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&bold(){失敗国家}とは、&bold(){文字通り政府が国家の運営に失敗し、その責務を果たせなくなってしまった国家}のことである。
#region(目次)
#contents
#endregion
*◆失敗国家とは
別名&font(#ff0000,b){「破綻国家」「崩壊国家」「脆弱国家」}。
我らが[[日本国]]にも深刻な社会問題や政治上の失策は数多く存在する。が、本項で取り上げる失敗国家にはとても敵わないし、ここに我が国が挙がる事も無い。
なぜなら失敗国家は&font(b,u){完全に国が国として機能しなくなっている}国家の事を指すからである。
この「国として機能しない」という言葉の意味するところは、政治家同士の争いで政治が進まないなんて生易しいレベルではなく、
&font(#ff0000){「国に頼るより俺自身でやった方が早いぜ[[ヒャッハー!>北斗の拳]]」}という価値観が国民全体に染み込んでいるレベルを指す。
そもそも(まともな)国家というものは、権力を持っている政府が国家の構造((主権国家体制という。))を制御し、政府が果たすべき基本的な責務、
例えば正常な法体系の維持や国民への公共サービスの提供などを果たしているものである。
これによって&bold(){国家の三要素と言われる「領域」「人民」「権力」}を維持していることで国家として認められるのである((これに加えて「他国と関係を取り結ぶ能力」、すなわち外交能力も含んだ4つとも言われる。))。
失敗国家には&bold(){国土全体に対して権力を行使できる統治機構なんてものはない}。
せいぜい首都近辺にしか影響力がなく、独断で行動する地域の有力者、&bold(){すなわち軍閥の方が実質格上}になっていて警察を送る事すらできない。
[[戦国時代の日本>戦国時代(日本)]]を思い浮かべればわかりやすいと思うが、統治機構である天皇家や[[貴族]]は最早単なるオカザリとなり、国の正規軍であり事実上の三権を掌握する室町幕府は京の町一つ支配できず、地方は[[戦国武将]]が血で血を洗う激戦地帯。
つまりは、&bold(){そんな戦国時代を21世紀の今になってもリアルでやっているような国}こそが失敗国家という訳である。
&font(l){つーか「軍部(武士)が王家(皇室)から離反して武力でこれを屈服させて政権を掌握(=鎌倉幕府創立~[[承久の乱]])」しておきながら、}
&font(l){6世紀半もの間終ぞ易姓革命を起こさず大政奉還により自発的に政権を王家に返上した日本というのは世界史上例外中の例外である。}
補足すると、日本の場合は(実態はどうあれ)幕府が朝廷の代理として権力を行使するという構図であったため、朝廷に権力はなくとも権威はさほど失われていなかった。
日本が有史以来単一の王朝を保っていると言われる所以である&font(l){(南北朝?知らない子ですね)}。
他にも
・肝心要の&bold(){統治機構は賄賂や私腹を肥やす者ばかりで腐敗だらけ。それでも、統治者がいなくなって無法地帯になるよりマシなので彼らに政治をさせざるを得ない。}
・徴税権はあっても名目だけで、&bold(){徴税しようにも徴税する官吏に力がなく「払うのは嫌」の一言で徴税を断念するしかない}。あるいは経済が破綻していて&bold(){「無い袖は振れない」}ため徴税しようが無い。
・&bold(){財源なんてものはなく}せいぜいODA(先進国からの貸付)や資源収入がある程度なので、&bold(){国が行うべき公共サービスを提供できるわけもない}。このような状態なので、夜の衛星写真で見ると首都以外真っ[[暗闇]]が当たり前で、病気になっても医者に診てもらえなかったり、安全な水や適切な公衆衛生が手に入りづらく子どもの栄養失調・はしかなどによる病死も少なくないため、平均寿命は&bold(){40代後半〜50代前半}、60代に食い込めていれば上出来。
・外交をしようにも&bold(){国家代表を送れない}、あるいは国家代表の代わりに&bold(){複数の「自称国家代表」が現れる}
・なぜ国が消滅しないのかといえば、国際的に国家主体として認められているからにすぎない((第一次世界大戦前後より前ならばともかく、現代において「独立国家」の重みはものすごく重い。政治体制に問題があるから国家として認めないなどということはできないのである。そして一度独立国家になれば、政権を倒した後の新政権も「独立国家としての地位」を使いたいので独立国家の後継を名乗るようになり、簡単に消えない))為
そんなレベルの国家が本項目の失敗国家なのである。
*◆失敗国家ランキング
失敗国家の指標として&bold(){失敗国家ランキング((2014年からは脆弱国家ランキングに名称変更))}が存在して%%しまって%%いる。
これはアメリカの平和基金会(FFP)が2006年から毎年発表しているもので各国の状況を数値化してランキングしたもの。
ちなみに、[[ソマリア]]は失敗国家ランキングで6年連続1位に輝いている。
「あの」[[ソマリア]]ですら6年連続程度なのかよと突っ込んではいけない。その後も3位以下になってないし。
なお、実際は&font(b,u){情報が乏しく全貌が不明}な地域も割とある((ジャーナリスト等の専門家ですら危険すぎて割に合わない等の理由であまり立ち入らなかったり、政府に統計を取るだけの能力もなかったり、政府発表に情報操作が強く疑われるなど。))為、仮にこれの上位に書かれていなくても、まだまだ危ない所は存在する。
あと国際的に国家承認されてないとかで、そもそも載ることができない国というか&bold(){「自称国家」}も存在する。
その他にも幾つかの条件があるため載ってない国家がある。[[コソボ]]とか台湾とか西サハラとか。
イスラエルに関しては、2020年まではヨルダン川西岸地区を併せた「イスラエル・ウェストバンク」として掲載されていたが、2021年からは「イスラエル」と「パレスチナ」で別に掲載されている。
このように必ずしも「一般的に国家と解釈される」「どこの国の一部と見なされるか、不当性は認めつつも事実上はどこそこの国の一部として判定する」をその通りにカウントできるわけではない、という一面はある。
12項目にそれぞれ点数がありそれでランキングを出していく以上偏差値を割り出すのも可能だが、高いのに悪いと違和感があるため、120-対象国の12項目の合計点数から出された偏差値を以下に記載する。
日本は179か国中160位(2024年、以下同じ)で30.2点(偏64.3)。2006年がピークで、その後のリーマン・ショックや[[東日本震災>東北地方太平洋沖地震]]、熊本地震の影響などで評価は少し落ち気味になっているが、失敗国家と言える様な状態では全くない。
[[イギリス]]148位(偏59.9)、ドイツ166位(偏67)、フランス162位(偏65.1)、イタリア146位(偏差値59.8)と、欧米の先進諸国とさほどの差はないのである((フランスは黄色いベスト運動とその影響が評価範囲に入っていないことに注意))。
なお世界一の大国[[アメリカ>アメリカ合衆国]]でさえ141位(偏58.4)という順位からもわかる通り、「国がお金持ちかどうか」ではなく「国民が快適に生活できるかどうか」を示す指標である事を留意されたい((アメリカは日本とは比較にならない程の格差社会であり、また国民皆保険が存在しないため貧乏人はろくに医療も受けられず、[[自己破産>借金]]の6割は医療費が原因である。また平均寿命は先進国の中で最も短く、超学歴社会なので学歴が低いとまともな職に就くのが難しい。うち皆保険システムについては一時期オバマ政権によって検討されたものの、結局民意を得られなかった歴史もありけっこう話として根深い。))。
またアメリカ自身も同じ年月で日本とほぼ同程度評価を落としている。
栄えある最下位は2011年~2022年まではフィンランドだったが、2023年にノルウェーが13年ぶりの最下位に復帰し、2024年も最下位に(偏71.6)。((ロシアのウクライナ侵攻に伴い、ロシアの隣国であるフィンランドも国防の不安が生じたとみられていると思われる。それでも0.3点が1.0点になった程度だが。))
隣のスウェーデンも含めて北欧三か国は順位が低い。
#region(各地域での最低点の国)
|地域|国名|得点|全体の順位|偏差値|h
|アジア|シンガポール|25.4|165|66.3|
|ヨーロッパ|ノルウェー|12.7|179|71.6|
|アフリカ|モーリシャス|37.8|151|61.2|
|アフリカ(大陸)|ボツワナ|53.6|124|54.6|
|北アメリカ|カナダ|18.6|172|69.1|
|ラテンアメリカ|ウルグアイ|33.7|151|62.9|
|オセアニア|ニュージーランド|15.9|175|70.3|
#endregion
ちなみに上記の失敗国家ランキングは、12の項目を10.0点満点で数え、合計120.0点満点。点が高い程危険。
なので&bold(){1項目だけ10点近い物があっても他の項目が低ければ、合計点は低くなり失敗国家ではなくなる}。意外と忘れ易い点なので注意。
例えば2023年の日本は「人口構成圧力の増大」が5.9点と高めだが、他の項目が平均2.2点と低いため合計30.5点となっている。
逆に言えばこのランキングの上位に存在する国家、すなわち&bold(){失敗国家というものは、大半の項目において失敗している国家だと言える。}
ちなみに2023年第1位のソマリアは&font(#ff0000,b){120点満点中111.9}。10.0点満点の2つを含め、一番低い項目でも8.6点。
もはや&bold(){やばくない項目が存在しない}。まあトップランカーはだいたい全項目がやばいのだが。
トップ20は当たり前のように&bold(){8点台、9点台が存在}し、点数の低い項目でも5点を下回ることは滅多にない。
我々にとって比較的身近なヤバい独裁政治の国、[[北朝鮮>朝鮮民主主義人民共和国]]ですら2023年現在で&bold(){40位}(84.9点、偏41.7)。
「国家の正統性」が&bold(){9.8点}を取るなど確かに国家としてかなりやばい状態ではあるが
・国内の不満分子がそこまで強くない
・育った人材が海外に逃げていない
・難民による社会不安が起きていない((所謂脱北者も居るには居るが、その目的は韓国への亡命のため、北朝鮮自体が混乱しているわけではない。韓国での受け入れ体制が万全とは言い難く、中には北朝鮮に戻る人も居るが官民共に出来る限りの努力をしているところも大きい。))
といった良くも悪くも独裁国家として機能している(=国家権力・組織が統治機構として機能している)がゆえに&bold(){トップランカーからは一段落ちる評価をされている}。
*◆失敗国家の指標
上記の失敗国家ランキングの指標として掲げられているのは以下の12項目。
なお、日本の点数は2024年準拠である。
**1.安全保障装置の状態
軍や警察といった安全保障の為の組織がしっかり機能しているか?汚職はないか?
アイコンは警察官。
日本は1.8点。
全国各地に警察署や交番が存在し((日本を参考にして交番を配置している国もあるほど。))、[[自衛隊]]も強力である。
どちらも中央政府の統制下にあり、各地の交番にしっかり警察官が配備されている。
無論、被害届を受け付けないとか、捏造された証拠で冤罪死刑の事例があったりするなど、日本でも汚職・不正ととられる件もある。
だが、高得点をとっている国は
・&bold(){街中で一般市民が警察に適当な犯罪や捜査の名目で捕まり、処罰しない目こぼしとして賄賂を要求される}((観光や仕事で現地に赴く日本人にも、「治安機関やそれを装った者による賄賂要求がある」と警戒が呼びかけられている国はある。本来払うべきではないが、身の安全のためには「渡してもよい金銭」を準備しておいた方が安全。))
・&bold(){軍人が略奪まがいに民間人や人々の物資を「徴用」したり、ストライキを平気で行う}
・&bold(){&color(red){捜査機関が検挙自体できず、犯罪組織と交戦したら犯罪組織が勝利しかねない}}
とかそういうレベルであり、「冤罪事件や不始末程度で一喜一憂出来る」時点で、日本は世界的に見れば恵まれているのが実状である。
**2.利己的(派閥的)なエリートの台頭
私利私欲や偏った政治思想を満たす為だけの政治家や官僚が力をもっていないか?
