はじめに
この項目はシナリオを作りたい、作っているけれどもなかなか完成に至らない方向けのページです。
とにかくシナリオを完成させたいという方には、特に参考になると思います。
筆者の主観が大きく反映されていますので、参考になる部分だけを抽出して利用していただくのがおすすめです。
作成手順
この手順はシナリオを完成させやすくするためのものです。
やりやすい方法と言うのは必ず個人差があるので、試してみて違うなと思ったら遠慮なくアレンジしてください。
着想
シナリオを作るとき、多くの方がモデルとなる事件、登場する神話生物など「テーマ」を決める所からスタートすると思います。
しかしながら「テーマ」を先に決めてしまうと、行き詰まった時にシナリオとして修正するのが難しいと筆者は考えます。
ですので、ひとまず完成に拘るのであれば、以下の手順で作ることを検討してみてもいいかもしれません。
何をしてもらいたいか
まずは、PL(PC)に何をしてもらいたいかです。
「PCのキャラをしっかり立ててRPしてもらいたい。」「強敵を戦闘で倒してもらいたい。」「用意した謎を推理で突破してほしい。」
どれだけ具体的にするかは人によりますが、必ず明確にしておきましょう。
明確に何をしてもらいたいかを設定すると、シナリオ作成中に目的がぶれにくくなる上、組み立てや内容に迷っても元の考え方に戻りやすくなる事も期待できます
何をしたいか
何をしてもらいたいかが決まれば、それを前提にKPとしてやりたい事を考えてみましょう。
「解けたら気持ちいいギミックを作る。」「シナリオ後半に大どんでん返しを用意する。」「巧みなミスリードでPLを惑わす。」「ギリギリで勝てる戦闘バランスに調整する。」
これは本当になんでもいいです。
何をしてもらいたいかがシナリオのベースとすれば、何をしたいかはシナリオ作成のモチベーション維持になります。
この2つを踏まえた上でテーマを決めると、シナリオに一本芯が通ると筆者は考えます。
テーマの決定
さて、以上を踏まえた上でテーマの決定です。
「特定の神話生物」「実際の事件や人物をモチーフ」「何らかの作品をリスペクト」
など、シナリオを作ろうと思えばすぐに浮かぶことでしょう。
しなしながら上二つのスタンスを明確にしなければ、テーマに踊らされ、なかなか完成までが遠くなってしまうので注意しましょう。
テーマを先に決めるのは「小説」に近く、TRPGのシナリオはどちらかと言うと「脚本」の性質が強いので、先にやらせたい(演じさせたい)事を決める方が楽だと考えます。
構成
着想の3つの項目を明確にできたのであれば構成を考えていきましょう。
構成は勢いでどんどん書いてしまっても構いません。
なぜなら、構成途中に悩んでしまっても着想の土台があれば、そこに戻る事で0にせずにリセットする事ができるからです。
PC達が関与しなかった世界
構成の最初にやるのは意外かもしれませんが、主役であるPCを無視した部分になります。
神話生物等の対黒幕のシナリオであれば、黒幕が目的を遂行した場合の世界。
クローズド系ならPC以外の人間が迷い混んだ時の末路。
人間ドラマ系ならPCが関わらなかった場合のNPC達の人生。
なぜこれを最初にするかと言うと、PCの関与しないストーリーを下地にしてそれと比較する事で、PC達のするべき行動が明確になるからです。
これも具体的に書けるところまで書いておくと、この後のステップが楽になります。
シナリオの山
この項目は他の項目に比べて悩むことは少ないと思います。
特に上記のPCが関与しない世界を具体的かつ明確にしておくと、それだけで答えは出る事でしょう。
黒幕の野望ならばそれを阻止すればいいですし、クローズドサークルなら原因を取り除くか脱出そのものが山にあたります。
