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あけぼの社/老人放火団(特救指令ソルブレイン)

登録日:2018/02/07 (水) 09:15:02
更新日:2026/07/16 Thu 01:34:28
所要時間:約 9 分で読めます






誕生、老人放火団。
世間への復讐か? 老人パワーを全開してあちらこちらに火をつけまくる。
神出鬼没の犯行を、ソルブレインは一体どうやって防ぐのか?
老人達の怒りの炎が燃え上がる。

「わ、わ、わしらは老人放火団。
マッチ一本愛の鞭。
恨みに燃える真っ赤な炎。
腐った日本を焼き尽くせ! オォー!」

あけぼの社/老人放火団は『特救指令ソルブレイン』の第10話『わしら純情放火団』(1991年3月24日放送、脚本・扇澤延男、監督(演出)・小西通雄)に登場する組織。

概要

『特救指令ソルブレイン』は特定の悪の組織と長期間対決するのではなく、基本的に1話完結で毎度違う犯罪者と対決する内容となっている。
彼らもその一つであり、1話限りの敵組織と言うことになる。

その目的は、日本全国に放火して焼け野原にすること
組織名にある通り、その構成員は一度定年退職を経験したような老人たちである。

彼らは先の大戦で焼け野原になった日本を、必死で再建してきた。しかし今の若者たちは、そんなことを知りもしない。
そればかりか、豊さゆえに傲慢さを身に着け、享楽のために老人たちを痛めつけるような腐った精神性すらも身に着けてしまった。
彼らはそんな若者たちに警鐘を鳴らし、その思いを理解させるべく、日本を戦後のような焼け野原にして同じ苦しみを味わわせてやろうと結成されたのである。

しかし、その目的にはとある裏が隠されていた……。

構成員

◆須藤 正明
あけぼの社の社長。
左側の顔に大火傷の痕があり、左足も不自由。その上ある病を抱えている。
見たところ30代といったところで、若い彼がどうして老人の想いを煽り、率いているのか……?

◆岡田 松太郎
今エピソードの中心人物の一人。
会社を定年退職して再就職先を求め「あけぼの社」の面接に行こうとしたところ、若者たちにバイクで追い立てられるという悪質な暴行を受けてるが、増田純(以下、純)に助けられる。
二人合わせると「ますだおかだ」になるが全く関係ないというかそっちの方が後発
先の職場では送別会どころか「ご苦労様」の一言もなかったと嘆いており、さらにバイクの若者たちのこともあって須藤に同調した。
演じたのは数々の特撮に顔出し及び声で出演した今西正男。偶然か意図したものか不明だが、本作の当時ちょうど60歳であった。

この他に3人の社員がいるのだが、劇中で名前は語られていない。

関連人物


◆西尾 大樹/ソルブレイバー
◆樋口 玲子/ソルジャンヌ
◆ソルドーザー
ソルブレインの主要メンバー。今回、ドラマ面での活躍は薄め。

◆増田 純
行動隊部隊員。階級は警部補で上記三名の部下にあたる。今回の実質的主人公。
冒頭で岡田を襲う若者とは対照的に正義感が強く生真面目で、岡田の境遇にも終始同情していた。

◆桜木 賢蔵
不動産王で、数多くのマンションを所有しているが、その財を成すために数々の悪行に手を染めたという噂がある。
何故かあけぼの社(老人放火団)の標的に選ばれるのは、彼の所有物という共通点があった。
一応、主に若者たちが住むためのマンションではあるのだが、どうやらそれ以外の理由があるらしい。
演じた河合弦司は『ナショナルキッド』時代から東映特撮や数々の時代劇に出演する大ベテランである。


真の目的と末路


+ 以下、ネタバレが含まれます
須藤の真の目的は、若者たちへの警鐘や日本社会への反抗などではなかった。
彼が標的としたビルは全て、桜木不動産の所有物。それは社長の桜木こそ、彼の家族の仇だったため。
桜木の悪行に追い詰められた須藤の父は自宅に放火して無理心中を図り、須藤はそれで両親と妹を失った。
さらに須藤自身も火傷による後遺症で、表社会では生きていけなくなってしまったのだ。

