【今回予告】
人間は、あらゆるものに試される。
環境に、人間に、チャンスに、――そして運命に。
すべての試練に打ち勝った者だけが、“英雄”と呼ばれる。
これは一人の英雄が歴史に姿を現した、初めての戦いである。
第三話 『サイスの戦い・前編』
「ここで逃げたら、誰も助からない!」
前回の事件から数日後の、とある月が綺麗な晩のこと。
シェリィは一人宿のテラスに出て、空を見上げながら小声で唄を歌っていた。
微かな声が夜気を伝い、草木を震わせる。
故郷を懐かしむとき、辛いことがあったとき、そして不安を紛らわせたいときに、こうして唄を歌うのが彼女の習慣だった。
曲目は、ファーフニルに伝わる伝統的な子守唄。シェリィが一番最初に覚えた曲である。
シェリィ
そんなことをしているので、早く誰か気付いてください(笑)
クロス
では、私は今日も皆が寝静まった頃に笛の練習をしようと星空を見上げているのだが、そこに唄が聞こえてくると。……確か「超美声」だったな。
GM
明らかに君の笛より上手い。
クロス
そんなことはわかっている。興味を惹かれて、音のする方に近づいてみる。私なりに気配を消したつもりだが。
シェリィ
地面を踏みしめる僅かな音に気が付き、唄を止めます。「誰!?」
クロス
「すまない、邪魔をするつもりはなかった」
シェリィ
「……あなたでしたか。盗み聞きとは、趣味が悪いですね」見られたくないところを見られてしまったので、照れ隠しでいつも以上に不機嫌な表情です。
クロス
少し笑って、「勝手に聞こえてきたのだがな。それは子守唄か?」
シェリィ
「はい。昔は、よく歌っていた曲です」
クロス
「そうか。いや、見事なものだ」
シェリィ
「……どうも。ところで、あなたはこんな時間にいったい何処へ――」と言いかけて、右手の笛を目に留める。「ああ、また笛の練習ですか」
クロス
「そんなところだ」
シェリィ
「前々から言いたかったのですが……。はっきり言って、あなたの笛の音は仮にも吟遊詩人を名乗る者のそれとは思えません」
クロス
「……面白い意見だ。まあ、だからこそ練習をしているのだが」
シェリィ
「ひとつ提案があります。今後は、私があなたの練習を見てさしあげましょう」
クロス
「ほう」
シェリィ
「今のままでは、あなたの素性にいらぬ疑問をもつ者が出てくるかもしれません。場合によっては、ニコラ様にご迷惑がかかることにもなりますから」
クロス
「いつまで続くかな? 私の笛の音は、なかなか頑固でね」
シェリィ
「ご心配なく、私はこれでも辛抱強い方ですので。……ただし、交換条件があります」
クロス
促すように視線を向ける。
シェリィ
「まず、さっき聞いた唄のことは忘れてください。それともうひとつ――これからも、ニコラ様のお力になっていただきたいのです。いかがですか」
クロス
「いいだろう。求められる限りはな」
シェリィ
一礼する。「ありがとうございます」
ニコラ
朝になって、ちょっとシェリィを揺さぶりにいこう。僕はそういう役割だった気がする(笑) 「シェリィ。昨日、母さんに子守唄を歌ってもらう夢を見たんだ」
シェリィ
「子守唄を? そう…ですか」
ニコラ
「うん。はっきりとは覚えていないけれど、すごく優しい歌声だったような気がする。……ごめん、突然変な話をしちゃって」
シェリィ
「い、いえ――」
暗殺事件から一週間が過ぎた。
オルフェリアでは女王クレスニアナの崩御が公式に発表され、妹である宰相レオノーラが第二代女王として即位。隣国シェローティアが宣戦を仕掛けてきたこともあり、国内には動揺が広がっていた。
ニコラたちは、ユセトライアから食事を共にするという名目で呼び出される。
GM/ユセトライア
呼び出されたのは街中の、通が好みそうな小さな料理屋。ユセトライアは「大した用件ではないんだけどね」と言っています。彼はただお忍びがしたかっただけなので。
一同
(苦笑)
ユセトライア
「君たち4人の配属先が決まった。正式な辞令は2日後になるけれど、先に知っておいた方がいいだろう。君たちはコラード=カルタス中将の第七騎士団に所属してもらう」
この世界では慣例的に各国7つの騎士団を保有しており、それが軍事上の最大単位となっている。
オルフェリアにおいては各騎士団の構成員数は1万人ほど。女王直属の第一騎士団を筆頭に、重要なものから順に番号が割り振られている。第七騎士団(通称“安息の闇”)はセレニア閥が唯一保有している騎士団であるが、兵数は8千人弱と少なめで、練度も比較的低い。
ユセトライア
「階級は君が少尉だ、ニコラ。エルンストには曹長としてその下についてもらうことにした」
ニコラ
「えっ!?」と驚く。
ユセトライア
「君にはまだ将としての経験は浅いだろうが、エルンストの補佐があれば小隊長としては問題ないだろう」
エルンスト
……イリーガルな人事だよな、これ。内心動揺を覚えつつも「微力ながら、尽力いたします」と答えよう。
ユセトライア
「クロスとシェリィについては未定なんだけど、ニコラ、君の権限で決めてくれ。軍属にならないというのならそれでも構わない」
ニコラ
突然のことに混乱して何を言っていいのかわからない。
「でも、そんな、僕は……!」戸惑った目でユセトライアを見る。
ユセトライア
「言いたいことは解る。君は将としての教育を受けたわけではないし、経験も圧倒的に足りないからね。本来ならエルンストを少尉にして君をその下に置くのが妥当なんだろうけど――」
ニコラ
「そ、そうです! 僕よりもエルンストさんの方が……」
ユセトライア
「そうもいかない事情があってね。今のエルンストは複雑な立場にある。彼の能力を埋もれさせないために、誰か別の者を上に置いて、エルンストをその下に就けるという形が必要だった」
ニコラ
「…………」
ユセトライア
「ニコラ。君の器量によっては、君がエルンストに使われる形になるかもしれない。例えそうなっても、君を少尉に据えた価値は充分にある」
シェリィ
「……」むっとした表情で睨んでいます。
GM/ユセトライア
しかし気付かないユセトライア(笑) 「でも、僕としては君には期待しているんだ。どうだろうニコラ、受けてもらえるかな?」
ニコラ
「でも、僕は…」半分ファーフニルなのに、と言いそうになってやめた。
「――分かりました。謹んで、お受けさせていただきます。……エルンストさん、これからもよろしくお願いします」
エルンスト
「ニコラ様、これからは貴方が私の上官になります。その言葉は、私が言うべき言葉です」
シェリィ
「私もニコラ様のお手伝いをいたします。何なりとお申し付けくださいませ」
ニコラ
「…ありがとう、シェリィ」と感無量の体で。まだ驚きが覚めやらない。
GM/ユセトライア
君たちが情報を呑み込んだようなら、ユセトライアは話題を切り替える。
