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ジェームズ・モリアーティ

登録日:2026/09/01 Tue 23:02:02
更新日:2026/09/20 Sun 14:14:02
所要時間:約 13 分で読めます





「あいつは犯罪界のナポレオンなんだよ、ワトソン君。
この大都会で起きる悪事の半分、そして表沙汰にならない犯罪のほとんどは、あの男が仕組んだものだ」
――『最後の事件』



概要

スペルは“Professor James Moriarty”
アーサー・コナン・ドイルの推理小説『シャーロック・ホームズシリーズ』に登場する架空の人物であり、同シリーズ最大の悪役。

表向きは、若くして数学界に名を轟かせた元・大学数学教授
裏では、ロンドンの暗黒街に君臨し、自らはいっさい手を汚さぬまま無数の犯罪を設計する巨大犯罪組織の首領
この2つの顔を持つ男こそ、名探偵シャーロック・ホームズが「宿敵」と呼んだ唯一の存在である。

……と、ここまで読むといかにも超大物ラスボスなのだが、実のところ、原作における出番は驚くほど少ない。
正典*1のうち、彼が本人として姿を現すのはたった1篇のみ、それも数ページである。
にもかかわらず、彼は「知能派の黒幕」「悪の組織のボス」というキャラクター類型そのものの元祖として、100年以上にわたり後続のフィクションに影響を与え続けている。
少ない出番でここまで爪痕を残した悪役も珍しい。


人物

生年、出生地、どちらも不明。
ホームズいわく「良家の生まれで、優れた教育を受けている」とのこと。

生まれつき驚異的な数学の才能に恵まれており、弱冠21歳で「二項定理」に関する論文を発表、ヨーロッパ中にその名を知られる存在となる。
この実績を買われてイギリスのとある大学で数学教授の座を得ると、さらに『小惑星の力学』(The Dynamics of an Asteroid)なる論文を発表。これは純粋数学の専門家ですら書評を書けないほど難解な代物であったという*2

ところが、この頃から彼にはよからぬ噂がつきまとうようになる。
結果として教授職を追われた彼はロンドンへ出て、army coach――軍関係者を対象とした教師――として糊口をしのぐことになった*3

そしてこの「教師」という肩書きこそが、彼にとって完璧な隠れ蓑だった。
表向きは学究肌の紳士として振る舞いながら、その裏で彼は天才的頭脳を犯罪の設計に投入し、いつしかロンドン犯罪界の帝王へと登り詰めていたのである。

なお『恐怖の谷』ではホームズの口から「彼は独身だ」と語られている。
また同作では、教授の年俸が700ポンドであることに触れつつ、彼が趣味としてジャン=バティスト・グルーズの名画『子羊を抱く少女』を所有していることが指摘される。一介の教師の給料ではどう考えても買えない絵であり、ホームズはここから彼の裏収入の存在を看破している。
脱税の摘発みたいなノリで正体を暴かれる犯罪王。

容貌

『最後の事件』において、ホームズは彼の外見を次のように描写している。

  1. すこぶる長身で、痩せぎす*4
  2. 白い額がカーブを描いて前へ突き出している
  3. 両目は深く落ち窪んでいる
  4. はきれいに剃られ、顔色は青白く、苦行僧のよう
  5. 長年机に向かい続けたせいでかなりの猫背
  6. 顔を前に突き出し、爬虫類のように左右へゆらゆらと揺れ続けている

と、どことなく得体の知れない不気味さを感じさせるもの。
とりわけ最後の「爬虫類のように揺れる」というワンフレーズが強烈で、後世の映像化・漫画化においてもこの所作を再現する例は多い。

犯罪組織の首領として

モリアーティの恐ろしさは、個人の腕っぷしではなく「システム」にある。

彼自身は決して現場に出ない。悪事を企む者が彼のもとを訪れて相談すれば、たちどころに完璧な計画が組み上げられ、適任の実行犯が手配される。
仮に計画が失敗しても、実行犯は組織の末端に過ぎないため、中枢にいるモリアーティにまで捜査の手が及ぶことは絶対にない
ホームズはこの構造を、「千本の糸を張り巡らせた蜘蛛の巣の中央に、身じろぎもせず座っている蜘蛛と表現した。

