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第二話『女王暗殺』

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toride

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 ニコラが皇帝スレイプニル3世の元を後にした、その直後のこと――。

 

「何故あの2人まで逃がされたのですか。あの子供に何を感じられたのかは存じませんが、例の2人を生かしておけば後々必ずや帝国の脅威となりましょうぞ!」

 今まで脇に控え事態を見守っていたドミンゴ将軍が、顔を真っ赤にして主張する。しかし皇帝は、ニコラが去った方向を眺めたまま微動だにしようとしない。
「陛下、3人とも始末するべきです。今からでも遅くない」

 ゼルスがそう進言すると、ようやく皇帝は視線をそちらに戻した。
「ゼルス、そなたまで余に逆らうというのか」

 怒気を露わにする皇帝。しかしそれを遮るように、本来こういう場面では沈黙を守るはずのマルガレーテまでもが前に進み出る。
「私も、3人とも斬るべきと考えます。どうかお考え直しを」

 

「……はは。最も信頼する将軍が、2人ながら余に逆らうとはな。――構わぬ、逃がす。これはフォーチューン帝国皇帝の命だ」

 皇帝は断固たる口調でそう宣言する。
「陛下!」
「異存あらば、その首を賭けて申すことだ」

 皇帝の眼にその決定を翻す意志なし、と見て取ったゼルスは諦めたように溜息を吐く。
「……分かりましたよ。ですが、こちらの動きを他国に知られてはまずいんじゃないですか。特に――」

 皇帝は薄く微笑む。
「特にオルフェリア、か。そなたの判断は正しい。警戒すべきはかの国の女王だ」
「おわかりなら、なぜ?」
「案ずるには及ばぬ。既に手は打った。オルフェリアは当面の脅威ではない。それよりも――」

 彼は掌に赤い炎を宿し、そして握りつぶす。
「それよりも今は、あの忌々しい賢者を葬ることだ。計画の通りにな…」


シェリィ
……ドミンゴの存在って必要なの?
GM
僕の心のオアシスだから(笑)

 


 ニコラ、シェリィ、エルンスト、クロス、そして生き残った村人たちは、食料を帝国軍から支給され、無事に最寄の港町まで辿り着いた。


エルンスト
村人たちとはここで別れるのか。何もなしに放り出すのも気がひけるが……。
GM
この港町で何か職でも探そう、と肉屋のオヤジあたりが言ってる。
ニコラ
いいガッツだ、肉屋(笑)
エルンスト
「……彼らのことは、彼ら自身に任せる他ないでしょう」
ニコラ
悔しいという思いはあるが、現実が分からない訳でもない。ここは素直に肯いておく。
エルンスト
「それで、私たちの方ですが――。まずはオルフェリアに向かう船の手配をしなければなりませんね」
シェリィ
「……また、あの国に戻れと仰るのですか。あなたはオルフェリアに戻らなくてはならないかもしれませんが、それにニコラ様を付き合わせる理由はないでしょう」
ニコラ
「シェリィ…?」
そういえば、とオルフェリアを出てから明るくなったシェリィのことを思い出してしまう。
クロス
面白そうに話の趨勢を窺っている。彼らがオルフェリアに帰らないと言うなら、私も戻る理由はないな。
エルンスト
……ここで衝突してもしょうがない。言いたいことはいろいろあるが、ここは自制して窘めるように声をかけよう。「シェリィ、分かるだろう。ここにいては危険なんだ」
シェリィ
「ニコラ様のことは私が守ります。あなたの心配は無用です!」と、ややムキになって言い返した後、「……あの国では、ニコラ様の立場は辛過ぎます。探索者になって、世界を巡るのではなかったのですか…?」と、後半はニコラ様に。
ニコラ
「…………シェリィ。僕はあのバーナムの村で、初めて戦いというものを経験したんだ。村を守ろうとして、今まで武器をもったこともなかった人たちがみんな力を合わせて戦ってた。それは――あそこが、彼らの故郷だったから」
シェリィ
「…………」
ニコラ
「オルフェリアを出て――本当に少しの間だったけど、僕も外の世界をいろいろと知った。……今まで見れなかったシェリィの笑顔も、見ることができた。でも…… 僕たちが帰る場所になるのは、故郷と呼べるところは、オルフェリアしかないんだと思う。それはどれだけの時間が過ぎても、変わらないことなんだ」
シェリィ
俯いて唇を噛み締めつつ。「私の故郷は、もう…何処にもありません。ですが、ニコラ様が戻られると仰るのであれば――」
ニコラ
ごめん――と言いそうになって、やめる。「……ありがとう」
クロス
話はまとまったようだな。
「そうか、君たちはオルフェリアに戻るのか。ならば私も同行することにしよう」
ニコラ
「え!? でもシ…クロスさん、大丈夫なんですか?」
クロス
「オルフェリアは私にとっても故郷だ。それに……一人旅にも飽きてきたのでな。旅は道連れとも言うではないか」まるで心の篭っていない声で(笑)
シェリィ
誤魔化しているのか、何なのか……。
ニコラ
少し驚いたけど、それ以上は突っこまずにいよう。

 


 故郷ではいろいろと脛に傷をもつシロウズ。

 素性を隠すため、ここからは常に仮面をつけて行動することに。


シェリィ
「…………どうしたのですか、その格好は」
クロス
「オルフェリアには顔を合わせるとまずい連中もいるのでな。少し素性を隠さねばならん」
シェリィ
「そう…ですか。何か事情がおありのようですが……。そもそも、あなたは何者なのですか? 先だっての指揮の腕前を見る限り、ただの旅芸人とは思えません」
クロス
「……私は若い頃、粋がって国を棄てた男だ。国を棄て、思う様旅を続けてきて――結局、何も得られはしなかった。今では、ただの旅芸人だ」
シェリィ
「…………」
クロス
「さあ、もういいだろう」
シェリィ
「……分かりました。ニコラ様はあなたのことを信頼していらっしゃるようですし、私としてもこれ以上とやかくは申しません。ですが、あまり人目を惹くような格好でニコラ様の周りをうろつかれませぬよう」
一同
(笑)
ニコラ
おまえもだ、メイド服(笑)
シェリィ
それを言わないでください。

