概要
 シャンルリ王国は、イドゥニア星内において中東洋に位置する。小さな島国。海を隔てた北と東に
ユミル・イドゥアム連合帝国が広がっており、西に
フィンスパーニア王国と
ラマーシャ公国が、南に
サンパレナ共和国と接している。国際関係としては
イドゥニア星系連合・
ロフィルナ連邦共同体・
ジェルビア星間条約同盟(共立同盟)に加盟し、協調路線を保つ。国内政策では立憲主義に基づく議会制民主主義を取るものの、歴代首相による汚職の結果、ヨーク・キサラム率いる軍事クーデターをもって共立党の統治下に入って久しく、実質的に独裁体制と言える。
セトルラーム共立連邦に対する莫大な借金を返済するため、事実上無期限と見なされる同国企業の市場占有を認めた。年々、厳しくなりつつある国際社会の制裁を回避するため、
ヴァンス・フリートンおよびヨーク・キサラムは国民福祉に関する経済政策の継続を発表した。と、
ここまでの記述を見て、きな臭い印象を持つことだろう。しかし、国民全員が給付金漬けの生活に甘んじており、危機意識に欠けることから、実質ヨーク・キサラム個人の手腕に依存する。むしろ、ヨーク・キサラム以外の全てが平穏な空気に包まれているという。競争に敗れたホームレスでさえも、大自然におけるスローライフを楽しんでおり、それが社会的にも許されているからだ。数少ない公共の発電施設から、勝手に線を引っ張ってタダ乗りする住民も少なからず存在する。取り締まりの手が回らないため、
『成功したロフィルナ王国』の異名でも知られた。ヨーク・キサラムとは、この国の住民にとって経済を立て直した英雄とされるが、
街の市役所の前には毎月金の無心を目的とする長蛇の列が出来ており、当の指導者を悩ませているという。
 
歴史
 この国独自の生存戦略として、
『面倒な覇権競争は全て時の大国に任せる。そのために必要な代償を甘んじて受け入れる』というスタンスを取っていた。主要な軍警察部隊がクーデターに踏み切る以前の状況として、首都圏における歴代首相の大判振る舞いが繰り返されており、それに多くの市民が群がるなど終局的な様相を深めていたという。
これに怒ったヨーク・キサラム将軍(当時)が長老達を脅し、彼らの不正を幾度となく改めさせた経緯がある。しかし、当のヨーク自身も国の予算で私腹を肥やしており、巧妙に隠蔽するなどの知恵を付けていたことから、ついにヴァンス・フリートン直々の抗議を受ける流れとなった。『調べはついてる。駐留軍を差し向けるぞ』と脅され、進退窮まったキサラム将軍は長老達のポストを蹴り飛ばして独裁権力を掌握。これをもって革命宣言を発するという暴挙に打って出た。しかし、国民はそうしたキサラムの行動を『面白い』という理由で歓迎し、ここに前代未聞の平和的軍事独裁政権が成立したとされる。すべてのポストを掌握し、国の実権を握ったキサラムの公約は、
『腐敗しきった社会構造をブチ壊し、対セトルラーム依存から脱却。平和ボケした市民に外国の恐ろしさを叩き込み、当事者意識を根付かせる』ことだった……(無理でした)
文化
 シャンルリ王国の文化は、独特な自然環境と歴史的背景に根ざした多彩な要素が含まれている。この島国は、ジャングルに覆われた土地と海岸線沿いに点在する集落から成り立ち、その文化は自然との共生と調和をテーマにしている。シャンルリ王国では、毎年
「精矢の共鳴祭」が開催される。この祭りは、
ルドラス派における星の咆哮を再現するためのもので、特殊なクリスタル楽器(フナレステ)を使用して演奏が行われる。祭りのクライマックスでは、夜空に反射する光と音のショーが繰り広げられ、参加者は星と共に踊る。また、
緑の夜祭りも行われ、松明を持った参加者がジャングルの小道を歩きながら祭壇で音楽や踊りを楽しむ。シャンルリ王国の伝統衣装は
「ミラトゥア」と呼ばれる特殊な植物性素材で作られている。この織物は太陽光や月光を吸収し、夜になると淡い光を放つ。また、ジャングルでの生活に適した
「レナレア」(ジャングルガード)と呼ばれる衣装もあり、これは軽量で通気性が良く、自然と調和するデザインが施されている。シャンルリ王国の料理は、地元の自然の恵みを活かしたものが中心である。特に、内部が光を放つ大玉フルーツを使った料理が特徴である。ジャングルの果物や野菜を使ったジャングルサラダや、川魚のグリル、香辛料を効かせたグリーンスープが人気である。
 シャンルリ王国の建物は、透明な鉱石を多用した
「トラノ・メア」が象徴的である。日中は太陽光を反射し、夜には内部の照明で幻想的に輝く。また、集落は自然と共生する
「クナリーム」(エコビレッジ)として設計され、自然光と風通しを最大限に活用する工夫がなされている。シャンルリ王国の主要宗教である
エルドラーム星教ルドラス派では、
「星の祈りの儀式」が行われる。特定の星座が夜空に現れる時期に合わせて、信者たちは星空の下で祈りを捧げる。また、ジャングルの中に設置された神聖な祈りの場では、自然の力に感謝し、生態系を守ることを誓う儀式が行われる。シャンルリ王国の特産品である
「涌深緑の彫刻」は、透明なクリスタルを用いて制作され、日中の光を吸収して夜に内部から光を放つ。これらの彫刻は、歴史的な出来事や神話を題材にしたもので、国内外で高い評価を受けている。また、ジャングルの植物や動物をモチーフにしたアート作品や工芸品も豊富で、自然とのつながりを感じさせる。これらの要素を組み合わせることで、シャンルリ王国の文化は独自性と魅力に満ちたものとなり、自然との調和や伝統を重んじる姿勢が強調されている。
政治
 シャンルリ王国は立憲君主制の体制を採用しており、