要するにこれは「顧問探偵ホームズの完全な鏡像」であり、ホームズが困った依頼人に解決策を授けるのと同じ手つきで、モリアーティは困った悪党に犯罪計画を授けている。
両者が「唯一の好敵手」たり得たのは、能力が拮抗していたからというより、同じ商売を善悪の反対側でやっていたからと見ることもできるだろう。

しかも彼の対外的な評判は極めて良好である。
『恐怖の谷』では、ロンドン警視庁のアレック・マクドナルド警部が「教授を犯罪者扱いするホームズのほうが気の毒がられている」と語り、実際に教授を訪ねた警部自身も「厳しい世間へ出ていく息子を見送る父親のようだった」と好印象を抱いて帰ってきてしまう。
ホームズ本人も「彼を犯罪者呼ばわりすれば、こちらが名誉毀損で訴えられて負ける」と理解していた。*5
シャーロキアンの中には、『最後の事件』でワトソンがモリアーティの名すら知らなかったのはこれが理由だとする説を唱える者もいる
『恐怖の谷』より後の時系列の『最後の事件』でワトソンがモリアーティのことを全く知らなかったのは『恐怖の谷』が後付けの話なので仕方ないのだが、その後付けの『恐怖の谷』冒頭でワトソンがモリアーティのことを「稀代の大犯罪者だが一般人にはバレていない」というのを ホームズに言われる前から知っている というよくわからないことになっている。多分作者の構成ミス
とはいえ、これについては「実際には『恐怖の谷』以前にワトソンはホームズからモリアーティの事を聞いているが、『最後の事件』では読者への説明を円滑に進めるためにそれ以前にホームズとしたのであろうモリアーティの素性を聞かされた際の会話を挿入した」と解釈が可能ではある。実際その辺の説明省いてしまったら読者はチンプンカンプンである。


略歴


『恐怖の谷』(1914~1915年発表/作中年代は1888年)

発表順では最後だが、時系列上はここが最初。
教授本人は一度も登場しないにもかかわらず、事件の黒幕として圧倒的な存在感を放つ。

アメリカから逃れてきたジョン・ダグラスの殺害計画を立案し、実行犯に授けたのはモリアーティであった。
実行犯が失敗すると、彼は自らの手下を差し向けて改めてダグラスを始末するという念の入れよう。
組織の内通者ポーロックからホームズへ暗号文による密告があったものの、ホームズは黒幕の存在を知りながら手出しできず、正典において唯一、モリアーティがホームズに勝利した事件となった。

『最後の事件』(1893年発表)

『ストランド・マガジン』1893年12月号掲載、短編集『シャーロック・ホームズの思い出』収録。短編56篇のうち24番目の発表作にあたり、モリアーティ教授が唯一“出演”する作品である。

1891年4月24日、ホームズは開業医となっていたワトソンのもとへ突然現れ、モリアーティ一味の壊滅が目前に迫っていること、そのために自分の命が狙われていることを告げる。
この時ホームズが回想する形で、同日朝にベイカー街を訪ねてきた教授との対面が語られる。
「手を引け」と迫る教授と、それを撥ねつけるホームズ――正典で2人が直接言葉を交わす、最初で最後の場面である。

その後、ホームズとワトソンは大陸へ逃亡。警察はロンドンで一味を一斉検挙するが、首魁である教授だけを取り逃がしてしまう。
そして1891年5月4日、スイス・マイリンゲン郊外のライヘンバッハの滝
偽の急患を装った呼び出しでワトソンを引き離された*6ホームズは、単身で追ってきたモリアーティと対峙し――二人はもつれ合ったまま滝壺へと姿を消した。

