登録日:2025/10/11 Sat 00:15:17
更新日:2025/10/11 Sat 07:11:00NEW!
所要時間:約 12 分で読めます
『
Summer Pockets』とは、keyにより製作された全年齢版恋愛アドベンチャーゲームである。
原案:麻枝准
シナリオ:新島夕・魁・ハサマ
音楽:折戸伸治、
麻枝准、どんまる、竹下智博、水戸陵
キャラクターデザイン:Na-Ga 和泉つばす、永山ゆうのん
略称は「サマポケ」。
【概要】
「
AIR」「
CLANNAD」を始め、数多くの「
泣きゲー」の名作を生み出してきたkeyによる恋愛アドベンチャーゲーム。
都会の喧騒から離れたのどかな島である「
鳥白島」を舞台に、主人公がヒロインや友達を過ごす夏休みの楽しい思い出をノスタルジックに描いている作品である。
まるで「
AIR」を思わせる夏の思い出を描く描写はファンからの評判も高い作品である。また、鍵作品のヒロインに見られるような切ない過去や辛い運命といった設定は本作も健在。
主人公とヒロインが楽しい夏休みを過ごしつつ、そうした過酷な境遇をいかに乗り超えていけるかも見どころである。
世界線を行き来する展開などもシナリオに盛り込まれている。
本作は
麻枝准のシナリオの構想が基になっている。上述のように「AIR」と同じく「夏」を題材としている作品だけあり、AIRとどう差別化することすることが出来るかについてシナリオが練られていった。シナリオ担当の魁は、「
ぼくのなつやすみ」の作風を参考にしている。結果的には、主人公とヒロインだけでなく、ヒロイン同士の繋がりや個性的な男性キャラなどを随所に配置して物語に彩を与えていった。
恋愛アドベンチャーゲームということで、基本的にはヒロインとのやり取りで生じる選択肢を選んで話を進めていくノベルゲームであるが、話の展開の途中で本作のキャラの1人である天膳のキャラにあやかり卓球のミニゲームをプレイすることなどもある。
2018年にPC版が発売され、後にNintendo Switchにも移植されるなど、多方面に展開されることになった。
(メディアミックス)
①漫画版:永山ゆうのん作画 KADOKAWA出版。
②テレビアニメ版 2025年4月~9月まで
③劇場版((各ヒロインのシナリオごとに再構成された劇場版作品))
【あらすじ】
亡くなった祖母の遺品整理のために夏休みを利用して、
鳥白島にやってきた主人公の鷹原羽衣里。
祖母の思い出の品の片付けを手伝いながら、
初めて触れる島の生活に戸惑いつつも、順応していく。
海を見つめる少女と出会った。
不思議な蝶を探す少女と出会った。
想い出と海賊船を探す少女と出会った。
静かな灯台で暮らす少女と出会った。
島で新しい仲間が出来たー――
この夏休みが終わらなければいいのに、と思った。
【キャラクター】
(主人公)
・鷹原羽衣里
CV:千葉翔也
「鳥白島か・・・。さしずめ俺は傷ついた渡り鳥・・・か」
本作の主人公。
祖母の遺品整理のために鳥白島に訪れた。
社交的な性格で、初対面の島民たちに対してもすぐに打ち解けることが出来た。
ヒロインたちとの交流では、彼女らの独特な嗜好や性格に振り回されることはあれど、好きになった相手には親身に接するなど優しい性格。
水泳をやっていたのだが、とある事情で現在はやめている。
海といった水の中に入ることなどがあれば、水泳部時代の苦い記憶が蘇ってしまう。
(ヒロイン)
・鳴瀬しろは
CV:小原好美
B81/W56/H83
「私にあまり構わない方がいいよ・・・」
「夏休みを忘れた少女」
本作のメインヒロイン。
銀髪が美しいクールな少女。
人見知りする性格で、あまり他人に関わろうとしない。
そこには、両親を失い、心を閉ざしてしまった過去と本人に対する風評被害ともとれる悪意のある噂、そして一族から伝わる予知能力の力をもっていることが原因している。
こうした事情から本人は「ぼっち」であることを選んだとされる(羽衣里曰く「セルフぼっち」とのこと)。
