怪奇五重塔伝説(名探偵コナン)

登録日:2020/01/13(月) 22:46:00
更新日:2020/01/25 Sat 22:20:20NEW!
所要時間:約 12 分で読めます




じゃが、いずれ不信心な輩に天罰が下るじゃろう
祟りという天罰がな


『怪奇五重塔伝説』とは、「名探偵コナン」において江戸川コナンが解決した事件のうちの一件。
1999年9月6日・13日に第159・160話として放映された、原作漫画にはないアニメオリジナルエピソードである。


以下、ネタバレにご注意ください。


【あらすじ】
9月12日。
雑誌の懸賞で伊豆への旅行が当たり、伊豆に来ていたコナン・蘭・小五郎の一行。
蘭とコナンが伊豆にある幻塊寺へ寺巡りを楽しむ中、小五郎だけはつまらなそうにしていた。
幻塊寺では寺男の岡部重吉から幻塊寺の様々な言い伝えを聞き、その中でも五重塔には恐ろしい言い伝えが残されていることを聞く。
だが、幻塊寺はODA観光に所有権を取られてしまっており、来年には寺を含む周辺にテーマパークが建設されるという。

その夜、コナン達はホテルODAでODA観光の社長・小田英明に夕食を招待される。
小田と談笑していたコナン達だったが、そこへ幻塊寺の僧侶である春海が乱入する。
春海はODA観光を法的に訴える準備をしていると話すが、小田は特に気にしておらず強気な態度に出ていた。

だが明朝、小五郎が泊まっている部屋の電話に岡部から連絡が入った。
岡部は慌てた様子で「幻塊寺で祟りが起こった」と言い、コナン達は急ぎ幻塊寺へ向かう。
そこでは、五重塔の言い伝え通り、五重塔の先端で小田が首を吊って亡くなっていたのである。
住職の淡海はこの事件を祟りだと言うが、はたして事件の真相は……


【事件関係者】

  • 小田英明(おだ ひであき)
CV:小室正幸
ODA観光の社長。56歳。
体重が100kg近くあるガタイのいい男性。
小五郎に対して愛想よく接するが、仕事なると厳しく梶村や他の従業員相手には傲慢な態度を取っている。
カード類を持ち歩いておらず常に札束を持ち歩き、ネクタイピンには5カラットのダイヤを付けている。
ただし金の管理はしっかりしており、必要経費で落とすために葉巻を買った時のレシートを財布の中にしまっている場面もある。
幻塊寺周辺にテーマパーク建設を推進している人物であり、建設には80億掛かるが完成すれば年間数百億の売り上げが期待できると話している。
現在は、ホテルODAのスイートルームの一室を事務所兼住まいにしているという。

小五郎達と談笑していた時は、幻塊寺に伝わる祟りや伝説なども全く信用していない様子を見せ、「利用の仕方によって客寄せに使える」と発言しコナンに呆れられていた。
だが、翌日になって五重塔の最上階の先端から首を吊って亡くなっているところを発見される。
死亡推定時刻は午前3時から4時の間であり、午前2時半頃に外出していく姿をホテルODAのフロント係が確認している。

事件現場に不自然な点も多く、首を吊っていた場所から欄干まで足が届かないため、踏み台がない場所で自殺したことになる。
また、小五郎に見せていた大金が入った財布と、5カラットのダイヤを付けたネクタイピンを所持していなかった。
だが、小五郎は小田には外傷や引きずった跡もなく吉川線がなかったこと、五重塔内部が狭く小田を担ぎ最上階へ連れていく事が出来ないことなどから自殺だと推測している。
遺書などは見つかっていないが、梶村の話では資金繰りが厳しく、失敗すると会社に不渡りが出る恐れがあった。
大金を持ち歩いていたのも弱みを見せないためであり、虚勢を張るようなところがあったという。
また梶村によると、小田が春海に法的な手段を訴えると言われていたことを内心ではかなり気にしていたようで、そのことを昨夜梶村に電話して話していたらしい。