また、権力闘争や政治的な争いが起き、政治運営に支障を来していないか?
アイコンは対立し合う2人。
日本は2.6点。
日本の政治家も多々批判されているが、利己的なエリートとはみなされていない。
訳の分からないことを言って選挙に出る人たちもいて、そういった人々が当選する事も無くはないが、それでも国会で有力な勢力を取ったりはしていない(というかこれに限らず複数の項で「選挙、民選制度でなければリーダーである理由付けが混乱なく・正当なものとして成立しているか」が基準ラインになっている)。
与野党の大論戦をみていて「どこが?」と思う人もいるかもしれないが、高得点をとっている国は与野党が議会で怒鳴り合いどころか、&bold(){銃で命の取り合いをする世界}である。
**3.不満分子の存在
選挙などで選ばれておらず正統性を持たないテロリストや革命組織が力を持っていないか?
アイコンは握り拳。
日本は1.6点。
日本では野党の議員も選挙で選ばれているし、選挙で負ければ与党もちゃんと政権を明け渡す。
その政党や議員がポンコツであるケースもなくはないが、そういう政党・議員にしたって次回選挙で負けるなりクビになるなりして立場を失えば大人しく姿を消す。そこが日本が点数が低い所以である。
[[オウム真理教]]や革マルの様な選挙に基づかない過激派組織自体は無くもないが、力を持っているとまでは言えない。
ここ5年近く点数が下がり続けており、2022年には安倍晋三前総理大臣が遊説中に射殺されるという大事件が起き、その9ヶ月後には岸田首相が演説中に爆弾を投げ込まれているが、それでも点数は下がっている。((裁判は未だ始まっていないが、犯人の動機が政治目的ではないと報じられているのも影響している可能性がある。))
そもそもこのランキングが始まったのは2005年で、[[オウム真理教]]の幹部らは前年に死刑判決を言い渡されている。
もしオウムらがテロを起こした1994〜95年にこのランキングがあったら5〜7点程度になっていただろうか。
高得点を取っている国では&bold(){テロリストや反政府勢力が国内に跋扈し、それを抑え込めずに政府軍とドンパチしたり、頻繁にテロや要人暗殺事件が起こる}とかそんなレベルである。
**4.経済状況の悪化と貧困
経済の低迷によって貧困や失業にあえぐ者が増えていないか?また、[[麻薬>覚せい剤]]や人身売買などといった違法なビジネスが横行していたり、単一の産品や産業に依存していないか?
アイコンは落ちるチャート。
日本は3.4点。
さまざまな貧困は日本国内でもかなり問題になっているが、それでも国家が責務を果たしていないという程の状態ではない。
2020年代以降は物価上昇で苦しんでいる人も多いと思われるが、実は先進国の中では一番インフレを押さえ込んでいる((2023年のIMF消費者物価上昇率では3.27で、G7と呼ばれる国では一番低い。))と評価されている。
政治上の経済・金利政策の失策や増える子ども食堂を見てこれでも?と思うかもしれないが、高得点を取っている国は多くの国民がその日暮らしを余儀なくされ、そもそも子ども食堂のような社会インフラがほとんどなく、失業率も特に若年層は2桁%が多く、いわばモノカルチャー経済でその産品の国際価格次第で国民の生活が大きく左右される((これが資源とかだったりするとそれこそどこかの先進国で画期的な代替素材が開発・普及しようものなら即座に壊滅しかねないわけで、故に産油国などは開発力のある国(日本とか)を怒らせたくないとも言われる。))とかそんなレベルである。
例えば先進国の中でも高い失業率に苦しんでいるイタリアは5.2点、スペインは4.5点、労働環境などで高い評価を得ているフランスも一貫してほとんど日本と同得点だったりする。これもモノカルチャー経済とかそのレベルでの問題を抱えているわけではないため。
**5.不均一な経済発展
国民全体が経済発展の恩恵にあずかれているか?一部の権力者や都市部の住民にばかり富が集中していないか?
アイコンは円グラフ。
日本は3.2点。
日本全国物価はさほど変わらないし、どこに行っても公的サービスが受けられる。
均一性はかなり高いと言えるだろう。
ただ近年は賃上げ対象の不均一が指摘されているためか点数が上昇している。
無論アメリカは日本よりやや高得点となっている(このへんの国になってくると、新自由主義そのものの正当性・妥当性とかも絡むので判断が難しくはあるが)((自由な経済活動を許容する、要するに「民間の金儲けに介入しない」の自体はむしろ資本主義の国であるならば当然の判断である。この採点はそれに失敗したような層にどう対応するかの話も多分にあり、日本の場合は公的システムとしての生活保護や国民皆保険制度(による医療費向けの富の分配)で最低限の富はなんとかしてもらえるのなどがあると思われる))。
高得点をとっている国ではこうした富が都市部にしか行き届かず、地方の住民は&bold(){もはや無政府状態での暮らしを余儀なくされているケースもあり}、空から航空写真を撮ると富裕層と貧民層の住居がまるで別世界かのようにくっきり分かれていることもしばしばである。
**6.人材及び頭脳流出
国内で育った人材が海外に逃げていないか?
アイコンは飛行機とカバン。
日本は2.4点。
現段階ではどうという訳ではない。日本が島国であることに加えて、[[日本語]]が日本国内でしか通じないという点もあるだろう。
ただ、近年は大学などの研究者や優れた人材が安い賃金に耐えかねて逃げているという指摘が多くなってきている。
高得点をとっている国だと、教育水準が高く国を支える人材になれる人たちほど国を見捨てて海外に職を求めて渡航、&bold(){場合によっては亡命してしまう}のである。
**7.国家の正統性
現在の権力者は国家の正統な代表者と言えるか?
政権が政治プロセスを透明にし、国民の支持を受けているか?((民主制であることが基本だが、民主制でなくとも政権が国民の支持を受けていれば高得点にはなりにくい))
アイコンは投票箱。
日本は0.3点。日本の指標で最も点数が低い。
皇室も幅広く支持されているし、選挙はさほどの混乱なく適正に行われ、そのような選挙で与党は国民的支持を受けている。
選挙区毎の一票の格差や供託金の高さを指摘する向きはあるものの、裏を返せばその程度のことを問題にできる程度に選挙制度はしっかりしていると言うことである。
[[政見放送]]で珍妙な主張をするネタ候補者が話題になるのも、「そう言う候補者であっても供託金さえ出せば立候補そのものはでき、政見放送などで有権者に支持を訴える機会が与えられている」ことの証拠と言える。
失敗国家や高得点を取っている国だと一つの政党からしか出馬者が出ない名ばかりの翼賛選挙だったり、野党関係者が不当に弾圧されていて公正な選挙が実施されていなかったり、選挙結果を不正だと攻撃する等の形で堂々と無視して政権に居座ろうとする権力者がいたり、&bold(){そもそも選挙が行われず、政権はクーデターで奪取されているケースさえある。}
**8.公共サービス
医療・教育・水と公衆衛生・輸送インフラ・電気などといった国民にとって不可欠な公共サービスが整っているか?
アイコンは道路。
日本は1.5点。
人が住んでいればどこの地域にも学校や病院、水道局などの公共設備がしっかりある。
抜けがない訳ではないが、それでもかなり整っている部類だ((舗装路から石畳荒れ地沼地と問わず世界各地の「公道」を爆走する世界ラリー選手権を観たことがある人なら分かると思うが、そもそも人里離れた山奥にまで舗装された道路が整備されている日本がおかしいのである。))。
東日本震災直後は5.0点まで急上昇したがその後しっかり点数を落とした。
**9.人権及び法の支配
国民に表現や報道(言論)の自由や信仰の自由、裁判を受ける権利などの基本的人権が法律で保障されているか?
国内のどこに行ってもそれらの保障がきちんと機能しているか?
アイコンはテミス((右手に剣、左手に天秤を持った、正義や司法の女神))像。
失敗国家や高得点を取っている国の場合、言論(報道)や表現&s(){&bold(){後}}の自由は容赦なく弾圧される。
処罰も裁判なしであいまいな法律に基づいて行われる。あるいは裁判とは名ばかりであり、本人の言い分も聞かれず、弁護人もいないようなケースがしばしばだ。ネット上では大変厳しいネット検閲を敷いたり((国境なき記者団による政府のネット検閲レーティングで、最も厳しい検閲を実施しているとされるレーティングのこと。通称「インターネットの敵」))、政府に都合の悪いニュースを揉み消すこともザラにある。
また&bold(){特定の宗教の教義や地域の不合理な因習に基づいて政治が行われ}、結果として女性等が爪はじきにされる例も多々ある。[[ブラジャー>下着]]をした女性を鞭打ち刑((鞭打ちといっても我々日本人が想像する革ムチでビシバシやるようなSM的な物ではなく、角棒のような硬鞭で滅多打ちにするような代物。むろん死刑ではないため、鞭打ちが刑罰として法で定められている国では受刑者の命までは奪わないよう配慮がなされる訳なのだが、私刑が横行しているような無法地帯の連中に相手の命を気遣う倫理観など当然あるはずも無く…))に処したり、[[レイプ]]被害者を死刑に処すなどの行為が横行している。((そうした国では、婚姻外交渉は厳罰の対象となり、レイプ被害さえも「婚姻外交渉」とみなされ、被害者まで死刑とすることが容認されてしまうことがある。国家権力は処罰しなくとも、民間で「婚前交渉をするなんて我が家の恥なので殺すしかない!」という「名誉殺人」が支持されてしまい、国家権力の取り締まりむなしく横行ということもある。中には海外に移民してまで名誉殺人の風習を持ち込んで問題を起こしてしまうケースも。))
もちろん特定の宗教が国教として組み込まれ、それに沿った政治が行われている国家(例としてイスラム世界の国々((ただし当てはまる国の数の多さからどうしても程度はあり、失敗国家の定義に近いイスラム法の運用がなされている国も存在する。というか上で挙げた女性関連のは「本当に教義に書いてあることだけを説明するのなら」イスラム教の聖典に沿ってはおり、事実上そういった系統の失敗国家の事例でもある。もちろんムスリム全体をそういったことしてると扱ってはならないのは言うまでもない)))、歴史的な経緯から特定宗教の信徒が有権者の多数を占め、結果として事実上その宗教に沿った人物が選挙で当選しやすい国(例えば[[アメリカ合衆国]]における[[キリスト教]]やイスラエルにおける[[ユダヤ教]]((特に同性愛の扱いや堕胎を認めるかどうかは大統領選の焦点となることが多い。最も近年は過剰にこれらを否定する層が問題視されるようになった(いわゆるポリコレ規定も本来はこれの制止も目的のひとつである。日本だとそもそもそこまで問題視されるような層が稀なだけ)ことから教義離れを提案した人物の当選も普通にある)))は存在する。
ただ、そういった国家でも大半は「合理性や現実性のある」解釈に沿って宗教と折り合いをつけた政策が実施されており、宗教国家すなわち失敗国家となるわけではない。((厳格な宗教政策の実施は、他宗教がメインの諸外国との国交や観光の誘致などの諸点でも問題になりやすいため、宗教的な禁制を意図的に緩めているような国も存在している。実際にイスラム世界やそれ寄りの国家でも観光地の色が強いところでは「明らかに信徒でなければ…」だとか「一応は配慮してねと伝えたうえで提供する」という形で飲用酒を出す・扱うのをokとしているケースもあるようだ。))
むしろ大半のそういった国は「失敗していない」国家であるからこそ、これが宗教によるものでも点数がつけられる((性質上本来は「この宗教は我々の社会通念と異なるから」として社会を維持できていないと断じるのは反差別や文化多様性の観点で絶対にやってはならない論法である。そうも言っていられないレベルで法や人権解釈が崩壊しているケースがあるから例外とはならないという話))と考えるべきか。
日本は2.8点。
男女平等・労働者・犯罪被害者・難民に代表される外国人の権利保障など、国際的に十分でないとみなされている権利保障も少なくない。
それでも、裁判は誰でも訴えられ、裁判なく刑罰に処されることはないし、生存権や表現の自由など、幅広い権利が実効的に保障されている部類である。
良くも悪くも安定していて15年間点数の上下が0.5点に収まっている。((日本では実感がわきにくいが、国によっては法制度が政権交代などによって目まぐるしく変わることがある。))
ちなみに余談であるが、死刑制度は先進国目線では肩身の狭い制度であり、死刑存置国はほぼ必ず点数が3点以上になるという特徴がある((むろん、死刑そのものだけで低評価という訳ではなく、マンパワー不足などから人権保障ができず、結果として死刑を使わざるを得ないような国もある))((またそういった国では「凶悪犯の(場合によっては特殊部隊を投入しての)その場での射殺」を認めざるを得なくなっているケースも存在し、必ずしも「犯罪者をそのまま殺すのはアウト」という理論に沿いきれているわけではない。このあたりについては価値観の相違がまだ埋め切れていない面も存在するだろう))。
死刑存置国ながら3点未満の日本はやはり高評価であると言えるだろう。((死刑存置国の中では2.6点のバルバドスに次ぐ第2位である。))
[[オウム真理教]]のメンバーなど15人の刑を執行した2008・2018年とその翌年のランキングでも大きな上昇は無かった。
なお上記で触れた大変厳しいネット検閲を実施していると見做されている国は12ヵ国あり、それらの国々の平均点は&bold(){8.2点}である。
**10.人口構成圧力の増大
人口が多すぎたり、人口構成が高齢者や未成熟者ばかりで労働人口や社会保障が持たなかったりしていないか?