「もう知っているだろうけど、我が国はアウグストの宣戦を受けた。すでにシェローティアでは軍が動き出しているようだ。第七騎士団“安息の闇”はシェローティアとの国境に先行して、こちらの主力が到着するまで侵攻を防ぐ必要がある。幸いにして、シェローティアの主力はまだニューフェイスにいるらしい。アウグストが何を考えて今のタイミングで宣戦を布告したのか僕には分からないけど(笑)、おかげで時間ができた。国境には敵の先鋭が攻め寄せるだろうが、第五騎士団“明の夜”が常駐しているから“安息の闇”が到着するまでは持ちこたえてくれるはずだ。合流した第五、第七騎士団が敵を足止めしている間に戦力を整えた第二~第四騎士団で敵を撃退するのが基本戦略になる」
エルンスト
「分かりました」手元に全く情報がないが、偉い人が考えたんだからきっと正しいんだろう(笑)
GM
以上のような話をしてこの場は解散ということで。
エルンスト
「ユセトライア様」呼び止めていいかな。他の3人がいない場で話がしたい。
ユセトライア
「エルンストか、どうしたんだい?」
エルンスト
「この度の人事ですが……。転属は分かります。第三騎士団から別の騎士団に移ることは決まっていたのでしょう。――ですが、曹長になるほどの手柄を立てた覚えはございません」
GM/シルヴィア
どうしようかな。ここはユセトではなくシルヴィアが答えよう。彼女は第七騎士団の幕僚も務めている。「ミューゼル二等兵、あなたの言うことは確かに正論だけど、戦場ではルールが全てに優先するわけではないわ。手柄を立ててから昇進するのでは遅い。有能な者にはそれに相応しい地位に就く義務があるの」
エルンスト
「しかし、それでは軍の規律が…!」
GM/シルヴィア
少し笑う。「あなたの部隊の将兵が、未だにあなたを慕うのも分かる気がするけど……。軍の規律がどうと言うなら、あなたはこの辞令に従うしかない。あなたは軍人でしょう」
エルンスト
「…………仰る通りです」
ユセトライア
「質問はそれだけかな?」
エルンスト
「はい。お時間を取らせてしまい、失礼いたしました」
ユセトライア
「いや、いいんだ。――ニコラのこと、よろしく頼む」
エルンスト
「は。一命に代えましても」
ニコラ
勝手なことやっていいかなー、どう思う?
GM
どうぞご自由に。
ニコラ
じゃあ今の話、こっそり全部耳に入れてたということで!
一同
(笑)
ニコラ
手柄も立てていないのに、とか軍の規律が、とか聞いてしまってエルンストさんには非常に申し訳ないと。戻ってきてからは、ずっと黙って考え込んでいます。
シェリィ
「ニコラ様……? どうかなさいましたか」
ニコラ
「あ…大したことじゃないんだ。大丈夫だよ」と。あまり大丈夫じゃなさそうな様子だけど気にしないで(笑)
シェリィ
「そう、ですか……」話してもらえないことに一抹の寂しさを覚えつつ、詮索もできないので引き下がります。せめてニコラ様の負担が少しでも軽くなるよう、異動に伴う雑務はすべて片付けておきましょう。……私にできるのはそれぐらいですから。
ニコラ
ユセトライアさんの話があった後、クロスさんに声をかけよう。本当はお願いをしたいんだけど、クロスさんの素性とかいろいろなことを知ってしまっているので遠慮して曖昧な物言いになってしまう。「クロスさんは……これから、どうされるおつもりですか?」と、言ってしまってから少し後悔。こんな訊き方じゃだめなのに。
クロス
「ふむ。実のところ、どのようにしても良かったのだが……」何もなければそのまま旅を続けるつもりだったし。「だが、一回りしてわざわざ故郷に帰ってきたのだ。しばらくはここに身を置くのも悪くない」
ニコラ
ところで今の僕は、さっき盗み聞きをしたことで、何か凄いことをやらないといけないという過剰なプレッシャーを抱え込んでいるので察してください。
エルンスト
それは失敗フラグだな。拾う用意をしておかないと(笑)
ニコラ
意を決して。「勝手なお願いだと思うんですけど――」シロウズの過去に対する複雑な思いが胸裏をよぎる。「僕が軍でやっていくことを、手伝ってはいただけないでしょうか」
クロス
「君はそれでいいのか」
ニコラ
「えっ…?」
クロス
「君は、私のことをよく知っているだろう」
ニコラ
「僕は……そんなに長い間ではありませんけど、クロスさんと一緒に旅をさせてもらって。とても頼りになる、信頼できる方だって思いました。クロスさんがいてくれれば、心強いって思っています」
クロス
少し笑う。「……そこまで言われては、このまま引き下がるわけにはいかないな」
雰囲気を改めて「ニコラ殿。――私の力を貸そう」
ニコラ
「あ……ありがとうございます!」
その日の夕刻。
エルンストは仕事を終わらせ、今の居所である第三騎士団所有の一般兵舎に戻ってきていた。そこにニコラが訪れてくる。
エルンスト
ところで、今の私は何の仕事をしているんだろう。
GM
草むしりしてます。
シェリィ
その立派な槍で一薙ぎにしてるんですね。《烈震撃》とかありますし。
同僚
「エルンストさんが作業した後は、トンボで地均しするのがたいへんなんです」
エルンスト
じゃあやらせるなー!(笑)
パスツール
「いや続けさせろ、草にかぶれて死ぬかもしれん」
一同
(笑)
エルンスト
ニコラを自分の部屋に通そう。本当に何もない部屋だが、お茶ぐらいは出せるか。
ニコラ
立ち聞きのこともあって、エルンストを前にして少し緊張している。「その……。あの後、エルンストさんがどう考えているのか、ちゃんと話をしていませんでしたから」
エルンスト
「私の考え、ですか?」
ニコラ
「はい。今回、ユセトライア様のお言葉で小隊長を任されることになって…。エルンストさんはずっと第三騎士団におられたのに、僕に巻き込まれるように異動することになって、嫌じゃないのかとか、そんなことを聞くこともできなかったので……」ちょっとわたわたしながら言う。で、エルンストをじっと見つめる。
エルンスト
……困ったな。ここは少し厳しいことも言っておくべきか。
「ニコラ様。私は軍人ですから、誰の下に就くのが好きだとか嫌いだとか、そういう仕事をしているわけではありません。ですから、それがニコラ様の下であろうと誰の下であろうと全力を尽くす、それだけです」
ニコラ
「――はい。僕、突然こういうことになって、分からないことでいっぱいです。僕に何ができるのかまだ想像もできないですけど、精一杯がんばりますから…よろしくお願いします」
エルンスト
「――こちらこそ、よろしくお願いします」
ニコラは今いくつだっけ……14か。「私も、14の折には戦場に出ておりました。ニコラ様なら、きっと大丈夫ですよ」
ニコラ
心強いお言葉を頂いて、勇んで帰りますよ。勇み足を踏む準備は万全です!
