フレイス地方の一角、崖の下に洞窟が開いている。大きさは象が十頭並んで通れるほどで、非常に大きい。そこを5分ほど進むと空洞に行き着く。当然そこも相応に広いのだが、なぜか軍装の人々がひしめいている。綺麗に整列しているからまだ身動きできるが、全員が無秩序な動きを始めれば、その数の多さゆえに容易くパニックが発生するだろう。
その統一された武具と行動から、彼らが一国の軍隊であることは容易に推察できる。彼らの鎧に彫りこまれているのは“剣と天秤”。ライプニルの紋章である。
そう、彼らを率いているのはスレイプニル3世その人である。彼は兵らを待機させ、2人を供としてさらに奥に進んでいく。一人はマルガレーテ=フォン=ブローディア、一人はゼルス=ワルターである。ゼルスが皇帝に話しかける。
「陛下、フレイスの状況はこちらの思惑通りです。あとは我々が仕上げにかかるだけ…ってとこですね」
皇帝は唇を笑わせると、「クオーレの大言壮語ではなかったわけか。そなたはあの者を好かぬようだが、能力は認めるしかあるまい?」と答える。ゼルスは肩を竦める。
「ヤツは毒蛇ですよ。確かに使い物にはなりますが、人とは違う価値観で動く。隙を見せようものなら、果たして誰に噛みつくやら」
言葉とは裏腹に、彼にはどこか面白がるような雰囲気がある。
皇帝はそれには答えず、代わりに別の言葉をゼルスに掛けた。
「これか、余に見せたいもの、というのは」
皇帝たち3人は洞窟の一番奥に到達していた。そこには砂漠らしからぬ光景が広がっている。泉が湧き出し、それを糧として植物が育ち、小さな森とでもいうべきものになっている。この部分だけ天井が崩れ落ちたのか、太陽の光が差し込み、幻想的な雰囲気である。
「いえ、見せたいのはこの奥です」
ゼルスが先導して森に踏み込む。その先は森の中央だが、そこには樹齢千年を遙かに超えようという大樹がそびえ立っている。幹は大の大人20人で囲んでも足りないほどで、枝ですらそこらの木の幹よりも太い。
「確かに大したものだ。だが、これしきことで余に時間を取らせたわけではあるまい?」
ゼルスは髪を掻き揚げる。
「そっけないですね。ま、確かにこれだけじゃありませんが」と言うと、彼は先程から沈黙を守るマルガレーテにこう問いかける。
「マルガレーテ様、この大樹を持ち上げることはできますか?」
突拍子もない質問に、彼女は少し目を丸くするが、黙って首を横に振る。
ゼルスはその答えに満足したように肯き、
「この地方に伝わる伝説なんですが、この大樹はジュグラッドの加護を受けたいわば神木なんだそうです。砂漠ばかりでは炎の守護者も人間に悪いと思ったんでしょうね。この大樹と泉があれば、周囲の人々は餓えずに済む。――ですが伝説はそれだけでは終わらない。誰が言い出したか、この大樹には『引き抜いた者は世界を制する』といういわくが付いているんです。噂ではかのオウガも挑戦したそうですが、力及ばなかったとか」
言い終るとゼルスはニヤリと笑い、皇帝のために大樹の正面から退いた。
皇帝はゼルスを一瞥すると、何かを確かめるかのように幹に手を触れる。
意識を深く集中させた皇帝が何事か呟くと、その掌から真紅の炎が溢れ出し大樹の太い幹に広がっていく。
その炎が背の丈を越えた辺りで皇帝は口元に勝利を確信した笑みを浮かべた。
――次の瞬間、炎が一気に燃え広がった。瞬く間に見上げるばかりの大樹すべてが業火に包まれる。
ほんの数分ののち、樹齢数千年を誇った神木はまるで最初からそこに存在などしていなかったかのように跡形もなく焼失していた。
「余を試すか、ゼルスよ」
皇帝の覇気にあてられ、ゼルスは毒気を抜かれたように立ち竦んでしまう。
「――まあよい。次も期待しているぞ」
そう言い残すと、皇帝は身を翻し2人を残して立ち去るのであった。
【今回予告】
危機を脱したラース=フェリア。
だが次なる危機は神でも魔物でもなく、人の中から生まれ出る。
異なる理想がぶつかり合うとき、人は血を流さずにはいられない。
今、フレイスの片隅で二人の王が出会う。
歴史が、大きく動こうとしていた。
セブン=フォートレスキャンペーン「RISING SUN」
第一話 『始まりの炎』
「すべては、世界を我が掌に収めるため……」
物語の始まりから遡ること一昔、紋章暦83年。
当時のオルフェリアにおける武門の名家パスツール家に仕え、天才的な知略で当代随一との誉れも高かった若き軍師がいた。その名をシロウズという。
しかし無名の平民家庭出身であったことや、あまりに人間味に欠ける苛烈な指揮方針のために周囲の風当たりは決して良くはなかった。
GM/嫌味な貴族1
成功し続けてきた君には、周囲のやっかみの声が嫌でも耳に入ってくるわけだ。道を歩いていれば、「おや、あれが例のシロウズ様ですか。聞けば今度もまた作戦を成功させたとか」
嫌味な貴族2
「ほほー。この分だと昇進も近いのでしょうなあ」(笑)
GM/嫌味な貴族1
「いやまったく、羨ましいことで」
駄目だ。こういうのをいちいちやってるとシナリオが終わらなくなる、楽しすぎて(笑)
とにかくそんな現状に嫌気がさした君は国を出ることに決めたわけだ。
シロウズ
今まで常にオルフェリアに最大限の利益がもたらされるように動いてきたのに、それが認められない現状が馬鹿馬鹿しくなった。ほとんど私物はないし、供もなく手荷物だけで王都の門をくぐろうとしているところか。
GM/パスツール
「シロウズ! どういうつもりだ!」君の後ろから馬を駆って追い縋ってくるパスツール。「わしに黙ってこの国を出て行くというのか?」
シロウズ
「これは……パスツール殿」
パスツール
「いったい何が不満だというのだ。お前にはこんなにも報いてやっているのに!」
君には身分を考えるとかなりの高待遇が与えられている。これも君の力量を認め、そして他に渡したくないというパスツールの思いゆえだ。
パスツール
(裏返った声で)「何が望みだ? 金か、土地か!? それとも女か!」
一同
(笑)
GM
うるさい黙れ、マスタリングの邪魔をするな(笑)
彼はあくまで『凡将』なんだ、『愚将』ではない。
シロウズ
「たしかに将軍には良くしていただきました。ですがそれに見合う働きは既にしたつもりです。今やパスツール家はクラウス家とも並ぶ武門の名家、もう充分ではありませんか」
GM/パスツール
「…………」言葉に詰まる。見透かされた。
シロウズ
「それに……心配なさらずとも、クラウスはこれから一年の後には失墜していることでしょう」(笑)
GM/パスツール
「な、何だと!?」期待と驚き。
ニコラ
出た、先を知っているからこそできる発言。
エルンスト
あんたどれだけ名軍師なんだ(笑)
シロウズ
「まあ、今のは私の戯言と聞き流していただいても構いませんが……。いずれにせよ、私は如何なる金銭や地位を約束されたとしても最早この国に留まるつもりはありません」
GM/パスツール
「そうか……」凡将なりに君の決意の固さを知った。
シェリィ
凡将なりにとか、いちいち余計なものを付け足さなくても。
GM/パスツール
ここは貴族らしく度量の広さを見せよう。懐から金貨のずっしり詰まった袋を出す。
「これはわしからの気持ちだ。再びオルフェリアに戻ることがあれば、遠慮なく我が屋敷の門を叩いてくれ」
シロウズ
「……有り難うございます」全然嬉しくなさそうですが。たぶん今まで軍師として受け取った報酬もほとんど手つかずのまま残されている。
GM
そんなパスツールに見送られ、君は故郷の国を旅立った。今から5年前のことになる。
紋章暦87年、初冬。
オルフェリア辺境のクリーチャーホールが突如として活性化。そこから大量の闇ゴブリンが湧き出した。オルフェリア政府は即座に討伐のための軍隊を差し向けることを決定。後に“第53次ゴブリン戦役”と称される争いである。
その討伐軍を率いる将の一人としてオルフェリア軍第三騎士団准将・エルンスト=ミューゼルの姿があった。
GM/副官
エルンスト率いる第三騎士団の第二連隊は、他の部隊とは別のルートで戦場に駆けつける手はずになっている。しかし、二日前からの悪天候に阻まれ、行軍速度が思うように上がらないのだ。
「ミューゼル准将、このままでは遅れてしまいますな」と、これは参謀役を勤めている中年の副官が苦笑交じりに言う。
エルンスト
「仕方ない、今はできるだけ急がせろ」
GM/副官
「はっ。ですがものは考え様。この遅れを利用してゴブリン共の側背を突けば、戦況を一気に引っくり返すこともできましょう。まあ全ては間に合えば、の話ですが」
そう言って彼は自分の部隊の指揮に戻っていく。だが、そうやって急ぐミューゼル隊の前方に重傷を負ったファーフニル(女)が現れる。
エルンスト
重傷を負ったファーフニル、か……。
GM
まだ歳も若い彼女は、道の真ん中に立って動こうとしない。兵士たちは当然力づくでどかそうという態度に出ている。なぜなら相手がファーフニルだから。
エルンスト
なるほど。
「――いや、待て。私が話をしよう」
GM/副官
「はあ……。そうですか」中年の副官は君の内心を感じとり、半ば諦めたような表情を浮かべている。
エルンスト
付き合いが長いからな。では、その女性のところに行ってみよう。「どうしました?」
GM/ファーフニル
「助けてください…! 私たちの村が……!」闇ゴブリンの余波で出現したクリーチャーに襲われたようだ。ただし、そんな地図にもない村を救援することは今回の作戦行動に含まれていない。言うまでもないが、ファーフニルの村なんぞを救援していたら戦場に効果的に駆けつけることはできないでしょう。
エルンスト
…………(考えている)。
GM
別にどっちでもいいよ? 結果は変わらない。ただ、この選択は今後のエルンストというキャラクターに大きく関わっていくだろうけど。
エルンスト
おいちょっと待て。
ニコラ
なんだその第一話にしての究極の選択は(笑)
GM
今回のキャンペーンのテーマはムダのなさ。実にムダがない。
エルンスト
では、「分かりました、ご安心ください」と女性に声をかけて陣に戻ろう。副官に――副官の名前は?
