殺人公開放送(古畑任三郎)

登録日:2020/06/02 (火) 06:22:53
更新日:2020/06/04 Thu 19:28:57
所要時間:約 11 分で読めます





お洒落の鉄則は洋服の色を3色以内に抑える事です。

シャツがブルーでパンツが黒でジャケットが紫の人。
真っ赤なマフラーだけはやめてください。
友達を失くします。

服の色で思い出すのが…


『殺人公開放送』とは『古畑任三郎』のエピソードの1つである。
第1シーズン第9話。初回放送は1994年6月8日に放送。
古畑が殺人現場を訪れずに事件を解決する初の安楽椅子探偵方式の事件。
古畑が解決編まで犯人と一切関わっていないのも特徴である。


※以下ネタバレが含まれますのでご注意ください。


ストーリー

有名な霊能力者・黒田清は、夕方頃に多摩川の河川敷を訪れる。
黒田は霊能力者を自称しているが、実際は霊能力を持っておらず、後日行われる番組収録で自分の能力を誇示するためにイカサマの種を隠しに来たのである。
河川敷の廃タイヤにイカサマの種を仕掛けるが、そこをチンピラ風の男・中島に目撃される。
中島にしつこく絡まれた黒田は、もみ合いの末に中島を撲殺してしまい、死体を隠してその場を去った。

その後、テレビ局で霊能力番組の生放送が始まる。
この番組は黒田の霊能力が本物か否かの検証番組であり、福岡天神大学教授・神宮音彦は科学者としての立場で黒田の霊能力がインチキである事を見破っていく。
そんな中いよいよ番組のメインテーマであるOL失踪事件の透視実験が始まり、黒田は撮影隊を多摩川の河川敷に行かせ、そこで赤いスカーフを発見させた。
だが神宮はこの実験にトリックを仕掛けており、失踪中のOLは赤いスカーフを身に着けていなかった事が明らかにされた。
これにより黒田の霊能力はインチキである事が立証されてしまうが、窮地に立たされた黒田は突然体を震わせながら「河原に男性の死体がある」と言い出す。
黒田が死体の服装を事細かに言った後、撮影隊は橋の下で中島の死体を発見する。
生放送中に他殺体が見つかった事でスタジオは騒然となるが、たまたま番組の観覧に見ていた古畑は、黒田が中島の服装を知り過ぎていた事に疑問を抱く。


登場人物


【ゲスト】
  • 黒田清(くろだ きよし)(小説版は同じ読みで「黒田聖」表記)
演:石黒賢
霊能力者。
黄色いレンズのサングラスがトレードマークの青年。移動にはバイクを使用し革製のライダージャケットを着用する。
霊能力者として名が知られているが、実は霊能力は全然持っていないインチキ霊能力者である。

「脅威の霊能力者 黒田清」という番組で自分の霊能力が検証される事となったので、透視実験で視聴者に能力が本物だと信じ込ませるために多摩川の河川敷に赤いスカーフを隠しに行く。
だが廃タイヤに隠していたところを偶然通りがかった中島に見られてしまい、しつこく絡まれるうちに彼を石で撲殺してしまった。

生放送中には、指を触れずに水道水を曲げたり、今泉を霊視して彼の悩みと過去を言い当ててみせる。
だが神宮には、水道水を曲げたのは静電気によるもの、霊視はリーディングというアメリカでは主流の方法を用いた簡単なものだと見破られた。
そしてメインテーマであるOL失踪事件の霊視では、前もって隠していた赤いスカーフを撮影隊に発見させるも、その後で神宮がトリックを仕掛けていた事が発覚し、霊能力がインチキである事が証明されてしまった。
いよいよ窮地に立たされてしまったので、仕方なく中島の遺体の事を持ち出す事にし、酷く体を震わせる演技をしながら中島の特徴を言っていく。
中島の服のボタンが取れている事まで言った直後に中島の遺体が発見されたので、「あの死体は僕が見つけたんだ!」と勝ち誇るかのように叫んだ。

古畑にスプーン曲げを頼まれた時には、彼が目を離した隙に力づくでスプーンを曲げる。
だが、古畑の目は騙せなかった。

黒田を演じている石黒賢は、同じ三谷幸喜脚本である『振り返れば奴がいる』で主役の石川玄を演じており、後に同じく三谷幸喜脚本の『新選組!』では桂小五郎を演じている。

名前や設定からすると、モデルは70~80年代の超能力ブームの代表者であるエスパー清田こと清田益章だろう。
マインドシーカー』の監修の人と言えばゲーマーにはアレな意味で馴染み深いか。

