カグラバチ

登録日:2025/10/24 Fri 16:38:08
更新日:2025/10/24 Fri 23:37:36NEW!
所要時間:約 40 分で読めます



立ちはだかるのは競売のためなら我が身を厭わぬ命知らずども。
だが復讐者チヒロが怖気付く道理はない!

全 員 処 刑 !

一 人 残 ら ず あ の 世 行 き !

カグラバチ』とは、2023年9月19日『週刊少年ジャンプ42号』より連載されている漫画
作者は外薗(ほかぞの)(たける)


【概要】

作者のデビュー作はジャンプGIGA2021年春号に掲載された読み切り『炎天
第100回手塚賞準入選となる。
その後はたびたび読み切りが掲載される中で、本作は初の連載作品である。

2024年8月28日には「次にくるマンガ大賞 2024」にて1位を獲得。
2024年〜2025年にはPOP UP SHOPが展開。2025年では他にもカフェコラボや大手ハンバーガーチェーン店バーガーキングとのコラボなど、躍進を遂げている。

ジャンルとしては現代ファンタジー剣戟バトルアクション漫画で、独特かつダイナミックな構図のバトルが魅力。
復讐モノでもあり、血みどろの殺し合いや残酷な描写の多いダークな作風。

テガミバチとは関係ない。

【あらすじ】

六平(ろくひら) 千鉱(ちひろ)は、刀匠である父 六平国重と共に、刀作りの修行に日々励んでいた。
かつて日本で起こった”斉廷戦争(せいていせんそう)”。
その父が作った”妖刀六工”がその勝利に貢献し、国重は「英雄」と称えられる。
名実ともに日本一の刀匠である一方で、仕事中以外はおちゃらけた国重の世話と、
たまに父の友人の柴 登吾から昔話を聞かされる日常を過ごしていた平凡な日々。

しかし、その日々は唐突に終わりを告げる。
六平家に謎の妖術師集団「毘灼(ひしゃく)」が突如侵入。
父─国重は殺害され、六本の妖刀も全て奪われる。

刀に対する父の想いを踏みにじられた千鉱は、怨敵・毘灼への復讐と妖刀の奪還を決意する。


──38ヶ月後
千鉱は国重が命に代えて守りきった七本目の妖刀「淵天(えんてん)」を手に、柴 登吾と共に毘灼の情報を求めて行動していた。


【世界観】

『知っての通り、日本は刀社会』
※作中のナレーションです

当然のように読者の知らない日本が語られたように
どうやらこの世界の日本ではトンチキジャパニーズよろしく古の時代のように刀剣による武装が一般化しているようであり、重火器の類は現状一切登場しない。*1
携帯もガラケーが主に使われていたりと、どうやら現実の日本とはかなり違う歴史を歩んでいるようだ。

一方で“妖術”及び“妖術師”という、いわゆる異能の力が存在する世界である。
同時に、使い手が妖術と同等以上の力を操ることができる“妖刀”が存在しており、これらの概念が物語の中心となる。

自衛の手段として刀を持つことが認められている一方で、それが原因にもなり治安はかなり悪化している。1話の時点で“ヤクザに歯向かった人間を殺して橋に吊るし、見せしめにする”ことがまかり通っている状況である。


【用語】


◆妖刀
主人公の父─六平国重が特殊な加工法を用いて作成した刀。
この刀を手にすることで、一般の妖術師とは比べ物にならないほどの隔絶した力を持つことを意味する。
詳細は個別項目を参照。

雫天石(だてんせき)
妖刀の原料になる特殊な鉱石。込めた玄力を増幅させることができるが、込めた人物にまで高密度の玄力が流れ込み、体を裂いて命を奪う。詳細は上記の妖刀の個別項目を参照。


◆玄力
全ての人間に眠る超自然の生命エネルギー。
後述する妖術を使うためのエネルギー源だが、その前段階として玄力の修練度を高め体に巡らせることで、身体強化の恩恵が発生。人間離れした動きや耐久力を得られる。
逆に言えば、妖術を使うためには玄力によって強化された肉体が必要とも言える。


◆妖術
玄力の力を出力することによって発生する特殊能力。柴曰く一般人でも「死ぬほど努力したらな(使える)」と話している。
能力名はほぼ全てが漢字二文字で命名されており、発動時に能力名を言うパターンが多い。
簡単な移動術や結界術など汎用的な能力は存在するものの、一般的に妖術とはそれぞれの人間が固有に持つ物を指す。
基本的に肉体に宿る固有の妖術があらかじめ決まっており*2、1人につき1つの妖術が大原則。
とはいえ最初から自分の妖術が何かを理解できているわけでもなく、初めての出力から徐々に「自分の妖術はどういう能力なのか」という理解を深めていく訓練が必須とされる。

一方で、上記の原則に当てはまらない例外も極稀に存在し
特殊な儀式で妖術を上書き・継承する方法や、1人で2種類の妖術を扱う例が確認されている。

◆妖術師
上記の妖術を扱う人間の総称。
古より日本には存在していたらしいのだが、”表社会には関わらない”という暗黙の了解があったため、一般にはまず知られていない存在だったらしい。
しかし後述の”斉廷戦争”を機に妖術師達が表舞台に進出したことにより、一般社会に周知される存在となった。*3
妖術師の卓絶した力によって、ヤクザや大企業の護衛や戦力として高い需要を獲得しているようだ。

