銀行 > 銀行業務検定 > 法務3級の無料テキスト・過去問・問題集

銀行業務検定「法務3級」を目指す方必見!
本ページでは、銀行業務検定「法務3級」の学習に役立つ無料テキスト、過去問、問題集を提供します。試験範囲である預金、融資、決済の基礎知識をわかりやすく解説し、合格に向けた学習を徹底サポートします。初心者の方でも取り組みやすい内容で、スキマ時間の学習にも最適です。試験準備を効率化し、自信を持って挑戦しましょう!



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要点ノート
このページでは、預金契約に関する重要なポイントを分かりやすく解説します。スキマ時間の学習にぜひ活用してください。


預金契約の法的性質:
預金契約は法的に「消費寄託契約」の一種です。この契約では、預けられた金銭などの代替物を銀行が自由に使用でき、預けた人が請求すれば、同種・同等のものを返還します。預金契約は消費寄託契約の一形態として民法で規定されています。

預金契約の成立時期:
預金契約は、預けた人が銀行にお金を渡した時点で成立します。窓口での手続きが完了した段階で契約が成立し、預金者が銀行に対して請求権を持つようになります。

預金の特徴:
  • 預金は、銀行にとっては「債務」、預金者にとっては「金融機関への支払請求権(債権)」として扱われます。
  • 預金者は、通帳やATMカードを使用して預金を管理します。

金銭の消費寄託契約:
金銭の消費寄託契約とは?
この契約では、受寄者(銀行)が寄託物を自由に使用し、後日同種・同量のものを返還する義務を負います。この仕組みにより、銀行は預金を活用して利益を生み出すことが可能です。

要物契約について:
金銭の消費寄託契約は要物契約に該当します。要物契約とは、当事者の合意に加え、実際の引き渡しが必要な契約を指します。なお、2020年4月の民法改正以降、金銭消費貸借契約の電子契約が普及しています。

預金に関する法的性質:
1. 可分債権: 預金額は分割して引き出すことが可能です。
2. 指名債権: 預金者個人に帰属する権利です。
3. 証拠証券: 預金契約の存在を証明する書類(通帳など)。

取引時確認と犯罪防止:
銀行は犯罪収益移転防止法に基づき、以下を確認します:
  • 本人特定事項
  • 取引の目的
  • 職業・実質的支配者
この取り組みは、不正取引やマネーロンダリング防止を目的としています。

  • 偽造カード: 預金者の重大な過失が認められる場合、払い戻しは有効となります。
  • 盗難カード: 被害届を提出し、銀行調査に協力すれば、被害額を銀行が負担する場合があります。

関連する情報:**


まとめ:**

預金契約は、金融取引における基本的な制度であり、その仕組みを理解することは重要です。上記ポイントを参考に、効率よく学習を進めてください。
預金契約に関連する重要な知識
このページでは、預金契約に関連する特別な状況や法律について解説します。金融取引におけるトラブル防止や正確な知識の習得に役立ててください。

無権利者に対する払い戻し:
預金規定では、免責約款に基づき、無権利者に対する払い戻しが行われる場合があります。この場合、払い戻しを受ける者は「債権の準占有者」とみなされます。具体的には、預金通帳と届出印を所持している者がこれに該当します。

振込詐欺救済法:
振込詐欺救済法は、以下のような詐欺行為から被害者を救済するための法律です:
  • オレオレ詐欺
  • 架空請求詐欺
振込が利用された場合、迅速な被害回復を目指す制度が整備されています。

預金保険制度:
預金保険制度は、預金者の資産を保護するために設けられた仕組みです。
  • 対象: 普通預金、定期預金、定期積金、別段預金、掛け金、金融債
  • 対象外: 外貨預金、譲渡性預金、他人名義や架空名義の預金
  • 当座預金や無利息型の預金は全額保護の対象です。
  • 他の預金については、1金融機関ごとに1人あたり元本1000万円とその利息が保護されます。

相続と預金の払戻し:
相続制度の概要:
相続時には、遺言や遺言書保管制度が活用されます。また、預金の払戻しや残高証明書の発行については、相続人に応じて行われます。

預金取引経過の開示:
最高裁判例により、相続人単独での預金取引経過の開示請求が可能です。ただし、弁護士など第三者による請求には慎重な対応が必要です。

預金に対する差押え:
差押えには以下のルールがあります:
1. 差押命令は送達後に入金された振込金には影響しません。
2. 差押え後に発生する利息には及びますが、差押え前の利息は対象外です。
3. 転付命令: 差押債権を差押債権者に移転する命令。
4. 租税滞納処分: 差押えと同時に銀行の取立権が生じます。

預金債権の情報取得制度:
相続や法的手続きにおいて、預金債権の情報取得が必要となる場合があります。これにより、相続や訴訟に関連する情報を適切に管理することが可能です。

当座勘定取引契約:
当座勘定取引契約は、以下の性質を持つ混合契約です:
1. 手形・小切手の支払いを委託する「準委任契約」。
2. 銀行が顧客から金銭を預かる「消費寄託契約」。
銀行には、善良な管理者としての注意義務が課されます。





第2章 融 資
1-1. 融資取引とは

銀行の融資業務は、個人や法人に対する金銭貸付を軸に展開されます。融資取引には、さまざまな契約形態があり、それぞれに特有の法律上の注意点が存在します。本記事では、これらの契約形態と法律上の注意点について重点的に解説していきます。

1-2. 融資取引の相手方

融資の相手方は、主に以下の2つに分類されます。

自然人:

制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人)が含まれます。これらの制限行為能力者との取引には、それぞれ特有の注意点があります。

未成年者: 法定代理人(親権者など)の同意が必要です。ただし、営業を許可された未成年者は、その営業の範囲内での融資は単独で可能です。

成年被後見人: 判断能力が著しく欠けているため、成年後見人の同意が必要です。

被保佐人: 判断能力が不十分なため、重要な行為には保佐人の同意が必要です。

被補助人: 判断能力が不十分な場合、補助人の同意が必要になる場合があります。

営業許可を得ている未成年者は、許可された営業に関する融資が可能です。ただし、住宅ローンなどの一般的な融資はできません。

補佐人を相手に融資取引を行うことは原則できませんが、裁判所から代理権を与えられている場合は例外的に可能です。この代理権の範囲を確認することが重要です。

法人:

