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ガルマジロン(仮面ライダーV3)

登録日:2026/04/18 Sat 22:10:00
更新日:2026/05/25 Mon 14:50:39
所要時間:約 2 分で読めます




「ライダーV3、風見志郎…」


ガルマジロンとは『仮面ライダーV3』に登場する暗黒組織デストロンの怪人である。
デストロンの新たな大幹部・ヨロイ元帥が送る第1の刺客として登場した。

登板回のサブタイもそれを示すように「あッ!人間が溶ける!ヨロイ元帥登場」となっており、ヨロイ元帥のついでに溶かす人みたいな感じになっている。


CV:西崎章治

【概要】


アルマジロの機能を持つ改造人間。
デストロン科学陣がナチス・ドイツの移植手術のノウハウを活かして誕生させた。
ヨロイ一族の名に相応しく全身が硬い甲皮で覆われており、丸まったような体から頭部がポツンと出ている。
いわゆる中の人の目が見えるタイプの顔でギョロギョロ左右に動き、アップで見ると怖い。ちょっと子泣き爺に似ている

甲皮の鱗は人体を瞬時に溶かす殺人兵器でもあり、取り外して投擲する。
見た目がカサブタを剥がしているみたいで痛そう。
抵抗する住民を片っ端から溶解させてあらゆる都市や村を無血開城(物理的な意味で)させるコンセプトで作れられた。
剥がした鱗は溶解能力を使わず保持する事もでき、点滅してガルマジロン本体に位置を知らせる発信機の役割も果たす。


左手は鋭い爪になっており、接近戦ではこちらを主武装とする。
背中の甲羅は棘で覆われ、これを使った必殺技が「ガルマジロン・バック攻撃」
甲羅系の宿命だが、いちいち敵にケツを向けないと使えない。



・身長:215m
・体重:87㎏
・出身地:南米アマゾンの奥地


児童誌の先行情報では「鋼鉄アルマジロ」という名前で、鋼鉄のように硬い体をアルマジロらしく丸めて弾丸のように飛ぶ体当たりが得意とされているが、あまり本編には反映されていない。
殺陣のシーンを見ると一応ショルダータックルを多用している様子は見られる。

【活躍】


手始めに動けなくなった奴隷を死刑にする名目で鱗の能力テストを行い、風見志郎を誘い出すために敢えて死刑囚を1人だけ生かして脱走させる。
風見に生き残った脱走者の山下を救出されるが、家族に面会させる事を想定して娘に「綺麗な石」として索敵用の鱗を拾わせており、収容先の病院を特定し襲撃した。
変装した戦闘員との連携で風見を翻弄し、山下を奪還して妻や娘もろとも拉致するが、アジトまで追跡を受けることとなる。


【関連人物】




・高木裕介

立花藤兵衛から事情を聞いて病院に駆けつけた風見の親友。
文武両道の才人であり、風見とはレースでも学問でもトップを争うライバルでもあったが、いつも鼻の差で敗れていた悔しさをバネにレースの本場(恐らく海外)で修行していた。
しかしコンプレックスなどの負の感情を噫にも出さず、「どんな事でも力になるぞ」と笑顔で即答する好青年。
戦闘員に包囲され脅迫されても口を割らないほど義理堅く、風見からの信頼も厚い。

"鼻が効く"として病室をピンポイントで特定する風見のような謎のヒーロー的エンカウント能力があるらしく、怪しさ満点の黒いシルエットで徘徊する紛らわしい登場で風見に取り押さえられるなど、お茶目な一面も。
佐久間とかが完全に失敗したせいでなかなか対等な仲間に恵まれない風見にとってようやく現れた相棒といえるかもしれない。


攫われた山下一家を救うべく、2人はバイクを走らせる。
心強い味方を得て、風見志郎の心は晴れやかだった。




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アジトに辿り着くと山下一家を高木に任せ、ついに新たな大幹部のヨロイ元帥と対面した風見志郎。
そのまま臨戦体制に入るが…





「お前の相手は」






「高木!お前は…?」





「高木裕介とは昔の名」




「今の名は、デーストロン怪人…」






「ガルマジロンだ!」















登録日:2026/04/18 Sat 22:10:00
更新日:2026/05/25 Mon 14:50:39
所要時間:約 6 分で読めます










「俺は裏切ってはいない!」






ガルマジロンの正体は、高木裕介その人であった。
全ては風見をアジトに誘い込むための罠だったのである。

高木は、本当に敵となってしまったのだろうか?