エルンスト
シェリィにあなたがついていながら、と怒られる準備も万全です。
一同
(笑)
GM
これはおもしろくなってきた。
エルンスト
ニコラが帰ってしばらくしたら、私も休もうか。実はエルンストは睡眠をとらない。変わりに深い「瞑想」をする。
GM
どう違うんですか。
エルンスト
それは本人にしかわからない、でも物音がしたら飛び起きる。そういう能力として位置付けてみた。最近は瞑想の中で、いつも同じ事を考えている。
脳裏に浮かぶのは一人の女。闇に溶け込むような軍装で、鞘に収めた刀の柄に手を添えている。
次の瞬間には斬り捨てられそうな圧倒的な威圧感。知っている限りの技を試してみるが、結果はどれも変わらない。
目を開けて、ただいつもと同じ呟きを繰り返す。
「また、勝てなかったか……」
一方、エルンストの元から帰っていったニコラは。
シェリィ
「ニコラ様、どちらへお出になられていたのですか!?」知っていたらきっとついて行って話をこじらせていたから、後からいないことに気付いて心配していたという方向で。
ニコラ
「エルンストさんのところへ行ってきたんだ」
シェリィ
「ミューゼル様のところへ?」嫌な顔をする。
エルンスト
(苦笑)
ニコラ
「うん。僕よりも、ずっと軍人としての経験がある方だから……。今回は僕の部下という形になるけれど、これからもよろしくお願いしますって」
シェリィ
「そう…ですか……」塞ぎ込んでいたニコラ様の表情が明るくなっていることを嬉しく思いつつも、こう、言葉にできないもやもやとした感情が。
ニコラ
「シェリィ、明後日以降は出陣の準備で忙しくなると思うから……明日ぐらいに家を探しに行った方がいいと思うんだ」
シェリィ
「? 家……ですか?」
ニコラ
「うん。だって僕が南方に出ている間、シェリィが暮らす場所が必要だろう?」爽やかにそんな発言をするよ、あくまで思いやりから(笑)
シェリィ
…………。ガクッとうなだれます。「……ニコラ様。また、私を置いていかれるおつもりなのですか」
ニコラ
「え、でも……。戦場は危ないよ、シェリィを危険な目に遭わせるわけには」(笑)
シェリィ
「だからこそ、私がお傍にお仕えして――!」言いかけて、思わず笑ってしまいます。「……前にも、こんなやり取りをしましたね」
ニコラ
「うん」釣られて笑う。
シェリィ
「……ニコラ様。私の気持ちは、あのときと変わりません」
ニコラ
「シェリィ……。ごめん、僕が悪かった。でも――」と一言付け加えよう。「でもやっぱり明日は、家を見に行こうよ」
シェリィ
「え、どうして…?」
ニコラ
「あの屋敷を出てからずっと、僕らにはちゃんとした家がなかったけど……。もう、戻ってくる場所ができたんだから」
シェリィ
「あ……。じゃあ、私達2人の家と、いうことですか……?」
ニコラ
「うん。小さくてもいいから帰れる場所が欲しいし」
シェリィ
「そんな、私には勿体無い扱いです。……ですが、ありがとうございます」
ニコラ
家があれば、シェリィも昔みたいにできるんじゃないかと。今は殺伐としたことをさせてしまっているけど、そんなことをしたいわけじゃないはずだ。
GM
いやいや、殺伐大好きですよ。
エルンスト
そうそう、血には逆らえない。
シェリィ
…………。
GM
さて、翌日になった。辞令を受ける者は、直属の上司である中隊長の元に呼び出される。君たち3人は…いや、メイドもついてくるなら結局4人か。
エルンスト
あれ、つまりシェリィは軍属にはならないということか。
シェリィ
私の主はニコラ様です。オルフェリアに仕える気はありません。
エルンスト
周りからどういう扱いになるんだ。中将あたりが女を侍らせているのと同じか。
ニコラ
それを少尉の身でやっている、と。……問題になるよね。
嫌味な貴族
「まったく、お坊ちゃまは育ちがよくていらっしゃる」
嫌味な貴族2
「腐っても貴族ということですかな、ほほ」
ニコラ
いや、そういうイベントはもうちょっと後でしょ!? やれと言われたらやるけど!(笑)
GM
さて。騎士団の建物に入ると、上官の部屋の前まで案内される。ノックすると「入れ」と返答があるが、ニコラはその声に聞き覚えが。
ニコラ
これはまさか……。記憶を洗いつつ、「はい、失礼します」と中に入ろう。
GM
扉を開けると正面にデスクがあり、その向こうに腕を組んで座っている人物が一人。あなたの兄です。
ニコラ
ああ、やっぱり(笑)
プラド=セラ=クラウス中尉。
ニコラの腹違いの兄で、フランセスクの前妻の息子なので弟とは違って純血の人間である。
クラウス家の没落が明白になった頃に母親の実家に引き取られ、ニコラとはそれ以降顔を合わせていない。ファーフニルのことは蛇蝎のごとく嫌っている。無論ニコラのことも嫌っている。
ニコラ
ひょっとして、彼がこの部隊にニコラを呼んだんじゃないよね?
GM
それはない。プラドの方も、何の嫌がらせだこれは、と思ってる。
一同
(笑)
エルンスト
ニコラが戸惑っているようなので助け舟を出そう。「ニコラ少尉以下3名、参りました」
GM/プラド
そう言われると彼も仕事は果たす。「よく来た。本日付でニコラ=フランセスク=クラウス=ジュニアを少尉と任じ、第11中隊所属第13小隊の隊長に任命する。及び、エルンスト=ミューゼル以下3名を……」以下省略。
シェリィ
3名?
GM
間違えた(笑) 3名と言いかけて2名と訂正しよう。で、忌々しそうな目でシェリィを見る。
ニコラ
「謹んで、お受けいたします」
GM/プラド
プラドは目を細めて、「――まさかお前が軍に入れるとはな。それも少尉か! どこでそんなコネを見つけたんだ?」
ニコラ
そう言われて、身に余る階級なんだということを改めて自覚する。「未熟者ですが、頂いた位に見合う働きができるよう、努力したいと思います」
プラド
「口だけは立派だな。実戦経験もない小僧が俺の下に付くとは、まったくいい迷惑だ」
ニコラ
ぐさぐさぐさ。
シェリィ
「……ニコラ様は正規の辞令を受けてこの役に就かれたはずです。それを侮辱するような言い方はやめていただけますか」
プラド
「黙れ! そもそも、お前は何故ここにいる?」
シェリィ
「私はニコラ様にお仕えしている身ですから」
プラド
「なら、その罪はニコラにあるということだな」
エルンスト
割り込んで言う。「申し訳ございません! 私がきちんと説明しておりませんでした」
GM/プラド
「……まあいい。今後は慎むように」エルンストのことも嫌いなんだが、こいつ強いからちょっと怖い。
一同
小物だ……(笑)
プラド
「話は終わりだ、さっさと行け!」
ニコラ
「は、はい。失礼いたします」
プラド
「……第13小隊は、つい最近召集された新兵ばかりだ。せいぜいしっかり訓練しておくんだな。お前の部隊が足を引っ張るようなら、俺は中隊指揮官として然るべき処置を取る」
ニコラ
「ご忠告、ありがとうございます。期待に応えられるよう頑張ります」
GM
軽く鼻を鳴らす。どうせ結果は分かってるしな、という感じに。
ニコラ
兄さんのことを頑張って善意に解釈しよう。これでいいところもあるんだ! 一度も見たことはないけれど!
