+ | ▼メインキャスト |
Why do people lie to me?
(どうしてどいつもこいつも嘘をつくんだ?)
「世界でも指折りの実力を持つ、世界一問診嫌いな診断医」
という肩書からして冗談のような存在である主人公。 但し、これにはきちんとした理由があり、彼は「人間は皆は嘘をつくものであり、自分にとって都合の悪い"真実"は決して語らない」という理屈を以て医療に望んでいる。 よって相手が都合のいい主張をする機会を与えてしまうだけの問診は時間の無駄であり、その機会を与えなければ嘘をつかれる事もない、というのが彼の弁。 そして実際に彼の元に運ばれてくる患者は皆、
「感染元から浮気がバレる」
「病気だと診断されたら職を無くす」 「もともと死ぬつもりだった」 「(付添人が患者を)もともと殺すつもりだった」
といった様々な事情で嘘をつき、彼の仕事を困難にする。
これには相当腹に据えかねているらしく、彼は「最初から医者の好き勝手にさせてくれればどんな病気も直るのに、なんで奴らは邪魔ばかりするんだ!」と、常日頃から不満を巻き散らしている。
これだけ聞くと彼の主張にも一理ありそうだが、そう単純な構図にはならないのがこの男の難しい所。
何故なら彼もまた、時に患者の嘘を暴く為に、時に自分の好奇心を満たすために、時に純粋に自分の保身の為だけに、人に嘘をつき欺くからである。 さらに彼は自身が脚を患った際に、当時の担当医であったカディの「命を優先して足を切り落とす」提案に耳を貸さなかったが故に生死の境を彷徨った経験があり、 その結果片足の機能不全と恒久的な激痛、おまけに恋人との破局というツケを支払う羽目になった。 特に足の痛みは深刻で、痛み止め薬である「バイコディン」(*1)を常時摂取していないと、彼は医者としてどころか人間としてすらも正常な判断ができなくなってしまう程の苦しみに苛まれる。 そして常人の使用量を遥かに超える摂取を続けた結果、完全な薬物依存者となってしまった。 要は劇中において彼が他人に対して持つ不満はそのまま自身に対する痛烈な皮肉としても成り立っているのである。これがハウスという人間像をより複雑なモノにしている。
こういった経緯から彼は
「人は信用するに値しない。世の中は希望を持つに値しない」という考えに強烈に縛られており、 その人生観に基づき世の理不尽や人間の悪徳を大いに認め、自分自身もその様に振る舞う。
この考えは医者としても
「自分が診断医として優秀であるのは人生を絶望視しているからこそだ」(*3) というスタンスに拘るほど徹底しており、故に彼は「無条件で他人を信用する、或いは人生に希望を持つ人間」を"ただの無知"か"真実に目を向けられない臆病者"か或いはその両方だとして極端に嫌い、時には彼らの知られたくないプライベートを暴いででも彼らを否定しようとする。 但し、それは先述の皮肉と同様
「もしただの一度でも彼らを認めたら、本当に無知で真実から目を背けている臆病者は誰になるのか?」
という恐怖の裏返しであると、彼自身心のどこかで気づいてもいる。
そして「そんな自分の様な人間ですら、幸せを望まずに生きるのは不可能な事」「最早自分の力で自身を正す勇気すら持てない事」も知っている為、 本当の彼は「自分を完全に否定できるくらい、誰かに徹底的に打ちのめされたい」と望んでおり、その思いが彼をより悪辣で、より不幸で、より優秀な医師に仕立てるという悪循環を生み出している。(より大きく人の道から外れば、より大きな反発を生む為。)
因みに彼はこのシリーズの主人公という事もあり、モチーフであるシャーロック・ホームズ由来の特徴を幾つも持っている。
そもそも名前の「ハウス」が「ホームズ」からの取ったものであるし(Holmes→Homes→House)、 薬物依存者という設定も彼が阿片やコカインの常習者であった事を反映している。 他にも「音楽に対する造詣が深い」(*4)「ハウスの住所が "221B Baker Street"」 等々、ホームズに詳しい視聴者であれば細かい所で色々とニヤリと出来るかもしれない。
I spend all my time analyzing "What will the effect be if I say this?" Then there's you. You're a reality junkie.
If I offered you a comforting lie, you'd smack me over the head with it.Let's not change that.
