登録日:2025/10/08 Wed 18:34:30
更新日:2025/10/08 Wed 20:02:26NEW!
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『F-ZERO』(エフゼロ)は、1990年11月21日に任天堂が発売した
スーパーファミコン(以下SFC)用ソフト。ジャンルはレースゲーム。
概要
『F-ZERO』シリーズの記念すべき第一作目。
SFCのローンチソフトとして『
スーパーマリオワールド』と同時にリリースされており、同ハードの持つ「グラフィックの回転、拡大、縮小機能」を活かしたスピード感や臨場感の溢れる映像表現は人気を博した。
特に最初のコース「ミュートシティⅠ」におけるタイムアタックは多くのプレイヤーが熱中。少しでもタイムを縮めるべく様々なテクニックが生み出されていった。
あらすじ
西暦2560年代。
人類はさまざまな異星人とのコンタクトを繰り返し、その結果として社会構造の基盤は地球的規模から宇宙的規模へと広がっていった。
そして交易、技術援助、その他さまざまな文化交流が惑星間でとり行われるようになった。
20世紀後半、人類が地球外生物からの侵略に恐怖を覚え、彼らの宇宙空間移動機のことをUFO(未確認飛行物体)と呼んでいたことなど、この時代の人間にとっては、大いなる昔話にしかすぎない。
この宇宙交易等で莫大な財産を得た、元宇宙商の富豪家達は、その豊かな生活に満足しつつも、自分達の怠惰な暮らしに、新たな刺激を求めていた。そんな彼らに、あるプロジェクトから声がかかった。
「かつて地球上で行われていたF-1レースの様なものを、宇宙的規模で開催してみないか?」
彼らは当然のようにこの企画に飛びついた。ある者は都市の上空に、ある者はとても生物が住めない環境の小惑星に、次々と資産を投げ出し、サーキットを建設していった。
サーキットは、コースの両脇にある反重力ガードビームによって、最高のもので地上300フィートの位置に設置され、その上を走るマシンにタイヤは存在しなかった。
最先端の超磁力技術を駆使して開発されたマシンはコースよりさらに1フィート上でレースを展開するように設計されていた。
そしてグランプリは開催された。開催当初、人々はそのレースの残忍さに(主催者達は、サーキット上に様々なトラップを仕掛けたりした……。)憤りさえ覚えた。
しかし次第に人々は、自分の中の興奮を抑えることができなくなっていった。彼らもまた、レースに自らの刺激を求めていったのだ。
やがて男達にとって、このレースで勝ち抜くことが、宇宙の中で与えられる最高の名誉となった。
そしていつしか、人々はこのグランプリのことを、「F-ZERO」と呼ぶようになった。
(『F-ZERO』取扱説明書より)
システム
画面右上にある体力ゲージ。
他マシンやガードビーム(壁)、トラップにぶつかると減少していき、一定値以下になるとマシンがパワーダウン状態となり速度が低下する。さらにパワーが尽きればマシンが大爆発し、失格に。
コース上に設けられたピットエリアに入ると回復できる。
マシンが前進する。
スタート直前から押し続けるとちょっとしたスタートダッシュが可能。
しかし長く押しすぎると勢いよく飛び出した後に大きく失速してしまうため、基本的にスタートのコンマ数秒前から押し始めると良さげ。
きつめのコーナーでは適度にアクセルオフすると曲がりやすい。
マシンが減速、停止する。しかし減速したい場合は大抵アクセルオフだけで事足りる。
マシンが急加速し、数秒ほど高速走行できる。
コースを1周するごとに1回分の使用権が与えられるため、1レースにつき4回使用できる。
ただし使用権のストックは3回分までなので注意。
マシンが方向転換する。方向を微調整したい時は短く小刻みに入力していこう。
コース内にある「ジャンププレート」に乗るとマシンがジャンプする。
この時上入力で飛距離を短く、下なら長くできる。
また、着地寸前に下入力していれば減速せず綺麗に着地できる。
マシンの向きを変えずに横方向へスライドする。
ハンドルと併用すると鋭い角度でのコーナリングも可能。
ゲームモード
5つのサーキットを連戦し、CPU達と速さを競うモード。
リーグはナイト、クイーン、キングの3種類。
難易度は、ビギナー、スタンダード、エキスパートから選択する。条件を満たすと更なる高難易度マスターが出現。
レースには規定順位が設けられており、その順位以内でゴールラインを通過できなければ失格となる。(規定順位はラップ毎に上がっていき、最終的には3位以内でゴールする必要がある。)
失格となった際はスペアマシンを1台消費して再挑戦可能。