現場に残されていたのは滝へ向かう2組の足跡と、争いの痕跡、そしてホームズが遺した1通の手紙だけであり、ワトソンは「こんなところで争えば滝底へ落ちてしまったと考えるのが自然」として苦楽を共にしてきた相棒の死に打ちひしがれるのであった。

その後、ロンドンではホームズが遺した資料を基に一味の主だったメンバーへの大裁判が行われた。

ホームズを喪ったワトソンはホームズとの冒険、そして思い出を発表するようになるが『海軍条約文書事件』*7を最後に筆を折る事を決断する。
しかし、モリアーティの兄弟であるジェームズ・モリアーティ大佐が教授を擁護する発表を行ったため、ワトソンは心から敬愛した親友の名誉を守るために、ホームズと教授との間に何が起きたのか、その最後の事件を書き綴るのであった……

なお、この『最後の事件』におけるホームズの行動には不自然な点が多く、あたかも追跡されることを期待しているように見えるという指摘は古くからある。
ここから平賀三郎らは「警察が教授を取り逃がす事態を織り込んだうえで、ホームズが自ら決着をつけるべく仕組んだ罠だったのではないか」という「モリアーティ謀殺説」を唱えている。

『空き家の冒険』(1903年発表)以降

『最後の事件』から約10年後に発表された作品。ホームズはバリツを使ってモリアーティだけを滝壺へ落として生き延び、その3年後にロンドンへ帰還し、ワトソンと再会していたことが明かされる。
そして本作でホームズは彼を「ジェームズ・モリアーティ教授」とフルネームで呼ぶ。正典で教授のファーストネームが示されるのは、この一箇所きりである。

あの日、教授を激闘の末バリツで滝壺へと投げ飛ばし何とか生還したホームズだったが、教授以外に取り逃がした彼の側近が3人いる事を知っており、このままでは彼らに命を狙われる事も理解していた。
組織のメンバーは教授以外捕まったんじゃなかったっけ?というのは禁句
そこで敢えて消息を絶って死を装い、この3人に自分が死んだと信じ込ませた上で尻尾を出す時を待ち続ける事を決断する。
このために危険を冒して断崖をよじ登り、何とか岩棚へと辿り着いたホームズだったが、この時ばかりはホームズも滝底から教授の叫ぶ声が聞こえたような気がしたと言う。
岩棚で一息ついたホームズだったが、今度は彼を落石が襲い掛かり、教授の側近が既に自分の命を狙っている緊急事態を悟って慌てて断崖から降りて負傷しながらも何とか脱出を果たしたのであった。

この作品でホームズが対決するのは、教授の右腕であり、あの日断崖の上からホームズの命を狙ったセバスチャン・モラン大佐。*8
『最後の事件』で語られたように教授の死後、組織は駆逐されており、本作で帰還したホームズによってモラン大佐も捕まった事で組織は完全に壊滅。組織戦という点においてはモリアーティの完敗に終わった。
一方でホームズがワトソンにすら生存を伝えず*9、3年間もロンドンを離れていたのは自らの死を信じ込ませて身の安全を確保するためでもあり、「何度ワトソンに生存を伝えようとしたかわからない」と語っている事からも死してなおホームズを苦しめたとも言えるだろう。

次作にあたる『ノーウッドの建築業者』の冒頭では、ホームズがしみじみと「モリアーティを失って以来、この街はつまらなくなったよ」と漏らしている。
散々あいつを倒すために命懸けてたので燃え尽き症候群みたいになってしまった*10

このほか『スリー・クォーターの失踪』『高名な依頼人』『最後の挨拶』でも彼の名が言及されており、正典で教授が登場ないし言及される作品は計7篇となる*11


人間関係


  • シャーロック・ホームズ
言うまでもなく宿敵。ホームズが知力において自分と同等と認めた唯一の人物である。
ただし前述の通り、ワトソンは一度も教授と直接顔を合わせていない*12ため、読者が知る教授の人物像はほぼ全てホームズの語りを経由したものということになる。
そのため「モリアーティなど実在せず、コカイン中毒のホームズが生み出した妄想だったのでは」という身も蓋もない説まで存在するが、じゃあ裁判で裁かれたモリアーティの組織の関係者達はなんだったんだという話にもなるので…

