呪いの銃弾(女警部・神宮寺葉子シリーズ)

登録日:2018/02/01 (木) 07:06:00
更新日:2018/05/05 Sat 10:48:12
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『呪いの銃弾』とは、かつて「女警部・神宮寺葉子シリーズ」において神宮寺葉子が解決した事件のうちの一件。


◇あらすじ

東京のアパートの二階に住んでいる黒木加奈子が自分の部屋で殺されているのが発見された。
銃弾を十数発も撃ち込まれ血が部屋中に飛び散り死体に青いペンキで「呪」という文字が書かれるという異常かつ凄惨な現場であった。
その異常性から神宮寺葉子にとって永遠に忘れることができないこの事件…神宮寺はこの異常な事件を解決することができるだろうか?



◇事件関係者

  • 黒木加奈子(くろき かなこ)
CV:川浪葉子

24歳の主婦で黒木智明の妻。
冒頭、銃を向ける犯人に命乞いをするが十数発も撃たれ血まみれの上、「呪」という大きな文字を描かれるなど無残な最期を遂げる。
なぜかその死体の髪には魚のウロコが付いていた。
生前、派手好きの上、浮気グセがひどく、褒められる様な人物ではなかったようだ。


  • 黒木智明(くろき ともあき)
CV:金沢寿一

被害者・黒木加奈子の夫。運送会社に勤めていて冷凍された魚をトラックで運送している。
派手好きの上、浮気グセのひどい妻に腹をたて、夫婦喧嘩が絶えなかったのと暴力団と交友関係があるという噂から動機があり凶器の入手も可能である彼が一番の容疑者であったが犯行時刻の12時には神戸にいたと証言。
その後、兵庫県警が確認したところ神戸のドライブインのレストランで確かに智明がいたことが判明した。
そこにいた正確な時間は加奈子が殺された12時半頃。
この時、智明は配達関係からか時間をえらく気にしていたようだ。


  • ウェイトレス
CV:宇和川恵美

神戸のドライブインのレストランのウェイトレス。
智明が注文したラーメンにたばこの吸い殻が入っていた為、彼にすごく怒られそれで智明の顔を覚えていた。
しかし、彼女が務めるレストランは衛生管理はちゃんとしていてそのようなことは今までなかったのだが…?


  • 景山健一・良子(かげやまけんいち・りょうこ)
CV:田原アルノ・西村ちなみ

黒木夫婦と同じアパートに住んでいる夫婦。アパートには彼らと黒木夫婦しか住んでいなかった。
事件のあった日の夜は夫婦一緒に大人気のマジックショー『マジックイリュージョン』を観に行っていた。
前から見に行きたかったが大人気であるため、中々、チケットを手に入れることが難しかったらしいが智明がチケットをくれた為、行くことができたとのこと。
昼、家にいた奥さんの良子に昼に銃声など大きな音は聞かなかったか?と聞いたところ、昼は静かだったらしく
逆に夜にマジックショーの帰りで寄ったアパート近くの店で夕食をとっていた時には花火のような音を聞いたと証言した。



◇主要人物

  • 神宮寺葉子

警視庁城北警察署の警部。
異常性に惑わされず今回の事件が一見、荒々しい犯行に見えるが実はち密に計算された近しい人間の犯行であると考える。
昼間の時間に犯行が行われながらも大きな音を聞いた者がいないこと智明のアリバイにひっかかりを覚え、現場のジュータンに銃で撃たれた様な跡など現場に違和感を感じながら調査を続ける。


  • 江森宏治

神宮寺の部下の刑事で彼女の右腕兼引き立て役。
あまりにも凄惨な現場から変質の通り魔による犯行と銃を持った変質者がうろついているという何気にめっちゃ恐ろしい推理をした。



【これで全てが繋がった】
以下、ネタバレにご注意ください。
























愛してたんだ…俺は加奈子だけを愛し続けてきたのに…

それなのに…。

  • 黒木智明

この事件の真犯人。
神戸にいたはずの智明がどうやって妻の加奈子を殺害したのかというと部屋の全て家具と拘束した妻を自分のトラックの荷台に乗せ神戸に行き、荷台で加奈子を銃で撃ち殺したのだ。
では、なぜ、そんな面倒なことをしたのか?十数発もの銃弾を撃ち込んだ為、荷台に積んでいた家具の全てに大量の血が飛び散った。
荷台の家具は全て部屋に置いていたのと同じ様に置いていたので東京のアパートに戻り家具を全て部屋に戻し死体を移動させれば部屋は血まみれの現場となる。
それこそが智明の狙いであった。
血まみれの部屋を見れば犯行は東京のアパートから遠く離れた神戸で行われたとは思わない。
そう錯覚させることでそれにより智明は自身に完璧なアリバイを作ろとした。