ニコラ
「エルンストさん。ひとつ、お願いがあるんですけど……」
エルンスト
「なんでしょうか」
ニコラ
「僕に、もう一度本格的に剣を教えてください!」
エルンスト
「剣を、ですか……」ここは一度止めておこうか。
「ニコラ様。あなたのその手は、剣を握るためにあるわけではありませんよ」
ニコラ
「でも……! 何かを護るために剣を持たなければならないときもあるって……ようやく、気が付いたんです」そう言って、脳裏に思い浮かべるのはシェリィの姿かもしれない。
エルンスト
……困ったな。そういえば、お父上殿は剣にも達者な方なのだっけ。
ニコラ
そう、なんでもできる人だった。
エルンスト
それならば、剣の腕も必要なのかなという気がするな。
「そこまで仰るのであれば、もう少し本格的に訓練をいたしましょう。――けれど、覚えておいてください。剣で助けることができるのは、目の前にいる者だけです。貴方は貴族なのですから、もっと大勢の者を救うことができなければいけません」
ニコラ
「…………」
エルンスト
「クロスさんに師事して、勉強をなさってください。それを約束して頂けるのであれば、私も剣をお教えしましょう」
ニコラ
「わかりました。……今のお話は、胸に刻んでおきます」

シェリィ
私は先の事件でニコラ様がお心を痛めておられるのではないかと気を揉み、船内では何かにつけて世話を焼きます。
「ニコラ様、朝食のご用意ができております」「ニコラ様、お茶が入りました」「ニコラ様、長い船旅ではお暇でしょう。読書でも如何ですか?」(笑)
ニコラ
じゃあ僕は、シェリィはオルフェリアに帰らなくてはならない緊張からそうしているんだろうと間違った受け止め方をしよう(笑)
「あ、いいんだシェリィ。これは僕がやっておくから、ゆっくり休んでいなよ」
クロス
……これはこれで、あまりよろしくないな。
エルンスト
……こっそり溜息を吐く。

 


 そのようなことがありながらも船旅は順調に進んでいき、約一ヶ月。ようやくにしてオルフェリアの玄関口・港町ベルモーゼに到着した。


エルンスト
「とりあえずは、オルガナに向かいましょう」
といいつつも、ニコラの住居はもうないんだったか。
シェリィ
屋根裏部屋は引き払いました。
ニコラ
昔のクラウス家の屋敷はまだ残ってるかもしれないけど、だいぶ前に他人の手に渡ってるかな。
エルンスト
「そうですか……。では、私がなんとか手配いたします」
ニコラ
「すみません、ありがとうございます」
シェリィ
…………。話が落ち着いて、ニコラ様が離れたところでエルンストだけに話をします。「手配すると仰っていましたが、当てはあるのですか」
エルンスト
そう聞かれると、少し困る。「かつての友人を、頼ってみようと思う」あまり自信はないが。
シェリィ
ではその自信の無さを読み取って。「……これを、あなたに預けておきます」
渡すのはルバロンから預かったプレサージュ家宛ての書状。
エルンスト
「これは……!?」と少し驚愕する。そうか、ルバロン氏が。なんと言ったものか迷うが……「私は、あの村を守れなかったというのに――」と呟く。
シェリィ
「いいですか、あなたを信じてこれを預けるわけではありません。他に頼める者がいないから、仕方なくです。そのことをお忘れなきよう」
エルンスト
「……わかっている」

 

 こうして一行がオルガナへと歩を進める、その最中。

 当のオルガナの王宮では、歴史を大きく揺るがすことになる或る事件が起ころうとしていた――。


   紋章暦88年3月30日0時00分。オルフェリア王国宮廷内。

 女王クレスニアナはその日の執務を終え、私室へと向かっていた。共は女官2名、護衛騎士5名である。

 女王の執務が深夜にまで及ぶのは最近では珍しいことではない。際限なく来襲するクリーチャーや山積する紛争問題など、彼女が決断すべき事柄は余りにも多い。それに加えて病床に伏せる時間が徐々に延びていることが、むしろ激務に拍車をかけているという皮肉な事態まで発生していた。

 

 さて、宮廷の廊下を進んで行く彼女らは、大きな池が特徴的な中庭に辿り着こうとしていた。

  と、女王の体が僅かに傾ぐ。
「クレス様。やはり今日の執務は早めに切り上げて、お休みになられた方がよかったのでは……」

 女官の一人が気遣わしげに言うが、女王は静かに首を横に振った。
「――国事を滞らせるわけにはいかぬ」

 そんな何度繰り返されたかわからない会話を続けながら、一団は池の中ほどに設けられた少し広い空間、通称“星の海”に差し掛かる。
 “星の海”は円形の空間で、屋根は円周に配置された6本の柱によって支えられている。その中ほどを通り過ぎようとしたとき。

 

「皆、伏せよ!」と女王が叫ぶ。

 伴の者たちが咄嗟に動けず立ち竦んでいるところに、左右の柱の陰から鈍い光が閃いた。護衛騎士の2人が放たれたダガーに喉を貫かれて絶命。残った3人もそれぞれに傷を負い、女官2名だけは女王の防御魔法によってかろうじて難を逃れた。