  • 梶村洋介(かじむら ようすけ)
CV:金尾哲夫
ODA観光の取締役。ホテルODAの支配人。43歳。
腰の低そうな人物であり、最初に小五郎の事を気付けなかったことで小田から大目玉をくらっていた。
東京へ出張する予定になっており、小五郎たちに挨拶を済ませた後、すぐに東京へ向かっている。
また、彼自身も財布の中に大金を所持していたが、これについて小五郎に突っ込まれるとホテルの出入り業者に支払うためのお金だと話している。

出張から帰って来て早々、事件現場に駆けつけ警察に小田の事情を説明している。
また、東京へ出張したのも資金繰りのためであり、小田が本当は資金繰りで悩んでいたと話している。
そのため、テーマパーク建設を中止にしないと会社が倒産してしまうため、テーマパーク建設計画を白紙にし幻塊寺の権利書を幻塊寺側に返却すると淡海たちに約束していた。

  • 淡海(たんかい)
CV:渡部猛
幻塊寺の住職。64歳。
ODA観光に幻塊寺の所有権を取られてしまい、観光客相手でもODA観光の手先だと不信感を持つようになってしまう。
コナン達が訪れた時には、「不信心な輩に祟りという名の天罰が下る」と話している。
事件が起きた午前3時から4時の間は読経を読んでいたと話すが、その時に神仏の祟りが起きる予感がしていたという。

  • 春海(しゅんかい)
CV:梁田清之
淡海の息子。26歳。
坊主頭でガタイのいい大男。
総本山で修業中だったが、世事に疎い淡海に代わりODA観光と戦うために幻塊寺に戻ってきた。
淡海と同様にODA観光を嫌っており、法的な手段を用いてODA観光に直談判しようとしている。
事件が起きた午前3時から4時の間は寝ていたと話している。

  • 岡部重吉(おかべ しげきち)
CV:藤城裕士
幻塊寺の寺男。55歳。
幻塊寺に来ていたコナン達を出迎え、幻塊寺の案内と伝承について説明している。
また、有名な名探偵である小五郎と話せたことを、孫に自慢話ができると喜んでいる。
淡海に小田を紹介したり、小田に小五郎が来ている事を知らせたのも岡部であったので、淡海からは小田の手先だと思われている。
なお、岡部はこれについて「観光客が増えれば寺が潤うからだと小田に唆されていた」と話している。
事件が起きた午前3時から4時の間のアリバイは聞かれていなかったが、小田の死体を発見して驚き、真っ先に警察ではなく小五郎に連絡をしている。


【レギュラー陣】

ご存知主人公。
懸賞旅行のクイズを解き、伊豆の懸賞旅行に行くことになる。
事件は状況的に自殺にしか見えなかったが、何かが引っかかるものを感じていた。
その後、本当の事件現場を発見し、この事件は自殺ではなく殺人だと推測している。
なお、小田を殺害した犯人は、トリック解明前に関係者の聴取中に目星を付けている。

ご存知蘭姉ちゃん。
懸賞旅行を当て、今回の旅行を一番満喫している。
幻塊寺のひなびた雰囲気を気に入っていたが、五重塔の言い伝えを聞いた時は顔を青ざめながら怯えている。

ご存知おっちゃん。
最初はタダで旅行に行けると喜んでいたが、寺巡りばかりなのでつまらなそうにしている。
ホテルODAで歓迎されたことで少し機嫌は治っていたが、小田の態度や幻塊寺関係者のゴタゴタに対しては少し引き気味だった。
事件の方は状況が不可解ではあるものの、小田の体格や遺体の状況から考えて他殺は考え難いため自殺だと推測している。

静岡県警刑事。今回がアニオリ初登場。
小五郎と共に捜査を行い、当初は小五郎の推測を聞いて自殺だと判断していた。
だが、コナンの指摘から不自然な状況が明らかとなると、自殺だとは完全に決めつけずに殺人事件の可能性も視野に入れて捜査を行っている。
そのため小五郎が自殺と結論付けようとしてもなかなか納得していなかった。


