綾小路律子(仮面ライダー)

登録日:2025/04/30 Wed 18:30:00
更新日:2025/05/02 Fri 11:18:39NEW!
所要時間:約 7 分で読めます




「お前は私の手で生き返った」
「一度は死んだお前の体に、再び悪魔の命を吹き込んだのだ!」


綾小路律子とはTVドラマ『仮面ライダー』の登場人物である。
名前だけでは一見さんは「誰ぞ」と思われるかもしれないが、驚くなかれ。
ライダーシリーズに"再生怪人""強化改造"の概念を最初に持ち込んだ歴史の特異点的人物なのだ。
そんな綾小路さんの華麗な活躍を振り返ってみよう。


【概要】


表向きは『綾小路生物研究所』の所長を務めている。
しかしてその実態はショッカーに協力する冷酷な女博士であり、実験のために人間や動物を何ら躊躇いなく殺める本性が潜む。

主に犬や猫などの動物の血液を用いた研究を得意とするようで、劇中ではそれを基にどう考えても爆破で木っ端微塵になった怪人の体を復元させるという恐るべき技術を披露した。
この他にもショッカーの科学者らしく脳改造もお手のもので、仮面ライダーに対し手術を予告している。

「今度は、私がお前の脳改造手術をしてやる!」
「そして、ショッカーの一員になるのだ!」


彼女を語る上で、その活動スタイルについて触れるのは避けて通れない。
長髪を靡かせた妖艶な容姿に、黒レオタードに編タイツという刺激の強すぎる出立ちである。
ステレオタイプすぎるSMクラブの女王さまルックでこの他には申し訳程度にマントを羽織っているくらい。
どうにもヒステリーを起こしやすい性分のようで、劇中では何かある度に鞭を振り回して折檻している。ありがとうございます

そんな濃すぎるキャラ属性を過積載された綾小路博士だったが…

【活躍】

自身の研究所に「犬猫高く買います」の張り紙で動物を集め、血液採集を行う。
ついでに戦闘員の調達も兼ねており、動物を持ち込んだ飼い主は資質が見込まれれば改造コース直行らしい。
能わないものは、実験台として死刑執行の道が待つのみ。

ある程度の収集を終えたところで復元手術にかかり、仮面ライダーに敗れたコブラ男を再生復活させるが、こんなダイナミックすぎる作戦を取った当然の帰結として巷では犬猫を売りに行った人間の連続失踪事件が噂になっており、飼い犬タローが行方不明になった少年・透とその父親である古賀刑事を通して我らがアミーゴ御一行と仮面ライダーの知るところとなる。

その後、コブラ男残念ながら戦闘員として見込まれなかった古賀刑事らを処刑する寸前に乱入したライダーと交戦するが、皮肉にも自らが再改造によって付与した火炎放射が文字通りフレンドリーファイヤーしてしまう。
女の命である顔の一部が醜く焼け爛れてしまい、鞭でコブラ男を折檻する綾小路さんだったが…

「綾小路律子、お前の役目はもう終わった」
「私は、コブラ男を復元さすために、お前の腕を利用させてもらっただけだ」

首領の命令により、鞭にジッと耐えていたコブラ男がついに牙を剥く。
怒りの火炎放射は綾小路さんを焼き尽くし、死体は骨すら残らず完全に灰となった。もったいない…

【謎の人物像】

どういう思惑で、どういう理由でショッカーに属していたかは明らかになっていない。
お約束の学会を追放されて悪の組織しか生きる場所が無かった系マッドサイエンティストなのか、元より悪の資質があったのか?

速攻で首領に見限られたあたり、強化改造のためだけに何かしらの好条件で釣られてヘッドハンディングされた可能性が高いのだが、それにしては配下を統率しての戦闘員の選抜や処刑など妙に手広く権限行使しており、このあたりから幹部待遇として見なす場合がある。

その手腕は見事なもので、生前は武器の溶解ガスに必要な牙を突然の犬にビビって取り落とし紛失といううっかり八兵衛だったコブラ男はガスと引き換えに火炎放射の能力を手に入れ、どこか浮ついていた自我は完全にオミットされて唸り声だけの殺人マシーンとなった。あとエリがダンボみたいに大きく広がった


最期は改造後の自らの安全を考慮していなかったことが仇となってしまう。
三葉虫の志村博士のように切り捨てられた場合の策を講じていなかったのはショッカーという組織の本質を理解していなかったようにも思える。