◆毘灼
全十名からなる妖術師組織。頭領は(ゆら)
六平家を強襲し国重を殺害。六本の妖刀全てを強奪した、千鉱にとっての宿敵。
構成員全員の手の甲には炎を象ったような紋様があるのが特徴であり、作中でも毘灼のメンバーとして判別する印となっている。
複数の人物が手で印を組むことで体を炎に包ませて移動する妖術を使用しており
毘灼構成員が全員共通して使用できる可能性がある。

謎の多い組織であるが、現状判明している活動としては
  • ヤクザを傘下に置き、上納金を回収している。
  • 自らが強奪した妖刀の一部を裏組織に流す。
  • 妖刀の中でも厳重に封印されていた”真打”の封印をわずか三年で解く。*4

などがあり、最新章ではついに神奈備本部への強襲を行った。

◆神奈備
妖術師を統括する政府の公的組織。
斉廷戦争後に設立された組織で、その前身は斉廷戦争時に急設された国家軍事組織「”対妖術戦略陸軍”」である。
その本部は戦闘員・非戦闘員含めて500人強が勤務しており、常に7人の専門の職員が直方体の結界を維持して防衛されている。
それでも人手不足は深刻のようで、教育に力を注いでいる。
汎用的な妖術を学ぶための書庫や”曲者処刑場”なるちょっとトンチキネーミング漂う侵入者迎撃のための戦闘場がある。
そして最深部には妖刀契約者である”剣聖”が収容されている。


◆慚箱
剣聖を除く妖刀契約者を匿っている神奈備の専用施設。
上層部の認可がなければ立ち入りを許されない。
主要な戦力はほとんどこちらの警備に当てられ、要塞と称される。

作中では「仙沓寺」「国獄温泉」「九煙大社」「鮨 すば琉」の4つが明かされたが
そのうち毘灼の襲撃により「国獄温泉」「仙沓寺」が壊滅。
それを受けて「九煙大社」から妖刀契約者が退避し、「鮨 すば琉」は店ごと移動して雲隠れをした。


◆斉廷戦争
22年前、南東の海域に突如現れた”小国”と日本の間に起こった戦争。
雫天石の原産国でもあり、それを直に使っても弾けることのない肉体を持っていた。

上述の通りこの戦争を機に妖術師たちも参戦したようだがそれでも大幅に苦戦を強いられたもよう。
戦争経験者の中には『あの地獄絵図』と称する者もいた。

しかしその後、六平国重が作成した”妖刀六工”を携えた妖刀の契約者達が参戦すると戦況は一変。
瞬く間に敵を押し返し…戦争開始から1年5ヶ月後 敵は掃討”された。
命を懸けて国を救った六人の妖刀契約者と、妖刀の作成者 六平国重は”英雄”として語り継がれることになった。


【登場人物】


主人公陣営

どの組織にも属さず、独自に活動して妖刀と毘灼の情報を集めていた。
最終的な対立を示唆しているものの、現在は神奈備の指示のもと動いている。

六平千鉱(ろくひらちひろ)
「俺は奴らを 斬らなきゃならない」

声 ─ 石毛翔弥(ボイスコミック)

本作の主人公。
黒い短髪と赤い瞳を持ち、顔の左側に頬までの大きな傷が特徴的。
父が襲撃により死んだ日についた傷であり、本人曰く毎朝顔を洗って鏡を見るたびにこの傷が目に入り、「新鮮な憎しみをもって一日を始められる」”とのこと。

無表情であることが多く、寡黙なことも相まって一見するととてもクール。
無表情のままめちゃくちゃびっくりすることもある
実際のところ心根は優しく、家では生活力が若干欠けている父の世話をしていたこともあり面倒見が良い。

一方で
「俺も『悪側(こっち)』にいる」
「殺しは最悪だ。俺はお前と同じ側にいる…ただお前らの所業はより強く否定する」
という台詞から分かる通り、自らの行いについて理解したうえで、それでも復讐のために地獄に落ちる覚悟のもと刀を振るっている。
その一方で、”情”に厚いが故に刃に迷いが生じることも。

戦闘においては七本目の妖刀である”淵天”と脇差を補助として利用する剣術で戦う。
妖刀を使い続けたことによる親和性は作中人物の中でもトップクラスである一方で、剣術そのものに関しては師がいないため独学。
しかし、父譲りの類まれなる観察力により作中では”居合白禊流”の剣術を見真似で習得し、剣術の技が大幅に上昇した。


柴登吾(しばとうご)

(俺が大人やったら あの時すでに力尽くにでも止めてたよ)

声 ─ 福島潤(ボイスコミック)
元神奈備の妖術師。金髪の男性で、関西弁で話す。39歳。
普段はよく喋ってノリもよく、寡黙な千鉱とは対象的な印象を受ける。喫煙者。

かつて神奈備に所属していた際 六平国重の件で揉めた結果上層部を二人くらいボコってしまったというロックな経歴があり、それが原因かは不明だが神奈備から離脱している。
国重とは古くからの付き合いらしく、六平親子とも度々交流。何かあった時にはすぐに駆けつける役割も担っていたが、彼が駆けつけた時にはすでに手遅れであった。*5

以後は千鉱と行動を共にし、毘灼についての情報収集 戦闘に協力している。
しかし堅実な作戦・戦法を取ろうとする一方で無茶しがちな千鉱の行動には大いに振り回されている。また、本来は大人の立場として止めるべき自分が千鉱の復讐に手を貸していることにも思うところがある様子。