 間髪を入れず、襲撃者は6本の柱の陰から一人ずつ姿を現す。黒装束に覆面、見るからに殺しの専門家と判る人影が全部で6人。
「何者か?」

 女王が問う。リーダーと思しき男が感情のこもらぬ声で、
「知ってどうする。あなたの命はここで終わる」

 と答え、腰のクリスタルソードを引き抜く。

「陛下、お逃げください!」

 護衛の騎士が暗殺者を阻むべく前に出る。しかし数の劣位は覆しようもない。3人の暗殺者が守りを抜けて女王の元に迫る。
「そうもいくまい。そなたらは早く逃げよ」

 女王は女官2人に目配せをし、自らは腰の宝刀を抜剣して暗殺者に対峙する。

 両者はしばしの間睨み合うが、暗殺者の一人が袖口からダガーを抜き放ち逃げ出した女官を狙い撃った。
「させん!」

 再びの守りの魔法。しかし今度のそれは、効果が発揮される寸前で霧消した。リーダー格の男が剣を横に薙ぐことで、魔力が掻き消されてしまったのである。

 背中にダガーが突き刺さり、声も無く倒れる女官。

 女王は驚きと、非道への怒りの感情とを込めた視線を暗殺者に向けるが、男は意に介した様子もない。
「女王の足止めは成功。直に騎士も倒れ、6対1。何もかも奴の描いた筋書き通りか……」

 面白くもなさそうに言う。

 その男の顔をじっと見て、女王は何か思い当たったかのように呟く。
「その瞳、髪の色……。そなた、まさか――」
「詮索は不要だと言った」

 同時、背後で争っていた剣戟の音が止む。これで6対1。
「趨勢は決まった。今のあなたでは我々に勝てない」
「……そうかもしれぬ。だが、わらわの命、ただで取れるほど安くはないぞ――!」


 

 

【今回予告】



リーン地方のオルフェリア王国。
そこは世界で最も安定しているように見えながら、
実は最も多くの火種がくすぶる土地である。
オルフェリアを治めるは女王クレスニアナ。
名君の誉れ高い彼女は国民の絶大な支持を集め、この地の争いを封じ込んでいる。
しかし仮に――仮に、彼女が倒れたとしたら?


今、歴史が大きく動き始める!

 


セブン=フォートレスキャンペーン「RISING SUN」

第二話 『女王暗殺』



「馬鹿な。犯人はファーフニルだ!」

 


 オルフェリアはまだクリーチャーの出没が多く、街道といえども油断はできない。他の小集団と共に旅することで危険を軽減するのがこの地方の習慣である。ニコラらも他の探索者や商人のパーティに加わって移動することになる。

 ベルモーゼから10日ほど徒歩路を往き、一行はオルフェリア王都オルガナ、その城壁が見えるところまでやって来た。


GM
オルガナに近づいていくと、どうも妙な事態が起きていることに気が付きます。城門の前に、どうやら検問を待っているらしい人々の長蛇の列ができている。検問は普段からあるんですが、こんな列ができることは普通ない。
クロス
……ふむ。
GM
周りの人たちも何が起きているのか気になっているようだが、列の整理をしている兵士たちは妙に殺気立っていて何も教えてくれないようだ。
エルンスト
まあ大人しく待っていれば通れるようなら、特に何も言うまい。
GM/兵士
待っていると段々君たちの番が近づいてくる。そこで見咎められるのはファーフニル。
「おい、そこの女。お前、ファーフニルだな」
シェリィ
「……はい」ニコラ様を隠すようにして前に出ます。
GM/兵士
「ならお前はこっちだ。さっさと来い!」
それと――「そっちの男。その仮面とってみろ」(笑)
クロス
下級兵士なら私の顔も知るまい。不服げに外す。
兵士
「なんでこんな仮面を付けてるんだ」
クロス
「……旅芸人が少々奇抜な格好をしていたからといって、いちいち文句をつけないでもらいたいものだな」
GM/兵士
「ああ?」兵士たちは乱暴な態度で君の検査をするが、特に他に怪しいところもないので「もういい、さっさと行け!」と。
シェリィ
では、私だけ別のところへ連れて行かれるのですね。
「ニコラ様、どうかご心配なく。すぐに戻ります」と小声で。
ニコラ
葛藤はあるけど……「シェリィ…」心配そうに声をかけるぐらいしかできない。
GM/兵士
「おい、何ごちゃごちゃ話してやがる!」
エルンストはそんな様子を見て不自然に思う。いくら下っ端の兵士とはいえ、女王の威令が行き届いている下ではこんな粗暴な振舞いは許されないはずだ。
エルンスト
うむ。もう少し事態がエスカレートするようなら口を出さねばと思っていたが。
GM
と、そうやってシェリィが連れて行かれようとしたそのとき、城門の方で騒ぎが起こる。どうやら何か揉め事のようだ。

 

「わからねえ野郎だな。いいからここを通せ! 女王に何があったか知らねえが、俺には関係ねえ。邪魔すると黙っちゃいねえぜ」

 兵士達に喧嘩を売るように凄味を利かせているのは、がっしりした体格のファーフニルの青年。背中には大剣を差している。その顔を見て、ニコラは思わず呟く。
「パルサー!?」

 彼の名はパルサー=ビークロス。昔クラウス家で世話をしていたファーフニルの一人で、ニコラとシェリィにとっては顔なじみであった。


ニコラ
なんとか人垣を抜けて接近しようとしますけど。
GM
まあ距離も遠いしね、なかなか思うようにはいかない。そうしている間に騒ぎを聞きつけて、街の方から別の兵士の小集団が寄ってくる。彼らは軍内部の監査や、 その他特別な捜査を任されている督戦隊と呼ばれる部隊。当然、一般的な評判はよろしくない。それを率いている若い男は――クロスとエルンストは知っている かもしれない。名をランクス=プレサージュ。
ニコラ
プレサージュ……ルバロンの甥っ子?
GM
その通り。リーン閥の貴族で、9年前に先代が没して僅か9歳で跡を継いだ。当時いた後見役も最近亡くなり、現在は名実共にプレサージュ家の当主だ。ちなみに人一倍ファーフニルを嫌っていることで有名。
エルンスト
……これは不味い。

