尾田純(龍が如く)

登録日:2025/07/19 Sat 00:11:18
更新日:2025/08/08 Fri 01:49:22
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神室町で不動産屋やってると荒事も多くてさ……

俺、そこらの極道よりよっぽど血の気が多いんだよね

尾田(おだ)(じゅん)とは、「龍が如く」シリーズの登場人物である。



概要

初代作『龍が如く』から17年前の物語を描いた『龍が如く0 誓いの場所』に登場。

神室町に拠点を置く「立華不動産」の従業員であり、社長の立華鉄にとって右腕のような存在。

人物

態度や言動は尊大で居丈高であり、ヤクザ相手にもそれは変わらない。
物語序盤で白亜ビルのスナック「なませ」に強引な「立ち退き」をしていた際も、交渉として用意した札束を相手の顔面に叩きつけブチ撒けるという横柄な真似も見える。
その一方、立華社長のことは全幅の信頼と忠誠を抱いている。
立華が腎臓の病を患っていることも知っており、「この人は、身体がこんなんじゃなけりゃ、全部一人でこなしちまう」と語っている。

ヤクザにも物怖じしない度胸はあるが、一方で格上の相手に対しては遅れをとり嗜められることもある。
常に冷静で肝も据わっている立華と比較すると、予想外の事態に動揺したり弱音を露わにする場面も多い。


活躍

堂島組を破門され風間の親っさんを制裁から守るアテを失った桐生一馬が、立華不動産の手がかりを探していたところに遭遇。
最初は上記の通りスナック「なませ」の店長に傲慢な態度を見せ、またヤクザから金を奪う立華不動産の不敵さも示していた。*1
桐生と立華を会わせる要望を聞き入れで立華と連絡し待ち合わせ場所を伝えるも、それは尾田が桐生の力を試すための罠であった(立華も「自身と長い付き合いである尾田を納得させる必要がある」との事で罠の件を承知していた)。
容易く部下を蹴散らした桐生にすら軽々しい態度で戦うも、負けた後は素直に桐生の力を認め「仲間」として迎え入れる。

その後は桐生の「教育係」として、社会人のイロハを教えつつ初仕事「占有屋」に付き添わせる。先の戦闘で桐生に敗北した影響で彼に舐められているのか、上司になっても相変わらず桐生からタメ口・呼び捨てで呼ばれる。一度は突っ込むがその後はスルーする。
なお桐生は社会人経験が全く無いため、プレイヤーの選択次第では客先で非常識を振りかざす桐生に慌てふためく様が描写される。ビジネスの席なのにスペースインベーダーのテーブル筐体(二人がけ)を選んだり、ビールを頼んだり、暴力団組員を名乗ってタメ口かつ片手で名刺を渡したりしてはいけません
なお極道社会は一般的にカタギ社会よりもビジネスマナーに厳しい傾向にあり、正解の選択肢を選び続ければ桐生が、不正解の選択肢を選び続ければ尾田がその事についてコメントする。

無事に占有屋の話が解決した後、初仕事の打ち上げとして桐生を天下一通りの「セレナ」に行くよう指示。尾田とおち会うはずだった。
だが元気よくスナックに来るはずの尾田が、負傷してぼろぼろの状態で来店。
東城会に盾突く立華不動産の人間であることに加え占有屋のシノギを台無しにしたことで、阿波野率いる「泰平一家」の怒りを買ってしまったのだった。
多勢に無勢だったためまるで敵わず、尾田は桐生の居場所を答えてしまい、セレナに阿波野達を案内してしまった。
それだけならまだしも、立華を堂島組から逃がすための方便とはいえ、桐生を売った口で「(立華を阿波野に売れと言われたから)桐生は信用できない」と電話で立華に言い放つ。*2
桐生は「これで良いんだ」と言うも、この言動については錦山から怒鳴り散らされている。

ちなみに占有屋の問題が解決してからセレナに向かう間で「神室町マネーアイランド」が解禁される。
桐生にとって重要な金策(能力強化手段)であり、得られる利益もやることも多いため、
下手をすると拷問されている尾田そっちのけで物件買い占め経営に走ることになる。
ちょうどサブストーリーも大量解禁されるタイミングなので、そちらを処理しても良い。そして尾田と再会する頃には立華不動産以上に金持ちになっている桐生が多く発生していると言う声もチラホラ。

