デッドラインヒーローズRPGとは


はじめに

 ロンメルゲームより制作されたデッドラインヒーローズRPGは「ヒーローとヴィランの戦いを描く」アメコミのような雰囲気で 悪党であるヴィランを倒し、平和を取り戻すTRPGです。
 PC達はヴィランを倒すヒーローとなって悪を倒し、弱い人々の平和を取り戻すのが役目です。しかし、多くの場合はヴィランによって文字通り死線(デッドライン)ギリギリの窮地に立たされ、それでもヒーローとしての能力と九死に一生を得るような強運、そしてPC自身のこうありたいと思う強い信念を持ち合わせている所が、ヒーローのヒーローたる所以です。
 なお上記の説明だけだとヒーロー像はアメコミのようなヒーローの雰囲気ですが、ヒーローはアメコミのヒーローに限られることはなく、魔法少女や変身ヒーロー、戦隊モノのヒーローも問題なく作成可能です。

世界観

 基本的には現実世界とほぼ同じですが、現実世界と大きく違う点2つがあります。
  • 第二次世界大戦末期に「ファースト・カラミティ」と言う世界規模の改変が発生したことにより世界の有り様や過去の歴史が改変した
  • 普通の人間と異なる特殊能力を持っている「超人種」と普通の人間「旧人類」に分けられる。ヒーローとヴィランの多くは超人種だが、旧人類のヒーローやヴィランもいる。人口の割合は旧人類の方が多い。
 そしてPC達が活躍する少し前にとあるヴィラン組織が異世界から巨大な怪物を召喚し、その怪物を倒すために世界中のヒーロー達が立ち向かい、その怪物の討伐に成功した代償として多くのヒーロー達が戦死する「セカンド・カラミティ事件」の影響でヒーローの数が少なくなり、ヴィラン達が我が世の春と言わんばかりに暴れ回るようになりました。

PCは全員ヒーロー!

 PC達はセカンド・カラミティ事件以降はヒーローの中でも最強クラスのヒーローと言う立ち位置になります。なのでヴィラン達を倒せるのはもはやPC達しかいないのです。

オリジン

 オリジンとはPC達がヒーローになったきっかけとなる「起源」です。オリジンは以下の6種類があります。

サイオン

 生まれつきの超人種を表すオリジンです。ミュータント獣人の超人種もこのカテゴリに該当します。

エンハンスド

 薬や手術、事故などによって後天的に超人種になった者達を表すオリジンです。改造人間が該当しますが、動物実験によって人語を話せるようになった動物も該当します。

ミスティック

 超能力や魔法を扱う者達を表すオリジンです。生まれつき超能力や魔力を持つ超人種が該当しますが、悪魔や別次元との存在と契約した魔法少女鬼や悪魔の血を引く者気のエネルギーを扱える格闘家妖刀に魅入られた剣士もこのオリジンに含まれます。

テクノマンサー

 科学の粋を集めたアーティファクトを駆使して戦う者達を表すオリジンです。アーティファクトを自ら発明して戦う者や、自身の肉体を機械化させて戦う者が該当しますが、中にはアーティファクトに選ばれ、それを駆使して戦う普通の人間もいます。

ジャスティカ

 このオリジンの者達は例外なく旧人類のみで構成されたオリジンです。日々の鍛錬により肉体的にも精神的にも旧人類の限界まで鍛え上げた結果、超人種にも引けを取らない存在となった旧人類のヒーロー達です。

ハービンジャー

 地球の外、又は別次元の世界からやってきた者達を表すオリジンです。地球外生命体異世界から来た者達が該当しますが、神、もしくは神の眷属もハービンジャーに該当します。

ヒーローのスペック

ヒーローであるPCは以下のステータスを保持します。

能力値

 PCが生まれ持った才能や資質を表す能力です。能力値は以下の3つがあります。
  • 肉体:身体能力や運動神経、持久力等を表します。
  • 精神:メンタルの強さ、五感の鋭さ、霊的な才能等を表します
  • 環境:社会的信用、財力、人気、交渉力等を表します。

技能

 PCが後天的に身につけた技術のことを表します。各能力値をベースとした技能がそれぞれありますが、今回は技能一覧を紹介します。詳しくはルールブックを確認してください。
  • 肉体ベースの技能:白兵、射撃、生存
  • 精神ベースの技能:霊能、意志、心理
  • 環境ベースの技能:作戦、隠密、経済

エナジー

 PCの生命力や精神力、社会的信用を表します。エナジーは3種類あります。いずれもあまりに減少しすぎると、キャラクターロストします。
  • ライフ:生命力を表します。ヴィランの攻撃によってライフを減らされてダメージを受け続けると、死亡します。
  • サニティ:精神力を表します。ヴィランの攻撃でサニティを減らされるとショックを受けます。あまりにショックを受けると、絶望し、精神的に死ぬことになります。
  • クレジット:社会的信用、財力を表します。ヴィランの攻撃によってクレジットを減らされ(これをスティグマを受けると言います。)、あまりにスティグマを受けすぎると、汚名を被り、ヒーローとして社会的に死ぬことになります。