戦闘能力に関しては幽曰く「妖術師の天井を叩いている」 「3年前も出し抜くのにかなり苦労した」 と称されており、実際に漣家の優秀な戦闘部隊である“濤”の3人をほぼ無傷で圧勝している。
その他 尋問馴れしている描写もあり、作中では二度柴による尋問シーンがある。
特に上記の“濤”制圧後、そのうちの1人に「はよ教えな目ん玉灰皿なるよ」と言いながら眼球にタバコの先を突きつける様子は多くの読者の心を動かした。

妖術以外の戦闘スタイルは不明だが、掌底で攻撃しているシーンや壱鬼から体術を叩き込まれたという情報から、体術主体の可能性がある。

【妖術】
  • 瞬間移動(仮称)

現状 妖術名は不明だが端的に言うならば”ワープ”である。
ほぼ全てのシーンで使用時に片手印を結んでいる。能力の詳細・制限についても明らかになっていないが、作中描写を纏めると

  • 自分以外を転移させるには触れている必要がある(手以外で触れてもOKなのかは不明)
  • 他人だけを一方的にワープはしておらず、触れた相手と自分を転移させている。
  • 「かつて自分が行ったことのある場所」といった制限もなく、作中では明らかに初見の場所へすらも転移していた。
  • 地面がない空中にも転移可能
  • 妖術で作られた亜空間や別空間には転移不可
  • 何らかの制限があるのか、攻撃に対して使用をしなかった場面がある。
  • 戦った対戦相手からただの瞬間移動でもないと推測される。

など、作中描写だけで見てもかなり汎用性の高いものと言える。


漣伯理(さざなみはくり)

「俺も命をかけて……ケジメをつけなきゃダメなんだ!!」

左で横髪を束ねた特徴的な髪型の白髪をした少年。
妖術家の名門 漣家の出身であるが、周囲の家族と比べて全く妖術が使えることもなく、所謂”落ちこぼれ”として家族から蔑視。(本人曰く「才能皆無 前代未聞の弱さ」
そしてとある出来事を機に一家から勘当。そのショックから立ち直れない最中、千鉱によって二度命を救われたことを機に彼と接触。自らが”漣家”であることから千鉱と交流し、以後千鉱の仲間となる。

仲間になって以降の”楽座市編”では千鉱達の目的である『漣家が主催する楽座市に出品される真打の奪取』に協力する形で、主に情報提供の役割を担っていたが、楽座市当日に妖術に覚醒。類稀なる才能を開花させることになる。

続く”所有者暗殺編”にて彼の妖術が鍵となるものの、楽座市編で無茶しすぎた反動で妖術が使用不能な状態に。そんな中で無茶をした結果、自らの妖術を司る神経が損傷。神奈備の治療によって復活したものの、機能の一部が損なわれることになった。

【妖術】
  • 威葬(いそう)
漣家相伝の妖術。
両手から成る独特な構えから見えない衝撃波を発する。
漣家の妖術師なら皆使用可能な妖術であり、楽座市編にてとうとう伯理にも開花したと思われたが…
神経の損傷により、現在は連発ができないようになっている。

  • (くら)
作中では類を見ない1人の人間に宿る2つ目の妖術であり、
漣家当主 漣京羅が持つものと同じである。*6
使用時には目を覆う白い仮面が左目に出現する。
触れた人・物を”登録”し、亜空間である蔵に収納 搬出ができる。これを利用して遠くの登録した遠くの人間を呼び寄せるほか、その人間と玄力で紐づいている物体も連動して登録することが可能。
加えて”下見会(プレビュー)”と呼ばれる登録した人・物の映像を映し出すことが可能。



毘灼

(ゆら)

「何もかも この俺が 真打を振るうためだ」

妖術師集団「毘灼」の頭領であり、千鉱にとっての父の仇。
黒髪のスーツ姿の男性で、目の上下部分に点のような紋様がある。

“楽座市編”にて、始めて千鉱の前に姿を現す。
対峙した際には、折れているとはいえ妖刀「刳雲」を相手に妖術を使わず、体術で渡り合う実力者。
その後、本領を発揮した「刳雲」を手にした千鉱を相手に右腕を欠損するも、なお身体を犠牲に食らいつく精神力を持ち、千鉱からも警戒される。
交戦した千鉱曰く「底が知れない」

切断された腕は何らかの手段で接合されている。
また、作中の台詞からするに真打の封印を解いたのも彼の様子。

あえて使用可能な妖刀「刳雲」を自らの組織では使わず双城厳一に貸し与えたり、自らの目的である”真打”を漣家の競売に出品したり*7、”契約者暗殺編”では契約者を襲撃する計画の指揮を若い構成員に一任するなど、大胆な手が伺える。


昼彦(ひるひこ)

「六平千鉱…お前となら 友だちになれる」

薄い桃色の長髪が特徴的の青年。18歳。
戦闘においては、挑発のために死体をわざわざ運んで見せしめにする、千鉱を歌舞伎の悪役に見立てて一般人が恐れ逃げる様を見せつける、一般人すらも利用して攻撃の手を緩めさせるなどの、狡猾かつ残忍な一面が性格が見える。

一方で幽からは「あまり世に触れさせてやれなかった分 精神的な未熟さは大きい」と称されている。
彼が3歳の頃、自分を手籠にしようとした男を殺害したことから始まり「俺の血肉はもはや”殺し”でできている」と豪語しており、実際に歪んだ価値観が見て取れる。

