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SCP-1752-JP

登録日：2025/09/09 Tue 16:05:15
更新日：2025/09/10 Wed 00:55:13NEW!
所要時間：約 12 分で読めます



火のないところに煙は立たず
煙にまかれた存在ひとつ

SCP-1752-JPとは、怪異創作コミュニティサイト『SCP Foundation』に登場するオブジェクトの一つである。
項目名は「まだ息子が家の中に！」。
オブジェクトクラスは「Keter」。

概要

SCP-1752-JPは戸籍に「土井佳代子」と登録された、64歳住所不定の日本人女性である。後述の異常性を除いて一般人との差異は身体的にも戸籍・経歴的にも見当たらない。

そんなSCP-1752-JPの異常性は高知県内の住居火災現場にてのみ稀に出現するということ。JPのKeterクラス人型オブジェクトという時点で察したアニヲタ支部職員もいるかもしれない。
SCP-1752-JPの出現および消失の瞬間は記録されておらず火災現場以外での目撃例も存在しない。

火災現場に出現したSCP-1752-JPは強い興奮状態でメタタイトルにもある「まだ息子が家の中に！」やら「家族が家の中に取り残されてるんです！」と言った言葉をわめきながら火災現場に押し入ろうとするが、消火活動中の消防士がそんなこと許すはずもなくSCP-1752-JPの侵入は毎度毎度阻止されている。ちなみにSCP-1752-JPは全ての事例で火災現場への突入を消防士の付近で行っているとのこと。

また口走ってるセリフとは裏腹に土井佳代子なる人物の息子が火災現場から発見された例はなく、そもそも土井佳代子氏に息子が存在した事実は戸籍上に確認されていない。

要するにこのオブジェクトは『火事場に出現し、消防士の近くで居もしない息子の存在を声高に掲げながら火災現場に突入しようとして取り押さえられる迷惑おばさん』である。迷惑すぎる

しかし財団が調査を開始した2020年から2年間の内に38件もの出現事例が見られたことから財団はSCP-1752-JPにはまだ見ぬ異常性があるとしてSCP-1752-JPの目的、具体的な異常性の把握に向けた調査を行っている。

特別収容プロトコルは
  • 高知県内で発生した火災現場にエージェントを派遣してね。
  • SCP-1752-JPを目撃した人物には記憶処理を施すよ。
  • 高知県内に限り消火活動に人員を多く派遣するよう消防署には規定させておくよ。
  • 完全な収容方確立のため目下研究中！
とのこと。
「高知県には毎度毎度火災現場に突入しようとする不審者がいます」なんて言うわけにもいかないため、SCP-1752-JPを取り押さえる用に人員を多く配置させることで対応している以外はそこまで特色が無い。

出現記録1752-JP

ということでここからはSCP-1752-JPの出現記録を見ていこう。

事例1752-JP-1

火災発生場所:高知県須崎市豊浦-24
日時:2020/12/11
備考:当該住居の住人2名は生存
出火原因:石油ストーブの故障

事例1752-JP-2

火災発生場所:高知県四万十町船岡-2丁目7
日時:2021/2/1
備考:当該住居の住人5名は生存
出火原因:コンロの火の消し忘れ

事例1752-JP-3

火災発生場所:高知県黒潮町元山田-231
日時:2021/4/30
備考:当該住居の住人4名の内1人死亡
出火原因:タバコの消し忘れ

事例1752-JP-5

火災発生場所:高知県宿毛市小谷-11
日時:2021/5/21
備考:当該住居は空き家
出火原因:たこ足配線による漏電

初めの3件には見る限り不自然な点は無いが空き家にて発生した火事には疑問が残る。誰も住んでないはずの空き家でタコ足配線による漏電など本来起きるだろうか…？

事例1752-JP-9

火災発生場所:高知県四万十市脇田-3の5
日時:2021/9/7
備考:当該住居の住人11名は生存
出火原因:不明

事例1752-JP-11

火災発生場所:高知県仁淀川町若葉台-99
日時:2021/11/6
備考:当該住居の住人6名は生存
出火原因:タバコの消し忘れ

事例1752-JP-16

火災発生場所:高知県いの町桜ケ丘-1丁目34
日時:2021/11/30
備考:当該住居の住人2名は生存、延焼した隣家の住人3名も生存
出火原因:野焼き

事例1752-JP-21

火災発生場所:高知県大川村私市-北56
日時:2022/1/14
備考:当該住居は空き家
出火原因:タバコの消し忘れ

住宅火災限定で出現するため引き金となる失火の原因はタバコの消し忘れや電気周りなど家の中からのモノがほとんどだが野焼きなど外からの要因でも出現するようだ。
それにしても今度は空き家でタバコの消し忘れ。ホームレスか不良でも上がり込んでいたのだろうか。