解決策が複数あるのであれば、複数の山場を用意しておくのもいいでしょう。
シナリオのオチ
山が決まればオチです。
エピローグや種明かしがこれに該当するでしょう。
理不尽系だと明言していない限りは、PCが関与した結果やシナリオの山にしっかり絡めて理由付け出来る事が望ましいです。
特に(PLの探索不足や判定失敗によるものは別にして)、開示していない情報をオチに結び付けるのは、PLの反感や顰蹙を買う場合もあります。
導入
導入とは言い換えてしまえば、シナリオにPCを引き込むための誘導になります。
特に顔も知らない人間が集まるスレセにおいては、ある程度KP側から能動的な導入を提示する事が求められます。(PL次第では不要かもしれませんが。)
もちろんシナリオに関連付けられ、なおかつ世界観に入り込める導入がベストですが、難しい場合は冒頭をカットして既にPC達が集合している場面からのスタートでも構いません。
冒頭をカットする場合、地の文でいいので簡単にあらすじのような説明を入れるとPLに対して親切です。
シナリオの分岐
一本道シナリオはもちろん簡単ですが、着想の段階や構想を練るうちにシナリオの分岐を考えたり、分岐させる必要が生じることもあります。
その場合分岐の条件からではなく、分岐した結果から考えましょう。
ゴールを並べることにより、その分岐が必要か否かが分かりやすく見えます。
また分岐の条件に関しては、PC達の行動として自然に選択肢が生まれそうな部分をトリガーにすると、参加者にとって納得のいく展開になりやすいです。
チェックポイント
次は山場や分岐の条件を設定していきましょう。
あまり多くの条件をつけると管理が大変ですので、クリアに最低限必要な情報は数を絞って明確にしておきましょう。
ここで注意すべきは、最低限のクリアに必要な情報の取得には判定を省いたり、失敗してもフォロー出来るようにしておくことです。
注意不足やPLのミスなどは別ですが、1度の判定失敗でシナリオの行く末が決まったりクリアが不可能になるようでしたら、それはPLの反感や顰蹙を買う可能性があります。
なお、ボーナスを積み重ねるなどのクライマックスの判定に関しては、この限りでは無いと筆者は考えます。
つなぎ
上記の要素が明確にできればシーンの繋ぎを考えましょう。
シーンの時制や場所が変わる場合は、多少尺を取ってもいいのでつなぎの場面でNPCの台詞や地の文で確認がてら説明させると親切に受け止めてもらえるかもしれません。
つなぎパートの構成や設定を練り込んでしまうと、大事なシーンまでぶれてしまうことがあります。
ですので、つなぎパートの目的はあくまで大事なシーン同士のつなぎである事を忘れないようにしましょう。
肉付け
さて、着想構成と固まれば、具体的なデータや文章(台詞も含めて)を当てはめて、よりシナリオを掘り下げていきましょう。
また、この時点では全体のバランスを考えるよりも、シーンとしての完成度を意識すると、完成がぐっと近付きます。
データの設定
まずは敵味方のNPCデータ、マップ、オブジェクト等を設定しましょう。
まずは他のものと関連させず、データ毎に独立させて設定をしてみましょう。
この段階では(着想構成を否定するものでなければ)何を置くかは自由ですし、追加したり削除したりするのも容易だからです。
戦闘
戦闘が起きる可能性のあるパートでは、まずは戦闘の目的を明確にしましょう。
「勝ちイベント」「負けイベント」「死にイベント」「勝敗で分岐」などです。
それが決まれば、ひとまずでいいので敵NPCの強さ(火力、耐久等)を目的に応じて調整してください。
もちろんPLの人数や能力によって、難易度は変化しますのでここで調整しきれなくても問題ありません。
