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白雪姫 (1937)

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白雪姫

原題:Snow White and the Seven Dwarfs
公開:1937年12月21日
時間:83分
監督:デビッド・ハンド*
原作:グリム兄弟*

1994 2001 2009(SP) 2009(Premium) 2016



  • 目次

ストーリー

昔、白雪姫という12歳の美しい少女がいた。しかし、彼女の母親に不幸があり、継母となった美貌と意地の悪い性格を併せ持っていた王妃のもとで暮らすことになる。しかし、王妃は白雪姫の美しさゆえに、彼女をこき使う。ある日、王妃が魔法の鏡に「世界で一番美しいのは?」と尋ねると、鏡は「それは白雪姫です。王妃様は世界で2番目です。」と答えた。そこで女王は狩人に、「白雪姫を殺し、心臓を私のもとへ持ってこい」と命令する。

命令に従い、狩人は花畑で遊ぶ白雪姫を刺そうとするが、彼には出来なかった。白雪姫を森の奥へと逃がし、王妃に白雪姫のものと偽ってイノシシの心臓を持っていく。これで世界一美しくなったと思った王妃は再び、魔法の鏡に「世界で一番美しいのは?」と尋ねる。すると、白雪姫は生きており森の奥で暮らしていることが判明する。その頃、白雪姫は森の奥の小屋で、七人のこびと先生おこりんぼごきげんくしゃみてれすけねぼすけおとぼけ)と出会う。家事が得意で、親切な白雪姫は小人たちに受け入れられ、楽しく暮らし始める。

+...
王妃は白雪姫を殺すために、毒リンゴを作り、魔法の力で自らを老婆(魔女)の姿に変える。魔女は、小人たちが働きに出ている時を狙い、白雪姫のもとにやってくる。そして、彼女を唆し、毒リンゴを食べさせ、息を止めることに成功する。小人たちは、森の動物たちから白雪姫のピンチを聞き、魔女を追いかける。小人と動物たちは魔女は小人や森の動物たちから逃げ、崖の上にやってくる。そこから大きな岩を落とし、小人たちをやっつけようとするが、崖が落雷に打たれて崩れ落ち、谷底へまっさかさまに落ちていく。

小人たちは、白雪姫の死によって、深い悲しみにくれる。その知らせを聞きつけた(かつて、白雪姫に一目ぼれをした)王子が、彼女のもとを訪れる。白雪姫は王子の「真実の愛のキス」により、再び息を吹き返す。白雪姫は王子と共に、城へと向かっていく。


概要

世界初のカラー長編アニメーションとして制作された。ディズニーの長編としても第1作。アニメーションに確信をもたらした作品であり、映画「市民ケーン」に影響を与えたり、「オズの魔法使」のきっかけとなったとされている。ちなみに、ウォルト・ディズニーは14歳の時、新聞配達少年のための上映会でサイレント実写映画「白雪姫」を鑑賞しており、彼が見た初めての本格的な映画であったという。

映画の人気を決定付けた要素の一つといえるのが「七人のこびと」の存在である。彼らはそれぞれ個性を持ち、名前がその特徴を示しているのである。彼らの名前はそれぞれ、先生おこりんぼごきげんくしゃみてれすけねぼすけおとぼけ。初めから名前が決まっていたのはおこりんぼ。この七人の名前の他にも、様々な候補名があったことが明かされている。

こびとには数人ずつ専任のアーティストを割り振り、個性を持たせることに重点を置いた。おとぼけには「麻薬を連想させる」といった理由で、最後まで反対が多かったが、ウォルトの後押しにより無事に採用された。

こびとの人気は決定的なものとなり、次回作以降の「ピノキオ」、「ファンタジア」、「バンビ」が公開された際も「すばらしい出来だが、「白雪姫」ほどではない。こびとが出ていないから」と評されるなど、こびとのインパクトに苦しめられたという。


歴史

1928年にミッキーマウスを成功に導いたウォルトは、「もっとミッキーを」と要求する配給会社にミッキー以外にもヒット作を作れるということを証明しようとし、「三匹の子ぶた」(1934年)で成功を収めた。しかし、「もっとミッキーを」が「もっと子ぶたを」に変わっただけで、根本的には何も変わっていなかった。1934年までにアカデミー賞*を4度受賞、短編での実績は十分にあったがスタジオの拡張には長編映画が必要であった。