すぐに鞭を振り回すヒステリーな気性とはいえ、さっさと切り捨てるには勿体ない人員だったのではないだろうか。お色気要員的な意味でも

【メディア展開での綾小路さん】

実はPS2ゲームの正義の系譜に名前だけ登場している。
「ショッカー科学員の名簿」という書類が存在し、緑川博士、ハインリッヒ博士、ディー博士*1、そして同作オリジナルキャラの田所博士などの錚々たる面々に並び、我らが綾小路さんが記載されていた。
この文書はゲーム攻略の直接的なヒントではなく*2、要するに「田所博士はショッカーに所属していた」というシナリオ部分を紐解く要素の説明と行った趣が強い。


【リブート作品の綾小路さん】

本家の50周年を記念して制作されたシン・仮面ライダーの本編、ではなくスピンオフ漫画の『真の安らぎはこの世になく』に、同姓同名の綾小路律子さんが登場している。やっぱりSHOCKERの科学者。
以前からイワン博士(死神博士っぽい人)が率いる絶望派と呼ばれるグループに属し、組織の中核を成す人工知能アイに接続するための8つの鍵であるクリプトキューブの1つを所持しているなど、古参の幹部として本編とは比べものにならないほど重宝されている。

しかしその思惑は謎に包まれており、"正義"によるSHOCKERの改革を目的とするイチローへの賛同を装いつつ、しかしてイワン博士らに与している訳でもなく、双方の停滞と疲弊を目論んで立ち回るが、SHOCKRの構成員らしく彼女にも彼女なりに掲げる幸福像があるらしく、本来はSHOCKERと敵対している筈の政府サイドにも通じいているなど、峰不二子的ななにかとして暗躍する。


本家と同じく"血液をあれこれいじくった"研究をしている科学者らしいのだが、現状は研究面で特に目立った活躍や成果はなく、イワン博士やイチローなど他派閥の瑕疵を結果論で批難するばかりで、とても科学者には見えない。事あるごとに他者の失敗にかこつけて組織の研究開発の凍結を訴えており、目的達成のためにSHOCKERと政府の拮抗状態を求めている様子が散見される。

SNSとかによくいそうなその探究心や理想もなく文句ばかり言う様は多田野にすら「イワンの足元にも及ばないポジショントークしかできない人間」と揶揄された。

見るからに即死しそうな小物臭漂う振る舞いを繰り返しているが驚くべき事に映画本編の段階でも生存しているらしく、イチローの計画を妨害しようと懲りずに水面下で動く。
映画本編でいうところの「一枚岩ではない勇み足の実動班」は彼女が政府に働きかけた結果である事が明かされた。
この実動班はプラーナへの対策がまるでできておらず、実態をまるで把握しないまま出撃だけ要請した彼女が死なせたも同然である。


映画本編では『コブラオーグ』というオーグメントの存在に言及されているが、このコブラオーグが本家のコブラ男に近い存在なのか、そうだったとして再生前の犬にビビる溶解ガスの方か、強化改造後のエリがダンボの火炎放射の方なのか、そもそもこの個体の誕生に綾小路さんの血液研究が関わっているかは明確になっていない。
恐らく漫画版のラストである程度明らかになるとは思われるが…

ちなみに現実の現代社会にある程度寄せた作劇となっているので、本家のSM嬢ルックは流石に撤廃され、スーツをビシッと着込んでいる。
ただその外見で愚痴ばかり言うのでお局のOLにしか見えない。

【余談】

  • 演ずる新井茂子は放映時点で結婚しており、お相手はなんとあの中田博久。キャプテンウルトラでゼロ大帝なあの御仁である。人妻になんちゅう役を…

  • 綾小路さんと同じ回にゲスト出演した古賀刑事と透少年は、やはり同じく『真の安らぎはこの世になく』の登場人物に反映されている。古賀さんは同じく刑事、透はOMITシーンで話題になったとあるキャラクターで両者に本家のような親子関係はない。
    • このうち透は萬画版にも登場しており、やはりコブラ男が甦るエピソードである。同エピソードにはへび姫メドウサなる怪人が登場しており、コブラ男の再生復活を首領(萬画版では総統)に嘆願するというポジションで、微妙に綾小路っぽく見えなくもあい。



※追記・修正は犬猫を高値で買い取ってからお願いします。


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最終更新:2025年05月02日 11:18

*1 こいつだけ厳密にはゲルショッカーなのだが、本作ではショッカー時代から所属した事になっている

*2 本来4章では行く必要すらないアジトの兵器庫で入手できる。