ほんもの図鑑(ドラえもん)

登録日:2021/04/17 Sat 18:46:52
更新日:2021/04/19 Mon 20:07:07
所要時間:約 8 分で読めます




「ほんもの図鑑」とは漫画『ドラえもん』のエピソードの1つ、およびこの話に登場するひみつ道具。
小学二年生1971年12月号に掲載された時はサブタイトルは存在せず、項目名はてんとう虫コミックス第6巻に収録された際のもの。

初期のドラえもんらしいドタバタ劇やツッコミどころの多い展開、意外なゲストに注目。

【あらすじ】

のび太スネ夫ジャイアンから「メガネザルにそっくりだ」とからかわれるも、なぜか満足げな顔をして帰宅する。
そんなこといわれて、なぜおこらない。」と憤慨するドラえもんだが、のび太は

ぼくににてるなら、よっぽどりっぱなかおのサルだろ。

などとわけの分からない事を供述しており。
メガネザルを図鑑で調べようとするのび太だが、そこのページは破れてしまっていた。

まえに友だちにかしたときに、やぶられたんだ。

そこでドラえもんは「ぼくの図鑑でしらべなさい。」と上から目線に言って「ほんもの図鑑」を取り出した。
動物図鑑の263ページ*1に載っていたメガネザルの図を開き、表紙側をポンポンと叩くと、「キキッ。」という鳴き声を発しながら本物のメガネザルが飛び出してきた!
メガネザルを手に載せたドラえもんに「なるほどにている。」と言われたのび太は「キーッ」とメガネザルそっくりな声を漏らして激怒。

もういい、しまってくれ。

逃げるメガネザルに図鑑を押し付けると、元の図鑑に収まった。
のび太は「いい図鑑だね。かしてよ。」といつものように頼むが、ドラえもんは「だめっ、ほんものだから、なくなるとこまるんだ。」と渋る。
だが結局押し負けたドラえもんはのび太に図鑑を貸してあげることに。
のび太の部屋からモクモクと蒸気が噴き出し、「火事だ。」と騒ぐ友達。ただ1人スネ夫は

ちがうよ、あれは入道雲だよ。カミナリがなって、夕立がふるんだ。

冷静に分析。そして分析の通りこれは入道雲であり、スネ夫達は激しい雷雨に巻き込まれた。

この(「おてんき」の)図鑑で出したんだ。


様子を見ていたのび太がやってきてタネ明かしをしたところ、あろうことか友達は図鑑を1冊残らず強奪していった。モミクチャにされて満身創痍ののび太。

きみの友だちはかりた本をやぶるような、ひどいやつだろ。

とり返してくるから。

まずはたべもの図鑑を持っていったジャイアン。「ちょっとくらいいいじゃんか。」と渋るが、ドラえもんは鬼瓦の如き形相で「だめっ、すぐかえせ。」と急かす。そして返してもらった図鑑を吟味すると……

やったな。おかしをたべちゃった。

このガキ大将、よりにもよって高級なお菓子のページを全部平らげていたのである。*2ビッグ・マム並の食い意地だ。
ブチ切れたドラえもんに首根っこを掴まれ、ジャイアンはしかたなく「かってかえすよ。」と弁償することになった。

ちょうがたりない。

昆虫図鑑を借りたメガネのモブは蝶を標本にしようとしていた。彼は「めずらしいちょうが手に入ったとおもったのに。」と言ったが、生きた蝶を殺して標本にしようとした辺り少年の日の思い出の主人公よりタチが悪い

のりもの図鑑所載のフォードの1915型を走らせる二人組のモブ。
ひとまわりしてからかえすよ。」と抜かしているが、それ以前の問題(道交法違反)だと思うんですが
そしてフォードは不幸にも電柱に追突してしまう。図鑑の主、ドラえもんは無惨な残骸となって図鑑に載ったフォードを見て苦い顔だ。

だれかきてえ!

オバケ図鑑を借りたしずかちゃんや傘化け、骸骨オバQなどの世にも恐ろしい妖怪変化を目にし、顔面蒼白になって悲鳴を上げている。
しずかちゃんも強奪に参加した事が明らかになったり、自分で出したにも関わらず怖がっていたり(当然妖怪たちは困り顔)、ドラえもんとのび太がしずかちゃんの部屋を自然な流れで覗いていたり、もはや1コマだけでツッコミどころ満載である。

かくして無事全ての図鑑がドラえもんの手に戻った……かと思われたが。

まだ、いっさつたりない。

それは「大むかしのいきもの」の図鑑。のび太は「きっと、スネ夫だ。」と決めつけてスネ夫の所に向かう。
するとスネ夫はなんとマンモスを取り出していた。腕6本、足4本という大威徳明王みたいな姿になって逃げ惑うスネ夫。

