嵐の大江戸船めぐりの巻(こち亀)

登録日:2020/10/22(木) 16:15:09
更新日:2020/10/30 Fri 23:05:14
所要時間:約 8 分で読めます




こち亀のエピソードのひとつ。単行本第67巻に収録されており、アニメ版47話『激流屋形船パニック』の原作となった。

◆ストーリー


中川「秋の旅行はクルーザーでクルージングですって!?」

両津「そう! クルーザーで豪快なフィッシングを楽しみ、夜は生バンドをききながら優雅にディナーを楽しむ!」


旅行の幹事たる両津はそのように今回の旅行を説明しながら、パンフレットを派出所メンバーに配る。聞くだに豪華な旅行内容で、配られるパンフレットに載っているのは豪華客船クイーンズ。しかしそれでいて旅行費は一人5000円なのだという。


部長「すごい豪華船だな」

両津「今回はその船がチャーターできなかったのですが・・・まっ、それに近い船をとりました」

部長「さすが名幹事だ!」


称賛する部長。そして両津は「浅草の吾妻橋に集まってくれ」とメンバーに伝え、ディナーの細かい打ち合わせと称して派出所から去っていった。


部長「いやぁ、旅行が楽しみだな」

中川「浅草に集合というのが気になるな・・・いやな予感がする!」




そして旅行当日。
部長・中川・麗子本田・寺井などのお馴染みメンバーに加え、戸塚・法条・恵比須など準メンバーとでも言うべき仲間も揃いつつあったが、肝心の両さんが集合時間になっても来ていなかった。

しかし、なんとも予想外の場所から両さんの声が届いてきた。


両津「おーい中川! ここだここ!」

中川「あ!? 屋形船じゃないですか!?

両津「二組に分かれてくれ。戸塚達はむこうの船だ」


両さんはすでに吾妻橋の下で待っていた。今回クルージングする船である屋形船を二つ用意した上で。


部長「写真と全然違うぞ!」

両津「それはあくまでも参考じゃないすか! 五千円でそんな船に乗ろうなんて図々しい!」
詐欺同然なパンフレットで騙す方がよっぽど図々しいが・・・


仕方なく船に乗り込むと、両さんは有無を言わさず皆に釣竿を配り始める。確かに企画では『豪快な釣り』とは言ってたが、なぜいきなりみんなに釣りをさせるのか尋ねると・・・


両津「当然でしょ! みんなの釣った魚がディナーになるんですから」

みんな「えーっ!?」


なんと魚を取れなきゃ夕飯抜きという『豪快な釣り(半強制)』仕様だったのだ。これまた仕方なく両さんの言う通りに皆で釣りに勤しむが、釣れるのは小さなハゼばかりで両さんなどは部長に「タイやマグロを釣ってくださいよ」などと無茶な文句を言う。
釣れた魚を船頭さんに頼んで天ぷらにしてもらってる間、いきなり空が曇り始めてきたことを心配する中川と麗子。両さんに早速相談してみると…


両津「知ってるよ! 大雨洪水警報がでてるからな! 嵐になるかもしれんぞ」

中川「えっ!? なぜそんな日に!」

両津「そういう日だから格安ですいてるんだよ!」


平然と言い放つ両さんに中川は「さすがというか・・・無謀というか・・・」と驚き半分呆れ半分の複雑な感情を抱く。
船頭さんもよくこんな日に船を貸す気になったな・・・


はたしてその警報の通り、すぐに激しい雨が降り始めて船に雨粒が叩きつけられる。笑顔で天ぷらを頬張る両さんだが、それ以外のメンバーはあまりの大雨に心配でご飯も喉を通らない。

そしてその時、突如として激しい風が伴い始め、嵐と大雨で川の流れが荒れ狂って船が大きく揺れ始める。悲鳴を上げて戸惑うメンバー達だが…


両津「やかましい! 少しは静かにしろ! 船が揺れるのは当たり前だろうが!」

両津「酒をもっと飲め!! 自分が酔って揺れていれば全然気にならん!」


逆ギレしだした両さんは、一人嵐に動じることなく無茶苦茶な理論でテンションを上げまくる。


両津「嵐を忘れるカラオケ大会! 豪華生バンド!! アコーディオンの横森さんの登場!!」
誰だよ

両津「では僭越ながら一発目は私が歌います! 中森明菜の『難破船』!!」


この状況で不吉な歌を歌おうとした両津だったが、その時隣で運転していた戸塚達の船がぶつかってきて、船内はさらに大きく揺れて中断。波が高すぎてまっすぐ進めず、ほぼ船が操作不能になっていたのだ。その上、さらなる悲報が両さん達に伝えられる。


船頭「さっき地震があって、東京湾に津波が発生しているらしい!」

両津「くそ! よわり目にたたり目だな!」


予想外の大嵐に地震津波。ここまでのハプニングが続くと、さしもの両さんも皆の説得に応じてクルージングの中止を認めざるを得なかった。しかし、そんな両さん達の船の前には、既に地震で発生した津波が迫りつつあった!


