アットウィキロゴ

妖怪ハンター(漫画)

登録日:2026/08/30 Sun 11:08:17
更新日:2026/08/30 Sun 12:19:14NEW!
所要時間:約 7 分で読めます




■妖怪ハンター/稗田礼二郎シリーズ

『妖怪ハンター』は諸星大二郎の漫画作品。
及び、そのシリーズ。
ただし、勇ましいタイトルに反して「必ずしも妖怪が出てくる訳でもない」……というか「一般的な意味の妖怪というよりカミや異世界の魔物(モノ)と呼べるものの方が多いというかそっちばっかり出てくる」天敵…そもそも「“ハンター”とか付いてるが稗田は妖怪をハントしないしバトル漫画という訳でもないじゃん」……といった理由から、タイトルが馴染みこそしているものの、ミスマッチなことは昔から指摘されていた部分であった。

尚、タイトルについては作者(諸星)自身が単行本(『海竜祭の夜』)の後書きにて「(最初に掲載された)週刊少年ジャンプの編集者が名付けたものであって自身も納得がいっていなかった」旨を明かしており、それを受けてか『稗田礼二郎シリーズ』『稗田礼二郎のフィールド・ノートより』『稗田のモノがたり』といったタイトルが冠されていることもある。
……が、前述の通りで『妖怪ハンター』というタイトルも繰り返すがミスマッチなのに日本の漫画史の中で馴染みすぎる位に馴染んでいるためか、稗田礼二郎の活躍する新作を見ても「ああ妖怪ハンターの新作か」と思われる位ともなっているのである。

何れにしても、日本の伝記、怪奇、オカルト系漫画の元祖的な名作(迷作含む)シリーズとして知られており、作者の確かなオカルト的な知識と独自の解釈、独特の画力により紡がれた唯一無二の魅力を持つシリーズとなっているのは間違いのない所であろう。

実際、09年より不定期連載されている実質的な新シリーズ、外伝的作品である『妖怪ハンター 稗田の生徒たち』では、堂々と『妖怪ハンター』がタイトルに入っている。


【掲載/刊行の歴史】

最初に掲載されたのは1974年の『週刊少年ジャンプ』で、そこから全5回が集中連載されて一先ずの区切りが付けられた。
その後は作者のライフワーク的なタイトルとなっていき、本誌連載から約2年後に、シリーズ中でも初期の発表ながらも最も強烈にして名作と名高い『生命の木が1976年8月の『週刊少年ジャンプ 増刊』に掲載された。

その後、最初の単行本の発売を経て80年代以降は『週刊ヤングジャンプ』や『月刊ベアーズクラブ』や『ウルトラジャンプ』といった青年誌にシフトして数年置きに不定期掲載、連載されるという形式での発表が続いている。
基本的には集英社系の雑誌での掲載がされるのが殆どだが、新本格派の作家達がミステリー界を賑わせていた00年代には、彼等に影響を与えまくった作家/作品としてフィーチャーされて講談社の『メフィスト』誌や『月刊アフタヌーン』にも新作が掲載されていた時期もあった。

09年からは『ウルトラジャンプ』にて『稗田の生徒たち』シリーズが不定期掲載。

現時点での最終作は2015年に『妖怪ハンター』シリーズにて舞台やモチーフとなった古墳や遺跡の調査、解説に挑む平凡社の「別冊太陽 太陽の地図帖 31: 諸星大二郎 『妖怪ハンター』異界への旅」に描き下ろし掲載された『雪の祭』である。


【主な用語/舞台】

基本的には短編エピソードによるオムニバス形式となっているのだが、掲載時期が近い作品については世界観や設定が共有されていると共に共通するキーワードが登場している。

■疑似生命体

『黒い探究者』〜『死人帰り』までの初期エピソードにて登場してくる、地上で生きる人間を含む通常の(……と思われている)生命体系とは同じモノから生まれながらも別の枝分かれと進化を遂げた後に地下(異世界)へと追いやられてしまった生命体群のこと。
『古事記』やその他の世界の神話や宗教教義、神話で語られる神や魔物の伝承の正体と考察されており、映画のタイトルともなったヒルコなどもここに含まれる。

■生命の種子

『天孫降臨』三部作に登場。
「花さか爺さん」の説話から、その正体を世界各地に残る樹木伝説から、異世界からもたらされる死したる者すら蘇らせる“生命の木”の種子との仮説を立てていた稗田が、日本古来の天孫降臨=国譲り神話の頃から続く因縁に巻き込まれた末に壮大な冒険と戦いに挑む。
……あれ、稗田先生ちゃんと『妖怪ハンター』してるじゃん。