アリウス公王が国家元首として象徴的な役割を果たしている。王国の政治は概ね事前協議の理念に従って運営されているが、歴代首相の汚職問題やヨーク・キサラムによる軍事クーデターの影響で、実質的に独裁体制が続いている。公王アリウス・ヴィ・レミソルトは象徴的存在であり、実際の政治運営は内閣によって行われる。内閣の首相は通常、議会によって選出され、現在はクーデターにより権力を掌握したヨーク・キサラム元帥が首相を務めている。議会は一院制で国民の直接選挙によって選ばれた議員で構成され、法律の制定や改正、予算審議を行うが、キサラムの影響力が強く、議会の決定はしばしば彼の意向に沿ったものとなる。主要政党として共立党があり、キサラムによって支配されている。他の政党も存在するが、影響力は限定的である。汚職に対して危機感が薄く、必然的にキサラム主導の統治体制へと移行した。同軍事政権のもとでは地方の発展も重視されており、各村自治体には一定の支援金が分配され、住民の選挙で選ばれた酋長会議が地域の特性に応じた政策を策定・実施している。
経済
 シャンルリ王国の経済は、その独特な自然環境と歴史的背景、そして現行の政治体制に大きく影響を受けている。経済は観光業、農業、漁業、工芸品の輸出に依存しており、観光業が経済の柱となっている。クリスタル楽器を使用した祭りや美しいビーチ、ジャングルの探検ツアーなどが観光客に人気で、観光インフラの整備が進められている。農業では、ジャングルの豊かな土壌を活かした有機農業が盛んで、「大玉フルーツ」などの特産品が注目されている。漁業も主要な産業であり、川魚のグリル「リバーフィッシュグリル」などが観光客に人気である。シャンルリ王国の工芸品、特に「
涌深緑の彫刻」は国内外で高く評価されており、夜に内部から光を放つことで独自の魅力を放つ。政府は観光業や農業の発展を支援する政策を推進し、観光インフラの整備や農業技術の向上に力を入れ、持続可能な発展を目指している。シャンルリ王国は、
ロフィルナ連邦共同体や
ジェルビア星間条約同盟などの国際組織に加盟し、経済協力を通じて貿易を促進している。特に
セトルラーム共立連邦との経済的な結びつきが強く、借金返済のために同国企業の占有状態が続いているが、これにより一定の経済安定が保たれている。
経済の課題としては、給付金制度に依存する国民をいかに自立させ、持続可能な経済発展を実現するかが挙げられる。また、環境保護と経済発展の両立を図るための政策も求められている。シャンルリ王国の経済は自然の恵みと文化を基盤に発展しており、政府の支援と国際協力を通じて持続可能な経済成長を目指している。
外交
 シャンルリ王国の外交は国際社会において
中立的な立場を維持することを重視している。これは、歴史的に国際紛争への関与を避けることで国内の安定を保ってきた背景から来ている。そのため、内政不干渉の原則を貫き、他国との外交交渉においても平和的な解決策を模索し続けている。シャンルリ王国は、
イドゥニア星系連合、
ロフィルナ連邦共同体、
ジェルビア星間条約同盟(共立同盟)に加盟しており、これらの国際組織において協調路線を保ちつつ、他国との友好関係を築いている。これらの連盟や同盟を通じて経済的な協力関係を強化し、貿易や投資の促進を図っている。シャンルリ王国は、隣接する
ユミル・イドゥアム連合帝国、
フィンスパーニア王国、
ラマーシャ公国、
サンパレナ共和国との関係を重視しており、特に
セトルラーム共立連邦との経済的な結びつきが強い。同国企業の占有状態が続いているが、シャンルリ政府はこの依存を脱却するための努力を続けている。シャンルリ王国は豊かな自然環境を守るための環境外交にも力を入れており、国際的な
環境協定に批准し、持続可能な発展を目指す国際的な取り組みに積極的に参加している。
軍事
 シャンルリ王国の軍事力は必要最小限の防衛能力を維持する方針を採用している。人口24万人という小規模な国家にとって、陸海空の三軍体制は国防における基盤となっている。キサラム政権は軍事予算の増額を実施し、装備の近代化を推進した。徴兵制度を採用せず、すべての軍人は志願制によって募集される。予備役制度も整備されており、有事の際には追加的な戦力として機能する。陸軍は国内の防衛と治安維持を主任務とし、総勢5,000名の兵力を擁する。歩兵部隊が中核を成し、ジャングル地形に適した装備と訓練を受けている。機甲部隊は戦車と装甲車両を運用し、沿岸部や平地での機動作戦に対応する。特殊部隊は少数精鋭で構成され、対テロ作戦や要人警護に従事する。砲兵部隊は野戦砲とロケット砲を配備し、防衛陣地への火力支援を担当する。海軍は島国という地理的特性から海岸線の防衛に特化しており、総勢1,500名の人員を配置している。哨戒艦は領海監視と密輸取締りの任務を遂行する。潜水艦は偵察と抑止力の維持に活用される。小型高速艇は機動性を活かした沿岸警備に適している。掃海艇は航路の安全確保を目的とする。空軍は領空防衛と偵察活動を担い、総勢1,000名の体制を整えている。戦闘機は限られた数ながら要撃任務に対応する。ヘリコプターは輸送と捜索救難に活用される。偵察機は情報収集活動を支援する。無人機は長時間の監視任務に投入され、人員の負担を軽減している。全体として専守防衛の原則に基づく編成となっており、侵攻能力よりも国土の防衛と治安の維持を優先している。
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最終更新:2025年10月02日 00:03