両津「船をハジに寄せろ! まともにくらったら転覆するぞ!!」


両さんの指示と船頭さんの奮闘により、なんとか波を避けて転覆を防いだ船二隻。しかしその際、元の隅田川から川幅の狭い神田川の方へ押し流されてしまった。普通の船より軽い屋形船は勢いのままどんどん押し流され、やがて目の前に橋が見えてきた。
普通ならばなんなく通れるはずが、増水で水嵩が上がっていたため、屋形船の屋根が橋の上と接触。瓦を大きく剥がされてしまったが、なんとか通り抜けることはできた。


中川「どんどん上流へのぼっていきますよ!」

部長「鮭じゃないんだぞまったく!」


ハプニングの連続で心をすり減らす派出所メンバーであったが、ここで両さんがさらなる危機に気づく。


両津「見ろ! 地下鉄丸ノ内線の線路まで水かさが上がってる!! 線路の上を通過することになるぞ!


そう、営団地下鉄(現:東京メトロ)丸ノ内線では一度地下から出て神田川橋梁という橋を通る。今回の大嵐で水位が上がりきった結果、神田川橋梁を船で横断する羽目になってしまったのだ。
本田は「もしその時電車がきたら・・・」と最悪の未来を想像するが、こればっかりは両さんも「運を天にまかせるしかない」といいつつ、エンジンを全開にして一気に線路を通過しようとするものの・・・その時ちょうど電車が橋を渡るために現れてしまう。


結果、両さんの船はなんとか電車に轢かれる前に線路を越えることができたが、戸塚達の船は・・・


両津「丸ノ内線に押されて地下鉄の中に入っていった!」

中川「かわいそうに・・・」




かわいそうな戸塚達の船は電車に押されながら線路を爆走。


寺井「早く逃げましょう!!」

戸塚「どうやって逃げるんだバカ!」


必死に船にしがみつきながら耐えていると、電車は本郷三丁目の駅に停まった。戸塚達はこれを好機と見て脱出を図るが、あと一息のところで再び電車が発車してしまい機会を逃してしまう。
線路内に突然船が侵入してきてもダイヤを乱さず運行する鉄道会社の鏡

今度こそ次の駅で停車した時に脱出を図ろうとする戸塚達だが、なんと電車は再び外の橋へ。
哀れ戸塚達の船はその勢いで線路から落ち、橋の上から落ちて道路に叩きつけられてしまいましたとさ。
ギャグ漫画じゃなかったら即死でもおかしくない落ち方だった




一方の両さんサイド。


両津「神田川から首都・東京を眺める旅なんざおつなもんでしょう部長!!」

部長「バカモノ早くなんとかしろっ!!」


両さん達の船はさらに逆流して早稲田をすぎ、なお爆流の流れのままに走っていた。しかし、その先で神田川が名物の洪水を起こしており、川から溢れた流れの方に乗れば川から脱出できると両さんは考えた。
船頭に指示を出し、エンジンを全開にして舵を切ることでようやく川から脱出。だが更なる不幸が両さん達の船に待ち受ける。


中川「ここは都電の軌道敷内ですよ! 先輩!!」

両津「線路にはまってカジがとれんくそ!!」


先ほど地下鉄の脅威から抜けたと思ったら今度は都電に引かれ始める両さんの船。さらに前方に見える信号が赤になっていることに気づいた中川だが、電車と違って船は急に止まれないため、船だけが交差点内に侵入。
おまけに突然船が交差点に入ってきても止まる様子のない交差車線のトラック達にぶつけられ、船は横転してしまう。


両津「船は交差点になれてないんだぞよけてくれてもいいじゃないか! くそっ!」
さっきの地下鉄や都電といい、こち亀世界の乗り物は船に厳しいらしい


なんとか船を元の向きに戻したが、その途端突然船が何かに吸い寄せられるように動き出す。その先はなんと、地下鉄の入り口。まるで排水溝のように水を吸い込む地下鉄入り口の流れに、船も飲み込まれようとしていたのだ。


両津「エンジン逆回転だ!」

船頭「もう間に合わない!」


ゴオオオオオ
ガガガガガガガガガガガ

「ぎええええええ!!!」


哀れ、屋形船は船底を削りながら線路を滑り落ち、駅構内を爆走し人々は逃げ惑う。やがて改札をも突き破り…線路に停車していた地下鉄に突撃してブッ刺さることでようやく静かになった。


両津「ちょうどよかった! 地下鉄で帰る予定だったんです」

部長「屋形船ごと乗り込むんじゃない! バカモノ!!」


こうして、両さんが企画した秋の旅行クルージングはハチャメチャな結末を持って終わりを告げた。




後日。

新聞「東京大被害」
新聞「風速250メートル大型台風直撃!!」
新聞「曲がった東京タワー」
新聞「新宿高層ビル かたむく!」
新聞「西郷さん”忠犬ハチ公”の銅像飛んでなくなる!!」
新聞「東京ドーム屋根取れる!」


中川「よかったですね。ほかの記事が大きすぎてぼくたちのことが書かれてませんよ」

部長「えらい目にあった!! 二度と幹事はやらせんからな」

両津「タダでビッグサンダーマウンテンのウォーター版に乗れたと思えばよかったでしょうが!」



「神田川から首都・東京の項目を眺める巡回なんざおつなもんでしょう部長!!」
「バカモノ早く追記修正しろっ!!」
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最終更新:2020年10月30日 23:05