吟遊パソコン長七郎殿には、私が丸一日ノルゴリズムの世界に出現できないと伝言したので、今頃真紅たちにも伝わっていると思うが、どうせ真紅のことだ。今まで私の力なくば絶対に乗り越えることができない数々の難関のことなどすっかり忘れ、『大丈夫よ。パパの力なんて借りなくても』とかなんとか言っているのだろう。あの親不孝娘が。
もし、私がノルゴリズムに出現できない間に、知的難関が降りかかればよい気味なのだが、真紅が向うで立ち往生するということは、それだけ洋子の魂の解放および、真紅のこちらへの帰還が遅くなってしまう、だけであればまだしも、最悪の場合、彼女の使命が頓挫する可能性があるので、『ざまあまろ』などと言っている場合ではないのである。
できれば、そのような難関が真紅たちに降りかかった場合、ペンディング事項として後日回答ということにしてもらえればよいのだが。
ところで、隣の老紳士の爆裂睡眠はまだ続いているが、いい加減慣れてきた。ただ気がかりなのが、無呼吸時間の間隔がどんどん長くなってきているということで、もしかすると次のいびきで大きく息を吸い込んだ途端、今まで血液が流れず収縮しきった脳内の血管へさして、一気に血液が流れ、ぷちゅっと破裂するのではないかと、気が気ではないのである。
軽くヒジてっぽうを食らわせてやると、少しの間はいびきがやみ、呼吸が安定する。しばらくするとまたいびきをかきだすので、またヒジてっぽうを食らわせてやる。もしかして成田に到着するまで私はこの作業を繰り返さなければならないのだろうか。
もしこれが電車内であって、対面に人が座っている場合、絶対に隣のでっぷり太ったオッサンのいびきがうるさくて迷惑し、ツンツン肘鉄を食わせているやせっぽちのサラリーマンの図に見られて失笑を買うかもしれないが、誤解してもらっては困るわけであって、これはれっきとした救命活動なのである。
さて、前回はRubyにおける『
組み込みクラス』について考えてみた。以前、『
組み込み関数』についても考えてみたのだが、Rubyにはいまひとつ別のものが組み込まれている。
『モジュール』については既に解説済みだ。モジュールとは、クラスと同様にメソッドを定義できるものの、インスタンスを生成することができず、クラスにincludeして使用するもので、この機能をMix-inと呼ぶのだった。詳細は、
モジュールを参照していただきたい。
『組み込みモジュール』とは、呼んで字の如く、Rubyインタプリタに既に組み込まれているモジュールで、プログラマはそれをincludeして自由に使用することができる。『組み込みモジュール』は『組み込みクラス』ほど数が膨大ではないので、個別に解説しても大丈夫であろう。何しろ成田空港到着までは、まだまだ時間があるのだから。
最終更新:2009年03月10日 20:22