判定の設定
戦闘以外にももちろん判定は設定していかなければいけません。
先述しましたが、クリアに必須の情報は、判定を省いたりリカバリーの手段を設定する事が好ましいです。
「クリアへの近道」「アクシデントおよびその回避」「フレーバー」つまりこの3つに判定を使うのが好ましいと筆者は考えます。
「クリアへの近道」は『交渉技能』や『知識技能』による情報収集や、『探索技能』による物理的なショートカットや証拠品の入手がメジャーです。
これらは必須の情報とは違い、成功時によりよいエンディングになるような情報や、期限を短縮したり敵の弱体化などのお助けイベントのような認識にすると設定しやすいです。
「アクシデントおよびその回避」は『SANチェック』や『対抗・抵抗判定』によるPCへの直接的なアクシデントから、『探索技能』による未然の危機回避などがあげられます。
ほぼ字の通りですが、PLへの恐怖の喚起やPCへのペナルティ等は、シナリオに緊張感を与えます。
ただしあまりやり過ぎるとPLに余計な負担や警戒を強いることもあるので注意しましょう。
最後に「フレーバー」ですが、これはシナリオに必ず明記しておくと言うよりは、セッション中にPLの様子を見ながらアドリブで入れていくことも多いです。
しかし、明確な理由があって雰囲気を演出したい場面などは、遠慮なく明記しておきましょう。
描写・台詞
ここまでで大方シナリオは出来ていると思いますが、場面の描写やNPCの台詞はシナリオに更なる彩りを加えます。
ここまで組み上げてきたシナリオに変化をもたらすのではなく、その魅力がより映えるようなものにするといいでしょう。
状況説明の描写や必要な情報を含む台詞に関しては、固定でも構いませんが、PCとのやり取り等の会話では、KPが柔軟に対応できるように方向性を強く決めつけないようにしましょう。
返答が大きく変わるような場面では、台詞を明記しない方法もあります。
テストプレイ
さて、ここまで来れば歪ながらもシナリオの形にはなっている事でしょう。
しかしながら、細かい調整や問題点の炙り出し等の改善の余地は無数にあることでしょう。
本来これらは一つ一つクリアしなければならないハードルのようなものです。
しかしながらテストプレイをする事で、具体的かつPC(他人)視点で問題点や調整の余地を炙り出す事が可能になります。
テストプレイの準備
セッションの下準備の項目も参考にしてください。
ここで特筆すべきはテストプレイのPLとプレイ場所になります。
リアルや他のコミュニティの繋がりで、テストプレイできる方が確保できる場合は是非お願いしてみましょう。
しかしながらそんな繋がりを持たない方や、なかなかお願いしにくい方もいるかもしれません。
そんな時は
本スレにてテストプレイの募集(お願い)をしてみましょう。
きっと優しいピラニアさんたちが力を貸してくれるはずです。
もちろんシナリオメモやセッション環境等は、しっかりと準備した上でテストプレイに臨みましょう。
テンプレ
【TRPGの種類】(クトゥルフ、SW2.0、シノビガミなど)
【シナリオタイトル】(シナリオ名)のテストプレイ(シナリオ名を省略してテストプレイだけでも構いません)
【開催日時】(基本的に要相談になります)
【使用システム】(テストなのでスレで行うのが嫌な方はTRPGスタジオ等の他システムを使いましょう)
【使用サプリ】(基本ルルブ以外にあれば)
【初心者参加の可否】(テストプレイの特性上不可になる事が多いかもしれません)
【ルルブ非所持者参加の可否】(上記と同じく不可になる事が多いかもしれません)
【キャラシート作成時の注意など】(テストプレイなのでプレイ前に打ち合わせをしましょう。)