そのためか、同い年ながら人殺しの経験を持つ千鉱には友人になれると期待を抱き、「殺したいし…友達にもなりたい。本気で殺し合うことで友だちになる…んだと思う」という考えのもと、千鉱と対峙する。千鉱本人からは「意味不明だ」とバッサリ切り捨てられたが。

その後、紆余曲折あり妖刀「酌揺」を契約。
引き続き”京都編”では、全く剣術の素人であるにも関わらず千鉱と同じ土俵に立つために、天才的なセンスで新たな剣の扱いを生み出し、剣術の達人を殺害。
再び千鉱と対峙し、不完全ながら居合白禊流をも見様見真似で再現するが、真の手本を元にした居合白禊流を土壇場で習得した千鉱に敗北。

それでも、千鉱との最高潮の殺し合いに今までとは違う意味を見出し、「酌揺」の能力を用いて全力の誠心誠意をもって対抗。同じく妖刀を解放した千鉱と座村との三つ巴の戦いとなるが、座村清市の持つ妖刀「飛宗」の”雀”により自らの大立ち回りが無に帰されてしまう。

それにより力を使い切った昼彦は戦闘不能になり、しかも真剣勝負を持ちかけていた千鉱から気も向けられていないと知って精神的にも大きく傷つきながら撤退した。


【妖術】
  • 血鶴(ちづる)
紙を生成し・操る妖術。
ただ生み出した無尽蔵の紙で妨害や誘導をするほか、手元で様々な折り紙の形に変えてそれに応じた操作をすることも可能。
特に鶴の形に折られた紙は目標に向かって一度だけ突撃が可能で、人体を貫くほどの威力がある。
欠点としては、紙を折るためには手元に紙がある必要があり、遠隔で紙を折って形を変えることはできない様子。


久々李(くぐり)

「仕事どころではなくなる…!! ざッ…”斬欲が…!!”」

眼鏡のパッドを思わせるアクセサリーと、左こめかみの黒い入れ墨のようなが特徴の男性メンバー。
未だ契約者が健在なため使用不可の妖刀を携えている。本人曰く「いつか使うために必要なんだよ 理解が」とのこと。
その他「”斬る”は対話だ」という信念も持つ。

性格は生真面目。作戦も殺しも雑な昼彦やそんな昼彦に甘い幽にも憤ったりしている。
彼独特の特徴として「斬欲」なる欲望があるらしく、刀を扱う強敵相手に欲が高まると、任務も何もかも放置する悪癖がある。
とはいえ生真面目な性格から斬欲を抑えようとする努力はしているようだが、それでも本編では見事に負けてしまう。
ただし、あまりに隔絶した力を持つ剣士を相手にすると萎えてしまうようだ。

【妖術】
  • 破暮(はぐれ)
戦闘などで体内から発せられる”熱”を蓄積し続け、それを任意のタイミングで一気に放出して攻撃できる能力。
小出しにはできないようだが、その代わり溜め込む容量に際限がないと明言されており、溜め込めば溜め込むだけ威力が上がる。

作中では7ヶ月間もの間の戦闘で溜めた威力が放射され、建物の壁一面を吹き飛ばす極太の熱砲を発射し、昼彦を回収して撤退するまでの隙を作った。


斗斗(とと)

「仕事って言ってもボクらはガキ攫うだけだし 楽しいよ」

少々癖っ毛の短髪を持つ女性メンバー。
普段は久々李と組んで行動しているようだ。

昼彦と同じように言動は軽いが、感性は比較的常識人寄り。
とは言っても、もちろん毘灼の中ではという話であり任務のためなら一般人を殺すことになっても躊躇いは見られない。

現状固有の妖術は不明だが、血の味で血筋を特定できたり索敵を行えたりとサポート寄りの能力を見せた。
一応、ホテルの従業員を前に苦戦したように見える昼彦に対し「手伝おうか?」と声を掛けているころから戦闘ができないわけではないようだ。



神奈備

薊 奏士郎(あざみそうしろう)

「僕が 殴る」

神奈備で上層部の地位を持つ妖術師の男性。片目が隠れた黒髪が特徴。
斉廷戦争時、神奈備の前身である「対妖術戦略陸軍」にて、当時弱冠18歳にして大佐に昇進したほどの実力の持ち主。
六平国重や柴登吾の旧友でもあり、おそらく六平国重を匿うのに一役買ったとも思われる。

千鉱とも知り合いであり、深傷を負った彼を助けたり、楽座市の情報を密かに流す等の手助けを行っている。
神奈備上層部の前で千鉱が危機的状況になった時には彼を救うための素振りを見せた。


上層部の面々の中でも若く、戦闘力は頭1つ抜けているとされている。
79話では毘灼の潜入に対し、”曲者処刑場”にて処刑人として立ち塞がった。

そんな彼の戦闘様式は”殴殺”
敵の小細工を踏みにじる圧倒的殴殺力(パ ワ ー)は、一撃で人体の頭部を粉砕する威力を持つ。かつて柴と共に壱鬼から体術を叩き込まれた成果と推測される。


香刈緋雪(かがりひゆき)

「刃向けねえと倒せねえぞ ちゃんとうちにも命懸けさせろ」

神奈備の中でも最高戦力と認められてる人物。
『唯一妖刀に対抗し得る”個”』と評される。
登場当初は中性的な容姿とどちらとも取れる名前から性別については意見が分かれたが、公式からの情報で女性であることが明らかとなった。