事例1752-JP-22

火災発生場所:高知県香美市幸田-サンライズ幸田202号室
日時:2022/3/1
備考:当該住居は空き家
出火原因:電気ストーブの故障

事例1752-JP-25

火災発生場所:高知県室戸市室戸中央-1
日時:2022/6/8
備考:当該住居の住人1名は生存
出火原因:放火

事例1752-JP-28

火災発生場所:高知県安芸市西青木-23
日時:2022/6/11
備考:当該住居の住人1名が死亡
出火原因:放火

事例1752-JP-38

火災発生場所:高知県高知市遠藤-110
日時:2022/12/28
備考:当該住居は空き家
出火原因:不明

報告書に載っている出現記録はこれで全て。3日の内に2件の放火が見られていたり、マンションの空き部屋に何故か存在する電気ストーブからの出火だったり空き家で出所不明の火事だったり高知県の治安は大丈夫だろうか。

インタビュー記録

出現記録には載っていないが2022年の12月19日にもSCP-1752-JPは出現しており、この際財団はSCP-1752-JPへのインタビューに成功している。というわけで見ていこう。

インタビュー記録1752-JP，2022/12/19
インタビュアー: 江村博士
対象: SCP-1752-JP
備考: 江村博士は警察関係者を装ってインタビューを行っています。また、SCP-1752-JPの興奮状態を抑えるため、精神安定薬を投与してからインタビューは行われました。

«記録開始»

江村博士: 落ち着きましたか？ 土井さん、大丈夫ですか？

SCP-1752-JP: え、ええ。なんとか。

江村博士: 私たちは警察の者です。これからあなたにいくつか質問をしますが、あなたが何かの容疑にかけられているとか、そういったものは一切ないので、安心してください。よろしいですか？

SCP-1752-JP: は、はい。

江村博士: 今回の火事について聞きたいのですが、あなたは火事の時何をしていましたか？

SCP-1752-JP: ええ、買い物を終えてちょうど家に帰っているときでした。そうしたら、家の周りに消防車が止まっていたから、何が起こったのか見ようとして、あの、火事を見つけました。

江村博士: それで、あなたの家が火事になっていることが分かったと。

SCP-1752-JP: はい。それで、家では息子が留守番していたはずなので避難できているか周りを探しました。ですが、(少し沈黙)ですがどこにもいなくて、まだ家の中にいると思って。

江村博士: なるほど、だから家に入ろうとしたんですね。でも、家の中は火で危険なのにどうして入ろうとしたのですか？

SCP-1752-JP: すいません、頭が混乱して、何が何だか分からなくなっちゃって。

江村博士: そうですか。混乱していたから、消防士の制止にもかかわらず、入ろうとしたというわけですね。

今のところSCP-1752-JPの言っていることにおかしな点は無い。「子供を留守番させて買い物に出かけたら家が燃えていたので錯乱して突入しようとした」というストーリーもテンプレすぎるように見えるがあり得ないことではない。

SCP-1752-JP: はい、すいません。で、でも、息子は無事なんですか？

江村博士: その件についてですが、残念ながら鎮火後もあなたの息子という人は見つかっておりませんし、遺体も発見されていません。

SCP-1752-JP: そんな！ そんなわけありません。息子は家の中にいたんです。信じてください。私のたった一人の息子なんですよ。知っていますよね？ ね？

江村博士: そもそもですが、あなたに息子さんがいたという事実はこちらで確認できていません。むしろこちらから聞かせてください。本当にあなたに息子さんはいるんですか？

SCP-1752-JP: (5秒沈黙)もちろんですよ。そちらはちゃんと調べたんですか？ 適当に調べただけじゃないんですか？ あ、本当はあなたたちが隠してるんじゃないですか？ その部屋！ そこの部屋に閉じ込めてたりするんじゃ

江村博士: そんなことはありません。隣室にいるのは警察官だけですよ。では、加えて聞きますが、今回火事の起こった家は本当にあなたの家なのですか？

SCP-1752-JP: 家？ 何を言ってるんですか？ 馬鹿なこと言わないでください！ あそこは、私と息子がずっと暮らしていたところですよ！ 馬鹿！ 阿呆！

江村博士: ではさらに重ねて聞きますが、あなたは今回の火事以外にもいくつかの事例で同様に火事の家に侵入しようとしていたことが分かっています。それらは全て違う住居で起きています。まさか全部が全部息子と暮らしていたところというわけではありませんよね？

