物語の構造の技法
- 劇的アイロニー: 観客が物語の進行において登場人物よりも多くの情報を持っている状況を指す演劇技法
- 情報の非対称性: 登場人物やプレイヤー、読者・観客などの間で持っている情報量や質に差がある状況
- サスペンス: 観客に不安や期待、緊張感を抱かせる手法。またはそれを目的としたジャンル
- 劇中劇: 物語や演劇の中にさらに別の物語や演劇が挿入される「入れ子構造」を指します
- メンターの死: 主人公の師匠であるメンターの死亡により物語を前に進める
- テンプレ展開: 物語においてよく見られる「型どおりの展開」や「お約束」となるストーリー構造や設定を指します。批判の対象になりやすいですが、使い方を間違えなければその物語への親しみやすさを表現できます
- ランプシェーディング: 物語内の不自然さや矛盾をキャラクターやナレーションが直接指摘することで、読者や視聴者の違和感や批判を和らげる手法。セルフツッコミ
- プロットホール: フィクション作品におけるストーリーの論理的な欠陥や矛盾
- シャレード: セリフや直接的な説明を避け、映像や動作、小道具を用いて意味や感情を伝える間接技法
- シュガーコート: 物語や脚本において、難解なテーマやメッセージを直接的に伝えるのではなく、比喩や象徴的な表現を用いて観客に間接的に伝える手法
物語内のルールと一貫性
- 内部論理: 物語内で設定されたルールや因果関係が一貫性を持ち、矛盾なく展開されること
- 因果関係: ある出来事が次の出来事の原因となり、連続的な流れを生み出すこと
- テーマの一貫性: 物語全体を貫く中心的なメッセージや問いかけが、一貫して維持されること
- ストーリーの一貫性: 物語内で提示される出来事やキャラクターの行動が、因果関係によって論理的につながり、矛盾なく展開されること
- キャラクターの一貫性: キャラクターの性格や行動、価値観が物語全体を通じて矛盾せず、一貫した論理で描かれること
- 不信の停止: 観客や読者が物語に没入するために一定のルールで物語を作ること。またはそのルール
- 不信の停止の喪失: 読者や観客がフィクション作品に対して抱く不信の停止 (「一時的な信頼感」や「物語への没入感」) が失われる現象
キャラクターのシナリオ技法
- キャラクターの一貫性: キャラクターの性格や行動、価値観が物語全体を通じて矛盾せず、一貫した論理で描かれること
- ギャップ: 意外な一面による驚きで関心を引き寄せたり、キャラクターの内面の複雑さや葛藤の表現、ネガティブ要素の解消によるヘイト管理など様々な効果が得られる技法です
- ヘイト管理: キャラクターに対する読者の不快感や嫌悪感 (ヘイト) を制御すること
- カタリスト: 物語の中で主人公に変化をもたらす出来事や人物
- アーキタイプ: キャラクターの役割や性質を表す普遍的な型
- キャラクター・チェンジ: 物語の進行に伴いキャラクターが内面的な成長や変化を遂げるプロセス
- デバフ効果: ゲームにおいて敵やキャラクターの能力を一時的に低下させる効果
- 弱体化: ゲームや物語の中でキャラクター、敵、アイテム、または組織などの能力や力が低下する状態
- ハンディーキャップ: 実力差を調整し公平な競争を実現するために設けられる条件や設定
- パワーデモンストレーション: キャラクターの強さを明確化するためにバトルもので頻繁に使われます
- 強キャラ感: 物語や作品内で圧倒的な強さや存在感を持っていると読者や視聴者に感じさせる雰囲気や演出
- 噛ませ犬: 他キャラクターの強さや存在感を引き立てるために敗北するキャラクター
- 雑魚狩り: 強者が自分より格下の相手を一方的に倒す行為
- サクリファイス・スロー(Sacrificial Throw): 特定のキャラクター (噛ませ犬) や要素を「犠牲」として利用し、物語全体の進行や他キャラクターの成長、強さを際立たせる手法
- ストロングマン・テクニック(Strongman Technique): 物語内で強者(ストロングマン)の力や能力を直接的に描写することで、そのキャラクターの存在感や威圧感を際立たせる演出手法
演出技法
- ジャンプスケア: ホラージャンルにおいて恐ろしいものが突然目の前に出ることで観客を驚かせる手法
- ゴア表現: 血糊や流血など、べっとりとした血液を表現すること
裏切りや意外な展開を作るための技法
- 伏線: 裏切りや意外な展開を作るためには、伏線の適切な配置が不可欠です
