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オデッセイブロックの犬サイクル(MTG)

登録日:2026/08/31 Mon 01:06:19
更新日:2026/09/12 Sat 17:50:35
所要時間




この項目では『Magic the Gathering』のオデッセイブロックに登場した「犬サイクル」について述べる。
属するカードの当時のカードタイプは「猟犬/Hound」だったが、2020年6月のオラクル更新により「犬/Dog」に変更されたため当項では以後「犬サイクル」と記述する。

概要

サイクルの特徴は以下の通り。
  • 全てコモン
  • 「不特定1マナ+特定色1マナ」という色拘束の薄い2マナクリーチャー
  • サイズは何れも2/2と《灰色熊/Grizzly Bears》並み
  • カードタイプは共通で「犬/Dog」*1だが、カード名の部分は様々な「犬」を意味する単語が充てられている
  • 何らかのメリット若しくはデメリットがある能力を持つ(後述)
    • 当時、不特定1マナを含む2マナ2/2デメリット無しは緑や白の特権であり、それ以外の色で不特定1マナを含む2マナ2/2はデメリットがあって当然だった。

この犬サイクル、色によって「こんな駄犬、使えるかチクショーメェ!(犬畜生だけに)」とけなされたり、「なかなかいい働きをしてくれるじゃないか、かわいいやつだ。」と褒められるものもあれば、「貴方様には大変お世話になりました。ありがたや御犬様」と名犬として称えられ畏れ敬われるなど、評価や使用率の格差が激しいサイクルである。


各カードの解説



幻影の仔/Phantom Whelp (1) ()
クリーチャー — イリュージョン(Illusion) 犬(Dog)
幻影の仔が攻撃かブロックしたとき、戦闘終了時に幻影の仔をオーナーの手札に戻す。(それが戦場にある場合にのみ戻す。)
2/2

そいつは霞の中に身を潜めて、落伍するものが出るのをじっと待ち受けている。
霧が晴れたとき、あとに残っているのは足跡だけだ

サイクルの青担当。
フレーバーテキストだけは大層なことが書かれているが、ゲーム上の性能も鑑みるとこの薄犬にそれだけの価値があるかは疑問符が付く。

戦闘の結果生き残った場合は手札に戻り、破壊されたら墓地に行く。そのため対戦相手に対するダメージソースとしては『2マナで召喚→次ターンに攻撃し相手なりクリーチャーなりに2ダメージ与える→倒されなければ手札に戻り、次ターン以降に再び2マナ支払って召喚(ry』と非常に効率が悪い。
いくら青が他の色よりクリーチャーが弱めの傾向にあるとはいっても「さすがにこれはひどすぎない…?」というデメリット。たまたまタフネス2の地上クリーチャーと相討ちできればまだましな方で、1/3の地上クリーチャーと戦闘したらこっちだけクリーチャーを戻され相手は戦場に健在なままなので丸損である。
嘗ての赤にあった《ヴィーアシーノの砂漠の狩人/Viashino Sandstalker》と異なり速攻も無いため、「出てすぐに攻撃できてパワーが高いので歩く火力となる」事も「相手ターンにはいないので全体除去ソーサリーをかわせる」という旨味もない。
というか青の基本戦術である「マナを温存しカウンターやらバウンスやらを抱えて待ち構えながら、特別なカードで嫌がらせをする」方針とは、マナ浪費がひどすぎるこいつは思いっきり噛み合わせが悪いデメリットである。
ここまでくるとリミテッドですら採用が躊躇われるレベル。

あまりにアレすぎて「(4枚制限ルールを無視するという仮定で)この薄犬と島/Islandだけでデッキを組むとしたら、それぞれ何枚が適正か?」というトンチキなお題目が出たことすらあった。


汚い野犬/Filthy Cur (1) ()
クリーチャー — 犬(Dog)
汚い野犬がダメージを与えられるたび、あなたはその点数に等しい点数のライフを失う。
2/2

ノミさえ嫌がってたからないやつさ

サイクルの黒担当。フレーバーテキストでこき下ろされるほど腐敗していそうな姿だが、クリーチャータイプにゾンビはないので《墓生まれの詩神/Graveborn Muse》*2とは逆にこう見えて生きているらしい。