GM
副官っぽい名前……(しばし中略)……カールで。
エルンスト
「カール、遅れている兵を纏めて彼女の村に回せ。付いて来ている者はこのまま前線へ向かう」
GM/カール
「しかし、それでは――」遅れている兵の方が圧倒的に多い。
エルンスト
「私一人いればなんとでもなる。遅れている兵はもとより戦力にならん」
カール
「……本当によろしいのですか?」
エルンスト
「構わん」
GM
この質問は、暗に後々の軍法会議等までも含んでの……。
エルンスト
構わん!(笑)
カール
「……分かりました。こちらもできる限り早く合流いたしますので」
エルンスト
「…すまんな」
カール
「いえ、お気になさいますな」
カールはエルンストに笑顔を向けると、敬礼して去る。
エルンスト
では、精鋭を率いて前線になだれ込む。後はよろしく(笑)
GM
カールも一般のオルフェリア人と同じ感覚を持ってはいるんですが、エルンストとの長い付き合いの中で若干はファーフニルに対する情けというものを知っている。なので問題はないでしょう。
結果としてこの合戦において、ミューゼル准将麾下の部隊は全隊の3分の1しか戦場に到達しえず、その到着の遅れも相まってオルフェリア軍は敗走を喫する。
闇ゴブリンの群れは勢力を一時的に伸張させたものの、翌月態勢を立て直したオルフェリア軍の攻勢の前に打ち滅ぼされ、第53次ゴブリン戦役はどうにか終結をみた。
GM
戦い終わって論功行賞がある。君はもちろん評価されるどころか厳しい叱責を受け、軍法会議にかけられることになる。
偉い人たち
(無能っぽい声で)「私が聞き及んだところによると……ミューゼル准将はファーフニルの村などを救援するために隊の3分の2を割いたとか」
「いったい、何を考えておられたのでしょうなあ?」(笑)
一同
(笑)
GM/パスツール
「静粛に! ミューゼル准将、何故当初の命令通り、戦場に急行しなかった!?」と声を荒げて見せたのは、この裁判を担当しているパスツール。彼の階級は大将だ。
エルンスト
「……は。面目の次第もございません」
そのときの状況に関して詳しい説明はするが、言い訳はしない。
パスツール
「処分を申し渡す! ミューゼル家は取り潰し。貴官から准将の地位を剥奪、二等兵に降格とする」
エルンスト
……重いな。
GM
今回の戦役における罪をすべて被った結果と思って。おかげで他の将軍への処分は極めて軽い。
エルンスト
なるほど、それはむしろ望むところか。軍に残れただけでもよしとする。
GM
実際のところ、エルンストの部隊が戦場に遅れるように部隊を配置したのはパスツールなんだけどね。行軍路の傍にファーフニルの村があることも知っていた。こうなればいいなと思って打っておいた手が見事にはまったわけだ。内心笑いが止まらない。
一同
なんと。
ニコラ
軍師に学んだか。これがシロウズ仕込みの黒戦略(笑)
エルンスト
全然気付きもしないな、それは。パスツールにはむしろ感謝の一礼を返して退出する。
後日オルフェリア王宮の中庭にて、爵位返上の儀が粛々と実施された。
これにより二等兵へ降格の処分を受けたエルンストは、新たに政情不安なフォーチューン帝国とフレイスの国境付近を偵察に行くという任務を命ぜられ、即日オルフェリアを発つこととなる。
オルフェリア王都、オルガナ。その一角でひっそりと暮らすファーフニルの少女と、ハーフの少年がいた。
少年の父はかつてオルフェリアにその人ありと言わしめた名門たる武家の一員である。だがその家名は失墜し、泥にまみれたそれは今となっては一顧だにされることはない。
そのような境遇にあってもなお、少年の左右で色の異なる双眸には、澄んだ聡明なる輝きと暖かな友愛の光とが相克することなく宿っていた。
この印象的な瞳を持つ少年が後にオルフェリアの、いや世界の運命を大きく動かすだろうことを知るのは、今の時点では時の車輪のみである。
ニコラ
借りているのは、たぶんどこかの宿屋の二階半ぐらいの屋根裏部屋かな。
エルンスト
天井が斜めに傾いていそうな……。
ニコラ
そうそれ(笑) そんな部屋で、今日も酒場の仕事に出かけたシェリィの帰りを待っている。
シェリィ
「ニコラ様、ただいま戻りました。すぐにお食事の支度をいたします」
ニコラ
「シェリィ。僕――旅に出ようと思うんだ」
シェリィ
「え? 旅に…ですか。いったい、どうして?」
ニコラ
「うん。今までこうして5年間、ずっとシェリィと一緒にここで暮らしてきたよね。その間、エルンストさんのお世話になってきたけど……そのエルンストさんが、ああいうことになってしまって」
シェリィ
エルンストを嫌ってる私は内心いい気味だ、と思っているんですが、それを表に出すのはやめておきましょう。
ニコラ
「僕ももう、しっかりと自分で生活していかないといけないと思うんだ。今は何も残ってはいないけど、僕もクラウス家の――父さんの息子なんだから」
シェリィ
「ニコラ様……。分かりました、それほど決意がお固いのであれば」と、私はすでに出立の準備に考えを巡らせています。
ニコラ
では何日かして旅立つ日の朝。
「じゃあ、シェリィ……!」
シェリィ
「はい」
ニコラ
「いってきます!」
シェリィ
「…………え?」
一同
(笑)
ニコラ
よっこいしょ、と荷物を背負う。
シェリィ
一瞬固まります。「は、あの…??? ニコラ様?」
ニコラ
「あ、あれ? シェリィ??」
シェリィ
「ニコラ様、まさか私をおいてお一人でいかれるおつもりだったのですか!?」
ニコラ
「え、いや、そんな……。だってシェリィには仕事があるし」迎えに来るつもりだった、とはとてもいえない雰囲気(笑) 「それにほら、危ないよ?」
シェリィ
「だからこそです。そんな危険のある場所へはなおのことニコラ様お一人で行かせるわけにはいかないじゃありませんか」
ニコラ
「えと……。じゃあシェリィ、本当に?」
シェリィ
「はい。たとえニコラ様に嫌だと言われようとも、私は必ず付いて参ります」
ニコラ
少しニコラの中のサクセスストーリーが修正される。予定では偉くなって迎えに来るはずだったんだけど、迎えに来る部分がカットされた(笑)
「そ、そっか。じゃあ……これからも、よろしく」
シェリィ
「はい」
ニコラ
「シェリィには、ずっと助けてもらってばっかりだね」と、男の子としては少し残念そうな思いを込めて言ってみた。
シェリィ
「そんなことはありません。私の方こそ――」
あのとき私の心を救ってくださったのはあなたなのだから、という言葉は心の奥に閉まったままに。
半ファーフニルの主人とファーフニルの従者の二人にとって、オルフェリアの地は必ずしも旅しやすい土地というわけではなかった。二人は半生を過ごしたオルフェリアの地を離れ、海を隔てたラ・アルメイアへと渡る。そこで受けた仕事は、フレイス地方のとある村にラウムクレストを護送する、というものだった。
GM
さてシロウズ。君はあの日以来、じっくりと世界を巡る旅を続けている。
シロウズ
シェローティアに赴いてはアウグストに失望し。
ニコラ
さぞしっかり失望したことだろうな(笑)
GM
アルセイルは平和な土地で、君の出る幕はない。フォーラの政情は混迷を極めた。ラ・アルメイアでは君の力は必要とはされなかった。そして今フレイスを経由し、君はフォーチューンへと行くところだ。
シロウズ
そろそろ世界を一回りしようかというのに、未だに仕えるべき場所を定められないことに落胆している。
GM
とかくこの世は生き難い、と。そのようにして4人は同時にフレイス南端、フォーチューン国境付近を訪れたわけだ。
そして――遭難する。
一同
遭難!?
GM
だってその方がてっとり早いんだもん(笑) 突然巻き起こった猛烈な砂嵐になす術もなく。
ニコラ
「シェ、シェリィ!?」
シェリィ
「申し訳ありませんニコラ様、私が至らなかったせいで……!」
ニコラ
「いや違うんだ、僕が……!」
GM
そんな話はいいんだ。
シロウズ
「――とかくこの世は生き難い」
一同
(笑)
GM
うるさい黙れ! もう君の自慢の横笛にも砂が入って吹くことができないだろうよ!
