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全滅エンドを死に物狂いで回避した。パーティが病んだ。

登録日:2026/03/03 Tue 22:09:00
更新日:2026/05/19 Tue 10:50:22
所要時間:約 8 分で読めます




『全滅エンドを死に物狂いで回避した。パーティが病んだ。』はKADOKAWAから刊行されているライトノベル。既刊3巻。

作者は雨糸雀(あめりあ)。イラスト担当はkodamazon。
カドコミにて縞によるコミカライズも連載されている。


概要

ダークファンタジー漫画の序盤で全滅するパーティの一員に転生した主人公ウォルカがその運命を死に物狂いで回避した後の物語。
自分の片目片足と引き換えに全滅を回避できたことに安堵し前向きに生きているウォルカと、彼の負傷がきっかけとなって病んでしまった周囲の人々のすれ違いが軸となる。
なおタイトルは『パーティが病んだ』だが、パーティ外の関係者にも病んでしまった人は登場する。


あらすじ

剣と魔法の世界で若手の有望株として注目されていた冒険者パーティ『銀灰の旅路(シルバリーグレイ)』。
ある日、彼らは既に踏破済みのはずのダンジョン<ゴウゼル>の中で超一級モンスター摘命者(グリムリーパー)と遭遇してしまう。
パーティ全滅の危機に陥ったその時、パーティメンバーにして転生者のウォルカはあることに気がついた。
この世界は前世で読んでいた漫画の中であり、銀灰の旅路はその漫画の序盤で世界観の説明のために惨たらしく殺されるパーティだったのだ。

だが、ハッピーエンド至上主義のウォルカには死の運命を受け入れることなどできなかった。
仲間を守るための死闘の末、彼は右目と左足と引き換えに摘命者を倒すことに成功する。
運命を乗り越えたことに安堵するウォルカだったが、日常に戻った彼を待っていたのは周囲の人々がおかしくなってしまったという現実だった。


用語

原作

作中世界の元となったダークファンタジー漫画のこと。
そこそこのヒットをしており、ファンからは『流行りに乗っかった異世界冒険譚と見せかけて、割と容赦なく人の命が飛ぶ表紙詐欺漫画』と評されている。

魔物に相対した者は男も女もメインもモブも関係なく惨たらしい目に合うのが特徴。
前世のウォルカにとっては好みに全く合わない漫画だったが、絵柄だけは好きだったのでイラスト集を読むような感覚で連載を追っていた。
そのため肝心のストーリーや設定はほとんど覚えておらず、自分が漫画の世界に転生したことに気付かなかったのもそれが一因となっている。

摘命者(グリムリーパー)

圧倒的な攻撃力と反則的な不死性、一撃必殺の威力を持つ鎌を有し、その強さで相手を弄びながら命を摘み取っていく規格外の怪物。
原作の冒頭で主人公と戦ってわずか3ページで撃破されているが、それは主人公が攻略法を知っていただけで普通の冒険者にとっては遭遇すれば死と言われるほどの脅威である。
この攻略法を朧気に覚えていたことがウォルカの運命を変える一助となった。

踏破

ダンジョンに潜った冒険者パーティがボスを倒し完全攻略すること。
踏破報告を受けたダンジョンには調査隊が派遣され、確認の末に踏破が認められれば「踏破済み」として認定される。
銀灰の旅路(シルバリーグレイ)』が壊滅しかけたダンジョン<ゴウゼル>はA級冒険者によって踏破が確認されていたはずなのだが・・・?

聖導教会(クリスクレス)

大雑把に言えば教会と病院を兼ね備えた組織。
神への信仰心を力にした医療魔法によって国民の生老病死を一手に引き受けている。
傷の絶えない冒険者にとっては第二の家とも言うべき場所。
聖都<グランフローゼ>の中心部には全ての教会を統べる中枢機関『大聖堂』が存在する。此処は聖都の頂点に君臨する神の化身たる四人の聖女が暮らす聖域でもある。


登場人物

CVは2巻発売記念PVでのキャスト。

銀灰の旅路(シルバリーグレイ)