クロス
それってどうなんだ(笑)
ニコラ
嫌われてはいても、僕の方からは兄さんをむしろ慕っている方向で。「……プラド中尉が上官で、良かったと思います。これからも、昔みたいにいろいろと教えてください」子犬のような眼で見る(笑)
プラド
「余計な口を叩くな! さっさとそこのファーフニルを連れて出て行け。部屋が汚れる」
ニコラ
ちょっと狭量なのは兄さんのよくないところだ。他にいいところがあるのに。
GM
こいつ(笑) いっそ激昂して殴りかかってくればいいものを。
ニコラ
「シェリィ。兄さんはきっと、父さんがああいう風になってしまったことで、すごく苦しんでいるんだ。だから、ファーフニルに辛くあたってしまうんだと思う。だから……ごめん」
シェリィ
「ニコラ様……」
ニコラ
すごい善意に解釈してみた。ちなみに、父が失脚する前から兄さんがファーフニルを嫌っていたことには目を瞑っています(笑)
GM
だめじゃないですか、それ。
シェリィ
「私のことでしたらお気になさらずに。あのぐらいは、よくあることですから。それよりも、差し出がましい口を挟んで申し訳ございませんでした」
ニコラ
「いいんだ、シェリィが僕のために言ってくれたことはわかっているから――」
エルンスト
長くなりそうな気配を察して割り込もう。「ニコラ様、申し訳ありません。シェリィもすまない。私が一言いっておくべきでした。……ただ、こういったことはこの先も何度もあるでしょう。そのことは覚悟しておいてください」
その後ニコラは同僚の小隊長との顔合わせもすませ、いよいよこれから部下となる第13小隊の兵士達に挨拶をすることになった。
「クラウス隊長に、敬礼!」総勢30名の兵士は皆新兵らしく、十代後半の若者ばかりである。その中でもリーダーらしい頼りなさげな印象の青年が、緊張した面持ちで前に進み出る。
「ぼ、僕は、先任のコルト=ベルタ軍曹であります! こ、これから何でもお申し付けください!」
GM
ガチガチに緊張してどもりながら、そんな台詞を言う。こんな調子でも彼がこの小隊では一番ましなんだ。
ニコラ
ちょっとキリッとした表情で全員に挨拶をする。「第七騎士団第11中隊所属、第13小隊の隊長に任ぜられましたニコラ=フランセスク=クラウス=ジュニアといいます。プラド中尉から伺いましたが、皆さんも今回初めて軍に入り、これから初陣を迎えると聞いています。私自身、こういった形で戦場に出るのは初めてのことですから、皆さんの不安もわかるつもりです。幸い、この隊には2人の経験豊富な方がいらっしゃいますから――」と、紹介しよう。
兵士達
「おい、あれってまさか――」「しかし、横の仮面は誰なんだ?」「それよりも、あっちのメイドが気になる」(笑)
ニコラ
「こちらは元・第三騎士団の准将であられた、エルンスト=ミューゼルさんです」
エルンスト
敬礼して「よろしく」と。
兵士達
「おいおい」「マジかよ…」
ニコラ
「当隊の曹長を務めていただきます。それと、こちらの方は――」
クロス
「クロスだ。この姿について、いろいろと疑問に思う者もあるだろうが……。私はこう見えても、各地で傭兵として、あるいは将として様々な戦争に関わってきた。この仮面は、君たちを過剰に怯えさせないためだと思ってくれ。深い傷があるのでな」
兵士達
ざわざわ……。
ニコラ
メイドのことは保留で(笑) そのうち紹介する機会もあるだろう……。
GM
兵士達は興味津々な視線を向けてくるけど。
シェリィ
……無視します。
出陣までもうほとんど日もないが、少しでも時間は無駄にできないと、早速エルンストによる厳しい訓練が始められることとなった。
一方、慣れない軍務に励むコルト=ベルタ軍曹。
彼が命じられた書類を取りに資料室に入ると、そこで思わぬ先客に遭遇する。
シェリィ
私は事務仕事をしている手を休めず、視線だけでコルトの方を見ます。「何か?」
コルト
「あの、そのぉ……。これこれという書類を取ってこいと、隊長が」
シェリィ
「そうですか。私に構わず、ご自由にどうぞ」とだけ言って、以降私は沈黙します。きっと間がもたない。
GM/コルト
君は彼を理解しているな。ごそごそ書類を探しながら、なかなか見つからないことに焦るコルト。「あ~……。シェリィさんは隊長と、その……どういうご関係なんですか? あ、あの、部隊のみんなも気になってるみたいですし……」
シェリィ
「私は、ニコラ様がクラウス家のお屋敷にいらっしゃったころからお仕えしていました。クラウスの家は没落しましたが、あの方が私の主であることは変わりません」
コルト
「えっと、それって……」
ニコラ
いけ、頑張れコルト!