ぼっちライフの延長戦なのか、昼間海岸線で釣りをしていることが多い。
併せて周囲からしつこく物言いされると「どすこい!」という独特な言い回しで拒否することがある。
好物はスイカバー。
・空門蒼
CV:
高森奈津美
B85/W59/H86
「とにかく、私が寝てても放っておいて」
「島の伝承を追う少女」
本作のヒロインの1人。
明るく快活な性格で分け隔てなく島民や羽衣里に友達感覚で接してくれる少女。
島の駄菓子屋でバイトをしている。
耳年間な性格で結構なむっつりスケベ。男女の恋愛や下ネタちっくな話に興味を抱いている。(本人は否定しているが、だいいたい会話でボロを出しているため周囲からはバレている。)
時折通りすがると野外にもかかわらずうたた寝していることが多い。
心配になってしまうところではあるが、これは本人が夜に山へ出向いて島の伝承に従い、あるお役目をしていることに関係している。
アニメでは蒼シナリオのエピソード以外でもちょくちょく鳥白島の友人たちといっしょに登場してくれる。
・久島鴎
CV:嶺内ともみ(原作ゲーム)/稗田寧々(テレビアニメ版)
B86/W56/H85
「行くよ、もう一度、海賊船のある場所まで」
「海賊船を探すお嬢様」
本作のヒロインの一人。
大きなスーツケースを引いて島を探索している少女。
上述の通り、お嬢様然とした雰囲気を抱いているが、気さくで親しみやすさをもっている。羽衣里ともすぐに打ち解ける事が出来た。
スーツケースに乗って坂道を下っていくアクティブな一面も。よい子は真似しないでね。
スタイルはよく、水浴び中の事故で羽衣里に抜群のプロポーションの上半身を見せてしまったことがある。
鴎「何かいたの!?でっかいのが!」
羽衣里「たしかにいた!でっかいのが!!」
本人は地図を持って所謂「宝物」を探している様子。これに羽衣里は協力していくことになるのだが、そこから彼女のとある秘密を知ることになる。
・紬ヴェンダース
CV:岩井映美里
B78/W56/H80
「探し物です。やりたいことを探しています。」
「自分探しの少女」。
島の灯台の近くにいる少女。灯台の上で腰かけて歌を歌っている。危ないというのはなしで。何なら灯台の部屋に入れる合鍵も所有している。
金髪ツインテールが特徴的なドイツ人のハーフである。
わたあめが大好き。ポテチである「プリングルス」も好んで食べる。
楽しいときにはよく鼻歌を歌う。そして何か驚いたり相槌を打ったりする際には、「むぎゅ」とつぶやくのが印象的である。
生徒会長の水織静久とは親友同士である。
彼女のシナリオでは「自分の探したいもの」、自身の存在とは何なのかということに焦点があたる。
(鳥白島の友人たち)
・三谷良一
CV:熊谷健太郎
島に住んでいる少年。
見事に割れた腹筋が印象的である。
その腹筋を見せたいのか不明だが、やたらと脱ぎたがる。
そして美希の水鉄砲で制裁されるのがオチ。
とは言え、頼れる熱血漢の一人である。
・加納天善
CV:浜田洋平
島に住んでいる少年。
まじめな雰囲気がどこか雰囲気がだーまえ原作アニメのアイドルオタクみたいな容姿をしている。
しかし蓋を開けて見れば熱狂的な卓球オタク。
卓球のラケットを持っていて日夜トレーニングを欠かさない。
・野村美希
CV:一宮朔
B80/W55/H80
鳥白島治安維持部に所属しており、持参している改造水鉄砲である「ハイドログラディエーター改」で風紀を乱した者(主に三谷や加納)に制裁を加える。
快活な少女で蒼を始め、島の友人たちと楽しい日々を過ごしている。
「REFLECTION BLUE」では追加ヒロインに昇格された。
・水織静久
CV:小山さほみ
B98/W64/H88
本土にある学校の生徒会長を務めている。
ぱっと見真面目で清楚に見えるのだが、なぜか「おっぱい」に対して並々ならぬこだわりがあるようで、主人公のことを「おっぱい」と呼んでもいいと言ってのけた大胆な性格。
「私は水織静久、良かったら”静久“か”おっぱいさん“って呼んでね」
ちなみに上述のセリフで羽衣里は“静久”と呼んだ際には、ちょっと残念そうだった。