  • 中島(なかじま)
演:岡部務
関西弁を話すチンピラ風の男。
パンチパーマで青いアロハシャツと黒のズボンを着用し、首に金のネックレスをつけている。
黒田がスカーフを隠しているところを偶然通りがかり、興味本位で彼に話しかける。
その後で黒田が有名人である事に気づきしつこく付き纏うが、彼に抵抗された事でつい頭に血が上り、落ちていたビール瓶で彼を殴ろうとする。
だがその前に黒田に石で殴られ死亡してしまった。
その後死体は橋の下にあったボートの中に隠され、生放送中に黒田の指示を受けてやって来た撮影隊に発見される事となる。

  • 神宮音彦(じんぐう おとひこ)
演:山口崇
福岡天神大学教授。
番組内で科学者としての視点で黒田の霊能力を検証していく。
黒田がトリックを使って霊能力があるように見せかけても騙されずに次々と見破っていき、霊視実験では警察の知り合いを使ってトリックを仕掛け、黒田の霊能力を全否定した。
その直後に黒田が「死体を見つけた」と言い出すと、これ以上の茶番には付き合えないと言って退場しようとするが、その後で本当に死体が見つかるとあまりの出来事に茫然となっていた。

  • 福富(ふくとみ)
演:潮哲也
テレビ局アナウンサー。
番組の司会を担当。

  • 木下(きのした)
演:樋渡真司
黒田の指示を受け多摩川の河川敷まで行ったリポーター。
赤いスカーフを見つけた後で中島の死体を発見し、驚きながらもすぐに警察に通報するよう言っていた。

  • 大口(おおぐち)
演:山崎大輔
番組プロデューサー。

  • 保木(やすき)
演:佐渡稔
番組ディレクター。

  • おばさん
演:松美里杷、恩田恵美子
番組観覧に来ていたおばさん2人組。
『殺人リハーサル』にも登場していた。


【レギュラー陣】

今泉に誘われ番組の観覧に来るが、霊能力に興味がなかったので帰りたがっていた。
収録中に死体が見つかると、黒田が死体の特徴を知り過ぎていた事に疑問を抱き、本当は彼が殺して死体を隠し、窮地に追い込まれたのでやむなく生放送中に死体を見つけさせたのではないかと推理する。

黒田の霊視実験で、古畑と上手くいっていない事、幼い頃に飼っていたオタマジャクシを死なせてしまった事を当てられ驚く。
オタマジャクシを死なせた事が原因で古畑と上手くいっていないという話を信じ、オタマジャクシを供養すると関係は改善されると言われると「しかし…!」と歯をむき出しにして動揺していた。
その後でつい古畑を見つめ、古畑に「バカ…」と小声で怒られていた。


以下、事件の真相。さらなるネタバレにご注意ください























真相


えー霊能力がこの世に本当に存在するかどうかは私には分かりません。

しかしただ1つ言える事は、黒田清は霊能力者ではないという事です。

彼は前に死体を見ていた。
だからあれだけ詳しい事が言えたんです。

恐らく殺したのも彼のはずです。
その証拠に……うーん、解決編はこの後にしましょう。

古畑任三郎でした…


  • 黒田の証言の矛盾
歳は20代後半でパンチパーマ。
首に金のネックレス。
グリーンのシャツに黒のパンツ。
犯人と揉み合った時にボタンが1つ取れている。

中島の格好はこの証言とほぼ一致していたが、1つだけ黒田は大きな間違った事を言っていた。
その間違いとはシャツの色で、中島はではなくのアロハシャツを着ていたのである。

髪型まで言い当てていた黒田がどうしてシャツの色だけを間違えたのか?それは事件当時黒田が黄色いサングラスをかけていたから。
色の三原色では青と黄色を混ぜると緑色となる。なので黄色のサングラスをかけていた黒田には中島ののアロハシャツが緑色に見えたのである。
たとえ霊能力があったとしても、心の目にまで黄色いサングラスをかけているなんて事はあり得ない。つまり…