エルンスト
皆が聞きたくて聞けなかったことを今ここで聞いてしまえ。
コルト
「それって、押しかけ女房ってやつですか?」(笑)
シェリィ
……………………。作業していた手を止めます。「そのようなものではありません。……私は幼い頃に、故郷も家族も失くしました。その私に、新たな居場所を与えてくださったのがあの方なのです。そのご恩に報いたいだけです」
GM/コルト
「……。でも、この場所にいるのってシェリィさんにとっては辛いことが多いんじゃないですか?」いちいち描写はしないが、プラドに言われたようなことを君は割と日常的にされていると思って。「……正直に言えば僕も、あなたたちファーフニルのことが苦手です」
シェリィ
まあ、そうでしょうね。
GM/コルト
「そこまでしてでも、隊長の傍にいなければならないんですか…?」訊いてしまった後、コルトはちょっとしまったな、という顔をしている。
シェリィ
どこまで話そう。……少し気を許してみましょうか、正直そうな人だし。
「不安、なんです。いつかニコラ様が、私の手の届かないところにいってしまいそうな気がして。――それに、辛くないと言えば嘘になるかもしれませんが……もう、慣れましたから」
GM/コルト
「…………」かける言葉が見つからない。そこで運良く書類を見つける。「す、すみません、立ち入ったことを訊いてしまって。じゃあ、僕はこれで…!」
シェリィ
……仕事の手を止めたまま、黙って背中を見送りました。
翌日。小隊長の椅子に腰を落ち着けたニコラの元に、意外な来客が訪ねてきた。
GM/コルト
「失礼します!」コルトが入ってくる。「クラウス隊長。隊長の知り合いだという方が来られているんですけど、あの、その……」
ニコラ
「お名前は、なんと?」
GM/コルト/パルサー
「それが、ファーフニルみたいなので、その……」などと言っている間に、天幕を押し開いて客が勝手に入ってくる。前回暗殺の容疑で捕まっていたファーフニル、パルサーだ。パルサーはコルトに詰め寄り「オイ、今ファーフニルがどうとか言ったな。それがどうかしたか?」と凄味を利かせる。
クロス
コルトも可哀想に。
パルサー
「はっきり言えよ。何か言いたいことがあるんだろ、おい!」(笑)
ニコラ
「パルサーさん、コルトさんは軍内の僕の立場を心配して言ってくれただけですから……申し訳ありません」
GM/パルサー
チッ、と舌打ちし掴んでいた胸倉を離す。コルトは胸を撫で下ろしている。「まあいいや。そんな話をしにきたんじゃねえんだ」
ニコラ
「お茶でもどうぞ。今、シェリィが淹れてくれているはずですから」
シェリィ
「ニコラ様、お茶が入り…………。あなたですか」
パルサー
「よう、久しぶりだな。元気か?」
シェリィ
「……あなたは元気そうですね。この間まで牢獄にいたというのに、出てきて早々騒ぎを起こすつもりですか」
GM/パルサー
「相変わらず冷たいな、お前は」パルサーは勧められてもいないのに勝手に椅子に座り、お茶を啜る。
ニコラ
「でも、本当に無事で良かったです」
GM/パルサー
「ああ、お前には感謝している」と言うと、パルサーは背負っていた袋から酒瓶を取り出してドンと机に置く。「この前の礼だ。お前のおかげで、捕まっていた沢山のファーフニルが自由の身になれた。で、俺が代表ってことでここに来たわけだ」
ニコラ
「皆さん、じゃあ……」
パルサー
「無事だよ。まあ、全部今まで通りってわけにはいかねえがな」
ニコラ
良かった。ところで、お酒は僕にはちょっと早いんじゃないだろうか(笑)
GM
うん。ファーフニル用のかなり強い酒で“赤い黄金”という銘柄だ。ニコラの口に合うかどうかは知らない。まあ、シェリィはいけるんじゃないかな。
シェリィ
「この銘柄ですか。……懐かしいですね」
GM/パルサー
「ああ。こいつを造れる奴も、今では少なくなっちまったからな……」と、ここでパルサーは居住いを改める。「ところで実はこっちが本題なんだが、ニコラ。お前がいったい何を考えているのか聞きたくてな」
ニコラ
「え……?」
GM/パルサー
天幕の中を見回して「軍人になったらしいが、なんでオルフェリアなんかに仕えるんだ。今までこの国が、俺たちに何かいいことでもしてくれたか?」
シェリィ
私も気になる話題なので、黙ってニコラ様を注視しています。
ニコラ
真剣な表情になって。「パルサーさんが仰るとおり――」
パルサー
「仰るとおりとかいうのはやめろ。むず痒くなる」
ニコラ
あう。
シェリィ
「あなたこそ、少しは口を慎んだらどうですか」
GM/パルサー
「お前が慎み過ぎなんだよ」と顔を逸らす。まともに注意を聞く気はないようだ。
シェリィ
……まあ、言っても無駄ということはこれまでに嫌というほどわかっていますから。
ニコラ
「パルサーさんの言うとおりだと思います。だから僕は、僕の中に流れるもう半分の血――オルフェリアの人間として、ファーフニルのみんなに何かをしなければいけないと思うんです。それは、まだ具体的にはあまり考えられていないんですけど……。父さんがしてきたようなことを、僕も」
パルサー
「おいおい待てよ。その親父さんでさえ無理だったんだぜ。オルフェリアはファーフニルのことを人間だなんて思ってねえ。お前も親父さんのようになりたいのか」
ニコラ
「……父さんはたしかに、道半ばで倒れてしまいました。でも、種を蒔いてくれたんです。僕がここに少尉として座っていられるのも、その種のおかげだと思うんです。そして種は、水をまかなければ…芽を出しませんから」
パルサー
「まったく、お前も言うようになったな。――シェリィ! お前、ちゃんとこいつを止めたんだろうな?」
シェリィ
「そ、それは……」口ごもる。止めようとはしましたよ、視線で(笑)
GM/パルサー
「お前はこいつに甘過ぎるんだよ」とぼやくが、それはそれだ。「仕方ねえ。この前の借りもある。俺が手を貸してやるよ」
シェリィ
「どういう意味ですか」
パルサー
「俺もこの部隊に入って戦ってやるって言ってるんだ」
ニコラ
「本当ですか!? ありがとうございます!」それに伴うトラブルとか一切考えてない(笑)
パルサー
「おう、せいぜい恩に着ろよ。……しかし、ニコラが隊長か。これからどう呼べばいいんだ?」
ニコラ
「今まで通り、ニコラでいいです」
シェリィ
「……パルサー。念のため言っておきますが、ニコラ様はあなたの上官になるのですよ」
パルサー
「そうか。じゃあよろしくな、ニコラ!」(笑)
シェリィ
え、ちょっと……。
エルンスト
上官の命令は絶対だからな、仕方ない。
シェリィ
…………。
ニコラ
その足でパルサーのことを中隊長にお願いしようとしに行くので、誰か止めてください(笑)
クロス
「どうかしたのか」
ニコラ
「あ、クロスさん。実は先ほどパルサーさんがいらして、僕に力を貸して戦ってくれると仰ってくれたんです。そのことを中尉にご報告にあがろうと」
クロス
「……待て。いきなりそんな話をされては、プラド中尉もお困りだろう。ここは私に任せておけ」
ニコラ
何をするのか教えて欲しいんだけど(笑) 任せておけと言われたら任せてしまう。
クロス
では、とりあえずはパルサー任用の上申書にニコラの判だけ押しておいてもらうとしよう。私は少々出かけるところがある。
その日の午後。
第三騎士団長セプター=パスツールは、愛用の高級サロンで今日も思索に耽っていた。幾多の謀略を張り巡らせている彼が考えるべきことは数多い。
そんなときに、こんな噂話が耳に入ってくる。
「聞きましたか。なんでも、処刑されたフランセスク=クラウスの落とし胤が、この度第七騎士団の尉官に任命されたとか」
「しかも、その下に付いているのは元准将のエルンスト=ミューゼルという話ではありませんか。もしや、今回の戦で手柄を立てて汚名返上を狙っているのではありますまいか」
思わぬところで耳にした葬り去ったはずの仇敵の名前に、パスツールは苛立ちを抱えたまま席を立ち去った。