【参加者に向けてメッセージ】(特に指摘してほしい部分等を書くといいかもしれません。)
【あらすじ】(省略可)
テストプレイの実行
セッションの進行や
KPのマナーも参考にしてください。
通常のセッションと違うのは、セッション中に気付いた点があれば指摘してもらうようお願いする事です。
感じた違和感や疑問は時間が経つにつれて薄れていくため、
必ず気付いた時に指摘してもらい、それを記録しておきましょう。
また、シナリオ失敗やロストになっても、少し巻き戻してコンティニューしてもらいましょう。
もしロストでそのまま終わってしまうと、フィードバックできない部分も残りますので注意しましょう。
フィードバック
シナリオが終わればフィードバックです。
突発的な違和感や疑問はプレイ中に指摘してもらっていると思います。
ですので、フィードバックでは全体を通しての問題点や、思い返せば整合性や情報不足だった点などを話し合いましょう。
また、戦闘や探索の難易度についても全体を通してからの方が話しやすいと思います。
お礼
テストプレイの協力者には、オンオフ問わずしっかりとお礼を告げましょう。
本セッションの時よりもKPが得るものも多い上に、PLへの負担も大きい事を理解しておけば、自然と言葉も出てくるはずです。
調整
テストプレイが終われば調整に入ります。
フィードバックの内容を取り入れ、より良いバランスに調整していきましょう。
なお、修正点が多すぎる場合は再度テストプレイをする事も考えましょう。
探索の難易度
頻繁に見る問題点の1つに、「手詰まり」があります。
アイデアロールによりヒントを与えるのも手ではありますが、進行が滞ります。
謎解きの場合は後述しますが、それ以外のパートの場合ですど、何かしらの誘導や簡単なヒントを組み込んでみると解消する事が多いです。
謎解きに関しては、ヒントの加減で難易度を調整するのが手軽です。
ヒントには段階を設けると、PLの熟練度にもある程度柔軟に対応できます。
もしもノーヒントで簡単に解かれてしまった場合は、内容を見直す必要があるかもしれません。
また、探索すべきオブジェクトが分かりにくいなども頻出する問題です。
不自然に強調する必要はありませんが、クリアに必須の要素の場合は意図的に隠すことは控えましょう。
戦闘の難易度
戦闘の難易度はPLの能力値、技能構成、武器に依存します。
しかも能力値と技能構成はPLに依存するため、シナリオ段階での調整は困難です。
それらを回避するには「勝ちイベント」「負けイベント」「死にイベント」にしてしまうのが、強引ですが簡単です。
どうしても勝敗による分岐を望むのであれば、アドリブによる武器の授与や敵の弱体化イベントなどで済ませた方が手間がいりません。
シナリオの整合性
シナリオの辻褄合わせは早い段階でやってしまいがちですが、最後の方の調整で間に合います。
と言うのも、メインとなるシーンさえはっきりしていれば、つなぎの部分を調整するだけで整合性は取れるからです。
どうしても根本的な矛盾があれば、立ち戻って大幅に改編が必要ですが、そうでなければNPCの台詞等でさらっと辻褄合わせても目立ちません。
ただし、テストプレイ時に指摘を受けたことはしっかりと原因を究明し、丁寧に整合性を持たせましょう。
仕上げ
仕上げと言ってもここまでシナリオを組み上げていれば、修正することは少ないです。
誤字脱字や、データの写し間違いなどを中心に見直しましょう。
もし、見直している間に不具合や不満な点が見つかったのであれば、どの工程に問題があったのかを明確にしてから修正に入りましょう。
そして、修正をクリアしてシナリオが完成すれば、すぐにでもセッションをしたくなりますよね?
気持ちが冷めぬ間に
KPの仕事を参考に早速募集をかけてみましょう!