あなたは直接死体を見たという事になります。

心の目じゃなくて、そこにある…

その目で見たっていう事になります。


  • 黒田清
収録を終えて帰ろうとした際、事件の担当となった古畑に呼び止められる。
非常に変わったケースではあるが一応死体の第一発見者だという事で、控室に戻って事情聴取を受ける事となった。
事情聴取では霊能力についてあれこれ尋ねられ、スカーフの件を突っ込まれると「自分は間違っていなかった」と言い出し「教授は知らず知らずのうちに霊感を働かせていたから偽の絵にスカーフを描いた」と理由づけた。
そして「教授は結局、皮肉にも自分にもその力がある事を証明してしまった」と言い張るが、古畑には「物は言いようですね」と一蹴された。

その直後、古畑が「私にも見えるんですよ。ある光景が」と言い出し、まるで見ていたかのように事件当時の黒田の行動を言い当ててみせる。
そして古畑に指を差されて犯人だと断言され、中島をイカサマの口封じで殺害した事まで言い当てられてしまった。
すぐに自分は現場には行っていないと反論するも、古畑に面と向かって「あなたの超能力は、まやかしです!」ときっぱり断言され、神宮に追い込まれたから霊能力で死体を発見したフリをしたという事も見抜かれた。

その後はスタジオへと移動し、黒田が死体について語っているVTRの検証が行われる。
そこで証言の矛盾を追及されると、自分の肩書きが霊能力者である事を利用し、何かと理由をつけて罪から逃れようとした。
だがそれは古畑も想定済みであり、黒田が犯人だと証明できる証拠はちゃんと残されていた。
事件当時、黒田は手袋をしていたが中島は素手であった。なので揉み合った時に中島の指紋が黒田のライダージャケットに付着している可能性が極めて高い。
ライダースーツを鑑識に回し中島の指紋が検出されれば、黒田が犯人だと言う何よりの証拠となったので、古畑に決定的な証拠を提示され「お気の毒です」と言われると、ガックリと肩を落として降参した。

犯行を認めた後、過去には本当に霊能力を持っていたと語りだす。

15の時でした、初めてスプーンを曲げたのは…。

それから、テレビや雑誌に…。

本当に出来たんです。さっきのはトリックですけど。

20歳の頃までは、確かに僕には色々な才能があった、本当です。

その人の目を見れば過去に何があったか分かったし、
調子が良ければ手を使わずに電球を割る事だって出来た。

でも、20歳を過ぎてから…段々感じなくなって…。

でも周りは許してくれない…。
僕が何か変わった事をしたり売ったりする事を待ってる…。

期待には応えないと…。

自らの苦悩を語った後で古畑に「どうしてもっと早く本当の事を言わなかったんですか?」と尋ねられると、「本当の事を言うには嘘をつきすぎていた」と答える。
今となっては過去に霊能力を持っていた事を証明する手立てはなかったが、古畑には「僕には力があった!」と言ってこの話を信じてもらおうとし、「今だって…」と目を閉じて精神を集中させる。
すると、突然番組のセットが天井から落下。思わぬ出来事に古畑もつい茫然とし、黒田は満足げに笑みを浮かべるが、その後でスタッフのミスで落下した事が判明。
霊能力が復活したと喜んでいた黒田は、そううまくはいかないと思い落胆の表情となる。
そして古畑に「そんなもんです」と声をかけられると、フッと微笑んだ後でスタジオを後にしたのだった。


余談

小説版では古畑はスタジオ観覧をしておらず、テレビの生中継を見ただけで真相を見抜いている。
番組終了後に神宮に電話をかけ、アドバイスを送って事件を解決に導いている。
そのため古畑は終盤まで登場せず、解決編は神宮の視点で進んでいく。
ちなみに今泉の代理は別の男性となっている。

逮捕された黒田は『消えた古畑任三郎』で再登場。
この頃にはすっかり霊能力が復活しており、インタビュー中に念力で曲げた無数のスプーンを見せていた。

作中で古畑は「今まで誰の影響も受けずに生きてきた」と言っていたが、後の『古畑中学生』にて彼の人生に大きな影響を与えた恩師が登場している。
ちなみに黒田の霊視どおり、結構年配の人物であった。
黒田曰く「影響を受けた事に気づいていないだけ」との事。





追記・修正は霊能力者にお願いします。

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