怒りと、僅かばかりの不安を胸に職務に戻ったパスツールの元に、とある報告があがってくる。件の第13小隊からの、兵士の追加任用願。対象はファーフニルであるらしい。
――ここの中隊指揮官は大のファーフニル嫌いであると聞く。
――しかも、エルンストは過去の行状からファーフニルには酷く憎まれている。
「これは……ひと悶着起きそうだな」
思索を巡らせたパスツールは、髭を捻りつつ上機嫌で書類に判を押すのだった。
ニコラ
パスツールには『妄将』の称号を贈りたい(笑)
ニコラ
パルサーの着任が決まったのはいいけど、隊のみんなにもちゃんと説明しておかないといけないな。翌朝の出発の前に、みんなを集めて話をします。
GM
兵士達が整列する。連日の猛訓練でみんなかなり眠そうだ。
エルンスト
整列に少しは訓練の成果が現れていると思いたい。
ニコラ
「――皆さん。今さら改めてお話しすることでもないかと思いますけど、私の母親は…ファーフニルでした」
兵士達
ざわざわ、ざわざわ。
ニコラ
「でも――。父方であるクラウス家の人間として僕はオルフェリアを愛していますし、母方のファーフニルの血も、このリーンの地を愛しています。この国を思う気持ちは、皆さんと同じつもりです。ファーフニルも人間も、そういうところは変わらないんだっていうことを、僕と同じように皆さんには思っていて欲しいんです」
GM
……兵士達は神妙な顔で聞いている。
ニコラ
「できてからまだ3日しか経っていない部隊ですが、また新たに仲間が一人加わります。本日付で入隊した、パルサーさんです」
GM/パルサー
出てくればいいのかな。普段どおりとはさすがに言わないが、努めて普通の調子でニコラの横に並ぼう。「よろしく頼む」
ニコラ
「こういう部隊は他には少ないと思いますが、僕が人間とファーフニルの血を引いている以上、この隊では人間もファーフニルも分け隔てなく迎え入れます。そのことに異見がある方もいらっしゃるかもしれませんが、僕についてきて欲しいと…思っています」
南方への進軍が開始された。
予定されている行軍期間は約1ヶ月。その後には、第13小隊としては初めての戦場に出ることになる。
――今こうして隣に立っている者も、1ヶ月先にはもういないかもしれない。新兵たちを覆う不安は、拭い去れそうになかった。
GM
エルンストは、訓練の効果が今ひとつ薄いと感じる。これは技術的なものというよりは精神的なものでね。ぶっちゃけ、命を賭けてまで国のために戦う気になれない。
ニコラ
フレイスのときとはどこか違う…と、理屈じゃなく雰囲気でなんとなく感じ取っている。
GM
で、その問題とは別に。パルサーはエルンストの訓練に参加しない。出会っても無視をする。彼にとってあなたは“親殺し”ですから。
エルンスト
ふむ。……良いことではないが、果たして説得できるだろうか。
GM
さて、ここらで新キャラを登場させておこうか。実は小隊にはそれぞれ、ジョシュア神殿から派遣されてきた神官がいる。救護兵としてね。命令には従うが、国ではなく神殿に所属しているので厳密には部下ではない。そんな従軍神官がこの隊にも一人付いている。名前はセレナ=グランツァ。
「おい! 本当に治ったのか、これで?」
「……魔法は効果を現しています。痛みもないはずですが」救護用のテントの陰で、セレナと小隊の兵士の一人が口論をしている。
「でも痛いんだ! もしかしたら傷口が開くかもしれないし、包帯を巻いておいてくれないか。包帯はあっちのテントの中にあるんだろ、ついてきてくれないか――」
GM
という場面にクロスは出くわす。
クロス
こいつは……(笑) 連日の訓練で疲労しているだろうに、元気なことだな。「何をしている」
兵士
「……クロス曹長。何の用ですか」
クロス
「腕を怪我したそうだな。見せてみろ」と確認し、「――特に問題はないようだが」
兵士
「そ、そうですね。言われてみると痛みもとれてきました」
クロス
「ならば早く訓練に戻ることだな。これは君のために言っている」
GM/兵士/セレナ
「……はい、失礼します」兵士は君を睨み付け、そそくさとその場を去る。「助かりました」とセレナが礼を述べる。クールな雰囲気の人だ。
クロス
「いろいろと面倒事もあるだろうが、我慢していただきたい」
セレナ
「それは……こういう役目ですから」
クロス
「まあ、うちの連中よりは慣れてくれているようで助かる」
GM
うん、君なら見抜いてもいいだろう。彼女は救護兵として、これまで相当修羅場をくぐってきたようだ。
クロス
ほう。
GM/セレナ
「ところでクロス様は、将として各国を回られたと話しておられましたね。詳しくお聞きしてもよろしいですか」興味ありげに聞いてくる。
クロス
適当に、今まで見てきた戦いのひとつ……フォーラあたりで起きたクリーチャー討伐戦の話でもしようか。
セレナ
「なるほど、そのようなことが……。やはりフォーラのような森林においては、リーンの地形で戦うのとはまた別の戦術が求められるのでしょうか」
クロス
「海戦と陸戦ではまた勝手も変わるが、地に足をつけて戦うならば基本は同じだ」
GM/セレナ
海戦の経験もあるのか、と彼女はより興味を惹かれた様子。だが突然思い出したように「すみません、私はもう持ち場に戻らなければ。お話の続きは、また機会がありましたら是非」
クロス
「ああ」――変わったことに興味を持つ女性だな。
訓練に参加しようとしないパルサーに、エルンストは呼び出しをかける。
だがパルサーはそれも無視。そこでエルンストは、直接パルサーのテントまで出向いて話をしようと試みた。
GM
パルサーはあなたに背を向けて寝ている。狸寝入り。
エルンスト
その前に腰掛けて言う。「呼んだはずだが。パルサー、私の命令が聞けないのか?」
パルサー
「……ああ、聞けないな。アンタの命令を聞いていたら命がいくらあっても足りゃしねえ。何せ俺は“ファーフニル”だからな」
エルンスト
「まるで、私がファーフニルを選んで殺しているかのような物言いだな」
GM/パルサー
パルサーはカチンときてそちらに顔を向ける。「違うのか? 落ちぶれる前は随分上の方までいってたみたいだが……偉くなれたのは、全部俺たちを殺した手柄だって聞くぜ」
エルンスト
「私が過去において、ファーフニルを幾人も斬ったことは事実だ。だが私は、お前や、クラウス少尉や、シェリィを――守るつもりでいる」
GM/パルサー
気に入らない。立ち上がって怒鳴る。「バカ野郎、ふざけたこと言ってんじゃねえ! あのとき殺しておいて、今度は守るだと? そんな言葉、誰が信用するかよ! ニコラやシェリィを守るのにお前なんか必要ねえ。……表に出な」
パルサーは立て掛けておいた大剣を掴み、外に出る。ディフェンダーを持ったエルンストもそれに続き、両者は数間の距離を置いて対峙した。
この騒ぎは、瞬く間に小隊中に知れ渡ることになる。
シェリィ
「これは何の騒ぎですか。……パルサー。あなた、あれほど問題を起こすなと――!」
パルサー
「……悪いな。やっぱり俺は、こいつを許しておくことはできねえ」
エルンスト
駆けつけてきたニコラに。「クラウス少尉。……ご迷惑をおかけします」
ニコラ
黙って小さく肯く。ここは信じた。
パルサー
「分かってると思うが、俺はアンタを殺す気だ。単なる試合だと思ってるなら、逃げ出した方がいいぜ」
エルンスト
「殺すつもりなら、言葉は必要ないだろう」挑発してみた。
GM
舌打ちをひとつ。大剣を構えて斬りかかる。「渾身の一撃」! (ころころ)命中24。
エルンスト
(ころころ)「斬り返し」を発動させつつ受けた。
GM
さらに「戦:炎」を発動させ(ころころ)ダメージは70。
エルンスト
(ころころ)15点もらった。「この程度で、ニコラ様やシェリィを守るだと…? 自惚れるな!」敢えて槍ではなく、逆手の拳で「渾身の一撃」。
GM
こいつ、腹の立つ(笑)
エルンスト
命中値は(ころころ)20。
GM
ダイス目で15か……。(ころころ)クリティカルして(ころころ)よし、避けたっ!
