のっぺらぼう
のっぺらぼう(野箆坊)は、日本に古くから伝わる
妖怪で、顔に目・鼻・口のない人型の姿を特徴とします。
概要
特徴と外見
- のっぺらぼうは、顔が完全にのっぺりとしており、目や鼻、口がないことが最大の特徴です
- 一部の伝承では耳や口だけが残っている個体も存在します
- その外見は、卵のように滑らかで白い肌を持つことが多く、人間の姿をしているものの、その異様な顔立ちで人々を驚かせます
- 伝承と物語
- のっぺらぼうは、人に危害を加えることは少なく、主に人を驚かす妖怪として知られています
- 例えば、小泉八雲の『怪談』に収録された「貉(むじな)」では、夜道で泣いている女性が振り向くと顔がなく、その後逃げ込んだ蕎麦屋の主人ものっぺらぼうだったという話が有名です
- また、本所七不思議の一つ「置行堀」などにも登場し、人々を二度驚かす「再度の怪」という形式がよく用いられます
- 名前の由来と正体
- 「のっぺらぼう」という名前は、「ぬっぺりぼう」や「ぬっぺふほふ」といった古い妖怪名から派生したものとされています
- 「ぬっぺり」は顔が平坦で締まりがない様子を表し、それが変化して現在の名称になったと考えられています
- 多くの場合、その正体はタヌキやキツネ、ムジナなど、人を化かす動物だとされています
- 一部では肉塊状の妖怪「ぬっぺふほふ」と同一視されることもあります
- 文化的影響
- のっぺらぼうは、落語や講談、妖怪絵巻などさまざまなメディアで描かれてきました
- また、水木しげるの『ゲゲゲの鬼太郎』シリーズにも登場し、その中では顔を奪う能力を持つ妖怪として描かれています
- 現代でも恐怖や不気味さを象徴する存在として親しまれており、アニメやゲームなどにも登場しています
のっぺらぼうは、日本独特の妖怪文化を象徴する存在です。その不気味な外見と驚かすだけという性質から、多くの人々に親しまれつつも恐れられる存在となっています。興味深い点は、その正体が動物や古い妖怪に由来するという説であり、日本人の自然観や想像力を反映していると言えるでしょう。
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最終更新:2025年01月14日 10:23