ウォルトは1934年の春に製作を決意。「白雪姫」の物語は映画化にはうってつけの要素が詰まっていた。決めるまではおとぎ話を徹底研究した。当時、短編映画も同時進行で作られており、その間もウォルトはオフィスの隣の部屋でストーリーを練っていた。ある程度原型が出来上がるとスタッフを増員し、最終的にスタジオ総出で製作に着手することとなった。

ウォルトは当初、25万ドルの予算を見積もり、資金援助を受けた。(当時、ディズニーの主流であった短編シリーズ「シリー・シンフォニー」の予算の10倍)しかし、クオリティを高めるために作業であったために制作は難航し、当時では考えられない水滴や、滝に当たる太陽の反射光を精巧に再現していくうちに、資金は約6倍である148万ドルにまで膨らんでしまった。メディアからは「ディズニーの道楽」と批判された。1937年に映画が公開されると、映画への評価は確かなものとなった。

アニメーション実現への道

アニメーションの草創期は動物がメインだったことから、リアルな人間のキャラクターの描写は困難とされており、1930年代のシリー・シンフォニーでも多数の失敗を経験してきた。白雪姫を描くにあたり、実験短編として「春の女神」(1934年)で女性の人間キャラクターの研究を行った。その技術は「クッキーのカーニバル」(1935年)で更に向上。「春の女神」から3年とは思えないスピードで白雪姫を描く技術は備わっていった。なお、人間の男性を描く難しさから王子の出番は減らされた。

当時は、アニメキャラクターはただの絵のキャラクターでしかなく、絵のキャラクター同士の殺意や緊張感というものは未知数な概念であった。そのため、白雪姫が殺されかけたり、森で恐怖を感じるシーンには半年もかけていた。あるストーリー会議にて、白雪姫が穴に落ちるシーンを議論している際、スタッフのひとりが「穴に落ちた姫は怪我をしてしまったの?」と尋ねた。彼らはすでに姫に感情移入していたのだ。

他にもシリー・シンフォニーを経てアニメーターの技術は大幅に向上した。「風車小屋のシンフォニー」(1937年)では画面に奥行きをもたせるマルチプレーン・カメラ*を導入し、「白雪姫」でも、カメラが城に寄るシーンで立体感を演出した。

アニメーションには1915年に発明された装置で、実写フィルムを1コマずつトレースした後それをベースにアニメに再現していく「ロトスコープ」というしくみが使われた。

ハミルトン・ラスク*は大げさな表現を心がけたという。

映画の内容は約36時間の物語であり、無駄のない構成が求められた。ウォルトはいらないシーンを容赦なく切り捨て、優れた編集能力を見せた。

長編アニメにおけるミュージカルが不自然にならないよう、歌が始まると歌い手ではなく、周りの様子や聴いているキャラクターを映してみせるといった手法が取られた。

カラー作品はお金がかかるからという理由で、これまでのUA社との関係が悪化し、配給会社探しが先決となった。そこで、RKO社と契約し、カラー第一作として「ミッキーの大演奏会」(1935年)を公開。カラーを印象づけるために鮮やかな配色の作品となった。一方、「白雪姫」は長編なので眩しくならないようにと落ち着いた色調にした。

芸術面での水準向上の功労者はアルバート・ハーター*であった。彼は人物・衣装・背景・デザイン面の権威で、スタッフの中では48歳と長老にあたるポジションで、監督も無条件に従ったほど精通していた。59歳で亡くなるまでディズニーに関わった。

こびとの全体統括はフレッド・ムーア*ウラジミール・タイトラ*が担当。ムーアが魅力的な外見、タイトラが感情、フランク・トーマス*が体の各部位の動きを担当したのだが、こびとの出番が多いので必要なアニメーターが多く、一貫性や個性を保つのが困難であった。ディズニーでは、1930年代の初めからの10年間アーティストの育成・技術投資を徹底していた。ミッキーマウス・シリーズはダメでも、シリー・シンフォニーで本領発揮できる人もいたため、それぞれの技術を伸ばす選択をしたのである。アニメの動きや単純な描線のために勉強が必要であり、シュイナード美術学院のシュイナード夫人に頼んで夜間学校を開いてもらった。受講料と送迎はウォルト本人が引き受けたこの選択は、不景気な時代でもあり大正解だった。1932年になると専門性が必要となり、シュイナード美術学院のドン・グラハムをスタジオに呼び、汗かき部屋*での作業を見せた。学校はウォード・キンボール*やフランク・トーマスのような業界トップの実力者も育てている。学校で学び、他の会社やコマーシャル業界に移った生徒もおり、ディズニーは業界全体の育成をしていたとも言える。

