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アガベ

登録日:2026/11/06(金) 13:56:40
更新日:2026/11/07 Sat 04:28:12NEW!
所要時間:約 7 分で読めます





アガベとは、キジカクシ科リュウゼツラン亜科リュウゼツラン属に属する植物の総称である。

◆もくじ

概要

米国西南部や中南米熱帯地域原産の植物である。
リュウゼツランの呼び名は和名であり、漢字で書くと竜舌蘭。垂れ下がる葉の様子を竜の舌になぞらえたもの。
ランと付けられているが、いわゆる蘭とは系統的にも全くの別種。
また、アガベの名はギリシャ神話に登場するアガウエーから取られたとされる。
肉厚な葉や、長い葉を展開する独特の姿をしている。
なお、その姿はアロエにも似ているが、こちらも科が異なる別種である。


主な利用法

食用

葉やロゼットの根元の部分にデンプンを蓄える性質を持っている。
開花が近くなると蓄えられたデンプンが糖に変わり、樹液として花茎に送られる。
この樹液を集めて煮詰めたものは甘く甘味料として利用され、日本でもアガベシロップとして販売されており、主に輸入食品販売店で購入することが出来る。
さらにこのアガベシロップや、残った茎などを焼いて糖化させた液体を絞り、アルコール発酵させ蒸留した酒を「メスカル」と言う。
中々ピンとこないかも知れないが、その中で法律で定められた手法で作られているのが
パーティーなどでショットで飲むイメージでおなじみ、陽キャ御用達の酒、「テキーラ」である。
現地では畑にずらっと植えられ立派に育ったアガベの葉を専用の刃物でテキパキと切り落とし、丸裸にして収穫する様子が季節の風物詩になっているという
余談だが、何故か生産されるテキーラの量よりも世界で販売されているテキーラの量の方が遥かに多いという。この手の名称制限品にはありがちなこと。

繊維

幾つかの種からは麻に似た繊維を取ることが出来るため、自生地ではロープなどに利用されていた。

鑑賞

現在の主な用途は何といってもこれ。
前述の食用として使われるのは主に大型かつ葉が長く伸びるタイプだが小型のタイプは多肉植物として栽培されている。
肉厚な葉を持っており、葉の縁に鋸歯(きょし)と呼ばれる独特の棘が形成される。
また、観葉植物の例に漏れず、模様の入り方の違いや姿の違いを鑑賞する。
ボール状に丸まっていながら荒々しい棘を持つという独特のカッコいい姿が世界中の愛好家を魅了している。
かつては大型種がドライガーデンに植栽されることがあり、小型種は限られたマニアが細々と栽培する程度であったが、
2000年代に入って珍奇植物が愛好されるようになると少しずつ栽培が拡大。
2020年代以降は栽培用LED照明の性能向上と低価格化が一気に進行したことも手伝って屋内インテリア植物として楽しむことが可能になった。
他の観葉植物のように如何に理想的な姿に育てるかを競う向きもあり、一種のスポーツとしての楽しみ方も浸透しつつある。
これに伴い、各地に専門店が出店している他、一点モノの希少株には数百万円の値が付くことも。


種類

大型種



(上)「ブルーアガベ」こと「アオノリュウゼツラン」。(下)リュウゼツラン。上下いずれも新宿御苑温室前にてmakinomantaro撮影

一般には食用として栽培される種はこちら。その中でメキシコの特定地域で生産されるブルーアガベ*1を原料とした蒸留酒のみがテキーラとして認められる。
日本ではアメリカーナやパリ―と呼ばれる品種が観賞用として栽培されているが後述の小型種ほど細分化はしていない。
大型の名に恥じず、葉の長さは1mを優に越え、堂々たる姿をしている。
なお、大型種には数十年に一度しか花を咲かせず、開花した後は枯死する種もある。

小型種

アガベ・チタノタ


アガベ・チタノタ。神代植物公園大温室にてmakinomantaro撮影

現在、日本国内で観葉植物、多肉植物として栽培されている小型アガベの大半がこのチタノタに含まれる。
名前はギリシャ神話の巨人、タイタンに由来する。
小型種とは言え、育て方によっては10号鉢サイズを越えるようなサイズまでは成長する。
園芸慣習上はほぼ1種として纏められているものの実際には複数の種を姿によってまとめたグループ名というのが実態に近い。
後述のように人為的に栽培する他、自生株を採取することもある。この辺りは盆栽にも通じる。
この中で明確な特徴を持った株から分けられた品種が選抜品種やネームド株と呼ばれている。
その特性上、ネットでさらっと検索して見つかるだけでも軽く100種を越えるネームド株が存在しており、
大きめのホームセンターで見掛けるものから、情報自体が殆ど存在せず個人間での直接の取引しか行われていない物まで千差万別。
更には2010年代以降は比較的高価な植物であると認知されているのも手伝って、人気品種名を騙った偽物も流通している。
狙った姿に育てたい愛好家は親指大の子株から育てるが、多くの植物がそうであるように幼い段階では各品種の特徴は殆ど発現していないため、熟練者でも判別は困難である。
以下に著名な物を列挙する。
  • 白鯨 THEチタノタと言える超有名普及種。
  • 厳竜、姫厳竜 後者は矮性。
  • レッドキャットウィーズル(赤猫)
  • ブラックアンドブルー(BB)
  • パンダ(猫熊)
  • 狼人
  • ジャガーノート
  • 悪魔くん
  • SAD
  • 白犀牛
  • 海王