「仲間を守れたし、命も拾えた。今はただ、そのことに安堵してるよ……」
●ウォルカ
主人公。17歳。
日本刀のような片刃曲刀(タルワール)を武器にスタイリッシュな抜刀術で戦う剣士で、何よりも剣を重要視する剣術バカ。
摘命者との戦いで右目と左足を失ったために本編では眼帯と義足を装着している。
本人は前向きな性格のため自分の怪我のことはさほど気にしておらず、そんな身体でも振れる剣を追い求める方向にシフトしている。

前世では漫画やアニメの居合キャラに憧れていて、異世界転生したのを機に創作の抜刀術を実現させようと決意。
居合という概念すら存在しない世界なので独学で修業しなければならなかったが、祖父から教わった剣術をベースにして10年以上の過酷な修業の末に見事習得してみせた。
物事に対しては理論よりも実践派であり、少年時代に魔法を教わった際には理論が全く理解できていないのに発動に成功してリゼルアルテを困惑させている。

自分が死にかけたせいで周囲の人がおかしくなっていることについてはちゃんと認識しているものの、楽観的な性格が災いして実際よりも事態を軽く見てしまっている。
前述のように片目片足を失ったことをさほど気にしていないこともあって、絶望している周囲との温度差に困惑することもしばしば。

目下の悩みは自分の全力に義足が耐えられないこと。
摘命者との戦いで死の淵を覗いたことで新たな境地に達した結果、素振りをしただけで義足が折れる程の衝撃が身体に走るようになってしまった*1
そのため頑丈な義足を探すのと並行して足に負担をかけない抜刀術の模索も進めている。


「どこにも行かないで、どこにも行かないで、置いていかないで、独りにしないで、もうどこにも、いかないで、お願い、お願い、お願い、お願い」
●リゼルアルテ
CV:麻倉もも
銀灰の旅路のリーダーにしてウォルカの魔法の師匠。年齢不詳。
身長130センチくらいの幼女にしか見えない外見に反して実年齢はパーティ内で最年長。
普段は年長者の威厳を見せようとのじゃロリキャラを演じているが、素は外見相応であり動揺したりすると口調が幼くなってしまう。

本編の6年ほど前、一人旅をしている中で修業中のウォルカと出会う。
彼が独学で身につけていた身体強化の無駄の多さを放っておけず、彼の師匠となって共に歩んできた。
少々独占欲の強い性格なのでユリティアたちが加入した際には嫉妬したが、今では大切な家族だと思っている。

事件以降はウォルカを失う恐怖がトラウマとなり、ちょっと離れただけでも取り乱すほどに情緒不安定になってしまった。
また<ゴウゼル>に潜る依頼を取ってきたのは彼女だったため、愛弟子の未来を閉ざしたのは自分だと自らを責め苛んでいる。


「わたし、ずーーっと傍にいますから。――いいですよね、せんぱい?」
●ユリティア
CV:高尾奏音
パーティ最年少の少女剣士。13歳。
ウォルカのことを「先輩」と呼んで慕っており、彼の抜刀術を学んでいる。

王都の騎士団に優秀な騎士を幾人も輩出してきた名門の生まれであり、他人の剣技を一目見ただけで模倣できるほどの才能の持ち主。
兄二人を瞬く間に追い抜かしてしまい激しく憎まれるようになった経験から本人は自分の才能を疎んじていたが、それでも剣を嫌いになることはできなかった。

実家を離れて魔法学校に通っていた9歳の時にウォルカと出会い、その抜刀術に一目惚れしてしまう。
さらに抜刀術を模倣してみせた自分をウォルカが素直に褒めてくれたことでトラウマを払拭。
後に王都でウォルカに弟子入りを志願してパーティ入りすることになる。
先輩という呼び名は師匠と呼ばれることをウォルカが恥ずかしがったことによるものである。

摘命者との遭遇は彼女が転移トラップを作動させてしまったことによるものであり、そのことで自らを責めている。
戦いの中で何もできなかった自分への怒りともうウォルカが傷つく姿を見たくないという想いが混ざり、強くなってウォルカを自分に依存させようと画策中。


「ボク――アトリはキミのために生きて、キミのために死ぬ。安心して」
●アトリ
CV:福圓美里
南方の戦闘民族アルスヴァレムの民出身の少女。16歳。
防具を付けず、規格外に巨大なハルバードによる攻撃に全振りした重戦士。

