登録日:2024/08/29 Thu 00:03:13
更新日:2024/10/04 Fri 23:17:12
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鈴城芹作品にはしばしば非日常的な存在が登場する。
その中でも代表的な存在が魔女である。
初登場したのは『くすりのマジョラム』。
その後作者の同人誌で過去作の『看板娘はさしおさえ』とコラボレーションした他、
『ホームメイドヒーローズ』『CLUBゲーム倶楽部』にも関係者が登場している。
◎概要
世界に偏在する見えないエネルギー「あるはずのない不思議な力」を魔力に変換して魔法を行使する存在。
人々が魔法の存在を信じない事で発生する力をエネルギー源としているため、その存在は公にはされていない。
とはいえ、極秘の存在というわけではなく、家族や近所の知り合いに明かす程度なら影響はないとの事。
魔女は各々が得意分野を持っており、基本的にはその得意分野に関する魔法しか使えない。
また、性質上魔法を使った商売はどうしても魔女の狭いコミュニティ内でやり取りする形になるため、他の魔女の商売に支障が出る研究はしない事が暗黙の了解となっている。
何故か全体的にコミュ障気味でイタズラ好きな傾向があり、地元でトラブルを起こしている者が多いらしい。
魔女になるためには『素質』と『才能』が必要で、師に一人前と認められた魔女がそれらを持つ女性をスカウトして弟子にする事で数を増やしている。
『素質』は魔力の有無に影響する。
基本的には先天的な物で後から生じる事は無く、逆に魔女にならなかったとしても『素質』が失われるわけではない。
『才能』は魔女として習得できる魔法の得意分野に影響する。
『素質』と違って後天的な物であり、本人が抱く「魔法を使って叶えたい願い」を実現する力という形で発現する。
そのため、例え『素質』があっても「魔法を使って叶えたい願い」が無い者は魔女になる事ができない。
また、一度『才能』を得た後でも、魔女になる前に何らかの理由で願いが変化した場合、『才能』もまた違った物に変化する事がある。
『素質』の正体は「特定の感情の欠損」、具体的には「恋心の欠損」であり、この欠損した心の隙間から生じる力が魔力とされている。
このため魔女は総じて照れや恥じらいといった感情を恋に発展させる事が出来ず、一時的な物としてしか感じられない。
魔女が対人関係でトラブルを起こしやすいのは、この欠損によって「好かれたい」「嫌われたくない」という感情を持てない事が原因であるらしい。
◎作中に登場した魔女
馬放ラム
『くすりのマジョラム』の主人公。
物質(主に蒸留水)に魔力を付与する事で魔法薬を作る「薬の魔女」。
実家は個人経営の調剤薬局「馬放薬局」で、幼少期に「まほう薬局なのに魔法の薬を置いていない」とからかわれ続けた経験から「魔法の薬を作りたい」という願いを持つに至った。
師匠
ラムの師匠であり本名は不明。
魔女の始祖とされる強大な魔女であり、他の魔女と違って特定の得意分野を持たず、様々な魔法に精通している。
常に目の部分が影になって見えないが、これは魔力が高過ぎて相手を無差別に魅了してしまう目を隠すための物。
その正体は人々の「信じられない」という感情から生まれた「あるはずのない不思議な力」の集合体。
力が失われると休眠状態に陥ってしまうため、供給源として「常識では信じられないような出来事」を安定して起こせる存在を欲している。
グラス
『くすりのマジョラム』で存在を示唆された魔女の一人で、同人誌で正式に登場した。
魔法の力を持つ眼鏡の製作を生業にしており、
『くすりのマジョラム』最終回でラムに贈られた「魔女の素質を見抜く眼鏡」の製作者も彼女である。
ラムが「視力を回復する薬」を作れない要因。
ハッター
グラスと同じく『くすりのマジョラム』で存在を示唆された魔女の一人で、同人誌で正式に登場した。
帽子の製作を生業にしており、ラムが被っている帽子の製作者でもある。
ちなみに帽子以外の衣服も作れるらしく、『ホームメイドヒーローズ』ではシィドに衣装を提供している。
天生壱
『CLUBゲーム倶楽部』に登場したラムの弟子。
自己暗示を繰り返すうちに無自覚のまま魔女になったタイプで、より効率的な魔法の使い方を学ぶためにラムに弟子入りした。
才能は自らの能力全般を魔力で一時的に強化する「自己強化」。
◎魔女の関係者
早潮小絵
『看板娘はさしおさえ』の主人公。
『くすりのマジョラム』最終回で一人前になったラムの弟子候補として登場し、後に同人誌で本格的にクロスオーバーした。
才能は「いつまでもみんなと一緒に暮らしたい」という願いが元になった「不老不死」。
しかし、家族が「不老不死」に否定的な反応を示したため、弟子入りは一旦保留という形になった。
ちなみに正確には「魂と肉体の結びつきに別の物体を追加で結びつけて、肉体の劣化速度や寿命を操作する魔法」であり、
結びつけた物体に寿命が左右されるため完全な「不死」というわけではないとの事。
実は「間接的に魂の結びつきを操作する」という性質から、霊になんらかの干渉が行える可能性が示唆されている。
悪の教育組織シィド
『ホームメイドヒーローズ』に登場した(自称)悪の組織。
構成員は首領である師匠謎の存在「イビルマ」、そして「プロフェシー」と「レーラリン」の幹部2人による3人体制。
商店街に突如として現れ、人形を素材に作られた戦闘員「ドールズ」に「悪の教育指導」と称してみみっちい悪戯をさせている。
以前から「悪の組織をやってみたい」という願望を持っていた悪の組織オタクの菅部親娘と、
「あるはずのない不思議な力」の安定供給源を欲していた師匠が出会った事で生まれた家族経営ですらない親子経営の悪の組織。
そもそもが「特撮ドラマのような悪の組織を名乗ってそれっぽい活動をする」事自体を目的として結成された組織であり、
「悪の教育指導」なるものは特に設定を決めないまま勢いで出撃した彼らが現地で咄嗟に付けた組織名から逆算したアドリブと後付けの産物である。
追記・修正は『素質』と『才能』を得てからお願いします。
最終更新:2024年10月04日 23:17