また、国民が平等に食料品を手に入れられ、安全な水にアクセスできているか?
病気が蔓延していたり、自然災害に対して脆弱になっていないか?
アイコンは大人と子どもの男女。
日本は5.6点。
唯一まずい事になっている。主な原因はいわゆる少子高齢化。
なお震災直後は&bold(){8.3点}と本項目の失敗国家とタメをはれる状態にまでなっていた。
**11.難民および国内避難民の大量移動
戦乱や大災害などで難民がキャパシティを越えてやってきたり、避難民が国内を移動し、不安定になっていないか?
アイコンは難民テントと難民。
日本は2.7点。
当初は1.0前後だったが、東日本大震災で4.0点になって以降3~4点前後で、近時は下降傾向である。
島国と言うこともあって国外からの難民流入などは少数だが、震災後の点数上昇は震災そのものより原発問題が大きいのだろう。
とはいえ災害については日本の自然環境上ある程度諦めざるを得ないものはあるし、難民に関しても日本に限らず&bold(){現在の国際法規では無条件での受け入れを義務としている}((難民条約の送り返し・第三国への移送を禁止する規定。実際に上手くいっているかは別として、そもそもキャパシティを超えるから無理と言ってられない状態が前提になっているためこういった規定が存在する。本来はナチ党のような国家規模での民族浄化からの難民に対応できるようにするための条約であるためのものなのは留意するべき部分であろう))ため当該の国だけではどうしようもない部分もどうしてもある。
このあたりに関してはむしろ東日本大震災による多数の避難者が出たときですら5点(半分)を越えなかったのが失敗していないと判断できる材料か。
**12.他の国家又は外部の主体の介入
外国から侵略もしくは政府に反発する組織に対する外国の援助や経済制裁などの深刻な政治的圧力を受けていないか?また、国連や他の国からの支援に依存していないか?
アイコンは降り注ぐ矢印。
日本は2.3点。
島国である日本は外部からの圧力にはかなり強い。
北朝鮮からの[[ミサイル]]や北方領土、尖閣諸島等の領土問題こそあるものの、紛争となっているのも離島などで、人口密集地や軍事拠点が脅威にさらされているというような状況にはない。
震災直後を除けば国際的な支援も特に必要とはしていない((2012年は4点まで上がっていた。これも環境を考えるとどうしても避けられないためもあったと思われる))。
在日米軍との関係も一部軋轢があるものの基本的には良好であるし、かといって完全に依存している状態ではない。
ウクライナなどは、ロシア侵攻によって2022年の7.5点から2023年は10.0点まで跳ね上がってしまった。((全体ランキングも92位から18位まで急騰。単年でのポイント増加ワースト記録(27.3点)である。ちなみに日本も単年でのポイント増加歴代3位の記録を持つ(2011年、東日本大震災が原因)が、それでも12.5点である。))
無論世界最強国ことアメリカはこの指標が最も点数が低く、世界でもトップクラスである。
2023年は3,4,5,9には10点の国家は存在しない。
これらの点数が
・90点~120点だと&bold(){&color(red){「警報」}}
・60点~89.9点だと&bold(){&color(orange){「要注意」}}
・30点~59.9点だと&bold(){&color(green){「安定」}}
・それ以下だと&bold(){&color(Blue){「持続可能」}}
と評価される。
日本は最盛期は持続可能の域に入っていた事もあったが、現在は持続可能に限りなく近い「安定」ランクである。
G7各国は軒並み「安定」以下だが、G20まで広げると「持続可能」〜「要注意」まで千差万別となる。下はカナダの173位(18.9点)、上はトルコの52位(81.2点)。
また「国民にせよ政府にせよ、国家機能を自力で維持できるか」という観点からつけられたランキングであり、当該国家やその政府をつるし上げることが目的のランキングではない。
外国からの侵略を受けてしまった、大規模な天災が発生してしまったなど、「当該国の政府などの落ち度とは言えない場合であっても、国家の維持可能性に疑問が生じた以上は点数が下がる」という仕組みである。((採点基準そのものの問題点・妥当性については、後述する「独裁国家の採点基準」の話も読んでほしい))。
実際にはランキング以外の情報や指標と合わせて読んだ方が実情を理解しやすいことにも注意するべきだろう。
*◆失敗国家と普通の国家の違い
指標だけ見せられてもイメージが湧きにくいかもしれないので、もう少し簡易で一般に見やすい基準を考えてみよう。
分かりやすい失敗国家と普通の国家の違いとしては
-&bold(){警官と軍人に給料が払えている}
-&bold(){教師に給料が払えている}
この二つが大きなポイントであるらしい。
警官と軍人は国家権力の象徴にして国の統治の手足となる。例え反乱が起きたり、外国から侵略があったり、犯罪が起きても彼らがしっかりしていればとりあえずは鎮圧できる。
末期の[[カダフィ>カダフィ大佐]]政権のように&font(#ff0000,b){「逆らう市民をカラシニコフで掃討するだけの簡単なお仕事です。日給一万円」}とか募集しているようでは、そこにまともな人材が集まっていない証拠であり、国がマズいというのは簡単に想像がつく。
警官も軍人も武器を所持している。給料を払うのがおそくなったり、払えません、なんてなったら仕事拒否なんて平和的すぎるもので、大抵は簡単に反乱を起こされたり、無法者に武器を与えただけという結果になってしまう。
失敗国家にありがちな「軍部・軍隊出身者のクーデター」からもそれがわかるだろう。
さらに警察も軍人も、法や政府に従い命令を遂行する為にはそれなりの頭脳がいる。
訓練を受けた専門家である[[民間軍事会社>PMC(民間軍事会社)]]ならまだしも、そこらへんの市民をろくに教育もせず警官や軍人にするのは人員に困っている証拠なのだ。
そして国家にとって&bold(){「暴力の独占((一定の領域内において武力の使用を国家が独占すること。日本の場合、警察は規則に則って犯罪者を拘束したり何十年も監禁して労働させたり、場合によっては「死刑」という形で殺すことができる。これを国家組織以外の個人や組織が実行した上、それを国家組織が認知したのに法律に従った裁判にかけることすらできないような状態になると「失敗国家」となるわけだ。))」というのは非常に重要な要素}である。
暴力を独占できていないという事は&bold(){政府以外に武力・暴力を持つ勢力がいるという事で、その勢力が国家権力に成り代わりうる}という事だからだ。
そんな状況では治安維持もできないので、自警団や民兵が出現する。彼らは国家からの法律の統制も無い為、略奪や残虐行為も行う無法者集団同然になってしまう事が多い。
ろくな教育も受けていない末端の兵にまで統制を行き渡らせるのは至難である。他の自警団との諍いで更に治安が悪化してしまう事もある。
行き着く所は&bold(){軍閥による群雄割拠}である。
もう片方の教師というのは、教育によって国の方針を子どもに伝える存在であり、また人材育成の点からも極めて重要な存在である。(旧西側諸国は北欧諸国や東欧諸国に比べて教師の社会的地位が低い為分かりづらいが)
というか、&bold(){教師に給料を払えている=学校が維持できている}という事であり、すなわち&bold(){国内各地にある学校の維持管理が出来ている}という事になる。
つまり&bold(){統一された政府が国内各地をきちんと統治している証拠}にもなるのだ。
教育施設というのは割と切り捨てられ易い部門((日本ですら、教育予算や研究予算を巡って教員の増員予算を求める文科省と、予算には効果が無い、少子化なんだから削減しろと主張する財務省の熾烈なバトルが恒例行事になっている。))なので、そこがしっかりしているという事は政府が安定している事の証明になる。
政治家が多少駄目だったり政権がすぐに交代してしまうような国でも、それを支える各種の専門知識を持つ官僚組織がしっかりし、政治家が官僚の言う事にある程度でも従っていれば安定した国になる。
失敗国家の多くは、&font(#ff0000,b){「官僚組織?何それ美味しいの?」}レベルの国である事は忘れてはならない。
そういう国家では国内にまともな産業が無い事が多く、国家組織=国内最高の就職先であり、支持者に職を与える為に官僚の地位をばらまいている事すら多い。
そうして官僚になった者に力量など望めない為、&bold(){情実による気まぐれ政治や賄賂が横行する}事になる。
*◆独裁国家と失敗国家
強権的な独裁政治体制は日本や先進国目線からすれば妥当な政治体制ではないと取られがちである。
だが、失敗国家かどうかという観点からすると&bold(){深刻な経済破綻でもやらかさない限り失敗国家ランキングの上位に食い込むことは少ない面がある。}
指標のうち「国家の正統性」は低評価になるし、統治体制によっては「人権及び法の支配」等は低評価になりやすい(いわゆる一党独裁の場合2023年度では点数は最低でもシンガポールのそれぞれ4.3、4.1点である)。
一方で、独裁者もそこまでバカではないケースが多いし、国民の自由は保障されない代わりに強力な統治が敷きやすくなり、ある程度政治&bold(){は}安定する為だと思われる。
たとえば強力な一党独裁でおなじみの中国は「国家の正当性」が8.1点、「人権及び法の支配」は9.4点とかなりの低評価だが、国内の統制が取れているため総得点は64.4点で全体99位である。
不満分子の抑圧や経済不均一、国内の有能人材確保、急速な公共サービスの整備などもある程度強権で対処可能である。
[[血が流れない分平和>モンキー・D・ガープ]]と割り切れる限りは国民的な支持も得やすい。
北朝鮮が一線を越えないで済んでいるのもこれが理由であろう。
ルーマニアではチャウシェスク独裁政権が[[ルーマニア革命>ルーマニア革命(1989年)]]によって倒れた後、一時的とはいえ国民生活は逆に苦しくなったとも言われている。
「独裁国家かつ失敗国家」というケース自体は確かにありうるが、「統治能力など元々ない名ばかり独裁者で、有力者がお飾りとして祭り上げただけ」「元々失敗国家を何とかしようと仕方なく強烈な独裁に頼っているが、それでも立て直せない」というタイプも多い。
あるいは独裁で持ちこたえていた国でも独裁者の死亡等で強権力が誰にも引き継がれずに瓦解し、そのまま失敗国家一直線という事もある。
例としては、現在は失敗国家ではないものの、チトー死後のユーゴスラビアがわかりやすいだろうか。民族紛争の火種があるとこうなり易い。
*◆代表的な失敗国家
以下、スコアと順位、偏差値は2023年のものとする。また、上記の失敗国家の例示から人間開発指数、民主主義指数、腐敗認識指数(データは2021年)、平均寿命、乳児死亡率を掲載する。
-人間開発指数:各国がどのくらい発展しているか、どのくらい貧困しているかを評価したもの。0~1で、高いほど発展している。
-民主主義指数:各国の民主主義の状態を評価したもの。0~10で、4以下はいわゆる「独裁政治」とされる。
-腐敗認識指数:各国の公共部門がどの程度腐敗していると認識されているかを評価したもの。0~100で、高いほど清潔な状態。
**○参考:日本
スコア:30.2点(160位、偏64.3)
