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神裂23:25:29  >  第二学区-条件2-2

暫しの後、傷を完治させた神裂は、ゆっくりと立ち上がった。
 黒く煌めく七天七刀を拾い上げ、ツカツカと、一方通行の屍体へと近付く。

 見事に斬り断たれた首は、もう暫くは再生する事もないだろう。
 だが。


神裂「――――」


 神裂は、その脚で。
 落ちていたアタマを、ぐしゃりと踏み潰した。


 何も、言わず。
 それが当然のように。

 続けて、肩。腕。胴体。脚。
 ぐしゃり。ぐちゃり。ぐしゃり。ぐちゃり。
 踏み、潰し、踏み、潰す。

 聖人の脚力で踏み砕かれた骨は粉々になって飛散した。
 潰れた脳漿は、赤い雨に混じって見えなくなる。
 時折、足裏に付着した肉片を払い除けるように、神裂は軽く足を振るう。


 神裂の脚が止まった頃には、かつて少年だった肉の欠片は、その半分ほどが雨に流されて何処かへ消えていた。


 これで、この屍人が再び立ち上がるには、全身を丸ごと再生させなければならない。
 しかし、聖人のように『身体構造そのものが違う』ならばまだしも、あくまでも人間の範疇を生きていた少年に、
 数時間程度で全身を再構成する能力が備わるとも思えない。

 つまりは、この白髪の悪魔の脅威は、ほぼ完全に無くなったと見ていいだろう。
 神裂は静かに胸を撫で下ろす。

 その時、走り寄ってくる気配に、神裂は気が付いた。
 異形の気配。
 即座に斬り殺そうと刀を構えるが、その屍人の姿に、思わず手を止める。

 今まで、崩れたビルの瓦礫の中で隠れて見ていたのか、小さな、少女の姿の屍人だった。
 年齢にしておよそ十歳ほどの、愛らしい少女。
 顔から赤い涙を流す、化物の少女。

打ち止め「――――ア、ァァ、クセラ、レェタ」

 神裂にとっては全く意味の分からない言葉を呟きながら、少女は少年の屍体へ駆け寄る。
 否、少年だった肉の欠片へと、駆け寄る。

 そして、その傍に屈みこみ、肉の欠片を拾い集め始めた。


打ち止め「ああ、あああああ、アアアア、アアアアああアあア」


 少女は、呻くような声を出しながら、肉片を拾う。
 少年の欠片を、少年だった欠片を、拾い続ける。

打ち止め「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

 拾い続ける。
 もう二度と会えない少年の欠片を。
 赤い涙を、流しながら。


 神裂は、それを見て。

神裂「――――」


 無表情で、少女の首を、刎ねた。


 容赦無く。
 少女の姿をした化物を、殺した。



 ごとん。
 小さな異形の頭が、地に落ちる。

 げしゃり。
 神裂は、それも踏み潰した。

 さらさら。
 赤い雨が、少女の頭だった肉片と、少年の身体だった肉片を、洗い流していく。

 神裂は。
 何も、言わず。


 後には、少女の首から下だけの屍体が、残された。


神裂「――――…………」


 そして神裂は、その場を後にする。
 異形の身体を引き摺って。
 赤い涙を、流しながら。

 全ての終着点、異界の中心へと、向かう。

 黒銀に耀う刀を、神を裂く刀を、その手に携えて。
最終更新:2011年05月05日 12:57
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