  • セバスチャン・モラン大佐
元インド駐留軍人にして世界屈指の猛獣ハンター、そして組織の参謀格。
音のしない空気銃を操る狙撃の名手で、ホームズをして「ロンドンで2番目に危険な男」と言わしめた。『空き家の冒険』における実質的なラスボス。

  • ポーロック
組織の一員でありながら、ホームズに情報を流していた内通者。『恐怖の谷』で暗号文による密告を行う。
直属の部下に裏切られている時点で組織の完全性に若干の疑問符が付く

  • フォン・ヘルダー
盲目のドイツ人技師。モラン大佐が使用した空気銃の製作者。

  • ジェームズ・モリアーティ大佐
教授の兄弟。そして教授と同じ名前
『最後の事件』の冒頭でワトソンは、「ジェームズ・モリアーティ大佐が兄弟の名誉を弁護する投書をした」ことを執筆の動機として挙げている。
原文では単に "his brother" とあるのみで兄か弟かは不明であり、日本語訳でも訳者によって「兄」「弟」「兄弟」と解釈が分かれている。

  • 駅長の弟
『恐怖の谷』でホームズが「教授の弟はイングランド西部で駅長をしている」と語る人物。
こちらは原文で "his younger brother" と明記されているため弟であることは確定しているが、名前は不明。

この「ジェームズが多すぎる問題」はシャーロキアン最大級の難問となっており、
  1. 「ジェームズ・モリアーティ」自体が複合姓であり、兄弟全員が「○○・ジェームズ・モリアーティ」というフルネームを持つとする説(鈴木利男ほか)
  2. ヴィンセント・スターレットやジョン・ベネット・ショウによる「兄弟は3人おり、全員がジェームズという名前」
  3. レスリー・S・クリンガーによる「大佐が兄、駅長が名無しの弟」説
  4. そもそも兄弟などいなかったとするイアン・マックイーンの説

……などが提唱されている。


誕生の経緯とモデル

モリアーティがこれほど強力な敵役として造形された理由は身も蓋もない。ドイルがホームズシリーズを終わらせたかったからである。

歴史小説家を志向していたドイルにとって、人気ばかりが先行するホームズものは重荷になりつつあった。
そこで「ホームズを道連れにできるだけの実力者」として急遽用意されたのがモリアーティだったのだ。
つまり彼は最初から「ホームズを殺すためだけの装置」として生まれたラスボス(予定)であり、必要以上の設定が用意されなかったのも当然といえば当然だった。

ところが『最後の事件』でホームズを殺した結果、読者からは抗議が殺到。ドイルは長らく復活要求を拒み続けたものの、最終的に『空き家の冒険』でホームズを蘇らせることになる。
そして皮肉にも、この「復活」がホームズを伝説的存在へと押し上げ、同時にモリアーティの知名度をも決定的なものにしてしまうわけだが。

モデルとされる人物

“犯罪界のナポレオン”という異名を含め、モデルとされているのが実在の犯罪者アダム・ワースである。
1844年プロイセン生まれ。5歳で家族とともに渡米し、南北戦争の第一次ブルランの戦いで戦死扱いとなったのを機に姿を消して犯罪者となった人物。
1869年にはボストン最大の銀行だったボイルストン国法銀行に対し、「無関係の隣家を借り、そこから穴を掘って金庫室に侵入する」という手口で15万~20万ドルを強奪している。どこかで聞いたような手口だと思ったら『赤毛連盟』の元ネタとも言われている
その後ヨーロッパへ逃亡してロンドンに窃盗団のネットワークを築き、当時スコットランドヤードの犯罪捜査部門を率いていたロバート・アンダースンから "the Napoleon of the criminal world" のあだ名を奉られた。