(僕はずっと自分の発言に気を使って生きてきた。けど君はどこまでも現実主義だ。
もし優しい嘘なんてつこうものならすぐ頭をはたかれる。ならこのままでいいさ。)
ハウスが勤めるプレインズボロ教育病院の腫瘍学部門部長(簡単に言えば癌の専門家)でハウスにとっての唯一無二の親友。
ただ、周りから見たら「なんであの二人が親友になれるんだ?」と首を傾げる位、ハウスとは真逆の性格をしている。 常に他人への配慮と思いやりを忘れない模範的な人物で、職業上関わる「先が短い末期患者」に対しても常に人生に希望を見出す大切さを説く事と、それを与える努力を惜しまない。 それは友人であるハウスにも同様で、彼はハウスの為に自分が出来る最大限の便宜を図ると同時に、奴の非人道的な言動を目にする度それが徒労に終わるとわかっていても、人として歩むべき真っ当な道を説こうとする。
そんな彼を友人に持つことは当然ハウスにとって人生の一大事である。何故なら、彼が自身にとってほぼ唯一の心を許せる相手であると同時に、
「"人は信用するに値しない。世の中は希望を持つに値しない"という彼の人生観を否定するに十分な証左が既に自分の目の前にある」からである。 よってハウスは「彼の友情の大きさを測る」為だけに無意味な借金を繰り返したり、彼に黙って犯罪行為のダシに使ったりと、あらゆる形で彼の友誼の真偽を試そうとする。 それによって関係にヒビが入ることも一度や二度ではないが、それでも彼がハウスの友人であるという事実は揺るがない。 ハウスもこれには思う所がある様で、普段は「他人の事など知ったことではない」というスタンスである彼もそれがウィルソンである場合だけは、 あるはずがない自分の意外な一面に戸惑いを覚えながらも本気で彼の事を案じ、(不器用且つ非常識且つ悪意の含んだ形ではあるが)彼の為に尽力しようと試みる。 ウィルソンの方も、常に正しくあろうとする一方で内心では人に気を使ってばかりの自分自身に若干辟易しており、全く遠慮する必要がないハウスとの関係と、自分には到底真似できない彼の生き方に憧れている事を認めている。 こんな感じで全く正反対である筈の二人は惹かれるべくして惹かれあい、腐れ縁を続けているわけである。
…ところで、彼の名前である「ウィルソン」は当然ホームズの相棒である「ワトソン」から取られているわけだが、「ではハウスの例に則って彼がワトソンから受け継いだ特徴は何か?」というと、おそらく
非常~~に女性関係にだらしないという一面だろう。(*5) 過去に2回の離婚を経験しており、シリーズ開始時点でそれが間もなく「3回目」になろうとしている。そんな状況ですら担当の患者と成り行きで肉体関係を持ってしまう体たらく。 特に最後の一件は、事実が明るみに出たら医師免許剝奪を免れない位ヤバイ行為らしく、ハウスでさえそれを彼の口から聞いた時は呆れてまともに口がきけなかった。それでも本人は「女性を弄んでいるつもりは全くない」との事。
You have come here because you rightly think I should fire him, but I can't. Even if it cost me your money, the son of the bitch is the best doctor we have.
(貴方は彼をクビにしたほうが良いって言いに来たんでしょうけど、それはできないわ。例え貴方からの支援が無くなるのだとしても、あの馬鹿は此処で一番の医者なのよ。)
ハウスの大学時代の同期だった女性で、現在は舞台であるプレインズボロ教育病院の"Dean of medicine"の地位にある人物。(直訳すると医学部長だが、院長みたいなモノだという程度の認識でok)
その実力を見込んでハウスを雇用したのも彼女であり、つまり彼女は唯一の「ハウスの直接的な上司」にあたる。 彼を下に置く…という事は当然監督責任が発生するわけで、医師としてこれ以上ない程の人材を得た代わりに、彼女はハウスを排除したい人々からの怨嗟を一身に受けるという代償を背負うことになった。 この辺りを察してか流石のハウスも彼女にだけは頭が上がらない……筈もなく、ハウスはハウスで如何にして上司である彼女を出し抜き、自分が責任を取らずに好き勝手出来るかという事ばかりにその頭を使っている。 そのバリエーションも
目に余る彼の振舞いにブチギレる事も一度や二度ではないが、それでも↑の台詞の様に、彼女の頭の中に「彼を解雇する」という選択肢が上がる事は絶対にない。ただの一度を除いて、だが…
それどころか「仮にハウスがいなくなったら院内の診療科自体を閉鎖する」と言い切る程、彼女は人間としてはともかく医師としてのハウスには全幅の信頼を置いている。 人格的には完全に社会不適合者である彼が「医師」という形で曲がりなりにも人間社会と繋がっていられるのは、彼女の功績によるものであることは間違いない。
…ところで先ほど「セクハラ」という言葉が出たが、このカディという女性、このシリーズにおいて「ハウスの保護者」意外にもう一つ、非常に重要な役割を担っている。それは「本作唯一のお色気担当」という一面。
それなりに立場のある人物でありながら、日頃から大きく胸元の空いたブラウスを好んで着用し、シチュエーション次第ではテニスウェア、バニーガール、裸タオルなどで登場することもあり、挙句の果てには(ハウスの妄想という設定ではあるが)、チアリーダーコスに身を包んでポールダンスとストリップを披露する事すらある。 女性キャストの中ではぶっちぎりの最年長なのにキャメロンや13等の若手を差し置いてこの扱いである。 |
+ | ▼ハウスの部下たちその一 |
Maybe we'll exchange Christmas cards, say "Hi," give a hug if we're at the same conference.
We're not friends, we're colleagues. And I don't have anything to apologize for.