|人間開発指数|BGCOLOR(#003C00):COLOR(#FFFFFF):0.920|
|民主主義指数|BGCOLOR(#2f5cd5):COLOR(#FFFFFF):8.40|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#66BD63):COLOR(#FFFFFF):73/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#66BD63):COLOR(#FFFFFF):84.45歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#66BD63):COLOR(#FFFFFF):1.8/1000人|
**○参考:G7平均
スコア:32.5点(偏63.5)
|人間開発指数|BGCOLOR(#003C00):COLOR(#FFFFFF):0.926|
|民主主義指数|BGCOLOR(#2f5cd5):COLOR(#FFFFFF):8.25|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#66BD63):COLOR(#FFFFFF):71/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#66BD63):COLOR(#FFFFFF):81.02歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#66BD63):COLOR(#FFFFFF):3.4/1000人|
**○イエメン
スコア:106.6点(6位、偏32.7)
|人間開発指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):0.442|
|民主主義指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):1.95|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):16/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#2F4F4F):COLOR(#FFFFFF):66.13歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#FF7F50):45.7/1000人|
インド洋と紅海を繋ぐバル・エル・マンデブ海峡の東側でアラビア半島の端っこにある国。&font(#ff0000,b){2019年〜2021年失敗国家ランキング1位}。
その立地から古代ローマ時代より海上交易の中心地、物資集散地として大いに栄え、また香料の産地でもあった事からローマからは「幸福のアラビア(Arabia Felix)」とまで呼ばれ、その取引での資金流出がローマ衰退の原因になったとすら。
だが裏を返すと大国の勢力争いに巻き込まれやすく、名目上の宗主国だったオスマン帝国とイエメン王家その他の土着勢力が小競り合い、19世紀になるとエジプト(ムハンマド・アリー朝)、[[イギリス]]も参戦。
結果南北分断に陥って冷戦期も北はサウジアラビア、南はソ連の庇護下に入り、1990年代に入りようやく悲願の統一となる。
しかし統一や[[湾岸危機>湾岸戦争]]による混乱が収まると、北イエメン時代から大統領という名の独裁者であったサーレハによる支配がイエメン全土に拡大しただけという始末。なおかつ土着勢力が相変わらず実権を持つ部族主義的社会に宗教対立も抱えた国情にお決まりの国内格差で内部の不満は拡大する。
そこに「アラブの春」の影響でサーレハは退陣。南部出身のハーディ副大統領が暫定大統領になるも、復権を狙うサーレハはあろうことかかつては迫害したザイド派((シーア派の一派で、代々のイエメン王家が指導者であるイマームに就いていたが、現在のイエメンでは少数派。なおイランは同じシーア派でも別派閥の12イマーム派を「国教」とする))系反政府宗教勢力のフーシ派((北部の国境地帯から起こった宗教運動組織。大体反アメリカ、反イスラエル、反スンニ派))と接近した。
ハーディ暫定政権がパッとしない中で徐々に勢力を拡大させていたフーシ派は軍や政界の支持・影響力の強いサーレハが味方になったことで2015年にクーデターを起こし、同時にアル・カイーダやISILといったイスラム過激派も勢力を拡大させ内戦に至る。
一時はボートで脱出する羽目に陥ったハーディ暫定大統領がサウジアラビアの主導するスンナ派アラブ諸国の軍事支援によりなんとか挽回したり、そのハーディー政権寄りだった南部暫定評議会がUAEの支持を得て独自路線を打ち立てたり、スンニ派諸国の動きが面白くないイランがフーシ派を支援したり、和平を仄めかしたサーレハ前大統領をフーシ派が暗殺したり……と平和的解決の目が見えぬまま紛争は続き、
2019年時点で
・ハーディ政権派・有志連合
・フーシ派
・AQAPやISILなどのイスラム過激派
・南部再独立派の南部暫定評議会
による&bold(){4勢力入り乱れるこれまでで最悪の状況}となっていた。
2022年には各勢力の消耗で一度は一時停戦に至るも半年ほどで終了、小康状態のまま対立は続いていた。
しかし2023年にイスラエルとハマスの衝突による情勢悪化を機として、フーシ派が親イスラエルとみなした紅海上の民間船舶に対艦ミサイル等を用いた攻撃を開始。これに対してアメリカを筆頭とした多国籍軍が船舶の護衛に回ることに。
翌2024年にはアメリカと[[イギリス]]が船舶護衛にあたっていた自国の軍艦がフーシ派による攻撃を受けたとして自衛権を発動、フーシ派の拠点を攻撃した。今後の動向によっては変動が考えられる。
**○[[ソマリア]]
スコア:111.3点 (1位、偏30.7)
|人間開発指数|N/A|
|民主主義指数|N/A|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):13/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#0000FF):COLOR(#FFFFFF): 57.4歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):72.7/1000人|
失敗国家ランキング&bold(){6年連続1位}。2023年〜2024にも1位になり、その間も2位と1位を行ったり来たりしている&bold(){絶対強者}。
リアル[[GTA>Grand Theft Auto III]]カオスモードマニアック。権力の及ぶ範囲が首都を中心として&bold(){半径数百メートル}なんて事もあった。
あの最強国・[[アメリカ合衆国]]が諦めた国でもある。
詳しくは項目で。
**○シリア
スコア:108.1点(4位、偏32)
|人間開発指数|BGCOLOR(#FF7F50):0.543|
|民主主義指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):1.43|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):13/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#006400):COLOR(#FFFFFF):72.7歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#006400):COLOR(#FFFFFF):18.4/1000人|
地中海東岸の一角にあり、かつては「肥沃な三日月地帯」とも呼ばれる古代オリエントの中心地帯の一角で、かつ地中海交易やシルクロード交易の要衝だった。
なのでオリエントの覇権を握らんとする国家が&bold(){太古よりぶつかり合い}、加えて途中からエルサレムとかいう係争地が南に出来る始末。
それでもオスマン帝国が中東一帯の覇権国家として君臨していた時期は良かったが、第一次大戦で帝国が崩壊すると雲行きが怪しくなる。
[[イギリス]]やハシーム家との紆余曲折の末に地中海東岸を勢力圏とするフランスの委任統治領(という名の植民地)となるが、多彩な宗教や部族民族を利用した分割統治を敷いたものだから社会的な亀裂が発生。
でもってフランスへの反発心は収まらなかったので戦間期から独立が取りざたされており、1946年にフランスから独立。
しかし独立直後から7回もクーデターや反乱が発生し、非常にゴタゴタしていた。
1963年3月8日に革命によりバアス党が政権を握るが、握った後も党内でも対立が発生し1966年と1970年にクーデターが発生。ハーフィズ・アル=アサドが大統領となるもその後も虐殺が発生した。
そのハーフィズ・アル=アサドは2000年に死去し、後を継いだ息子のバッシャール・アル=アサドは最初は民主化を進めていたが、アメリカのフセイン政権打倒を受けて独裁政治に転身して、言論統制や権力強化をしてしまう。
2011年にアラブの春が起きると政府に対する不満によって内戦が勃発。
主義主張が噛み合わない反政府組織が乱立して泥沼の戦況となり、対抗する政権側は政権側で市民の虐殺や拷問を繰り返し国際的な批判を浴びた。
さらに混乱に乗じたISILによって国の一部を支配されてしまう。これによって大量の難民が発生しトルコなどに流れ込んだ。
また、これに伴いパルミラを筆頭とした各種遺跡の破壊行為が行われ、いわゆる危機遺産に認定される状態に。
ロシアやイランによる政府への援助でISILは壊滅し国土を奪い返したものの、反政府勢力が掌握していた北部や南部では激戦が続き、解決のめども立っていなかった。また、2022年には反政府デモが再燃。死傷者も出すなど予断を許さない状態になり、衛生状況も悪くハイチと並ぶ[[コレラ]]蔓延地帯と化した。これに追い討ちをかけるように、2023年年明け早々にはトルコにまたがる広範囲の大地震が発生、シリア側の被災地は反政府勢力の縄張りなこともあり支援が行き届かない状態になった。
そして2024年末、北西部に陣取る反政府勢力が一斉に攻勢を開始。国内第二の都市アレッポを数日で陥落させると、その他の反政府勢力、反乱軍が一斉に蜂起。これに対し政権側は敗走を繰り返し、攻勢開始からたったの12日で首都ダマスカスが陥落。アサド政権は崩壊した。
大統領は当初、飛行機が撃墜されたため死亡したとの情報も流れたが、後に家族と共にロシアへと逃亡した事が判明している。
アサド政権の崩壊後は複数の反政府勢力が新政府を構成する事となった((ちなみに権力移譲自体は新旧政権いずれも協調路線を明示したため平和裏に済み、アフガニスタンのタリバン政権などと異なり国際的にも正当な政権と見なされる傾向となっている。))ものの、内戦が終結したわけではなく、現在も主にトルコの支援を受けている新政府の一派と東北部のクルド人勢力との間での戦闘が継続中。
また南部では政権崩壊の混乱に乗じてイスラエルが地上侵攻を行い一部地域を占領し、更にシリア各地で空爆を繰り返すなど、まだまだ混迷は続いている。
//以下のブロックの内容は無断で分割された「シリア」の項目の文章です。
//分割先の項目は削除されますが、本項目に記述のない情報もあるため、今後の追記・修正の参考になる可能性があるため、こちらに残しておきます
#co(){