エルンスト
設定をつぶしにかかってきた(笑)
ニコラ
登場シーンで笛の掃除していることに決定だな(笑)
GM
とにかく! 君たちは全員方角を見失い、食料も尽き、命の危険を感じたまま意識を失う。
ニコラ
ちょ、「シェ…リィ……」とか演出するだけムダなシーンをやらなきゃいけなくなるじゃないか(笑)
シェリィ
手が繋がれないまま倒れている二人。
GM
そんなシーンは後でいくらでもやってくれ。
嵐が過ぎ去ってのち。
如何なる偶然かはたまた運命の悪戯か、助け出された4人は同じ村の同じ家へと運び込まれることになった。
GM
君たちは全員、粗末な家の粗末なベッドに寝かされている。誰から起きてもいいけど。
シェリィ
ここは一番に起きていたいです。目を覚ますと素早く周囲を確認しますが。
シロウズ
起きてはいるが、寝た振りをして様子を窺っていることにしておこう。
GM/青年
君の他に倒れている3人。そして、今まで看病してくれていたと思しき青年が傍に座っている。飄々とした雰囲気の優男だ。
「目が覚めたんだね。ああ、まだ起き上がらないで」
シェリィ
その言葉に逆らい警戒心を剥き出しにしながら、「――あなたは?」
GM/レブ
「僕? 僕はレブ=クロスロード。この村で医者をやっている。ところで、体に異常はないかな? 後遺症があるかもしれない」彼は冷静に医者の視線で君の様子を観察するが、どうやら大丈夫そうだと判断する。
シェリィ
「私よりニコラ様です。こちらの方は大丈夫なのですか!?」
ニコラ
むしろそっちより健康そうだ。きっと最後まで君に庇われてる(笑)
GM/レブ
「あ、ああ。じゃあ見てみようか」そのとき初めて気がつくんだが、レブの座っている傍には杖が立て掛けられている。彼は足が不自由なんだ。左膝から下がない。
一同
ほう。
GM/レブ
脈に異常はなく、呼吸も正常で大丈夫だろうとは思うんだが、シェリィの異様に真剣な視線が怖くてつい無意味な診察を続けてしまう。(大丈夫だと思うんだけどな……)(笑)
エルンスト
違ったら殺されそうだ(笑)
GM/レブ
そうやって無意味に長い診察を終え、「うん、大丈夫だと思うよ」
シェリィ
「そう、ですか……」とようやく安堵の息を。
GM/レブ
長くなるとあれなので、そのあたりで全員起き出したことにしよう。
「皆さん、身体の調子はどうかな?」
ニコラ
「あ、はい、僕は大丈夫です」
シロウズ
「――問題ない」
エルンスト
「それより、ここは……?」
レブ
「ここはフレイスのバーナムという村だ。君たちは村の人たちが狩りをする場所で倒れていてね。まあ、運が良かったよ」
エルンスト
「助けていただいたのか。礼が遅れてすまない」
ニコラ
「ありがとうございました」
そのとき、戸口を叩く音がする。「ああ、どうぞ」とレブが応じると、入ってきたのはニコラとそう歳の変わらない少女だった。腰にショートボウを携帯し小柄な狩人といった印象だ。
彼女は、起き上がっている客人たちを見て表情を変える。
「ちょっとレブ、のんびり話なんかしてないで、目を覚ましたのならそう言ってよ! 食べるものとか用意しないと…」
「ああ、そうだね、うっかりしてたよ。なにせ久しぶりのお客さんだったからね」
レブは鷹揚に笑って少女の怒りを受け流す。そして4人の客人に向けてにこやかに彼女のことを紹介してのけた。
「彼女はシスファ=センティア、僕の恋人です」
GM/シスファ
シスファは赤面して、「レ、レブ! 何も初対面の人にそんなことを言わなくても!」
ニコラ
すごくニコニコしながら見てる(笑)
シスファ
「えっと……シスファ=センティアです。よ、よろしくお願いします」
ニコラ
「はじめまして! 僕はニコラ=クラウスといいます」
シェリィ
「……シェリィです」
エルンスト
同じく、頭を下げて名を名乗っておこう。
シロウズ→クロス
「重ね重ね世話になった。私の名はクロスという」
ニコラ
それを聞いておや、という顔をする。「超記憶力」を持っているから、昔聞いた名前と違うなということに気付いてしまう。
エルンスト
顔見知りなのは同じだが、こちらは何も気付かないことにしておこう。5年も前の話だからな。逆にこちらのことは向こうは気付いてると思うが……。
クロス
今の段階では特に何も反応しない。
GM/レブ
シスファは赤面したままで微妙な雰囲気が流れるんだが、それをレブが両断する。「皆さん。起きても大丈夫なようなら、この村の領主に会っていただけませんか。起きたらお連れしろと言われてるんですよ」
GM/レブ
レブとシスファに先導されて村の中を案内される。村人の格好は質素で、一目で厳しい生活状況が見て取れるね。レブはシスファに支えられて歩きながら、「シスファと僕がどんな関係か、聞きたい?」と。
ニコラ
「はいっ」と満面の笑みで応じよう(笑)
GM/レブ
「そうか、じゃあ仕方ないなぁ」と二人の出会いから果ては告白の場面まで、嬉しそうにベラベラしゃべってくれる。
ニコラ
にこやかに相槌をうちつつ、熱心に聴いてるよ。
シェリィ
……胸中複雑な思いで聞いています。
GM/レブ
シスファはもう止めても仕方ない、と諦めの境地に達しているようだ。そんな感じでレブは延々と話を続けているが、突然何か思い出したように立ち止まる。「あっ……!」
ニコラ
「どうしました?」
レブ
「すまない、通り過ぎた。10mほど戻ろう」
領主の館というのは名ばかりのもので、見かけは他の民家とほとんど変わりのない――つまり、みすぼらしいものであった。
戸口をくぐってすぐそこの応接室に通された一行の前に、一見とても領主といった雰囲気に見えない陽気な中年男性が姿を現す。彼は殊更に重々しい声をつくってこう言った。
「わしがこのバーナム村の領主、ルバロン=プレサージュだ」
ニコラ
「お目にかかれて光栄です。ニコラ=フランセスク=クラウスと申します」
エルンスト
順番に名乗ろうか。「助けていただいて感謝しています」
GM
君たちの反応を窺っていたルバロンは、普通に領主としての対応を返してもらうと安心したような表情を浮かべ。
シェリィ
気にしてるんですか(笑)
GM/ルバロン
「いや礼には及ばんよ、困っている者を助けるのは人として当然ではないかね」
ところでオルフェリア出身の皆さんは気付くかもしれないが、プレサージュというのはオルフェリアの名家の名だ。もっとも、ルバロンという名前については知力ジャッジが必要だろう。
一同
(ころころ)
GM
ルバロンは、オルフェリアのプレサージュ家の次男坊に当たる人物だ。
シェリィ
聞いてみましょうか。警戒心に満ちた視線を向けつつ、「プレサージュというと、オルフェリアの……。オルフェリア貴族が、ファーフニルである私たちを助けたのですか」
ルバロン
「まあこの辺の者はファーフニルを知らんからなぁ」
シェリィ
「私はあなた個人の考えを聞いています」
ルバロン
「村人が拾ってきたものを、まさか捨ててこいというわけにもいくまい?(笑) まあ助かったんだからいいではないかね」
ニコラ
心配そうな顔で、「シェリィ……」とやや窘めるように。
シェリィ
そうされると、一礼して素直に引き下がります。
エルンスト
ふむ、私が出なくてよかった。きっと場が荒れるからな。
GM
一息ついて、ルバロンは世間話を始める。どこから来たのかとか、恋人はいるのかとか。
ニコラ
この村の人そういう話好きだなぁ。
GM/ルバロン
それぐらいしか娯楽がないんだよ。そうこうしているうちにシスファがお茶を運んでくる。とても薄いお茶だ(笑) 皆がお茶を飲んで、そろそろ本題が始まるんだろうと身構えたところにルバロンはこのように言う。「お茶はうまいな。ところで君はどんな銘柄が好みなのかね」(笑)
エルンスト
本題を切り出したいけど踏ん切りがつかない感じか。
「……何か、私たちに話したいことでもあるのではないのですか?」
GM/ルバロン
ルバロンは虚を突かれて、「む、そ、それはそうなのだが……」と動揺している様子だ。……クロス、何か言いたそうだな。君の慧眼で見切ってみるか?
クロス
知力ジャッジ、(ころころ)クリティカル……31。
GM
ならば君は完璧に理解した。この自明の理をなぜ他の人間は分からないのか理解できないほどに(笑)
この村の窮状は、最近フレイス地方を荒らしまわっている盗賊団の手によるものだろう。フレイスにはまとまった政体というものがなく、彼らを取り締まる者がいない。盗賊団に交易ルートを荒らされるとこのような村は干上がっていくしかないわけだ。
クロス
「……領主殿。話したいことというのは、最近フレイスを荒らしまわっている盗賊団に関することか」
GM
ルバロンは今度は驚愕の表情を浮かべる。
エルンスト
一瞬唐突に何を、と思うんだが領主の表情を見る限り当たっているのか。この声、話し方、そして何よりこの知略、これは――それ以上は忘却のベールの彼方で思い出せない(笑)
GM/レブ
ルバロンは未だ口に出すことをためらっているようだが、流石に見かねたレブがうんざりした表情で口を出す。「もう言ってしまったらどうですか。この村を護るために、彼らの力を貸して欲しいと」
バーナムの村はフレイスの最南端に位置している。現在北東の隣村インクスとのみ交易を行っていて、生活に必要な物資のほぼ全てはそこから手に入れている。
半年ほど前からその交易路に盗賊団が出現。隊商を襲うようになった。以来、100%の確率で荷物が奪われる。明らかに損をしているのでインクスの商人はバーナムとの交易を嫌がっているが、ルバロンの顔を立てて隊商を出してくれる。
だが、それも2週間後の1回だけ。次の隊商の荷物が奪われるようなら、インクスはバーナムとの交易を無期限停止すると宣言している。
GM/シスファ
「街道の盗賊を討つ…少なくともこの近辺から追い払わないといけません。そのために村の者で自警団を組織したんですが、戦いの経験がないので……」
具体的には集団戦での戦い方の教授と、実戦での指揮までお願いできればと。
クロス
なるほど。訓練はできても経験が不足している、というところか。
ニコラ
力になりたいけど、僕では役に立たないかもしれない。
シェリィ
私は、エルンストが危険なことをすべて引き受けてくれればいいな、という期待を込めて見ています。
エルンスト
何か刺々しい視線を感じる(笑) だが言いたいことはわかった、こちらも考えは同じだ。
「命を救っていただいた恩もある。もちろん協力したいと思うが…」と自分の格好を見下ろし、「ご覧の通り、私はオルフェリアの軍人だ。任務でこちらに来ている。いつまでもご協力をというわけにはいかない」
シスファ
「そんな、いつまでもなんて望んでいません。今、盗賊団を何とかしないと村は滅びてしまいます。今だけでいいから、力を貸して欲しいんです!」