(俺たちは将来クリスマスカードを交換したり、何かの会合でばったり会って挨拶するくらいはするかもしれない。
が、それはただの同僚であって友達じゃあない。俺が詫びなければいけないことなんてないね。)
ハウスのチームの初期メンバーの一人。
黒人且つスラム出身の元犯罪者という経緯故か非常に自己中心的且つ上昇志向が強く、
といった具合に、ちょっと人間性を疑いたくなる様な行動も目立つ問題児。
さらに底辺からから抜け出す事のできた自負からか自惚れの強さも相当なもので、自分以外の人間は基本的に見下す形で接し、上司であるハウスに対しても「俺の方が上だ」といって譲らない。 しかし、その性格はそれだけの実力に裏打ちされたモノであるのもまた事実であり、さらに彼は医師という仕事を「ただの成り上りの手段」としては見ておらず、 「医師としては優秀且つ正しくあろうとする」一点においては、ハウスは勿論他のどの医師よりも志が高い。 また彼は他人に対する態度こそ尊大だが、本当に困っている人は積極的に手を差し伸べようとするだけの面倒見の良さも備えている。 よってこれでも登場人物の中では「大分マシ」な部類に入り、ぶっちぎりで最悪な人間のハウスとは当然日頃から衝突が絶えない。んで、互いにアクが強く頭も良いが故に、その掛け合いも辛辣ではあるがウィットに富んでいる絶妙さを孕んでいる。
例:議論の際、フォアマンがホワイトボードに何か書き込もうとするとすかさずハウスが
「お前、なんでこれが"ホワイト"ボードって言われてるか知らないのか?」といってペンを取り上げる。すかさずフォアマンも 「いいからその"黒い"ペンをこっちに渡してくれませんかね?」と言い返す。
常識的に考えればとてもチームとしてやっていける関係ではないが、ハウスが最も欲している人材とは「自分とは違う意見をもって、自分に歯向かえる人間」であり、(*6)
さらに人との馴れ合いを元から望んでいない彼からすれば、他人との軋轢は何の問題にもならない。 よって彼の様な医師はハウスにとって理想的な存在であり、実際上記の盗作云々に関しても事実を知りながら尚「キャメロンよりフォアマンの行動を称える」位、彼を評価している。 そのせいか、一度死にかけたことが切っ掛けでフォアマンが日和見がちな性格にシフトした際は、「ハングリーさを失った奴など何の役にも立たない」と、ボロクソに批判していた。
その一方で、当のフォアマンはハウスの事を「医師としては一目置くが、人間としては相容れない」と思っており、「どれだけ優秀になれるとしても、ハウスみたいには医師には絶対になりたくない」を常に公言している。
だが、ハウスと一緒に仕事を続ければ続けるほど、自分の願望とは裏腹に自分もハウスの様な人間になっていき、周りからもそう見做される事を彼は徐々に自覚し、それに苦しむようになっていく…
When a good person dies, there should be an impact on the world. Somebody should notice, somebody should be upset.
(善良な人が亡くなる事は世界にとって大きな衝撃であるべきです。誰かが気付いて、気にかけてやるべきなんです。)
初期メンバーの紅一点。
「若くて美人でおまけに優秀」と三拍子そろった人物で、さらに医療に対するスタンスも、フォアマンとはまた違ったベクトルで情熱に溢れている。 特に、誰かの助け無くしては生きていけない「弱者」に対しては、
だが、そんな長所もハウスにかかれば
「そもそも本当に若くて美人で優秀な"だけ"ならこんな所にいる筈がない(幾らでも他に楽に裕福に生きる道があるはず)」 と、彼女の人間性に対する疑惑と興味の種にしかならならなかった。そして、その中身に興味を持ったことが彼が彼女を雇った最大の理由である。 自分の好奇心の赴くまま彼は彼女のプライベートを暴き、実は彼女は「脳腫瘍末期の夫を亡くした経験のある未亡人」である事を突き止める。 フォアマン以上に倫理に対して厳しい彼女は自分の心の瑕に不用意に触れたハウスを激しく非難するが、程なくして彼女は意外なことにハウスに「異性としてのお付き合い」を希望するようになる。 これにはさすがのハウスも面喰らい、最初の内は若くて美人な彼女に好かれる事にまんざらでもない様子だったのだが…
だが、その結局ハウスは、
「彼女が弱者に対して献身的なのは慈愛に溢れているからでなく、"自分が献身的な存在でありたい"という自己欲求をただ満たしたいからであり、男性との交際もその欲求を満たす為の手段に過ぎない」 「つまり彼女が自分に興味を持つのは、自分を"その欲求を満たすのに都合の良い壊れた人間"であると見做しているから」 だと結論づけ、異性としての彼女を拒絶する。(但し、ハウスは自身が心身ともに壊れた人間である事は自覚しており、そう見做される事自体に怒りを表すことはしなかった。) このハウスの言を裏付けるように…かはわからないが、以降の彼女は 「退院を希望する患者を引き留めるために、患者に内緒で一服盛ったり」 「自分が立ち入るべきでない患者とその家族の歪んだ愛情関係を激しく非難したり」 「その癖自分はその患者からくすねたドラッグをキメてチェイスと体だけの関係に溺れたり」 「そのチェイスが真面目なお付き合いを望んだ途端にあっさり彼を捨てたり」(但し、体以上を求めたら関係を終わらせるという宣言自体は予めしていた。) と、どこか自己中心的で、自己完結的な行動が目立つようになっていく。 そして紆余曲折を経て、ついに彼女は「自分は壊れた人間を救っているのだと信じていたが、そうした自身もまた、只の壊れた人間の一人でしかなかった」と悟る。
Know how I got intrested in medicene? When my mother drank, she couldn't handle me, so she locked me in my father's study.
Only so many hours you can cry and bang on the door before you give up, find something to read.