作成例
では上記の手順を利用して、実際にシナリオを作ってみましょう。
なお、わかりやすさを重視したため、どこかで聞いたことのあるシナリオになるかもしれませんので、ご注意ください。
着想(作成例)
着想の更に前提で、わかりやすさを重視した内容を踏まえます。
何をしてもらいたいか(作成例)
シンプルに【脱出】、そしてあわよくば【黒幕の撃破】をPLにしてもらいましょう。
何をしたいか(作成例)
【ミスリード】と【インパクトのある舞台】の2点は演出したいですね。
テーマの決定(作成例)
【脱出】と【黒幕の撃破】と【ミスリード】から、【ミスリード要員】を配置した上で【神話生物】を黒幕にした【クローズドサークル】のシナリオを考えます。
また、【インパクトのある舞台】としては、特殊な場所としてイメージされがちな【精神病院】を舞台にしようと考えます。
そして、【精神病院】に絡めやすい【神話生物】として、【ミ=ゴ】に登場してもらいましょう。
そうなると【ミスリード要員】には【担当医】が自然に接触できる上に、動かしやすいかなと考えます。
構成(作成例)
ここでもわかりやすさを重視していますが、記述が冗長にならないように、要点だけを絞って記載します。
質問等あれば本スレに書き込んでもらえるとありがたいです。
PC達が関与しなかった世界(作成例)
無難に考えると【ミ=ゴ】の【脳缶】設定が活かしやすいですね。
【院長】が【ミ=ゴのスパイ】で、精神病患者と言う【特殊なサンプル】を手に入れるための施設が【精神病院】と言うわけです。
このままPC達が関与しなければ、より多くの人間が【ミ=ゴ】に【脳缶】にされてしまうかもしれません。
また捕らわれたPC達がなにもしないなら、そう遠くない未来に治療と称して【脳缶】になる事は容易に理解できます。
シナリオの山(作成例)
【ミ=ゴ】を倒すか【精神病院】からの脱出を達成する事です。
分岐の項目に繋がってしまいますが、情報を手に入れられたのであれば【戦闘】、手に入れられなかったのであれば【脱出】を考えます。
シナリオのオチ(作成例)
【黒幕の撃破】を乗り越えたPC達には、【ミ=ゴ】の無力化により【精神病院】の悪事の根元を叩き潰した事になります。
また、支えを失った【院長】では【精神病院】の運営はもはや困難でしょう。
つまり、これがベストエンドです。
一方、【脱出】を選択したPC達は、妨害にも屈しず【精神病院】からの脱出に成功します。
しかしながら、原因(ミ=ゴ)を取り除いた訳ではないので、【脱出】した後もちらほら【精神病院】の悪い噂を聞くことになるでしょう。
PC達は二度と近付きたくないと考えるのが、自然な流れかと思います。
導入(作成例)
【インパクトのある舞台】を演出したいのであれば、【インパクトのある導入】が重要になってきます。
病院が舞台の場合、【お見舞い】や【入院中】のシチュエーションが一般的ですが、ここではインパクトを出すため【搬送】を用いてみます。
冒頭でたまたま同じ場所にいたPC達は、たまたま近くにいた【神話生物】(ニャルラトホテプの化身などが設定には都合がいいです。)を目撃してしまいます。
そして周囲の人間も異口同音に「怪物を見た」と騒ぎが大きくなります。
そして警察の到着により、PC達も含めたその場の全員が【精神病院】に【搬送】される流れになると言うわけです。
また、無関係なSANチェックは【ミスリード】にもなり得ます。
以後何も干渉が無くてもPLの脳裏にはその情報がちらつく事でしょう。
シナリオの分岐(作成例)
シナリオの山の部分でも書いた通り、【戦闘】と【脱出】の選択をしてもらいましょう。
【院長の手記】辺りをキーアイテムにして、見付けられた場合は【戦闘】と【脱出】の選択に、見付けられなかった場合は【脱出】へと誘導していきましょう。
チェックポイント(作成例)
ここまで決まった流れは次の通りです。
【インパクトのある導入】→【精神病院】→(【院長の手記】→)【戦闘】or【脱出】→【エピローグ】
これらを自然な流れになるように、チェックポイントを設定していきましょう。
ここで必要になってくるのは【脱出の動機】と【戦闘】への道のりや【脱出】までの手段になります。
【脱出の動機】としては【ミスリード要員】の【担当医】に任せるのが自然かつ有効的です。