エルンスト
僅かにニコラの方を見ながら、「……わかりました。断るわけにはいかないでしょう」
ニコラ
表情がパッと明るくなった。
エルンスト
「クロスさん、だったか。貴方はどうなさる?」先程の慧眼、只者ではあるまい、と認識している。
クロス
「助けてもらったのは事実だ。ここに正規の軍人もいることだし、なんとかなるだろう。手を貸そう」
GM
シスファとルバロンが安堵した表情を浮かべる。
ニコラ
「僕も、お手伝いします!」
シェリィ、エルンスト
「ニコラ様!?」
ニコラ
ハモらないで。ちょっと気圧される(笑)
「だって、僕も命を助けていただいたわけですし」
シェリィ
「危険です! 盗賊団を相手にするということになれば、どのようなことがあるか……」
ニコラ
「でもシェリィ。僕が逃げても危険自体が消えてなくなるわけじゃないんだよ。僕が手伝うことで、少しでも危ない目に遭う人の数を減らせたらって思うんだ」
エルンスト
「ですがニコラ様。それは軍人が果たすべき役目です」
ニコラ
「エルンストさん。僕の父親は――フランセスク=クラウスですよ」
エルンスト
「っ…」息を呑む。それには反論できない。
クロス
「ほう……」フランセスクの名に少し反応。
シェリィ
しばらくじっと考え込み、「わかりました。ですがニコラ様、私をお傍に置いてください」
ニコラ
「で、でもシェリィ……!」危ないよ、と言ってしまいそうになる。ひどい論理破綻だ(笑)
シェリィ
「いいのです。私はニコラ様のお力になるためにここにいるのですから。…それと、ひとつ約束してください。いざというときには、まず何よりもご自分のお命を優先されることを」
ニコラ
「……うん、わかった」
シスファは喜び、レブは静かに頭を下げ、ルバロンは感激の涙を流して三者三様に感謝の意を表すのであった。
一行は客室(というのは名ばかりの部屋)に通され、束の間の休息がもたらされた。
エルンスト
「ニコラ様、剣の修練は積んでなさいますか」
ニコラ
「はい。軽いものですけど…」とあまり自信なさそうに。きっとエルンストの得物と比べるとままごとみたいな剣だろうから。
エルンスト
「戦場での生死は、武器の優劣によって分かれるのではありません。それまでに幾度その武器を振ってきたかが重要なのです」
ニコラ
こくりと、真剣な顔でうなずく。
エルンスト
「盗賊団と刃を交えることもあるでしょう。明日から、また訓練を見させていただきます」
ニコラ
「はい!」と満面の笑みで。さっきは一度止められたけど、最終的にはエルンストさんに認められんだと思って喜んでいる。
シェリィ
……気に入らない、ああ気に入らない。
一同
(笑)
ニコラ
「これまで、ずっとお世話になってきて……。本当にありがとうございます」給料の半分を仕送りしてもらってたから。全額ファーフニルの仲間に寄付してたけど。
エルンスト
「いえ、貴方のお父上から受けた恩に比べれば――」
シェリィ
恩を仇で返したくせに、なんて白々しい(笑)
ニコラ
こっちは父の真意に応えてくれたと思っているから、エルンストさんにむしろ感謝しているんだけど……。
エルンスト
それを私が認識しているが為に、傍で見ているシェリィとはますます話がこじれるのか。なんて悪循環(笑)
エルンスト
「先程の慧眼、御見それしました。ご出身はどちらですか?」これで私の方がシロウズを覚えていないということが知れただろう。
クロス
「私もオルフェリアの出だ。あなた方ほど立派な出自ではないが」
エルンスト
「……そうですか。あなたのような才を野に埋もれさせていたとは、私たちもまったく見る目がない」まさか仕官していたとは思っていない。
クロス
「しかし、オルフェリアでも武門の名家であるあなたが何故このような僻地へ。まるで厄介払いでもされたようだが」
エルンスト
「……ご存知でしたか。お恥ずかしながら、戦場で指揮を誤りまして――」
ニコラ
「レブさんとシスファさんって仲がいいよね。ああいうの、お似合いのカップルっていうのかな。すごく素敵だね」
シェリィ
「…………。ニコラ様は、どなたか想い人でもいらっしゃらないのですか?」
ニコラ
「そんなの、いるわけないじゃないか。シェリィなら分かってるだろう?」
シェリィ
「……そうですよね」
いろんな意味を込めた『そうですよね』でした。
ニコラ
この、最終局面をどう持っていくかを分かっている安心感(笑)
GM
今回のキャンペーンのテーマですから。
エルンスト
「シェリィ」
シェリィ
「……あなたと、このような場所まで来てお会いすることになるとは思いませんでした」刺々しい視線を向けながら。
エルンスト
「相変わらずだな」と苦笑する。「最近のニコラ様のご様子はどうだ」と尋ねてみよう、偉そうに。
シェリィ
実に不服げな表情を浮かべつつ、「旅に出られてからは……以前より、明るいお顔を目にすることが多くなったように思います」
エルンスト
「そうか。それは良かった」
シェリィ
「…………。どうして、そこまでニコラ様のことを気にされるのですか」
エルンスト
私はシェリィにどこまで気を許しているんだろう。……全部許してみようか、相手はまだ子供だ(笑)
「どうして、か。……罪滅ぼしのようなものかな。もっとも、彼はそう思っていないようだが」
シェリィ
「当然ですね。聞けば先日、フランセスク様をあのような目に貶めてまで得た地位も遂に失ったとか。正に自業自得というものでしょう」
エルンスト
「…………」これには反論できない。苦々しく笑っている。
シェリィ
「正直に言いますが、私はあなたのことを欠片も信用していません。ニコラ様に必要以上にお近づきにならないでください」
エルンスト
……言いたいことはあるが、言ったところで伝わらないだろうな。
「わかった。気を付けよう」
善は急げということで、食事の後さっそく村人を集めて新任の指揮官たちの挨拶が行われることになった。
シスファが壇上に上り、集まった村人たちを前に口を開く。
「みんな、報告があります。来るべき盗賊団との戦いに勝つ、その方法が見つかりました」
村人たちがざわめく。
「先日、4人の探索者がこの村へ来たことはみんなも知っていると思います。彼らが、私たちがどのように戦えば勝てるのかを教えてくれます」
シスファが視線を向けると、つられて村人たちも4人に注目を浴びせる。
「この方たちにこれから2週間、私たちは集団での戦い方を学ぶことになります」
一旦言葉を切り、シスファは少し言い淀んだ。意を決して残りの言葉を続ける。
「――盗賊団との戦いでの指揮も、彼らに取ってもらうつもりです」
これには流石に村人たちも反発を示す。「シスファ、ちょっと待つんだ」と、肉屋の親父が声を荒げた。
「戦いを教えてもらうのは仕方ないにしても、村の命運まで余所者に預けるってのか!?」
周囲の村人も口々にそうだそうだと賛同の声を上げる。シスファは声を枯らして収めようとするが、不平の声は大きくうまくいかない。
すると今まで沈黙を保っていたルバロンが、シスファに代わって台に上がる。彼は今までの煮え切らない態度が幻かと思うような迫力で、「皆の者、静まれ!!」と手をかざす。村人が気圧されたその機を逃さず、ルバロンは続ける。
「実戦の指揮は、彼ら4人に任せる。バーナム領主であるわしの決定だ」
村人たちの声は一気に縮小するが、最初の中年男を始めとしてなおも数人が難色を示している。ルバロンは彼らを視線で制すと、
「……わしを信じてくれんか。これでも、わしはこの村のことを誰よりも思っているつもりだ」と、頭を下げた。
中年男は何事か口を動かすがそれは結局言葉にならず、この場はひとまず収まったのだった。
エルンスト
「私の名前はエルンスト=ミューゼル。先日、この村の皆に命を助けてもらった者だ。見ての通り、私は軍人だ。10年以上軍に籍を置き、部隊の指揮を執ったこともある。相手がどれ程の者たちかは分からないが、貴方がたの力を貸してもらえれば、恩を返して差し上げることもできるだろう。しばらくの間、私に力を貸して欲しい」と挨拶して壇を下りよう。
ニコラ
挨拶か……難しいな。出番を前にして緊張でガチガチになってる(笑) 群衆の中に視線を這わせるんだけど、そこでシェリィと目が合う。
シェリィ
ハラハラと見守っていましたが、目が合うと安心させるように肯きをひとつ返します。
ニコラ
おかげで少し勇気が湧いた。壇上に上がると、しっかりと村人たちの方を見据えて話し始めます。
「はじめまして。ニコラ=フランセスク=クラウス=ジュニアです。僕は、皆さんが思っている通りに余所者ですし、若輩者です。でも! この村の人たちに助けていただいて、とても感謝しています。だから一生懸命がんばって、皆さんがこの村を護るお手伝いをしたいと思います。――よろしくお願いします!」
クロス
では最後に壇上に上り――「この戦いで指揮を任されることになった、クロスだ。君たちは戦闘に関しては素人だ、私も多くのことは求めない。幸い今回の相手も玄人とは言えない。充分に勝機はあるだろう。……ひとつだけ言っておく。今回の戦いに負ければ後はない。そのことを、それぞれ肝に銘じておいてもらいたい。以上だ」
GM/レブ
村人たちは君たちの言葉にそれぞれに感じ入ったようだ。……挨拶が終わるとシスファが、「訓練は明日からの2週間になります。やることがあれば今日のうちに済ませておいてください。それでは、解散!」と声をかける。
一息ついていると、レブが声をかけてくる。「お疲れ様でした。なかなか様になっていましたね」
ニコラ
魂が抜けたようになっていると思う(笑) 「き、緊張しました……」
シェリィ
「ニコラ様、ご立派でいらっしゃいましたよ」
GM/ルバロン
ルバロンがいつもと変わらぬ陽気な調子で、「やあすまんな、村の者が失礼した。いろいろ気苦労もあると思うが、これからよろしく頼むよ」
ニコラ
「……はい、頑張ります!」
改めて期待の重さを感じよう。
ここで対盗賊戦におけるミニゲームの概要が説明された。
二週間の間、各PCは自分の部隊の訓練を行うか情報収集を行うかの選択を迫られる。訓練効果の高いエルンストとクロスは訓練を、シェリィは情報収集を担当することになった(ニコラについては後述)。
ニコラ
ある夜、訓練を終えて戻ってきたクロスさんに声をかける。
クロス
きっと笛の練習をしようとしているところだ。
ニコラ
笛の練習か(笑) 失礼かもしれないと思いつつも、確信を持っているのでこう呼びかけよう。「シロウズさん……!」
クロス
ピクリと反応して振り返る。驚きと、半分感心の視線を送ろう。
ニコラ
「やっぱり、そうなんですね。以前お会いした…というか、お見かけしたことがあったものですから」昔、父が健在だった頃に一度ぐらい同席したことがあったんだろう。