- 逆転劇: 劣勢や不利な状況から一転して勝利や成功を収める劇的な展開
- どんでん返し: 物語の展開において、読者や観客の予想を大きく裏切るような意外な展開や結末となる構造
- プロットツイスト (どんでん返し): 物語の途中で予想外の展開を起こし、読者や観客の期待を裏切る技法
- 視点操作: 語り手や視点キャラクターが意図的に情報を隠したり歪めたりすることで、裏切りが突然明らかになる手法 (→信頼できない語り手)
- 意外な真実の発覚: 物語の中で登場人物や読者/視聴者が信じていた事実が実は違っていたことが明らかになる展開
- 超展開: 物語やストーリーの進行において、視聴者や読者の予想を大きく裏切るような、突拍子もない展開が突然起こること
- ジャンル・スイッチング: 物語のジャンルが途中で切り替わること、またはその手法
メタフィクションとは、物語の中でその作品が「フィクションであること」を意図的に示し、虚構と現実の境界を曖昧にする文学や表現技法
トロープとは、創作作品で繰り返し使用される常套的な表現や要素のことです
- プロット・デバイスの概要: プロット・デバイスとは、物語のプロット(筋書き)を進行させるために用いられるシナリオ技法や仕掛けのことです
- 伏線: 将来の展開や結末を予感させるために、物語の中でさりげなく配置される要素
- マクガフィン: その登場人物にとって重要だが具体性がなく代替可能なアイテム
- チェーホフの銃: 物語の中で提示された要素が後に必ず意味を持ち、物語全体に貢献しなければならないという原則
- プロット・バウチャー: 登場人物(特に主人公)が後に直面する障害を解決するために、事前に与えられる物体や要素
- レッド・ヘリング: 「偽の手がかり」や「ミスリード」を通じて読者や観客を惑わせ、本筋から意図的に目を逸らさせるプロット・デバイス
- ミスリード: 読者や視聴者を意図的に誤った方向へ導き、誤解を招くシナリオ技法
- 肩の上の天使: キャラクターの片方の肩に「良い天使(良心)」が現れ、もう片方の肩には「悪魔(誘惑や悪意)」が現れることで、善悪の選択を象徴的に描きます
- フレーミング・デバイス(Framing Device): 物語を始める導入部分と締めくくる結末部分に配置され、物語全体を統一する枠組みを提供します
- 劇中劇: 物語の進行を促進したり、テーマやメッセージ性の強調、キャラクターの関係性の補完の手段としても使うことができます
- プロフェシー(Prophecy [予言]): 主に預言者が神の啓示や予知能力によって登場人物や読者に未来の出来事を示唆すること
- 自己成就型予言: あるプロフェシー (予言) が語られることで登場人物がその予言を意識し、それに基づいて行動した結果として予言が実現してしまう現象
ミッション型プロット・デバイスとは、物語の中心に「特定の目的や課題(ミッション)」を設定し、その達成に向けて主人公やキャラクターたちが行動する形式のプロット・デバイスです。
- タイムリミット (Ticking Clock): タイムリミットが設定されることで、登場人物が制限された時間内で目標を達成しなければならない状況が作られます
- レース・アゲインスト・タイム (Race Against Time): 主人公やキャラクターが時間制限内に特定の目標を達成しなければならない状況を作り出すこと
- 時限爆弾: 緊張感とスリルの演出、キャラクターの行動を促す目的として使用されます
- デス・トラップ(Death Trap): 登場人物が命の危険に直面する状況(トラップや罠)から脱出することを目的とする物語の仕掛け
- 脱出劇: 主人公や登場人物たちが危険な状況、閉じ込められた空間、または敵対的な環境から逃れることを目的とするシチュエーション
- ヒロインの救出劇: ヒロインが捕らえられることで、主人公に明確な目的(救出)が与えられ物語を先に進める力が生まれます
- プロット・クーポン: 主人公が物語の過程で収集し、最終的に目標達成や問題解決のために使用するアイテムや情報のこと
- クエストの受注: 異世界ファンタジー作品におけるクエストの受注は典型的な目標設定となるプロット・デバイスです
- 復讐劇: 主人公が特定の人物や組織に対して復讐を果たすという明確な目的を持ちます。この目標が物語全体の推進力となります
- ご都合主義的展開: 物語の進行において、作者の都合で不自然または強引に展開が進むこと
