アウトプット大全

登録日:2025/08/22 Fri 14:49:15
更新日:2025/09/16 Tue 15:20:14
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\「現実世界」はアウトプットでしか変わらない /

<概要>


『アウトプット大全』は、精神科医で作家の樺沢紫苑(かばさわ しおん)によって2018年に出版されたビジネス書である。正式タイトルは『学びを結果に変えるアウトプット大全』(サンクチュアリ出版)。本書は発売直後から大きな反響を呼び、「読者が選ぶビジネス書ランキング2025」では特別賞を受賞し長期的に売れ続けている。特に「アウトプット」という行為を前面に押し出し、それを体系化した点が特徴的であり、以後の関連書籍にも影響を与えた。見開き1ページに説明文+図解という形で構成されており、最悪図解をパラ見するだけでも内容が頭に入ってくる。

<背景と影響>


著者は精神科医として20年以上にわたり診療に携わる一方、YouTubeやFacebook、メルマガなどを通じて情報発信を継続してきた人物である。膨大なインプット(読書や学術的知識)を日々アウトプットしてきた経験から、「人間の成長において重要なのはインプットの量よりもアウトプットの質と頻度である」という持論を形成した。その実践知をまとめたのが本書であり、出版当時「アウトプット」という言葉や概念をより一般的に広める一助となった。後述するが、関連書籍が5冊も販売された。

<全体の構成と内容概要>


本書は大きく「アウトプットの基本法則」「話すアウトプット」「書くアウトプット」「行動するアウトプット」「アウトプット力の鍛え方」の5つのパートに分かれている。全体で80の具体的な方法論が短く区切られて記載されており、読みやすく実用性が高い構成になっているぞ。

冒頭では、「インプットとアウトプットの比率は3:7が理想」と提唱。これは多くの人が勉強や読書などで知識を吸収するだけで、得た知識を行動化するなどして活用できていない現状への警鐘だ。学んだ知識を誰かに話す、文章にする、SNSに投稿するなど、形にして表現することで初めて脳に定着し、能力として活用できると説かれる。

第二部では、「話す」に関係するアウトプット技法を紹介。雑談,質問,営業,自己紹介など、口を介したアウトプットを効果的に行うためのコツを指し示している。

第三部では、「書く」に結びつくアウトプット技法を公開。Wiki篭りにも役立ちそうな「構想をまとめる」や「ひらめく」といった項目もある。

第四部では、「行動する」という「話す」「書く」には収めきれないアウトプット技法を解説。特に「完成させる」という項目は著者の独特な仕事観が示されていて興味深い。記事を書きながら都度軌道修正するのではなく、低レベルでも良いので完成させてからブラッシュアップをするのだ。

第五部では、アウトプット力を鍛える応用的な行動を7つ説明。1から順に実践する必要はなく、それぞれ独立したTodoが挙げられている。ちなみに、7つ目に挙げられているのは『趣味について書く‐マニア知識を活かして「人を動かす」記事を』だ。

<関連書籍>


本書に関連する同著者の書籍としては、
  • インプット大全
『アウトプット大全』が「出す」技術なら、こっちは「入れる」技術を徹底解説した姉妹本。こちらも80個+の技法が提示されており行動化すれば飛躍的な成長が見込める。
  • マンガでわかるアウトプット大全
タイトルの通り、ストーリー仕立ての漫画形式でアウトプット大全の内容が理解できる書物だ。社畜ゾンビである主人公の外山健が人生を変えていく。内容が凝集されて全30個のアウトプット法が提示。ちなみに、著者は本書の表紙イラストが描かれたTシャツを自身のYouTubeチャンネル内で着用していた。ちゃっかりしている。
  • こどもアウトプット図鑑
マンガで分かるアウトプット大全が小学生向けに更に分かりやすく噛み砕かれたような本。児童精神科医の精神科医・さわが監修。子供が抱きそうな82個の悩みに対して文章+イラスト+アクションプランという形式で解決への道筋を示している。
  • 極アウトプット
「小学館YouthBooks」という中・高校生向けシリーズの本。本家大本には挑戦しがたいけど、しっかりと活字を読みたいという人にオススメ。
  • アウトプット インプット総大全
インプット,アウトプットに関連した情報を様々な先生から集めて掲載したムック本。樺沢紫苑氏は監修役。全80ページでサッと読みやすい。

が挙げられる。
どれもアウトプット大全の好評を得て誕生した、様々な顧客ニーズに合う書籍だ。

<本書の活用方法>

本書の肝となるのは「行動化」だ。著者自身も述べているが、インプットだけだと脳内世界が変わるだけで現実世界は変わらない。だから、80個のうち一つでも自分の生活にすぐさま取り入れてみよう。そして、その後自分の行動結果を踏まえて次に何を心がければよいか、自分なりにフィードバックを加えよう。(フィードバックが無いと行動を続けても毎回同じ躓きを経験する羽目になる)インプット→アウトプット→フィードバックのサイクルを繰り返すことで人は成長するのだ。

<余談>

  • 樺沢紫苑氏は、アウトプット大全を執筆する際、アイデアを1テーマにつき「カード1枚」で整理し、執筆前に“100枚以上”のカードを作ってから構成を組み立てる独自手法を用いていたと本書内で紹介している(カード法)。

  • 本書はサンクチュアリ出版20年間の歴史の中で最もヒットしたビジネス書である。なお、サンクチュアリ出版は月に1冊しか本を出さない出版社であることで有名。

  • 本書とインプット大全を両方所持している人は、青い表紙と白い表紙のどちらがアウトプット大全なのか分からなくなることが多い。青背景がインプット大全、白背景がアウトプット大全である。また、どちらも似たフォーマットで各事項がまとまっているので、あの話どっちの本に書いてあったっけ?と迷うことも多い。


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最終更新:2025年09月16日 15:20