株式会社では、代表取締役が契約を締結します。代表取締役の代表権の範囲を確認する必要があります。

外国の会社との取引では、日本における代表者(日本支店の代表者など)が相手方となります。外国会社の本国の代表者では契約できません。

権利能力なき社団(PTA、マンション管理組合など)の場合、規約に基づき選出された代表者(会長など)が相手方となります。その代表者の権限範囲を確認する必要があります。

1-3. 融資契約の形態

証書貸付:

金銭消費貸借契約に基づき、借用証書(金銭消費貸借契約証書)を用います。

金銭の交付を要する要物契約であり、契約は金銭の交付によって成立します。通常は私署証書ですが、必要に応じて公正証書を作成します。公正証書には執行力が付与されるというメリットがあります。

手形貸付:

手形を契約証書の代わりに使用する方法です。

印紙税が軽いというメリットがあり、不渡り処分制度や手形訴訟制度を利用可能です。手形債権と貸付債権を併有するため、回収の選択肢が広くなります。

銀行は手形上の債権と貸付金債権を併有します。どちらを先に行使するかは銀行の任意です。

手形割引:

銀行が手形を買い取り、割引日から支払期日までの期間について割引料を得る取引です。

通説では売買契約と解釈されており、手形が不渡りとなった場合は遡求権(買戻し請求権)が発生します。遡求権は、割引依頼人に対してのみ行使できます。

当座貸越:

予め設定された極度額の範囲内で、銀行が顧客の要求に応じて貸越を行う契約です。

当座勘定の支払い資金が不足した場合などに利用されます。当座貸越契約は、銀行取引約定書が適用されることが多いです。

1-4. 包括的代理権と任意後見

成年後見人: 包括的な代理権が認められていても、以下の行為には家庭裁判所の許可が必要です。

居住用不動産の売却(被後見人の居住権を保護するため)

抵当権の設定(被後見人の財産保全のため)

賃貸借契約の解除(被後見人の生活の安定のため)

任意後見: 任意後見契約は、任意後見監督人が選任されて初めて効力が生じます。任意後見契約の締結だけでは、代理権は発生しません。

第2章:保証契約

2-1. 保証契約の基本原則

保証契約には、以下の3つの基本原則があります。

付従性: 主たる債務が存在しない限り、保証債務も発生しません。主たる債務が無効になった場合、保証債務も無効となります。

随伴性: 主たる債務が第三者に移転した場合、原則として保証債務も移転します。ただし、保証人に不利益となる場合は、保証人の同意が必要となります。

補充性: 主たる債務者が債務を履行しない場合に限り、保証債務が履行されることになります。保証人は、まず主債務者に請求するよう主張できます。

これらの原則は、保証人の責任範囲を明確にするための重要な役割を担っています。

2-2. 保証人の権利

保証人には、以下の権利があります。

催告の抗弁権: 債権者に対し、まず主債務者に請求するよう主張できる権利です。

検索の抗弁権: 債権者に対し、まず主債務者の財産を差し押さえるなどして取り立てるよう主張できる権利です。

ただし、連帯保証人にはこれらの権利は認められません。

2-3. 連帯保証

連帯保証人は、主債務者と同じ責任を負います。債権者は、連帯保証人に対し、債務者と同時に、または債務者に先立って請求することができます。

債権者は、主債務者への請求を経ずに連帯保証人に直接請求することができます。

連帯保証人は、催告の抗弁権や検索の抗弁権を行使できません。

連帯保証人への請求は、主債務の消滅時効にも影響を及ぼします。連帯保証人に対する請求は、主債務者にも時効中断の効力を生じさせます。

2-4. 信用保証協会の保証

信用保証協会は、中小企業向けの融資を支援するための制度です。

保証は連帯保証の形態で提供され、債務不履行時には協会が銀行に代位弁済を行います。保証協会が代位弁済した場合、銀行は保証協会に求償権が移転します。

代位弁済後、信用保証協会は債務者に対して求償権を行使します。

保証の効力は、信用保証書の交付時に発生し、30日以内に融資を実行しない場合は保証が無効となります。保証協会の保証は、信用保証協会が定める保証約款に従います。

以下の行為は免責事由となるため、融資実行時に慎重な管理が必要です。

貸付金を既存の債務に充当する場合(旧債振替)

信用保証書に記載された内容と異なる貸付を行った場合

2-5. 根保証契約

根保証契約は、債務者が繰り返し融資を受ける場合に保証人が責任を負う契約形態です。保証人が、一定の範囲に属する不特定の債務を保証する契約です。

保証人は個人に限られます。法人保証は原則無効です。

極度額の設定が必須であり、設定がない場合は契約が無効となります。極度額とは、保証人が責任を負う限度額のことです。

元本確定期日は最長5年であり、これを超える場合は無効となります。元本確定期日は、5年を超えない範囲で定める必要があります。

元本確定事由として、以下の例があります。

債務者または保証人が破産手続開始決定を受けた場合

債務者または保証人が死亡した場合

債務者または保証人が、債務超過に陥った場合

債務者が、財産隠蔽行為を行った場合

事業のための債務を保証する場合、公正証書で保証意思を表明する必要があります。この公正証書は、保証契約締結の意思を公証人が確認したことを証明するものです。

2-6. 保証契約の形式と注意点

保証契約は必ず書面で行う必要があります。口頭での合意は、保証契約としては無効です。

保証意思の確認を確実に行うことが重要です。特に、高齢者などへの保証契約締結には、慎重な意思確認が必要です。

書面化や意思確認の手続きは、保証人の権利保護と不測の事態を防ぐために重要です。保証契約締結時には、契約内容を保証人に十分に説明する必要があります。

2-7. 保証人への情報提供義務

事業のために負担する債務について保証を依頼する主債務者は、保証人に対して、財産状況、収支状況、既存債務、担保の有無、主債務の内容などについて正確な情報提供を行う必要があります。この義務は、主債務者の故意または過失によって情報提供を怠った場合、保証契約を取り消すことができる根拠となります。