また、【戦闘】への道のりは、黒幕の協力者である【院長】の部屋の探索をするといいかもしれません。
【隠し部屋】などがあると、特別な空間である事も理解しやすくなりますね。
【脱出】の場合は逆に【担当医の協力】を取り付けるようにすると、いい感じのどんでん返しにもなりますね。
つなぎ(作成例)
【インパクトのある導入】→【精神病院】→【脱出の動機】→(【院長の手記】→)【隠し部屋】or【担当医の協力】→【戦闘】or【脱出】→【エピローグ】
ここまで書けば、シナリオの輪郭もはっきりしてきたのではないでしょうか。
後はつなぎのシーンを継ぎ足していきます。
メインのシーンを【】で、繋ぎのシーンを()にすると以下の通りになります。
【神話的存在の目撃】→(警察の聴取)→【精神病院に搬送】→(担当医と顔合わせ)→【担当医の電話を盗み聞き】→(病院の探索)→【院長室の探索】→【院長の手記】→(隠し部屋探し)→(院長による独白)→【黒幕の撃破】→【エピローグ】
もしくは(病院の探索)から
(病院の探索)→【担当医の協力】→【脱出】→【エピローグ】
と自然な流れにできます。
また、念のためこの時点で着想のベースから逸れていない事を確認しておきましょう。
【脱出】→【脱出】
【黒幕の撃破】→【脱出】
【ミスリード】→【神話的存在の目撃】【担当医】
【インパクトのある舞台】→【精神病院】【隠し部屋】
【クローズドサークル】→【精神病院】
と、着想から枝葉はつけど、大きなブレが無いことがお分かりいただけるかと思います。
肉付け(作成例)
あくまでこのシナリオは例ですので、細かい細かいデータは記しません。
しかしながら、最低限シナリオに必要である重要なものは抜粋して記載しておきます。
データの設定(作成例)
クローズドなので【マップ】のデータは必要になるでしょう。
また今回はサンプルなので、NPCのデータは少なめにします。
【担当医】と【院長】だけでもシナリオは円滑に進行するでしょう。
また、【ミ=ゴ】のデータはルルブから抽出しておきましょう。
これだけでは華がないので、適当な【ナース】でも登場させてみましょうか。
余談ですが、クローズドの場合登場人物を削れるのは利点ですね。
【マップ】
テストプレイ後公開
戦闘(作成例)
【黒幕の撃破】に関しては【ミ=ゴ】を倒す選択をした時点で、PLの選択を正しいものとして扱いたいので、【黒幕の撃破】は勝ちイベント気味にしたいと思います。
ですので、数々の神話的兵器は封印し、攻撃手段をハサミのみにしてみます。
これにより3人程度のパーティであれば、技能やステータスにもよりますが、勝つ可能性が高くなります。
なお、ダイス目が荒ぶれば全滅もありますが、それもまたTRPGでしょう。
その他のNPCに関しては、基本的に戦闘できないようにしてしまいましょう。
もし、無実の人間を一方的に倒そうとするPCには、警告の上おしおきですね。
判定の設定(作成例)
重要な判定とそうでないものに分けて設定していきます。
※重要な判定(時系列)
【神話的存在の目撃】(SANチェック)
【担当医の電話】(聞き耳、失敗でも最低限開示)
【院長の手記の発見】(目星or図書館、失敗でもリカバリー)
【担当医の説得】(説得or信用、正しいRPで代用可に)
【隠しEVの発見】(目星、情報が揃えばRPのみで)
【黒幕の撃破】(戦闘を参考に)
【脱出ロール】(DEX対抗、ファンブル以外でクリア程度に)
上記以外の重要でない判定は、PLの不安を煽ったり、雰囲気を出したりするような内容で散りばめていきましょう。
また、実質的に内容が薄い判定でも、PL視点であればミスリードになり得ます。
描写・台詞(作成例)
PLの選択やRPによって、行き先や会話は変わります。
つまり細かく描写する必要があるのは、必須の情報やイベントだけで構わないわけです。
以下具体的に掘り下げて明記する描写の一覧です。
【神話的存在の目撃】(描写)
【精神病院への搬送】(描写)
【精神病院】(描写と軽い説明)
【担当医の電話】(聞き取れる内容)
【院長の手記】(内容)
【担当医の説得】(開示される情報)
【黒幕の撃破】(描写)
【脱出】(描写)
【エピローグ】(描写)