スペアマシンが尽きたまま失格になればゲームオーバー。
練習用モード。タイムアタックモードとしての側面も持っている。
走れるコースは7つのみで固定。
練習相手としてCPUによるライバルマシンを1台だけ指定可能。ノーライバルにして1人だけで走ることもできる。
上記のどちらかにおいて、1コースでも完走し記録を残せば出現。
過去に完走したコース毎に、ベストラップと総合タイムが見られる。
タイムの下線が赤いものはグランプリ、緑だとプラクティスの記録。
マシンとパイロット
▶︎ ブルーファルコン
あらゆる性能のバランスが取れた万能型。
癖がなく扱いやすいため、初心者が基本操作を身につけるのに最適。
特段苦手なコースもないため、グランプリを安定して攻略したい人にもオススメできる。
パイロットは
キャプテン・ファルコン。
年齢不詳。ポートタウン出身。
F-ZEROパイロットであると同時に凄腕の賞金稼ぎとしてその世界では有名らしい。
説明書に掲載されたコミック『THE STORY OF CAPTAIN FALCON』では主役を務めており、彼の賞金稼ぎ稼業の様子が描かれている。
▶︎ ゴールデンフォックス
加速性能に特化したマシン。
…なのだが最高速度、速度維持性能が全マシンで最低なためどうしようもなく遅い。さらにグリップが悪く、コントロールするにも一苦労。おまけに打たれ弱さもワースト級。
そのため上級者向けマシンとよく言われるが、大抵の上級者はファイアスティングレー一択になるため通好みと言った方が適切か。
パイロットはドクター・スチュワート。
本名はロバート・スチュワート。
31歳。ミュートシティ出身。
医師としてのエリートコースを歩んでいたが、父ケビン・スチュワート博士の死を機に、その遺産であるゴールデンフォックスのパイロットとしてグランプリに参加した。
コミックではキザでナルシストな性格として描かれており「走りの芸術家」を自称していた。
▶︎ ワイルドグース
打たれ強さに特化した性能で、耐久力が高い上、他のマシンとぶつかってもバランスを崩しにくい。そのため大量のNPCマシンやトラップが揉み合うグランプリで真価を発揮する。
しかし旋回性能が低く、僅かなステアリングでも失速しやすい。おまけに加速性能も悪い部類なため、コーナーの多いコースは苦手。
説明書には「攻撃的な走りを重視」と書かれているが、実際はむしろ安全重視で走りたい慎重派向きのマシンと言える。
パイロットはピコ。
34歳。デスウインド出身。
元ポリポト軍の特殊部隊で働いていた軍人らしい。
表向きはF-ZEROパイロットだが、裏では有能なヒットマンという噂もある様子。
性格は攻撃的だが、それを補う冷静さも併せ持つ。コミックでは攻撃的というより血に飢えたサイコパスのような爆弾発言を見せた。
▶︎ ファイアスティングレー
最高速度、速度維持性能、グリップが全マシン中最高で、打たれ強さも良好と調整ミスを疑うレベルの高性能マシン。
加速性能は極めて低いが、他のマシンに追突してもらうことで一気に速度を上げてしまえる。
ミスさえしなければ非常に速く、操作性も良い本機はタイムアタックと相性抜群であり、多くのプレイヤーに愛された。
パイロットはサムライ・ゴロー。
年齢、出身地ともに不詳。
レッドキャニオンをアジトとする盗賊団のボス。
身分を隠してグランプリに参加しているが、彼のマシンは盗品ともっばらの噂。
コミックでは、狙っていた賞金首をファルコンに横取りされた借りを返すべく、ナイトリーグに飛び入り参加したことが明かされている。
NPCマシン(仮称)
グランプリにのみ登場するCPU専用マシン。
茶色、点滅、紫色、緑色の4タイプが存在する。
茶色、点滅タイプは周回遅れという名目で現れる障害物的なポジション。特に(パワーダウン中と思われる)点滅タイプはぶつかると爆発し、パワーも速度もごっそり持っていかれてしまう。
そのためこれらをいかに無駄なく回避するかがグランプリ攻略のカギとなる。
一方で紫色、緑色タイプはメインの4台のすぐ後ろを
周回遅れ達と違って真面目に走っており、マスタークラスでは彼らが上位に食い込む光景も珍しくない。
後述する
F-ZERO99ではこれらNPCマシンを元にした「バンパー」が登場しているが、登場演出や走り方がかなり異なるため同一の存在と言っていいかは微妙。
惑星都市
F-ZEROグランプリは9つの惑星で繰り広げられる。惑星によっては複数のサーキットが設けられていることも。
別名ミュータント・シティ。
宇宙間交易によって繁栄した、宇宙連加盟惑星最大の都市であり、その人口は2億人を超える。
3つのリーグ共通のオープニングがここで飾られる。
ドクター・スチュワートの出身地。
地表の99%以上が海に覆われた星。