おこらせちゃだめ。おこらせたら、手のつけようがないんだ。

「ぞうさん」の歌を歌い、マンモスを宥めようとするドラえもん。

しめた!うっとりときいてるぞ。

すてきなぞうさん、いいぞうさん。ぞうさん大すきよう。」とアドリブを織り交ぜながら、ゆっくりと近づき、図鑑に戻そうとするが……

バ シ ッ

あっ、図鑑が。

なんと長い鼻で図鑑を弾き飛ばされてしまった。
すかさずのび太は「おはなし図鑑」で英雄豪傑、ターザンっぽい人やスーパーマンっぽい人、しまいには人間大のウル○ラマンっぽい人を次々に召喚。
だが全く歯が立たず、1コマで全員瞬殺されてしまう。マンモスが強すぎるのかヒーロー達が弱いのか……

とうとうマンモスに掴まってしまったのび太。万事休すかと思われたその時。タケコプターを着けたドラえもんがのび太ごとマンモスを図鑑に封印するのだった。

のび太くん、マンモスは図鑑にもどったから、もう安心だよ。

とドラえもんが声をかけると、図鑑の中から

ここだよう。だしてくれえ。

と声がした。
マンモスのページを開いてみると、なんとマンモスの挿絵の傍らに泣き喚くのび太の挿絵と解説文が記載されているのだった


【ほんもの図鑑】

現在で言う「小学館の図鑑NEO」や「講談社の動く図鑑MOVE」のような学習図鑑の体裁になっており、
出したい物品のページを開いて表紙側を叩くと中からその本物が飛び出してくる。
元に戻すには上から図鑑を被せればいい。図鑑から出した状態で破損してしまうと元に戻してもその状態のままとなり、完全修復はされない。

作中で確認できる巻は使用されたのが「どうぶつ」「おてんき」「たべもの」「こん虫」「のりもの」「オバケ」「大むかしのいきもの」「おはなし」、
台詞で言及されたのが「しょくぶつ」、絵のみの登場が「とり」「しゃかい」「さかな」。
また水田版アニメオリジナルエピソード「うら山危険生物パーク」では「きけん生物」の図鑑も確認できる。

学習図鑑の体ではあるが「オバケ」のような学習図鑑には向かないであろう題材*3や「おはなし図鑑」のような著作権的にアウトそうな代物*4すらある。

一方で元々の図鑑にはなかった物品を載せる事も可能。
オチで「大むかしのいきもの」の図鑑に閉じ込められたのび太は図鑑から声を発していたが、恐らくそれによって区別する事が可能と思われる。
本の挿絵は破られたりしない限り不変である事を鑑みると、非常食や場所を取らないコレクション代わりにも使えるかもしれない。
実際『続ドラえもん全百科』では「餌を買うお金もママを説得するすべもないくせにペットを飼いたいとか言い出す横着な人向きの道具だ」などと言われている。
邪魔な人間を閉じ込めるのはやめようね!

ザ☆ドラえもんズ スペシャル』ではマタドーラが使用し、「バク」を出している。
このバクは動物園に生息するものではなく伝説の霊獣の方の「バク」で、おそらく「オバケ」か「おはなし」あたりが底本と思われる。
悪夢に魘されるカルミンの治療の為にマタドーラが出した…までは良かったのだが、本来は大人しく無害なバクはカルミンの悪夢を食ったことで凶暴化し、
永遠にカルミンの夢の中に居続けるために治療をほっぽらかして永遠に悪夢を見せ続ける怪物へと変貌を遂げ、カルミンは昏々と眠り続けて衰弱してしまった。
マタドーラとドラえもん、のび太、そして悪夢のもととなったある人物の介入によりバクは元の姿に戻り、無事にマタドーラに回収された。

【アニメ版】


◇大山版「ほんもの図鑑」
1979年7月2日放送。

◇大山版「ほんもの図鑑でほんものを」
1992年8月7日放送。

◇わさドラ版「ほんもの図鑑」
2006年2月3日放送。同年公開の『のび太の恐竜2006』のコラボ企画である「恐竜ちょっとだけスペシャル」の第3弾。…マンモスって恐竜だっけ?
また、初放映時は「ドラえもんvsマンモス!」という煽り文がついていた。

きみの友だちはたてた項目をあらすような、ひどいやつだろ。

追記・修正してくるから。

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最終更新:2021年04月19日 20:07

*1 初出時は52367911ページというとんでもない所に記載されている。

*2 なお、このページのジャイアンの顔をよく見ると顔が膨れている。

*3 そもそもどうやってオバケの「本物」を手に入れたのか疑問である。

*4 学研の図鑑レーベルで『キン肉マン』の超人図鑑と『スーパー戦隊』の図鑑が出ているが、学習目的というよりはエンターテイメント物に近い。