山菜狩りとクローバー(名探偵コナン)

登録日:2021/07/24 (土) 09:01:50
更新日:2021/09/03 Fri 15:22:19
所要時間:約 13 分で読めます





間違いない… 犯人はあの人だ…

オレ達に見つけさせる為に… ここへ連れて来たんだ…

魔法のように出現させた… この遺体を…


『山菜狩りとクローバー』とは、『名探偵コナン』において江戸川コナンが解決した事件の名称である。
単行本第97巻に収録(サンデー掲載時1032〜1034話)。テレビアニメでは第1011話・第1012話として2021年7月10日と17日に放送された。
今回で、黒の組織の重鎮ラム候補の1人である若狭留美と「ある人物」の関係がほんの少しだけ明らかにされている。
今回は久々となる、犯人が最初から分かっている倒叙ものである。


※以下ネタバレが含まれますので、未読・未視聴の方はご注意ください。


【ストーリー】
小林と若狭は、自然と触れ合う課外授業の下見のために、コナン達少年探偵団を連れて群馬県水ノ上を訪れる。
水ノ上駅では小学校教師の善田舞佳が出迎えてくれるが、彼女は既に寿退職しており、今回が教師としての最後の仕事であるという。
早速善田のワゴン車で現地へ行く事となるが、車内には引っ越し用の段ボールが積まれていたので、コナン達はそれを窓の方に寄せて乗り込んだ。
課外授業が行われる予定の山に到着したコナン達は、善田の提案で車の横で記念写真を撮影。その後は付近の野原で山菜採りを楽しんだ。
そんな中、歩美と善田は飲み物を取りに車へと戻るが、その際に善田がピアスを落としてしまい、歩美と一緒に探す事に。
一方、風向きが変わった事でコナン達のいる方へ血の匂いが流れ、何かあったのではとコナン達は車へと戻る。
すると、車の後ろの木に男性の刺殺体がもたれかかっており、遺体の傍には引きずったような跡が残っていた。

被害者はIT系会社社長の吹越桐司で、彼は善田の婚約者でもあった。
捜査を担当する山村は善田を疑い、結婚が嫌になって彼を殺害して放置し、コナン達と一緒に遺体を発見して驚いたふりをしたのではないかと推理。
しかし、コナン達が山に到着した時には遺体はなく、遺体が発見されるまで善田はほとんどコナン達と一緒にいたので、彼女に遺体を運ぶ暇はなかった。
先程撮影した写真にも遺体は写っていなかったので、これにより善田の疑いは晴れたかに思えたが、コナンは彼女の右手と肘が泥で汚れているのを見つけ、彼女が真犯人だと疑う。
その推理どおり、善田はここに来る前に吹越を刺殺し、ある方法で山菜採り中に遺体を出現させたのだ。
果たして彼女はどのようなトリックで遺体を出現させたのか…?


【事件関係者】
※名前の元ネタは「山菜」関連。

  • 善田舞佳(ぜんだ まいか)
CV:冬馬由美
元小学校教師。38歳。
吹越と結婚する予定であり、先週に寿退職している。
今回の「自然と触れ合う授業」が教師としての最後の仕事であり、小林と若狭の下見にも付き合った。

今回の事件の犯人。
吹越に多額の金を貢いでおり、婚約指輪の金まで出していたが、その後で彼が結婚詐欺師だと気づく。
それと同時に殺意が芽生え、彼が詐欺で貯めた金で建てた別荘の前まで目隠しをして連れて行き、洋包丁で刺殺した。

その後、水ノ上駅でコナン達を出迎えると、ワゴン車を出して課外授業の行われる山中へ向かう。
車の横で記念撮影をした後は、コナン達と一緒に山菜採りをし、その途中で歩美と一緒に飲み物を取りに車へ戻る。
その時にピアスを落としてしまったと言い、歩美と一緒に車の横の地面を探した。

その後で遺体が発見され捜査が始まると、山村に犯人ではないかと疑われるが、歩美達の証言や記念写真等から遺体を運ぶ暇がなかったことが分かり、容疑者から外れている。
だが右手と肘が泥で汚れており、これを見つけたコナンは彼女を不審に思うようになる。