(僕がなんで医師を志したかわかるかい?僕の母は酔うと僕を父の書斎に閉じ込めていたのさ。
幾ら泣いてもドアを叩いても無駄だとわかって父の蔵書を読む様になるまでそんなに時間はかからなかったよ。)
初期メンバーの最後の一人。
所謂"典型的な二代目のボンボン"でハウス曰く「彼は高名な医師である父親のコネでチームに入れた」との事。 同僚の二人と比べて明らかに実力が見劣りしており、ハウスも含めた三人は全員、業務になんらかのイレギュラーがあった場合、半分冗談・半分本気で先ずはチェイスのミスを疑う。 「半分本気」とあるのは、実際に彼のミスや怠慢が原因となって患者を重篤化させた、或いは死亡させたというケースがあるから。 また内面もやや問題ありで、少なくとも初期の彼は医師という仕事にあまり情熱を持っていなかった。 なので上記の二人の様にハウスに食って掛かってでも自分を貫くだけの熱意は持たず、基本的にはハウスの顔色を伺い衝突を避けようと立ち回るスタンスに徹している。 そしてハウスに愛着や執着があったわけでもないので、彼以上の権力を持つ人間には積極的に取り入り、彼を裏切ることすらある。
表面的な所だけを見てみると「ダメ医者」というイメージばかりが目立つが、少しばかり彼の内面に切り込んでみると、また違った側面が見えてくる。
彼の家庭は裕福ではあったが、酒に溺れてまともに育児が出来ない母と、仕事に入れ込みすぎて母を顧みることがなかった父のおかげで家族関係は完全に崩壊していた。 上の台詞の様に半ば軟禁に近い状態で父の書斎に放り込まれる事も多かった幼少期のチェイスは、書斎にあった医学の本を読むくらいしか出来ることがなかったらしい。 この経験が彼に医者になる為の素養を与えたのは明らかだが、同時にこれこそが彼が医者という職業に入れ込む事を躊躇させていたのかもしれない。
しかし、このつらい幼少期は彼に「人の痛みを理解できる心」という美徳をも与えていた。
たとえフォアマンに「あいつはただの"ええかっこしい"だ」と罵られようとも、彼は患者に対しては常に細かい所まで気配りを忘れず、 たとえぶん殴られようとも、患者が理不尽な不幸に見舞われようとする時は他の二人に先んじてハウスに逆らうだけの意地を見せる。ただ、この弱者に対する思い入れが仇となって彼は後に重大な罪を背負うことになる。 また、流石に日頃から他人の顔色を窺ってきただけあって人情の機微にはかなり敏く、 「ハウスが自分の保身の為に院内に流した嘘」に殆どのメンバーが騙される中、ただ一人その嘘を看破したり、 「フォアマンが女性を使って彼に仕掛けた悪戯」に対し、逆にその女性を利用してその悪戯をそのままフォアマンに返したり と、中々強かな一面も見せる。 さらに、フォアマンとキャメロンは自己主張が強すぎて上司の言う事を聞かないこともしょっちゅうなので、欠点である筈の「仕事に対する情熱の低さ」は、 「彼らに代わってちゃんとハウスの指示に従える部下がいる」 と、ポジティブにみなされる事も多い。 その欠点もハウスや他の面々に揉まれていくうちに徐々にではあるが克服する兆しを見せていく。
こんな感じで、「最初から優秀ではあるがどこか危うい所がある」先述の二人とは違い、彼は回を重ねねば重ねる程当初のダメ医者というイメージからは遠ざかっていき、
最終的には同僚に
因みに上司であるハウス曰く
「とりあえずなんでも対抗してくるフォアマン」 「とりあえずなんでも倫理的に咎めてくるキャメロン」 「とりあえずなんでも従うチェイス」 この三人の掛け合いがないと自分は調子が出ないらしく、出張中で三人の意見が聞けなかった時は、何の医学知識もない一般人を三人捕まえて 「とにかく反論する役」「なんにでも咎める役」「無条件で賛同する役」 をやらせて実際に患者を救った事もあった。 |
+ | ▼ハウスの部下たちその二 |
And one day,I will be that sick, and there will be no one there when it's time.
