マシンガン娘のゆううつうつうつうつうつうつうつうつうつうつうつうつうつ(空が灰色だから)

登録日:2023/02/02 (木) 20:28:22
更新日:2023/03/07 Tue 20:19:49
所要時間:約 5 分で読めます








牛島、乙香、今日カラオケ行かねぇ?


んーとーカラオケー?いいよ

ちょうど

今からカラオケ!?


気分転換に
私達高校3年生の受験生だよアスカなんて特に成績悪いのに大丈夫なの!?もう浪人覚悟!?



痛い痛い!グサグサ刺さってる!



乙香!あんた懐に入ってきすぎだっつの!インファイターか!



マシンガン娘のゆううつうつうつうつうつうつうつうつうつうつうつうつうつ』とは漫画『空が灰色だから』の4巻に収録された短編である。
とあるおしゃべりな女子高生のお話。



【あらすじ】


高校3年生の仲良し3人組である乙香・牛島・アスカ。
乙香は少々おしゃべりが過ぎて時折会話を遮ってしまうことがあった。
そんな中、3人はカラオケに行くことになり…



【登場人物】



  • 乙香(おとか)

今回の主人公である女の子。高校3年生。
3人の中で最も小柄で、緑髪をツインテールにしており、水玉のネクタイとタイツを着用している。
非常におしゃべりな性格で、とにかく人の言動に速攻でマシンガントークで返す癖があり、それにより会話が遮られてしまうこともしばしば。
だが根は真面目な性格で、言っていることも的を射ていることがほとんどである。だがやや毒舌。



  • アスカ

乙香の友人の1人。
ボーイッシュな女の子で、鼻の絆創膏が特徴。
今時の女子高生らしく青春を謳歌したがっており、乙香のマシンガントークじみた説教には辟易気味。
鎌瀬(かませ)という男子と付き合っているらしいが、本人は否定している。



  • 牛島(うしじま)

乙香の友人の1人。
3人の中で最も長身で、外ハネした黒髪と細目が特徴。
乙香のマシンガントークで言動を遮られても気にしない程マイペースな性格だが、やや毒舌。

【ストーリー】



というわけでカラオケに行くことになった3人。
アスカは人生は勉強だけじゃ意味がないと言おうとすると。


死ぬまでにいかに人生を楽しむか
勉強してよりよい進学したらそれこそ人生を楽しめる基盤を築きやすいと思うけどな



と乙香に論破され泣いてしまう。なんとか話題を変えようとするが、牛島に釜瀬とお家デートすることをバラされてしまう。
すると乙香には



デートじゃねぇよ!誤解生むだろ!なんであんな
アスカって釜瀬とつきあってるの!?この時期に!?アホのくせに!?


と再び言葉で蜂の巣にされてしまい、我慢の限界に達したアスカは乙香を「マシンガン娘」呼ばわりしてしまうが、
当の乙香には「マシンガン娘とは一体?」と冷静に返されてしまう。

この間、牛島は釜瀬がアホのアスカのために勉強会をするために家に来るのだとマイペースに話し続けていた。


というわけで釜瀬とは何もないと豪語するアスカだったが、




だいだいあんな奴に私が
釜瀬はやめた方がいいよ!アイツはナヨナヨしてるし優柔不断だし意志が弱いし根性ないし情けないって感じのタイプだよ!男らしくない!



と言われ、流石に言いすぎだと反論しようとするアスカだったが、牛島にやっぱり釜瀬に好意があると指摘され照れる。


男にそんな理想ばっか求めても乙香は恋人できねーんじゃないかってな!妥協するのも
でも妥協したらあとあと困るんじゃないかな!結婚後何十年と夫婦生活があるんだよ!?


さっきから会話を食い気味に喋る乙香にアスカは激怒するが、乙香反省の色なし。
だが結局カラオケには「喋っていたいから」という理由で行くことになり、その場は別れる3人。

乙香は1人になるが…














以下、衝撃の事実、ネタバレ注意!


































また喋りすぎた だるい 痺れる 無気力だ 胸が苦しい



溶解しそうだ ここから動きたくない 消え去りたい 私をなかったことにしたい



喋ってないと隙間が空く するとどんどん黒い血が血管を詰まらせて気分が悪くなっていく




さっきまでの元気はどこへやら、その場にうずくまってネガティブなことを口走る乙香。*1
遂には2人と遊びたくないとさえ思ってしまう。
アスカのためを思って言った事だったが傷付けてしまったことも気にしていた。
釜瀬とも最初に仲良くなったのは自分だったのに告白を待っている間にアスカと親密になっていたことも気にしていた。
更には勉強勉強うるさい母親に悪口を言ってしまったことも思い出し自己嫌悪に陥る。
そしてアスカが自分をマシンガン娘だと言った意味も「自分の言葉は銃弾のように人を傷つける」と解釈してしまう。

その後も彼女の心の中でネガティブマシンガントークは続く。




こんな私だから後輩からも誰からも尊敬されないんだろうな

みんなどうして息を合わせて喋るのが上手なんだろうどうして私はすぐ会話の流れを乱してしまうんだろう


そういえば以前アスカたちが男子たちと遊びに行った時私はなぜ呼ばれなかったんだろう




思い出す



中学校の頃私は一生懸命音楽祭の練習をしていたのに三沢さんがみんなの前で私が足を引っ張っていると晒しものにした



芸術的歌唱ってなんだろうああそうか私は音痴なんだな



私が喋るたびに声を出すたびに誰かを傷付けてしまう



じゃあ喋らなければいいんだけど喋らなければ隙間が空いてすぐこうなってしまう

そしてまた喋って誰かを傷つけ自分も傷つくその繰り返しだ




考える




彼女たちとこれからもずっと友達でいられるのだろうか

私はこれからもこの倦怠感を背負いながら何十年と生きていけるんだろうか


やはり私は消えたほうがいいんだろうか

勉強しかない恋人もいない人生を楽しめてない将来のない親不孝ものなんて




たくさんと思い出してしまうたくさんと考えてしまうたくさんと血管が詰まってしまう




喋ってないと忘れることができない考えないことができない


ああダメだ


喋らないと



誰かと喋らないと














だが結局カラオケには行ったようで存分に楽しんだ乙香。
相変わらずマシンガントークでアスカをいじり倒すのだった。



乙香マシンガンが炸裂したぞおい!死ぬー
それって日本は銃禁止だから私はいちゃダメだってこと!?




彼女が喋り倒すのは、自分の中に渦巻く不安と自己嫌悪を忘れるため。
友人達がそれに気づき、彼女を救う日は来るのであろうか…




【余談】



乙香は単行本4巻の表紙も担当しており、タイトルの如くマシンガンを持ってぽーすを決めている。



追記・修正は喋り続けてからお願いします。


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最終更新:2023年03月07日 20:19

*1 この後、彼女の体がどんどん黒くなる演出が入る