クロス
「……驚いたな。クラウス家の御曹司にまさか素性を見抜かれるとは」
ニコラ
「そんなたいしたものじゃありません。ただ、一度お会いした方のことは忘れないようにしているので……」
クロス
「なるほど。それで、私に何の用だ」
ニコラ
「不躾ですが、お願いがあるんです。僕と一緒にいるシェリィなんですけど」
クロス
「あのファーフニルのことか」
ニコラ
こくりと肯き、「シェリィは……普段はとっても優しい人なんですけど、ちょっと頑ななところがあって。あなたの素性を知ってしまうと、そういうところが出てしまうと思うんです」
クロス
「…………」
ニコラ
「シェリィは今オルフェリアを離れて、とても穏やかにしていることが多いんです。そんなシェリィを見ていると、僕も嬉しくて…」と、さっきの話を反射してみた(笑) 「だから、ご迷惑かもしれませんけど、このことはシェリィには内緒にしていて欲しいんです」
クロス
「――勿論だ。元々君たちに正体をばらすつもりもなかった。……それにしても、変わったことを言うな」
ニコラ
「? なにがですか?」と、キョトンとした表情を。
クロス
「その彼女のように、私に対して坊やは何とも思わないのか?」
ニコラ
「……僕も半分ファーフニルですから、人からそういう目で見られたり、されたりすることはあります。でもシロウズさ…クロスさんは、お会いしてから今までそんな風に僕らを見たことはありませんでしたから」
クロス
たしかに、人間もファーフニルも私にとっては大差ない。
ニコラ
いい方に解釈してみた(笑) シロウズさんがやったことも聞き知ってはいるけど、本当にやったのかどうかもわからないし、何か事情があったのかもしれないと。これは半分願望のようなものですが。
「話はそれだけです。笛のお邪魔をしてすみませんでした」お上手ですね、とは言えない。正直だから(笑)
クロス
「ああ、気にしなくてもいい」
シェリィ
(遠くの方から)「ニコラ様、お茶が入りましたよ。どちらにおられるのですか?」
ニコラ
「今行くよ、シェリィ!」
クロス
「…………」
エルンスト
民兵の訓練をしている。相手が平民ということもあって軍人に対する態度よりは若干柔らかいが、それでも「二つだけ守ってもらいたいことがある」と言おう。
GM
村人たちは真剣な様子で聞いている。
エルンスト
「ひとつは、一人の行動が他の者の命に関わってくるということ。もうひとつは、自分の命は自分で守らなければならないということだ。先日皆を集めて集会があったと思うが、あのとき己がどういう行動をしたか覚えているか。あのとき、集会に集まることを最優先に行動した者がどれだけいただろう」
GM
村人の間に動揺が走る。
エルンスト
「もしそれをしない者がこの中にいたなら、貴方の隣の者はもうこの世にいないかもしれない。――戦場とは、そういうところだ。そしてその隣の者は、来なかった者を恨んだところで自分の命は戻ってこない。だからこそ訓練が必要なのだ」
村人
「…………」
エルンスト
「今言った二点――自分の命を守るために訓練を行うこと、他人の命を守るために規律を遵守することを心に留めておいてくれ」と前置きをした上で、軍隊式の訓練を始めようか。遅れる者があれば容赦なく叱責をとばす。
GM
村人たちの戦闘力は、かつてあなたが指揮していたオルフェリアの騎士団とは比較しようがないほど弱い。エルンストの手にかかれば全員纏めてかかってきても返り討ちにできるほどだろう。
エルンスト
この際、行軍だけでいいから私に付いて来られるレベルにしたい。
GM
そうやって今日も訓練に精を出していると、レブが腰を降ろしてこちらを見学している。
エルンスト
気付きはするが、そのまま訓練を続けようか。そちらに気を取られた兵を逆に叱責したりしている。
GM/レブ
訓練が終わるとレブが近寄ってきて声をかける。「やあ、精が出るね。途中から見させてもらっていたんだけど、気付いていたかな」
エルンスト
「ええ。どうかされましたか」
レブ
「いや、ちょっと気になったものでね。……どうだろう、勝てるかな」
エルンスト
「クロス氏の分析では、現状のところでおそらく五分だそうです。後はこの二週間の成果次第、といったところでしょう」
GM/レブ
「……そうか」彼は一瞬沈痛な表情を浮かべるが、すぐに普段の飄々とした顔に戻る。「まったく、なんでこんな事になってしまったのやら……。何はともあれ、なるたけ怪我人が出ないようにやっていただけると助かりますよ」と、冗談めかして言う。
エルンスト
「元よりそのつもりです。本来私の槍は、村人を戦いに導くためのものではありませんから」
GM/レブ
そうだな、あまり話すつもりもなかったんだがここで言ってしまおう。
「君にひとつお願いをしてもいいかな。僕はこんな身体だから戦いに出ることはできない。そしてその代わりに、シスファが戦場に立つ。……なるべくでいいから、彼女のことを守ってやってくれないか」
エルンスト
なるほど。認識を改めねば。今までシスファは私の中では同僚だったが、彼女も守るべき一市民には違いない。「わかりました。シスファさんも、望んで今のような立場にいるわけではないでしょうからね……」
訓練開始から一週間後。とりあえずの成果を見る場として、クロスの率いる部隊とシスファが率いる部隊で模擬戦をすることになった。指揮官まで参加する本格的なものである。
GM
シスファの部隊の士気は高い。彼女が村人の信頼を受けている証拠だろう。
クロス
こちらは最初は守りに専念して、相手が消耗したところで反撃に転じる。
ニコラ
単純だが有効な手だ。
クロス
ここが攻勢の限界点だな、と判断すると合図を出す。相手からすれば、指示ひとつで敗北したように見えるだろう。
GM/シスファ
「もう少しだったのに……!」シスファは悔しそうにするが、君の目から見ると彼女は予想以上にいい動きをしていた。今まで戦術なんてまるで学んでいなかったにも関わらずだ。素質だけなら、あるいは君を超えるかもしれない。
一同
なにぃ!?
エルンスト
まさかそれほどとは。
GM/シスファ
「……完敗ですね。指揮官が違うとこうも動きが違うなんて――」これが本番なら彼女の兵は全滅している、という思いがあるんだろう。シスファの表情は真剣だ。
クロス
「その思いを大切にするといい。……これは世辞ではないが、いい動きをしていた」
シスファ
「でも、今のままじゃ……!」
エルンスト
できるなら猛将に育ててみたいという気もするが。
GM
先に言っておこう、彼女はどちらにもなれる。弓術の才がある。
エルンスト
ほう、それは。覚えておこう。
クロス
「……強くなりたいのか。私に教えられることなら教えてやってもいい。訓練も、二つ並べて行えばいいだろう」
シスファ
「いいんですか!? でも、お邪魔なのでは……?」
クロス
「30が61になったところで手間は変わらない」
シスファ
「はい! じゃあ、明日からよろしくお願いします!」
ニコラ
で、僕の行動は情報収集なんでしょうか。
エルンスト
ミニゲームの性質を考えると、士気が1点や2点上がったところで変わらないな。貴方が訓練をする意味はあまりないと思う。
ニコラ
じゃあ情報収集をします。イベントはあるんでしょうか?
GM
……ない。
ニコラ
ちょっと!?(笑)
エルンスト
ここで判定に成功すればいいんだ。10以上か、7(クリティカル)を振ればいいから確率は3割以上はある。
ニコラ
ではいきます! (ころころ)……。
一同
…………。
シスファ
「あなたはこの一週間何をしていたんですか!?」バーン!(机を叩く音)
ニコラ
だって情報収集しろって言われたんだもん……。
GM
まあこれで全員の行動が終了したので、次の週の行動に移ります。
ニコラ
今度は先にダイス振ってもいい?(笑)
GM
いいでしょう。先週の分を取り戻してください。
ニコラ
(ころころ)……。
一同
…………。
シスファ
「あなたは! 二週間もの間いったい何をやっていたんですか!!?」(笑)
GM
二週目の訓練も半ばを過ぎた頃、シスファがエルンストの元を訪れよう。たぶん機会はここしかないだろう。
エルンスト
「シスファさんですか。訓練の調子はどうですか。最近はますます指揮が冴えているそうですが」
GM/シスファ
「はい。でもまだまだです。クロスさんの真似事をしているだけですから…」シスファは自分には兵を率いるだけの力が足りないと思っている。クロスの場合は自信に満ちた指揮が兵を動かす。エルンストは自分が先頭に立って兵を引っ張る。自分がなんとか指揮の真似事をできているのは周りが自警団だからに過ぎない、と彼女は感じているようだ。
「この数日クロスさんにいろいろなことを教わりましたけど、いざ本当の戦いとなると冷静ではいられません。あの人みたいな指揮ができなくても皆に付いて来てもらえるような何かがないと、次の戦いでは――」
エルンスト
「なるほど、そういうことですか。……シスファさん、私から見てですが、貴方の弓の腕前はかなりのものです」
GM
彼女は無言で照れる。弓の腕は自分でもそれなりの自信がある。
エルンスト
「私にはそういった技術はありませんから、このようなものに頼るしかありません」と自らの槍を示す。
GM
や、それも相当なものだと思うんですけど(笑)
エルンスト
「剣の達人や弓の達人の中には、非力でありながら一撃で相手を屠ることのできる者がいると聞きます。いかな強者といえど急所はあるもの。貴方になら、それを射ることができるかもしれません」
シスファ
「でも、戦っている兵士を射るのは動物を射るのとは違います……!」
エルンスト
「初めて弓を触ったとき、動く的を射るのはとても難しく感じたでしょう。それと同じことです。鍛錬を積めば、今の貴方が易々と動物を射落とすように、それができるようになることでしょう」
シスファ
「できるでしょうか……私に」
エルンスト
「そうですね……。村の方たち相手に試すというわけにはいきませんから、私でよければお付き合いしましょう」射ってみろ、と要求してみた。
GM/シスファ
ほう。普段なら断るところだろうが、今の彼女には焦りがある。「――分かりました。じゃあちょっとだけ、付き合ってもらってもいいですか?」
開けたところに行き、彼女はショートボウに矢をつがえるわけだ。
二日ほど特訓は続き、その最後にエルンストは今の全力で矢を射ち込んでくるよう要求する。
GM
最後の矢を限界まで引き絞ったまま、隙を窺うように少し動く。そして一瞬気を張り詰め、今正に放たんとする。
エルンスト
今か、と思い身構えよう。
GM
と、君がそう思うよりも一瞬早く矢は放たれていた!