性格は苛烈。「さっさと妖刀寄越せボケ!!」など乱暴な言動が目立つ一方で、決してただの粗暴ではなく、千鉱に戦闘以外の選択肢を提示したり、割り切れない指示に駄々をこねつつも最後には神奈備の人間として従って動く場面も見せている。

妖刀については「どんな信念があろうが個人で妖刀を振るうなら結局それは利己的なもんだ」「神奈備が国のために管理するべきなんだよ」と、国の管理を是としている。
実際、自分自身が妖刀に匹敵する力を持っており、そんな自分が国に仕え任務に駆り出されている現状を理解した上での認識であるとされている。

【妖術】
  • 餓者の炎骨
緋雪が神奈備最高戦力として認められる所以の力。
実際これが本当に妖術であるかは明言されておらず、作中の説明では
  • 緋雪は餓者の炎骨の”懐柔主”と呼ばれる
  • 謂わば妖刀と同じ
  • ただの妖術とは一線を画す異能
とされている。
また、緋雪自身は炎骨に対して「陸郎(りくお)」と呼びかけているような描写があり、能力そのものに意志があるようにも思えるが、未だ詳細は不明。

【技】
緋雪が陸郎に手を貸すように呼びかけることで、彼女の腕に炎を纏った骨のようなものが纏わる。
この腕を使った炎を纏う殴打が現状の彼女のメインウェポンであり、千鉱の淵天による”猩”でもなお吸収しきれないほどの力がある。
また腕に纏うだけでなく遠隔操作での攻撃も可能。
  • (あばら)
緋雪の指示と共に地面から彼女の周りを覆うように炎を吹き出す尖った骨が出現。
防御の他 不意の攻撃にも使用可能。
  • 脊柱(せきちゅう)
緋雪が脊柱を渡すように命じる。
相方の多福曰く「本気で殺る気」の形態のようだが、戦いが中断したため詳細は不明のままである。


美原多福(みはらたふく)

力士の恰好をした妖術師。
緋雪とタッグを組んで動いており、彼女のサポートを行っている。
敵である千鉱の思惑を汲んで「正直かっけぇ」と称したり、緋雪のキレる余りに言葉が足りてない言動を正確に解釈したりと、理解が速く頭も回る。

【妖術】
  • 土俵の結界(仮称)
任意の人物を現世と隔絶した室内のような異空間に送り込む能力。
多福曰く”神聖な土俵”であり、この空間が解消される手段は『勝負がつく』ことのみ。それ以外の方法では多福本人でも解除は不可能と思われる*8
また、解除条件たる『勝負がつく』についても多福が完全に制御できるわけでもないようで、作中では千鉱と緋雪の勝負に乱入した伯理が気絶したことで、不本意に結界が解除されたりしている。

結界に入れるにあたって人数の制限らしきものも見受けられず、また結界に入れるために対象に触れたりなどという制約もない。しかもほぼ一瞬と言っていいスピードで隔離できるため、緊急避難などにも最適。
それ以外にも1対多から強制的に1対1に持ち込める能力は、単独で神奈備最高戦力である緋雪と非常に相性が良いと言える。


区堂(くどう)

神奈備上層部の1人。ガスマスクのようなものをつけた小柄な男性で
常に猫背かつ片目を閉じている。

穏やかな口調で、会議の際にも心配や静止の言葉が目立つ。
特に伯理に対しては「彼はよくやってくれた。我々の読みが甘かったとしか…」「楽座市を戦った直後の君(伯理)に無茶させた我々の責任だ」と、特に気にかけている様子。上層部が会議をしている間でも所有者暗殺編で倒れた伯理の側にいた様子が描かれている。
作中では伯理に神奈備について案内しつつ、自分のことは「あまり戦闘向きではない」と称している。

現在、伯理への攻撃を庇う形で死亡したものと見られている。

【妖術】
  • 士透(しとお)
正確な内容は不明だが、触れた相手が物質を透過できるようになる能力と推測される。
更に作中では透過された物質については、視覚的にも透けて見えるようになっていた。


壱鬼(いちき)
神奈備上層部の1人。
白羽織を着てサングラスをかけた小柄な老人。
若いころの柴と薊の体術の師であり、二人を容易に打ちのめしているイメージ図が本編で描かれた。
冷静な性格に見えて、毘灼の襲来を聞いた際にはウズいてる様子もあった。


亥猿(いざる)
神奈備上層部の1人。もみあげが特徴的な男性で、反六平派。
作中では神奈備上層部の前に引き出された千鉱を殺害し、淵天を神奈備が使う選択肢を持ち出した。


対刳雲特選部隊

薊の部隊から選出された、妖刀”刳雲”を持つ武器商人 双城厳一を仕留めるための神奈備の部隊。

萩原幾兎(はぎわらいくと)
対刳雲特選部隊の隊長である眼鏡の男性。
全体的な作戦・指揮を行いつつ、双城との戦闘に参戦。
最終的に敗北し、一命は取り留めたが両足を失い意識不明の重体に陥る。

【妖術】
  • 磁界(じかい)
磁力を扱う妖術。
それにより刀などの鉄を操作したりすることが可能。


真智(まち)カザネ
部隊の新人隊員。
ちょっとトゲトゲした態度が特徴。
奥の手として後方で控えながら参戦していたが、自らの妖術発動が間に合わず敗北。
双城戦後は右腕を失う。