近年は中国で作出された品種が多い様で、その荒々しさから竜や獣の字、猛獣を思わせる名前が付いている。
変わったところでは卡比獣(日本名カビゴン)やカービィ獣など明らかに人気ゲームキャラクターから名前を拝借しているであろう種もある。
その他にも東南アジアを中心に愛好者が多い。

マニアは極僅かな形や色味の違いを見て楽しむが、初心者がどう違うのかを判断するのは極めて困難であり、こち亀で特撮ヒーローの違いを説明される中川のように「全部同じじゃないですか」となりかねない。
尤も厄介なことに、同じ株から分かれた斑の入り方が僅かに異なる個体差程度の差しか無い物*2や、同一形質の株に別の名前が付けられている、他の園芸作物同様に同じ親を持つ実生兄弟株も入り混じっており、混沌としているのも事実である。

アガベ・イシスメンシス

  • 王妃兜蟹 蟹のような刺々しさが特徴。チタノタ系よりも小型。

増やし方

実生

花を咲かせて交配し、種子を取り栽培する。
アガベは自家不稔性を持ち他の株の花粉でないと受粉しないため、交雑が多い。
品種が極めて多いのはこの特性も大きい。
そのため、種子が販売されている場合、標榜された品種とは全く別の特徴を持った株に育つこともザラである。

栄養生殖

多くの多肉植物同様にアガベも子株を吹いて増える性質がある。
特に優れた形質を持った株は「マザー」と呼ばれ、まさしく「ビッグママ」として多くの子を世に送り出すことになる。*3

自然発生

根元から出てくる子株を利用するが、個体差で出やすさが異なる。
出やすい個体は3号鉢程度の小さな頃から子株を出すが、出にくい株だとかなり大きくなっても全く出ない。
その際には後述の手法を使う。

胴切

株の下部の葉数枚を残して上下に切断する方法。
残った下の株の切断面から子株が吹く。また上部も切断面から新たに発根し独立する。
子株を増やしたいときの他、徒長や葉の傷みによって任意の形状が得られなかった場合の仕立て直しの際にも行われる。
株の形を残せるので、希少株を最初に増やすときはこちらの方法を取ることが多い。

縦割

胴切とは逆に縦半分に切断する方法。胴切と違い、処置前の株形を失うことになる。
その代わりに胴切よりも沢山の子株を得ることが出来る傾向にある。

葉挿

本体から取り外した葉の根元から子株が出るのを待つ。
エケベリアなどの多肉植物ではポピュラーでアガベでも出来ることは出来るのだが成功率が低いとされ主流ではない。

メリクロン

茎頂組織培養。
植物の先端にある成長点の細胞を無菌状態で培養する手法。一般にはウイルスに汚染されていない株を得るのに使われる。
上記のような古典的な栄養生殖とは比べ物にならないほど効率的に大量のクローンを作り出すことが出来る。
他の園芸植物に比べてアガベの品種分類は非常に曖昧な上、優良株の多くが個人の愛好家によって見出されているという事情もあって、
人気が出た優秀な選抜品種も数年以内にこの手法で大量に出回ることが常態化しており、数の暴力で普及種になってしまうことが愛好家の悩みの種になっている。*4


創作等

FLOWER KNIGHT GIRLでは花騎士の一人として「リュウゼツラン」が登場している。
公式ノベライズ第一巻に付属するコードを入力すると仲間になった…が、そのコードが期限切れとなっているので今では別の入手方法となっている。
小説ではオリジナルキャラクター「ソラル」の幼馴染であるが、ゲームではソラルではなくプレイヤーの幼馴染になっている…とややこしい(この辺りはボカされている)
戦闘時は弓になる剣を巧みに操る。また胸が非常に大きいらしい。

機動武闘伝Gガンダムに登場するテキーラガンダムは肩がブルーアガベという斬新さMAXのデザイン。
機体自体はマイナー気味だがそのテキーラ度マシマシの名前とデザインは海外、特にテキーラが好きな人には受けているらしく、スペイン語圏、英語圏内ではかなりの人気を誇っている。





追記・修正はトゲトゲに魅了された方にお願いします。

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最終更新:2026年11月07日 04:28

*1 和名は「アオノリュウゼツラン」。学名はAgave americana。植物学上でいえば、こちらが母種で、葉の両側に薄い黄色の斑が入り、単に「リュウゼツラン」と呼ばれるものは変種なのだが、我が国にはこの斑入りの方が先に渡来したため、ブルーアガベの方が「アオノリュウゼツラン」という和名をつけられたのである

*2 アガベの特性上、斑の入り方が固定していない品種も多い

*3 栄養生殖個体は基本的に親株と同じ遺伝形質を有するので正確にはクローンである。

*4 メリクロンの手法自体は繁殖が難しい植物を増やす方法として非常に有用。一例として、ホームセンターで販売されている安価な胡蝶蘭はほぼ全てメリクロン培養された株である。