その後、立華の交渉が実り桐生の身柄は東城会本家の預かり(=堂島組は桐生に手出しできない)になった。
立華の代わりにカラの一坪の所有者「マキムラマコト」の身柄を保護すると桐生が言った際は尾田も同伴を申し出る。
椿園でマキムラマコトと無事に合流し、後は神室町に戻る…はずだったが、ここにきて渋澤組に追われる立場となってしまう。
多数の渋澤組車両そして武装ヘリを何とかしのいだものの、この前後から尾田の様子はおかしくなり…




以下、ネタバレにつき注意。


































その女にしてみりゃ俺は… 殺しても殺し足りねぇって奴だろうさ

過去

その正体は、マキムラマコトを地獄に突き落とした「蝙蝠の刺青の男」

元々尾田は日本人ではなく、その出自は中国系マフィア。
5年前に日本に密航してからは他のゴロツキと共に「愚連隊」を結成し、盗みや強盗等あらゆる悪事に手を染め金をつくっていた。
そしてその悪事の中には、マコトを含めた多くの女性を売り飛ばすことも含まれていた
(この被害女性達は後に李文海たちの手によって解放され、目が見えず助けを求めたマコトを李が拾い面倒を見るようになった)。

ある日、尾田たちは偶然街で出会った立華に喧嘩を仕掛けるも、子供の頃からマフィアに馴染み裏社会で数々の修羅場を掻い潜ってきた立華にあっさりと完敗。
それ以来尾田は年下の立華のことを「兄貴」と慕い、立華のために命も全ても捧げると決意した。
別のマフィアとの抗争で立華が尾田をかばい右腕を怪我し、それがきっかけで腎臓を悪くしてからは、よりその忠誠心は強くなった。

しかしその決意を否定する、最悪の情報を尾田と立華は得てしまう。
ある日テレビで放映された中国残留孤児の特集に、とある残留孤児の女性が映っていた。
それは立華にとって生き別れた大切な妹
それは尾田にとって立華と出会う少し前に、金目的で売り飛ばした女

そして立華はその妹…マキムラマコトが「カラの一坪」の所有権を持ち、これがヤクザから狙われる理由になることにも気づいた。
立華は妹と再会しヤクザの抗争から守るために、そして一度逃げた自分の運命に立ち向かうために風間の力を借り、立華不動産を設立して行動に移す。
これに対して、尾田が選んだ選択。
それは「立華から失望されたくない」という自己保身のため、立華に全てを知られる前にマコトを殺すことだった。
悪事の露呈を防ぐために更なる悪事を重ねるという、最悪の手段に尾田は手を染めてしまうのだった。


最初に尾田は「マコトを堂島に会わせる」渋澤と利害が一致したことで、マコトが蒼天堀にいることを密告。
またその際に、立華が人工透析を受けている亜細亜街の場所もバラしていた(立華がマコトを探した後に渋澤に横取りさせるためと陳医者は推測している)。
しかし渋澤が雇った西谷誉らが失敗して世良勝に追い越されたことで尾田の予定は狂い、遂に自らマコトを始末せざるを得なくなる。
そのため桐生が蒼天堀へ行きマコトを保護する際に協力するふりをして同行。

渋澤組から逃れて廃ビルに潜伏した時、マコトが自分の正体を覚えていると気づき、桐生達にその本性を露わにする。
桐生に銃口を向け殺そうとした刹那、マコトの仕込み刀が付いた白杖で脚を刺され、その隙に桐生に銃を奪われてしまう。
一転して銃口を向けられた尾田は、桐生達にこの事を全て打ち明ける。

一連の事実が明るみになり、渋澤組に見つかるのも時間の問題。
そんな状態でありながらも尾田の身を案じ逃げるよう促すマコトの発言で「決心」が付いたのか、自分が渋澤組を足止めすると提案。
マコトを桐生に託して逃がし、渋澤組の勢力を分散させることで桐生が敵を倒し進むことに成功。
そして尾田は渋澤と残りの組員に囲まれ、胸を銃で撃たれ虫の息となっていた。
渋澤に問い詰められてもマコトの居場所を吐くことはなく、逆に皮肉を言ってマコトを匿い、最後は渋澤に射殺された。

