負けヒロイン
「負け
ヒロイン」とは、マンガやアニメに登場する主要な女性キャラクターのうち、主人公と恋人関係になりそうだが(たいてい当人も主人公に恋心を抱いているが)結局は主人公との仲は進展せず、
失恋・悲恋してしまうキャラクターを指す通俗的な呼び名。
負けヒロインの4つのタイプ
負け
ヒロインとは、物語の中で主人公との恋愛競争に敗れ、最終的に主人公と結ばれない女性キャラクターを指します。この負けヒロインは、いくつかの異なるタイプに分類できます。ここでは「本命」「対抗」「大穴」「限定」の4つのタイプに基づいて、それぞれの特徴を説明します。
これら4つのタイプは、それぞれ異なるアプローチで物語における恋愛競争に挑みますが、最終的にはいずれも主人公と結ばれることなく「負けヒロイン」として描かれます。
1. 本命タイプ
物語の序盤から主人公との関係が深く、他のヒロインたちよりもリードしているキャラクターです。視聴者や読者から見ても「このキャラが最終的に選ばれるだろう」と思われることが多いですが、最終的には他のヒロインにその座を奪われてしまいます。
2. 対抗タイプ
主人公との関係はある程度進展するものの、物語を通じて「本命」ヒロインとの関係が強く描かれており、その影響で最終的には敗北するキャラクターです。対抗馬として健闘するものの、最後には勝ちヒロインに譲る形となります。
- 小野寺小咲『ニセコイ』
- 三宅しのぶ『うる星やつら』
- 胡桃沢梅『君に届け』
- 新垣あやせ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』
- 蝶野雛『アオのハコ』
3. 大穴タイプ
物語の序盤ではほとんど注目されず、意外な形で恋愛戦線に絡んでくるキャラクターです。視聴者や読者にとっては「まさかこのキャラが?」と思わせる展開ですが、結局は勝ちヒロインにはなれません。彼女たちは意外性があるため、大穴と呼ばれます。
- 桂ヒナギク『ハヤテのごとく!』
- 橘万里花『ニセコイ』
- 北大路さつき『いちご100%』
- 新田由加『タッチ』
4. 限定タイプ
特定の条件下でのみ恋愛対象として浮上し、その条件が満たされない限り勝ち目がないヒロインです。例えば、特定のルートやエンディングでのみ主人公と結ばれる可能性がある場合などです。このタイプはゲームや
マルチエンディング作品によく見られます。
- 『五等分の花嫁』では、ゲーム版で特定のifルートを選択すると結ばれる可能性がありますが、本編では結ばれないというケースがあります
作品例
本命の負けヒロイン - 東城綾『いちご100%』
東城綾が「いちご100%」における本命の負けヒロインである理由は、以下のポイントから説明できます。
- 1. 物語序盤での「本命」ポジション
- 東城綾は、物語の冒頭で主人公・真中淳平が出会う「いちごパンツの美少女」であり、彼が最初に恋心を抱く相手です。彼女は真中にとって「夢のパートナー」として描かれ、物語序盤では彼女が最終的に真中と結ばれると多くの読者が予想していました。また、作者自身も当初は東城と真中を結ばせるつもりでプロットを進めていたことが明かされています。
- 2. 控えめな性格と恋愛への消極性
- 東城は非常に控えめで内向的な性格であり、自分の気持ちを積極的に表現することができませんでした。このため、真中との関係が進展する機会を逃し続けます。他のヒロインたち(特に西野つかさや北大路さつき)が積極的にアプローチする中で、東城は言葉を飲み込みがちで、自分の気持ちを伝えることができないまま時間が過ぎていきました。
- 3. 真中との深い絆にもかかわらず選ばれない
- 東城は真中と映画制作を通じて深い絆を築き、彼の夢を支える重要な存在でした。しかし、最終的には真中は西野つかさを選び、東城はその恋愛競争に敗北します。この結末は多くの読者を驚かせましたが、西野の行動力や積極性が勝因となったとされています。
- 4. 成長するも結ばれないキャラクターとして描かれる
- 物語全体を通して、東城は内向的な自分から成長し、小説家として自立する姿が描かれます。作者もインタビューで「東城は最も成長したキャラクター」と述べています。しかし、その成長にもかかわらず、恋愛面では報われず「本命」でありながら負けヒロインとして物語を終えます。
このように、東城綾は物語序盤から「本命」として描かれながらも、恋愛競争に敗北し「負けヒロイン」となったキャラクターです。