(いつかこの病気が進行して最期の時を迎えても、誰もそばにはいてくれないのよ。)
Season4から登場。
上記のメンバーが三人ともチームから抜けた為に人員の補充の必要性に迫られたハウスが実施した選抜試験の参加者の一人。 非常に秘密主義な所があり、自分の事は努めて話そうとはしない。そのせいで「彼女について知り得るのは精々試験時のゼッケンの番号くらい」という皮肉を込めて、皆から「13」と呼ばれるようになった。 結論から言うと彼女は正規メンバーの一人になるのだが、その経緯がとても不自然で、彼女は試験の最中「任された患者が薬をきちんと摂取したかの確認を怠り、最終的に手遅れなレベルにまで重篤化させてしまう」という、とても拙いミスを犯す。 誰もが彼女の落選を確信していたが、当のハウスは「こういうミスをした人間は絶対に同じミスを犯さない」という理由で彼女を残留させ、その代わりに何故か何の失態も犯していない筈の「彼女と同じチームであった女性候補者」全てを落選にした。 え?なんでそうなるのかって?私にもわからん。 この不自然さは、「彼女は自身のプライベートを餌にハウスの興味引いて試験に生き残れる様、敢えて秘密主義を演じているのではないか?」 という疑念を生み、特に同じ女性の候補者であったアンバーはそれを以て彼女を激しく非難していた。
勿論本人はそんな卑しい人間ではなく、実は
「彼女は"遺伝性且つ不治の病"であるハンチントン病の遺伝子キャリアであり、いつか必ず破滅が訪れるとわかった人生に意味を見出せずにいた。」 というのが真相であった。 将来に希望を見いだせず、行きずりの同姓と一晩限りの快楽に耽る事だけを唯一の慰みとしていた彼女であったが、医療と人生に関しては常に前向きなスタンスを崩さないフォアマンの助力(*7)もあり、少しずつ運命に逆らおうと努力を重ねるようになる。 だがいくら彼女が足掻いてみせても、人生に終わりを告げるカウントダウンは絶対に止まらない事実をより浮き彫りにするだけであった。 ある日彼女は突然、フォアマンにも、他のチームメンバーにも真実を告げないまま、一つの嘘と共に行方知れずになる。
I've done terrible things to you, and I deserve all of this and more, but you can't pretend that what you're doing isn't hurtful.
(確かに僕は君に酷い事をしたし、自分はこの仕打ちに値すると思う。でも君が今していることだって酷い事なんだぞ)
13と同様に選抜試験で採用されたメンバーの一人。
元々は結構裕福な開業医だったが、院内で起こした浮気が原因でそこを追い出され、新たな勤め先を探して、ハウスの選抜試験に参加した。 「世の中に揉まれてくたびれてしまった中年」というイメージがぴったりの人物で、他人が不幸や悲劇に見舞われたときは、さも世の中の酸いも甘いも知り尽くした様な態度で辛辣な言葉を投げかける。 にも拘らず、自分自身の事に関しては総じて見通しが甘く、身勝手な理屈や中途半端な正義感を振りかざしては失敗するという事を繰り返している。
それが最もよく表れているのが彼の結婚生活で、彼は一度起こした浮気で職を失い妻も傷つけたにも拘わらず、オープンマリッジ(*8)に憧れ、性懲りもなくそれを妻に切り出すそうとする。
そのくせ、度重なる忍耐を強いられた妻が受けたメンタルケアの担当者が男性だったというだけで、自分を棚に上げて「実はその男に惹かれているんだろ?自分に対する仕返しのつもりか?」と言い争いになり、結果別れを切り出す始末。 他にも「口をはさむな」と釘を刺されたはずの義理の兄弟の仕事に俄か知識で首、もとい鼻を突っ込み大損害を与えた結果、報復としてその鼻を物理的にへし折られたり、(*9) 嘗ては満点をとったことがある試験の再試験の際に自信を喪失し、フォアマンの制止も聞かずその問題を買収する不正を働くなど、 彼の冴えないイメージを強調するエピソードには事欠かない。
そんな彼だが、何故か「女性にひじょ~~に好かれ
これにはエリート志向のフォアマンは全く理解できないご様子で、一体タウブのどこがいいのかを、彼に好意を持っているナースに問いただそうとする位だった。 一方で、かくいうフォアマンも彼の惨めさを見かねてルームシェアを提案し住む所を提供したりと、何かと世話を焼いている節がある。 他にも、チェイスの様な院内のイケメンを差し置いて何故か彼のバストアップが「病院の広告塔」として採用されることもあったりと、もしかしたら彼の魅力は単純な「良い」「悪い」を超えた所にあるのかもしれない。
You already got the worst news and survived. That's sorta the upside.
(既に最悪を経験して尚生き延びた。ならそれはある意味凄い事だろ。)
上記の選抜試験の参加者の一人。
当初は冴えない面が目立ち、ハウスから早々に失格を言い渡されたが、 「ゼッケンをすり替えて他人のふりをする」 「失格になった事に構わずに勝手に診断に参加する」 といった手段で姑息にもしぶとく居座り続け、最終的には正規雇用の座を勝ち取った。 いい歳をしてクリスマスシーズンになると「プレゼント交換しようぜ!」とはしゃぎ出すなど、明らかに歳不相応な振舞いをすることが多く、その点は皆に軽んじられている。 しかしそのスタンスは「幼い頃に目の前で両親が惨殺される悲劇」という経験から生まれた、 「人生において自分の力ではどうしようもない理不尽は突然に訪れる。ならばせめて生きている瞬間を楽しんだ方がマシだ」 「一度"最悪の悲劇"を経験したなら、それ上回るモノが訪れない限り人は乗り越えられる筈だ」 という人生観によって成り立っており、彼の本当の内面は未熟さとは無縁の代物であった。
しかし残念な事に彼はわずか2シーズン足らずで退場。その最期も「ある日突然自殺死体となって発見される」という、あんまりな物であった。
ただこれに関しては「演じていた役者さんが転職する為に俳優業を引退するので、もう役を続投できない」といった、リアルな事情が絡んでいる。 フィクションの世界ですらリアルと折り合いをつけなくてはいけない、という皮肉なお話。 |
+ | ▼ハウスの部下たちその三 |
I broke the rules because I believed I was right. then why don't I feel good or satisfied? instead, I just feel like throwing up.
