現状の生成AIに対するクリエイター団体や企業の反応・対応のうち、アート・イラスト関連のみをまとめたページ。
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- アート・イラスト団体の反応・対応一覧
- 日本美術著作権連合
- クリエイターとAIの未来を考える会(日本)
- グラフィック・アーティスト・ギルド(アメリカ)
- アーティスト・ライツ・ソサエティ(アメリカ)
- コンセプト・アート・アソシエーション(アメリカ)
- ナショナル・アート・エデュケーション・アソシエーション(アメリカ)
- ソサエティ・オブ・イラストレーターズ(アメリカ)
- CARFACとRAAVの共同声明(カナダ)
- アソシエーション・オブ・イラストレーターズ(イギリス)
- デザイン・アンド・アーティスツ・コピーライト・ソサエティ(イギリス)
- インターナショナル・アソシエーション・オブ・アート(IAA)ヨーロッパ
- ヨーロピアン・ビジュアル・アーティスツ(EVA)
- 関連項目
アート・イラスト団体の反応・対応一覧
日本美術著作権連合
1965年に美術6団体が共同で設立した美術著作権の啓蒙・擁護を行うための団体である日本美術著作権連合(HP)は2023年8月17日、生成AIに関する声明を発表した。
声明文によると、同連合は「生成AIは創作活動の優れた補助的ツールとなり得るものの、クリエイター達が心血を注いで創造した作品を『材料の一つ』として大量に利用する事で新たな画像や文章が生成できるという側面を持っているのも事実だ」「生成AIに対し何らかの抑制もなく安易な利活用が進めば文化の発展に必要不可欠な創作活動を阻害する恐れもある」と指摘。
さらに「自らの人格を反映した創作物が、自身の知らない所で生成AIを構築する材料として利用されていることについて違和感を抱くクリエイターも少なからずいる」「そのため、クリエイター団体である日本美術著作権連合としても現時点における生成AIの推進について諸手を挙げて賛成する事は出来ない」と表明した。
続いて、「利用者にとっての生成AIは権利侵害の不安なく使え、クリエイターにとっての生成AIは知らない所で自作品に対する権利侵害が生じるのではとの懸念を払拭できるよう、公正な利活用と権利保護の両輪があってこそ文化の振興・発展に寄与し得るだろう」とし、具体的な方法として「学習対象にされることに対するオプトアウト」「データセットに関する透明性の確保」「AI生成物である事の表示」「学習や利用など各段階においてガイドラインを制定する」事などが考えられるとした。
そして同連合は「この点については著作権法第三十条の四の但し書きが『ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。』と定めていることを踏まえる必要があり、EUのAI規制案など各国のルールを参考にすることも考えられる」とし「広島AIプロセス」の検討状況も注目されるところだ。」とした。
最後に同連合は「生成AIは日々進化を続けており、これを取り巻く状況も刻々と変化している。日本美術著作権連合はこれを注視し今後も必要に応じて意見を発表する」と結んだ。
⇒各国の生成AI規制については当ウィキの「各国の生成系AIへの対応・規制まとめ」へ
・日本美術著作権連合について
日本美術家連盟、日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)、日本児童出版美術家連盟、日本理科美術協会、日本出版美術家連盟、東京イラストレーターズ・ソサエティ、日本図書設計家協会の7団体が加盟する「美術著作権の啓蒙・擁護」などを目的とした団体。
日本美術家連盟、日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)、日本児童出版美術家連盟、日本理科美術協会、日本出版美術家連盟、東京イラストレーターズ・ソサエティ、日本図書設計家協会の7団体が加盟する「美術著作権の啓蒙・擁護」などを目的とした団体。
- 生成AIに関する声明(PDF)(2023年8月17日-日本美術著作権連合)
総務省と経済産業省が作成した「AI事業者ガイドライン案」について2024年1月20日から同年2月19日までに募集されたパブリックコメントへ意見を送付し、2月19日に内容を公開した。
- [PDF]総務省及び経済産業省による「AI 事業者ガイドライン案」に関するパブリックコメント(2024年2月19日-日本美術著作権連合)
内閣府・知的財産戦略推進事務局が作成した「知的財産推進計画2024」に対するパブリックコメント(2024年2月26日~3月27日募集)に対し、意見を送付し、3月27日に内容を公開した。
- [PDF]知的財産推進計画2024の策定に向けたパブリックコメント(20243月27日-日本美術著作権連合)
クリエイターとAIの未来を考える会(日本)
2023年4月27日、イラストレーターや漫画家など30人で作られる団体「クリエイターとAIの未来を考える会」が記者会見を行った。
この団体は、現状の画像生成AIは著作者に無断でインターネット上から収集・複製した画像を機械学習に使用していることや、第三者がAIの機能を使って勝手に別の人が著作権を持つ画像を無断で改変し別作品として公開する行為が後を絶たず問題を抱えていると表明した。
そしてAIと著作権の問題が十分に解決されていないとして、以下のような提言を行った。
この団体は、現状の画像生成AIは著作者に無断でインターネット上から収集・複製した画像を機械学習に使用していることや、第三者がAIの機能を使って勝手に別の人が著作権を持つ画像を無断で改変し別作品として公開する行為が後を絶たず問題を抱えていると表明した。
そしてAIと著作権の問題が十分に解決されていないとして、以下のような提言を行った。
- 画像生成AIの機械学習に作品を使用する際は著作権の所有者に許可を得ること。
- 画像生成AIの出力した画像に対し、AI生成であることが分かることや元になった著作物の明示を義務付けること。
- 著作権の所有者へ使用料を支払うこと。
当wiki「画像生成AIに対する法整備を求める記者会見がNHKニュースで放送」に詳細あり
- 画像生成AI “クリエーターの権利脅かされる” 法整備など提言(2023年4月27日-NHK)
グラフィック・アーティスト・ギルド(アメリカ)
1967年に設立されたアメリカのアーティスト団体「グラフィック・アーティスト・ギルド(Graphic Artists Guild)」は2023年7月13日、24のアーティスト団体と共に、EUに対して生成AIによって発生している著作権侵害への対処を進めるよう呼びかけた。同団体はEUが2021年に施行したデジタル単一市場著作権指令(DSM)を挙げ、同指令には生成AIのデータセット収集過程にも用いられるテキスト及びデータマイニング(TDM)に対する広範な著作権制限が含まれていたとした。同団体はEUが現在施行を進めている「AI法」はTDMに伴う著作権制限が考慮されていないとし、さらには著作権関連の条約であるベルヌ条約へ違反するのではないかと指摘している。グラフィック・アーティスト・ギルドをはじめとするクリエイター団体は、DSMを改正するか生成AI開発に関して行われるコピーについては著作権法の例外を適用しないと明確にしたガイダンスを公表すべきであると求めた。
以下はグラフィック・アーティスト・ギルドと共に連名で参加した団体。
Graphic Artists Guild (GAG)