クロス
……これは締まらない。
ニコラ
なんて空気を読まないダイス目(笑)
GM
これが彼の底力だ。
そこから2ラウンドほど戦いは続く。
拳をもらってもパルサーに引く気がないのを見てとったエルンストは、ついにディフェンダーを構える。突き出された槍の穂先は、正確にパルサーの喉元を貫いた――かに見えたが。
シェリィ
「パルサー……っ!」息を呑みます。
エルンスト
寸前で槍は止めておく。
パルサー
「……どうした、殺さねえのか」
エルンスト
「こんなところで死んでいいのか? そうやって誰彼構わず噛み付いていては……どの道、いずれ死ぬぞ。それが本当に、お前が守りたいと思っている人達のためになるなどと思っているのか」
パルサー
「…………」
エルンスト
「ニコラ様は……オルフェリアという国とファーフニルの関係を、少しでも良くなさろうとされている。今のお前とニコラ様と、どちらがファーフニルの為になるんだ」
GM/パルサー
「……」一言も言い返せずにいるが、こいつにここまで言われるのは気に食わない、という感じです。
エルンスト
まあ、そうだろう。
ニコラ
手を叩いて、そこに割って入ろう。「そこまでにしてください。ご存知だと思いますが、オルフェリア軍では軍内での私闘は禁止されています。幸い、大きな怪我はなかったようですが、軍規を破ったことをそのままにしておくことはできません」
エルンスト
「はっ」と畏まる。
GM
渋々肯いた。
ニコラ
「では罰として……2人で、明日の朝までにこれを空けておいてください」と、以前パルサーにもらった酒瓶を2人に渡そう。
一同
(笑)
エルンスト
え。「ニコラ様、これは――?」
パルサー
「俺が持ってきた酒だよ。……あいつ、飲んでなかったのか」
ニコラ
そんな濃いお酒、僕には無理だからー!(笑)
エルンスト
「……杯を取りに行かなくてはな」
シェリィ
エルンストが席を外している間に、パルサーの傍に寄ります。「顔を、見せてください。殴られていましたよね」傷の様子を見て、「この程度であれば、2~3日もすれば痕もなくなるでしょう」と手当てを始める。
パルサー
「悪いな」
シェリィ
「いえ――」手当てを続けながら。「……私も昔、あなたと同じようなことをやりました。全部、返り討ちにされましたけど」
エルンスト
そんなことがあったようだ。
シェリィ
ええ、暗殺未遂を何度か(笑) 過去、クラウス家でエルンストと初めて顔を合わせた頃の話ということで。「途中で空しくなってやめてしまいました。私がいくら敵意を向けても、あの人はそれに応えてはくれませんでしたから」
GM
パルサーは続きを促すように君を見る。
シェリィ
「……そういう人なんです、あの人は。仮に国から死ねと命じられれば、躊躇わずに命を差し出すでしょう。今は国の命令でニコラ様の補佐についているのですから……そういう意味では、逆に信用はおけるのですが」
パルサー
「だが、俺はあいつを許しておくことはできねえ。いくら今が味方だからって、それで仲良くしなくちゃいけねえのかよ!?」
シェリィ
「私だって納得しているわけではありません。ですが、あの人個人を恨んだところで仕方ないと思うのです。本当に恨むべき者は――他にいます」
GM
ということらしいが、クロス?
クロス
……。
「パルサー。軍という組織の中では、上官をよく思わない者は沢山いるさ。この隊の中にしてもそうだろう。――だが、命令には従ってほしい。それがお前の為にもなると思う」
「分かったよ。…………。おい、今回は――いや、いい」何かを言いかけてパルサーは口を噤む。エルンストも口を開こうとして、やめる。
再び、両者の間に微妙な沈黙が流れる。だがそれは、決して以前のような険悪なものではなかった。
無言のまま杯を傾け、夜は静かに更けていく。
「……旨いな、この酒は」
「……そうだな」
ニコラ
「ところで、シェリィ。父さんはあのお酒、飲めたのかな?」
シェリィ
「旦那様は3杯はいかれましたよ。その後、お倒れになられましたが」
エルンスト
待て、私はその酒を瓶半分空けなければならないのに(笑)
その日の深夜。
ふと気配を感じて起き出したシェリィは、第13小隊のテント近くの暗がりで数人が集まって話をしているのを見つけた。漏れ聞こえる会話で、「決行は5日後……」「カサン……火を……」という単語が耳に入る。
こちらの存在に気が付くと、人影はあっという間に散って第13小隊にいくつかあるテントに入っていった。
シェリィから相談を受けたクロスは、この件はニコラにはまだ伏せておくことを指示し、翌日になった。
その日の内に、騎士団全体にとある噂が広まる。
騎士団が4日後に駐屯するカサンという村がある。その村の周辺で高位のクリーチャーが発生しているらしい、危険なのではないか――。
GM
という、あくまで噂ですが。しかし、小隊には不安が広がっています。
ニコラ
なんとかしないといけないよね。誰かに相談しにいこうかな……。
エルンスト
申し訳ない、私は今日一日寝込んでいる(笑)
ニコラはクロスの元へ赴き、善後策を相談する。
翌日。
第13小隊の中で、別の噂が広まり始めた。
曰く、例のクリーチャーはファーフニルを襲わないらしい。その証拠に、ファーフニルは組織された軍隊も持たずにリーンの奥地で生活しているではないか。ファーフニルが3人もいるこの隊なら、他よりも少しは安全なのではないか――。
クロス
兵の不安を取り除きつつ、ファーフニルへの嫌悪感も軽減する。「まったくの出鱈目だが、嘘も方便というやつだ」
ニコラ
「はい」こくりと素直に肯く。
シェリィ
「ですが……そんな嘘をついて、実際にクリーチャーが襲ってきたらどうするのですか」
クロス
「この策は場凌ぎ的なものだ。実際にクリーチャーとの戦闘が発生するようなら、そのときはまた対策を考える。私を信用してもらいたい」
パルサー
「俺はあまり頭はよくねーからな。アンタのやることに任せるぜ」
クロス
「妙な注目を浴びることになる君たちにとっては不快かもしれないが、我慢してもらいたい。すべて私が悪いのだと思ってくれ」
シェリィ
「……仕方がありませんね」
次の日、本部から布告が届く。第七騎士団長カルタス中将の署名で、カサン村付近における警備の数を増やし、陣地も堅牢に造る――という内容である。これにより兵士達の不安は大方払拭される。
同日、第七騎士団に同行していた督戦隊の長が第13小隊を訪れる。以前の事件で因縁のあったランクス=プレサージュ中佐との、思わぬ再会であった。
ランクス
「久しぶりだな。クラウス隊長という呼ばれ方にはもう慣れたのか」
ニコラ
「いえ、まだ……」
ランクス
「だろうな。行軍初日にしてひと悶着起こしたと聞いた」
ニコラ