名前の由来は「ゼンマイ」。

  • 吹越桐司(ふきこし とうじ)
CV:山口太郎
IT系会社社長。42歳。
正体は結婚詐欺師。本名は「閏間茂史(うるま しげふみ)」と言い、様々な偽名を使って他県でも数多くの詐欺事件を起こしている指名手配犯だった。
何人もの女性を騙して貢がせた金で大きな別荘を建てており、そこで恋人と暮らしていた。
正体に気づいた善田に別荘の前で刺殺され、遺体を別荘近くの森まで運ばれる。
余談だが、原作の吹越の遺体は目が開いた状態である為、コナンは直接目を調べていたが、アニメでは目を閉じた状態の為、閉じている目を開けて調べていた。

名前の由来は「フキノトウ」。彼が使っていた偽名の由来も山菜もじりである。

薄井塁人→ウルイ
只野創→タラの芽
古後道生→コゴミ
瀬川陸明→セリ

ちなみに彼の本名「閏間茂史」の由来は「ウルシ」で、山菜と間違われやすい毒草として知られる。

  • 女性
吹越の恋人。別荘で吹越と暮らしていた。
クローゼットの中で衰弱している状態で発見されたが、両手が血で真っ赤に染まっていた。
暗所閉所恐怖症であり、昨夜ワインを飲んだところまでは覚えているが、気が付いたらクローゼットに閉じ込められ、パニックになって出られなくなったと警察に証言している。
警察に発見された後は、任意同行をして警察署で取り調べを受けている。
山村は彼女が本当に暗所閉所恐怖症なのかを疑い、もののはずみで吹越を殺害してしまった彼女が、詐欺被害者の善田に罪を着せる為に遺体を森まで運んだが、思ったより早く遺体が発見されたので慌ててクローゼットに隠れたと推理する。
彼女も善田と同じく結婚詐欺の被害者なのかは不明。まあ吹越に別荘に招かれていたことや善田がわざわざ罪を着せたくらいなので、吹越の本命の相手であり彼の所業を知っていた可能性はあるが。


【レギュラー陣】

ご存知主人公。
善田の右手についていた泥の跡から彼女を疑い、何らかの方法で山菜取り中に遺体を出現させたと推理する。
そして歩美が探していた四つ葉のクローバーを車の真横で見つけ、タイヤの後ろにタイヤ痕が残っていた事から、善田の使った遺体出現トリックを見抜いた。
その一方で、右目を押さえながら倒れそうになっていた若狭を見て、やはり右目に障害があるのではないかと疑う。

ご存知哀ちゃん。
若狭が倒れそうになった後で彼女を注意深く見つめていた。

ご存知純真小学生。
善田のピアスを探していた時に、前輪のタイヤの側で四つ葉のクローバーを発見する。
しかしピアスを探している最中だったので後で摘もうとしたが、再び前輪のタイヤの側を探しても見つける事が出来なかった。
四つ葉のクローバーを見つけたら、殺害された婚約者が詐欺師だったと知り落ち込んでいるであろう善田にプレゼントしようと考えていた。

ご存知探偵団団長と天才小学生。
山村に関してヘッポコという印象しか持っていないらしく、山村が珍しく的を射た推理をしていたにも関わらず、
「お前いつもトンチンカンな事言ってるじゃんか」「変な事言って捜査を混乱させないでくださいよ」と言いたい放題言って山村を怒らせていた。

コナン達1年B組の担任。
1・2年生で合同授業として「自然と触れ合う授業」を行う事となり、課外授業を行う予定の山を下見する事にする。
児童たちの現地での反応も見てみたいという事で、とびきりマセた子供達である少年探偵団も下見に連れてきた。
車の運転免許は持っていないらしい。

コナン達1年B組の副担任。
コナンとほぼ同じタイミングで血の匂いを感じ取り、鋭い目つきとなっていた。
光彦が言った「お守り」という言葉で羽田浩司の事を思い浮かべ、激しく動揺しながら右目を押さえつい膝をつきそうになる。
コナンが山村を麻酔銃で眠らせている場面を目撃すると、何かに気づいたのか不敵な笑みを浮かべる。
なお、一部の人に忘れられがちだが、彼女は麻酔銃の存在はコナン直々に教えられているため、麻酔銃の存在に気付いた場面ではない。