エルンスト
「くっ」あまりのスピードに焦りが生じる。つい本気を出してしまう。≪風渦閃≫で跳ね返してしまうんだが(笑) 無論外そうという努力はする。
GM/シスファ
じゃあ跳ね返った矢は革ショルダーを貫いたもののギリギリ外れた感じで。「だ、大丈夫ですか!?」
エルンスト
「見事です――。これならば、戦場から無事に帰ってくることもできるでしょう」
シスファ
「それは、部隊のみんなも……ですか?」
エルンスト
「その点は貴方次第でしょう。明日、貴方は将として戦場に立ちます。無論不安はあるでしょう、私も嘗てそうでした。ですが、その不安を兵たちに悟られてはいけません」
シスファ
「…………」
エルンスト
「……立場も戦い方も違う私が貴方に与えられる最良の助言は、おそらくそれだろうと思います」
GM/シスファ
「わかりました――」少し表情を緩めて笑顔を見せる。「大丈夫です。エルンストさんがこの2日付き合ったくれたおかげで、少し自信が付きましたから」
GM
いよいよ決戦前日を迎えて、自信を失くしている可哀想な少年をルバロンが激励にいこうか。
ニコラ
……同情されたよ。
GM
別に君は何もやってなかったわけではないんだよ? 成果は上がってないけど訓練もちゃんとやっていたはずだ。
ニコラ
そう、訓練もやってた。その中で世間話を兼ねて話を聞いていたんだろう。
GM
そんなことばかりやっていたから士気が上がらなかった。
ニコラ
…………。
シェリィ
あんまりニコラ様をいじめないで(笑)
GM
さて! 今は決戦前の夜、最後の軍議を控えている状態だ。村全体が戦いを前にした緊張感に包まれている。
ニコラ
落ち着かない気分を鎮めるために、少し外に出ています。
GM/ルバロン
「どうした、緊張しているのかね」振り返った君にカップを差し出すルバロン。ま、彼が外に出てきた理由もおそらく君と同じなんだが。
ニコラ
「ありがとうございます」素直に受け取る。
GM/ルバロン
「この二週間生まれて初めて兵の訓練をし、そして明日初めて戦場で彼らを率いるわけだが――。どうだ、やれると思うかね?」とあくまで穏やかにそう尋ねる。
ニコラ
『わかりません』と言いかけるが、自分を推してくれたのはルバロンだと言うことを思い出す。ここで自信がないと言うのはルバロンの面子を傷つけるんじゃないかと思い言葉を呑み込む。
「……僕にできることを、全てやってみようかと思います」あるいはルバロンの目には強がろうとしているだけのように見えるかもしれない。
GM/ルバロン
「君は……こう言うのも何だが、良い子だな。期待に応えようとするのは立派だが、できないことをやって失敗するのはただの愚か者だ」と、これは自分のことを知っているから出た台詞だ。
ニコラ
はっとした。訓練で成果が上がらなかったのも、和気藹々としていたからではなく周りの真似をしようとしていたからではないかと思った。……頑張ってるよ自分のフォローを(笑)
ルバロン
「だが未熟を承知でわしが君に指揮を頼んだのは、君なら不可能を超えられるかもしれないと賭けたからだ。エルンストやクロスには実際の経験があるようだし、シスファには皆の信頼がある。彼らと比べて君の置かれた条件は劣っているといえるが……わしは、君ならできるのではないかと思った。他の誰にも感じなかったことだ」
ニコラ
「…………」
GM/ルバロン
「自分で言うのも何だが、わしには人を見る目がある」と、これはかなり自信ありげに言う。「無能なわしがこの村で領主なんて役に就いていられるのも、人を見る目があるからだ。君ならば立派に戦い、そして勝利することができると――わしにはわかっている」
ニコラ
「……僕はこの二週間ずっと、不安でした。自分がやっていることが何か地に足が着かないような感じがして、エルンストさんやクロスさんや、シスファさんみたいなことができなくて、僕はどうして選ばれたんだろうって…思ってしまいました。でも今お話を聞いて、ルバロンさんは僕を信じてくれているんだってわかりましたから……明日には、もっと沢山の人に信じてもらえるように頑張りたいと思います」
GM/ルバロン
「うむ」ルバロンは肯く。これ以上は何も言う必要はあるまい。あとは若者が自分の力で掴み取っていくだろう。
シェリィ
ではニコラ様が離れた後、立ち去るルバロンに声をかけます。「気配消去」で潜んでいた私は、途中まで(このオルフェリア貴族め、ニコラ様におかしなことをするようなら…)と様子を窺っていたんですが。
GM
何気に命の危機だったとは(笑) 突然現れた君を見てお化けでも見たかのような顔をする。
シェリィ
「……ニコラ様にお声をかけてくださって、ありがとうございます」
ルバロン
「あ、ああ。わしにも昔あのような時代があったからな。幸か不幸か、わしには彼のような人を惹きつける魅力はなかったが……」
エルンスト
ニコラが成長するとルバロンになるのか。少し認識を改めねば。
ニコラ
エルンストさん!?(笑)
GM/ルバロン
クラウスの名を持つ子供がこんな僻地にやって来たことから、彼も何か事情があるのだろうと推察している。その辺りを尋ねてみようか。
「少し聞きたいのだが、フランセスクはどうなった?」
シェリィ
「…………。旦那様――フランセスク様が、ファーフニルの妻を娶っていらしたことはご存知ですか」
ルバロン
「ああ、そんな話を聞いたこともあったな。すると彼は…」
シェリィ
「はい、そのお二人のお子です。そのために旦那様は、ファーフニルの窮状を見捨ててはおかれませんでした。ですがその咎で国から追われる羽目になり、遂には――」
GM/ルバロン
「……そうか。あのフランセスクが……」と少し時代に思いを馳せる。「するとニコラ君も、いろいろと苦労しているのだろうな」
シェリィ
「……はい。不本意ながら、ニコラ様にはたいへん苦しい生活をさせてしまっています」
GM/ルバロン
「そうか」彼は考え、「わしの縁故の者がオルフェリアのプレサージュ家には居る。今回のお礼と言ってはなんだが、その者に宛てて書状をしたためよう。いい様に取り計らってくれるだろう。……わしが直接お礼をするわけではないが、そこは勘弁してくれんかね」(笑)
シェリィ
「……ファーフニルであるニコラ様や私などの為に、そこまでしていただけるのですか」
ニコラ
少し態度が変わったかな、いい方に。
GM/ルバロン
まあ彼が直接ファーフニルに何かされたわけでないし、ルバロン個人はファーフニルに対する悪感情は持っていないから。ただ、「プレサージュの方も音信不通で、今どうなっているのかは正直わからん。この書状がどこまで役に立つか保証はできんが……まあ、邪険に扱われることもないだろう」
シェリィ
「……わかりました。有り難く受け取っておきます」と一礼を返しましょう。
軍議の席でクロスが説明した作戦は以下のようなものであった。
インクスで積荷を満載にした荷馬車に、ニコラの部隊を護衛として付ける。残りの3部隊はバーナム-インクス間の所定の場所に予め伏せておく。荷馬車がその地点に差し掛かったら敢えて隙を見せて盗賊の襲撃を誘い、ニコラの部隊は交戦することなく逃走。盗賊団が戦利品を手中にし意気揚々と引き揚げるところに伏せていた3部隊で強襲をかけ、これを包囲殲滅する――。
クロス
「敵の士気が最も低下するのは勝利を確信した瞬間だ。そこを突く」
シスファ
「な、なるほど……」
シェリィ
「ですがこの作戦では、ニコラ様が危険に晒されることになります!」
クロス
「……そうか。ならば私の部隊が――」
ニコラ
「いえ! やります。……僕にできることを、やらせてください……!」戦力の低い自分の隊が囮に一番適していることを、自分でも理解している。
クロス
「演技などと難しいことは考えるな、文字通り一目散に逃げればいい。その方が敵も信用してくれるだろう」
作戦が決まり、翌朝。
総勢120名の自警団がバーナムの村を出発するにあたり、村に残る者たちが総出で見送りに来ていた。そこかしこで別れを惜しむ家族たち。その中には勿論、レブとシスファの姿も含まれていた。
GM/レブ/シスファ
「すまない、僕の足がまともに動いてくれたら。……そんな風に今ほど思ったことはないよ」レブはいつになく真剣に言い、シスファを強く抱き締める。シスファも「大丈夫、心配しないで。盗賊団を追い払って、ちゃんとここに帰ってくるわ」と囁く。
……ルバロンも何か演説をしましたが、別にいいや。省略。
一同
ルバロ~ン!?(笑)
GM
彼の演説では緊迫感が下がるから(笑)
エルンスト
ではこちらの方からも一言簡潔に。
「皆。私がいる限り、負けることはない。安心して仕事にかかろう。皆でこの村に帰ってこよう」と言う。2週間も立てば、この重量11の槍の威力も知れ渡っているに違いない。
GM
「おおう!!」と村人たちは応じる声を上げる。
エルンスト
これでこの地にオルフェリアの勇名も轟くに違いない。なにせ一兵士ですらこれほどの強さだ(笑)
先行したニコラの部隊はインクスで積荷を受け取り、それを護衛しながら帰路につく。途中のある地点に差し掛かったとき、荷を満載していた荷馬車の車軸が外れ部隊は一時立ち往生する。その瞬間、じっと機を窺っていた盗賊団が砂丘の向こうに姿を現す。欲望に満ちた雄叫びを上げながら飢えた野獣のごとき勢いで殺到する盗賊たち。彼らの大部分は荷馬車の周りに群がったが、暴走した一部の者は逃げ出した護衛部隊に追いすがっていった。彼らは皆、怯えた兎を狩り尽くす楽しみに心を奪われていたのだった。
予定を崩された格好のニコラ隊は、一種の恐慌状態になりながら必死に逃げ惑った。しかし最後尾にいた一人の少女(彼女は自警団の中でも最年少で僅か12歳だった)が、砂漠に足を捕られて倒れ込んだ。
喜色を浮かべて迫りくる盗賊。自警団の者たちも、少女自身も、最悪の結末を想像しただろう。しかしその間に割って入る少年がいた。それは、ニコラだった。
震える小さな背中はいかにも頼りない。けれど強い意志を湛えた色の異なる双眸は、眼前に迫る凶事から僅かたりとも逸らされることはなく、気圧された盗賊は更なる一歩を踏み込むことができずにいた。
「オイ、余所者だけにいい格好させてたまるかよ! みんな、そうだろう!?」肉屋の親父が叫ぶ。潰走に入っていたニコラの部隊はこの出来事を切欠に息を吹き返し、そして。
「――今だ。かかれ!」
クロスの笛の一音と共に偽装を解除した総勢90名の部隊が、勝利に酔い痴れる盗賊団に満を持して襲い掛かったのだった――。
GM
盗賊たちは潰走を始め、君たちは見事勝利を収めた。戻ってきたニコラの部隊とも合流する。
エルンスト
「ニコラ様、ご無事でしたか!」
クロス
潰走せずに戻ってきたことに感心する。「あの状況から部隊を立て直すとは。たいしたものだ」
ニコラ
「皆さんの、村を守りたいという気持ちに助けてもらいました。僕はなにもしてません」と言いつつも、少し嬉しそうに。
しかし、これで戦いが終わったわけではない。
捕らえた盗賊から聞き出したところ、盗賊団のアジトがバーナムからさほど離れていない場所にあるということがわかった。盗賊団がアジトを移す前に一気にこれを壊滅させるべく、一行は隊を纏めてその場所に向かう。
先の戦いの大敗で戦意をほぼ喪失していたのだろう、盗賊団は呆気ないほど簡単に制圧された。エルンストを先頭にした突入部隊に抵抗らしい抵抗を示すこともなく、一行は首領の部屋と目される場所までやって来た。
GM
何やら焦げ臭い匂いがする。突入すると、首領らしきやや身なりのいい男が書類の束を燃やしていた。今最後の一枚を火の中に入れるところだ。
ニコラ
「超記憶力」! 目に入った分は記憶した!(笑)
GM/首領
貴様(笑) 首領らしき男は腰に短剣を差したきりで碌な武装もしていない。君たちを目にして、驚きと間に合ったことへの安堵が表情に表れる。「……なんとか間に合ったか。まさかこんなことになるとはな。だが、俺の仕事は果たした。帝国の歩みは誰にも止められん――」彼は短剣を引き抜くとそれを自分の喉に当て、かき切る。
エルンスト
間に合わないか。「帝国だと……?」
GM
火の傍には僅かに書類の燃え残りがあるのみだ。ニコラの記憶では、最後に燃やされた書類にはクオーレ=ムルシエラという署名、そして剣と天秤の紋章――フォーチューン帝国の紋章が記されていた。
ニコラ
そのことを他のみんなに伝えます。
GM
クオーレという名、シロウズは知っている。かつて君がパスツールの下にいた頃の後輩だった。才気に溢れ君から様々なことを学び取り、及ばないまでも迫るほどになった。
一同
ほう。
クロス
(この男、おもしろい)と思っていただろう。
GM
彼のやり方は君と似ている、結果のためなら手段を選ばないものだ。あるいは君との出会いが彼をそうさせたのかもしれない。
クロス
そんな話を聞くとキャラクターはともかく、プレイヤーが罪悪感を感じる(笑)
GM
君が出奔した後にクオーレがどうしたかについては聞いていない。彼について君が知っている情報はそれくらいだ。
それと、燃え残った書類からいくつか単語の断片を拾うことができる。それは以下のようなものだ。『フレイス』『連絡』『孤立』『バーナム』『極秘のうちに』『場合によっては殲滅』……。
クロス
「なるほど……。今回の件、どうやら黒幕がいたようだな」
GM/シスファ
「い、いったいどういうことなんですか!?」一気にいろんなことが起こり過ぎて、シスファの理解力はそろそろ限界だ。
クロス
「野盗共に指示を与えてバーナムの村を孤立させていた者がいる。それがこの紋章の主……フォーチューン帝国ということで間違いはあるまい」
シスファ
「…っ! それじゃあ――」
クロス
「……急ぐぞ。村が危険だ」
一行は部隊を取り纏め、急ぎバーナムの村へ引き返した。だが、時既に遅く――。
バーナムの村は、炎に包まれていた。
GM
村には完全武装の兵士が2部隊ほど侵入し、村人に剣を振るっている。村を挟んだ向かい側の高台――君たちが今立っているのと同じような砂丘の上に、もう2部隊ほどが待機している。こちらが本陣のようだ。
ニコラ
「そんな――」
クロス
「……遅かったか」
シェリィ
「……!」立ち竦んでいます。脳裏には7年前、故郷の集落が燃やされていた光景をフラッシュバックさせている。
ニコラ
どうしよう。ここは好きに動いてもいいかな?