一人前の戦士と認められた者への最終試練である世界流浪の旅*2に出て一年ほど経った頃にウォルカと出会う。
成り行きからオーク相手に共闘することになり、ウォルカの抜刀術を見てそれに魅せられた彼女はその場で同行を申し出たのであった。
誤解を招くような言い回しをしたためリゼルアルテに威嚇されるという一幕はあったものの、なんだかんだで認められて今に至る。

幼少期に族長のおばばから言われた「『この人のために死のう』。本気でそう思える相手と出会いな」という言葉が常に頭にあり、旅の目的もそんな人に出会うこととしていた。
肝心の言葉の意味は理解できていなかったのだが、摘命者との戦いに立ち向かったウォルカを見て遂に言葉の意味を理解し彼をその相手と定めている。
一方でウォルカが右目と左足を失ったのは彼女を庇ったためであり、取り返しのつかない罪を犯したと自らを苛んでいる。
その後はおばばの「強い男に出会えたら子種を貰いな」という言葉に従ってウォルカを性的に狙うようになった。



聖導教会

「今すぐ聖都に戻って、これからは大聖堂でわたくしと一緒に暮らしましょう!」
●アンゼ
大聖堂に所属するエリートシスター。
聖都を拠点としていた銀灰の旅路とは以前からの顔馴染み。

実は聖都の頂点に君臨し神の化身と称される四人の聖女の一人で、『天剣の聖女』の名を持つ。
この事実は銀灰の旅路には教えておらず、あくまで一人のシスターとして接している。

8年前に巡礼の旅に出た先で祖父に剣の指導をされていたウォルカと出会っている。
そのときにウォルカが魔物に殺されたかのような痕跡を残して失踪したことが原因で、成長した彼と再会した後は彼を失うことを極度に恐れるようになった。
アンゼという名は彼女の本名アンジェスハイトをもじってウォルカがつけたあだ名であり、それを偽名として使い続けている。
なおウォルカは子供の頃に出会っていたことを覚えておらず、アンゼもそれを察していながら教えていない。


「僕は一人の剣士として、彼の剣を心から尊敬していた。……それがこんな形で途絶えるかもしれないと思うと、腸が煮えくり返るようだよ」
●ロッシュ
大聖堂直属の騎士団、聖導騎士隊(クリスナイツ)に所属するエリート騎士。
キザでナルシストで女好きな三枚目だが、人間性自体は極めて真っ当で女性を悲しませたり他人を見下したりはしない。
ウォルカとは共に剣を高めあった好敵手にして親友でもある。

その正体は四人の聖女が暮らす聖処の守護者で聖都随一の武を誇る三人の聖騎士の一人ロッシュハルト。
前述の性格は演技であり、本来の彼は洗練された気品の持ち主。
それでもウォルカに対する友情は本物で、何者かの怠慢によって彼の剣技が失われたと知り激しい怒りを見せていた。


その他の人物

「オレは見たままを報告しただけだ。あとはそっちの仕事だろ」
●原作主人公
作中世界の元となった漫画の主人公。名前はグレン。
原作では彼が摘命者を討ち取っているが、こちらでは死にかけたウォルカに応急処置を施して聖導教会に運んだ後すぐに街を発っている。

ウォルカ曰く『感情のぶっ壊れたバーサーカー』『魔物を滅ぼすことしか興味がない狂戦士』とのことだが、
原作では『魔物絡みでは絶対に人を見捨てない』という設定があり、ウォルカを救助しているのもあって完全に壊れている訳ではないようである。



「それでは先輩、追記・修正できることがあったらなんでも言ってください!」
「いや、そこまで気を遣わなくても……」
「いえ、先輩は安静にしないといけないんですっ。なにもしなくて大丈夫ですから、ぜんぶわたしに任せてくださいね!」

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最終更新:2026年05月19日 10:50

*1 冒険者は肉体を強化するストレングス(身体強化)の魔法で身体への負荷を軽減するのが当たり前になっているのだが、義足には魔法が適用されない。

*2 目的や期限が定められておらず、全てを自分で決めて旅をし何かを得ること自体が試練となっている。