第3章:担保権

3-1. 抵当権

抵当権は、不動産を占有せずに債務の担保とする制度です。債務不履行の場合には、抵当不動産を競売にかけ、その売却代金から優先的に債権回収を行います。

抵当権は当事者の契約で成立し、登記は第三者対抗要件にすぎません。登記によって、抵当権は第三者に対抗できるようになります。

被担保債権が消滅した場合、抵当権も消滅します。これは付従性の原則によるものです。

抵当不動産が差押えを受けた場合、租税との優劣は登記日と法定納期限の先後で判断されます。差押えと抵当権の優先順位は、登記の先後によって決定されます。

土地に設定された抵当権の効力は、土地上の建物には及ばないのが原則です。ただし、一括競売の要件を満たす場合は、建物についても競売することが可能です。

借地上の建物に設定された抵当権の効力は、建物の借地権に及ぶのが原則です。借地権も担保権の対象となります。

抵当権は、意思表示のみで成立します。契約書などの書面を作成していなくても、抵当権の設定契約は成立します。

区分所有建物の専有部分に設定された抵当権は、共有部分にも効力が及ぶのが原則です。

抵当権の効力は、目的不動産に不可一体となっているもの(畳、建具など)にも及ぶのが原則です。

3-2. 根抵当権

根抵当権は、不特定の債権を極度額の範囲内で担保するための抵当権です。継続的な取引関係にある場合に利用されます。

手形債権、小切手債権なども被担保債権に含まれます。当座貸越契約も根抵当権で担保されることが多いです。

極度額の設定が必要です。極度額は、債権者が回収できる上限額のことです。

根抵当権の変更:

被担保債権の範囲の変更は、元本確定前であれば可能です。後順位抵当権者の承諾は不要です。ただし、債務者の同意は必要です。

極度額の変更には、後順位抵当権者やその他利害関係人の承諾が必要です。極度額を変更すると、後順位抵当権者に不利益を与える可能性があるため、承諾が必要になります。

根抵当権の元本確定:

元本が確定すると、確定時に存在する債権(元本・利息・損害金)に担保範囲が特定されます。元本確定とは、根抵当権の担保範囲が確定することをいいます。

確定後に新たに発生する債権は担保の対象外となります。元本確定後は、それまでに発生した債権だけが担保されます。

確定後に抵当権の処分が可能になります。元本確定後は、抵当権の譲渡や放棄が可能になります。

根抵当権債務者の相続開始:6ヶ月以内に合意登記をしないと元本確定とみなされる。相続開始から6ヶ月以内に債務者を相続人に変更する登記を行う必要があります。

根抵当権設定者の相続開始:設定者の死亡を元本確定事由とする規定はありません。設定者の死亡は、元本確定の直接的な理由とはなりません。

元本確定すると、付従性など普通抵当権の性質を持つが、普通抵当権になるわけではない。元本確定により、根抵当権の特殊性が失われるわけではありません。

3-3. 預金担保

預金担保は、融資取引において債務を担保するために預金を利用する仕組みです。預金担保を設定するには、質権を設定するのが一般的です。

質権設定には、担保差入証を徴求するだけで足ります。預金通帳や証書の引き渡しは必須ではありません。実務では、通帳や証書の交付を受けることも多いですが、これはトラブル防止のための慣例的な措置です。

自行預金を担保とする場合、相殺によって第三債務者に対抗できます。質権設定登記がない場合でも、自行の預金であれば、相殺によって優先的に債権回収が可能です。

第三者預金を担保とする場合は、連帯保証を設定し保証債権により相殺することが一般的です。第三者の預金に質権を設定するには、第三者の同意が必要です。

第4章:その他重要事項

4-1. 割引手形の買戻請求権

手形法外の権利であり、手形法上の権利ではなく、当事者間の契約に基づく権利です。

銀行は割引依頼人以外に買戻請求権を行使できないのが原則です。第三者への請求は認められません。

不渡り理由が形式不備でも買戻請求権は発生する。手形要件の記載不備などがあっても、買戻請求権は発生します。

買戻請求をしても、買戻債務が履行されるまで手形上の権利を行使できる。手形の権利は、買戻債務の履行により消滅します。

手形債権が自行消滅しても、銀行に帰責事由がなければ買戻請求権を行使できる。銀行に過失がある場合は、買戻請求権を行使できないことがあります。

買戻請求権の消滅時効期間:知ってから5年、行使できる時から10年。時効が完成すると、買戻請求権は消滅します。

銀行取引約定書定の遅延損害金を請求できるのが一般的です。

銀行は中間裏書人に遡求権は行使できるが、買戻請求権は行使できないのが原則です。中間裏書人には、遡求権は行使できますが、買戻請求権は行使できません。

4-2. 手形貸付

貸付債権と手形債権のどちらを先に行使するかは銀行の任意。銀行が自由に選択できます。

手形満期日と返済期限を異なる日にできる。満期日と返済期限は、必ずしも一致する必要はありません。

貸付債権と手形債権の一方が消滅すると他方も消滅する。これは、両債権が付従関係にあるためです。

消滅時効:貸付債権は弁済期から5年、手形債権は満期日から3年。時効が完成すると、債権は消滅します。

銀行は相殺時に手形返還義務はない(銀行取引約定書で同時履行の抗弁権を排除しているため)。銀行は、相殺の意思表示をすれば、直ちに相殺の効果が発生します。

4-3. 証書貸付

金銭消費貸借契約によって行うのが一般的です。

返済期限延長しても、将来発生する利息は従来の条件で請求できるのが原則です。

公正証書で行うことができる。公正証書には、執行力があります。

私署証書による金銭消費貸借契約書は、強制執行認諾文言があっても債務名義とはならないのが原則です。債務名義を得るには、訴訟を提起する必要があります。

4-4. 当座貸越

債権保全等の理由があれば銀行はいつでも貸越を中止できる。債権保全の必要性が生じた場合は、銀行は貸越を中止できます。

銀行取引約定書の規定が適用される。銀行取引約定書を締結することで、当座貸越契約の内容が明確になります。

4-5. 消費者ローン契約

銀行取引約定書は不要です。消費者ローン契約は、消費者契約法などに基づいて個別に行われることが多いです。

繰上返済をする場合、返済日や金額の制限がある場合があります。消費者保護の観点から、繰上返済時の手数料などが制限されています。

期限利益の当然喪失事由:

返済が遅延し、督促しても次の返済日までに返済しない。期限の利益を喪失すると、債務者は一括返済を求められることになります。

借主に帰責事由のある行方不明。借主の故意または重大な過失により行方不明になった場合に、期限の利益を喪失します。

期限利益の請求喪失事由:

重大な契約違反。契約違反の内容によっては、期限の利益を喪失します。

支払いの停止。債務者が支払いを停止した場合、期限の利益を喪失します。

取引停止処分、差し押さえ。債務者の信用状況が悪化した場合に、期限の利益を喪失します。

債務者の死亡は期限利益喪失事由ではない。相続人は、債務を相続しますが、期限の利益は当然には失われません。

相殺する場合の債務の返済順序が規定されているのが一般的です。相殺をする際には、どの債務から先に弁済に充てるかが、契約で規定されていることがあります。

4-6. 債務引受

免責的債務引受:債務者に通知しなくても効力がある。免責的債務引受は、債務者が債務から解放されるため、債務者の同意は不要とされています。

併存的債務引受:債務者と引受人の間に連帯債務が生じる。併存的債務引受の場合、債権者は債務者、引受人の両方に請求できます。

併存的債務引受は債務者の意思に反して行うことができる。債務者の意思に関わらず、債務引受は成立します。

引受人は債務者の持っていた抗弁を債権者に対抗できる。引受人は、債務者が債権者に対抗できた主張を、債権者に対抗できます。

免責的債務引受で抵当権を引受債務に移すには物上保証人の承諾が必要。物上保証人の同意を得ないと、抵当権は移転しません。

4-7. 個人貸金等根保証契約

個人根保証契約の規定が適用される。消費者保護の観点から、個人根保証契約については様々な規制があります。

元本確定後の貸付の保証債務は負わない。元本確定前に発生した債務しか保証しません。

元本確定前の貸付について、確定後の損害金は保証債務を負う。損害金についても、極度額を上限として保証します。

元本確定前に譲渡された場合、当事者間で合意がない限り譲受人は保証債務の履行を請求できない。保証契約は、当事者間の合意がないと、譲渡の効果は及びません。

元本確定自由:

強制執行、担保権実行の申立て時(手続きが開始された場合)。強制執行の申立てがあった時点で、元本は確定します。

債務者または保証人の死亡。債務者または保証人が死亡した時点で、元本は確定します。

債務者または保証人の破産手続開始決定。破産手続開始決定が出た時点で、元本は確定します。

4-8. 貸出先の死亡と債務の相続

相続財産を処分した相続人は単純承認とみなされる。相続財産の処分は、相続放棄をすることができなくなる要因です。

債務は財産を相続しなかった者も法定相続分の割合で相続する(連帯債務ではない)。相続人は、債務を法定相続分に従って承継します。

銀行は遺言の債務相続分指定に拘束されない。遺言で債務の承継割合を指定しても、銀行は債務者全員に法定相続分を請求できます。

借入金債務を共同相続人間で並存的債務引受すると、銀行は各相続人に債務全額の履行請求できる。並存的債務引受の場合は、各相続人が全額の責任を負います。

家庭裁判所で相続放棄の手続きをしないと、相続放棄したことにはならない。相続放棄は、家庭裁判所での手続きが必要です。

相続人が法定相続分と異なる割合で債務を負担すると、銀行は法定相続分で債務履行を請求できる。銀行は、各相続人に対して法定相続分の範囲内で責任追及をします。

相続人の一人が抵当権設定済みの不動産を相続した場合、銀行は抵当権を実行できる。抵当権は、不動産と一体で承継されます。

相続人全員が相続放棄した場合、相続財産法人が主債務者となる。相続人がいない場合は、相続財産法人が債務を引き継ぎます。

相続人全員が相続放棄しても、非相続人の債務は消滅しない。相続人が債務を放棄しても、債務自体は消滅しません。相続財産清算人を選任し弁済可能。相続財産清算人が、非相続人の債務を弁済します。

4-9. 保証人の死亡

特定債務の保証人が死亡すると、その相続人は保証債務を承継する。相続人は、保証債務も相続します。

保証債務を複数の相続人が相続した場合、相続分に応じて分割承継される。相続債務は、各相続人に分割されます。

保証債務が相続で承継される際は、保証意思表明公正証書は不要。相続によって保証債務を承継する場合には、公正証書は不要です。

4-10. 相殺

融資先(債務者)は満期のきた預金で、期限がきていない貸付金を相殺できる。相殺権は、債務者がもつ権利です。

銀行は、貸付金が期限到来していれば、満期未到来の預金と相殺できる。債権者である銀行も、相殺権を行使できます。

銀行が相殺するには弁済期限到来が要件。銀行が相殺権を行使するには、債権と債務の両方に弁済期が到来している必要があります。

取引約定書違反だけでは相殺はできない。期限の利益喪失請求が必要。取引約定書違反だけでは、相殺権の行使はできません。期限の利益を喪失させてから相殺を行う必要があります。

利息計算期間は、相殺実行の日まで。相殺時の利息は、実際に相殺する日まで計算します。

相殺通知を受け取り拒否されても相殺は有効。相殺は、意思表示のみで行使できます。

相殺の意思表示は、相殺適時に遡って効力が発生。相殺の効果は、相殺適時に遡って発生します。

差し押さえ時点で存在する貸付金は、期限が到来していなくても期限が到来したら相殺できる。差し押えがあった場合でも、債権と債務の弁済期が到来すれば相殺できます。

相殺通知が戻ってきても、留置期間満了時に相殺の効力が生じる。相殺の意思表示は、相手方に到達した時点で効力が生じます。

4-11. 破産と民事再生

破産手続開始原因:個人は支払い不能、法人は支払い不能と債務超過。破産手続を開始するには、支払不能または債務超過である必要があります。

破産手続きは債務者の経済生活の再生を図る目的がある。破産手続きの目的は、債務者の経済的な再起を図ることです。

破産手続開始決定がされると、破産財団の持つ処分権は破産管財人に専属する。破産管財人は、破産者の財産を管理し、債権者への配当を行います。

融資先が支払不能になった後に、こっそり融資を回収したり、担保提供を受けると破産管財人の権利行使対象となる。偏頗弁済は、破産手続きにおいて無効になる場合があります。

競売申し立てに裁判所の許可は不要。競売の申立ては、債務名義があれば単独でできます。

免責許可決定を受けても保証債務は請求できる。破産免責は、主債務者にのみ効果が及び、保証債務には影響しません。

民事再生手続きは、法人・個人問わず適用可能。民事再生手続きは、債務整理の手続きの一つです。

民事再生手続きにおいて、相殺は債権届け出期間内に行う必要あり。債権届出期間内に届け出をしなかった債権は、弁済を受けられない可能性があります。

銀行が事業継続に不可欠な財産に担保権を設定している場合、担保権消滅を請求される恐れがある。民事再生手続きにおいては、担保権が消滅する場合があります。

4-12. 抵当権の実行

抵当権と税金が競合した場合:抵当権設定登記日と税金納期限の先後で決める。抵当権と税金の優先順位は、登記の日付と法定納期限の先後で判断されます。

担保不動産の競売手続きは、確定判決などの債務名義がなくても申し立てできる。担保権の実行は、担保権に基づいて行われます。

抵当権設定後に抵当地に建物が築造された場合、抵当権者は土地と建物を競売(一括競売)できるが、土地の代価についてのみ優先弁済を受けられる。一括競売を行うには、要件を満たす必要があります。