【妖術】
  • 怪魑(かいち)
名前のみ判明しており、詳細は不明。
しかし彼の生存を知った上層部は「怪魑を失わずに済んだ」とコメントしており、何かしら強力な能力であると思われる。


張間梓弓(はりましゆみ)
部隊の紅一点。
主に空中戦の舞台形成とバックアップを担当したが双城戦にて敗北し死亡。

【妖術】
  • 岩垂(がんすい)
地面操作の能力。
地面を隆起させたりする他、地面をかなり高度の空中に浮かせて移動することもできる。
作中ではかなり大きな地盤ごと浮かせて市街地を巻き込まないように空中戦に持ち込んだが、本人はかなり疲弊するようだ。


具柄一(くがらはじめ)
長く鋭い鼻がついた仮面をつけた男性。言動もテンションもうるさいのが特徴。
双城戦にて敗北し死亡。

【妖術】
  • 鉄化(仮称)
身体や仮面を鉄のように硬化でき、妖刀でも素手で受け止められる。
ただし本人は割と痛い様子。


卯月清彦(うづききよひこ)
マスクをつけた小柄な男性。
双城戦にて敗北し死亡。

【妖術】
  • 如縛(じょばく)
事前にこけしを設置した状態から両手で印を結ぶことで
こけしから黒い糸状のものが発せられ対象を拘束する。


笠原誠(かさはらまこと)
顔に横線の刺繍があるのが特徴の男性隊員。
最初は拠点捜索のため登場せず、双城戦で初めて登場。
双城戦にて敗北し死亡。

【妖術】
  • 腕の巨大化(仮称)
腕が歪に変形した巨大なものに変化し、肉弾戦や拘束に活用できる。


神奈備御庭番・座村親衛隊「巻墨」

妖刀契約者の1人 座村清市を護衛する神奈備の忍の妖術師。
妖術のプロであると同時に、匂い・殺気・音の全てを削いだ”隠密”による戦闘で座村と共闘可能な唯一の部隊。
仙沓寺では場所柄に沿った服装だったが、正式な忍び装束はスーツ姿。

(ろう)
巻墨の隊長。22歳だが、子供と誤解されるくらい小柄な男性。
サングラスをかけている*9

(すみ)
右目の下に十字の入れ墨があるクールな女性。

(もく)
巻墨では最も体格が大きい男性。気さくな性格。


妖刀契約者


漆羽洋児(うるはようじ)

「まッ またッ あんたのために戦えるのか!! 六平サァン!!」
伯理「やべえ人かも」

かつての斉廷戦争にて妖刀「酌揺」を振るった男性。緑がかった髪に目尻に紅をさしており、外套と細い帯を垂らした笠を被った風貌をしている。
六平国重に尊敬の念を抱いており、「六平サンから「酌揺」を預かったあの日が人生の最高潮」「何度でも言うが彼のために戦えたことは俺の人生における最強の美点」とまで称しており崇拝に近い域に達している。

僅か16才で最速かつ最高難度と言われる孤高の居合術 居合白禊流の免許皆伝者となった戦才。それゆえ笠を目くらましに使ったとはいえ、妖刀も妖術も使わないただの剣術で妖術師四人を瞬殺。それでも本人は「鈍った」と漏らすほど。

作中ではとある出来事により一度死亡し、妖刀との命滅契約が切れたものの、その後蘇り神奈備本部にて防衛のために奮闘する。


座村清市(ざむらせいいち)

「くそ…やっぱ…俺も地獄行きだなァ」

かつての斉廷戦争にて妖刀「飛宗」を振るった男性。
とある理由で自ら目を斬って盲人となっており、両目を縦に横断する傷とサングラスが特徴。
盲いている代わりに視力以外の器官が超人的に優れている。

千鉱からの評は『結構変な人だ』
匂いで人を判別し、手で顔を覆うことで顔や表情を見ようとするクセもある。
六平家襲撃以前から千鉱のことを知っていた数少ない人物の1人でもある。

漆羽と同じ居合白禊流を扱うが、漆羽の剣の師であると同時に師範代でもある。
漆羽曰く「もし俺があの人ほど強けりゃ 国獄の人間は誰一人失わずに済んだだろう」
国重曰く「俺の知る限り最速」
とされ、作中でも圧倒的な実力と目されている。

戦闘では 納刀の金打音の反響定位・殺気・音と匂いの機微などを総合的に判断して戦闘を行うが…
妖刀”飛宗”を持った状態での戦闘ではその能力により周囲をより正確に感知し大群をも一瞬で切り捨てるほどの実力を持つ。

作中では仙沓寺での攻防の後、とある目的のために神奈備から離れて独自の行動に移る。


剣聖(けんせい)

「──いや…殲滅だ」

かつての斉廷戦争にて妖刀「真打」──”勾罪”を振るった人物。
“剣聖”は通称であると思われ、本名は未だ不明。

表向きは”保護”となっているが、実際は神奈備本部の最奥に”幽閉”されている形となっている。
しかしその状態でも、遠くの地で使用されている「真打」を感知・操作しているかのような描写が見られている。



その他の妖術師達


双城厳一(そうじょうげんいち)

「俺は六平国重を 心から愛している」

10年以上神奈備のブラックリストに載るほどの裏社会の大物。裏社会の人間なら誰でも知っているほど。
本業は武器商人だが、用心深さとその戦闘能力が警戒され、迂闊に手を出せないと言われている。