シリアとは、西アジアに位置する国である。
北にトルコ、東にイラク、南にヨルダン、西にレバノン、南西にイスラエルと国境を接し、北西は東地中海に面する。首都はダマスカス。
*歴史
かつては「肥沃な三日月地帯」とも呼ばれる古代オリエントの中心地帯の一角で、かつ地中海交易やシルクロード交易の要衝だった。
なのでオリエントの覇権を握らんとする国家が&bold(){太古よりぶつかり合い}、加えて途中からエルサレムとかいう係争地が南に出来る始末。
それでもオスマン帝国が中東一帯の覇権国家として君臨していた時期は良かったが、第一次大戦で帝国が崩壊すると雲行きが怪しくなる。
*概要
面積は約18万5000平方キロメートル、人口は約2100万人。
9割をシリア系アラブ人が占め、残りはクルド人等が住んでいる。
公用語はアラビア語。ごく一部ではフランス語も使われてる。
正式名称は、アラビア語でالجُمهُورِيّةُ العَرَبِيّةُ السُّورِيَّةُ
日本ではシリア・アラブ共和国と呼ばれる。
発展途上国ではあるものの2011年より前は識字率95%、治安も他の中東諸国に比べて悪くはなく、大学まで授業料無償だったり、他の途上国に比べて幾分マシな部類だった。
そう、あることが起きるまでは…
*シリア内戦
イギリスやハシーム家との紆余曲折の末に地中海東岸を勢力圏とするフランスの委任統治領(という名の植民地)となるが、多彩な宗教や部族民族を利用した分割統治を敷いたものだから社会的な亀裂が発生。
でもってフランスへの反発心は収まらなかったので戦間期から独立が取りざたされており、1946年にフランスから独立。
しかし独立直後から7回もクーデターや反乱が発生し、非常にゴタゴタしていた。
1963年3月8日に革命によりバアス党が政権を握るが、握った後も党内でも対立が発生し1966年と1970年にクーデターが発生。ハーフィズ・アル=アサドが大統領となるもその後も虐殺が発生した。
そのハーフィズ・アル=アサドは2000年に死去し、後を継いだ息子のバッシャール・アル=アサドは最初は民主化を進めていたが、アメリカのフセイン政権打倒を受けて独裁政治に転身して、言論統制や権力強化をしてしまう。
2011年にアラブの春が起きると政府に対する不満によって内戦が勃発。
さらに混乱に乗じたISILによって国の一部を支配されてしまう。これによって大量の難民が発生しトルコなどに流れ込んだ。
また、これに伴いパルミラを筆頭とした各種遺跡の破壊行為が行われ、いわゆる危機遺産に認定される状態に。
ロシアやイランによる政府への援助でISILは壊滅し国土を奪い返したものの、反政府勢力が掌握していた北部や南部では激戦が続き、解決のめども立っていなかった。また、2022年には反政府デモが再燃。死傷者も出すなど予断を許さない状態になり、衛生状況も悪くハイチと並ぶコレラ蔓延地帯と化した。これに追い討ちをかけるように、2023年年明け早々にはトルコにまたがる広範囲の大地震が発生、シリア側の被災地は反政府勢力の縄張りなこともあり支援が行き届かない状態になった。
そして2024年末、北西部に陣取る反政府勢力が一斉に攻勢を開始。国内第二の都市アレッポを数日で陥落させると、その他の反政府勢力、反乱軍が一斉に蜂起。これに対し政権側は敗走を繰り返し、攻勢開始からたったの12日で首都ダマスカスが陥落。アサド政権は崩壊した。
大統領は当初、飛行機が撃墜されたため死亡したとの情報も流れたが、後に家族と共にロシアへと逃亡した事が判明している。
アサド政権の崩壊後は複数の反政府勢力が新政府を構成する事となったものの、内戦が終結したわけではなく、現在も主にトルコの支援を受けている新政府の一派と東北部のクルド人勢力との間での戦闘が継続中。
また南部では政権崩壊の混乱に乗じてイスラエルが地上侵攻を行い一部地域を占領し、更にシリア各地で空爆を繰り返すなど、まだまだ戦闘状態は続いている。
*内戦による被害
21世紀最大の人道危機とも呼ばれるシリア内戦だが、内戦によって他国へ避難した難民数は600万人以上。40万人以上の死亡者を生み出した。
また識字率も大きく下がり現在は50%程度。
}
**○[[南スーダン]]
スコア:109点(3位、偏31.7)
|人間開発指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):0.388|
|民主主義指数|N/A|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):11|
|平均寿命|BGCOLOR(#0000FF):COLOR(#FFFFFF):57.85歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):63.3/1000人|
2011年に住民投票によりスーダンから独立。
建国から現在まで内戦・紛争、ハイパーインフレ等政経共に数多くの問題を抱えている、&bold(){近年における失敗国家の代表格}。
登場直後に失敗国家ランキング4位に入ると、&font(#ff0000,b){ソマリアのランキング1位の連続記録を2014年に止めた}挙げ句、2015、2017、2018年も1位になってしまった。
2019年にはイエメンが1位になったが、情勢が大きく変わった訳ではない。&bold(){2020年まで続けて3位だし、2023年も同じく3位。}
**○[[コンゴ民主共和国]]
スコア:106.7点(5位、偏32.6)
|人間開発指数|BGCOLOR(#ff0000):0.462|
|民主主義指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):1.4|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):19/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#0000FF):COLOR(#FFFFFF):60.68歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF): 63.8/1000人|
かつてのザイール。
[[レオポルド二世>レオポルド二世(ベルギー王)]]の私有地「コンゴ自由%%(嘘だッ!!)%%国」のなれの果て。やっぱり内戦の繰り返し。
こと1998年から2003年の第二次コンゴ内戦は&bold(){「アフリカ大戦」}の異名を持つ、周辺諸国が派兵と介入と諸勢力支援を繰り広げた大戦争だった。
2018年にようやく選挙で決着がついた…か?%%けど19年のランキングは中央アフリカを抜き去り5位、23年はさらに4位に上昇%%
なんもかんも宗主国のベルギーが悪いといえば悪いが、独立から内乱まで1週間も持たなかった辺り、独立を性急に行ってしまった事((コンゴの独立運動に圧され独立が決定してからの準備期間は僅か半年だった))も原因かもしれない。
なお、よく間違われるお隣コンゴ共和国も相対的にマシとはいえ近年20位台に定着しており、「経済状況の悪化と貧困」ではこちらをしのぐ9.2点(世界ワースト8位タイ、2024年)をとるなど、お世辞にも良いとは言えない状況である…
**○中央アフリカ共和国
スコア:103.7点(7位、偏33.7)
|人間開発指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):0.372|
|民主主義指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):1.43|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#ff0000):24/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#0000FF):COLOR(#FFFFFF):53.28歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):77.5/1000人|
20世紀の[[袁術]]、皇帝[[ボカサ1世]]を産んだ国。
元々クーデターや宗教対立で治安がよくなかったが、2013年に国内のゴタゴタにより一時期無政府状態に陥ってしまい経済もガタガタに。
資源に乏しい為それを目当てにした大国の介入も見込めず、キリスト教徒を中心としたアンチバラカとイスラム教徒を中心としたセレカの抗争が今なお続き、難民の増加にも歯止めがきかない。
2014年から17年まで4年連続失敗国家ランキング&bold(){第3位}を堅持し続け、その後も5位6位と上位の一角。
国民の約9割が&bold(){1日2ドル未満}で暮らさなければならないと言えばヤバさが分かるだろう。
また、上記でも触れた通り公共サービスの提供もままならず、テロによって学校や病院が襲撃される事件も多発していること、極貧層が多いことから2021年現在平均寿命は約53歳と世界最下位である。
「1日2ドル未満」というのは&bold(){「世界貧困線」}という、&font(#ff0000,b){最低限の生活を行えるか否かのボーダーライン}である。
経済状況を打破するために2022年には世界で二番目にビットコインを法定通貨として導入…するも、そもそも&bold(){仮想通貨に必要な大量の電源を確保できず}失敗に終わっている。
**○[[チャド]]
スコア:102.3点(10位、偏差値34.3)
|人間開発指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):0.403|
|民主主義指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):1.67|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):20/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#0000FF):COLOR(#FFFFFF):54.24歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):67.4/1000人|
リビアの南、[[スーダン]]の西隣。
例によってトップの政権基盤偏重による国内対立が起こり、カダフィが油を注いで独立後5年で内戦突入。
それ以来&bold(){大統領が変わる時は毎回クーデター}という惨状で、7代目のデビ大統領も[[世界の独裁者ランキング]]上位であった。
2020年には死刑制度を廃止したりもしているが、それでも「人権及び法の支配」も含めて点数はほとんど下がっていない。
…そして2021年には前線を視察中に負傷し死亡。何と軍人である息子と彼が率いる暫定軍事評議会が跡を継いだ。
デビ政権はクーデターで政権を獲得した後に「一応」選挙を行っており、憲法も制定している。そして憲法に従えば本来は「国会議長が暫定大統領→大統領選挙」という流れになるという。
それに逆らった……つまり&bold(){またクーデター}である。
でもって反政府勢力はまだまだ絶賛活動中。
[[霊圧が消える人>茶渡泰虎(チャド)]]ではないが、テロと[[地雷]]で霊圧(命)が消えかねない。
近くに死神がたくさんいそうである。友達になりたくねえな!