その不潔ぶりが主にも悪影響を与えるようで『ダメージがライフロスとして本体にフィードバック。しかも軽減できない』というテンペストブロックの《ジャッカルの仔/Jackal Pup》*3よりもきついデメリットがある。
ひょっとすると狂犬病にでも罹っているんだろうか。

一応薄犬である幻影の仔と異なり相手の手札が腐って無防備な状態ならマナを浪費せずに毎ターン2点のクロックを刻むことができる。
だが死なずに止められるor一方的にぶちのめせるクリーチャーが出てきたが最後、デメリットが重くのしかかり相討ちやチャンプブロック*4自体は可能なあちら未満の役立たずのごく潰しとなってしまう。何せこちらが無駄死に覚悟のチャンプブロックしても潰したダメージがそっくりそのままこっちに響くし、《巨大化/Giant Growth》系のコンバットトリックで相手を潰してもライフ損失は避けられない。
直前のインベイジョンブロックから登場していたためスタンダードで同居していた《疫病吐き/Plague Spitter》を相手が出してきて居座られようものなら、「本体への1ダメージ+こいつ一体につきダメージフィードバックの追加1ダメージが毎ターン発生」という目も当てられない事態になってしまう。もちろんこっちが疫病吐きを使う場合もシナジーが最悪で一緒に出せない。

そのため汚犬であるこいつもリミテッドですら採用するのが躊躇われる。

狂犬/Mad Dog (1) ()
クリーチャー — 犬(Dog)
あなたの終了ステップの開始時に、狂犬がこのターン攻撃しておらず、なおかつ狂犬がこのターンにあなたのコントロール下になったのでもない場合、狂犬を生け贄に捧げる。
2/2

あいつが埋める骨は君のかもしれないんだぞ

サイクルの赤担当。召喚酔いしていないのに攻撃し忘れると*5デメリットが発生するため殴り続けなければならないという《アーグの盗賊団/Erg Raiders》を彷彿させる能力を持つ。
フレーバーテキストどおりの目が血走っており凶暴で飼いならすのが難しそうないかにも狂犬らしい面構えをしている。

前2匹と比べればささやかなデメリットであり、攻撃に使う分にはマナ域相応の成果が見込めるし出した直後の相手ターンならチャンプブロックやコンバットトリックを使った迎撃も可能。
リミテッドでならうまく早い時期に出せれば速攻ダメージソースとなる&中盤以降も相手の展開次第ではいざというときの時間稼ぎ用の肉壁にはなる、ということで使ってみるのも悪くはない。ただ、構築で使うには狂犬ではやや力不足。

巡視犬/Patrol Hound (1) (白)
クリーチャー — 犬(Dog)
カードを1枚捨てる:巡視犬はターン終了時まで先制攻撃を得る。
2/2

宿営地にあっては、そいつはどう猛で忠実な守り手であった。
しかし歩哨の末娘にとっては、いつも「わたしの可愛いワンちゃん」であった。

サイクルの白担当。前三匹と異なりフレイバーテキストに見られるようにと忠実な番犬として飼いならされ躾が行き届いているためか、デメリットではなくカードを1枚捨てることで能力を得るメリットを持っている。

白は緑ほどではないが軽量クリーチャーが良質というのもあり、能力を差し引いても無条件で灰色熊と相討ちでき、カードを捨てれば熊を逆に返り討ちにできる良好なマナレシオを持つ。
あと、白は先制攻撃のお膝元といえる色だが、それまで登場した《白騎士/White Knight》*6や《長弓兵/ Longbow Archer》*7 やちょいと後に登場した《銀騎士/Silver Knight》*8といった2/2先制攻撃持ちは大抵ダブルシンボルなので、色拘束が緩く条件付きとはいえ先制攻撃を持てるこの忠犬は多色デッキでも採用しやすいというメリットがあった。
加えて同ターン中に能力を2度以上起動する事も可能。先制攻撃は重ねが消しても効果は重複しないので一見無駄に見えるが、オデッセイブロックは「普通ならリソース損として躊躇する『手札を捨てる』行為を逆にリソース用の呼び水とする」というのがメインテーマだったため、他のコスト無しにカードを捨てられるのは、白におけるフラッシュバックやスレッショルドの起点を持つ共鳴者として中々優秀。
丁度いいことに同ブロックには白の全体強化系エンチャントの《十字軍/Crusade》の系譜である《聖餐式(せいさんしき)/Divine Sacrament》があり、最初は白クリーチャーを+1/+1するがスレッショルドすると倍の+2/+2されるため後半でも割と戦力となると良好なシナジーがあるのもセールスポイント。