 

 ランクスは騒ぎの現場に駆けつけると、部下にパルサーを捕らえるよう命じた。

 手馴れた兵士たちの動きにたちまちパルサーは追い詰められ、剣を突きつけられる。
「手こずらせてくれたな。逃げても無駄だ、おとなしく縛につけ」
「うるせえ! なんで俺が捕まらなきゃなんねえんだよ!」
「先刻も言ったはずだ、陛下を襲撃したのはファーフニルだと。ならばこの街のファーフニルをすべて捕らえれば、事は足りる」


ニコラ
「待ってください! パルサー…その者は元々クラウス家にいた者で、身元はたしかです。放してあげてください」
GM/ランクス
「お前は何者だ」と言いかけて、君のヘテロクロミアに気付く。「まさか貴様――」
ニコラ
「僕は、ニコラ=フランセスク=クラウス=ジュニアと言います」
GM/ランクス
「そうか、貴様が……」ランクスの態度が一変する。最初はまだ一般人に対するものだったんだが、君の名前を聞いた瞬間憎しみすら浮かべる。
ニコラ
憎しみって(笑) うう、頑張ろう。
「ファーフニルであるだけで捕らえるなんて、いったいどうして。女王様はそんなことはお許しにならないはずです」
GM/ランクス
「その女王陛下が、ファーフニルに襲撃を受けて傷を負われたのだ!」ランクスには明らかな怒気が見て取れる。クレス様はあれだけファーフニルにお優しいのに、その女王陛下を、と。「これだからファーフニルなど――」根絶やしにしてしまえばよかったのだ、とこれは流石に唇だけで呟く感じか。
ニコラ
怖いよー。
GM/ランクス
「……まあいい。状況は分かっただろう、ファーフニルはすべて連行する」もう君と話をする気はない、という感じだ。
「お前たち、何をしている! さっさとそいつを連れて行け!」ランクスに叱責されて、部下は慌ててパルサーを引っ立てていこうとする。
ニコラ
「パルサー!」と声をかけておきたい。
GM/パルサー
「ニコラ…?」どうしてここに、国を離れたんじゃなかったのか、と思っている。それも束の間、すぐに兵士に連れて行かれるけど。懲りずに暴れようとしては押さえつけられてる。
シェリィ
まったく、しょうがない人……。ニコラ様にご迷惑をおかけして。
GM/ランクス
ランクスはそれを見送った後、今度は人垣の中に紛れ込んでいる別のファーフニルにも目を留める。「あの女もファーフニルだ、捕らえておけ」
シェリィ
……抵抗はしません。
ニコラ
じゃあ僕が抵抗して取り押さえられる(笑) 「シェリィ!」
ランクス
「邪魔をするのか、ニコラとやら」
シェリィ
「ニコラ様! ……いいのです。私なら、大丈夫ですから」
ニコラ
そう言われると困る。でもランクスのこともあるし。
「駄目だ! 僕の我が儘のせいで、こんな――」と暴れようとして、あっさり衛兵に押さえつけられた(笑)
GM
ランクスは内心快哉を叫んでいるな。
シェリィ
「ニコラ様を放してください! 私なら、大人しく捕まえられますから」
ランクス
「捕らえるか否かは僕の決めることだ。ファーフニルごときに指図される謂われはない」
シェリィ
「…………。どうか、お願いします……!」
GM/ランクス
それには無言の態度で返し、「連れて行け」と兵士に命じる。が、そこに静止の声が入る。

 

「その辺にしておいたらどうかしら、プレサージュ中佐」

 涼やかなよく通る声がその場に響き、ランクスや衛兵らのみならず、ニコラたちも動きを止めてしまう。

 声のした方を見ると、軍装の女性が腕組みしてこちらを見ている。胸当てに長剣という剣士の格好で、華美なわけではないが、その物腰から貴族と見て取れる。


GM
彼女の名はシルヴィア=クオリス。つい3ヶ月前にオルフェリアの臣下となり、伯爵号を与えられた貴族だ。領地の面積だけでいうならオルフェリアでも十指に入る。軍での階級は少将。

 

 ランクスは自分を制止したシルヴィアを睨みつける。
「クオリス…少将。なぜ邪魔をされるのですか」

 彼女は気にした様子もなく、冷静に言う。
「その調子で市民を拘束していたら留置所が満員になるわよ。少しは考えたら?」
「…!」

 嫌味な口調にランクスはカッとなるが、言葉にならない。

 

「この場でそこの…」とシルヴィアはニコラにチラッと目をやり、「そこの坊やたちの疑いが晴れればいいんでしょ? どうせ他の商人や探索者と同行して来たに決まってるんだし、その人たちからの証言を取ればいい」

 ランクスは反射的に反論する。
「そこのファーフニルが賊の一味なら、同行している連中だって共犯に決まっています。信用できるわけがない」

 すると、一人の男が進み出て発言する。
「証言者の身元が確かならば構わないのですね? 私はセーブル=クイント。リーン地方の探索者協会の支部長です」

 彼は協会の身分証を取り出して見せると、
「彼らはアルセイルからずっと私と同じパーティで旅をしてきました。特におかしな点もありませんでしたし、先日起こったという事件とは無関係なのではありませんか」

 とシルヴィアとは少し異なる冷淡さで述べる。有体にいえば“退屈そう”である。

 

 セーブルの発言を聞き、シルヴィアが、
「私が賊の一味なら、一般人と長い間旅はしないわ。正体がばれるかもしれないから。むしろ、パーティ全員が無関係を装った仲間、という風にするわね。少なくとも、探索者協会の支部長なんかと一緒にいたくない」

 とランクスに視線を向ける。ランクスは表向きは平静だが、内心の怒りを隠しきれない。
「クオリス少将、あなたは階級は上ですが、捜査の権限は僕にあります。指図はやめて頂けませんか」