岡田たちは須藤の語る真意と謝罪を受け入れ、さらに須藤が心臓病で余命いくばくもないことを知ると、今までの日々と絆を忘れられず、須藤への恩へ報いるべく最後の作戦に出ようとする。
それは決して須藤のためでなく、己の目的のためだという建前を語りながら。
彼らはその瞬間、真に腐った日本とは、桜木のことだと確信したのである。

一方のソルブレインは、数々の捜査から須藤の素性を調べ上げていた。
桜木そのものを標的にすると予測して彼の自宅周辺を警戒するものの、放火団は放火と桜木誘拐の二面作戦を決行。
放火に回ったメンバーは逮捕され、火災も阻止されるが、桜木が誘拐されてしまう。

とある倉庫にて、かつての父の苦しみを味わわせるためか、桜木を自らと手錠で繋ぎ、建物に放火する須藤。
現れたソルブレインに対して、岡田たちは須藤を守るべく竹槍と火炎ビンで武装して対抗。
しかしソルブレイバーの武装にはまったくの無力で、あえなく制圧され、倉庫の消火が行われる。

倉庫からソルブレイバーたちは、須藤と桜木を救出。
桜木は火災によるガスを吸って軽症ながら命に別状はなかったが、須藤は心臓病で息絶えていた。

「桜木だけが生き残った……腐りきった日本だけが」

純は再び、戦後の日本を築き上げた自分たちを認めない若者たちに対する不満を岡田から聞き、彼の功労を改めて尊敬するが、それでも行いは間違っていると断じる。
本部長からの指示もあり、純は自ら手錠を岡田達にかけるが、岡田達は自分を認めてくれた純に救われたのか、安らいだ表情で特に抵抗もしなかった。

「本部長、真っ当に生きてきたこの人達が、なぜ俺に手錠を打たれなけりゃいけなくなっちまったんすか!」
「誰が、何が、この人達を、追い詰めちまったんすか?!」

――手錠をうった純の心に、やりきれぬ、苦い思いが残った。
その苦さが、どこから来るものなのか。増田純、22歳の春の、辛い犯人逮捕だった。


エピソードおよび彼らの評価

彼らの登場する『わしら純情放火団』は、ファンの間ではメタルヒーローシリーズ屈指の鬱&問題回と称されることが多い。
若い世代に蔑ろにされ、行き場を失う老人たちの悲哀を描くエピソードであると同時に、
本当の意味での「腐り切った日本」とは何かを問いかける、という非常に社会派な内容。
その描写の過激さと、善悪の割切りが非常に難しい複雑な人物描写と物語の構図、救いのない結末などから、
もとより暗くハードなエピソードが多い『ソルブレイン』の中でもトップレベルに重たいエピソードとして知られている。

実行犯であり、最終的に逮捕されるものの心を救われた岡田たちは、本放送当時から時世の変化も相まって、現在では特に賛否が分かれる人物像となっている。
そもそも発端が若者たちの悪質さにあったという事実を差し引いても、自分たちと同じ苦労を強要する発想は典型的な老害思考と厳しく見る意見、
また放火団加入前の岡田の態度に対する疑問(劇中の台詞で誇れるのが無遅刻無欠勤だけ、というのは有能な社員と言い難いのではないかという指摘など)を投げる人などは多い。
そして現実に岡田に暴力を振るった若者がいるとは言え、最終的に若者ではなく岡田達より上の世代である桜木を「腐った日本」と称することから、
岡田達老人放火団を「ただ自分たちの不満を晴らすためのお題目が欲しいだけ」と解釈する視聴者も見られる。
こうした事情から特に厳しいものになると「須藤はともかく、どうして岡田たちを救う必要があるのか」とまで考える視聴者もいる模様。
もっとも、これらの認識も「彼らの苦労や思いを真に理解できてない、劇中の若者たちと同じ立場からの勝手な言い分」と言ってしまえばそれまでだが……。

