ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ(宇宙暦737年頃 - )は銀河帝国の軍人。原作登場人物である。
メルカッツ派の領袖。
1 略歴
1-1 前世
ヤンとラインハルトの二大天才に一目置かれた帝国軍の宿将。銀河帝国宇宙軍上級大将、リップシュタット貴族連合軍総司令官、自由惑星同盟宇宙軍客員提督、銀河帝国正統政府軍務尚書、エル・ファシル革命予備軍上級大将などを歴任した後、イゼルローン共和政府軍の艦隊司令官としてシヴァ星域会戦で戦死。
1-2 新版
宇宙歴792年8月10日の
アルレスハイム星域会戦で
サミュエル・アップルトン宇宙軍少将率いる
第三艦隊B分艦隊を待ち伏せ、死傷率五割を越える損害を与え勝利した。階級は宇宙軍大将。(12話)
宇宙歴794年には第三驃騎兵艦隊司令官を務めている。
第六次イゼルローン要塞攻防戦に際して宇宙艦隊司令長官
グレゴール・フォン・ミュッケンベルガー元帥から呼び寄せられた。(24話) 同攻防戦序盤、緒戦を勝利した同盟軍の前進を阻止する。さらに、幽霊艦隊撃破に気を取られた第一〇艦隊を攻撃し、八〇〇隻ほどの損害を与えた。同攻防戦中、同盟軍に押されながらも善戦する。(26話)
宇宙歴796年10月に実施されずに終わった帝国軍同盟領侵攻計画では中衛部隊司令官を務めるという情報も流れていた。階級は上級大将。(48話)
宇宙歴797年時点で第一竜騎兵艦隊司令官を務めており、帝国内戦では当初中立派として振る舞う。
エルウィン=ヨーゼフ・フォン・ゴールデンバウム帝に忠誠を誓うが、これは形式上の物であり、他の中立派諸将と共に同盟軍の侵攻に備えた。(51話)
宇宙歴798年に自由惑星同盟軍が「
神々の黄昏(ラグナロック)」作戦を発動し、帝国領土に侵攻を開始するといち早く反応し、ニヴルヘイム右翼軍集団を率いて迎撃を行う。
ウランフ中将の
第一統合軍集団と名人戦の如き戦いを繰り広げたが、配下の部隊の差もあり撤退を余儀なくされる。さらに、第一統合軍集団司令官
ウランフ中将と第三統合軍集団司令官
イアン・ホーウッド中将を相手取り、二月七日から一四日までの一週間で三度戦う。全ての戦いで敗北するが、そもそも二万隻に満たない戦力で五個艦隊と三連戦するのは尋常ではなく、さらに一万隻以上の戦力を保持し続けていたために負けを重ねることで畏怖された。その後も孤軍奮闘したが、同盟軍の優勢を覆すには至らなかった。(57話)
同年の
第一次ヴァルハラ会戦では、
リヒテンラーデ=リッテンハイム連合と共に同盟軍を迎え撃つ。左翼で三個艦隊を率い、
ヤン・ウェンリー宇宙軍中将の
第一三艦隊、
シャルル・ルフェーブル宇宙軍中将の第二統合軍集団と激戦を繰り広げるが、ヤン中将の奇策によって前後から挟撃を受ける。それでもなお沈着さを失わず、非凡な速度と正確さで対処したが、撤退を余儀なくされる。(58話)
その後、
レンテンベルク要塞に
ウィルヘルム・フォン・リッテンハイム公爵と共に陣取った。6月ごろ、
アデル・ロヴェール中将率いる二個艦隊と一個地上軍をレンテンベルク要塞で迎え撃ち、優勢に戦いを進めた。(61話)
宇宙歴799年になっても
アデル・ロヴェール大将率いる
第二統合軍集団と睨みあいを続けている。(66話)同年4月の
第二次ヴァルハラ会戦では三万隻から四万隻のリッテンハイム軍別働隊を率い、同盟軍中央の
ウラディミール・ボロディン宇宙軍大将率いる第
七統合軍集団と対峙、連日ハイレベルだが地味な戦いを繰り広げる。(67話)
宇宙歴801年にはクーデターを起こした
民主政治再建会議から「復員支援のために借りた帝国軍基地三四か所を返還する」という申し出があったため、復員支援軍の兵站拠点「アムリッツァ・ドライ」基地の接収に向かう。この時ニヴルヘイム総監を務めており、階級は宇宙軍元帥。(83話)同年に
門閥派と
先帝側近グループの対立が深まると門閥派を支持する。(87話)
宇宙暦802年2月、
ローエングラム大元帥のクーデターが発生し、門閥派の殆どが粛清された際、逮捕された。しかし、その後釈放され宇宙艦隊副司令長官となった。この時点で帝国宇宙艦隊は
ラインハルト派、
キルヒアイス派、
メルカッツ派に三分された。(97話)ただし、旧ミュッケンベルガー艦隊の残党に名目上の指導者として担がれただけであり、保守派とも開明派とも疎遠で、影響力は皆無と言っていい。
宇宙歴803年10月、
ローエングラム大元帥のクーデター(
救国軍事会議のクーデター)後、救国軍事会議副議長に就任する。また、帝国軍副最高司令官に就任している。(117話)
2 性格
寡黙で実直な人柄。重厚で生真面目な性格。前世ではヤン艦隊と接するようになって以来それまでは関心を示さなかったユーモアにも反応を示すようになった。
3 能力
攻勢の巧妙さと守勢の堅固さを兼ね備えた超一流の戦術家。艦載機や宙雷艇を使った強襲が必勝パターンとして有名。単純な強さならヤン中将やラインハルトに匹敵する。しかし、この二人のように戦局を塗り替える強さではない。完敗を惜敗にし、勝利を大勝にすることはできるが、負け戦を勝ち戦にすることはできない。
最終更新:2021年06月23日 22:51