 しかしシルヴィアは動じた風もない。
「失礼、では助言だけさせてもらうわ。強引な捜査は市民を不安にさせる。それは陛下の本意ではないはずよ」

 

 ランクスはしばらく沈黙するが、やがて忌々しげにニコラたちを見やると、衛兵たちに拘束を解くように指示。
「ふん。とりあえず容疑は晴れたことにしてやる。クイント支部長にせいぜい礼を言っておくんだな」

 言い捨てて立ち去ろうとする。擦れ違いざまシルヴィアに、
「これでよろしいですか、クオリス少将」

 と棘のある口調で尋ねるが、シルヴィアは軽く受け流す。
「捜査の権限はあなたにあるんじゃなかったの? 私に確認をとる必要はないわ」
「…っ!」

 怒り心頭のランクスは靴音も荒く去っていく。



GM
シルヴィアも言うことは言ったし、その場を立ち去ろうとするんだが、そのとき従者と思しき青年が何事か耳打ちする。シルヴィアはそれに反論するが、結局折れたようだ。今度はニコラの方に近づいてくる。
ニコラ
「あ……助けていただいて、ありがとうございました」
シルヴィア
「いえ、気にしないで。……ところで、これから少し付き合ってもらえるかしら」
シェリィ
「それは、どういう意味ですか」
シルヴィア
「手伝ってもらいたいことがあるの。詳しい話はここではできないけど」
シェリィ
「……なぜ、出会ったばかりの私たちに?」
シルヴィア
「それも後で説明するわ」
シェリィ
信用できない、という意志を視線に込めるのですが。
GM
特に気にした風もない。
ニコラ
ちょっとオロオロするけど……助けてもらった恩もあるし。
「わかりました。僕で何のお役に立てるのかわかりませんが」
シェリィ
「お引き受けするか否かを決めるのは、お話を伺ってからです」と注釈を。

 

 ニコラとシェリィにクロスが加わった3人は、シルヴィア(とその従者)に従ってオルガナの街の中を進んでいく。貴族の豪邸が立ち並ぶ高級住宅街を抜けて辿り着いたのは、女王の弟に当たるユセトライア=マルグレイブ公爵の屋敷だった。


GM/ユセトライア
奥に入り、公爵の居室と思われるところ――ただし無人なんだが――まで君たちを案内すると、シルヴィアは私の役目は終わりだという顔をする。代わりに従者と思われていた青年が部屋にあつらえられた机に腰掛けて、芝居がかった仕草で両手を広げてみせる。
「わざわざ来てもらってすまないね。ようこそ、僕がユセトライアだ」
ニコラ
「えっ!? あ、あなたが!?」
GM
うん、驚いてもらえて嬉しい。ユセトは会心の表情を浮かべている。隣でシルヴィアが若干うんざりした顔をしているけど(笑)
シェリィ
……もしかしていつもやってるんですか、この演出を。
GM
いつもではないけどね。女王がよくお忍びに外へ出ることは有名だが、彼もそれに劣らぬ頻度で出歩いている。そのことは一般にはあまり知られていない。
ニコラ
それは単に地味だから誰にも気付かれないだけなのでは……。
GM
要領がいいんだ。
シェリィ
(↑クレスニアナの元プレイヤー)姉はいつもバレては妹に叱られてますからね。
GM
数年前には、シェローティア国境近辺で起きた魔王関連の事件に首を突っ込んだりもしている。おかげで供の者は生きた心地がしない(笑) で、1ヶ月前からその供の役目を務めているのがシルヴィア。
ニコラ
「その、ユセトライア…様が、僕たちにいったい何の――」
GM/ユセトライア
「ああ、それなんだけどね」とユセトライアは居住いを正す。「既に聞いていると思うけど、昨夜姉上――いや陛下が、何者かの襲撃を受けた。傷は大したことはな いってレオ姉様は言ってたけどね。とにかく、その犯人を捕らえるためにランクスたちが動いてくれてるんだが……まあ、見てもらった通りだ。彼の力量に不足が あるわけじゃないんだけど、今のままのやり方では、人間はともかくファーフニルの協力が得られない」
一同
…………。
GM/ユセトライア
犯人はファーフニルなんだから、ファーフニルから効率よく情報を集めることが事件解決の近道だというのが彼の考え方だ。ニコラとシェリィの方を交互に見つつ 「ファーフニルである君たちなら、この街のファーフニルたちから協力を取り付けることもできると思うんだ。事件を解決するために、力を貸してくれないかな」
ニコラ
「どうして…! ファーフニルが犯人だってわかるんですか?」
GM/ユセトライア
「どうしてって言われても、宮廷内の目撃証言も一致してるし、あと…」と言いかけて、シルヴィアに目線で窘められる。「……うん。目撃証言があるんだ」(笑)
ニコラ
なんてわかりやすい人なんだろう(笑) でも本当にファーフニルが犯人だとすると、引き受けることには若干の葛藤が……。
クロス
「引き受ければいいのではないか。ファーフニルのことが半端に疑われた今の状態が続くよりは、早く事件を解決させた方が望ましいだろう」
ニコラ
他の人ならともかく、クロスさんにそう言われると納得してしまう(笑)
シェリィ
私はニコラ様の決定を見守っています。同族を売り渡すことに抵抗を感じないわけではないですが、ニコラ様がお決めになったことならば従うつもりです。
ニコラ
……なるほど。じゃあ、ユセトライアにこう言おう。
「ひとつ、お願いがあります。事件が解決したら、捕えた人たちは危害を加えず解放してくれますか?」
GM/ユセトライア
「う~ん、事件が解決したら僕が何をするまでもなく解放されるんじゃないかな?」そんな緊迫感のない返答が戻ってくる。
ニコラ
「犯人が別にいるのなら、関係ない人たちが傷つけられるのはおかしいことじゃないですか!」
GM/ユセトライア
「……そうだね。でも、今の状況が状況だ。本当に君がなんとかしたいと思うなら、事件を解決するしかないと思うよ」と、少し真面目な表情になって。
ニコラ
「……わかりました。犯人を見つけるための協力はさせていただきます。その代わり……できる範囲でいいですから、今捕まっている人たちを守ってあげてください」
GM/ユセトライア
「ああ、約束するよ」
ちなみに、彼はあっさりと約束をする人だ。
ニコラ
『ゴメン、駄目だった!』って笑顔で言われる未来しか想像できないよ!(笑)
ユセトライア
「何にせよ、引き受けてもらえるみたいで助かるよ。じゃあ、詳しい話を始めようか」