地味に失敗国家ランキングで2023年まで2桁になった事が無かったという有難くない実績があったが、2024年に遂に10位へとランクダウンを果たした。
**○スーダン
スコア:103.9点(7位、偏33.8)
|人間開発指数|BGCOLOR(#FF7F50):0.505|
|民主主義指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):2.47|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):20|
|平均寿命|BGCOLOR(#2F4F4F):COLOR(#FFFFFF):65.31歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#FF7F50):39.9/1000人|
エジプトの南隣、[[南スーダン]]の北側。
2006年、2007年失敗国家ランキング1位。その後ずっと3位だったが、最近は徐々に落ちてきている。
しかしダルフール紛争が長期化しているうえに南部で採掘していた石油が南スーダンの独立によって無くなり&font(#ff0000,b){どう考えても紛争フラグが立っている}。
というか&bold(){上記の南スーダンと一緒に、内戦と国境紛争の真っ最中である}。
また、刑法の27条に、被害者と同じ方法で死刑に処すと言うハンムラビ法典ばりの刑罰が存在している(余談だが、そのような趣旨の日本の漫画、助太刀09が存在する)。
2023年には遂に軍人達が率いる暫定政権と民兵組織が停戦を破り全面衝突。日本を含めた多くの外国人が安全の為スーダンを離れることに。
2024年現在も首都ハルツームは空港が閉鎖されており、実質的な鎖国状態に。
結果点数は大きく上昇し、2位まで返り咲いた。
**○アフガニスタン
スコア:103.9点(7位、偏33.7)
|人間開発指数|BGCOLOR(#FF7F50):0.[[502]]|
|民主主義指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):&bold(){0.32}|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):16/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#0000FF):COLOR(#FFFFFF):64.83歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#FF7F50):45/1000人|
20世紀に入り[[イギリス]]から独立、王政を敷くも内情は部族主義的で、急進的改革派によるクーデターが起きてからは一気に政情不安定化。
親ソ派が政権を得るも内部対立が絶えず、見限ったソ連は1979年に侵攻・直接介入し支配を行うも、各地で反ソ連を掲げる勢力がゲリラ戦を展開していた。[[あのラジー賞映画>ランボー3/怒りのアフガン(映画)]]で描かれたのはこの時期のこと。
1989年にソ連がアフガニスタンから撤退すると、その直後から各勢力が戦後の主導権を握ろうと国内で紛争が多発する様になる。
イスラム神学校出身者による非軍閥のタリバン政権が一時はアフガニスタンの九割を掌握したものの、&bold(){サウジアラビアを放逐された札付きの反米テロ組織アル・カイーダを匿い続けたのが運の尽き。}
2001年にアル・カイーダによる同時多発テロでブチ切れたアメリカがアフガニスタンに侵攻しタリバン政権は崩壊。
アメリカはハーミド・カルザイを首班とするカルザイ暫定政権を成立させるも、タリバンを始めとする反政府勢力はカルザイ暫定政権をアメリカの傀儡政権と見做して従わず、また暫定政権自身も汚職の横行などで国民の支持を得られず各地でテロを繰り返される。
結果的に国内の治安は急速に悪化し、首都カブールの周辺以外はカルザイ政権の支配が及ばず無政府状態に陥った。
一応2019年9月にアメリカとタリバンが和平基本合意をした。ただ&bold(){このまま落ち着くとは誰も思っていなかったが}。
2021年、米軍撤退と時を同じくして、予想通りと言うべきかタリバンの攻勢が始まり、首都カブール、および国土のほぼ全域を制圧。ガニ大統領は国外脱出。再びタリバンがアフガンの政権に戻るという結果に……。
よりによって8月15日。&bold(){つまり第二次世界大戦が終わった日}の出来事である。&footnote(ただしこの認識は日本のみで、日本がポツダム宣言に調印した9月2日を終戦記念日とする国が多い)
報道ではアフガンの民衆が群がるのを無視してアメリカの飛行機が飛び立つ映像が流れ、「アメリカはアフガンを見捨てた」と非難する声や「戦う気のないアフガン政府にこれ以上アメリカ軍が肩入れする義理はない」など、様々な意見が飛び交っている。((ちなみに飛び立つ飛行機の中には限界までアフガニスタン難民を押し込んでいた機もいた。))
なお、タリバンの全土掌握により国内の反タリバン勢力はほとんどが壊滅状態に追い込まれたのだが、過激派イスラム原理主義組織ISIL(イスラム国)の一派であるISKPが勢力を伸ばし、タリバンに対するテロ攻撃を繰り返している。
もっともタリバン以外の全勢力も敵に回すスタンスのため、米軍撤退時には米軍に対する自爆テロ攻撃を行っていたり、後にロシアで銃乱射事件を起こしていたりもするのだが。
さらに2023年10月7日には北西部ヘラート州で非常に珍しいM6.3の四つ子地震が発生。シリアと同じくかなりの被害が出ており、予断を許さない状態となっている。
**○ジンバブエ
スコア:95.7点(18位、偏差値37.1)
|人間開発指数|BGCOLOR(#FF7F50):0.573|
|民主主義指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):2.92|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#ff0000):23/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#0000FF):COLOR(#FFFFFF):61.49歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#FF7F50):37.9/1000人|
旧ローデシア時代((旧ローデシアの内、北はザンビア、南はジンバブエとして独立した))は&bold(){「南アフリカ以上」}とも呼ばれたアパルトヘイトと白人による土地寡占で悪名を馳せていたが、黒人反政府ゲリラとの内戦の末に改名・独立し、黒人への参政権付与後は融和路線に成功。
農業に有利な国土に支えられたローデシア経済((長期間に渡る世界中からの全面経済制裁や反政府ゲリラとの内戦にしばらくは耐えられる程度の経済力はあった。[[南アフリカ共和国]]とポルトガル領モザンビークの支援もあったが))もあってアフリカでも屈指の安定した国を実現した。
……そのはずだったが2000年代辺りからムガベ長期政権のひずみが見え始め、第二次コンゴ内戦への介入や白人地主の土地強制徴用などやらかした末に[[ハイパーインフレ>インフレーション]]を起こす。
何度通貨切り下げをやってもインフレが止まらず、&bold(){2009年には&font(#ff0000){100兆ジンバブエ・ドル}なんて紙幣が出る}始末。
もはや外貨でないと商取引が成立せず、国民からもいらねえと言われ、[[ゴルゴ13>ゴルゴ13(漫画)]]の『標的は陽気な悪魔』の題材になり、イグ・ノーベル賞のネタにもされた末に2015年6月11日についにジンバブエ・ドルは廃止された。
しかしムガベは政権に居座り続け、&bold(){「いつまでやるんだ、てかいい加減寿命が近いだろう」}と誰もが思っていた2017年に後継争いからクーデターが発生。&bold(){93歳}の老独裁者はようやく政権から追放された。
そして、2019年9月6日にシンガポールの病院で死去。享年95歳。
その豹変っぷりと寿命の長さから「[[本人は既に暗殺されていて、替え玉がやっていたのでは?>死亡説]]」などとも言われた。
2019年6月にRTGSドルが制定され外貨の使用が禁止されたが、あっという間にインフレ率300%に達してしまい、2020年3月にUSドルの使用が認められるようになった。かつてほどではないにせよまた超インフレの兆しが見え始めている。
現在は国内で採掘される豊富な金資源をもとに金本位制への改革が行われており、通貨の安定化が期待されるところだが、肝心の金資源の大半が汚職などで政府の管理から漏れてしまっている。
**○ナイジェリア
スコア:96.6点(15位、偏36.8)
|人間開発指数|BGCOLOR(#FF7F50):0.525|
|民主主義指数|BGCOLOR(#DAA520):4.11|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):24/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#0000FF):COLOR(#FFFFFF):54.69歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):72.2/1000人|
アフリカ最大の人口とGDPを誇り、最近は石油に頼る経済からの脱却を進めているアフリカの大国。タレントのボビー・オロゴンや、関口メンディー、巨人のオコエ瑠偉選手の父親の出身国であり、日本からの出稼ぎ労働者なども多いため、割と日本とも馴染みの深い国でもある。
しかし徴税機構がザルなので政府の歳入は未だ石油に大きく依存しており、さらに政治の汚職により&bold(){石油収入150億ドルのうち100億ドルが使途不明のまま消えていく}。
経済大国であるため国内の市場そのものは大きいが、&bold(){国民の半分が貧困層}なため購買力が低く、市場を活かしきれていない。
学校教育の水準は比較的高くIT教育も盛んだが、学卒者の4分の1は失業状態で、&bold(){それらがインターネット詐欺等に関わる高度な教育を受けた犯罪者と化している}(所謂『ナイジェリアの手紙』が有名)。
国内は多数の民族・言語・宗教が入り乱れる闇鍋で、特にイスラム教徒の多い北部では『ナイジェリアのタリバン』ことボコ・ハラム((あのISILと並び称される程の凶悪なイスラム教過激派組織。自爆テロは勿論の事、警察署や学校を襲撃して多数の死傷者を出したり、2014年にはとある女学校の生徒らほぼ全員を奴隷として売り飛ばすとの名目で拉致、強制結婚や性的暴行を行っている。))が跳梁跋扈している。
&bold(){GDPが高ければ豊かという訳ではない}というのがよく分かる悪い例といえる。
**○ハイチ
スコア:103.5点(9位、偏33.9)
|人間開発指数|BGCOLOR(#FF7F50):0.501|
|民主主義指数|BGCOLOR(#DAA520):3.48|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):20/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#0000FF):COLOR(#FFFFFF):64歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#FF7F50):46.7/1000人|
&bold(){失敗国家中南米代表}のような国。
[[アメリカ合衆国]]に次いで南北アメリカ大陸で独立を達成し、「世界初の黒人による共和制国家」という輝かしい肩書を持つ。日本だと、[[テニス]]の大坂なおみ選手の父の出身国である。
大航海時代、&bold(){コロンブス}と&bold(){スペイン}によってイスパニョーラ島が「発見」されると、元々住んでいた人達が&font(#ff0000,b){文字通り「絶滅」させられた}のが受難の始まり。
でもって17世紀に入ると絶賛衰退中のスペインは大同盟戦争で占領された本土やネーデルランドの代わりにハイチを割譲し、&bold(){フランスの植民地}になる。
その後フランス革命の機運に乗って独立する(ハイチ革命)……が、この時すでに深刻な人種間地域間対立を抱えており、ナポレオンにより一度鎮圧されたり、独立達成後も内紛に突入したり、スペイン系住民の手でイスパニョーラ島の東側が分離独立、ドミニカ共和国を建国したりとちっとも安定しない。
加えて革命時に旧体制回帰防止%%と往時の報復%%として奴隷解放や統治層であった白人の処刑や農地を接収したのが見事に裏目に出て、独立承認と引き換えにフランスから巨額の賠償金を課せられ、重くのしかかる返済負担が不幸を決定づける。
更に&bold(){ドイツ帝国}がちょっかいかけるわ、それを警戒した&bold(){アメリカ}に1915年に占領されるわと大国に振り回され続けている。
おまけにそのアメリカが首都への権力と産業の集中や軍部の強化((現在まで続く地方の衰退や、後の軍事独裁政権成立は大体このせい))と失敗国家[[フラグ]]を一通り立てた結果、
安定した政権が少なく、&font(#ff0000,b){独裁政権すら続くことが難しい}有様で、建国以来&bold(){混乱が200年ほど続いている状態}に近い。
1958年から1986年の間のデュヴァリエ父子による独裁は、当時&bold(){「北半球最悪」}とも謳われた。
それも軍事クーデターによって倒されるものの、その後も軍事クーデターと反政府組織の武装蜂起が度々起こっている。