(登場人物の親族)
・加藤うみ
CV:田中あいみ
羽衣里の又従兄弟にあたる少女。
羽衣里とともに加藤家に居候している。
しっかりした性格。好きなものはチャーハンでかなりのこだわりを持っている。
本作におけるキーキャラであり、彼女の秘密が分かることで、この物語の根幹が明らかになっていく形になっている。
「お父さん、お母さん、ありがとう。わたしもすごく楽しかった。でもちょっとだけ、バイバイ・・・」
実は未来における羽衣里としろはの娘である。
母親であるしろははうみが生れた際に亡くなってしまい、これにより父親である羽衣里は心を閉ざし、娘とは距離が出来てしまっていた。
そんな中で鳥白島を訪れた際、紆余曲折を経て、作中の羽衣里・しろはの時代へタイムスリップしてやってきた。その後は何度も羽衣里の夏休みをループしていくことになるのだが・・・、その結末はぜひプレイヤー(視聴者)の目で確かめて欲しい。
・岬鏡子
CV:高本めぐみ
B82/W60/H86
羽衣里の実母の妹。つまり叔母にあたる。
古物を収集することが趣味で、遺品整理にも精を出している。羽衣里を鳥白島へ呼んだのも遺品整理を手伝ってほしいためである。
とても若々しい容姿をしている。原作ゲームだと年齢を推測する場面があるのだが選択肢ごとに反応が変わる。
・鳴瀬小鳩
CV:白石稔
しろはの祖父である。
まるで歴戦の勇者を思わせるオーラで畏怖してしまうプレイヤーも多かったのではないだろうか。
両親をなくし、孤独の中にいるしろはを支えてきたのだが、その関係性に関して苦慮するところもあった。
「水中格闘技」の熟練者である。
(その他)
・イナリ
CV:鈴木このみ
鳥白島に住んでいる野生生物。
Key作品におけるマスコットキャラの系譜を継いでいる。
蒼と一緒にいることが多い。
・七海
CV:
花澤香菜
ニット帽を被った少女。
記憶を失っており、自分がどういう存在なのか分かっていないようだ。
謎多き少女。
【音楽】
OP「アルカテイル」
鈴木このみによるオープニングテーマ。
ED「Lasting Moment」
鈴木このみによるエンディングテーマ。
ED「羽のゆりかご」
水谷瑠奈によるALKA編エンディングテーマ。
ED「ポケットをふくらませて」
rionosによるグランドエンディングテーマ。
【テレビアニメ版】
2025年4月~9月までの間で2クールかけて放送された。
全26話。
各ヒロインのシナリオを描きつつ、後半からは物語の核心に迫る内容で構成されている。各ヒロインのルートの前には必ずビジュアル絵が公開されて宣伝が行われた。
ライトノベル系やなろう系作品が多い昨今のアニメ業界において、ギャルゲーやエロゲ作品のアニメ化が少なくなっただけに、本作のアニメ化を好意的に受け止め、懐かしい気持ちになったという声も多い。
上述の通り各ヒロインの話を再編集した劇場編集版が公開された。
(主題歌)
いくつかは原作の楽曲を使用していることで原作の雰囲気を作り上げている。
OP:「アルカテイル」
鈴木このみによるオープニングテーマ。原作同様の楽曲をアニメ様に編集された。
使用された話数は1話~18話まで。最終話ではエンディングテーマとしても活用された。
OP:「フィニステラ―」
鈴木このみによるオープニングテーマ。18話~25話まで使用された。
ED:「Lasting Moment」
鈴木このみによるエンディングテーマ。第1話から第17話まで使用。
ED:「魔法の絵日記」
鳴瀬しろは(小原好美)と加藤うみ(田中あいみ)によるエンディングテーマ。
第18話から第25話まで使用。
ED:「羽のゆりかご」
水谷瑠奈によるエンディングテーマ。22話で使用された。
【その他】
- 本作は「CLANNAD」同様に全年齢版の恋愛アドベンチャーゲームである。
- 沖縄の観光メインストリートである「国際通り」では、本作とのコラボ企画が展開された。
追記・修正は夏休みの思い出に思いを馳せた時にお願いします。
最終更新:2025年10月11日 07:11