リストラ関連
ポケモンのリストラ
- 本作の発売前である2019年6月11日、アメリカ(ロサンゼルス)開催のE3 2019にて増田順一氏が、『Let's Go!ピカチュウ・イーブイ』までで登場した全809種のポケモン全てが登場することはなく、今後のポケットモンスターシリーズで全てのポケモンが集結することはないという告知をしたことが、本件の全ての発端である。
- その理由は、クオリティのアップやバトルバランスの調整としている。
- しかし、その理由もグラフィック/3Dモデル関連 問題点やバトル関連 問題点の通り意味を成さない。
- 「ポケットモンスター」シリーズは、第2世代である『金銀・クリスタル』から第3世代の『ルビー・サファイア』へ移行する際に、第2世代のポケモンを転送できないという「互換切り」が行われている。但し、本作における「リストラ」と当時の「互換切り」は全く異なるものである。一部外部サイトでは本リストラ問題を「二度目の互換切り」と誤った表記をしているため、間違いのないよう注意されたい。
- まず、第2世代のハードであった「ゲームボーイ(カラー)」と、次世代の「ゲームボーイアドバンス」は、物理的に通信不可能という問題を抱えている。つまりはハードそのものがデータのやり取りを拒否している。このため、ゲームフリークが作るポケモンソフトの問題ではなく、任天堂が作るハードの問題であることから「互換切り」と呼ばれる。
- 転送こそ不可能であったものの、『ルビー・サファイア』のゲーム(ROM)データの中には第2世代までで登場した、ミュウやセレビィなども含む全251種のポケモンのデータが存在していた。つまり、新たに第3世代の枠組みの中で『ルビー・サファイア』の新ポケモン135種と合わせた、計386種を集めることができた。
- 『ルビー・サファイア』の後に発売された第1世代リメイク『ファイアレッド・リーフグリーン』や、第2世代のポケモンが多く登場するゲームキューブ作『ポケモンコロシアム』『ポケモンXD 闇の旋風ダークルギア』、そして『エメラルド』の発売により、これらとの通信を駆使することで、これらすべての作品で386種全てのポケモンを集結させることができていた。
- また、技術的に不可能であった第1、2世代との通信についても、当時の互換切りに心を痛めていた故・前社長の働きによって、ニンテンドー3DSのVC(バーチャルコンソール)ソフトからポケモンバンクを経由し、第7世代『サン・ムーン』に送ることができるようになった。ただし、あくまでもVCによる疑似的な再現であり、当時の本物の第1、第2世代のポケモンを転送可能になったわけではない。
- その一方で、本作『ソード・シールド』では、3DS『ポケモンバンク』とSwitch/スマートフォン『Pokémon HOME』に通信互換性がありながらも、クオリティ向上やバトルバランスを理由にリストラを断行。しかし、結果は前述の通りであり、リストラの必要性は全くなかったということになってしまっている。
- その理由は、クオリティのアップやバトルバランスの調整としている。
- また、本作の次作となる作品で、本作に登場したポケモン全てが続投されるわけではない。本作初登場のザシアン・ザマゼンタや本作でリストラを免れたキャタピー系などが、次作ではリストラを受ける可能性がある。
- 『Let's Go!ピカチュウ・イーブイ』までで登場したポケモンの全種類数は809種(フォルムや姿違いなどを除く)。そしてその内から本作単体に続投されたポケモンは319種。つまり、続投の割合(所謂「内定率」)はおよそ40%。過去ポケモンの6割はリストラをされたということになっている。
- リストラを免れたニャース、サニーゴ、ジグザグマなどは別の意味で問題点を抱えている。詳しくは「新ポケモン関連 問題点」を参照。
- 2020年1月9日のポケモンダイレクトにて、有料追加ダウンロードコンテンツ「エキスパンションパス」に向けた無料更新データ「Ver.1.1.0」により、新旧含め約200体のポケモンが追加されることになったが、元々の本作に含まれるポケモンと合計しても過去作ポケモンのうち7割程度(約70.1%)にしか満たない。エキスパンションパス及び更新データについては「DLC問題点」を参照。