う、恐縮した。耳に届いてるんだ。
GM
何せ督戦隊ですから。エルンストにも一瞥を向けるが、それだけにして本題に入る。
ランクスの話では、シェローティアの工作員が第11中隊に潜り込んでいる可能性があるらしい。昨晩、第11中隊付近で不穏な相談をしている兵の一団が目撃されたため、調査と警告のためにやって来たという。
目ぼしい情報が得られれば通報するように要請し、ランクスはその場を去っていった。
その晩、夜更けまで張り込みをして怪しい動きがないか調査をしていたシェリィ。第13小隊のテントのひとつから、不穏な会話を漏れ聞くことに成功した。
それによると、おそらくシェローティアの工作員と目される一部の者が、戦場に出たくない兵達を煽って脱走の計画を立てているらしい。
小隊の責任者であるニコラは、決断を迫られることになる。
GM
村に到着する直前の夕食の席で、隊のみんなに話をします。「皆さん。食事をしながらでいいので、少しの間僕の話を聞いてください――」
「僕には、目標があります。ひとつは僕の家、クラウス家を再興すること。もうひとつは、父が果たそうとした国造りを――人間とファーフニルが手を取り合って生きられる社会を、実現することです。そのために、僕は望んで次の戦場に立ちます。
皆さんの中にはそうではない、望まずにここまでやって来た人もいることでしょう。宛てもなく剣を振るうのは、とても大変なことです。でも、もしも何か叶えたい目標があるのなら、あるいはそれを新しく見つけられたのなら、それは生き残る大きな力になると思います。そしてできることなら…、僕に皆さんのその目標を実現する手助けができれば、と思っています」
ニコラ
「すみません、取り留めのない話になってしまいました」
GM
兵士達は神妙な顔になって食事を再開するんだが……ちょっと知覚判定を。
一同
(ころころ)
GM
エルンストは気付く。一人、過剰に動揺している兵がいる。まあ何を隠そう、コルトのことなんですが。
エルンスト
彼も今回の話に加担していたということか。……さて、どうしようか。
そして、翌日。騎士団は予定通りカサン村に到着した。
第11中隊は、駐屯している間補給物資の警備を任されることになっていた。当番は三交替制で、最初の時間はエルンストが責任者を担当した。
そして二番目、ニコラが当番のとき……。
兵士
「隊長、ちょっとよろしいですか」
ニコラ
「あ、はい」
GM
君が振り返った隙に、予め物陰に潜んでいた別の一隊が躍り出る。そしてニコラの後頭部に一撃をくらわせようと――
シェリィ
「ニコラ様っ!」叫ぶとともにシャドウニードルを投擲。下手人の利き腕を狙います。
GM
仕方ないな、男は武器を取り落とす。だが一度行動に移してしまった以上、ここで引き下がるわけにはいかない。兵士達は君ら2人を取り囲む。
ニコラ
ここから「今なら罪には問わない」って言っても、説得力に欠けるよなぁ(笑)
シェリィ
8対2、ですか……。「ニコラ様、私の傍を離れませぬよう。――このお方を傷つけようとするのであれば、私が相手をさせていただきます」
GM/兵士
若干計画が狂ったが、兵士は自分達を鼓舞するように言う。「大丈夫だ、もう少ししたら他の連中も来る!」
一方その頃、他の班にいたコルト率いる脱走派の兵士達は。
エルンスト
「やめておけ」
GM
ビクリと、動きかけていた足を止める。
エルンスト
「今から向かえば、この俺と剣を交えることになるぞ」と言って、そのまま現場の方へ歩いていく。
GM/コルト
こちらは全部で7名なんだが……。一斉にかかっても勝てそうにないことを雰囲気で悟ってしまった。コルトが他の者に向けて、「駄目だ。今回のことはバレていたみたいだ。後のことは僕がなんとかするから、みんなは待っていてくれ」
クロス
「そうだな。軍曹にはついてきてもらった方が好都合だ」
GM/コルト
「…………」黙って2人に付き従う。
クロス
「そこまでだ! 武器を降ろせ」
シェリィ
荒い息を吐きながら。「……間に合いましたか」
GM
横にいるコルトは8人に向けて首を振る。それを見て、状況を悟った兵士達は諦めて武器を落とす。……だが一人だけ、舌打ちをひとつすると風のように駆け出した者がいる。
クロス
「――パルサー」と呼ぶと、彼が逃走経路の上に現れる。こうなることはすべて事前に予測して、待機させておいた。
一同
おお(笑)
GM/パルサー
「まったく、アンタも人遣いが荒いぜ……」ぼやきつつ、工作員に当身をくらわせて気絶させた。
工作員は、直後に駆けつけてきた督戦隊に突き出された。
ニコラは厳しい視線を向けてくるランクスに、状況の説明を迫られる。
ニコラ
「シェローティアの間者と思しき者を捕らえました。思いのほか抵抗したため、皆で取り押さえることになりましたが」
GM/ランクス
ランクスはじろりと争った跡や、放り出された武器などを見ながら。「――成程。報告はそれだけか。どうもそうは見えないが」
ニコラ
「なにぶん、剣を持ってまだ一週間の者たちですから……」自分でもちょっと苦しいと思うけど、そう言うしかない。
ランクス
「言っておくが。隠すとお前も罰を受けることになるぞ」
ニコラ
「……理解しています」
GM/ランクス
ランクスは君を睨みつけ、しばし視線が交錯する。「……分かった。引き揚げる!」と命じつつ、最後に捨て台詞のように。「――今回だけだぞ」
ニコラ
頭を下げます。
シェリィ
…二度と来るな。
ランクス
…二度と来ねーよ。
一同
(笑)
GM/コルト
ランクスが去ると、コルトは、ニコラの前に膝をつく。「今回のことは、すべて僕が計画したことです。他のみんなはそれに従っただけです、だから――!」
クロス
「さて……。何のことかな、クラウス少尉」ニコラの方を見る。
ニコラ
黙って、こくりと肯きを返します。
クロス
「特筆すべき事件など何も起きていない。数名、持ち場を離れている者がいるようだが、警備に差し支えがあっては問題だ。早く持ち場に戻れ」
GM/コルト
「あ、あの……」戸惑った表情でニコラを見るが。
ニコラ
「コルトさん、今夜はスパイの方が小隊に紛れ込んでいたことが判明しましたが、それ以外には何もなかったんです。見抜けなかったことに責任を感じられるのは分かりますけど、もう頭を上げてください」
コルト
「…………! ありがとうございます――!」
【次回予告】
部隊崩壊の危機を乗り越え、一行はついにサイスに辿り着く。
そこで立案されるのは、前代未聞の作戦。
困難を極めるそれに、第13小隊は生還することができるのか――。
セブン=フォートレスキャンペーン「RISING SUN」
第四話 『サイスの戦い・後編』
GM
……ここでシナリオが切れることになるとは予想外だった。
←前の話 次の話→