National Writers Union (NWU)
American Society for Collective Rights Licensing (ASCRL)
Artists Rights Society (ARS)
American Photographic Artists (APA)
Romance Writers of America (RWA)
National Press Photographers Association (NPPA)
American Society of Media Photographers (ASMP)
Sisters in Crime (SinC)
Horror Writers Association (HWA)
Authors Guild
Dramatists Guild of America
Society of Composers & Lyricists (SCL)
Science Fiction & Fantasy Writers Association (SFWA)
Novelists, Inc. (NINC)
Songwriters Guild of America (SGA)
Music Creators North America(MCNA)
Garden Communicators International (GCI)
Concept Art Association (CAA)
Society of American Travel Writers (SATW)
Textbook & Academic Authors Association (TAA)
Alliance For Women Film Composers (AWFC)
Composer Diversity Collective (CDC)
Game Audio Network Guild (G.A.N.G.)
Graphic Artists Guild (GAG)
National Writers Union (NWU)
American Society for Collective Rights Licensing (ASCRL)
Artists Rights Society (ARS)
American Photographic Artists (APA)
Romance Writers of America (RWA)
National Press Photographers Association (NPPA)
American Society of Media Photographers (ASMP)
Sisters in Crime (SinC)
Horror Writers Association (HWA)
Authors Guild
Dramatists Guild of America
Society of Composers & Lyricists (SCL)
Science Fiction & Fantasy Writers Association (SFWA)
Novelists, Inc. (NINC)
Songwriters Guild of America (SGA)
Music Creators North America(MCNA)
Garden Communicators International (GCI)
Concept Art Association (CAA)
Society of American Travel Writers (SATW)
Textbook & Academic Authors Association (TAA)
Alliance For Women Film Composers (AWFC)
Composer Diversity Collective (CDC)
Game Audio Network Guild (G.A.N.G.)
- The Guild Joins Call for Action on AI and Copyright(2023年7月13日-グラフィック・アーティスト・ギルド)
アーティスト・ライツ・ソサエティ(アメリカ)
Artist Rights Society(ARS)
コンセプト・アート・アソシエーション(アメリカ)
Concept Art Association(CAA)
ナショナル・アート・エデュケーション・アソシエーション(アメリカ)
National Art Education Association(NAEA)
- NAEA Position Statement on Use of Artificial Intelligence (AI) and AI-generated Imagery in Visual Arts Education(2024年4月12日-NAEA)
ソサエティ・オブ・イラストレーターズ(アメリカ)
Society of Illustrators
- A Statement from The Society of Illustrators(2022年12月22日-Society of Illustrators)
CARFACとRAAVの共同声明(カナダ)
- CARFAC-RAAV’s recommendations regarding AI and visual artists(2024年1月30日-CARFAC)
アソシエーション・オブ・イラストレーターズ(イギリス)
Association of Illustrators(AOI)
- The AOI and Artificial Intelligence(2023年2月-AOI)
デザイン・アンド・アーティスツ・コピーライト・ソサエティ(イギリス)
イギリスのビジュアルアーティスト団体。英語表記は「Design and Artists Copyright Society(DACS)」。
- New survey shows 89% of UK artists want the Government to better protect their work by regulating AI(2024年1月18日:DACS)
インターナショナル・アソシエーション・オブ・アート(IAA)ヨーロッパ
International Association of ART(IAA)
ヨーロピアン・ビジュアル・アーティスツ(EVA)
⇒ヨーロピアン・ビジュアル・アーティスツ(EVA)のAI関連の動き(EVAホームページ)
欧州を中心として、32の美術・イラスト・デザイン・建築・その他の団体に属する会員(約17万人)の著作権を共同で管理する団体。(英語表記:European Visual Artists)
2023年5月にはAIに関する声明を発表。
- EVA Statement on Artificial Intelligence(2023年5月11日-EVA)
同年6月にはEU AI法に関する声明を発表。
- EVA statement on the AI Act ahead of the plenary vote(2023年6月14日-EVA)
9月にはAIが責任を持ち人道的に発展する事を目指すためのマニフェストを発表した。
関連項目
- 生成AIに対するクリエイター団体・企業などの反応・対応 ⇒アート・イラスト分野以外の団体・企業の反応・対応一覧。
- 生成AIに対する音楽関連団体・企業の反応・対応 ⇒音楽関連団体・企業の反応・対応一覧。