- 本作発売前には、アップデートによる過去ポケモンの追加は公式が暗に否定(海外で炎上したしばらく後に密かに修正)していたが、エキスパンションパス公開に伴う更新で追加を行っている。E3ではアップデートを否定する姿勢を取っていたことから、情報公開後の世界中の反応から何らかの力がはたらいたことでゲームフリークが対応せざるを得なくなったものと思われる。
- 本作には、発売当時ではガラル図鑑に存在せず通常プレイでは入手不可能なポケモンが35体だけ内部データとして存在しており、このことは発売日前の海外ユーザーの解析によって既に明らかとなっていた。これらの一部は更新データ「Ver.1.1.0」の追加分に含まれ、その他は『Pokémon HOME』解禁後での転送により入手可能となるものと推測される。
- ただ、更新データ「Ver.1.1.0」に存在せず内部データには存在する一部の幻や一般ポケモンなどについては、本リストラ問題のイメージを払拭するために、公式側が「過去のポケモンが登場」などと謳って、あたかもアップデートパッチで追加したとネットリテラシーの低いユーザーらを筆頭に認識・周知されていく可能性も十分に考えられる。
- 『Let's Go!ピカチュウ・イーブイ』で使用されたオムスターなどの3Dモデルを、短時間で本作に移植して動作を概ね成功させたROMハック動画がアップロードされたことで、3Dモデルのリファインの手間さえも理由にならなくなってしまっている。
- 発売前における公式側の態度や広報にも大きな問題があるため、余裕があるようであれば広報/商法/対応 問題点の「リストラ問題」も併せて参照していただきたい。
『Pokémon HOME』との関連問題
- 2020年2月にリリースされる予定の『Pokémon HOME』には、3DS『ポケモンバンク』『Let's Go!ピカチュウ・イーブイ』『ポケモンGO!』のポケモン達を転送可能。但し、一度『Pokémon HOME』に転送したこれらの作品のポケモンは二度と過去作に戻すことはできないので注意。
- 過去における「パルパーク(『ダイヤモンド・パール・プラチナ・ハートゴールド・ソウルシルバー』、ポケシフター(『ブラック・ホワイト・ブラック2・ホワイト2』)、ポケムーバー・ポケモンバンク『X・Y・オメガルビー・アルファサファイア』)においても、一度転送すると過去作へ戻すことはできなかった。しかし、本作以降の作品では全てのポケモンがリストラ問題を抱えており、過去作と異なり全てのポケモンを転送して集結させることはできないため、『Pokémon HOME』へ転送させる際はよく考えて転送すること。
- 多々見られるであろうケースが、次作に自分の好きなポケモンが登場することを期待して『Pokémon HOME』へ転送したものの、その作品では該当ポケモンは登場せず、過去作に戻して遊ばせることもできなくなってしまうこと。
- 特に注意したいのは、同じ『ポケモンバンク』の枠組みの中でも、『X・Y』『オメガルビー・アルファサファイア』のポケモンを一度でも『サン・ムーン』『ウルトラサン・ムーン』のボックスに入れると、そのポケモンは二度と前作へ転送することができなくなっていたこと。この仕様は、恐らく『Pokémon HOME』や本作以降の「ポケットモンスター」シリーズでも引き継がれるものと思われる。
- 「本作」においては、リストラされるポケモンのリストが事前に告知されなかったが、『Pokémon HOME』のリリースが後となるため、このような被害は現在見られていない。しかし、今後の作品においてもリストラされるポケモンのリストは公開されないものと思われるため、『Pokémon HOME』リリース後のポケモンの転送はよく考えること。
- 過去における「パルパーク(『ダイヤモンド・パール・プラチナ・ハートゴールド・ソウルシルバー』、ポケシフター(『ブラック・ホワイト・ブラック2・ホワイト2』)、ポケムーバー・ポケモンバンク『X・Y・オメガルビー・アルファサファイア』)においても、一度転送すると過去作へ戻すことはできなかった。しかし、本作以降の作品では全てのポケモンがリストラ問題を抱えており、過去作と異なり全てのポケモンを転送して集結させることはできないため、『Pokémon HOME』へ転送させる際はよく考えて転送すること。
- 増田順一氏は「リストラで本編に参加できないポケモンにおいても、『Pokémon HOME』の中で別の遊びを可能にすることを検討中」としている。