冷酷かつ残虐な性格。ミスを犯した手下をその家族をあえて巻き込む形で殺したり、身体を温めるためという理由で妖術師を殺したり、どうせ再生するからとシャルにまともな食事を与えなかったりと裏社会の人間らしい悪徳な行動が目立つ。

毘灼から妖刀「刳雲」を授かっており、雫天石の実験を行いつつ
その成果を毘灼に授けるなど協力関係にある。
妖刀を作った国重を心底敬愛しており、その愛情は彼にまつわる文献を全て読み込む程で、雫天石安定実験を行うのも国重に並ぶため。双城曰く「彼の理解者は俺しかいない」
ただしそんな彼の妖刀に対する解釈は「「最高の殺戮兵器」であり、証明のために一般人をも巻き込もうとするその考えに千鉱は「お前が…ッ 父さんを語るな!!」と怒りを滲ませている。

千鉱との戦いを経て、彼の信念である「悪を滅し弱者を救う」ものを「反吐が出そうな信念」と称しつつ認めると言いつつも、「俺の信念に従って妖刀を振るうだけ」として対立。

偶然にも妖刀への理解を同時に深めた両者による奥義使用状態での限界─12秒の攻防の末、千鉱に「刳雲」を折られる形で双城は敗北した。


円 法炸(まどかのりさく)

シャルを追って現れた双城の手下の妖術師。
円柱型の髪型が特徴的。通称”ダルマ”
千鉱との戦いの末敗北し、柴に尋問されたことで情報を吐く。
その後は柴に諭されたことで妖術師を辞めることにしたのだが、自らの姉に連絡して迎えに来てもらったとき、その後部座席には双城がおり、運転席には腹部を刺された姉がいた。

任務失敗のツケとして家族を皆殺しにさせられたこと察した円は、双城を道連れに自爆しようとするものの「刳雲」の”結”の能力により凍結させられ、双城が去った後に自爆させられて死亡。
しかも…

「その女 気ィ失ってるだけでまだ息はあるぞ」

因果応報が巡ってきたとはいえ、何も知らないまま自ら姉を殺してしまったその末路は多くの読者に衝撃を与えた。

【妖術】
  • 不落
爆発するダルマを生み出す能力。通称の語源にもなっている。
生み出したダルマは鳴き声とも言葉ともつかない音を発する。



漣家

裏社会において絶大な影響力を持つオークション『楽座市』を取り仕切る
由緒正しい妖術師一族。

漣京羅(さざなみきょうら)

「ノーリスクな商売などつまらない」
「はっきり言って君がどう来るか楽しみだよ」

漣家の今代当主であり、『楽座市』における首席競売人でもある。

オールバックの髪型と長い口髭が特徴の壮年男性。
初代当主から脈々と受け継がれた「蔵」の妖術を扱う管理者で、楽座市の遂行を第一に考え動く。
『楽座市』で扱う「商品」は人間すらも含まれるが、あくまで”大事な商品”としながらもいざとなればその命を交渉のカードにすることもためらわない。
家族への愛情はあるが、楽座市の遂行の目的のためなら死ぬと分かっている捨て石にする、まさに狂信的な価値観を持つ。

一方で頭はかなり切れるようで、千鉱達が「商品」となった人間を見捨てられない事を見抜き、あえて「蔵」の情報を開示して行動を封じる、「蔵」に唯一繋がる搬出口の存在に気づくであろうことまで推測した上で事前に潰しておく等で千鉱達を大いに翻弄する。

しかし千鉱達の奮闘により致命傷を負った際は、”実演”と称して毘灼から出品された真打を使用。
楽座市をさらに熱狂させるように仕向けながら死闘を繰り広げた。

【妖術】
  • (くら)

特殊な儀式によって漣家当主に受け継がれてきた要の妖術。
相伝の妖術”威葬”を使えない代償として扱えるもので、基本的に戦闘向けではないものの京羅は蔵の内部戦闘ならば妖刀をも相手取れる自信を見せた。

伯理のものと基本能力は同じだが、彼固有の使い方として
  • 蔵内部の床部分などを自在に変形する。
  • 剣や爆弾を予め蔵に仕込んでおき、床の変形によってそれらを敵に向けて攻撃する。
などを行っていた。
また、漣家の人間は緊急時の保護のため赤ん坊の時点で全員この登録を受けている。


漣宗也(さざなみそうや)

漣家当主親衛隊「濤」に属する大柄な体格の青年。
左前髪を紐でくくり目の前に2本垂らしている。

弟の伯理のことを溺愛しており彼が勘当された後も探し回っており、京羅からの”蔵”による呼び出しにも応じないほど。
しかし、彼の伯理に対する愛情表現は殴る蹴るなどの暴力であり、伯理によるとペンチやピーラー、縄跳びの縄なども用いられていたという。

一方で京羅からは「自分よりも頭が切れる」と評価されており、次期当主としても認められている。なお、伯理がらみではとてもそんなふうには見えないため柴からは「絶っっっ対嘘やん」とコメントされた。

【妖術】
威葬(いそう)
漣家相伝の妖術。
その威力を見た柴は「見たとここいつが一番強い」と評した。


漣天理(さざなみてんり)
漣家当主親衛隊「濤」に属する少年。
16歳で「濤」になった天才として一族からも褒められており、離反した傘下の組を一人で潰した功績も持つ。
父の思いに応えようとする真面目な性格な一方で、落ちこぼれである兄の伯理については見下している他、同じ「濤」である宗也についても「ちゃんとしろよクソ」と思っていることが単行本のおまけで判明した。