SCP-1752-JP: 違います！ 違う！ 違う！ 違う！

江村博士: 抗不安薬を再度投与します。福留警部補、追加の薬を持ってきてください。

(江村博士は隣室に連絡を行う)

江村博士: 福留警部補？ (5秒沈黙)エージェント・福留？ 聞こえていますか？

SCP-1752-JP: 違う！ 息子はいたんです！ あの中に！ 違う！

江村博士: 落ち着いてください、土井さん。ここは安全です。

SCP-1752-JP: 違う！ 火の中に！ 息子がまだいるんです！ 違う違う違う違う！

江村博士: 落ち着いて！

火災現場にSCP-1752-JPの息子など存在していないという事実を告げる江村博士に対し錯乱するSCP-1752-JP。そして隣室に待機しているとされるエージェント・福留の様子がおかしい。

SCP-1752-JP: 違う、ちが、ひっ、ひっ、ひっ、ちがっ、ひっ

江村博士: ああ、クソ。どうなってるんだ、おい！

SCP-1752-JP: ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ

江村博士: ああもう！

(江村博士は隣室のドアを開ける。同時に隣室から炎が噴出する)

SCP-1752-JP: ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ

江村博士: 黙っていてください！ 緊急事態なんです。

SCP-1752-JP: ひっ、ひっ、火の中に息子が！ まだ息子があの中にいるんです！

江村博士: クソ！ なんなんだ、おい福留！ 無事か？ おい！

SCP-1752-JP: 刑事さん、助けて！ 私の息子があの中にいるんです！

江村博士: 何を言ってるんだ？いい加減にしろ！

SCP-1752-JP: どうして？ 早く息子を助けてくださいよ！ ねえ！

(SCP-1752-JPは制止する江村博士につかみかかる。江村博士は転び、気絶する)

SCP-1752-JP: 火の中にまだ息子が残されているんです！ 誰でもいいから、助けてください！

(SCP-1752-JPは隣室に入り、その後消失する)

«記録終了»

付記: 火災が発生したためインタビューは中断されました。鎮火後の調査の結果、出火原因は隣室の電気ケトルからの漏電であることが判明しました。スプリンクラーが動作しなかった点、延焼の様子から計算してインタビュー開始前には出火していたにもかかわらず職員が気付かなかった点等、未知の異常性が関与すると考えられており、報告書作成時点で調査中です。また、インタビュー中に名前を呼ばれた「エージェント・福留(福留警部補)」に関する人事情報は財団には存在しません。

壊れた機械のように「ひっ」とだけ言うSCP-1752-JPを尻目に慌て結局気絶させられてしまった江村博士。付記を見る限り生存したようだが後に「エージェント・福留」なる人物は記憶に無いと答えており、肝心の火事自体もスプリンクラーの動作不良、インタビュー前から発生していたとしか思えない火事の勢いなど不審な点が多く見られるため財団はこの事案を「SCP-1752-JPの異常性の解明に有用な情報を含んでいる」として解析を急いでいる。
ちなみに出現記録を見れば分かるが火事の中へ消えていったSCP-1752-JPはこの事案が発生した9日後にも問題なく出現している。

考察

当オブジェクトに作者からの解説は存在しないため「コレが正解」と言うような説明は存在しない。しかし考察できるポイントがあるのに「正解はありません」で済ませてしまうのも味気ないためあくまで一つの解釈として考察を書かせていただく。
+ ...
財団が把握しているのは「火事現場にのみ突如出現する」という異常性のみだがインタビュー記録や出現記録を見る限りSCP-1752-JPには明らかにそれ以外の異常性が存在している。

出現記録に見られた空き家での火事はタコ足配線、煙草、電気ストーブの故障などおおよそ無人の家で発生するとは思えない出火原因だった。そしてインタビュー記録内にて言及された存在しないエージェント・福留。
これらを併せて考えると十中八九SCP-1752-JPは現実改変を引き起こしているのだろう。それも火中にいる人物を"初めから存在しなかった"と書き換えるモノを。

しかし出現事例となる火事の中には生存者が存在する例もあり火事に巻き込まれた人間を全員消し飛ばしているわけではない。エージェント・福留の例を見る限りSCP-1752-JPに消し飛ばされる条件と言うのは「SCP-1752-JPから息子だと思われること」ではないだろうか。

つまりSCP-1752-JPは『過去改変によって火災を発生させ、息子だと判定した人物を現実からも記録からも消失させる』オブジェクトだと考えることができるのだ。




ひっ、ひっ、まだ書きかけの記事が火の中に！うぃき籠もりさん！誰でもいいから追記・修正してください！

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最終更新：2025年09月10日 00:55