パワー

 ヒーローとしての特殊能力やスキルを表します。オリジンごとに習得できるパワーは決められており、初期作成のキャラの場合は4つパワーを取得出来ます。
 パワーの効果は様々で、ダメージを与えたり、ライフやサニティを回復したり、判定にボーナスやペナルティを与えたりする等戦闘時だけでなく非戦闘時にも役立つパワーもあります。パワーを発動すると、必ず代償としてライフやサニティなどのエナジーを減らしたり、ターンを経過したりパワー毎に決められた代償を払わなければなりません。

判定方法

 パーセンテージロール(1d100)で判定し、出目が成功率以下なら成功、成功率を超えたら失敗となります。なお、成功率は指定された技能の値+その技能のベースとなる能力値の合計となります
 ちなみに判定の結果、「成功かつゾロ目」の場合はクリティカル、「失敗かつゾロ目」又は「出目が100」の場合はファンブルとなります。クリティカルは代償を1/2に減らす効果、ファンブルは代償を2倍にする効果があります。

判定オプション

 判定する時、以下の行動を宣言すれば、判定にボーナスを付与できます。
  • 集中:PC自身が判定を行なう直前に、サニティ4点減少を代償として支払うと、その判定に+10%のボーナスを獲得する。
  • 支援:他のPCが判定を行なう直前に、支援するPCのクレジット4点減少を代償として支払うと、支援を受けたPCの判定に+10%のボーナスを獲得する。

セッションの流れ

 デッドラインヒーローズRPGはエントリーというハンドアウト制によってPCたちがシナリオに関わるきっかけを提示して、シナリオが進む形式になります。セッションの流れは導入フェイズ展開フェイズ決戦フェイズ余談フェイズと言う順で進行します。

全フェイズ共通ルール

以下のルールが全フェイズで共通してあります。

グリット

困難に立ち向かう勇気や胆力を表す共有リソースです。シナリオ開始時に数点獲得しており、クエリー終了やリマークを行なうことで追加で獲得していきます。グリットを消費することで、判定後の成功率を上昇させて実質成功にする判定の振り直し(集中、支援の効果継続)ダメージ、ショックを決めるダイスに追加ダイスが可能です。

リトライ

ヴィラン達の計画が達成するまでの残り時間を表す共有リソースです。リトライが残っている限り、リトライ1点消費してチャレンジ判定をやり直せます。ただしリトライが0点になった状態でさらにチャレンジ失敗すると、即座に決戦フェイズに移行し、PC側にかなりの不利を受けて戦うことになります。

休息

リトライが1点以上あるとき、リトライ1点消費して各エナジーを1d6点回復します。

リマーク

 プレイヤーがシナリオ中1回だけ好きなタイミングで宣言すると、シナリオに介入してPCをスポットライトに当てて主人公としてロールプレイができる権利を獲得します。ロールプレイは自由に描写可能で、リマークが終了すると、グリット1点獲得します。
 なお、ロールプレイが苦手な人でも宣言だけでもグリット1点獲得できるので、必ずロールプレイしなければならない訳ではありません。

デスチャート

各エナジーがそれぞれ0点未満まで下がったとき、デスチャートを振ります。
デスチャートはそれぞれデスチャート(肉体)、デスチャート(精神)、デスチャート(環境)と別れますが、1d10+各エナジーのマイナスの値の出目の結果次第では、判定にペナルティやキャラクターロストが発生します。

臨死(デッドライン)状態

ライフ・サニティの値のいずれか、もしくは両方が0点未満になった時は臨死(デッドライン)状態という強化状態になります。この状態になると、ダメージやショックの値に追加で2d6点あらゆる判定に+30%のボーナスが得られます。

導入フェイズ

 シナリオの導入部分で、PC達がそれぞれ事件やヴィラン達と関わるきっかけや動機を表すイベントを発生させるフェイズです。

展開フェイズ

 PC達が困難を乗り越えるフェイズです。このフェイズは基本的に以下の2つのイベントが発生します。
  • チャレンジ・イベント
 事件解決やヴィランの悪事を止めるなど、PC達が困難に立ち向かうべく判定を行うイベントです。判定に失敗すると多くの場合PC達に不利な状況に追い詰められていきます。
  • クエリー・イベント
 PCがどういうキャラクターなのかを表現するためのイベントです。『問いかけ』の形でヒーローとしての信念を聞き出し、それに対してPCが答えるというケースが多いです。このイベントは基本的に判定は必要ありません。