 


 

あ  ら  す  じ 


予  定  地


GM
さて、ベルモーゼに着いた。犯人が乗っている可能性のある船が3隻、港に泊まっている。出港はもう間近で、全部を調べている時間はない。
ニコラ
「早く、フォーチューン行きの船を!」
クロス
「待て」
ニコラ
「え、クロスさん…!?」
クロス
「相手は暗殺者だ。足跡を残したくはないだろう。後でアシのつく一般の客船を利用するとは考えにくい」駆け出し、港の中でも比較的小型の漁船などが利用する区画に向かう。
GM
ほう。
クロス
泊まっている船のほとんどはただの漁船なのだが、ひとつだけ。知識がなければ気付かない僅かな差異を見抜いた。「船にも地域差というものがある。あの船は、この辺りの漁港では使われない。――さあ、急ぐぞ」
GM
君たちは港に降りると、人を掻き分け目的の船に近づいていく。あちらの乗組員もそれに気付いて慌てて帆を揚げるが、このまま逃げ切るのが難しいことを悟ると、船の中から5人ほど人影が出てくる。白い髪、青い瞳の5人だ。

 

「……追いつかれたか。仕方ない、戦うぞ」

 リーダー格らしきまだ若いフェンリルの青年は、そう言って刀を抜こうとする。だが、仲間の一人がそれを押し留めた。
「カムリ、お前は逃げろ。ここは俺たちが時間を稼ぐ」
「何を言っている。敵は4人だ。何も問題ない」

 無表情のまま返された答えに、仲間は思わず苦笑いをする。
「お前は相変わらずだな。後から必ず増援が来る。目の前のことだけを見るんじゃない」

 カムリはしかし無表情のまま、
「お前たちを置いてはいけない。俺も残る」
「いいから行け、俺たちもそう簡単に死にはしないさ。さあ、お前も付いて行くんだ」

 と言うと強引にカムリを船に乗せ、もう一人若い部下を船に乗せる。
「必ずフォーチューンに帰れよ、カムリを死なせるな」

 2人を見送ると、残った3人は一斉に抜刀して追跡者たちに向き直った。


GM
3人のフェンリルは散開して君たちを出迎える。1人がまずはシャドウニードルを、一番弱そうなあなたに。
ニコラ
……メイドよりも弱そうに見えるとか、心外なんですけど。
GM
メイドには何か投げ辛かった。

 

 正確にニコラを狙って放たれたシャドウニードルは、しかし届くことはなかった。

 前に出たエルンストが槍の柄でそれを受け止める。さらに柄をくるりと回すと、あろうことかニードルは鏡で跳ね返したかのように投擲した者の元に飛んでいく。

 見事それは持ち主の左腕に突き刺さり、苦痛の声を上げるフェンリル。

 

 ニコラへの攻撃を合図として一斉に襲い掛かろうとしていたフェンリルたちだったが、思わぬ反撃に出鼻を挫かれ、踏み込みを思い留まる他はない。中央のフェンリルはたまらず苦笑を浮かべた。
「やれやれ、ツキがない。まさかあのエルンスト=ミューゼルが、こんなところにいるとは」

 表情を戻すと、彼は傷を負ったフェンリルに指示する。
「お前はそこの3人を引き付けろ。奴は俺たち2人で仕留める」


ニコラ
「怪我をしているんです、降伏してください!」
フェンリル
「……できない相談だ。分かりきったことを」

 

 最初のラウンド、手負いのフェンリルはプラーナを消費しつつ攻撃を辛くも回避。反撃でニコラに8点のダメージを与える。何せ0レベル、これだけでHP半減である。


シェリィ
「ニコラ様!?」
クロス
≪静寂の月と海≫を飛ばそう。HPの1割回復を3発。ニコラのHPは……19だから、全部投げても3点。
ニコラ
あと1点、HPがあと1点あればー!

 

 一方、残り2人のフェンリルはエルンストへの攻撃を命中させるが、防御力と最大HPの高さに阻まれかすり傷に留まる。

 

 次のラウンド「属性能力:戦(氷)」で先手を取ったエルンストは、命中にプラーナを積んだ一撃をフェンリルに叩き込む。彼はこの一撃で既にへろへろである。

 さらに手負いのフェンリルを狙ったクロスの魔法がクリティカル。これは「神(氷)」を使って回避。


GM
ふぅ。ちなみに一回しか使えない奥の手でした(笑)
クロス
さて、あとどれぐらいもつかな……?
ニコラ
命中判定、プラーナ入れて……! (ころころ)ふぁんぶる(笑) 幸運の宝石、買い忘れて持ってない。
シェリィ
何でですか、もう2話目ですよ?(笑)
ニコラ
それは……まあ、ほら。貴族だし。
エルンスト
そういえば私も持ってないな。
クロス
私もだ。
GM
……シェリィ、後で奴らに探索者の常識を教えてやれ。

 

 エルンストを狙ったシャドウニードルの4本同時投擲は、出目が走ったこともありそれなりの手傷を与える。対するエルンストは早めに勝負を決めるべく、奥義を繰り出す構えをとる。