■粟木

西日本にあるとされる漁村。
『六福神』や『うつぼ船の女』といった一連のシリーズの舞台となった。
やけに海に関連する怪異/神話の再現が頻発する傾向にある。例の如く怪異を呼び寄せる&怪異を終わらせるマンの稗田先生と縁が結ばれたせいかもしれない。

■「モノ」

『稗田のモノ語り』シリーズに登場。
御霊山山系魔障ヶ岳の奥底に潜んでいた「モノ」としか形容し難いモノ。
例の如くでこんな厄介なモノと縁が結ばれてしまった稗田は「モノ」の引き起こした一連の事件に巻き込まれてしまうことになった。

【主な登場人物】


稗田(ひえだ) 礼二郎(れいじろう)

演:沢田研二(『ヒルコ/妖怪ハンター』)/阿部寛(『奇談(諸星大二郎『生命の木』より)』)
本作の主人公/狂言回し。
元K大教授。以前は新進気鋭の考古学者として注目されていたが、余りにも斬新な学説ばかりを発表するようになっていき……遂には、遺跡や古墳に残された文様や粉飾が各地の妖怪伝説にて語られる魔物を封印するための魔術的な印である……とまで説いたことで保守的な学会はもちろん.マスゴミから“妖怪ハンター”と揶揄される学会の異端児、問題のある学者として扱われるようになった。
初登場作である『黒い探究者』の頃はマスゴミに騒がれつつも未だK大教授の肩書きを持っていたのだが、この時に遭遇したヒルコの存在から自分の考えが正しかったと確信を持つに至り、以降はK大の職は辞しつつも別の大学に迎え入れられたり、客員教授として招かれてつつ個人的な研究を続けている旨が語られている。
とはいえ、そんな稗田先生は正しかった……というのを確認していくのが『妖怪ハンター』というモノ語の基本スタイルである。
さて、稗田の基本情報なのだが、年齢や出身など、職業以外のその他の過去は一切が不明。(恐らくは西日本の生まれではないかとは思われるのだが……)
学会の異端児ながら人柄は誠実だし、理性的な人物なので普通に知人や慕ってくれる同輩や後輩も居る。
長身、長髪、喪服を思わせるタイトな黒スーツに黒いネクタイと黒い革靴が基本スタイルで、服装の変化といえば背広を脱いでいるか、コートを着込んでいるか位のものである。
どんな現場や行き先にもこのスタイルを貫き、汚れるのを気にするような素振りも見せない。
学者ではあるが普段からフィールドワーク(現地調査)を軽々とこなしているとあってか体力面は一般的な常識の範囲よりも遥かに優れていると思われ、荒事にも普通に対処できるばかりかスキューバダイビングの技術まである。割と脳筋的な所もあるのは漫画を読めば解るはず。
年齢に関しては教授という地位を考えると少なく見積もっても30前後〜と思われるのだが、そもそも連載から40年以上が過ぎても殆ど容姿が変わっていないので年齢とかは考えても無駄なのかもしれない。
時代柄もあるかもだが喫煙者で、特に酔った姿は見せていないものの付き合いで飲酒をしていたと思われる描写もある。
名前の元ネタは恐らくは……と言うよりは間違いなく『古事記』を残したと伝えられる稗田阿礼(ひえだのあれ)である。
その為という訳でもないのだろうがなんだかんだで『古事記』関連や日本神話が物語の主題になることも多い。
前述の通りで、異端の研究者として悪評を付けられているらしい立場にも関わらず、実際に怪異に遭遇したり酷い目に遭わされている人々にとっては稗田の存在と知識は大きな助けとなるために頼られることが多く、これが物語の基本パターンとなっている。
また、これも前述の通りで自らも積極的にフィールドワークを行っては各地の因縁話や神話や奇祭を追っているのだが、何故か稗田が訪れたタイミングで破滅や終結を迎えることも多く、自覚もしていなければ指摘もされていないモノの稗田自身が生来のフラグクラッシャーとしての運命を背負わされている可能性が高い。
ある意味では妖怪やらカミ様呼ばわりされているモノ達にとっては天敵とも呼ぶべき存在となっており、その意味では『妖怪ハンター』の肩書き(しかも無自覚にして最強レベルの)に偽りなし……なのかもしれない。
実際、如何に研究し尽くして正体を見切っているからとはいえ、人知を越えた存在に平然と話しかけたり受け流せるのは只者じゃありませんぜ先生。


【映画】

メディアミックスとして、以下の2作が存在している。

ヒルコ/妖怪ハンター

配給:松竹富士(1991年5月11日より公開)
監督:塚本晋也

■奇談(原作:『生命の木』)

配給:ザナドゥー(2005年11月19日より公開)
監督:小松隆志




追記修正はフィールドワークして怪異の終幕を目撃しながらお願い致します。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2026年08月30日 12:19