&bold(){そしてそのほとんどにアメリカの関与が判明、もしくは疑われている。}本当にこの国は…
2010年にはM7.0の地震と津波に襲われており、首都に直撃したことと社会インフラの脆弱さもあって死者・行方不明者数&font(#ff0000,b){約32万人}という近代では類を見ない甚大な被害を被った上、国会議事堂の倒壊により政治機能が麻痺((首相ですらホームレス状態に陥るという有様だった。))、更には&bold(){よりによって国連の救助隊がコレラを持ち込み大流行}。ダメ押しの如く&font(#ff0000,b){1万人以上の病死者を出した}。
ハイチの情勢が現在まで不安定を極めているのは、この大規模災害と復興の遅れのせいだからという見方も強い。
2021年7月、&bold(){現職であったモイーズ大統領が自宅で武装集団の襲撃を受けて暗殺される事件が発生。}2月にもクーデター未遂が発生していた中での出来事であった。
追い打ちをかけるかの如く翌月にはM7.2の地震が発生し、再び大きな被害を受けている。結果スコアと順位が大方の予想通り大幅に上昇した。
案の定地震の復興はろくに進んでおらず複数のギャング組織が跋扈。一般庶民の家に押し入り強盗やみかじめ料要求、石油基地を占領して流通が止まったり、老若男女問わず輪姦して撮影し脅迫など無茶苦茶に拍車がかかっている。
医療体制も完全に崩壊しており、前述の通り[[コレラ]]などの感染症が蔓延しまくっている。
そして2024年、&bold(){アンリ首相が治安改善のためケニアへ協力要請に行くも、}&font(#ff0000,b){ギャングからの殺害予告で帰国不能}&bold(){に。刑務所が襲撃され&font(#ff0000,b){4000人の受刑者が脱獄}する非常事態の中、ケニアに留まったままでの辞職を余儀なくされる。}現在は暫定評議会が発足し、2026年まで大統領に代わり統治を行うとしている。
ちなみに上述したドミニカ共和国は失敗国家ランキングでは108位(60.2点、偏51.9)。つまり、問題点はそれなりにあるものの国家運営としては成功している部類。
&bold(){リアル環境テロリスト}ことホアキン・バラゲール大統領の独裁政治による強引な環境保護政策((違法伐採業者のキャンプを軍用ヘリで襲撃し壊滅させる、環境保護政策に反対した政治家にあらゆる圧力をかけて辞任に追い込む、貧しさから止む無く国立公園内に住んでいた人々に銃を突き付けて立ち退かせる、等々))により、自然保護とそれらを基盤とする産業の振興にも成功し、一時は「ドミニカの奇跡」と持て囃された。
国境線における豊かな森林が残るドミニカ側と&bold(){不毛のハゲ山と化した}ハイチ側の印象的なコントラストは『不都合な真実』でも取り上げられた。
まあドミニカはドミニカで米軍占領や軍部独裁、内戦と波乱に満ちた歴史で、軍部独裁の流れを汲むバラゲール政権も格差の拡大や対立する革新派の非合法な排除などなど後ろ暗い面が多いのも事実ではあるが……
いずれにせよハイチよりは遥かにマシな状況の国家であるため、ハイチからドミニカへの(不法入国含む)人口流出にも歯止めがかからない状況となっている。
**○イラク
スコア:88.6点(31位、偏40.1)
|人間開発指数|BGCOLOR(#006400):COLOR(#FFFFFF):0.697|
|民主主義指数|BGCOLOR(#DAA520):3.51|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):23/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#006400):COLOR(#FFFFFF):70.6歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#006400):COLOR(#FFFFFF):21.3/1000人|
チグリス・ユーフラテスという大河に恵まれた「肥沃な三日月地帯」の一角でメソポタミア文明発祥の地。
とはいえオリエントの諸勢力が切り取り、ぶつかり合う場所なのはシリアと大差ない。
第一次大戦で宗主国だったオスマン帝国の崩壊後、委任統治を任された[[イギリス]]は、アラブの名族ハシーム家のファイサルを王位につけイラク王国を樹立させる。
が、元々スンニ派、シーア派、クルド人を内包した立地(([[イギリス]]の名誉のために付け加えると、シーア派はともかくクルド人までもを纏め上げる事を危惧する声もあったのだが、親スンニ派の専門家に押し切られた))に加えて親英反英勢力の対立があり、第二次大戦頃にはクルド人反乱や反英クーデターが起きたりしていた。
そして第二次大戦後に「反英・汎アラブ」なナセル率いるエジプトと「中東の狂犬」イスラエルがブイブイ言わせ始めるとクーデター(7月14日革命)により王国は崩壊。
その後もクーデターが4回も発生する不安定さで、クルド人との戦争で功を挙げたバアス党員で軍部のフセインが実権を握る。
そのフセイン政権も[[イラン・イラク戦争]]辺りから狂い始め、[[湾岸戦争]]でアメリカから危険視された末に2003年のイラク戦争で政権崩壊。
2004年にイラク暫定政権が成立したものの、フセイン政権で主流派だったスンニ派はこれに反発。
隣国シリアからイスラム国家樹立運動が起こると旧フセイン政権の残党がこの運動に合流。イラク、シリア両国の国境付近を武力制圧して「国家」樹立を宣言した。
この[[ISIL>ISIL(イスラム過激派)]]((別名ISIS。『イスラム国』と呼ばれていたこともあったが、誤解の原因となるためこのように表記される))は一時は両国のかなりの部分を制圧したものの、アメリカ主導で有志連合からの集中攻撃を受け消滅した。
これを受けてか順位やスコアは概ね一貫して右肩下がりになっており、後述のコートジボワール同様2022年には上位20位から消えた。2024年には上位30位からも消えている。
だが政情は相変わらず安定はしておらず、現政権は政治の汚職の蔓延によって国民の支持を得ているとはお世辞にも言えないため、
「フセイン時代の方が良かった」と漏らす国民も相当おり、若年層の失業率は約35%ほどと雇用問題も非常に深刻な状態で、安定の道はまだまだ遠い。
**○コートジボワール
スコア:85.3点(36位、偏41.5)
|人間開発指数|BGCOLOR(#FF7F50):0.498|
|民主主義指数|BGCOLOR(#DAA520):4.22|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#FF7F50):36/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#0000FF):COLOR(#FFFFFF):57.78歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#ff0000):57.9/1000人|
昔は独裁者の下で発展を続けており、西アフリカでも安定した国だったが、独裁者が死んでから迷走開始。
クーデターと内戦をやった挙げ句、失敗国家ランキングが始まった2005年度では1位を獲得。つまり&bold(){失敗国家ランキング初代チャンピオン}。
2010年の&font(#ff0000,b){前大統領と現大統領との内戦}というどっかのRPGのような展開があったが、前大統領の失脚・拘束で収束した後は順調に順位を落としていき、2016年には上位20位から消えた。2022年にはいよいよ30位からも消えている。
なお、これらの情勢の推移には同国のサッカー代表選手・ディディエ・ドログバ((折しもランキング1位となった2005年にW杯本選へコートジボワールが初出場を決める事となった当時28歳の立役者であり、今なお国民的英雄と讃えられている))の尽力によるものも大きな要因となっている。
**○[[ナウル>ナウル共和国]]
|人間開発指数|N/A|
|民主主義指数|N/A|
|腐敗認識指数|N/A|
|平均寿命|N/A|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#006400):COLOR(#FFFFFF):23.8/1000人|
詳しくは個別項目参照。
1990年代前半までは、島から算出するリン鉱石の輸出で世界有数の富める国であり、国民は無税・医療と教育無料、更には全年齢に年金支給…と
政治家と公務員と医療関係者以外働く必要がなく(公務員ですら、外国人が3割ほどいたり…)、
毎日の食事に至るまでその辺の外国人経営の飯屋で適当に済ます、&bold(){国民総[[ニート]]状態の国家}であった。
しかし、1990年代後半に事態は一変する。
リンが枯渇して輸出産業の衰退により経済崩壊、財政破綻、インフラ崩壊と外国からの援助がなければ明日の食事にも事欠きかねない状態へと突入。一応海外資産運用などリン枯渇対策はしていたのだが、運用に失敗してしまい全く役に立たない有様だった。
更には1世紀近くまともに働いた事がない国民が大半な為、そもそも&bold(){「働くって何?」}状態。(国内の労働者はほぼ中国を中心とする出稼ぎ労働者が担っていた)
一応政府が[[小学校]]の高学年で働き方を教える授業を行い、将来の国を担う子供たちの労働意欲を与えようという対策がなされていた。
しかし、労働意欲を育んだ所で&bold(){国内には働く場所がない}。国の産業構造がリン産業に頼り切っていたためそもそも他の雇用などなく、&bold(){国内失業率も2011年で&font(#ff0000){90%}。}
更には
-&bold(){マネーロンダリングで儲けようとして}アメリカから怒られる
-ならばと&bold(){国籍やパスポートを格安で、しかも誰でも簡単に取得できるようにして人を呼び込もうとしたらテロリストの格好の隠れ蓑に利用される。}かの9.11にも関与したとしてまたアメリカに怒られ、銀行取引を停止された。
-突如連絡が取れなくなり「太平洋の島国が消息不明」「クーデターが起こったか?!」などと情報が錯綜するも、&bold(){情報インフラの維持費が払えずに死んでいただけ}だった
-中国と台湾に国家承認と断交とを繰り返して手玉に取り援助を引き出す
-&s(){ナウル共和国政府観光局日本事務所のTwitter公式アカウントのフォロワーが人口より1桁多い}
-&s(){ナウル共和国政府観光局日本事務所の公式サイトの開くスピードが阿部寛のホームページと肩を並べるほど速い}
と、話題に事欠かない国家である。
そして失敗国家的にこの国最大の特徴と言えるのは、&bold(){あまりに情報が無い為に失敗国家ランキングに載ってすらいない}事だろう((ナウルだけではなく、国家規模の非常に小さいミニ国家15カ国は情報が足りないため上記の通り評価対象外。))。
既に挙がっている国々と異なり、島国ということもあって戦争や暴動、外圧と言った物騒な方面の問題は特に生じておらず、治安自体ならかなりマシなため、「深刻な経済破綻」とそれによる影響だけならば40位前後と予想はされるが。
元はと言えばオーストラリアとかがリン鉱石の無計画な採掘を行ったのが原因なので、オーストラリア政府は支援を続けている。
リン鉱石の無計画な採掘のせいで土壌の大半が石灰岩で覆われているのも発展を阻害しているし。
なお、リン鉱石の更なる採掘のおかげで現在の経済はある程度回復基調にあるが、こちらも尽きるのは時間の問題と見られ予断を許さないのが現状である。
*◆フィクションにおける失敗国家
フィクションでは「失敗国家」を舞台とする作品は結構な人気がある。韓国映画「モガディシュ 脱出までの14日間」などが有名か。
理由は単純で、街中でドンパチやっても世界観的に全く問題なく、&bold(){街中で派手な銃撃戦シーンを展開}できたり、
コイツさえ倒せれば国は平和になるんだ!と主人公が独裁者に挑む&bold(){勧善懲悪なヒーロー的作品}&s(){や、それに見せかけて必死に崩れかけた国を支えていた独裁者を倒してしまって国を崩壊させてしまう作品}が作れたり、
主人公が平和主義者であっても、生きるのに市民から襲われる恐怖を描けたり、破綻した国家の中でも愛を育む&bold(){人間ドラマ}を展開出来たりする。
相手国が失敗国家になり、破れかぶれに主人公の住む国に進軍してきた…なんて作品もある。そして「国際的に孤立している」「略奪前提なので[[焦土作戦]]で詰む」など失敗国家ならではの弱点を突かれて叩きのめされるのもお約束である。
そして、[[超越的な力を手に入れてしまった主人公や>ウルトラ・スーパー・デラックスマン]][[知り合いがやらかし、日本が失敗国家になってしまった>AKIRA(大友克洋)]]なんて作品もある。
一方で、「失敗国家を運営する、または建て直す」作品は上記の「悪の独裁者を打ち倒す」作品に比べると少なめ。全くないわけではないが、どうしても粛清や血で血を洗う権力戦争などダークな物語になるからではないだろうか。
しかしweb小説、主に[[小説家になろう]]では、そんなどうしようもない中世ヨーロッパレベルの国々を&bold(){「現代日本の知識」または「チート」で解決してしまう}のが、一種の人気コンテンツと化している。
例を挙げると、「数字で救う弱小国家」という作品では、異世界ナーロッパな世界で周辺を強国に囲まれて詰んでいる小国を、数学マニアな高校生が関数電卓片手に現代数学理論を総動員して救うという物語である。
ただ舞台となる国家が現代ベースの作品は少なく、またどう考えても上記一覧より遥かにマシな国を主人公が失敗国家と言い張ったり、そもそも文明レベルが異なっていた上で引き合いに出すのが主人公の故郷である現代日本だったりと、作者の価値観の違いにより描写にモヤっとする作品もあるので注意が必要である。