主犯となる須藤も同情する理由こそあれど、実際に行ったことは桜木を殺すこと(未遂)とそれに直接関係しない若者たちも被害を受ける放火であり、明確な犯罪者である。
さらに老人放火団が桜木を悪と認めたから追及されていないものの、個人的な復讐のために老人の感情を利用したのもまた事実。
純粋な私怨のために多くの人を巻き添えにしている時点で、少なくとも善人と評価できる人間ではないのは確かだろう。

そして被害者の桜木については前述の通り、財を為すために須藤たちを食い物にしてきた、まぎれもない悪人である。
須藤の外見年齢から推測すると須藤の父は岡田達と同じ世代(生きていれば60歳前後)の可能性も高く、いわば岡田たちが須藤の父と同じ立場となった可能性があり、
その点から言えば岡田達にとっても桜木が悪の象徴・彼らの敵と見られることに不自然は無いだろう。
とは言え、劇中では須藤家の件以外に露骨に悪行と呼べる行いをしてはおらず、
良い印象のシーンもないものの「日本腐敗の象徴」と言う大きな肩書を乗せるほどのものなのかという疑問も浮かんでくる。
また老人放火団も、須藤の存在から桜木を認識したという経緯から、そもそも若者への不満を煽られなければ桜木を見過ごしたままの可能性が高い。

以上のように人物描写については非常に緻密に色々な事項が絡まっており、曖昧に終わらせていて判別がつかない部分も含め、解釈の余地がいくつも見受けられる内容となっている。
純の「誰が、何が、この人達を、追い詰めちまったんすか?!」の叫びの通り、
単純に「若者が」「須藤が」「桜木が」などの一つの原因で片づけられないのがこのエピソードの難解な部分と言えよう。
この人物描写の巧みさと、岡田たちの感情の変化の描写のテクニカルさなどから、脚本としての本エピソードの完成度を評価する声も多い。

しかし最大の問題点としては、ソルブレイン設立の目的は「命だけではなく心も救う」ことであるにも関わらず、
今回のエピソードで救われたのは岡田たちだけで、主犯の須藤は命も心も救われていないというところであろう。
というより、そもそも今回ソルブレインが須藤に対して何もしていない。
捜査により須藤が主犯だと割り出し、その動機や病のことまで調べ上げたが、直接顔を合わせることはないままに最終作戦が始動、須藤はそのまま逝ってしまったのである。
須藤が凶行に走るきっかけたる「憎しみ」は『ソルブレイン』という作品(ひいては『レスキューポリス』シリーズ全体)のテーマであり、
終盤でそこについてある犯罪者との対決の末にこれまた苦い結末を迎えるのだが、今回はそもそも対決すら成っていないのである。
果たして、直接対決したときにソルブレインに須藤を救う手立てはあったのだろうか? 死を覚悟して復讐に走る彼を、どう救えたというのだろうか?

余談

『ソルブレイン』の時代設定は1999年(前作『ウインスペクター』の時代設定)より未来のはずだが、
岡田は劇中で「中学生当時に終戦」とした上で今回の定年退職とされており、つじつまが合わない。
仮に1999年に60歳なら、終戦の1945年は6歳になるはずで、中学どころか小学校に入学する年齢である。
スタッフが設定を失念してしまったのか、今回だけ特別に当時の1991年の年代設定(これならつじつまが合う)にされたのか、それは不明である。

脚本担当の扇澤は後年『ブルースワット』でも同じく社会から除け者にされる老人の悲哀を描いたエピソードを担当(演出も同じく小西が担当)している。
そちらの老人ゲストキャラは本作の岡田よりやや上の年代(桜木と同じくらいの世代)で描かれており、見比べた時に通じるものがあることだろう。

わ・わ・わしらは追記・修正団。

編集一回愛の鞭。

籠りに燃える真っ赤な炎。

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最終更新:2026年07月16日 01:34