決戦フェイズ

 事件の元凶や黒幕たるヴィランと直接対決するフェイズです。戦闘で決着をつけます。

余韻フェイズ

 事件の後日譚を語るフェイズです。ここは好きに描写しても構いません。

セッション終了後

 セッション終了すると、成長点を獲得します。成長点の使い道は様々で、特定のパワーの成功率上昇各エナジーの最大値上昇新たなパワーを取得などがあります。
 また、PCは継続PCとして難易度の高いシナリオ等で活躍できるので、自分の作ったヒーローが強くなっていく様子が実感できると思います。

ルールブック及びサプリメント

 ルールブック及びサプリメントはいずれも物理本と電子書籍それぞれあります。

ルールブック

 富士見書房(KADOKAWA)より出版されているルールブック。2種類ありますがどちらも単独のルールブックとしても使用可能で、「学園マッドネス」は「デッドラインヒーローズRPG」のサプリメントとしての側面もあります。
 ルールブックはそれぞれ、ヒーローのパワーのデータとヴィラン組織のデータが記載されているので、両方買うと世界観が広がります。

デッドラインヒーローズRPG

 デッドラインヒーローズの基本ルールブックであり、学園マッドネスと比較して価格が安いので、試しに買うならこちらがオススメです。
 ヒーローのパワーは144種類、ヴィラン組織は5つのデータが記載されており、デッドラインヒーローズRPGの基本的な世界観の説明も書かれています。

デッドラインヒーローズRPG 学園マッドネス

 「デッドラインヒーローズRPG」のサプリメント。ルールブックとして単独でも使用可能です。
 学園モノのシナリオ作成が出来る世界観が追加され、ヒーロー達の学生としての青春をセッションで作ることが出来ます。
 追加データとして5種類のヴィラン組織、144種類のヒーローパワーがあります
 追加ルールとして、成長点使えば2つ目のオリジンを獲得できるセカンド・オリジンや脇道的なイベントが発生するサイドトラック、PCとNPCとの交流を描くコミュ・イベント等があります。

同人サプリメント

 ロンメルゲームズが自費出版で作られたサプリメントです。膨大な追加パワーや追加ヴィラン組織、シナリオ、さらに世界観の深掘りなどがあります。

パワー・トゥ・ザ・ピープル

 ヴィラン組織が4つ追加され、ヒーロー達の障害となる存在がさらに増えました。
 追加ルールは「エクストリーム」というパワーが追加されました。取得条件に制約がありますが、その分強力な効果を持つパワーです。

ファインド・ウィークネス

 追加ヴィラン組織は5つ、追加パワーは全て通常(エクストリームではない)パワーで各オリジン毎に6つ追加してます。
 追加ルールは2つあり、PC間で成長点に格差がある場合、成長点の低いPCにボーナスを与える「レベリングルール」と、キャラクター作成時にフレーバーで「弱点」を設定して、ロールプレイやリマークに活用しやすくするルールです。

ブラック・オア・ホワイト

 追加ヴィラン組織は2つ、単独の追加ヴィランが2人追加されてます。追加パワーは全てエクストリームとなっており、エクストリームのパワーの選択肢が増えてます。

シークレット・オーバーライト

 NPCやヴィランのデータや詳細設定が追加されてます。
 また追加パワーはエクストリームで、後述する「ブラックジャケットRPG」用のデータやデッドラインヒーローズRPGとコンバートする時の方針も記載されています。

ノー・モア・ワールズ

 特定のヴィランの小説が書かれており、ヴィランに対する解像度が高くなるパートがあります。
 追加ルールとして、PC自身に永続デバフを受け入れる代わりに即座に成長点を獲得できるドローバック・パワーと、1度しか取得出来ない上に必要成長点が多いが、強力なパワーを獲得するグローリー・パワーが実装されました。

関連ルールブック

ブラックジャケットRPG

 デッドラインヒーローズRPGと基本的なルールは同じであるTRPGです。デッドラインヒーローズRPGとの違いは以下になります。
  • セカンド・カラミティは未然に防げたが、その代わりヒーロー側の正義が腐敗し、堕落した
  • 集中、支援のルールが存在しない。
  • PC達は「ヴィラン」である。
  • PC達のオリジンは以下の通りである
①ガロット:悪しき者を無慈悲に殺す復讐者
②スティング:神出鬼没の怪盗
③レッドラム:殺人衝動に駆られる殺人鬼
④ウォーモンガー:戦いを望む戦闘狂
⑤ファナティック:道化に生きる狂人
⑥ハイライズ:拝金主義の商人

 GMが許可をすれば、ブラックジャケットRPGをデッドラインヒーローズRPGのサプリメントとしての運用も認められます。詳しくはGMに確認してください。

おわりに

 多岐にわたる項目を解説したので情報が多くなり、誠に申し訳ごさいません。
 しかし、子供の頃に何かしらの憧れのヒーロー像があったはずです。それをTRPGで再現できるのがこのデッドラインヒーローズRPGなのです

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最終更新:2024年09月24日 02:34