群馬県警警部。
今回は珍しく冴えており、「結婚が嫌になり殺してここに放置し、山菜採りで呼んだ人達と一緒に遺体を発見し、「わぁビックリー」って作戦なんじゃないですか?」と善田の犯行計画をほぼ的中させていた。
しかしその後で善田にそんな暇がなかった事が判明。少年探偵団に馬鹿にされてしまいつい腹を立てる。
その後、本当の犯行現場が別荘前だと判明すると、犯人は別荘の中にいた女性だと断定。
コナンに矛盾点を突っ込まれても小五郎のように全く耳を貸さなくなってしまったので、やむなくコナンは若狭に警戒しつつ彼を眠らせ推理ショーを行う事となった(『河童が見た夢』以来久々。)。

  • 羽田浩司
CV:安元洋貴
17年前にラムに殺害された棋士で秀吉の義兄。
若狭の回想に登場し、「「遠見の角に…好手あり」ってね…」「それでも僕を…殺すと言うんですか?」と問いかけていた。
殺害された後で、若狭に「馬鹿な奴…」と思われていたが、果たして彼と若狭の関係とは…。
今回で初めて台詞ありで登場。アニメ版でも声優がついている。


以下、事件の真相。さらなるネタバレにご注意ください


























ごめんなさい吉田さん…
その四つ葉のクローバーは受け取れないわ…

私は人を殺してしまった悪い人だから…
罰を受ける前に幸せなんかもらっちゃいけないの…

もっと幸せにしたい人に贈ってあげて…


  • 善田舞佳
実は山菜採りの間に吹越を運んだのではなく、コナン達が山へ来る前から遺体を置いていた
コナン達が到着時に吹越に気づけなかったのは、ワゴン車で遺体を隠していたからで、歩美と共にワゴン車に戻った時にワゴン車を動かし、遺体を皆の視界に出現させたのである。

コナン達が遺体に気づくまでエンジン音はしなかったので、怪力がなければエンジンが切られた車を動かすのは不可能のように思える。
だがタイヤ同士は繋がっているため、シフトレバーをニュートラルの状態にしておけば、タイヤ1つを動かす力だけで女性や子供でも簡単に動かせるのである

吹越が隠れるように車を停めた後、シフトレバーをパーキングにせずにニュートラルにしてエンジンを切り、キーを刺したまま車を降りる。
その際、車の側に遺体がなかったと錯覚させるため、記念写真を撮ろうと言って車の横で写真を撮った。
その後は誰かが「喉が渇いた」と言うのを待ち、車に積んである飲み物を取りに行くと言って証人となる子供(歩美)を誘って車に戻る。
そして飲み物の袋を車から降ろした所で「ピアスを落とした」と言い、歩美とピアスを探すふりをしながら右手でタイヤを動かし、吹越の遺体を出現させた。

車が動かされた証拠として、歩美が前輪のタイヤの側で見つけたという四つ葉のクローバーは、車のほぼ真横で見つかった。
歩美達がいくら探しても見つけられなかったのは、車が微妙に前進していたからである。
証拠はもう1つあり、後輪のタイヤの後ろには、前に少し動いたというタイヤ痕があった。
また、善田の右腕についていた奇妙な泥の跡は、右手でタイヤを回した時についたものである。

ただ車を停めるだけでは、車内の人間に吹越の遺体を見られる恐れがある。
そのための目隠しが車内に大量に積んでいたダンボールであり、皆が車に乗る時に邪魔だからと言って右側のサイドウィンドウと後ろのリアウィンドウに立てかけ掛けさせて視界を遮った。

ちなみに吹越の恋人をクローゼットに閉じ込めたのも善田の仕業。
彼女がワイン好きの暗所閉所恐怖症だという事を聞きつけ、彼女と待ち合わせをしている吹越は飲まないと踏み、昨夜に睡眠薬入りのワインを吹越にプレゼントする。
吹越を刺殺後、彼が所持していた別荘の鍵で中に入り、寝ている女性の手に吹越の血を付け、クローゼットに閉じ込めた。
そうしておけば、暗所閉所恐怖症の彼女は目が覚めても警察に見つけられるまでクローゼットから出られず、凶器の洋包丁を別荘のゴミ袋に入れてワインを持ち去れば、彼女の言い分に信憑性はなくなり犯人に仕立て上げられるというわけである。

