伝統的な西洋音楽において、調性のある音組織のこと。
狭義には、伝統的な西洋音楽において、
全音階(diatonic scale)の音から構成される長調(major key)と短調(minor key)の2つの調のこと。
長調では全音階のドの音、短調ではラの音が中心音であり、長調と短調の場合には中心音を主音(tonic)と呼ぶ。
長音階を用いる調が長調であり、短音階を用いる調が短調である。
音楽のメロディーや和音が、中心音(tonal centre)と関連付けられつつ構成されていること。
バロック以降の西洋音楽では、調性を確立するために和声(harmony)が重要な働きをする。
西洋音楽では必ずしも調は一定ではなく、転調(modulation)によって、一時的に他の調に移行することがある。
古い音楽では調性を保持するため、必ず曲頭の調と曲尾の調が同じであるか、同じ主音を持つ長調と短調の関係にある同主調(parallel key,same tonic key)となる。
西洋音楽の楽譜記譜で用いられる変化記号のセットであり、調によってどのように置くかが決まり、主として五線の最初に置かれる。
伝統的な西洋音楽では、調号は♯または♭のどちらかをもっぱら使うか全く使わないかであり、♯と♭を混用することはない。
♯の調号はヘハトニイホロの順に、♭の調号はロホイニトハヘの順に書くが、これはそれぞれの使用頻度の順である。
(音部記号によってそれぞれの記号の五線に書く位置が決まっており、ト音記号の最初の♯は第1間には置かず、第5線に置く)
調号は全音階を規定するが、調によって使用する全音階は決まっているため、調によって調号は決まる。
(例えば、ニ長調の調号はヘとハに♯を付ける、など)
調号において、シャープやフラットの効力は、オクターブにかかわらず、その五線の同じ音名のすべての音に及ぶ。
西洋音楽で使われる調は、以下の30(異名同音の調を除くと24)である。
それぞれ、長調・短調の語の前に主音の音名を付して呼ぶ。
# |
♭ |
長調 |
短調 |
0 |
(12)=0 |
ハ(C) |
イ(Am) |
1 |
(11) |
ト(G) |
ホ(Em) |
2 |
(10) |
ニ(D) |
ロ(Bm) |
3 |
(9) |
イ(A) |
嬰ヘ(F#m) |
4 |
(8) |
ホ(E) |
嬰ハ(C#m) |
5 |
7 |
ロ(B)=変ハ(Cb) |
嬰ト(G#m)=変イ(Abm) |
6 |
6 |
嬰ヘ(F#)=変ト(Gb) |
嬰ニ(D#m)=変ホ(Ebm) |
7 |
5 |
嬰ハ(C#)=変ニ(Db) |
嬰イ(A#m)=変ロ(Bbm) |
(8) |
4 |
変イ(Ab) |
ヘ(Fm) |
(9) |
3 |
変ホ(Eb) |
ハ(Cm) |
(10) |
2 |
変ロ(Bb) |
ト(Gm) |
(11) |
1 |
ヘ(F) |
ニ(Dm) |
(12)=0 |
0 |
ハ(C) |
イ(Am) |
ハ - 嬰ハ=変ニ - ニ - 変ホ - ホ - ヘ - 嬰ヘ=変ト - ト - 変イ - イ - 変ロ - ロ=変ハ
イ - 嬰イ=変ロ - ロ - ハ - 嬰ハ - ニ - 嬰ニ=変ホ - ホ - ヘ - 嬰ヘ - ト- 嬰ト=変イ
調性空間(modulatory space)の一例であり、下図で示される円のこと。
12の長調の中から任意の調を選び出して出発点にして、時計回りに完全五度の関係にある調を順番に配列して作成された12の長調からなる円のこと。
音の総数12と、完全五度に含まれる半音の数7は互いに素であるため、12の長調すべてを重複も欠損もなく取り尽くすことができる。
さらに、円の内側に各々の平行短調を書き加えてある。
ピタゴラスは、純粋な完全五度の堆積によって調律するピタゴラス音律と呼ばれる調律方法を考案した。
ピタゴラスは、ピタゴラス音律では完全五度を12回堆積しても正確には元の音に戻ってこないというピタゴラスコンマも発見した。
(近親調related key)
次の6つの直接的な関係のある調。
元になる調の完全5度上の調(主音が完全5度高い)。
元になる調が長調ならば長調、短調ならば短調。
調号は♯が一つ増えるか♭が一つ減る。
五度圏の図で、時計回りに隣の調。
- 下属調(subdominant key):Ⅳ(4)度調
元になる調の完全4度上(完全5度下)の調(主音が完全4度高い)。
元になる調が長調ならば長調、短調ならば短調。
調号は♭が一つ増えるか♯が一つ減る。
五度圏の図で、逆時計回りに隣の調。
- 平行調/並行調(parallel key):Ⅲ(3)度調
元になる調と調号が等しい調。
元になる調が長調ならば短3度下(長6度上)の短調(VI度調)、元になる調が短調ならば短3度上の長調。
五度圏の図で、同じ角度にある(グレーの線を挟んで対峙する)調である。
属調の平行調。
元になる調が長調ならば長3度上の短調(Ⅲ度調)、元になる調が短調ならば長2度下(短7度上)の長調(Ⅶ度調)。
調号は♯が一つ増えるか♭が一つ減る。
五度圏の図で、グレーの線を挟んで時計回りにはす向かいの調。
下属調の平行調。
元になる調が長調ならば長2度上の短調(Ⅱ度調)、元になる調が短調ならば長3度下(短6度上)の長調(Ⅵ度調)。
調号は♭が一つ増えるか♯が一つ減る。
五度圏の図で、グレーの線を挟んで逆時計回りにはす向かいの調である。
元になる調と主音が等しい調。
元になる調が長調ならば短調、元になる調が短調ならば長調。
(遠隔調)
上記以外の関係の調。
曲全体の調を変えて演奏すること。
曲の途中で音楽の調を変えること。
同じ楽曲の同じ時間に異なった調が同時に演奏された状態のこと。
ポリフォニー的音楽を更に立体的にしたり、半音などで同持に同じ旋律などを奏する事によって鋭さと共に「暈し」の手法を入れることができる利点がある。
異なる2つの調性を使った多調性音楽の一技法のこと。
最終更新:2009年08月23日 00:25