「立華を慕う心に偽りはない一方、立華本人よりも『立華に信頼されている自分』を守ることを優先してしまう利己的な面があり、自分に不都合な状況になると忠誠よりも自己保身が勝る」という、かなり生々しい類の悪役。
尾田の行いは自己保身と自分都合に満ちており、悲劇の遠因にもなったこと及びカーチェイスとエスコートバトルを立て続けにやる羽目になったことも含め悪役としてのヘイトをかなり買っている。
自身の悪事を桐生達に話した際も、渋澤組に情報を流したことは隠していた点も卑怯とされている。

しかし最後は自分なりにケジメをつけ、桐生とマコトを渋澤達から逃す役を買って出た。
神室町へ帰った後に桐生は尾田の悪行を立華に報告したものの、両者ともに尾田を悪く言うことはなかった。
立華にとっては今まで「右腕」として一生懸命働いてくれたこと、また自身も「生きるために悪事を重ねてのし上がった」過去があるため*3だろうか。
桐生にとっても初めてのカタギの上司であり、ビジネスマナーを親切丁寧に教えてくれた恩や修羅場を共に潜った縁があり、少なからず相棒として認めていたのかもしれない。
渋澤と戦う際も、尾田のことを立華やマコトと共に「ヤクザの身勝手な抗争に巻き込まれた男」として扱っており、渋澤戦後に怒りのあまり渋澤を殺害しようとする桐生は立華・マコトと共に尾田の事も思い出している。

戦闘

第二章の最後にて、桐生の立華不動産入社をかけたバトルがある。

戦闘では一本のトンファーや投げナイフを用いた攻撃を行う。
このトンファーを用いた攻撃は普通のガードが効かないが、攻撃そのものの頻度はそこまで高くない。
桐生側も「壊し屋」スタイルを解禁したところなので、存分に暴れまわりたいところ。
基本的にはラッシュスタイルで尾田の攻撃をかわしながら殴りを入れるか、チンピラスタイルで尾田の攻撃圏外ギリギリから椅子で攻撃してダメージを稼ぐことになる。
壊し屋スタイルは行動速度の遅さがネックになるため、チンピラ同様攻撃圏外ギリギリから家具で攻撃するかヒートアクションに留めておくと安全。

体力を残り1ゲージまで減らすと尾田もパワーアップし、一部仰け反らない技の他桐生を気絶させる攻撃を用いてくる。

尾田との戦闘はこの一度きりであり、真実を知った後では「究極闘技ではなく物語上で真島でもう一度殴らせろ」「もう殺すしかなくなっちゃったよ」と多くのプレイヤーが思ったことだろう。
真島はアッコや李から「蝙蝠の刺青を入れた男」の存在自体は聞かされるもその正体が誰なのかは最後まで知ることはなかった。
最もマコトは『0』のストーリー終了後に視力が回復し、その後が描かれる『極2』では幸せな家庭を築いているため、今となっては「知らぬが仏」なのかもしれない。

ちなみに敵を倒しながら東城会本部を脱出する際には尾田も味方として援護してくれる。大吾に似たモーションで戦い、トンファー無しの素手でも普通に強い。
森永に似たモーションで戦う立華と2人合わせて桐生の死角を補うぐらいのことは十分にやってくれる。連携ヒートアクションも存在するので割と頼りになる。

【龍が如く 維新!極】

リメイク版の『維新!極』にてキャスト差し替えの形で追加された。
井上源三郎が何者かによって殺された後、近藤勇から「本物の井上源三郎・沖田総司・永倉新八は既にこの世にはおらず、それぞれ芹沢鴨・平山吾郎・平間重助が成り代わっている」事が語られるのだが、回想内で本物の沖田総司役として登場。

新選組がまだ壬生浪士組と呼ばれていた頃、土佐での吉田東洋の暗殺を成し遂げた芹沢鴨を井上と永倉を連れて襲撃、襲撃の理由は芹沢達の「水戸脱藩組」が重用されすぎており、自分達「試衛館組」の立場が危うくなるからという理由であった。
井上と永倉は芹沢に返り討ちにされたが自らは有利に戦いを進め、最終的には転倒した芹沢をあと一歩の所まで追い詰めるも、目を覚ました平山と平間の手によって殺された。
この経緯はリメイク前と同じである。