リミテッドなら普通に白系のコスパのいい序盤のクリーチャーとして採用に足るレベルだし、構築でもデッキの都合上緑を組み込めない白青の『鳥対立』や『パニッシャー・ホワイト』において採用された実績がある。

…とはいえ、この忠犬も下記の名犬相手では流石に分が悪すぎた。


野生の雑種犬/ Wild Mongrel (1) ()
クリーチャー — 犬(Dog)
カードを1枚捨てる:野生の雑種犬はターン終了時まで+1/+1の修整を受けるとともに、あなたが選んだ1色の色になる。
2/2

犬に死んだふりの芸を教えるのが普通だが、こいつの場合教えるのは犬のほうなんだからね。

サイクルの緑担当。そしてサイクルの中でぶっちぎりの最強格兼代表格であり本項目のメインディッシュである名犬。
青の薄犬・黒の汚犬の駄犬コンビとそれよりは多少マシレベルな狂犬は無論のこと、トーナメントレベルには達していた白の忠犬ですらもこの名犬の前では霞んでしまう。
フレーバーテキストも人間よりもこの名犬が明らかに格上であるかのような記述がされている。

忠犬と同じく通常形態でもペナルティー無しの灰色熊並みにはあり、マナコスト無しで捨てたカード一枚につき+1/+1される上、自身色を変えるという特殊な能力が当時の環境とマッチしとても優秀。
当時の黒の除去といえば同じ黒には効かないもの或いはマイナス修正で無理やり殺すタイプが主流であったが、名犬は自らの色を黒に変えることでかなりの除去をかわすことが可能だった。更にはサイドボードで仕込まれる緑惨殺黒ソーサリーの《Perish / 非業の死》や緑撤退青ソーサリーの《Hibernation / 冬眠》のような広範囲色対策カードにも色を変えて耐えて戦線を支えてくれる。
戦闘面でもミルストーリーのようなクリーチャーではなく《物語の円/ Story Circle》で凌ぐような小細工を弄するデッキを赦さないし、逆に畏怖で防御網をすり抜けようとした黒クリーチャーを色変化により捕捉し返り討ちにするなんていう芸当も可能。
そのため、ジョン・フィンケルが大会優勝記念にインビテーショナルカードとしてデザインしオデッセイブロックにおいて前評判の高かった《影魔道士の浸透者/Shadowmage Infiltrator》は、自らを黒くしマッシブになったこの名犬にあえなくマルカジリされてしまい思ったほどの活躍ができなかった。

更には緑は白以上に共鳴者*9と相性のいいフラッシュバック系やマッドネス系のカードが充実していた事も追い風だった。
6/6のワームを繰り出すが通常時よりもフラッシュバックの方がコストが安い《ワームの咆哮/Roar of the Wurm》。マッドネスコストがたったの3マナでサイズが4/4トランプルというかなりおかしいコスパを持つ《尊大なワーム/Arrogant Wurm》*10。マッドネス時は驚きの0マナなので、《野生の雑種犬》のバンプコストに使われたはずなのに場に現れ、更には一回限定とはいえ自前のパンプアップ能力を持つ《日を浴びるルートワラ/Basking Rootwalla》などなど。

因みに同じブロックには同色同コストの《熊人間/Werebear》がいる。あちらは普段は1マナ重い《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》ポジのマナクリーチャーだが、共鳴者のサポートにより墓地に7枚以上カードが溜まりスレッショルドになると基本サイズが4/4になり中盤でも足手まといにならないので名犬の相棒として中々有能。