弁済を受ける方法:売却代金からの弁済と、抵当不動産から生じる収益からの弁済。抵当権者は、担保不動産の売却代金または収益から弁済を受けることができます。

抵当権実行には弁済期が到来していることが必要。弁済期が到来するまでは、抵当権を実行できません。

同一所有者の土地と建物に抵当権が設定され、競売の結果所有者が異なった場合、建物に法定地上権が成立する。法定地上権とは、建物の所有者が、土地の使用権を確保するために認められる権利です。

4-13. 銀行取引約定書

預金、為替には適用されない。銀行取引約定書は、主に貸付に関する契約に適用されます。

銀行取引約定書なしに行った融資取引も有効。銀行取引約定書を締結しなくても、契約自体は有効に成立します。

一度交わせば反復使用してOK。銀行取引約定書は、継続的な取引に適用されます。

期限の利益喪失自由は民法より厳しくしている。銀行取引約定書では、期限の利益喪失事由を拡大して解釈する傾向があります。

外国為替取引、支払い承諾にも適用される。銀行取引約定書は、さまざまな銀行取引に適用されます。

手形取引約定書の性格もある。銀行取引約定書には、手形取引に関する規定も含まれています。

個別約定書があれば、個別約定書が優先される。個別約定書は、銀行取引約定書よりも優先して適用されます。

複数の店舗で使用OK。銀行取引約定書は、同一の銀行内であれば複数の店舗で使用できます。

強行法規には劣後する。銀行取引約定書の内容が、強行法規に反する場合は、その部分が無効となります。

4-14. 時効の完成猶予と更新

完成猶予自由:

裁判上の請求:訴訟を提起するなどして、時効の進行を一時的に停止させることができます。

破産手続き参加:破産手続きに参加することで、時効の進行を一時的に停止させることができます。

競売の申立て:競売の申し立てをすることで、時効の進行を一時的に停止させることができます。

更新自由:

確定判決:裁判で債権が確定した場合、時効は更新されます。

仮差押えは時効の完成猶予はできるが、更新はできない。仮差押えは、時効の完成を一時的に止めることはできますが、時効期間を新たに開始させる効力はありません。

時効が猶予されている間の再度の催告は無効。催告による時効の猶予は、一度しか認められていません。

債務の承認は時効の更新自由。債務の承認があった場合、時効期間がリセットされます。

連帯保証人が債務承認しても、時効は更新されない。連帯保証人の債務承認は、主債務者の時効を更新しません。同様に貸金の一部を弁済しても更新されない。一部弁済は、債務の承認とはなりません。

4-15. 譲渡担保権

債権者と設定者の合意のみで当事者間では成立する。譲渡担保権は、当事者間の合意があれば成立します。

債務不履行時、担保権者が第三者対抗要件(引渡し、登記、確定日付証書での承諾)を具備していれば、他の債権者よりも優先的に弁済を受けられる。第三者に対抗するには、対抗要件を備える必要があります。

動産債権譲渡登記制度は法人に限定されている。個人は不可。動産債権譲渡登記は、法人にのみ認められています。

動産譲渡担保権設定者は、設定後も使用、収益権がある。譲渡担保権を設定した場合でも、担保目的物を引き続き使用できます。

倉庫内在庫商品全てを集合物として譲渡担保の目的とすることができる。集合物に対する譲渡担保も認められています。

4-16. 債権譲渡

債務者に対する対抗要件:債務者への通知または承諾。債務者に対抗するには、債務者に通知するか、債務者の承諾が必要です。

第三債務者に対する対抗要件:債務者に対する通知または承諾が確定日付のある証書でなされること。第三債務者に対抗するには、確定日付のある証書での通知または承諾が必要です。

譲渡制限特約があっても譲渡は有効。譲渡制限特約がある場合でも、債権譲渡自体は有効です。ただし、譲受人は悪意の場合債務者から債務の弁済を拒絶される可能性があります。

4-17. 動産債権譲渡特例法

動産譲渡登記ファイルに譲渡登記がされた場合、当該動産の担保権者への引渡しがあったとみなされる。動産譲渡登記は、引渡しがあったものとみなす効力があります。

債権譲渡登記ファイルに譲渡の登記がされた場合、確定日付のある証書による譲渡通知があったとみなされる。債権譲渡登記は、確定日付のある譲渡通知と同一の効力があります。

債権譲渡登記ファイルに譲渡の登記がされても、当該債権の存在が公証されたことにはならない。登記をしても、債権の存在が公的に証明されるわけではありません。

集合動産を一括して譲渡担保の目的とすることができる。集合動産への譲渡担保を目的とした債権譲渡も可能です。

債権譲渡登記は将来発生すべき債権の譲渡にも利用できる。将来債権への譲渡登記も可能です。

4-18. 支払承諾

銀行が取引先の委託を受けて債務を保証する取引。支払承諾は、銀行が保証する取引です。

銀行の付随業務。支払承諾は、銀行の付随業務として行われます。

銀行取引約定書の条項が適用される。銀行取引約定書を締結することで、支払承諾契約の内容が明確になります。

保証書への債務の履行請求期限の記載は有効。保証債務の履行請求期限は、保証書に記載された期間内です。

信用状態が著しく悪化した場合、事前に求償権を行使できる。信用状態が悪化した場合、銀行は事前に求償権を行使できます。

4-19. 代理受領・振込指定

代理受領とは、債務者が債権者に代わって第三者から支払を受け、受領した金銭を債権者の債務者に対する債権の弁済に充てることです。債務者が、第三者から受け取る金銭を直接債権者に支払わせる方法です。

振込指定とは、債務者に対する支払いを、債権者の指定する口座に直接振り込んでもらうことで、受領した金銭を債権者の債務者に対する債権の弁済に充てる方法です。債務者の口座を経由させずに、直接債権者に振り込ませる方法です。

4-20. 弁済による代位

弁済による代位とは、債務者が債務を弁済した場合に、債権者が持つ担保権などの権利が、弁済者に移転することです。債権者が持つ権利を、弁済をした者が引き継ぐことをいいます。