なお劇中では、「美少年」と自称している沖田が真島の兄さんだったことで「その面のどこが美少年だ」とツッコむ場面があるのだが、ぶっちゃけ「本物の沖田総司」である尾田も年齢的にも「美少年」とは程遠い。
尾田自身も二枚目の部類には入り、『0』と比べると若干凛々しいモデリングにはなっているのだが、何分リメイク前では俳優の大野拓朗氏という文字通りの美少年を起用していた*4ため、リメイク前と比べるとどうしても見劣りしてしまうだろう。
美少年云々の話はどこから流れたのだろうか?まさか本物の沖田が生前から主張してたんじゃないだろうな…。仮にそうだとすると、平山が成り代わった後も元から妙な主張をしていたせいで「また変なことを言ってる…」と受け入れられたという形で整合性が取れることになるが。「俺は美少年だ!」と主張する尾田は想像すると嫌だなぁ…
もっとも、現実の沖田もそこまで美少年ではなかったと言われており、寧ろ土方歳三の方が美男子とされていた*5。詳しくはサブカルチャーに関する都市伝説の項目を参照してほしい。

なぜ尾田が本物の沖田総司役として起用されたかだが、メタ的にはリメイク前に発売されていなかった『龍が如く0』以降のキャラが追加されることが売りの『維新!極』にて「裏切り者」枠として尾田が丁度良かったからだと思われる。
『7』のナンバなども一時期は敵に回っていたが、担当声優が芸能人ではなく声優メインの人のほうが出しやすかったのだろう。「俺は美少年だ!」と主張するナンバとか尾田以上にギャグになっちゃうしね

余談

尾田の刺青にある「蝙蝠」だが、これは日本では「その場その場で都合よく立場を変える卑怯者」を意味する言葉でもある。
その一方で尾田の祖国である中国では、むしろ蝙蝠は福と富を招く幸福の象徴として扱われている。
おそらくはそのゲン担ぎで選び立華不動産という富は得たものの、最終的に卑怯者として罪を償う皮肉な暗示となった。

今作で尾田を演じた小西克幸氏は、後に世界観を共有する『LOST JUDGMENT 裁かれざる記憶』のDLC「海藤正治の事件簿」にて貞元響也を演じている。
この貞元という男の詳細はあちらの項目に譲るが、ジャッジアイズシリーズはおろか龍が如くシリーズまで含めても「シリーズ史上最悪の外道/悪魔」と評される事が多い
そのため「尾田も大概な悪党だが、まだ人間の範疇に納まっていた」など、妙な再評価を受けることになる。
尾田の一連の動機が「尊敬する人から見放されたくない」という、ともすれば非常に「人間臭い」ものだったことも後押ししている
(ただしこれは「貞元を比較対象にした時点で大体誰でも『人間』になる」ことからあくまでネタ混じりの評価である)。
ちなみに「海藤正治の事件簿」は『0』から34年後になる。貞元の年齢設定が不明のため、尾田と貞元が同じ空の下で生きていた時期があったのかについては不明。
そのため下手したら貞元は尾田の邪悪な転生体ということになるわけだが…。

顔がタレントの羽賀研二氏に良く似ていると言われている。ただし公式からの発表はないため真相は不明。

追記修正お願いします。


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最終更新:2025年08月08日 01:49

*1 イベントシーンを最後まで見ると分かるが、店長の生瀬がなかなか立ち退かなかったのは「辛抱強く待てば立華不動産から大金がもらえる」事を期待していただけであり、尾田が帰ったあとにいそいそと床に散らばった紙幣を拾い集めた後はさっさと出ていってしまった。さらに生瀬達も流れ者であり、店を構える際に白亜ビルに元居た住人達を無理矢理追い出している。

*2 桐生はその後カラの一坪で立華と再会するが、その時に「あんたを今阿波野に売り渡せば…俺は堂島組に狙われずに済むんだがな」と漏らす。勿論本気で言っているわけでは無いことは立華に見抜かれている。

*3 マコトが攫われた件に関しても、そもそもマコトが家を飛び出した立華を追って日本に来たのが遠因なので、そこに負い目を感じていたのもある。立華自身も尾田の悪行を聞いた後に「自分が逃げてしまったばっかりに母や妹の人生を狂わせ、尾田さんも巻き込むことになってしまった。(要約)」と自省している。これ、逃げずにちゃんと話していたら許して貰えたんじゃ…?

*4 維新発売当時22歳。ちなみに尾田演じる小西氏は0発売当時40歳。

*5 現存する土方の写真も、現代の基準から見ても充分に美男子の部類に入る。