(自分が正しいと信じて思ってルールを破ったのに、何で満足するどころか吐きそうな位気分が悪くなるの?)
Season7に登場。
飛び級を重ね、若干13歳で大学に入学したという経緯を持つ天才医学生。 「13」が失踪して空いた枠を埋めるべく、所謂「臨床実習」という形でカディが半ば無理やりハウスのチームに編成した。 「天才」との評判通り、頭脳面は正に優秀の一言。人を説き伏せるだけの胆力こそまだないものの、知識や発想では最初からハウスとがっぷり四つに組んで議論を交わせるレベルにまで達している。 また、数学と美術が専攻だったはずなのになぜか医師を目指したり、友人からは「 だが、いくら変人でも彼女がハウスの嫌いな「世の中の汚さを知らずに育った優等生」である事は変わらず、彼にとってみれば優秀な分無駄に五月蠅いだけの小娘以外の何物でもなかった。 加入当初は事あるごとにクビを言い渡し、しまいには「大学に圧力をかけて医者になれないようにしてやる」と脅しをかけてまで彼女を黙らせようとする。 だが、それでも自分を曲げない彼女にを見て逆に感銘を受けたのか、彼は少しずつだが彼女をメンバーとして認めるようになる。
一方彼女の方は、社会的・倫理的な正しさにこだわりハウスと対立する一方で、彼との時間を通じて
「正しさ"だけ"では決して救えない命がある事」 「人生では自分が望むことの為に、自分が望まないことをやらなくてはいけない時がある事」を学ぶ。 そして実習最終日、彼女は一人の少女を前にして、医師として 「患者の命をチップにしてでも、物事の正しさと本人の意思を尊重するべきか」 「患者のその後の人生を台無しにしてでも、命こそが最優先として彼女を救うべきか」 という岐路に立たされる。
You do know I punched the last person that pissed me off?
(私は私を怒らせた人間は殴るって知ってるでしょ?)
シーズン8で登場。
とある事件が原因で実刑判決を言い渡され、服役する事になったハウス。 フォアマンの尽力によって執行猶予という形で医師に復帰はしたものの、既にチームは解体され、彼にはいかにも数合わせのといった感じの医師が一人宛てがわれるだけであった。それの医師が彼女である。 「小柄でおかっぱ頭、顔には縁の厚い眼鏡を掛けている東洋人」と、見た目からしていかにも冴えない雰囲気を醸し出しており、実際の振舞いも普段はオドオドしていて非常に頼りなさげ。 しかしその第一印象に反して実は相当な気位が高い人物で、 そもそも閑職であるハウスのお供を宛がわれたのは、セクハラ紛いの事をした気に入らない上司をぶん殴って黙らせたのが原因であり、 その後自分から他の病院への移籍を希望しておきながら、それを承諾しようとしたフォアマンに「自分はこの病院にとっての財産であるハズなのに本当にいいんですか?」と言い切る位、いい根性をしている。
彼女の「自ら立場を危うくすると知りながら自分の意地を通そうとする」点に自分と同じ匂いを感じ取ったのか、ハウスは体よく自分に押し付けられただけのお荷物だった彼女を一応はチームメンバーとして認めるようになる。
しかし、ハウスの部下になる事は即ち、「ハウスに対してでも同じだけの気概を見せなければならない」という事でもあった。 よって彼女は彼の下で改めて、自分の医師としての真価が試される事になる。
He got me fired. He gave me the guts to get fired.
(彼のせいで私はクビになりました。クビになるだけの勇気を私に与えてくれたのです。)
シーズン8で登場。
ハウスが収監されていた刑務所の常勤医師。 「越権行為をすれば刑期が伸びるぞ!」という警告を何ら気にすることなく刑務所内で出会った患者を救おうとしたハウスに感銘をうけ、 自らも自分の保身しか考えない上司を押し切って治療に臨んだところ、めでたく解雇を言い渡された。 職を失った彼女はしばらくボランティアとしてハウスの診断に付き合い、彼が 医師としての能力は申し分ないが、出自がいいお嬢様であるが故、例によって倫理には五月蠅く世の中の厳しさに疎いきらいがある。 そもそも刑務所で医師をしていた動機が「恵まれた毎日の生活に退屈を覚えていたので刺激が欲しかったから」であったことや、 「アウトローに憧れて家出をし、ろくでもない男と付き合った経験がある」ことからもその温室育ちっぷりがうかがえる。 最も、後者はかなり苦い思い出になったようだが…。 その辺の個性は診断にも現れていて「理想的であるが、それ故に現実を知った大人からすれば最早ファンタジーにしか思えない主義主張」を展開し他人を呆れさせることもある。(*10) 例えるなら「綺麗でマイルドなキャメロン」といったところか。 |
+ | ▼その他の人物 |
And then, you never wanna see curry for a really, really long time.
But you wake up one day and you think...God, I really miss curry.