リミテッドなら色拘束が弱くコスパがいい上に、不要なカードや逆に捨てることで有効活用できるカードを捨てることにより構築よりも入手枚数が限られる貴重な除去をかわせるクリーチャーなため、当時では色が合うなら選ばれない理由がまず無いと言っていいほど優秀。構築でも《不可思議/Wonder》を仕込んでトークン諸共一斉飛行攻撃するための共鳴者の中核として猛威を振るった。この名犬に《象の導き/Elephant Guide》(サイズが+3/+3されつけられたクリーチャーが破壊されても3/3の象トークンが出てくるオーラ)が第三ターンに付けられれば相手が悶絶すること間違いなし。

サイカトグ/Psychatog》と共にオデッセイブロックの代表格を務めた名クリーチャー。サイカトグとは「純粋な戦闘能力ではそれなりレベルだが、寧ろデッキの潤滑油をこなしながらぶん殴ってくれるマルチラウンダーとして猛威を振るった」という点でも共通している。
のちに《タルモゴイフ/Tarmogoyf》が出てくるまで緑2マナの代表を長らく務めていた。というか、元がコモンなのでレアリティの都合上タルモゴイフが出てこれないパウパーなら相変わらず出番が回ってきていた。
クリーチャーのインフレが進み更には《燻し/Smother》系の特定マナ総量以下除去である《致命的な一押し/Fatal Push》などが主流となった後世代でも、もう一つの『共鳴者能力を利用した墓地仕込み能力並びにマッドネスの起点となるお手軽クリーチャー』としての価値は健在。二体以上クリーチャー呪文を同時プレイしたら墓地から一斉に復活してすぐさま速攻4/3で襲い掛かる《復讐蔦/Vengevine》と組んだデッキも成立する。日を浴びるルートワラまで絡んだら、「いきなり手札を捨てだしたかと思ったらルートワラが二体ひょっこり出てきて、更には雑種犬で墓地に仕込んでおいた復讐蔦が群れを成して襲撃してくる」という地獄絵図となる。

それまではMTGにおいて犬といえばウルザズサーガブロックの《野生の犬/Wild Dogs》*11であったが、野生の雑種犬が登場してからはこの名犬を指すようになった。というか、名前が紛らわしく《翻弄する魔道士/Meddling Mage》でプレイを禁止するカード名を指定する際、野生の雑種犬のつもりでうっかり「ワイルドドッグ」と告げたため無意味になるというトラブルも発生している。



追記修正は、名犬から死んだふりを教わってからお願いします

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最終更新:2026年09月12日 17:50

*1 カードタイプ変更前は「猟犬/Hound」

*2 次のオンスロートブロックのレギオンに登場した詩神サイクルの黒担当。肌は透き通るほど白いが腐敗した痕跡が全く見当たらず白い衣装を身に纏った綺麗な女性の姿でありゾンビとは思えないほど幻想的ですらある

*3 あちらは赤1マナで2/1だがフィードバックがダメージなので赤の防御円などでの軽減が可能

*4 敵のトランプルのない大型クリーチャーを無駄死に前提でブロックしてそのターンの本体へのダメージを防ぐ時間稼ぎ行為。ちなみに、再生とか敵の色に合ったプロテクションを持ち生きたまま切り抜けられる場合は当てはまらない扱いされることも多い。

*5 厳密にいえば何らかのカードで速攻を付与されていても、出したターンなら攻撃しなくても死なない

*6 先制とプロテクション黒を持ち、除去のある黒に強い古参クリーチャー。第六版で一旦姿を消したがオンスロートブロックのレギオンにてしれっと復活

*7 先制と飛行クリーチャー迎撃の到達を持つ。白騎士がしばらくいなくなった後の白ウィニーの中核であり、レガシーにおいて反転した《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration》を無傷で潰せるという理由で使われた実績あり

*8 先制とプロテクション赤を持つ白騎士の後輩。スカージで登場しゴブリン系などの赤対策で活躍

*9 手札を捨てて能力を発動する効果をもつパーマネントの俗称。もちろん雑種犬と巡視犬も共鳴者

*10 ちなみに本来のコストは(3)(緑)(緑)。後にエクステンドにて色参照系除去の代わりに使われるようになった総マナ参照系除去である《燻し/Smother》系に強いというメリットを得た

*11 緑1マナで2/1とサバンナ・ライオン/Savannah Lions並みのコスパだがアップキープ時に最も高いライフを持つプレイヤーに所有権が移るというデメリットがあった