なお、名前そのものについてはドイルの母メアリの綴りをもじったものとする説もあったり、
ドイルの大学時代の同級生にモリアーティ姓が2人おり、それぞれ 数学と法学 が好成績だったため拾ったのではと言われている。

二項定理と『小惑星の力学』

「21歳で二項定理の論文を書いてヨーロッパ中に名を轟かせた」という設定には、そもそも二項定理はアイザック・ニュートンがとっくの昔に完成させており、それを超える成果など出しようがないという致命的なツッコミどころがある。
一説には、「この設定になったのはドイルが数学が苦手だったから」とも言われる

一方の『小惑星の力学』については、SF作家アイザック・アシモフが『黒後家蜘蛛の会』シリーズの一篇「終局的犯罪」において、「これは小惑星“群”を作り出す力学、すなわち惑星(=地球)を爆砕して無数の小惑星に変える方法の研究だったのではないか」という大胆な解釈を提示している。
スケールが跳ね上がりすぎである


後世への影響

モリアーティが遺した「一匹狼の名探偵を組織力で圧倒する悪の権力者」「決して正体を現さず、自らは手を汚さない犯罪立案者」という類型は、その後のミステリー・冒険小説・特撮・漫画に至るまで、あらゆる「黒幕系ラスボス」の原型となった。
もっとも当のモリアーティ本人は、最後には正体を現したうえで滝つぼでの一対一の殴り合いに突入しているのだが

正典での出番の少なさにもかかわらず彼が人気キャラとして定着した背景には、俳優ウィリアム・ジレットが脚色・主演した舞台版(1899年)の存在が大きい。
この舞台でモリアーティの出番が大幅に増やされたことで、「ホームズにはモリアーティという宿敵がいる」というイメージが世間に浸透していったのである*13


パスティーシュ・派生作品

正典での設定が薄い=解釈の余地が広大ということでもあり、媒体を問わずここではとても載せきれないほどに膨大な数の翻案が存在する。
なんなら正典の初っ端からして、正体不明の共犯者が逃げ切るという裏でモリアーティが関与していても全く不自然ではない展開になっている。

海外の映像作品

  • 『シャーロック・ホームズの素敵な挑戦』(1976年) 演:ローレンス・オリヴィエ
元はホームズの家庭教師だった善良な人物が、コカイン中毒のホームズの妄想によって犯罪王に仕立て上げられているという異色作。

「ジム・モリアーティ」名義。
原作と異なり30代前後の男性で、退屈しのぎに悪をなすソシオパスとして描かれる。

1作目では顔を見せず、アイリーン・アドラーを操る黒幕として暗躍。
続編でついに姿を現し、ライヘンバッハの滝でホームズと直接対決する。

  • 『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』 演:ナタリー・ドーマー
史上初の女性版モリアーティ。
シーズン1中盤でホームズの恋人アイリーン・アドラーを殺した犯人とされていたが……。

第29話「ホログラムデッキの反逆者」および第138話「甦ったモリアーティ教授」に登場。
ホロデッキ上の人格プログラムでありながら、その天才的知性ゆえに自分がプログラムに過ぎないと悟り、外の世界へ出ようとするという、ホロデッキの抱える問題を突きつける話になっている。

  • 『ミス・シャーロック/Miss Sherlock』(2018年) 演:斉藤由貴
日本製作の女性版モリアーティ。
舞台は日本・東京で、心理カウンセラー・入川真理子。本名「モリワキアキラ」
最終回では「ライヘンバッハビル」からシャーロックとともに転落する。

日本のアニメ・ゲーム作品

「攻めるぞ奪うぞモリアーティ♪ 金庫も鍵もぶち破り♪」
緻密な計画立案能力と非情さを併せ持つが、「組織がが三名の貧乏所帯」「第一線で自作のメカを操る」「殺人はしない*14」「ここぞという場面でドジを踏んでホームズにしてやられる」「自身を称える歌をロンドン中に響かせる」などかなりコミカルにアレンジされている。
翌1985年には、教授が部下のトッドとスマイリーを相手に犯罪学を講義するサウンドドラマ『モリアーティ教授の犯罪学講座』まで発売された。完全に主役扱いである