対抗としての負けヒロイン - 小野寺小咲が『ニセコイ』
小野寺小咲が『ニセコイ』における対抗の負けヒロインである理由は、以下のポイントから説明できます。
- 1. 主人公との両想いでありながらも結ばれない
- 小野寺小咲は、主人公・一条楽が中学時代から片思いしていた相手であり、実は小咲も楽に対して同じ気持ちを抱いていました。彼らは互いに好意を持ちながらも、告白するタイミングを逃し続け、関係が進展しないまま物語が進行します。この点で、小咲は物語の序盤から「対抗馬」として強いポジションにいましたが、最終的には楽が桐崎千棘を選んだため、負けヒロインとなりました。
- 2. 物語を通じての健闘と失敗
- 小咲は何度か楽に告白しようと試みますが、ことごとく失敗します。これには偶然のアクシデントやタイミングの悪さが影響しています。彼女は積極的に動こうとするものの、運命的な展開や他キャラクター(特に千棘)の存在によって、恋愛競争で勝利することができませんでした。
- 3. 対抗馬としての位置づけ
- 小野寺は物語のもう一人のメインヒロインであり、千棘と並ぶ「対抗馬」として描かれています。彼女は楽との過去の約束や両想いという強力な要素を持ちながらも、最終的には千棘との偽恋愛関係が本物に発展してしまい、その結果として敗北します。この点から、小咲は「対抗馬」として最後まで恋愛競争に参加し続けたものの、最終的には選ばれなかった負けヒロインです。
- 4. 結末での成長と別れ
- 最終的に、小咲は楽に告白しますが、その時点ではすでに楽の心は千棘に向いていました。別れ際に楽が約束の女の子が小咲だったことを知るという切ない展開もありましたが、小咲はその後、自分の夢であるパティシエとして成長し、楽と千棘の結婚式ではウェディングケーキを作るなど、新たな道を歩み始めます。
このように、小野寺小咲は物語全体を通じて「対抗馬」として恋愛競争に参加し続けたものの、最終的には主人公・楽が桐崎千棘を選んだため、「対抗」の負けヒロインとなったと言えます。
大穴の負けヒロイン - 桂ヒナギク『ハヤテのごとく!』
桂ヒナギクが『ハヤテのごとく!』における大穴の負けヒロインである理由は、以下のポイントから説明できます。
- 1. 物語序盤では恋愛対象外だった
- 桂ヒナギクは、物語の序盤では主人公・綾崎ハヤテの恋愛対象としては描かれていませんでした。彼女は白皇学院の生徒会長であり、ハヤテにとって頼りになる友人・協力者という立場でした。最初から恋愛的な関係が強調されていた他のヒロイン(特に三千院ナギやマリア)に比べ、ヒナギクは恋愛戦線に絡んでくるキャラクターではなく、読者も彼女が恋愛対象になるとは予想していなかったため、「大穴」のポジションにありました。
- 2. 途中から恋愛感情を抱くようになる
- 物語が進むにつれて、ヒナギクは徐々にハヤテに対する恋愛感情を抱くようになります。彼女は自分の気持ちに気づき始めるものの、その感情を素直に表現することができず (→ツンデレ)、またハヤテ自身も彼女の気持ちに気づかないまま物語が進行します。このように、ヒナギクは物語中盤から突然恋愛競争に参入する「大穴」的な存在となります。
- 3. 強いキャラクター性と人気にもかかわらず結ばれない
- ヒナギクは作中でも非常に人気の高いキャラクターであり、強い意志や優れたリーダーシップを持っている一方で、恋愛面では不器用な一面も見せます。彼女がハヤテに対して抱く純粋な気持ちは多くの読者から支持されましたが、最終的にはハヤテとの関係が進展することなく終わります。彼女の人気や魅力にもかかわらず、ハヤテは別のヒロイン(三千院ナギやアテネ)との関係を優先し、ヒナギクは報われないまま物語を終えます。
- 4. 意外性のある立場から敗北する
- 「大穴」の負けヒロインとは、物語序盤では恋愛競争に参加していなかったものの、中盤以降で意外な形で恋愛対象として浮上しながらも、最終的には結ばれないキャラクターを指します。ヒナギクはまさにその典型例であり、多くの読者が彼女との結末を期待したものの、最終的には他のヒロインたちに譲る形となりました。
このように、桂ヒナギクは『ハヤテのごとく!』において「大穴」として途中から恋愛競争に参入しながらも、最終的には主人公・ハヤテと結ばれない負けヒロインとなったと言えます。
参考資料
関連ページ
最終更新:2024年12月25日 13:18