【用語】
  • 幻塊寺
伊豆にある古い寺。
建立は400年となり、時代ごとの旧跡が残っており、五重塔や五重塔の横の藪の中には水が枯れてしまった古井戸が残されている。
だが、淡海がODA観光に「寺の環境を保全する費用を捻出するには、一旦寺の権利をODA観光にした方がいい」と言われて幻塊寺の所有権を渡してしまい、ODA観光はこの近辺にテーマパークを建設しようと計画している。
小田は幻塊寺も観光収入で潤うと話しているが、淡海と春海は寺の景観が損なうとODA観光を法的手段で訴えようとしている。

  • 五重塔
幻塊寺の敷地内でそびえ立つ赤い塔。
見た目は普通の塔だが、この五重塔には恐ろしい言い伝えが残されている。
江戸時代の初め頃、次の住職に嘱望されていた若い修行僧がいたが、寺の戒律を破って村の女性と駆け落ちをした。
だが、神仏の祟りか、その若い修行僧は大鷲にさらわれ、五重塔の先端に若い修行僧の遺体が吊るされていたという。
また、江戸時代の中頃には、不心得者の住職が寺の調度品を売り払い、女色に溺れていたという。
その住職も突然姿を消し、数日後に五重塔の先端で首を括って死んでいたという。
それ以来、寺の戒律を破ると五重塔の祟りがあると言われている。


【事件現場】
小田は五重塔の最上階である5階の屋根の先端から首を吊っていたところを発見されている。
ロープは欄干に結び付けられていたが、新品なのに焦げた跡や所々ほつれているところがあり、欄干には新しい傷が残っている。
また、欄干へ結び付けたロープの結び目が鎧結びになっている。

鑑識によると五重塔内部には埃が溜まっておらず、小田の足跡も残っていなかったという。
小田の体重は100kg近くあるため遺体を抱えて運ぶにも重く、五重塔内部の階段も狭くなっている。
さらには、遺体を引きずったような跡が衣服にも残っていないため、小五郎は状況が不可解ではあるが自殺だと判断している。

だが、ロープの長さが足りず、小田が首を吊っていた場所から欄干まで足が50cm程届かず、足場がない場所で自殺したという不自然な点が残されている。
その後、コナンは小田の遺体の右肘に草の汁がついていて、両足の踵に泥がついていることを確認する。
また、五重塔の草むらから小田のネクタイピンを発見して、真の犯行現場が五重塔の下の草むらであり、この事件が自殺ではなく殺人事件だと推測している。
また、コナンは欄干の結び目が鎧結びだと気付いた後、欄干の先には枯れ井戸があり、枯れ井戸には最近擦れたばかりの跡と枯れ井戸から五重塔まで直線に擦れた跡を発見したことでトリックを解明している。


【以下、事件のネタバレ】






















こんなことで……
こんなことでバレるなんて……


  • 梶村洋介
この事件の真犯人。
伝説を巧みに利用して、小田を自殺に見せかけて殺害する綿密な殺害計画を立てていた。

梶村はODA観光の取締役である立場を利用して、テーマパーク建設のためだと言って幻塊寺の図面を手に入れていた。
そして、図面から五重塔の高さや枯れ井戸までの距離と枯れ井戸の深さを計測、必要な長さのロープを準備した。
また、工事関係者に古井戸の近くに鉄材を置くように指示しておいた。

次に五重塔の現場に行き、五重塔の下の草むらから首を掛けるロープを伸ばし、五重塔5階の屋根の先端に引っかける。
そこから欄干を通して地上へ伸ばし、枯れ井戸の上に乗せた鉄材に結んでおく。また、欄干を通過する当たりのロープには予め鎧結びをしておく。
そして、鉄材を古井戸に落としやすくするため、片側を一本の鉄棒の上に乗せておく。
その鉄棒には別のロープを結び付けており、そのロープを五重塔の下の草むらの方まで伸ばせば準備完了となる。