本人は劇場版に登場。
TVシリーズには子孫の「森・アーティ」(声:高城元気)が登場する。

  • 『シャーロック ホームズ』(2014年) 声:江原正士
三谷幸喜によるNHKの人形劇。ビートン校の教頭先生という配役で、左右でバランスの異なる顔を持ち、マイペースなホームズを目の敵にしている。
ちなみにホームズ役は山ちゃん

  • Fate/Grand Order(2017年) 声:土師孝也(老年期)/伊東健人(青年期)
新宿のアーチャー」として登場。『小惑星の力学』についてアシモフの解釈(=惑星破壊の論文)を採用しており、惑星破壊計画をめぐって主人公たちと共闘・敵対を繰り返す。
老年期は飄々とした言動と抜け目のなさを持ち合わせる、まあぶっちゃけ胡散臭い「アラフィフ(自称)」なのだが、激しく動いた時に腰を気にする、独身ゆえにとある少女からの「ぱぱ」呼びに衝撃を受けて親バカになるなどの親しみやすい言動などからプレイヤーからの人気が高いサーヴァントの一人である。
実は正典で描写された外見とは少し異なっている。そこまで長身ではない(設定身長175cm)し、髭を生やしている。立ち絵でもバトルキャラでも猫背ではない。
これは「モリアーティの影響を少しでも削ぐため、実際の容姿とは異なる特徴で描写した」と作中で理由付けされている。

後に青年期の姿も登場し、作中世界の「ライヘンバッハの滝」でホームズと相まみえたり、さらにその後にはダンテと漫才コンビを結成したりしていた
青年期の姿はイギリスのとある大学で数学教授の座を得た頃の姿という設定だが、ドイルの小説ではそこまで詳しく描かれていないため、こちらもゲームオリジナルのアレンジに近い。

劇中ゲームの登場キャラクター。切り裂きジャックを手下として使い、自分は劇場の客席から高みの見物を決め込むという、原典に忠実な“手を汚さない”スタイルを披露した。
腹心のモラン大佐を伴い、自身はその馬車の御者に扮してコナン一行を試すが、自分こそがモリアーティと見抜いたコナンらを認め、手を離れて暴走し始めたジャックの逮捕に協力する。
コナン(新一)は、「あくまで創作のキャラとして」モリアーティはお気に入りらしい。

  • 『アンデッドガール・マーダーファルス』(2015年)声:横島亘 
ライヘンバッハの滝から生還した世界線であり、主人公の“鳥籠使い”一行と対決する。

  • 『未来の黒幕系悪役令嬢モリアーティーの異世界完全犯罪白書』(2019年)声:鈴木崚汰
異世界転生ものライトノベル。異世界の令嬢シェリー=モリアーティーに憑依したジェームズが、シェリーの指南役としてマンツーマンで導いてゆく教授面を強調した。

  • 『歌舞伎町シャーロック』(2019年)声:山下誠一郎
歌舞伎町三丁目に当たるウエストサイド在住の高校生で、悪ガキグループ歌舞伎町遊撃隊を率いるような存在。実は偽名であり、歌舞伎町シャーロック作中での正体と本名は、ジェームズ・モラン。

『憂国のモリアーティ』

原案:コナン・ドイル/構成:竹内良輔/漫画:三好輝による漫画作品。声(アニメ版):斉藤壮馬。

ジャンプSQ.』にて2016年9月号から2023年1月号まで第一部を連載(単行本全19巻)。
その後、小説版のコミカライズ『憂国のモリアーティ -The Remains-』(2023年4月号~2024年8月号)を経て、2025年1月号より第二部が連載中である。