- しかし、過去作のように最新作の新地方で思い出が詰まったポケモンたちと触れ合うことができなくなることがあるということに変わりはない。
- また、『ブラック・ホワイト』『ブラック2・ホワイト2』におけるインターネット連動システム「PDW(ポケモン・ドリーム・ワールド)」においては「ミニゲーム」が用意されていたが、その内容はどれも単調で批判点も多かったものであり、『Pokémon HOME』でも同程度のものが用意されるのであればまさに火に油を注ぐことになることは必至である。
- 最大の問題点は、『ポケムーバー』『ポケモンバンク』がニンテンドー3DS専用のニンテンドーネットワークを介してポケモンのやり取りを行っていることから、3DS向けニンテンドーネットワークのサービスが終了される場合、否応なしに『ポケモンバンク』全てのポケモンを『Pokémon HOME』へ転送させられることになる。
- 加えて、3DS向けニンテンドーネットワークのサービスが終了されると『ポケムーバー』が使用不能になることから、『ルビー・サファイア・エメラルド』『ファイアレッド・リーフグリーン』『ダイヤモンド・パール・プラチナ』『ハートゴールド・ソウルシルバー』『ブラック・ホワイト』『ブラック2・ホワイト2』のポケモンを『X・Y』以降の作品に転送することが不可能となる他、『X・Y』『オメガルビー・アルファサファイア』のポケモンを『サン・ムーン』『ウルトラサン・ムーン』に転送できず、『Pokémon HOME』への転送も不可能となる。こうなった場合、サービス終了後に『ウルトラサン・ムーン』以前の作品から転送を試みようとするポケモン達に対しては、『金銀・クリスタル』から『ルビー・サファイア』当時に行われたものと同じ、正真正銘の「第2の互換切り」が発生するのである。
「わざ」の疑似的なリストラ
- ポケモンだけでなく「わざ」についても似たような排除行為が行われている。具体的には、およそ144種の技がどのポケモンにも覚える手段がない、というもの。
- 特に、なつき度により威力が変動する「おんがえし」「やつあたり」、個体値によりタイプが決定する「めざめるパワー」など多くのポケモンに対し有用であったものや、処理が複雑で過去にバグを起こした「おいうち」「フリーフォール」など。
- 2020年2月12日にリリースされた『Pokémon HOME』から転送した過去作ポケモンが本作に登場していない前述の「めざめるパワー」など特定の技を覚えていると、その技は覚えさせたままという措置を取ることが可能だが、戦闘中においては使用不能となることが確認された。
- 技のリストラについて公式は公表していないため、何故リストラしたのかは不明である。
- 仮にバトルバランスの調整である場合、非環境クラスのポケモンの内、ビークインの「かいふくしれい」(専用技)と「おいかぜ」、ドータクンの「だいばくはつ」、キリキザンの「おいうち」、マニューラの「はたきおとす」、ブースターの「ニトロチャージ」、ブラッキーの「どくどく」、ペロリームの「がむしゃら」、ギギギアルの「おんがえし」、クチートの「メタルバースト」を削除する等といった冷遇をしている割に、環境クラスのポケモンの内、ナットレイの「はたきおとす」はそのまま、ニンフィアは「マジカルフレイム」、ギャラドスは「パワーウィップ」習得、その他Z技没収の代わりにそれと類似する性能の専用技を得たジャラランガ、メガシンカ没収の代わりにキョダイマックスを得たリザードン、ばけのかわ弱体化の代わりにダイマックスと極めて相性が良いミミッキュ等の技はそのまま等、むしろ環境上位や中堅のガチポケモンとマイナー寄りの下位ポケモンとの格差が余計に広がってしまっている。
- 育成関連 問題点も参照。
- どの技がリストラされたかをゲーム内や公式ホームページなどで自力で事前に知る方法はなく、HOME経由で送ってしか調べる方法がない。
- 他にはインターネット上の非公式の情報といった正確性が担保不可能な情報や、解析などの非合法手段しかない。
- 公式が技リストラを公表していない、ひいては剣盾でそもそも存在せず使用がそもそも不可能な技があることを公表していないことは、『事前に全ての技が使えると誤認させ、HOMEで送って初めて剣盾で使用不可な技だとわかる』ということが発生する可能性があるため、解釈によっては優良誤認になる。