンミッシェルで逞しく生きる浮浪児。
ガブローシュとは愛称・通称であり、本人も自分をガブローシュと名乗っているため本名は不明。
マリユスらと共に革命に参加する。
実はテナルディエ夫妻の息子でエポニーヌの弟。
幼いながらもジャヴェールがバリケードに潜入していることを見抜くなど活躍する。兵士の死体から弾薬を回収しようと外に出た際に射殺された。
弱冠12歳の若さで命を散らした彼は多くの人々に悼まれ、冷徹なジャヴェールでさえも動揺する素振りを見せた。

  • Grantaire グランテール
革命に参加する青年。
彼らの集会場所である居酒屋で常に酒を呑んでいる不真面目な男として描かれている。
その為アンジョーラからは良い印象を持たれていないが、当の本人はほぼ彼目当てで革命に参加するほどアンジョーラに心酔している。
本人に「君を信仰している」とのたまうくらいである。
革命が勃発してからも居酒屋で酔い潰れていたが、目を覚ましてアンジョーラの元に駆け付け和解を果たす。彼もまた射殺された。
なお醜男という設定だが映画版ではイケメン
婦人にディープキスを仕掛けて椅子を奪うシーンは必見である。

  • Bishop Myriel ミリエル司教
悪墜ちしかけていたヴァルジャンを救った最大の恩人。
地元の名士でありながら給料も住処も最小限で慈善活動に尽くす無私の人である。
登場は作品冒頭と最後のチョイ役のみだが、ヴァルジャンの人生に絶大な影響を与えたキーパーソンである。ヴァルジャンも彼から与えられた銀の燭台だけは死ぬまで手放さなかった。





ここに篭る、編集の荒波を生き抜きし人
追記・修正するものを失いしとき死せり
それも、自然のなりゆきぞ
昼のあとには夜が来るように


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最終更新:2026年05月19日 10:49

*1 映画などでは別人がジャン・バルジャンとして捕まったのを聞き、良心に耐えかね裁判所に突撃し自白した形となっている。