- デウス・エクス・マキナ: 物語の展開が行き詰まった際に、絶対的な力を持つ存在(通常は神)が突然現れ、救済 (問題を解決) して物語を収束させる演出技法
- 逆デウス・エクス・マキナ: 絶対的な存在によって救済ではなく、あえて悲劇的な結末や救いのない状況を描く手法
- 魔法は一回だけ: 魔法や特別な力を使う場面を一度だけに制限すること。これは、観客が物語のリアリティに対して共感しやすくするため
クィブルとは、物語の中で契約や予言などの文言を厳密に解釈し、意図された意味を回避したり抜け穴を見つけることで、ストーリーを展開させるもの
- クィブル的キャラクター: 物語において契約やルール、設定の曖昧さや抜け穴を巧みに利用し、自分の目的を達成する知略型のキャラクター
- クィブル的状況: 物語の中で契約やルール、設定などが重要な役割を果たし、その曖昧さや抜け穴がストーリー展開に影響を与える場面
- クィブル的逆転劇: 物語内の契約やルール、設定の曖昧さや抜け穴を利用した、知略や心理戦、頭脳戦による逆転劇
- 伏線の概要: 将来の展開や結末を予感させるために、物語の中でさりげなく配置される要素
伏線の貼り方
- 簡単な伏線の貼り方: 初心者でも簡単にできる伏線作りには「ストーリー完成後に追加」「小さな違和感」「キャラクター行動」「お約束」などの方法があります
- 伏線の配置: 伏線は物語全体との整合性を保ちつつ、さり気なく配置するのがポイントです
- 伏線の提供者: 物語の中で伏線を提示する役割を果たす存在。提供者には登場人物、語り手、背景や小道具などがあります
伏線の種類
- 先行型伏線: 物語の中で後に起こる重要な出来事や展開をあらかじめほのめかしておく伏線の一種
- 回収型伏線: 物語の中であらかじめ仕込まれた要素(伏線)が後の展開で明らかになり、読者や視聴者に驚きや納得感を与える技法
- 暗示的伏線: 物語の中で後の展開に重要な意味を持つヒントや手がかりを、直接的には示さずにほのめかす手法
- 伏線回収: 物語の中であらかじめ仕込まれた要素やヒント(伏線)を、後の展開や結末で明らかにし、読者や視聴者に驚きや納得感を与える技法
- 多層的な伏線: 語の中で複数の伏線が絡み合い、異なるレベルや視点から物語を支える仕掛け
- 小さな嘘: 序盤で小さな嘘をつき、それが後半で大きな嘘となる伏線。曖昧な表現にして誤魔化したり、意見に同意するふりをするなどがあります
- サンクコスト錯覚: 伏線ではないですが、長い間信頼されていたキャラの裏切りは読者に大きなインパクトを与えます
- ミスリード: 厳密には伏線ではないですが、読者や視聴者を意図的に誤った方向に導き、本当の裏切り者や裏切りの意図を隠すことができます
死に関する伏線
- 死の予兆: 特定のキャラクターの死亡を「予感」させるもの
- 死の宣告: 特定のキャラクターの死亡を「明確」に物語内で伝えること
- 死亡フラグ: 映画やゲーム、漫画などで登場人物が死ぬ前によく見られる行動やセリフを指す概念
伏線の失敗
- 伏線の不足: 物語の中で重要な展開や結末を支えるための伏線が十分に張られていない状態
- 不自然な伏線: 物語の中で伏線が不自然に目立ったり、物語の流れやキャラクターの行動と整合性が取れていない形で配置されること
- 未回収の伏線: 物語の中で提示された要素やヒントが、最終的に解決されずに終わる状態
- 過剰な伏線: 物語の中で伏線が多すぎたり、過度に複雑で不自然な形で張られること
伏線の関連用語
- SAVE THE CAT: 悪い面を持つ主人公に感情移入させるために自己犠牲や共感できる日常会話のイベントを挟みこむ
- プールで泳ぐローマ教皇: 視覚的にインパクトのあるシーンを利用して、物語の背景や設定を説明する方法
- 魔法は一回だけ: 魔法や特別な力を使う場面を一度だけに制限すること。これは、観客が物語のリアリティに対して共感しやすくするため
- パイプの置きすぎ: ストーリーの導入部分や背景説明に時間をかけすぎることで、観客が退屈したり、物語のテンポが崩れる問題
- 黒人の獣医: 設定や肩書きが多すぎることを指摘するための比喩。アイデアに固執して捨てられない状況に陥ったときに守るべきルール
- 氷山、遠すぎ!: 物語の展開が遅すぎること
- 変化の軌道: 物語の中で主人公がどのように変化するかを示す概念
- マスコミは立入禁止!: 物語においてマスコミを登場させないことで、観客が物語の世界に没入しやすくなるという考え方
最終更新:2025年02月21日 08:09