演:三井恒

【涙の友情】



ヨロイ元帥の抹殺命令を受けて攻撃…と見せかけ、寸前で風見を落とし穴に。
ガルマジロンは高木の姿に戻り、地下の独房に閉じ込めた親友に対して語りかける。

「俺はお前を救いたい。デストロンに入って欲しい」と。

肉体は怪人に作り変えられ、心はデストロンに傾いても、高木の風見への友情は健在だった。
そんな男が親友と戦わずに済む方法は、もはやこれしかない。

デストロンにはデストロンの理想がある。
その力で世界を制すれば、万民の生活は豊かになる。
高木はそう信じていた。



「頼む志郎。お前はデストロンのために働くか?さもなければ…死ぬしかないんだ」

左腕に深々と刻まれた蠍の紋章。
組織への忠誠の証だった。


「高木…お前の変わらぬ友情は嬉しいよ」
「だがな、お前のデストロンに対する考え方は間違っているんだ!」


他ならぬ風見志郎が、その言葉を受け入れるはずもなかった。
家族をデストロンに奪われた犠牲者であり、悲しみを力に変えて巨悪を挫くべく戦い続けてきた戦士だったのだから。


「デストロンは、悪の集団だ。掲げた文句は立派だが、しかし…」

「それによって豊かな生活ができるのは、ほんの一部の幹部だけじゃないか!」

「それ以下の大多数の者は奴隷にされ、働かされ…能率が落ちれば死刑だ!」



「そんな世界はまっぴらだ!」



ユートピアを謳ってもそれを享受できるのは選ばれた特権階級だけであり、それ以外の者に待ち受けるのは地獄のみ。

どんな綺麗なお題目を掲げても、人間の自由を奪う者は悪である。
仮面ライダーは人間の自由のために戦うのだ。


そして今度は風見が、変わらぬ友情に一縷の望みを託して逆に説得を試みる。
真っ直ぐな言葉に、高木の表情も一瞬揺らぐが…


「そうはいかんぞ!」

背後に現れた炎のシルエット。
ヨロイ元帥が意思を伝えるサインであった。


「ヨロイ元帥…私は裏切ってない!」


デストロンに敷かれた鉄の掟を唱えるヨロイ元帥。
一つ。裏切り者は。


「裏切り者は…死刑!あああ…」


高木の顔は恐怖に歪み、やがてガルマジロンとなってV3に戦いを挑む。
「俺は裏切ってはいない」と組織に弁明し、自分に言い聞かせるように。


【結末】


親友と戦いたくないV3は今一度説得を試みるが、恐怖に支配されたガルマジロンは聞く耳を持たなかった。

左手の爪やバック攻撃で全力を出しきれないV3を苦しめるガルマジロン。
だがやがてV3の決意を示すように、緑の複眼が光り輝く。

そこから決着までは一瞬だった。
必殺の両足蹴り「V3回転フルキック」の前に敗れたガルマジロンは、高木の姿に戻り…


「高木!」

「志郎!…俺は…俺は…」


友情と忠誠の間で苦しんだ高木は、最後に何かを言い残そうとするも適わず、縋るようにV3の肩を掴んで息絶えた。
救い出された山下と家族は遺恨も水に流し、その最期に両手を合わせる。

高木の亡骸を抱えて歩くV3の表情は、仮面に隠されて窺う事はできない。
そんな2人を見守るように、背後では大きな仏像が聳えていた。

愛も友情も踏み躙る冷酷無比の大幹部ヨロイ元帥の策略。
V3は悲しみを乗り越え、明日への闘志を燃やしていく。


【名作シリーズ】


これまでの流れから分かるように、かつての親友が改造されて牙を向くという物語は前作さそり男のリメイクだが、ここに至るまでの事情は込み入っている。
スマートな機械合成怪人から結託部族への交代で怪奇性の復活を図ったV3という作品は、しかし膠着気味の現状を打破するに至らなかった。
そこで毎日放送サイドから「そこまでやるならいっそ原点に立ち戻ってはどうか?」という提案を受けて実行したのが39話から42話に渡る「名作シリーズ」で、前作の印象的なエピソードをV3式にアレンジする試みである。

新展開としてライダーマン投入を控えていた制作サイドは、我らがメインライターにしてムラっ気に定評のある伊上勝をいったんそちらの構想に専念させたいという思惑もあり利害は一致した。
この4編の脚本家である「海堂肇」は平山Pと阿部Pのダブルプロデューサーの共同ペンネームであり、翻案部分のみ考案している。