「――シスファさん。お願いされたのは『村を守ること』でしたよね。……だから、僕は行きます!」と言って丘を駆け降りる! 付いて来たい人は勝手に後に続くだろう。
シェリィ
「!? ニコラ様、待っ――」
ニコラ
動きは止めない。そのまま、君に向けて手だけを出す。
シェリィ
え……?
ニコラ
世界は今スローモーション中だ(笑) 一瞬だけ君と交錯させた視線が、今は徐々に村の方を向こうとしている。
シェリィ
私は……たぶん、まともに思考する余裕もないと思います。ただ、今離れ離れになるとニコラ様が手の届かない遠くへ言ってしまう――という思いに囚われて、縋りつくようにその手を取ります。
GM/シスファ
シスファは一瞬の自失から立ち直って、覚悟を決めた顔でクロスとエルンストに声をかける。「……この一週間、いろいろ教えてくださってありがとうございました。おかげで、こんな状況でも冷静でいられます。…………安心してください、死にに行くのではありません。村の人たちが逃げるだけの時間を、少しだけ稼いで来ようと思います」
言って、彼女は兵をまとめニコラの後に続こうとしている。
エルンスト
ここでニコラ様を死なせるわけにはいかん。槍を取って構える。
「クロス」と呼び捨てで。「俺を使って、なんとかならないか」
クロス
……ふむ。もう一度眼下の戦場の様子を確かめたい。
GM
さっきも言ったように村を襲っているのはフォーチューン帝国の兵士であり、錬度は自警団と比較になるべくもない。ただ、だからといっては何だが彼らは油断しきっているね。奇襲となるだろう最初の一撃でどれだけ混乱させられるかが鍵だろう。
クロス
視線を動かし、前方をかけていく若い二人を見て――軽く舌打ちをする。「こういう感傷的な戦いは好かんのだがな……。やれるだけのことはやろう」
オルフェリアの名前を出して、エルンストには目立つ処で暴れてもらおう。敵の混乱を誘えるだろう。
エルンスト
なるほど。
クロス
シスファに追いつく。「死にに行くのではないと言ったな。手伝おう。部隊を私にも回せ」
エルンスト
小さく肯く。
シスファ
「お二人とも、……いいんですか?」
クロス
「戦うからには最大の戦果を得なければならない――覚えておくんだ」
GM/シスファ
その言葉は、きっと彼女の胸に深く刻み込まれた。
「わかりました。どうか、お願いします!」
炎と殺戮の宴に泥酔していた帝国軍は、予想外の奇襲を受けて見苦しいほど混乱した。
「オルフェリアがエルンスト=ミューゼル、参る!」
そう名乗った先陣の男の持つ豪槍が振るわれるたびに、正規兵が数人まとめて吹き飛ばされていく。帝国軍はたまらずに距離をとろうとするが、それは間違いだった。彼らはそう逃げることが予め分かっていたとしか思えないほど巧みに配置された伏兵の餌食となり、各個撃破され数を減らしていったのである。
「ええい、何をしておる! わしの言うことをきかんか!」
指揮官である禿頭の将軍が顔を真っ赤にして怒鳴るが、もはや陣形の立て直しようもなかった。
高台の上。
帝国騎士団長ゼルス=ワルターが、眼下で起きている醜態を忌々しげに見下ろしていた。
「押されているようだな。数で劣っているからか」
氷のごとき怜悧な声でそう呟いたのは、ゼルスの傍らに佇む黒衣の剣鬼――マルガレーテ=フォン=ブローディアである。
「ご冗談を。帝国の正規兵が村の自警団程度に遅れをとるはずがない。ドミンゴ将軍の采配の賜物、といったところでしょう」
吐き捨てるように言うゼルスは苛立ちを隠そうともしていない。
「……まだ若いな、ゼルス。少し落ち着け」
かつての上官としての口調で窘められ、ゼルスは赤面し瞬時に冷静さを取り戻す。
未だ他国に名前こそ知られていないものの、理性と大胆さを同居させたその瞳はこの若さで帝国騎士団団長に任ぜられた実力を示すものであった。正に名将の器である。
「実際、あの自警団はなかなかいい動きをする。放っておいていいのか?」
「確かに、素人とは思えない機動ですね。不自然なほどに。ま、仕方ありません。オレが出ますよ」
戦場を観察し即座に敵の陣営の弱所と対処法を見切ると、ゼルスは出撃の準備を整え始めた。その彼にマルガレーテが一言声をかける。
「私も出ていいか。一人、厄介な者がいるようだ」
GM
ゼルスが指揮する帝国騎士団の精鋭部隊は、逆落としに丘を一気に駆け下りながら同時に陣形を正方形から紡錘形へと切り替える! そしてその先頭を走る黒い影は――各地を放浪していたり一国の将軍を務めた人たちなら知っているだろう。
エルンスト
もちろん知ってるさ! 「あれは、まさか……! 馬鹿な、なぜこんなところに!」
クロス
冷静に、決めていた撤退の合図を出す。
GM/シスファ
合図は出した。しかし同時にそれが間に合わないだろうことも君には分かってしまう。それほどまでに敵の動きは速い。
救出部隊から抜け出してきたシスファが、「私の部隊が敵を足止めします! 皆さんは残った人たちを連れて逃げてください!」と言う。
エルンスト
「……貴方では無理だ」とここは敢えて言い切ろう。「貴方は、逃げる隊の指揮を執ってくれ」
シスファ
「でも! 皆さんにこれ以上のご迷惑をおかけするわけには……」
クロス
「行き場をなくした村の民を余所者の俺たちに導けというつもりか。この役目は君にしかできない」
GM
ここは説得されようか。不承不承、という感じだが。
エルンスト
槍を構えよう。「戦うからには最大の戦果を、だったか……」前方に迫る黒い影を見ながらそう呟く。
クロス
「安心しろ。俺もこいつも、死ぬつもりは更々ない。まだ百分の一も教えてはいないのだからな」
GM/シスファ
「……はい」シスファは苦笑しつつ肯いた。「ここでお別れなんかじゃないって、私、信じてますから」
クロス
「当然だ」不敵に笑う。
エルンスト
既に半ば以上ここで散ることを覚悟しているが……笑みだけは返しておこう。
ニコラ
このあたりで登場します。撤退の準備が整って、まだ残っている4人を呼びに戻ってきた。シェリィと一緒に。
「皆さん、もう村を出て砂丘の方に撤退を開始しています。シスファさんたちも早く!」
クロス
「さあ、行くんだ」
シスファ
「――はいっ」
エルンスト
「ニコラ様も」と促そう。
ニコラ
……ここは雰囲気を察する。「はい。エルンストさん……また」
それだけ言って、シェリィを伴って立ち去る。
シェリィ
疑念と戸惑いの混じった視線でエルンストを見ていますが、ニコラ様が行くと私も慌ててその後を追います。
エルンスト
後を頼む、と呟いたような気がする。いかんいかん、死亡フラグだ(笑)
戦場に雪崩れ込んできた帝国騎士団長ゼルス=ワルター率いる精鋭部隊に、クロスは正面からでは勝ち目がないと見て取り、村の地形を利用し思いつく限りの罠をしかける。しかし一見の印象とは裏腹に堅実な用兵家であるゼルスはなかなか誘いに掛からず、クロスは徐々に追いつめられていった。
クロス
「できるな。ただ統率力に長けているだけではないということか…」
だがいかに彼でも、私自身を囮とした策ならば乗ってくるだろう。
GM
そうだな。君さえ捕らえれば勝利を得られるだろうことを確信しているゼルスは、その狙いを隠そうともしていない。
クロス
私は半分焼け落ちた家の、“運が良ければこちらに倒れてくるかもしれない”柱の根本にショートソードで小さく痕を付ける。そして帝国の部隊が近づいてくるのを待ってその場を離れよう。
GM
……なるほど。君の策は功を奏し、先行した部隊の半数ほどが柱の倒壊に巻き込まれる。これで少しは楽になるかと君は一息ついた、が!
一同
が?
GM
ゼルスの指揮は常に予備兵力をかなり多めに残しておくのが特徴でね。彼は戦況を先読みして最も効果的な位置にそれを投入してくる。逃走経路上に配置された騎士たちによって気がつくと君は包囲されていた。まあたぶん君はこのことも予想の範疇だっただろうが、分かっていてもどうしようもない状況だったと思ってくれ。
クロス
「……見事だな。戦場が不確定な中、ここまで完璧な用兵をされるとは」
GM
敗北を認めた君に、帝国の精鋭騎士が近寄り剣を突きつける。「降伏しろ。抵抗しなければ命までは取らん」
クロス
無駄に命を落とす理由もないな。時間を稼ぐという役目は充分果たしたことだろうし、ここは大人しく捕らえられておこう。
一方のエルンストは戦場の中心に陣取り、並み居る帝国兵を一歩も寄せ付けない。その獅子奮迅の活躍に、流石の精鋭騎士団も進軍を躊躇わざるを得なかった。
その空白に割り込んだのは、黒と見まごうばかりの濃紺の軽鎧に身を包んだ鋭利な刃物のような印象の女性。“黒い鬼神”の異名で畏れられる帝国最強の剣士、近衛隊長マルガレーテ=フォン=ブローディアであった。
GM
マルガレーテは乗っていた漆黒の馬から飛び降り様、エルンストを飛び越えるような軌道で後ろに回り込みつつ鋭い斬撃を放つ!