(もうカレーなんて沢山だ、って長い間思っていても…ある時目が覚めると途端に恋しくなるの。)
ハウスの昔の恋人。Season2に登場。
脚を患い生死の境を彷徨っても尚、「死んでも足は残す」と譲らなかったハウスが意識を失った際、 代理人として治療の意思決定権が自分に移る事を利用し、当時担当医だったカディが提案した折衷案を実行する事に同意する。結果どうなったかは先述の通り。 これによってハウスは一命を取り留めたものの、彼を裏切ってしまった罪悪感に苛まれた彼女は、程なくしてハウスの前から姿を消す。 そして取り残されたハウス自身は、足の機能と恋人を同時に喪失する二重の苦しみを新たに背負う事になった。 ウィルソン曰く、これを境にハウスは本格的に壊れていったらしい。 つまり彼女はハウスの命の恩人であると同時に、現在のハウスをハウスたらしめた直接的な原因となる人物でもある。
彼女はこういった経緯から二人の関係が完全に元通りになる事はあり得ないと理解する一方で、
結婚して他の男の女になっても尚ハウスに対する未練を消せていなかった。(上記の台詞の"カレー"はハウスの事) そしてそれはハウスも同様である。 そんな中、夫が大病するという災難を切っ掛けに彼女は彼と共にハウスが務める病院に長期滞在する事になる。 ステイシーとハウス、長い事燻らせていた互いへの思いが大きな波乱という形で再び燃え上がるであろう事は、最早火を見るより明らかであった。
I'm not looking for sicerity, I'm looking for humiliation.
Something that will make you think twice before you treat the next patient like crap.
(私はお前に誠意など求めていない。私が求めているのは屈辱だ。お前が患者をクソみたいに扱う事を躊躇わせる様になるくらいのな。)
ハウスの問診を受けてしまった不幸な人。シーズン3で登場。
診察中のハウスのあまりにもぞんざいな態度を見かねてそれを諫めようとするが、当のハウスはその礼として彼の尻に体温計を突っ込みそのまま放置して診察を終えた。 訴訟モノの大問題である筈のこの行為に対して彼は紳士的に"謝罪のみ"を要求するが、 ハウスは「どれだけ訴訟を起こされても金がかかっても構わないが、謝罪だけはしない」と逆に彼を挑発。 これを受けた彼は、この男をこのまま医師としてのさばらせるのは危険と判断、自らの職務をもって彼に制裁を与える事を決意する。そう、彼は単なる一般人ではなく現職の刑事だったのだ。
上記の台詞にもある様に彼のスタンスは「ハウスがこれ以上悪事に手を染めない様屈辱を与えて懲らしめる」に徹底しており、その具体的な方法は
「謝罪の要求」→「交通違反による拘束・留置」→「薬物中毒厚生へのリハビリテーションの要請」→「処方箋偽造・薬物不法所持の実刑判決による刑務所送り」 と段階を踏んで徐々に与える罰を重くしていき、その度に彼が屈服するかを見極めるというやり方だった。 これに対してハウスは、最初こそ与えられたチャンスを何度も袖にするくらい余裕綽々だったが、 「確実に実刑判決をとれるレベルの犯罪行為を繰り返し、あまつさえ親友を巻き込んでいた」という事実を暴かれてからは一気に立場が悪くなる。 刑務所行きだけは避けようと、遅まきながらも彼は謝罪とリハビリ参加の意を示すが時既に遅し。トリッターは確かな証拠を元に起訴の準備を着々と進めていた。
以上の経緯は「診察」と「捜査」という違いこそあるものの、本作で日頃から見慣れている
「嘘をつき続けハウスの追及を撥ね退けてきた患者が、秘密を暴かれて彼の主張・要求を呑まざるを得ない状況に追い詰められる」 流れと同じであり、 (トリッターが日頃のハウスを知っているかはともかく)「今まで一方的に"暴く側"だった者が今度は"暴かれる側"になる」意趣返しという形になる。当のハウスにとっては正に屈辱的な仕打ちと言えるだろう。
ただ、この逆転の構図自体は面白かったものの、肝心の内容はど~贔屓目に見ても「刑事がただのジャンキーを追っかけているだけ」の話にしか見えない。
スタッフもこれはマズいと思った…かどうかは定かではないが、このハウスvsトリッターの対決は僅か7話で終了。トリッター自身もそのままフェードアウトし二度と登場することはなかった。
I get it. You don't like me because maybe I'm a little bit... competitive.
(ええ、貴方が私を好まないのはわかるわ、だって私は少し…好戦的だもの)
シーズン4の選抜試験の参加者の一人。
医師としての実力もさることながら、他人の心の隙を突いて自分に都合のいいように焚きつける能力がずば抜けている危険な人物。 試験開始早々ハウスの無理難題に愛想を尽かし、棄権を宣言……と見せかけて賛同した他の棄権者を帰し、自分だけしれっと試験に戻ってきた。 そんな彼女にハウスがつけた仇名が"Cutthroat Bitch"。これは以降、寧ろ本名で呼ばれる事が少なくなる程定着した通り名となった。 彼女はその後も"Bitchさ"を如何なく発揮し、13を除いた女性チーム全員が失格になった際も自分だけ意図的に女性チームから離れる事で唯一難を逃れたり、 小道具を使って患者を死なせてしまった瑕が言えない13のメンタルを更に抉ろうとしたりと、 あの手この手でしぶとく居残り、他人を蹴落とそうと奔走したが、選抜が「13か彼女か?」まで絞り込まれた所で敗退。
これにて彼女の出番は終了……かと思いきや、今度はなんと「ウィルソンの恋人」としてハウスの前に再び現れる。
ハウスから見れば、彼女がウィルソンを自分側に抱き込んでハウスに報復をしようとしている様にしか見えず、「お前はただ利用されるだけだ」と彼に警告する。 が、非常に困った事に肝心の親友は本気で彼女に入れ込んでおり、 こうしてウィルソンを取り合うという形の奇妙な三角関係を以て、彼と彼女の第二ラウンドが幕を開けた。
ウィルソンに対する好意の真偽はともかく、彼女の行為がハウスへの当てつけを含んでいるというのは誰の目から見ても明白だった。
事実彼女の存在は後に二人の絆に大きな傷を作る。当の本人すらも予想だにしていなかった最悪の形で…
There are two types of people that hire me. One type wants to find out that they're right.