事件当日、梶村は小田を五重塔の下まで呼び寄せた。
そして、隙を見て小田の後方から首にロープを掛けた後に小田の足を払い、小田が転倒したタイミングで鉄棒に結び付けたロープを引っ張ったのである。
ロープを引っ張ることで鉄棒が外れ、鉄材が古井戸に落ち、その勢いでロープが引っ張り上げられ小田は五重塔の屋根の先端まで吊るされることになる。
ロープが焦げてほつれていたのも、屋根の先端から強く擦れたからだった。
また、小田の首にロープを掛けてから足払いしたのは、普通に実行した場合はタイムラグが生じ首のロープが外されてしまう可能性があったからである。
暗闇なら華奢な梶村でも巨体の小田の足を払って転倒させることができるとコナンは推測している。
転倒させた証拠として、転倒した拍子に右肘に草の汁がつきネクタイピンが落ちてしまったこと、そして転倒した状態でロープを引っ張り上げられたため踵に土が付いていることが挙げられている。

小田を殺害後、五重塔に登り欄干近くにある鎧結びをしてある輪を持って欄干の内側へ引き、その輪に棒を引っかけてストッパーにする。
そして、外側のロープを切り、切った先を輪に結び、棒を抜いて欄干に結び付けたのである。
わざわざ鎧結びをして欄干を結び付ける方法を使用したのは、この方法でないと一人で欄干に結び付けることができないからである*1
最後に切れたロープを枯れ井戸の方まで手繰り寄せ古井戸にロープを放り込めば、小田の自殺の偽装は完了となる。

梶村が使った自殺の偽装トリックのたった一つのミスは、小田の遺体が欄干まで50cmほど足りなかったため、コナンに自殺が偽装だと見抜かれてしまったことである。
梶村は犯人だと告発された後、自分は東京へ行っていたためここにいなかったと主張する。
だが、梶村は小五郎に挨拶を済ませた後すぐに東京へ出張していたはずなのに、梶村と入れ違いに来た春海が小田を法的な手段を訴えるという話の内容を梶村が知っていた事を指摘される。
コナンは梶村の小田が法的手段で訴えることを気にしていたという発言から矛盾に気づき、梶村が犯人であると目星をつけていたのである。

そして、決定的な証拠は梶村が持っていた財布の中の大金だった。
その大金は小田から受け取った物であり、小田の指紋は付いていると開き直る梶村だったが、ポイントとなったのは大金の方ではなく大金の間に挟まっていたレシートの方だった。
そのレシートは、梶村が出かけた後に小田が部下から受け取っていた葉巻を買った時のレシートだったのである。
梶村は小田を殺害後、草むらから小田の財布を見つけ、行き掛けの駄賃として大金を抜き取っていたのである。
レシートには小田の指紋もついており、東京へ出張していて小田と会っていない梶村がそのレシートを持っている理由を聞かれたことで反論ができなくなり犯行を自供している。

事件の動機は脱税。
会社の経営が傾き始めた頃、梶村は小田に脱税を指示されていた。
梶村はその立場を利用して美味しい思いをしてきたが、小田はいざという時に梶村に全てを責任を押し付けようとしていたのである。
そのため、梶村は犯行を暴かれた後で「小田からトカゲのしっぽとして切られる前に小田を殺害した」と話している。

  • 小田英明
会社経営に傾き始め、梶村に脱税をするように指示したことが発覚。
さらに、脱税がばれそうになった場合は、梶村に全ての責任を押し付けようとしていた。
梶村も同情できないが、小田もまた脱税を指示したりとあくどい事を考えていたため、同情できない被害者である。

  • 毛利小五郎
事件解決後、蘭はせっかくの旅行なのに事件に巻き込まれてしまうことをぼやいていた。
そのため、蘭は小五郎に祟られているかもしれないから厄払いをするように提案するが、小五郎は「探偵に事件は付き物。飯の種だ。トラブルイズマイビジネス!」と気にしていない様子。
だが、帰る途中に小五郎は階段を踏み外し転落。その様子を見ながらコナンは「おっちゃんはトラブルには不自由しないな」と思うのだった。



追記・修正は伊豆でお寺巡りをしてからお願いします。

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