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シーン6 「麓」

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匿名ユーザー

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ミナス峠、麓の廃村。

降り続く雨。

朽ちかけた物見小屋の壁に、背を預けるイルドルフ。

「イルドルフ殿ではありませんか?」

 自分の名を呼ぶ涼やかな声に、朦朧としていた意識が五感を回復していく。

鮮明になった視界は、甲冑の騎士たちを認識。

聖都ロンバルディア外苑部を守護する‘聖輪騎士団’の精悍な足音が近づく。

「挑発行為を仕掛けてきた不審者を追っていたのですが、このような場所でお会いするとは。 キスリング導師はいかがなされた?ベルン殿とレスター審問官はご一緒では?」

 騎士団長は女性。

 法王庁内部を守護する聖冠騎士団長の妹(余談)。

「不覚をとった私を貴公らと合流させるため、異端者と交戦中です。・・・応援を、要請します」

「・・・ひどい傷を負われている。救護班、急げ!」

「イルドルフ殿にここまでの手傷を負わせるとは」

「相手は‘逆十字団’。・・・ミナス峠に残った三人への増援を、早く」

「‘逆十字団’。・・・・ならば、増援を急がせましょう」

「オーギス!ジョルディ!レンヌ!貴公らは先行し、キスリング導師並びに異端審問官殿の援護にあたれ!」

 聖輪騎士団の精鋭三名が呼ばれる。


「だから、最初から俺をいかせればよかったんだ」

 聖騎士オーギス

 筋肉質の偉丈夫。

 赤魔石の埋め込まれた‘聖剣’

 不敵な笑み。

「お言葉、拝命いたしました」

 聖騎士ジョルディ

 最年少。

 育ちがよさそうな顔立ち。

 二種の魔石の埋め込まれた双剣。


必ず、ご期待に応えましょう」

 聖騎士レンヌ・バレイアス

 女性騎士。

 白い肌と長い睫毛。

 細身の聖剣。


三人はミナス峠に向かい、雨の中、消える。

「我々も移動するぞ」

 先行した三人を追うように、統一された動きで馬を進めようとする聖輪騎士団。

 一人の騎士が気づく。

「団長、子供がいます」

 雨の中、廃村の片隅にたたずむ少女。

 虚ろな瞳が鈍く輝く。

 ミナス峠、中腹。

 細身の体に皮鎧、大小二本の剣を下げた男が廃村を見下ろしている。

 ‘典型的な傭兵’姿だが、首から提げた‘8’という数字が刻まれた‘逆十字印’が、雨風に揺れている。

「遅かったじゃないか、先輩方」

廃村から視線を動かさず、背後に声をかける。

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