【妖術】
威葬(いそう)


漣珠紀(さざなみたまき)
漣家当主親衛隊「濤」に属する女性。
「濤」の中では紅一点。で、他に比べて言動が軽め。

【妖術】
威葬(いそう)


漣円慈(さざなみえんじ)
漣家当主親衛隊「濤」に属する男性。
「濤」の中では最も年上の29歳。

【妖術】
威葬(いそう)


関連人物

六平国重(ろくひらくにしげ)
「刀を作った先にある”死”に俺たちは無関係じゃない」

声 ─ 藤巻健太(ボイスコミック)
主人公・六平千鉱の父親。本編時間軸では故人。
妖刀を作る製法を扱えるただ一人の刀匠であり、彼が作った”妖刀六工”が斉廷戦争を終わらせたことで、英雄と呼ばれるようになった。
作中では終戦記念の時期に毎年 特別展が開かれ、当然のように教科書にも載るレベルの偉人である。

普段は抜けたところのあるお調子者であり、生活力に欠けている面がある。
家事の多くを息子の千鉱にやってもらっている程。

一方で仕事──刀については真摯な態度。
刀匠としての信念と覚悟を説き、千鉱を導く手本となった。


ヒナオ
声 - 唯野あかり

喫茶「ハルハル」を経営しつつ 妖術師向けの斡旋業をしている女性。
ツーサイドのお団子ヘアが特徴。柴とは常連との関係であり、序盤では千鉱と柴をサポートした。


鏡凪(きょうなぎ)シャル
声 - 立石みこ

高い治癒能力を持つ鏡凪一族の生き残りの少女。
その体質を狙った双城厳一に実験体にされていた過去を持つ。
天真爛漫でマイペースかつ食い意地の張った性格。幼女とは思えない強気で独特な口調だが、当然ながら年相応の精神年齢。
「痛いのは嫌だ」という傷への拒絶による想念が元になっており、膝から下を切断された大きな欠損すらも即治してしまう回復力を発揮する。
「痛くなくなってほしい」という想いによって、負傷したチヒロへの思いやりをきっかけに他人を治癒することもできるようになった。「まともに使えるようになるまで一か月はかかる」と言われるほどズタズタになったチヒロの左腕の筋繊維を一瞬にして治癒してみせた。


座村イヲリ

妖刀契約者 座村清市の一人娘。
『所有者暗殺編』で登場し、『京都編』の中心人物である。

かつて座村夫婦の離婚後、母─イノリと暮らしていたが、母の病気により座村の元へ。
当初は反発が目立っていたが、共同生活を送る中で親子として距離が縮まるものの、毘灼の工作により座村に対して人殺しという噂が流れ始める。学校にてイヲリが中傷・暴力を受ける他、家の前のゴミ袋、壁への落書きなど嫌がらせエスカレート。
そんな中、目の視えない父を誤魔化しつつ 彼女は半年もの間ひたすら耐え続けていた。その理由は、自分が強くないと父が遠くへ行ってしまうと思ったため。

しかし、事の真相を知った清市の判断で叔母の下に預けられてしまい…それから3年後に六平国重の死亡と共に神奈備に生活が管理されるようになり、そこから更に半年後には父の意向で遣わされた巻墨が彼女の前に現れる。
巻墨により周囲が"座村清市の娘だ"と認識できなくなる妖術を施され、2年前に急性心不全で死亡したかのように偽装される。

その後、座村の梟によって封印が和らぎ、千鉱や巻墨が現れたことで封印が解け、記憶を取り戻した。

一般人として生きてきた為、当初は戦闘能力が無いと思われていたが、座村の元にいたときから学んでいた剣術によって、刀を扱うことができる。
彼女曰く『真剣は初めて』であり、同時に実践も初の状態で、襲ってくる集団を目を閉じたまま向けられる殺気から正確に察知して指を切り落として無力化する技量を有している。
これは、盲目な父の真似たことによる”慣れ”により目を閉じた状態で感覚が研がれ、加えて余計な邪念も削がれ剣を振るうことに特化できるため。逆に目を開けてしまうと実力の発揮ができなくなる。



追記・修正の妖術を持つ妖術師の方 お願いします。
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最終更新:2025年10月24日 23:37

*1 爆弾などは登場しており、火薬の概念がないわけではなさそうだ

*2 妖術師の家系の場合、相伝によって一家で同じ妖術が発現するのが普通

*3 一方でほとんどの妖術師が都会にいる関係上、地方では妖術を目にする機会もない人もいる

*4 柴の見解では”解除に十年はかかる”とされていた

*5 当時 六平家の家屋は結界によって守られており、それに異変があれば柴が察知して駆けつけられるようになっていた。柴が異変を察知してから到着まで10秒もかかってなかったという

*6 今まで「威葬」を発動できなかった一因に、無意識に自身の玄力の殆どを「蔵」の保持・運用に割いていたことがある

*7 自らが使うにはまだリスクが高いため、まずは自分以外の人間が使うように仕向け、リスクを確かめる実験としての意図があった

*8 楽座市編にて、多福自身がわざわざ敵を張り倒すことで自身の結界を解除している

*9 座村への護衛就任時はかけておらず、彼に倣ってつけだした可能性がある