吹越殺害後は、返り血を綺麗に洗い流し服も着替えていた。
しかし吹越とここへ来る時にもワゴン車を使っていたので、運転席のどこかから拭いただけでは消えない血液反応が出る可能性が高かった。
それが自らの犯行を証明する決定的な証拠となったのでつい黙ってしまうが、善田の無実を信じていた歩美に「違うもん!」と庇われる。
しかし、目に涙を浮かべながら自分を庇ってくれている歩美が、自分のために四つ葉のクローバーを見つけてくれたと知ると、殺人者である自分にはそれを貰う資格はないとして犯行を認めた。

動機はやはり、結婚詐欺師であった吹越に騙された恨みであり、彼の恋人に罪を着せて殺すために今回の計画を立てた。
犯行を認めると、優しい口調で歩美に「その四つ葉のクローバーは、もっと幸せにしたい人に贈ってあげて」と話す。
そして「教師を辞めておいて正解でした。児童を自分のアリバイ作りに使うなんて、まさに教師失格ですから」と言って、群馬県警へ連行されていった。

  • 吹越桐司
様々な偽名を使って何人もの女性を騙し、それで得た金で別荘を建て恋人と暮らしていた。
結婚詐欺の常習犯なので当然だが、それらの行為に罪悪感は持っておらず、善田に殺害される直前も「ご、誤解だよ…」等と見苦しい言い訳をしようとしていた。
善田以外にも多くの女性に恨まれていたと思われるので、今回殺されなくとも遅かれ早かれ別の女性に殺害されていたかもしれない。


【その後】
事件解決後、善田に渡せなかった四つ葉のクローバーをどうするか悩んでいた歩美は、先程の善田の言葉を思い出す。
そこで、日頃からよくドジばかりする若狭にそれを渡す事にし、受け取った若狭はそれをハンカチに包み、「大切にするね」と笑顔を見せた。

その後、歩美達は先程から姿を見せないコナンを探すが、若狭は歩美が目を離した途端にハンカチを握っていた手を緩め、クローバーを風に飛ばした
その際には先程の笑顔からは想像がつかないような険しい表情となり、それを後ろで見ていたコナンは再び彼女への警戒を強めたのだった…。


【余談】
今回は、山村ミサオ役の古川登志夫と若狭留美役の平野文が『うる星やつら』で共演していたためか、あちこちで『うる星やつら』を意識したネタが幾つか見られる。

該当シーン・台詞 解説
善田が吹越を「ダーリン」と呼ぶ。 ラムが諸星あたるを「ダーリン」と呼ぶ。
コナン「すみませんねぇ…うるせぇヤツらで…」 『うる星やつら』
山村「雷様殺人事件でしょ?鬼嫁が旦那をビリビリーって感電死させるヤツ!」 ラムがよく電撃であたるをお仕置きしていた。
アニメ版ではイメージ内で登場した鬼嫁と旦那が作者の高橋留美子風に描かれており、
旦那の手が高橋作品でお馴染みの中指と薬指を曲げたポーズになっていた。
山村の高校の同級生に暗所閉所恐怖症の友人がいた。 面堂終太郎(中の人は初代毛利小五郎役の神谷明氏)が暗所閉所恐怖症。
山村の「暗いよ狭いよ怖いよォオオ!」という台詞は、
面堂が閉じ込められ騒いでいた時に言っていたもの。
アニメ版ではイメージ内で山村が面堂と同じように釣り鐘の中に閉じ込められていた。
歩美「サクランボは大好きだけど、錯乱は大きらいだもん!」 登場人物に「錯乱坊(さくらんぼう)」(中の人は初代鈴木次郎吉役の永井一郎氏)という人物がいる。





追記・修正は、山菜採りの最中にお願いします。

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最終更新:2021年09月03日 15:22