各リメイクの完成度はマチマチであるがその中でもガルマジロン編は特に異彩を放っており、最大の違いは「原典のさそり男(早瀬)は嫉妬に駆られるまま敵対したが、高木はまだ友情を残していたという点にある。
高木は風見への対抗意識ではなく、デストロンの理想を信じてその身を捧げたのだ。
風見にとって嘗ての友人と対峙するのは2度目だが、1度目の相手は正気と狂気の境界を彷徨っており「理性的な態度を保ったままデストロンに堕ちた友人と対話する」のはこれが初めての経験である。

これによってデストロンという組織が、例え主人公の親友であろうと心酔させるカルト的な恐ろしさがある事を強調し、友情すら利用するヨロイ元帥の冷酷さの演出に成功した。
そしてデストロンへ勧誘しようとする高木に対する風見の「立派な題目を掲げる裏で自分たちの利潤のために弱者を虐げる支配者」への怒りは本作において一際メッセージ性の強い場面であり、あるいは現実社会にも無縁ではない話である。
ダブルライダーとの再会を果たし、快活で完全無欠のヒーローへと成長した風見志郎は、初心を思い出すように徐々に影を帯びていく。

そして高木が背負ったドラマが、そのまま結城丈二にも当てはまるのは言うまでもない。
高木の問いに毅然と返す風見は同じくデストロンを信じていた結城に対しても粘り強く説得を続けた。*1
そして高木に裏切り者の掟を突きつけて人の心を砕いたヨロイ元帥は、結城に対して裏切り者のレッテルを貼って処断した。

などなど、ヨロイ元帥の初登場も含め単なるリメイクに留まらない、ライダーマン編の前振りとして秀逸なエピソードなのである。

手袋を外し、右腕だけを怪物化させながらも後ろ髪引かれるように風見に振り返る高木は、最悪の可能性を突き進んだ結城丈二のIFの姿でもあるのだ。





【余談】


  • 冒頭のナチス科学な改造シーンからそのままリメイクしている為、ヨロイ一族とされるカテゴリーの一番手からいきなり長年付き従っていた部族の配下ではない。ドラマ性を優先されたヨロイ元帥はキバやツバサに比べて未開の原始人ぽさが薄く、従来の大幹部スタイルに回帰している。

  • これまた真っ向正直にさそり男をリメイクした影響で、デストロンには珍しい女性戦闘員が登場した。看護婦のコスプレから入り、暗がりでよく見えないが網タイツ生足のレオタードに腰紐を巻いた例のエッチな格好もそのまま。後にもう1回だけ登場し、こちらもデストロンのプロバガンダに騙された家出少女という近しいテーマを扱っている。


  • 病室を特定した事について「鼻が効くのさ」と誤魔化している。もちろん追跡用の鱗を山下の娘に忍ばせていた為だが、正体のモチーフであるアルマジロは弱視の代わりに嗅覚が鋭い生物。鼻が効くのも当然である。




  • 高木を演じた三井恒は「帰ってきたウルトラマン」における防衛チームMAT「すたほんろー!」*2こと上野隊員でお馴染み。こういった演者の経歴もあり、いかにも善玉の温厚そうな青年が突如として豹変する様は予備知識があってもショッキングである。

  • 巨大な仏像が印象的な決戦シーンのロケ地は横須賀・鷹取山の磨崖仏*3。昭和特撮では鉄板ロケ地の一つで、この仏様を挟んで親友同士の悲しい戦いは繰り広げられた。上に乗ったり目の前で爆破シーンを撮影しても許してくれるなど非常に慈悲深い
    • 息絶えた高木を抱えて去っていくV3を見守るかのようなラストシーンは印象的で、悪の怪人に仏罰が下ったのか、風見が改造された友人を救うことができなかったという「神も仏もいない」という類の皮肉なのか、あるいは親友と分かり合えぬまま死んだ高木がせめて安らかに眠れるよう慈悲で包み込むようにも見える趣深い場面である。






「すまない…こうするより手はなかった。俺はお前を救いたい。追記・修正をしてくれ!」

「この俺がか?バカな!」

「怒るな…俺だって最初はそうだった」
「しかし今は違う!Wiki籠りにはWiki籠りの理想がある」
「Wiki籠りが編集を制覇すれば、みなの生活は、今よりずっと豊かになる」



※追記・修正はデストロンに全てを捧げて親友の説得を成功させてからお願いします。
 さもなければ…


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最終更新:2026年05月25日 14:50

*1 デストロンに恩義を感じていた結城とは対極の立場であり、それゆえにやや語気が荒くなる場面もあった

*2 有名な空耳。本当は「ざまぁみろ」と言っている

*3 岩壁をくり抜いて彫った仏像