19世紀末の大英帝国を舞台に、階級制度に縛られた社会を変革するため「犯罪卿」として暗躍するダークヒーローという大胆な再解釈を施した作品。
モリアーティはウィリアム(次男・主人公)、アルバート(長男)、ルイス(三男)の、全員がミドルネーム「ジェームズ」の三兄弟として描かれており、前述の複合姓説を踏まえた構成となっている。

2018年「全国書店員が選んだおすすめコミック」一般部門2位。
2020年10月~12月・2021年4月~6月に分割2クールでTVアニメが放送されたほか、舞台化・ミュージカル化もされている。
近年の日本におけるモリアーティ人気は、本作とFGOによるところが極めて大きい。


小説

  • 『犯罪王モリアーティの生還』『犯罪王モリアーティの復讐』(ジョン・ガードナー)
モリアーティを主人公に据えた連作。

  • 『ドラキュラ紀元』(キム・ニューマン)
パラレルワールドを扱った小説。モリアーティが重要な役どころで登場する。

  • 『千里眼を持つ男』(マイケル・クーランド)
モリアーティを主人公とし、ホームズと共闘させるという趣向の推理小説。

  • 『アンデッドガール・マーダーファルス』(青崎有吾)
ライヘンバッハの滝から生還したという設定で、主人公たちの前に立ちはだかる。

  • 『モリアーティ』(アンソニー・ホロヴィッツ)
コナン・ドイル財団公認のパスティーシュ。「最後の事件」直後のライヘンバッハから幕を開ける。

モリアーティがモチーフのキャラクター

  • ラティガン教授(『オリビアちゃんの大冒険』)
ディズニー映画に登場する「ロンドンの犯罪王」たるネズミ

  • マキャヴィティ(ミュージカル『キャッツ』)
T・S・エリオットの詩集『キャッツ - ポッサムおじさんの猫とつき合う法』(1939年)に登場する猫。
エリオットは熱心なホームズ愛読者で、1929年には『シャーロック・ホームズ短篇全集』の書評まで書いている人物。詩の中でマキャヴィティは“The Napoleon of Crime”(犯罪界のナポレオン)とそのまま呼ばれており、外見描写にもモリアーティの面影が色濃い。
名前自体もニッコロ・マキャヴェッリ+ジェームズ・モリアーティの合成である。


杉下右京のロンドン研修時代の相棒。
特命係の2人だけが犯行を見抜き、南井は最後の最後に滝に身を投じるという『最後の事件』のオマージュが展開される。

本編とは別に進行するユースドラマに登場する、高校生を非行に誘い込む人物。

プリキュアでありながら怪盗団ファントムに所属していた少女。中盤以降はキュアット探偵事務所に復帰した。
詳細は該当項目を参照。

FBIの捜査官で赤井秀一らの上司。
黒の組織担当チームの指揮官と思われる壮年の男性であり、トップ層には及ばないもののしっかりとした推理力、判断力を持つ。
ファーストネームがホームズの宿敵の名前、ファミリーネームが組織の名前と同じというあからさまに怪しい名前でありながら(今のところ)完全な味方。
あの方候補の常連だった。
恐らく、ミスリード要員だったのだろう。

名探偵コナンよりまさかの2人目。
著名な建築家である壮年の男性。
左右対称(シンメトリー)様式へのこだわりは病的と言っていいほど強く、本名の「貞治」さえも左右対称になる「帝二」に改名している。

なお名探偵コナンにはもう一人森敦士というモリアーティがモチーフと思しきキャラが、序盤の1エピソードのみ登場する。
コナンのゲストキャラクターの中では印象に残るキャラクターではあるのだが、それ以降の活躍はない。
アルセーヌ・ルパンがモチーフのライバルが登場するためか、シャーロック・ホームズシリーズのオマージュが多大に含まれている作品にも関わらず『名探偵コナン』においてモリアーティ教授をモチーフとした敵役は今ひとつ定着に至っていない。

「お・パーツ」という秘宝を狙う、パンツのようなマスクをつけたお尻のような頭の教授。

余談


小惑星モリアーティ

アリゾナ州ローウェル天文台のエドワード・ボーエルが発見した小惑星のうち、(5048) モリアーティは彼にちなんで命名されている。
ご丁寧なことに、隣接する番号は(5049) シャーロック(5050) ドクターワトスン3人まとめて星になった。
『小惑星の力学』などという論文を書いた男が小惑星の名前になるあたり、なかなか味わい深いものがある。

ルパンの宿敵?