One type wants to find out that they're wrong. you're the third type.
(俺を雇う人間ってのは二つの種類がある。一つは"自分が正しい"のだと知りたい奴。
もう一つが"自分が間違っている"のだと知りたい奴さ。まあ…アンタはそのどちらでもないがね。)
シーズン5で登場。
とある悲劇が原因でハウスに絶交を宣言し、プレインズボロ病院を去ったウィルソンを何とか取り戻せないかと考えたハウスが、彼をストーキングする為に雇った私立探偵。 コイツも例によって「その尊大な態度に実力が釣り合っている」タイプの人物で、 雇い主である筈のハウスに面と向かって「自分で雇っておいてこっちを信用せず、中々本題に入ろうとしない変な奴」と礼儀を弁えるつもりがない物言いをする一方で、 本人が切り出すより先にウィルソンの事を掴んでいたことで彼を驚かせ、その確かな腕前を見せつけてもいた。 この手のタイプを好むハウスは気を良くしたのか、彼との長期契約を締結。調査の対象をウィルソンから「主だったハウスの関係者全員」に拡大する。 そうして、彼が得たスタッフ面々のプライベートはハウスが脅しと嫌がらせに使い、彼は報酬を受け取り、その金はオフィス運営の諸経費として病院に請求する…という、プレインズボロにとって最悪のローテンションが今ここに完成した。
ところで、聡明な閲覧者諸君ならここで「探偵雇ったなら恒例の空き巣も彼にやらせればいいのでは?」と思うだろう。
当然部下達もそう考えハウスに提案したのだが、彼が返した答えは 「ダメだ、アイツは(お前らのプライベートを暴くのに)忙しい」 だった。まあ、ここまでくれば今更驚く様な事では無いかもしれんが。
雇い主と利害が衝突しない事とその歯に衣を着せぬ物言いから、登場から暫くの間、彼はハウスにとって気の許せる数少ない悪友のようなポジションを保ち続けていた。
だが、彼が実は調査対象である筈のカディといつの間にか良い関係になり、婚約までしていた事が発覚すると状況が一変。 ステイシーとの二度目の破局を迎えて以降、それとなくカディを異性として意識していたハウスにとって最早彼は「利害が衝突しない人物」では無くなってしまった。 「探偵なんて怪しげな男がカディを幸せにできる筈がない」と強く主張するものの、それはまさしく「他人とまともな関係を築く事すら出来ない自分が彼女を幸せにできるのか?」という特大ブーメランを投げる行為に他ならない。 またしてもハウスは「他人に対する不満が自分にとっての皮肉として返ってくる」事実に苦しみ、悩むようになっていく。 |
*1 ざっくり説明すると「(米国では)合法ではあるが滅茶苦茶依存性が高い事で知られている薬」。他の米国産ドラマでも「依存症になった登場人物がバイコディン欲しさに自傷行為を繰り返す」みたいなシーンを結構目にする機会がある。
*2 素直に患者に入室の許可をもらう時もあるが、ハウス曰く「それだと患者が最も隠したい物が探せない」との事。因みにフォアマンは勿論、他の面々も調査のついでに本当に窃盗をした経験がある。
*3 「患者を救いたい・救えるかもしれない」という希望的観測はかえって残酷な現実から医者の目を背け、曇らせるという意味。実際思いやりや気遣いを以て患者に接した結果、ろくでもない結末を迎えるケースが劇中でも結構ある。
*4 その辺りを反映しているのか、各エピソードでは毎回、異なるアーティストによる挿入歌が頻繁に流れる構成になっている。
*5 おそらく、とついているのは、元ネタには女好きを匂わせる様な台詞こそあるものの、はっきりとそれを強調する描写は見られない為。ただ、例えば下記の「二回離婚した」の下りは間違いなくワトソンの結婚経験数から取られたものであるし、少なくともウィルソンの女性遍歴のだらしなさにワトソン要素が一片も混じっていないとは考えにくい。
*6 実際に、非常に優秀ではあるがあまりにも自分と考えが似通っていた人物の採用を見送ったこともある。
*7 フォアマンとチェイスは結局ハウスのチームに復帰することになる。
*8 互いの浮気を公認する夫婦関係の事
*9 英語圏では日本語で言う所の「首を突っ込む」を「鼻を突っ込む」と表現する。また、タウブは「自分の鼻が大きい事」が外見上のコンプレックスであった。このエピソードはその辺りを引っ掛けたタチの悪いジョークである。
*10 例えば全財産を投げ出さんとする勢いで慈善活動をしている金持ちの奇行を「症状」とは見做さずに「純粋にいい人だからじゃないの?」で済ませようとするなど。