地表一面が流砂に覆われた星。かつて原始生物が生息していたが、今は化石でしかそれを確認することはできない。
一時たりとも休むことなく、強い風が吹いている星。
ピコの出身地。
物音一つ聞こえてこない、静寂の星。
地表が水晶に覆われた、宇宙一ロマンティックな星。
古くから宇宙交易の中継点となっていた港町。
キャプテン・ファルコンの出身地。
サムライ・ゴロー率いる盗賊団のアジトがある惑星。コミックにもこの惑星と思しき場所が描かれている。
キングリーグ最終戦が行われる惑星。
コース紹介
道幅が広く、コーナーもゆとりがあるため基本操作やシステムを覚えるのにぴったり。
ギミックも強制減速ゾーンとジャンププレートのみといたってシンプル。
簡単ながら奥が深い設計で、多くのプレイヤーがこのコースでのタイムアタックに熱中した。
ゆるやかなカーブと直線で構成されたコースで、こちらも比較的簡単。
しかし最終コーナーには、マシンが滑りやすくなる磁場遮断コーティングが施されているため、丁寧に体勢を整えて通過する必要がある。
急角度の連続コーナーが点在するテクニカルコース。本作最初の鬼門。
アクセルオフによる減速を上手く使ってコーナリングしていこう。
今度はシンプルなオーバルコース…なのだが常に強風が吹き荒れており、マシンが一定方向へと押し流されてしまう。
コース中央のダッシュゾーンに乗って加速できるかどうかがレース展開に強く影響する。
ほとんどが直角コーナーで構成されたコース。難しそうに見えるが、コーナー内側の角を掠めるように走ると意外と簡単。
コース前半には分岐があり、地雷トラップのある近道をミスなく通れば好タイムを出せる。
バックストレートにロータリー型の分岐があり、右ルートは僅かに走行距離が短く、左ルートは見通しが良い。
合流した後はジャンププレートが設置されているため、これで強制減速ゾーンを飛び越えてしまおう。
緩やかにうねった複合コーナーが続くコース。
コース後半には左右方向強制マグネットが仕掛けられており、マシンが壁際へと引っ張られてしまう。
三連続の急コーナーと三連続のジャンププレートが特徴的なショートコース。
今度はジャンプ中のマシンを下へと引きずりこむ下方向強制マグネットが登場。
複合コーナーや磁場遮断コーティングの施された急コーナーが多く、直線部分が極端に短い曲者コース。
バックストレートでは、ジャンププレートを上手く乗り継がないと強制減速ゾーンや下方向強制マグネットの餌食に。
Ⅰと惑星は同じだがレイアウトは完全新規。
コース中盤にはイン側からガードビームの突き出た連続コーナーが存在するが、最短距離をダメージ覚悟でゴリ押した方がむしろ安全で速い。
終盤では途切れた道を大ジャンプで飛び越える必要があり、十字ボタン下で飛距離を伸ばさなければ落下死がほぼ確定する。
バックストレートが細いジグザグ状になっており、前方に他マシンがいると追い抜くのが難しい。
コース後半には地雷トラップが大量に敷き詰められているため、強制減速ゾーンを無理やり突っ切るのも手。
バックストレート側に狭いシケインや急コーナーが追加されている。
ダッシュゾーンに乗るとこれらのコーナーへの対処が難しくなるが、乗らないと大幅なタイムロスとなってしまう。
もちろん強風も据え置きなため、終始気の抜けない難関コース。
コース後半が3連続ヘアピン、S字、狭いUの字を経て最後にシケインという超テクニカルコース。
実際にF-ZEROパイロット達の間では最も腕前が問われるコースとして名高いらしい。
ちなみに本作のタイトル画面に映っているのはここ。
コース後半に分岐があり、地雷の敷かれた右ルートと、落下死のリスクを伴うがショートカットができる左ルートに分かれている。
オススメは左ルートで、最短かつ最速、他マシンをスルー可能、絵面も爽快と良いことずくめ。
キングリーグ随一の癒しコースと言える。
これまでに登場したあらゆるギミックが登場し、至る所に殺意高めの複合コーナーが設けられた最難関コース。
おまけにピットエリアが遠回りな場所に設置されているため、ピットインすると順位が落ちてしまう。
最悪規定順位に間に合わず失格、といった事態も起こりかねないため時には思い切って最短ルートを進む勇気も必要。
余談
サテラビューにて、本作をベースに新たなコースやマシンを実装した『BS F-ZERO GRAND PRIX 2』が期間限定で配信。
1992年には半作を元に独自の解釈やアレンジを施した小説『F-ZERO…そしてスピードの神へ』が発刊。
(時期的にやむを得ないのだが)後発のシリーズ作品とは設定が大きく異なるため、パラレルワールドに相当する作品と言える。
最終更新:2025年10月08日 20:02