4-21. 債権者代位権

債権者代位権とは、債権者が自己の債権を保全するために、債務者の権利を代わりに行使する権利です。債権者が、債務者の代わりに、第三者に対して債権を行使する権利です。

4-22. 担保不動産収益執行

担保不動産収益執行とは、担保不動産の賃料などの収益を差し押さえることです。抵当権者は、担保不動産の売却代金だけでなく、賃料収入などの収益からも債権回収を図ることができます。

4-23. 仮差押え

非保全債権は金銭債権でなければならない。仮差押えは、金銭債権を保全するための手続きです。

期限未到来の貸付け金にも仮差押えが可能。期限未到来の債権についても、仮差押えの対象となります。

動産の仮差押えは目的物を特定しなくてもOK。動産の仮差押えは、必ずしも目的物を特定する必要はありません。

不動産に仮差押えがされても使用収益はできる。仮差押えは、不動産の処分を制限するものであり、使用や収益までは制限しません。

保全すべき権利、保全の必要性について疎明しなければならない。仮差押えを申し立てるには、保全すべき権利と保全の必要性を裁判官に説明する必要があります。

仮差押えは時効の完成猶予事由。仮差押えをすることで、時効の完成を一時的に猶予することができます。

仮差押えの目的物は、債務者に属する財産権であり、金銭に換価できること。仮差押えは、金銭債権の回収を目的とするため、金銭に換価可能な財産を対象とします。

仮差押えは、実務上、債権者が担保を立てることが命令発令の条件とされるのが一般的。債権者の資力を担保するために、担保を立てさせることが多くあります。

4-24. 利益相反とその対応

親権者と子の利益相反: 親権者が子供の名義で不動産に抵当権を設定する場合など、親権者と子の利益が対立する状況をいいます。このようなケースでは、家庭裁判所が子の特別代理人を選任します。特別代理人は、子の利益を擁護する役割を担います。

株式会社と取締役の利益相反: 株式会社と取締役との利益が対立する状況をいいます。取締役が自己のために会社と取引をする場合や、会社と競業する行為を行う場合に発生します。

取締役会設置会社の場合、取締役会での承認が必要です。

取締役会非設置会社の場合、株主総会での承認が必要です。

承認がない場合は、その行為は相対的に無効となる場合があります。

まとめ

法務3級試験では、融資取引に関する契約形態や法律知識が幅広く問われます。本記事で解説した内容を参考に、ポイントを絞った効率的な学習を心がけましょう。各用語の意味を理解し、事例を基に具体的なイメージを持つことが重要です。

第3章 決済
内国為替
  • 為替取引の法律関係
為替取引に関する法律は、外国為替及び外国貿易法に基づいて制定されています。振込においては、仕向銀行と被仕向銀行が存在します。仕向銀行は、送金元の銀行であり、被仕向銀行は、送金先の銀行です。代金取立においては、委託銀行が代金を受け取り、受託銀行が代金を支払います1。

  • 振込における仕向銀行・被仕向銀行の取扱い
振込においては、仕向銀行と被仕向銀行が存在します。仕向銀行は、送金元の銀行であり、被仕向銀行は、送金先の銀行です。


  • 代金取立における委託銀行・受託銀行の取扱い
手形と小切手の違いについて、代金取立における委託銀行と受託銀行の取扱いを解説します。手形と小切手は、ともに金銭の支払いを約束する有価証券ですが、その性質や用途には大きな違いがあります。代金取立とは、手形や小切手を発行した人(引受人)に対して、支払期日に支払いを求めることです。代金取立には、委託銀行と受託銀行が関わります。委託銀行とは、手形や小切手を持っている人(持ち主)が、代金取立を依頼する銀行です。受託銀行とは、引受人が口座を持っている銀行で、委託銀行からの代金取立の依頼を受ける銀行です。委託銀行と受託銀行の取扱いは、手形と小切手で異なります。

まず、手形の場合です。手形は、引受人が支払期日に支払いを約束するものですが、その約束は条件付きです。つまり、持ち主が支払期日に引受人に対して支払いを呈示しなければなりません。呈示とは、手形を引受人に見せて支払いを求めることです。呈示は、持ち主自身が行うこともできますが、通常は委託銀行に依頼します。委託銀行は、支払期日に引受人の住所や勤務先などに出向いて呈示します。呈示された引受人は、手形の記載事項を確認して支払いをします。記載事項とは、手形の額面金額や支払期日、引受人や振出人(手形を発行した人)の氏名や住所などです。記載事項に不備がある場合や、手形が偽造された場合などは、引受人は支払いを拒否することができます。また、引受人が支払い能力がなくても支払いを拒否することができます。このようにして支払われなかった手形は不渡り手形と呼ばれます。不渡り手形になった場合は、持ち主は振出人や裏書人(手形の裏面に署名した人)に対して代わりに支払いを求めることができます。このためには、不渡り証明書(不渡り理由や日付などを記載した書類)を発行してもらう必要があります。不渡り証明書は、受託銀行から委託銀行に送られます。

次に、小切手の場合です。小切手は、引受人(小切手の場合は振出人の口座を持つ銀行)が無条件で支払いを約束するものです。そのため、持ち主は支払期日に呈示する必要がありません。ただし、小切手の有効期間(発行日から6ヶ月)内に銀行に持っていく必要があります。持ち主は、自分の口座を持つ銀行に小切手を持っていきます。この銀行が委託銀行です。委託銀行は、小切手の記載事項を確認して、受託銀行に代金取立の依頼をします。受託銀行は、振出人の口座残高を確認して、代金を委託銀行に送ります。委託銀行は、代金を持ち主の口座に入金します。このようにして小切手は清算されます。しかし、振出人の口座残高が不足している場合や、小切手が偽造された場合などは、受託銀行は代金取立の依頼を拒否します。このようにして支払われなかった小切手も不渡り小切手と呼ばれます。不渡り小切手になった場合は、持ち主は振出人や裏書人に対して代わりに支払いを求めることができます。このためには、不渡り通知書(不渡り理由や日付などを記載した書類)を発行してもらう必要があります。不渡り通知書は、受託銀行から委託銀行に送られます。

  • 手形の記載事項
手形の記載事項とは、手形を発行する際に必ず記入しなければならない内容のことです。手形の記載事項には、以下の7つがあります。

1. 手形という文言
2. 支払期日
3. 支払場所
4. 受取人の氏名
5. 支払人の氏名
6. 発行日
7. 発行場所

これらの記載事項が欠けていると、手形は無効になります。また、記載事項に虚偽や不正があると、手形は偽造されたものとみなされます。そのため、手形を発行する際には、記載事項を正確に記入することが重要です