エルンスト
では……それは槍で無造作に受けよう。これがただの槍だったらこのまま両断されて終わりだろう。
GM/マルガレーテ
マルガレーテも内心そう思った。
(愚かな、もう少しできると思っていたが――)と思いつつ、愛刀を一気に振り抜こうとする……が、槍は彼女の予測をはるかに超えて強靭だった。
エルンスト
そう、未知の金属でできた槍。きっとこれでなければ受けきれなかった(笑)
その虚をついて、「斬り返し」で一撃を与えようとするが。
GM/マルガレーテ
その突き出された槍の柄を蹴って背後に着地する感じか。そこで彼女は張りつめていた気を僅かに緩める。「今のはいい一撃だったな――」と、まだ余裕を残している様子だ。
エルンスト
「馬鹿な、あれをかわすなど……」驚愕の表情でそちらを見ている。
マルガレーテ
「名乗っておこうか。私の名はマルガレーテ=フォン=ブローディア。帝国近衛騎士隊の隊長を務めている」
エルンスト
「……なるほど、やはりあなたがあの“黒い鬼神”か。私はオルフェリアのエルンスト=ミューゼル。故あって、官はない」
マルガレーテ
「エルンストか。その腕、惜しい。どうだ、降る気はないか」
エルンスト
「……あなたに敵わないだろうことは分かっている。だが、それでも祖国を裏切るわけにはいかない――!」
GM/マルガレーテ
「お前も騎士、ということか……」彼女は呟き戦闘態勢を取る。この場は斬るしかない、と判断した。
エルンスト
ここは命を賭さねば勝ち目はあるまい。奥義を出すべく、槍を八双に構えたまま目を閉じ……「瞑想」を始める。
ニコラ
戦場で「瞑想」を!?(笑)
GM
マルガレーテは刀を鞘に収めたまま、エルンストから5歩ほど離れた間合いに立つ。そして次の瞬間、その姿がふっと霞む。
エルンスト
それと同時に私は目を開いて奥義を繰り出そう。周囲3Sqすべてを巻き込む槍の乱撃。たとえマルガレーテがどこに動こうともこの範囲内にいるなら捉えたはず、と確信した!
GM
だがその槍はマルガレーテには当たらない。なぜなら、君が槍を振るう瞬間すでに彼女はエルンストの脇を駆け抜けすべての動作を終えていたからだ!
エルンスト
「なっ…!? 私が先を取られる、だと……?」
GM
彼女は特別に何かをしたわけではない。速いという、ただ単純にそれだけの斬撃。
エルンストの鎧は二つに断たれ地面に落ちる。手加減はしていたので命に別状はないが、この場は気絶しといてください。
エルンスト
「ニコラ、様……」槍を支えに崩れ落ちるように地面に倒れた。
クロスとエルンストが必死に時間を稼いでいたその頃。
ニコラとシェリィは先行している村人たちと合流すべく、燃え盛る村の中を駆け抜けていた。しかし逃げ遅れている人がいないかと覗き込んだ窓の向こうに、2人は残酷な光景を目撃することになる。
GM
……レブが血を流して倒れている。彼の手にはショートソードが握られている。おそらく不自由な足で戦おうとしたが、抵抗むなしくといったところだろう。
ニコラ
慌てて助けに駆け寄ろうとします!
GM
見ればわかる。残念だが彼はすでに絶命している。
シェリィ
では私が飛び込もうとするニコラ様を制しましょう。無言で首を横に振ります。
ニコラ
「シェリィ。せめて、形見だけでも……!」
シェリィ
「その時間はありません」
GM
ないな。後ろからは失地回復したいドミンゴ将軍が必死に部隊を繰り出してきている(笑)
ニコラ
「……わかってる」未練を振り切って走り出そう。……忘れはしない。
しかし結果的には、村人を連れての逃避行では帝国軍の追撃を振り切ることは叶わなかった。ほどなくしてニコラは捕らえられ、シロウズ、エルンストと共に皇帝の本陣まで連行される。
未だ無名のニコラ=フランセスク=クラウス=ジュニアと、フォーチューン帝国皇帝スレイプニル3世。後に世界の歴史を大きく動かすことになる両雄が、このときこの場所で運命の出会いを果たすことになるのだった。
GM
生き残った村人も全員捕らえられているね。総数60名ほどか。ただしその中にシスファはいない。命を落としたのか逃げ延びたのかはわからない。
エルンスト
なるほど。私達は後ろ手に縛られて皇帝の前に突き出されるのか。
GM
皇帝はすべてを見通すような眼で君たちを見る。触れれば弾かれてしまいそうな凄味があるね。
ニコラ
将来交錯するような運命を感じたりは。
GM/ゼルス
してもいい(笑) ゼルスが「陛下、バーナムの制圧完了いたしました」と報告すると皇帝は軽く肯いてそれに応える。結果は分かっていたことだしね。この程度のことはやってくれて当然、という感じだ。話は続いて君たちの処遇に移る。
一同
…………。
GM/ゼルス/スレイプニル3世
「先程の自警団、指揮を執っていたのはこの3名のようです。敵を誉めるのもアレですが、見事なものでした。彼らを仕官として召し抱えれば、帝国の戦力の一助となることでしょう」マルガレーテも同意するようにそれに肯いている。
「成程な。だがそれもこの者達次第であろう。恭順を望むならそれでよいが、そうでないならそれまでのこと」皇帝は値踏みをするような視線で君たちを見ている。
エルンスト
断るならば死、か。
GM
できればここで皇帝に斬るのは惜しい、と思わせて下さい。
ニコラ
難しいことを(笑) 想定よりだいぶ早いよこんなイベント。頑張って考えるけど!
エルンスト
では、先に私が答えよう。
「……わかった。フォーチューン帝国に、従おう」
スレイプニル3世
「ほう?」
エルンスト
「代わりに、村人と子供は安全なところに逃がしてやってくれないか」
シェリィ
……とても複雑な思いでそれを聞いています。
クロス
「私も意見は同じだ。ただひとつ聞きたい、クオーレという男があなた方の陣営にいるのか」
ゼルス
「? その通りだ」
クロス
「そうか」内心それではつまらんな、と思った。この皇帝の下にあの男がいれば、私が特に何もしなくても世界はフォーチューン帝国のものになるだろう。
GM
世界を巡ってきた君ならわかるが、その推測は当たっている。
クロス
クオーレとはできれば別の陣営で戦いたいと思っているが……とはいえ無理に拒否するほどの理由ではない。条件が呑まれるならここは従う。
GM
目当ての2人が従う態度を見せたので皇帝は満足げな様子だ。
ニコラ
そんな皇帝の様子を見て、私は少し顔を俯けてくすりと息をこぼしてしまいます。
皇帝スレイプニル3世にはかつて、ディートリッヒという名の弟がいた。が、彼は過去の事件で超至高神という手の届かない高みまで登り詰めてしまい、皇帝はそのことにやり場のない苛立ちと焦燥感を感じていた。
そんな皇帝の様子が、自分を疎んでいる腹違いの兄に重なって見えてしまったニコラはつい笑みを漏らしてしまったのである。
GM/スレイプニル3世
皇帝はそちらに顔を向ける。
「そこの者。今、余を笑ったか」
ニコラ
「い、いえっ、そんなつもりはなかったんです。ただ……」
スレイプニル3世
「ただ、何だというのだ」
ニコラ
「あなたはそんなに偉い皇帝なのに、何をそんなに焦っているんだろう、と思っただけなんです」
GM/スレイプニル3世
一瞬だが、誰にも分かるほどに皇帝の顔色が変わる。
「……面白いことを言う。余が、いったい何に焦っているというのだ」
ニコラ
「僕にはあなたのことが、お兄さんが弟と乗馬やかけっこをしながら後ろを振り向いているみたいに見えたんです」と。あくまでも自分のことを説明しているつもりでそう言おう。
GM
だが皇帝は切れすぎる頭で、その言葉を自分に当てはめて考えてしまう。あまりの怒りに手を置いていた肘掛けをギリッと握りしめる。ゼルスとマルガレーテは、皇帝のただならぬ雰囲気に気圧され何も言えないでいる。
ニコラ
空気をまったく無視して、邪気のない顔で皇帝を見てるよ。まるでかつて皇帝の弟がそうしていたみたいに(笑)
エルンスト
その眼を見て、皇帝はもしかしたらリターンマッチができるかもしれん、と考えるんじゃないか。
GM/スレイプニル3世
そうだな。皇帝は思った。すべてをねじ伏せるべくして生まれてきた余は、この眼を持つ者をねじ伏せねばならん、と。
だからまったく話の脈絡を無視してこう言う。「……いいだろう。その方、名はなんという」
ニコラ
「――ニコラ。ニコラ=フランセスク=クラウス=ジュニア」
GM/スレイプニル3世
僅かに肯く。「よかろう。ニコラとやら――」一瞬処刑という二文字が頭に浮かぶが、即座にプライドがそれを打ち消す。馬鹿な、と。
ニコラ
怖れているというのか、この私が……みたいな。
GM/スレイプニル3世
一瞬でもそんな弱い考えを持ってしまった自分をむしろ笑う。
「逃がしてやろう。他の者も解放する。ニコラについて行ってやるがよい」と。
余に帝国がある以上、それぐらいはこいつにつけてやらねば勝負にならぬ。
エルンスト
「皇帝陛下……!?」
GM/スレイプニル3世
「行けと言った」皇帝の語調は有無を言わせない。
おかげでゼルスやマルガレーテも反対することができないでいる。兵士が君たちを捕らえていた縄を切り、さらには近くの港町まで辿り着けるだけの食料すら渡されて解放される。
ニコラ
ここで空気読まずにお礼とかいったら激昂されるんだろうな……でも言う(笑)
「あの……ありがとうございましたっ」
GM
皇帝は無言で君を見送る。だが、ずっと掴んでいた肘掛けがついには灰になってボロボロと崩れ去る。最後に、もう見えなくなったニコラの背に視線を向けたままこう呟こう。
「面白い……。いつか必ず、この手で――」