上記以外の描写はアドリブでなんとでもなりますし、PLの動き次第では内容も変わるでしょう。
無茶な要求や質問に対してきっぱり断るような記載があれば、シナリオの段階でわざわざ明記する必要はありません。
テストプレイ(作成例)
そうと決まれば早速テストプレイに移りましょう。
サンプルシナリオなので、程よく突っ込みどころが出てくると信じて募集です。
テストプレイの準備(作成例)
これまたサンプルシナリオですので、テストプレイの様子が目につくようにスレでやりましょう。
今回はとにかくテストプレイを走らせたいので、1人でも集まれば走る心づもりでトライします。
テンプレ(作成例)
【TRPGの種類】クトゥルフ
【シナリオタイトル】wikiサンプルシナリオのテストプレイ
【開催日時】要相談
【使用システム】スレ
【使用サプリ】なし
【初心者参加の可否】可
【ルルブ非所持者参加の可否】可
【キャラシート作成時の注意など】現代、クローズド
【参加者に向けてメッセージ】
wikiにシナリオ作成手順の項目を作ります。
この募集はサンプルシナリオのテストプレイです。
クリアを目指すと言うよりは、シナリオの粗探しをしてもらう募集です。
【あらすじ】
精神病院からの脱出シナリオです。
内容としてはテンプレに近いです。
1人からでも立卓、気長に待ちます。
テストプレイの実行(作成例)
実際のテストプレイの様子は
こちらです。
PL1人で回したため、一部の描写などは省略し、戦闘もスピードアップを図るため、組み付き処理を少してこ入れしました。
フィードバック(作成例)
☆最初の神話的遭遇の描写をわかりやすく
☆前提知識に病院自体を不審がらせる物を用意する
☆担当医が怪しすぎる
☆病室から脱出する動機が乏しい
☆技能持ちPC1人でかつかつ気味の戦闘バランス
お礼(作成例)
改めて◆Og1yZANBRAニキ、ご協力ありがとうございました。
調整(作成例)
ではフィードバックと気付いた事を元にシナリオを調整していきます。
☆はフィードバック、★は筆者が気付いた事です。
探索の難易度(作成例)
☆前提知識に病院自体を不審がらせる物を用意する
→そのまま採用、知識ロールor待合室の雑誌に仕込む。
☆担当医が怪しすぎる
→ミスリード要員なのでいい事だが、協力する段階の前に信用の確証を仕込む。
→具体的には部屋のメモとの筆跡の合致と病室解錠の追加描写。
☆病室から脱出する動機が乏しい
→病室のメモをもう少し具体的に書く。
→別の患者が脳缶にされた事を仄めかす。
★ナースの立ち位置が曖昧
→脳缶仄めかしの時にナースの協力も仄めかす。
★重要地点以外の探索が無意味
→病室解錠時に担当医にメモを残させる。
→探索パート1Fを物理的に閉鎖する。
戦闘の難易度(作成例)
☆《マーシャルアーツ》《組み付き》技能持ちPC1人でかつかつ気味の戦闘バランス
→推奨技能に《何らかの戦闘技能》を明記する。
★勝ちイベントの割に敵が強い
→担当医に《投擲》を持たせ、PCに応じて助太刀させる。
シナリオの整合性(作成例)
☆最初の神話的遭遇の描写をわかりやすく
→明確に人間の形をしている事と、真っ黒な事をはっきり伝える。
★エレベーターの位置
→地下から隠し部屋、薬局、処置室、院長室と通すようにマップを改造する。
仕上げ(作成例)
シナリオ自体にはフィードバックが優秀だったため、特にてこ入れの必要はありませんでした。
募集時の要項に、『推奨技能:目星、聞き耳、何らかの戦闘技能』と『推奨人数3人以上』を加える事にします。
サンプルシナリオの完成版は
黄昏の黒と精神病院を参照してください。
おわりに
筆者のノウハウを出来る限り簡潔に文章にしてみましたが、記事全体を見ると情報量が多くなってしまい申し訳ありません。
この長い記事の中から、1文でもあなたのシナリオ作成に役立てば幸いです。
また、実際にこの手順でサンプルシナリオを作成しましたが、やはりテストプレイは重要かつ効果が大きいです。
1人で考えればなかなか炙り出せない問題点も、テストプレイであれば、別の人間の視点から簡単に見付かることもあると、改めて感じさせられました。
それでは、次はあなたのシナリオの募集をお待ちしております。
最終更新:2019年10月24日 18:21