  • 白地手形
白地手形とは、額面金額や引受人などの記載事項が空白のまま発行された手形です。白地手形は、記載事項を後から埋めることができるため、柔軟性が高いですが、悪用される可能性も高いです。そのため、白地手形を利用する際には、信頼できる相手とだけ取引することが重要です。



  • 手形の裏書
手形の裏書とは、手形の裏面に裏書人の署名や印鑑を記入することで、手形の所有権や支払い請求権を他人に移転することです。手形の裏書は、手形の流通を促進し、金融取引の柔軟性を高める効果があります。しかし、手形の裏書には注意点もあります。例えば、裏書人は、手形の支払いが不履行になった場合に連帯保証人として責任を負うことになります。また、手形の裏書には、一般裏書と限定裏書の二種類があります。一般裏書は、裏書人が特定の受取人を指定しない場合で、その場合は、手形は不記名手形と同様に自由に流通します。限定裏書は、裏書人が特定の受取人を指定する場合で、その場合は、手形は指定された受取人以外に移転できません。このように、手形の裏書にはメリットとデメリットがあります。手形の裏書を行う際には、その内容や効果を十分に理解しておく必要があります。



  • 裏書の連続
裏書の連続とは、手形や小切手の持ち主が他人に譲渡する際に裏面に署名することです。裏書の連続が多くなるほど、不渡りの場合に支払い責任が広がることになります。

  • 「手形の支払呈示」
「手形の支払呈示」とは、手形を受け取った人が、手形の金額を振出人(手形を発行した人)に請求するために、手形を銀行などに提出することを指します。具体的には、以下のポイントを理解しておくと良いでしょう。

支払呈示期間: 手形を受け取った人は、手形の支払呈示期間内に手形を銀行に持ち込む必要があります。支払呈示期間は、手形の満期日から3営業日以内です。この期間内に手形を銀行に提出しなかった場合、銀行はその手形を扱えなくなります。
支払場所: 手形には「支払場所」が記載されています。支払呈示期間内に手形を提出する場合は、この支払場所に手形を持ち込みます。支払場所が記載されていない場合は、振出人の営業所または住所で手形を提出する必要があります。
善意取得: 手形を紛失した場合や盗難された場合でも、支払呈示期間内に手形を提出しなかった場合、振出人は手形の金額を請求できます。ただし、支払呈示期間を過ぎても、満期後3年以内であれば手形の権利を主張できます。


  • 小切手の支払呈示
「小切手の支払呈示期間」とは、小切手を受け取った人が、その小切手の金額を振出人(小切手を発行した人)に請求するために、小切手を銀行などに提出する期間を指します。具体的には、以下のポイントを理解しておくと良いでしょう。

支払呈示期間: 小切手を受け取った人は、小切手の支払呈示期間内に小切手を銀行に持ち込む必要があります。支払呈示期間は、小切手の発行日から6ヶ月以内です。この期間内に小切手を銀行に提出しなかった場合、銀行はその小切手を扱えなくなります。
支払場所: 小切手には「支払場所」が記載されています。支払呈示期間内に小切手を提出する場合は、この支払場所に小切手を持ち込みます。支払場所が記載されていない場合は、振出人の営業所または住所で小切手を提出する必要があります。
善意取得: 小切手を紛失した場合や盗難された場合でも、支払呈示期間内に小切手を提出しなかった場合、振出人は小切手の金額を請求できます。ただし、支払呈示期間を過ぎても、満期後3年以内であれば小切手の権利を主張できます。

  • 線引小切手
一般線引小切手: 小切手の表面に2本の平行線を引き、その線内に何も書かないか、または「銀行」や同意義の文字(例えば「bank」)を記載したものです。一般線引小切手の場合、支払人たる銀行は他の銀行または自己の取引先に対してのみ支払うことができます。
特定線引小切手: 小切手の表面に2本の平行線を引き、その線内に特定の銀行の名称を記載したものです。特定線引小切手の場合、支払人は被指定銀行に対してのみ、または被指定銀行が支払人の場合は自己の取引先に対してのみ支払うことができます。
善意取得: 線引小切手は、小切手の紛失や盗難によって不正の所持人が支払いを受ける危険を防ぐための制度です。支払銀行は自己の取引先または他の銀行からのみ線引小切手を取得でき、他の者のために線引小切手の取立てをすることはできません。

  • 自己宛小切手
「自己宛小切手」とは、銀行が自分自身を支払人として振り出した小切手のことです。この小切手は、自行が自行に対して支払いを依頼することから「自己宛」と呼ばれ、また支払資金が別段預金に留保されるため、現金同様の高い信用度を持ちます。

具体的には以下のポイントを理解しておくと良いでしょう。

支払呈示期間: 自己宛小切手は、高額の支払いの際などに用いられ、顧客は金融機関の窓口でお金を渡してその場で作ってもらうので、当座預金の口座を開設する必要はありません。支払呈示期間は、小切手の発行日から6ヶ月以内です。この期間内に小切手を銀行に提出しなかった場合、銀行はその小切手を扱えなくなります。
善意取得: 自己宛小切手は、不渡りの危険性が低いという特徴を持っています。信用性の高くない会社や高額取引の際に使用されることが多く、現金や預金に近い性質を持ちます。


  • 手形・小切手の時効
手形(Bill of Exchange)とは、金銭の支払いを約束する書類です。発行者(引受人)が指定した日付になると、受取人(持ち主)が金額を受け取ることができます。手形は商取引や融資によく使われます。
小切手(Check)は、銀行口座から引き出すための書類です。発行者が金額と受取人を指定し、署名します。受取人は銀行で小切手を現金化できます。
消滅時効は、債権が一定期間経過することで無効になる制度です。手形や小切手にも消滅時効があります。
手形の消滅時効:
約束手形の振出人、為替手形の引受人に対する請求権は3年。
手形所持人が約束手形の裏書人、為替手形の振出人に請求するときの請求権は1年。
裏書人が約束手形の他の裏書人、為替手形の振出人に請求するときの請求権は6ヶ月。
小切手の消滅時効:
小切手の支払い保証人に対する請求権は1年。
小切手所持人の振出人や裏書人に対する請求権は6ヶ月。
銀行員はこれらの期間を把握し、適切な対応を行う必要があります。