エルンスト
『色即是空』、効果は「スタン」+≪烈震撃≫。
「仕方ないな。暗殺者ごときに見せる技ではないが――!」
GM/フェンリル
「なるほど、それが貴様の技か。だが、それをやらせる訳にはいかん」
と呟くと、対抗で剣技を使用する。彼が剣を横に振ると、エルンストが今正に放たんとしていたプラーナが雲散霧消。再び集中し直さなくてはならなくなる。
エルンスト
これは……!?
GM
≪凍夜≫という氷と夜属性の剣技。自分の行動を消費して、相手の魔法や技などを発動しなかったことにさせる。これでプラーナを使い切った。
エルンスト
2発目はどうするんだ。
GM
それまでに倒す! ……倒したい(笑)

 

 さらに次のラウンド。2回目の「戦(氷)」で先手を取ったエルンスト。


エルンスト
一度破られた技をもう一度使うのはちょっとな。まずは≪凍夜≫を使うフェンリルから落とそう。(ころころ)命中28、(ころころ)60点。
GM
プラーナ残ってないというのに。(ころころ)……吹っ飛んだ。詳しく形容するとエグくなりそうだからやめておく(笑)
エルンスト
「技だけが騎士なのではない。この五体全てが、騎士なのだ」
GM/フェンリル
「……」小声で倒れた者の名を呟くが、それだけかな。武器を構え直し、最後になるだろう次の攻撃に集中する。

 

 ニコラとシェリィは偶然同じ行動値へ。攻撃対象は、プラーナも奥の手も使い切った手負いのフェンリルである。


シェリィ
さあ、2人の初めての共同作業を。(ころころ)24。
ニコラ
ケーキ入刀! (ころころ)26。
GM
うるさい黙れ(笑) (ころころ)避けられん。2つの刃が彼の体を縦横に裂く。
ニコラ
グロい描写はしなくていいから。

 

 残った一人も決死の覚悟で攻撃をするが、ここでエルンストの「斬り返し」が発動し、決着がついた。



GM
戦っていた数分の間に、小船はかなりの距離を稼いでいる。沖の方にはより大きな船が待っていたり。今から追いつくのは難しいでしょう。
エルンスト
軍師殿、あれはないんですか。『こんなこともあろうかと!』
GM
それはやめて(笑)
クロス
だと思った。
シェリィ
「ニコラ様、お怪我をお見せください。傷の手当てを」
ニコラ
「シェリィ、ありがとう」まだ息が荒い。HP半減したし…。
GM/ランクス
さて、その辺りでランクスの部隊が追いついてくる。通常ではありえないくらいの速度で隊を率いてきたので、さすがに疲れが見える。駆け込んできたランクスは消耗している君たちの姿を見て、「お前たち、大丈夫か!?」と。思わずとはいえニコラにそんな言葉をかけてしまったことを軽く後悔。
ニコラ
「はい。……でも、2人逃がしてしまいました」
GM/ランクス
「……そうか」そこらに転がっているフェンリルの死体に視線を向けて「だが、そちらの連中からでも必要な証拠は得られるだろう」ランクスは兵に命じて死体を運び出させる。ついでに医療兵が傷の手当てもしてくれる。
ニコラ
「あ、ありがとうございます」
GM/ランクス
一通り作業が終わるとランクスは立ち去ろうとするが、最後に。ニコラに対してというよりは全員に対してかな。「今回の事件への協力、感謝する」
ニコラ
何か言うと怒らせてしまいそうだから、ぺこりと頭を下げます。
ランクス
「……傷の手当ては、しっかりとしておくことだ」

 

「――シェリィ。今更だけど…この国に、僕の我が儘で戻ってくることになってしまって……その、ごめん」

「そのことはいいと申し上げたはずです。……ニコラ様のお傍にお仕えすることが、私の…役目なのですから」

「今回のことで、僕は今まで見えていなかったものが見えるようになった気がするんだ。……女王様を襲ったのがファーフニルだって聞いたとき、僕はそれに疑いを差し挟みもしなかった」

「それは…仕方のないことです」

「違うんだ! 僕は、ファーフニルのみんながそんな風に思っていることを知っていた。……知っていて、何もしてこなかったんだ」

「そんな、ニコラ様が責任を感じられることでは――」

「故郷だと思ってオルフェリアに帰ってきてみるとね。この国が、すごく危ういバランスの上に成り立っていることに気付かされたんだ。もしかするとオルフェリアも、フレイスとは違う意味で危険な状態にあるのかもしれない」