声優

これまでの短編とは違い、ストーリーを語るうえで台詞が重要であり、声優選びは慎重に行われた。白雪姫には「この世のものとは思えない現実離れした声の持ち主で歌の上手い人」というイメージで探していた。ウォルトは顔を見ないで決めたかったため、サウンドステージのマイクをウォルトのオフィスのスピーカーに繋ぎ、声優はウォルトが生で聞いているとは知らずにリラックスしてオーディションを受けた。毎日2~3人ずつオーディションをしていった。中にはとても歌の上手い女性もいたが、大人っぽすぎるという理由で落選とした。彼女は、無名時代のディアナ・ダービン(15歳)だったという。

ウォルトは白雪姫と王子の声をオペレッタ調にし、1930年代のミュージカルのようにしたかった。白雪姫を演じるアドリアナ・カセロッティはオペラ一家の出身で姉も有名な歌手だった。想定よりは年長の18歳だったが理想的な声であったことからキャスティングした。王子役にはハリー・ストックウェル

修復作業

1987年、映画公開50周年を記念して、フィルムの修復作業が行われた。映画のオリジナルネガはドーピー通りに保管されており、幸運にも十分使える状態であった。フィルムに付着された汚れを丁寧に取り除き、より綺麗な状態を実現した。

1993年、コダック社のシネオンの技術により、映像をより美しくすることが目指された。フィルムをコンピューターに取り込み、11.8万コマを磨き直してデジタル・リマスターを施した。

2001年、高解像度のビデオ開発がされたので、修復に再挑戦した。フィルムを仲介させず、直接デジタル信号に変換する方式を使用した。これにより、オリジナルの映像をそのまま楽しめる形を目指した。最終的に当時のアニメーター、フランク・トーマスとオリー・ジョンストン*が確認し、2人とも「自分たちの目指したオリジナルそのままだ」と喜んだという。この時のデジタル化では映像だけでなく、サウンドも修復。オーディオトラックを補正し、ノイズを消すことで1937年当時のサウンドを再現。また、その修復されたモノラルトラックを5.1chステレオミックスにすることで音質向上に成功した。

実績

1987年、アメリカ国立フィルム登録簿*に永久保存登録された。

AFIアメリカ映画100年*シリーズでのランクイン歴がある。
  • アメリカ映画ベスト100 (1998年):49位
  • ヒーローと悪役ベスト100 (2003年):10位(悪役)
  • 映画主題歌ベスト100 (2004年):19位
  • アメリカ映画ベスト100 (2007年):34位
  • アニメ映画ベスト10 (2008年):1位(ディズニーが、「シュレック」(ドリームワークス)を除く9枠を独占した)


キャスト

初公開版 再公開版
白雪姫 アドリアナ・カセロッティ 富沢志満 小鳩くるみ
王子 ハリー・ストックウェル 五十嵐喜芳 三林輝夫
王妃 ルシール・ラ・バーン 北林谷栄 里見京子
先生 ロイ・アトウェル 東野英治郎 熊倉一雄
おこりんぼ ピント・コルヴィグ 三津田健 千葉順二
くしゃみ ビリー・ギルバート 坊屋三郎 槐柳二
ねぼすけ ピント・コルヴィグ 柳家小さん 北村弘一
てれすけ スコッティ・マットロー 春風亭枝雀 二見忠男
ごきげん オーティス・ハーラン 三遊亭円馬 滝口順平
おとぼけ エディ・コリンズ - -
魔法の鏡 モロニー・オルセン 村上冬樹 大木民夫
狩人 ステュアート・ブキャナン 村上冬樹 八代駿
レイバン - - -

  • 初公開版:1957年製作。
  • 再公開版:1980年製作。1994年ビデオ発売。※Blu-ray・DVD収録

用語集

オブジェクト


ロケーション



楽曲


本作はアメリカで初めてサウンドトラック*が発売された映画でもある。