  • 手形や小切手の不渡り
不渡りとは、手形や小切手が支払期日を過ぎても決済できない状態を指します。不渡りには以下の3種類があります:
0号不渡り:形式の不備や期日の間違いなど。
1号不渡り:当座預金の残高不足など。
2号不渡り:契約不履行や詐欺・偽造など。
不渡りの影響:
振出人(発行者):信用が低下し、借入などが難しくなります。2度目の不渡りで銀行取引停止処分を受けることもあります。
受取人(持ち主):不渡手形で回収できない分は損失となります。交渉や支払い計画を検討する必要があります。


  • 手形や小切手の取引停止処分
銀行取引停止処分とは、正式には手形交換所取引停止処分といい、会社が振り出した手形が**不渡り(指定期日に決済できないこと)**となったことが原因で、銀行の取引が停止されることを指します。
具体的には、手形や小切手の不渡りを、同一手形交換所管内で6ヶ月以内に2回起こした場合に銀行取引停止処分を受けることになり、これにより手形交換所の加盟金融機関から2年間にわたり当座取引や貸出取引ができなくなります。
銀行取引停止処分を受けているかどうかを確認するためには、全国銀行協会に書類を郵送する必要があります。照会の対象は、振出人本人またはその代理人であり、手数料も必要です。
銀行取引停止処分を受けた場合、当座預金口座が閉鎖され、当座預金での取引はできなくなります。普通預金口座も引き出せなくなるおそれがあるため、注意が必要です。
銀行取引停止処分を受けても、事業活動ができないわけではありませんが、適切な対応策を考える必要があります。

  • 電子記録債権法
目的:
電子記録債権法は、企業が保有する手形や売掛債権を電子化し、インターネットで取引できるようにすることを目的としています。これにより、債権の流動化を促進し、事業者の資金調達を円滑に行えるようにします。
電子記録債権とは:
電子記録債権は、電子債権記録機関が作成する記録原簿への電子記録を債権の発生や譲渡の効力要件とする金銭債権です。電子記録債権は、紙の手形に代わる決済手段として活用されます。
電子債権記録機関:
電子債権記録機関は、電子記録債権の発生や譲渡に関する電子記録を行う組織です。この法律に基づき主務大臣によって指定された株式会社が該当します。
電子記録の効力:
電子記録債権の内容は、債権記録によって定まります。電子記録権利者は適法に債権を有するものと推定されます。
電子記録の訂正等:
電子債権記録機関は、電子記録の訂正を行う場合、相互の利害関係を有する第三者の承諾が必要です。


  • 株式の払込事務
株式会社の設立時に、発起人が出資する資本金を銀行に払い込む手続きを指します。
この手続きは、会社法に基づいて行われ、出資金を銀行に預けることで、株式会社の資本金が形成されます。
払込の要件:
発起人は、設立時に発行される株式の引受け後、遅滞なく出資に係る金銭の全額を払込むか、出資に係る金銭以外の財産を給付しなければなりません(会社法34条)。
金銭の払込みは、発起人が定めた銀行等の払込取扱機関で行います。
払込の証明書:
払込があったことを証する書面として、預金通帳の写しを添付します。
預金通帳の表紙(銀行名、口座名義人氏名、口座番号、店番記載のもの)と、払込が確認できるページの写しを提出します。

  • 成年後見制度とは:
成年後見制度は、本人の判断能力が不十分になった場合に、家庭裁判所により選任された成年後見人(または保佐人、補助人)が本人を保護・支援する制度です。
本人の判断能力の状態に応じて、「法定後見制度」と「任意後見制度」の2つに分かれています。
法定後見制度:
本人の判断能力が不十分になった後に、家庭裁判所により選任された成年後見人(または保佐人、補助人)が本人を保護・支援する制度です。
判断能力の状態に応じて、「後見」「保佐」「補助」の3つに区分されます。
任意後見制度:
本人が十分な判断能力を有するうちに、将来判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ自らが選んだ代理人(任意後見人)に財産管理などを任せることを公正証書で契約しておく制度です。
本人の判断能力が低下した後も、任意後見人が適切に事務を行う仕組みがあります。

後見:
後見は、成年後見制度の一環で、判断能力が不十分な方を保護・支援するために選任される制度です。
後見人は、本人の利益を考慮しながら、法律行為を代理したり、同意を与えたりする役割を果たします。
保佐:
保佐も成年後見制度の一部で、判断能力が不十分な方を保護・支援するために選任されます。
保佐人は、重要な手続や契約などを代理する役割を担います。
補助:
補助は、判断能力が回復してきた方に対して行われる制度です。
補助人は、本人が一部の法律行為を自分で行えるようになった際に、そのサポートを行います。

  • 株式会社の機関とは:
株式会社には、一人または二人以上の取締役を置かなければなりません。
株式会社は、定款の定めによって、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、または委員会を置くことができます


  • 金融商品取引法とは:
金融商品取引法は、有価証券や金融商品の公正な取引や価格の維持、流通の円滑化を目的とした法律です。
金融商品取引業者や投資家には、規制内容や対象、禁止行為や罰則などの規制を受けることがあります。
この法律は、金融市場の健全な運営を支え、投資家の保護を促進する役割を果たしています

  • 金融商品販売法とは:
金融商品販売法は、金融商品の販売に関する規定を定めた法律です。
銀行員は、この法律に基づいて金融商品の販売を行う際に遵守すべきルールや規制を理解し、お客さまに適切なアドバイスを提供する役割を果たします。

  • 消費者契約法とは:
消費者契約法は、消費者と事業者との間の情報の質や交渉力の格差を考慮し、消費者の利益を擁護することを目的として定められた法律です。
この法律に基づいて、消費者は不当な契約条項や勧誘によって締結した契約を取り消すことができます。
不実告知による取消権:
不実告知による取消権は、事業者が重要な事項について事実と異なることを告げ、消費者がその内容が事実であると誤認した場合、契約の申込み・承諾を取り消す権利を持つことを規定しています。
本改正法により、「重要事項」の範囲が拡大され、消費者の利益を一方的に害する条項も無効とされています。

  • 個人情報保護法とは:
個人情報保護法は、個人情報の適正な取り扱いを定めた法律です。
銀行員は、お客さまの個人情報を適切に保護し、不正アクセスや漏洩から守るための対応を行う役割を果たします。
この法律は、個人の権利と利益を尊重しつつ、情報の適正な管理を図るために重要です123.










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最終更新:2025年01月03日 21:46