「…………」

「だから――ごめん、何を言っているのか自分でもよく分からなくなってきたけど……。僕は、何かしたいと思うんだ。この国に戻ってきたことを、後悔しないように」

「……わかりました。でしたら私もニコラ様のことを、この身を賭して、お手伝いさせていただきます」

「うん。……じゃあ、戻ろうか!」


 オルガナに戻ってきた一行はユセトライア邸に呼ばれ、事のあらましを報告した。


GM/ユセトライア
重 そうな革袋を4つ、どんどんどんと机の上に置く。「これが約束の報酬1000GPだ。宝石にしようかとも思ったけど、こういう袋でこういう金貨の方が、感 じがあっていいだろう?」(笑) ちなみに、もっと上等な袋でもいいのに、敢えてくたびれた革袋を選んだのも彼の気遣いだ。
シェリィ
いらぬ気遣いを(笑)
エルンスト
4つ、ということだが私には貰う云われはない気がする。「ユセトライア様、私は…」
ユセトライア
「君の協力があっての犯人確保だったわけだし、君にも貰う権利はあるだろう。いや、むしろ受け取って欲しいかな、僕としては」
エルンスト
どうしよう、ここは格好つけておくか。「お気持ちは嬉しいのですが、私は国のために尽くすのが仕事です。これは受け取れません」
ユセトライア
「そうか。君も頑固だね」
エルンスト
「……申し訳ございません」
ニコラ
「ファーフニルの皆は……!?」報酬よりもそっちの方が気になる。
ユセトライア
「その件なら、もう手続きは済んでいる。一両日中には全員が解放されるはずだよ」
ニコラ
「良かった……。ありがとうございました」
GM/ユセトライア
その話がついてから、本題を切り出そうか。「さて、君たちにわざわざここに来てもらったのはただ報酬を渡すためだけじゃない」そう、探索者協会のオジさんの気分を味わってみたかっただけじゃないんだ。
一同
このお坊ちゃんは……(笑)
ユセトライア
「単刀直入に言おう。君たち、僕の部下にならないか。まあ正確にはオルフェリアに仕官して僕の下につかないか、ということだけど」
ニコラ
「え!? でも、僕は……」自分の生まれのことを考えると。
GM/ユセトライア
ニコラのそんな様子には気付きつつも、敢えて無視する。「今回の事件の経過と、君たちの捜査の手際についてはさっき聞いたところだ。これだけの人材を、一介 の探索者のままにしておくのは惜しい。それに――これは勘だけど、近いうちに大きな戦争が起こる。そうなれば、一人でも多くの優秀な戦士が必要だ」
一同
…………。
ユセトライア
「ニコラ、君の生まれについては知っている。宮廷では君の事をよく思わない者も多いだろう。でも、僕はあまり気にしていないつもりだ」
ニコラ
さっき何か自分にできることをやりたいと心を固めたところでもあるし、決意を秘めて一歩前に進み出よう。「……ニコラ=フランセスク=クラウス=ジュニア。ユセトライア様の為に、命を捧げて戦いたいと思います」
ユセトライア
「ああ、嬉しいよニコラ。また無理を言うこともあるかもしれないけど、君の働きには期待している」
シェリィ
「…………」胸中複雑な思いですが、異は差し挟みません。
GM
ユセトは他の3人にも視線を向ける。
エルンスト
「それがオルフェリアの為になることでしたら、私に異存は御座いません」諸々の手続きについてはそっちで勝手にやってくれるに違いない。
ユセトライア
「何がオルフェリアの為になるのか――それを、君も常に考えておいて欲しい。僕が必ずしも正しいとは限らないからね」
エルンスト
「……肝に銘じておきます」
ユセトライア
「さて、そっちの君だけど…その仮面……」
ユセトライア
「いいねそれ。どこで買ったの?」(笑)
ユセトライア
「仮面で隠すっていうのもアリかな」(笑)
GM
思わないでもないけど。
クロス
「私も一応はこの国の出だ。一介の旅芸人風情がどれほどの役に立つのか分からないが、求められるのであれば、微力ながらご助力致しましょう」
GM/ユセトライア
その立居振舞い、何かあるような気がするが……。「ああ、頼む。この国のために力を尽くしてもらいたい」
最後に。「シェリィ。君はファーフニルだから、いろいろ思うところはあるだろう。でも…」とニコラの方をちらっと見つつ、「今の状況を少しでも変えるために、君にもその力になって欲しいと思っている。どうかな?」
シェリィ
……極力、感情を排した声で。「私はニコラ様にお仕えしている身です。ニコラ様がお決めになったことに従うだけです」
GM/ユセトライア
「そうか」まあ君の立場ならそう言うしかないんだろうな。ともあれ、これで3人ともオルフェリア所属となることが決まったわけだ。

 


 その頃、ほぼ時を同じくして。

 

 オルフェリア宮廷内謁見の間。

 玉座の前に女王の妹である宰相レオノーラが立っている。玉座を見ている彼女の背後から、男が一人靴音をさせながら歩いてくる。
「来ましたか、ブローニィ伯爵」
「このような時間に何の御用ですか、宰相。いや、次期女王陛下とお呼びすべきですかな」

 レオノーラはサイノスをきつい目で見るが、彼は動じた様子も無い。
「クレスニアナ女王は崩御された。死者を悼むのではなく、次の時代を見るのが我々の仕事ですぞ」
「あの夜に限って見回りの兵士は回廊の間を通り過ぎ、陛下の発見が著しく遅れた。また、暗殺犯はファーフニルであると誤った証言を行い、その追跡にも支障を来たした」
「…………」
「そしてあなたが犯人捜索に任命したのはプレサージュ中佐。彼が人一倍ファーフニルを憎んでいることはあなたも知っているはず。」
「衛兵たちの規律が緩んでいたことは否定できませんな。警備責任者のガゼール中将は責任を問われることになるでしょう。私がプレサージュ中佐を起用したのは、彼の力量を認めているからです。何かご不満が?」
「衛兵たちの証言にガゼール中将の圧力がかかっていた可能性があります。もうすぐ中将がここに来るはずですから、あなたも尋問に立ち会うといい。中将自身にも何者かの圧力がかかっていたかどうか、訊いてみたいでしょう」

 サイノスは微かに笑う。
「果たして来ますかな。中将は今回の一件を酷く気に病んでおりましたからな。もしかすると、罪に耐え切れず自らを裁いておるかもしれませんぞ」

 レオノーラは表情を変えてサイノスを見る。その瞳に僅かに浮かぶのは、怖れか。

 

 そのとき緊張した空気を切り裂いて、一人の兵士が謁見の間に駆け込んでくる。
「申し上げます! つい先程、シェローティアがこのオルフェリアに対して宣戦を布告しました!」

 

 

【次回予告】

 

 

女王の死は国中を動揺させた。
民を包むのは混乱。
それに乗じて、隣国シェローティアが宣戦を布告。
風を受けた火種は、今ついに炎となった。

 


セブン=フォートレスキャンペーン「RISING SUN」

第三話 『サイスの戦い・前編』

 

 

「――君には一隊を預ける。期待に応えてくれ」

 

 

 


 

 

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