『リチャード軍進撃開始』
この知らせはイストリア国内を震撼とさせた。王子ロナルド、イストリア三姉妹をすでに国境に配備しているとは言え、マーベリック平原の大敗を知っている国民達はイストリアに未来がないと感じたのか隣国のエリアル王国や内乱の続くサリアにさえ難民として逃げ出す有様だった。そして今もなお圧倒的不利の状況にも関わらず、獅子リチャードに戦いを挑むものがいる。誰でもない、国王ギュネスである。彼は降伏派であるイストリア三姉妹から人質を取り、強制的にノール国境へと向かわせるなど、ここまできても強引な政策に変化はなかった。そしてそれが自らの首を絞めることになろうとは。
対するリチャード陣営はロナルドに対してリチャード、ティーエ率いる精鋭が当たっており、こちらの戦況は絶対的にマール軍が優勢であった。一方のノール国境は精神的に背水の陣で挑むイストリア三姉妹の3倍の兵力を有していたが、目に見えて将の能力・素質において大きく溝をあけられている。しかしノールⅤはこの戦いは勝てるものと信じていた。それは味方を信じているからだけである。そしてこれがリチャードが予想し得ない結果を生むことになる。