「ホームズの宿敵は誰か」と問われてアルセーヌ・ルパンと答えてしまう人が一定数いるが、これは『ルパン対ホームズ』というモーリス・ルブラン側の作品に由来する誤解である。
ルパンの作者であるモーリスは『ルパン対ホームズ』という名前でホームズとルパンが戦う公式クロスオーバーものを何本か書いているのだが、それとごっちゃにしてしまう読者が一定数いるのだろう。あと一般的によくイメージされる服装を、作中で実際にはしていないという繋がりも
もちろん、それらの小説群における主人公はルパンなのでホームズは出し抜かれる側である。

だが、ドイルの小説にルパンの姿はない。
ドイルが書いたホームズ譚における宿敵は、あくまでモリアーティただ一人。

余談であるが、色々あったためか「『ルパン対ホームズ』に出てくるホームズらしき存在はエルロック・ショルメ(ハーロック・ショームズ)である」とされることが多く、「ホームズの宿敵がルパン」とは余計に言い難くなっている。




モリアーティ「……いいかね、この項目から手を引きたまえ」

Wiki篭り「断る」

モリアーティ「実に残念だ。追記・修正は、蜘蛛の巣の中央でお待ちしているよ」

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最終更新:2026年09月20日 14:14

*1 ドイル本人が書いたホームズ譚(長編4篇と短編56篇)のこと。聖典とも。

*2 勤務先の大学は作中で明言されていないが、「地方の小規模な大学」という記述からダラム大学ではないかとする説がシャーロキアンの間で唱えられている。

*3 この“army coach”の訳語は日本のシャーロキアンの間で論争の的になっている。従来は「陸軍軍人相手の家庭教師(個人教師)」と訳されてきたが、植村昌夫は当時の英国の教育事情から「陸軍士官学校の受験予備校講師」と訳すべきだと主張。これに対し平山雄一が「当時は家庭教師形式も存在したので既訳が誤りとは言えない」と真っ向から反論している。

*4 「痩せて骨ばっている」の意。「痩せすぎ」の誤記ではない。

*5 当時の法律で侮蔑罪が適用されるのは記録に残る文書で侮蔑した場合であり、さすがに口頭で陰口を叩いてとしてそれを立証するのは困難だった。また侮蔑された本人しか訴える権利がなかった。つまり「モリアーティ教授が生きているうちは彼のことを本に書いたりするなよ」とワトソンに釘を刺している。

*6 滝の近くのホテルに「危篤のイギリス人女性がいる」という嘘の伝言がもたらされ、医師であるワトソンだけがその場を離れてしまった。

*7 『最後の事件』の直前に発表されたエピソード。

*8 作中ではモランは無事ロンドンに戻って警察から疑われた形跡もないので、ホームズが遺した資料からもモランは漏れていた事になる。なおホームズの命を狙うであろう残りの教授の側近2人は3年の間に尻尾を出してしまい逮捕された。

*9 ホームズの生存を知っていたのはホームズの兄マイクロフトのみ。

*10 『最後の事件』の時点で「モリアーティを倒せるのなら明日人生が終わってもいい」「最近は犯罪学よりも自然科学の方に興味が出てきている」とワトソンに明かすなど前兆を見せている。

*11 数え方によって「6篇」とする資料もある。

*12 教授らしき人物とすれ違う場面はある。

*13 なおドイルも共作者に名を連ねるこの舞台では、教授は「ロバート・モリアーティ教授」と呼ばれている。

*14 正しくは一回も成功した試しがない。殺人自体は何度か試みている