神戸のドライブインのレストランのラーメンの中にたばこの吸い殻が入っていたのも店員に顔を覚えてもらい自身のアリバイを確かなものにする為、懐に用意していたものを彼が入れたから、
景山夫妻にマジックショーのチケットを渡したのもアパートに誰もいなくさせ家具を部屋に戻し死体を移動させるところを見られない様にする為だった。

しかし、家具を全て運び終えた後、ジュータンに残された銃によるキズがあることに気が付く。
このままジュータンはキズついているのに床には傷がない不自然なことになる為、智明はキズ、目掛けて発砲。
これで床にもキズがついたがこの発砲の音は景山夫妻に聞かれていた。
花火のような音はこの時の銃声だったのだ。

またトラックで東京に戻る何百キロという道中で何度もカーブするので死体が自分の血痕の上で転がり擦れ
不自然な血の跡ができてしまい、それらを隠す為に被害者に青いペンキで大きく「呪」という文字を死体に書いたのだ。
これには怨恨による別の人物による犯行に見せかけるという狙いもあった。

こうして偽装工作をやり遂げた智明だったが部屋の壁は動かせなかった為、壁には血がついていないというおかしい状況になったこと
景山の妻が昼に大きな音を聞かなかったこと景山夫妻が夜に銃声を聞いていたこと
被害者の髪に自分がいつも運んでいる魚のウロコがついていたことから神宮寺に自身の犯行を暴かれてしまう。
そして、自分のトラックの荷台からジュータンの同じキズが発見されたこと、何れは被害者の血液反応も見つかると神宮寺に告げられる。

二階から逃亡しようとするが窓の外には既に警官たちに囲まれ逃亡は無理と観念した。

動機はやはり妻の浮気が原因であった。
凄惨な殺害をしたものの加奈子のことは未だ愛していたようで殺したことにはかなり落ち込んでおり観念した際にも妻を深く愛していたことを明かす。

部屋には夫婦仲良く撮った写真があったのだがそれには血が一切、ついていなかった。
もう戻れないあの時の時間…智明もこれだけは血で汚したくなかったのかもしれない。

愛憎の果ての悲しい事件であった。


  • 黒木加奈子

深く愛してくれる夫がいるにも関わらず自身は浮気しまくっていた為に殺害されてしまう。
自業自得と言えば自業自得ではあるが、あまりにも無残な最期であった。


  • 江森宏治

今回も神宮司の推理で見事な引き立て役を披露。
智明が逃亡しようとした際、既にアパート周辺にパトカーが待機していたことから、冷静に対応。観念した智明を連行した。


  • 神宮寺葉子

今回も見事な推理で事件を解決した。
智明の加奈子を愛していた気持ちを理解していたからか投降を促す彼女の声は優しかった。


◇ツッコミ所

さて、神宮寺葉子シリーズといえばツッコミ所も魅力の一つであるが今回のトリックもツッコミ所がある。
えっ、んなもんいくらアパートの住人が誰もいない夜だからって家具を運んでいたらアパート以外の近所の人間から目撃されるだろうって?
いやいや、アパートは木々に囲まれ近所の建物からも離れていたのでそこはそんなにツッコミ所ではない。
この事件では一番のツッコミ所は…

黒木智明がたった一人で全ての家具を二階の自分の部屋に移動させたことである。

そう、部屋の家具には当然、タンスやらベッドやらどう考えても一人じゃ運べないものもある。
それを智明はたった一人でトラックの荷台に運んでまたそれを自分の部屋に運んで戻したのだ。
一階ならともかく部屋は二階…推理シーンで智明が家具を運んでいるシーンが流れるがすんごっいシュールである。
というかそんなことができる力があるなら警察の包囲網も突破できたんじゃね?と思わなくもない。

また移動中に荷台で何度も死体が転がれば、死斑が現れにくくなり筋肉も硬直しづらくなるため、正確な死亡推定時刻が割り出せなくなる可能性が高い。
そのため折角苦労して実行したアリバイトリックが無駄になってしまう恐れもある。

とはいえ、それ以外は推理ものとしてはそこまでトンデモないものではない事件ではあった。



神宮寺葉子、

罪を憎み人を愛する刑事

だが彼女の願いとは裏腹に犯罪に手を染める者は後を絶たない

そんな過酷な現実がある限り葉子の闘いは

明日も続く

追記・修正は犯罪を憎み人を愛する人だけにお願いします。

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