*◆余談
チャベス政権末期から大統領死去後にかけて政治の混乱と常軌を逸した貧富の格差とインフラ崩壊が取り沙汰され、
地元の犯罪集団ですら&bold(){「必要な備品を確保できない」「あまりにも物がなく、何をやっても何も盗めないため、強盗をする意味が無くなってしまった」「というか、強盗に必要な弾丸などの支出と強盗によって得られる物の収入のバランス的に、強盗をするだけ赤字になる」}と
コメントするまでに荒れまくった近年話題の&bold(){ベネズエラ}であるが、2024年現在は90.5点(偏39.7)でトップ20には入っていないが、上にあげたいくつかの国より高いケースもあり、非常に深刻である。
またミャンマーも近年ではロヒンギャ族虐殺や軍事クーデターにより予断を許さない状況になった。案の定2022年にはスコアが大幅に上昇して100点台になり、2023年現在は11位(100点、偏35.4)となっており、((これは同年の北朝鮮(84.9点)より悪く、東アジアで一番不安定な国家と言える))過去最高順位だった08・09年の13位を塗り替えてしまった。
追記・修正は失敗しないようお願いします。
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&bold(){失敗国家}とは、&bold(){文字通り政府が国家の運営に失敗し、その責務を果たせなくなってしまった国家}のことである。
#region(目次)
#contents
#endregion
*◆失敗国家とは
別名&font(#ff0000,b){「破綻国家」「崩壊国家」「脆弱国家」}。
我らが[[日本国]]にも深刻な社会問題や政治上の失策は数多く存在する。が、本項で取り上げる失敗国家にはとても敵わないし、ここに我が国が挙がる事も無い。
なぜなら失敗国家は&font(b,u){完全に国が国として機能しなくなっている}国家の事を指すからである。
この「国として機能しない」という言葉の意味するところは、政治家同士の争いで政治が進まないなんて生易しいレベルではなく、
&font(#ff0000){「国に頼るより俺自身でやった方が早いぜ[[ヒャッハー!>北斗の拳]]」}という価値観が国民全体に染み込んでいるレベルを指す。
そもそも(まともな)国家というものは、権力を持っている政府が国家の構造((主権国家体制という。))を制御し、政府が果たすべき基本的な責務、
例えば正常な法体系の維持や国民への公共サービスの提供などを果たしているものである。
これによって&bold(){国家の三要素と言われる「領域」「人民」「権力」}を維持していることで国家として認められるのである((これに加えて「他国と関係を取り結ぶ能力」、すなわち外交能力も含んだ4つとも言われる。))。
失敗国家には&bold(){国土全体に対して権力を行使できる統治機構なんてものはない}。
せいぜい首都近辺にしか影響力がなく、独断で行動する地域の有力者、&bold(){すなわち軍閥の方が実質格上}になっていて警察を送る事すらできない。
[[戦国時代の日本>戦国時代(日本)]]を思い浮かべればわかりやすいと思うが、統治機構である天皇家や[[貴族]]は最早単なるオカザリとなり、国の正規軍であり事実上の三権を掌握する室町幕府は京の町一つ支配できず、地方は[[戦国武将]]が血で血を洗う激戦地帯。
つまりは、&bold(){そんな戦国時代を21世紀の今になってもリアルでやっているような国}こそが失敗国家という訳である。
&font(l){つーか「軍部(武士)が王家(皇室)から離反して武力でこれを屈服させて政権を掌握(=鎌倉幕府創立~[[承久の乱]])」しておきながら、}
&font(l){6世紀半もの間終ぞ易姓革命を起こさず大政奉還により自発的に政権を王家に返上した日本というのは世界史上例外中の例外である。}
補足すると、日本の場合は(実態はどうあれ)幕府が朝廷の代理として権力を行使するという構図であったため、朝廷に権力はなくとも権威はさほど失われていなかった。
日本が有史以来単一の王朝を保っていると言われる所以である&font(l){(南北朝?知らない子ですね)}。
他にも
・肝心要の&bold(){統治機構は賄賂や私腹を肥やす者ばかりで腐敗だらけ。それでも、統治者がいなくなって無法地帯になるよりマシなので彼らに政治をさせざるを得ない。}
・徴税権はあっても名目だけで、&bold(){徴税しようにも徴税する官吏に力がなく「払うのは嫌」の一言で徴税を断念するしかない}。あるいは経済が破綻していて&bold(){「無い袖は振れない」}ため徴税しようが無い。
・&bold(){財源なんてものはなく}せいぜいODA(先進国からの貸付)や資源収入がある程度なので、&bold(){国が行うべき公共サービスを提供できるわけもない}。このような状態なので、夜の衛星写真で見ると首都以外真っ[[暗闇]]が当たり前で、病気になっても医者に診てもらえなかったり、安全な水や適切な公衆衛生が手に入りづらく子どもの栄養失調・はしかなどによる病死も少なくないため、平均寿命は&bold(){40代後半〜50代前半}、60代に食い込めていれば上出来。
・外交をしようにも&bold(){国家代表を送れない}、あるいは国家代表の代わりに&bold(){複数の「自称国家代表」が現れる}
・なぜ国が消滅しないのかといえば、国際的に国家主体として認められているからにすぎない((第一次世界大戦前後より前ならばともかく、現代において「独立国家」の重みはものすごく重い。政治体制に問題があるから国家として認めないなどということはできないのである。そして一度独立国家になれば、政権を倒した後の新政権も「独立国家としての地位」を使いたいので独立国家の後継を名乗るようになり、簡単に消えない))為
そんなレベルの国家が本項目の失敗国家なのである。
*◆失敗国家ランキング
失敗国家の指標として&bold(){失敗国家ランキング((2014年からは脆弱国家ランキングに名称変更))}が存在して%%しまって%%いる。
これはアメリカの平和基金会(FFP)が2006年から毎年発表しているもので各国の状況を数値化してランキングしたもの。
ちなみに、[[ソマリア]]は失敗国家ランキングで6年連続1位に輝いている。
「あの」[[ソマリア]]ですら6年連続程度なのかよと突っ込んではいけない。その後も3位以下になってないし。
なお、実際は&font(b,u){情報が乏しく全貌が不明}な地域も割とある((ジャーナリスト等の専門家ですら危険すぎて割に合わない等の理由であまり立ち入らなかったり、政府に統計を取るだけの能力もなかったり、政府発表に情報操作が強く疑われるなど。))為、仮にこれの上位に書かれていなくても、まだまだ危ない所は存在する。
あと国際的に国家承認されてないとかで、そもそも載ることができない国というか&bold(){「自称国家」}も存在する。
その他にも幾つかの条件があるため載ってない国家がある。[[コソボ]]とか台湾とか西サハラとか。
イスラエルに関しては、2020年まではヨルダン川西岸地区を併せた「イスラエル・ウェストバンク」として掲載されていたが、2021年からは「イスラエル」と「パレスチナ」で別に掲載されている。
このように必ずしも「一般的に国家と解釈される」「どこの国の一部と見なされるか、不当性は認めつつも事実上はどこそこの国の一部として判定する」をその通りにカウントできるわけではない、という一面はある。
12項目にそれぞれ点数がありそれでランキングを出していく以上偏差値を割り出すのも可能だが、高いのに悪いと違和感があるため、120-対象国の12項目の合計点数から出された偏差値を以下に記載する。
日本は179か国中160位(2024年、以下同じ)で30.2点(偏64.3)。2006年がピークで、その後のリーマン・ショックや[[東日本震災>東北地方太平洋沖地震]]、熊本地震の影響などで評価は少し落ち気味になっているが、失敗国家と言える様な状態では全くない。
[[イギリス]]148位(偏59.9)、ドイツ166位(偏67)、フランス162位(偏65.1)、イタリア146位(偏差値59.8)と、欧米の先進諸国とさほどの差はないのである((フランスは黄色いベスト運動とその影響が評価範囲に入っていないことに注意))。
なお世界一の大国[[アメリカ>アメリカ合衆国]]でさえ141位(偏58.4)という順位からもわかる通り、「国がお金持ちかどうか」ではなく「国民が快適に生活できるかどうか」を示す指標である事を留意されたい((アメリカは日本とは比較にならない程の格差社会であり、また国民皆保険が存在しないため貧乏人はろくに医療も受けられず、[[自己破産>借金]]の6割は医療費が原因である。また平均寿命は先進国の中で最も短く、超学歴社会なので学歴が低いとまともな職に就くのが難しい。うち皆保険システムについては一時期オバマ政権によって検討されたものの、結局民意を得られなかった歴史もありけっこう話として根深い。))。
またアメリカ自身も同じ年月で日本とほぼ同程度評価を落としている。
栄えある最下位は2011年~2022年まではフィンランドだったが、2023年にノルウェーが13年ぶりの最下位に復帰し、2024年も最下位に(偏71.6)。((ロシアのウクライナ侵攻に伴い、ロシアの隣国であるフィンランドも国防の不安が生じたとみられていると思われる。それでも0.3点が1.0点になった程度だが。))
隣のスウェーデンも含めて北欧三か国は順位が低い。
#region(各地域での最低点の国)
|地域|国名|得点|全体の順位|偏差値|h
|アジア|シンガポール|25.4|165|66.3|
|ヨーロッパ|ノルウェー|12.7|179|71.6|
|アフリカ|モーリシャス|37.8|151|61.2|
|アフリカ(大陸)|ボツワナ|53.6|124|54.6|
|北アメリカ|カナダ|18.6|172|69.1|
|ラテンアメリカ|ウルグアイ|33.7|151|62.9|
|オセアニア|ニュージーランド|15.9|175|70.3|
#endregion
ちなみに上記の失敗国家ランキングは、12の項目を10.0点満点で数え、合計120.0点満点。点が高い程危険。
なので&bold(){1項目だけ10点近い物があっても他の項目が低ければ、合計点は低くなり失敗国家ではなくなる}。意外と忘れ易い点なので注意。
例えば2023年の日本は「人口構成圧力の増大」が5.9点と高めだが、他の項目が平均2.2点と低いため合計30.5点となっている。
逆に言えばこのランキングの上位に存在する国家、すなわち&bold(){失敗国家というものは、大半の項目において失敗している国家だと言える。}
ちなみに2023年第1位のソマリアは&font(#ff0000,b){120点満点中111.9}。10.0点満点の2つを含め、一番低い項目でも8.6点。
もはや&bold(){やばくない項目が存在しない}。まあトップランカーはだいたい全項目がやばいのだが。
トップ20は当たり前のように&bold(){8点台、9点台が存在}し、点数の低い項目でも5点を下回ることは滅多にない。
我々にとって比較的身近なヤバい独裁政治の国、[[北朝鮮>朝鮮民主主義人民共和国]]ですら2023年現在で&bold(){40位}(84.9点、偏41.7)。
「国家の正統性」が&bold(){9.8点}を取るなど確かに国家としてかなりやばい状態ではあるが
・国内の不満分子がそこまで強くない
・育った人材が海外に逃げていない
・難民による社会不安が起きていない((所謂脱北者も居るには居るが、その目的は韓国への亡命のため、北朝鮮自体が混乱しているわけではない。韓国での受け入れ体制が万全とは言い難く、中には北朝鮮に戻る人も居るが官民共に出来る限りの努力をしているところも大きい。))
といった良くも悪くも独裁国家として機能している(=国家権力・組織が統治機構として機能している)がゆえに&bold(){トップランカーからは一段落ちる評価をされている}。
*◆失敗国家の指標
上記の失敗国家ランキングの指標として掲げられているのは以下の12項目。
なお、日本の点数は2024年準拠である。
**1.安全保障装置の状態
軍や警察といった安全保障の為の組織がしっかり機能しているか?汚職はないか?
アイコンは警察官。
日本は1.8点。
全国各地に警察署や交番が存在し((日本を参考にして交番を配置している国もあるほど。))、[[自衛隊]]も強力である。
どちらも中央政府の統制下にあり、各地の交番にしっかり警察官が配備されている。
無論、被害届を受け付けないとか、捏造された証拠で冤罪死刑の事例があったりするなど、日本でも汚職・不正ととられる件もある。
だが、高得点をとっている国は
・&bold(){街中で一般市民が警察に適当な犯罪や捜査の名目で捕まり、処罰しない目こぼしとして賄賂を要求される}((観光や仕事で現地に赴く日本人にも、「治安機関やそれを装った者による賄賂要求がある」と警戒が呼びかけられている国はある。本来払うべきではないが、身の安全のためには「渡してもよい金銭」を準備しておいた方が安全。))
・&bold(){軍人が略奪まがいに民間人や人々の物資を「徴用」したり、ストライキを平気で行う}
・&bold(){&color(red){捜査機関が検挙自体できず、犯罪組織と交戦したら犯罪組織が勝利しかねない}}
とかそういうレベルであり、「冤罪事件や不始末程度で一喜一憂出来る」時点で、日本は世界的に見れば恵まれているのが実状である。
**2.利己的(派閥的)なエリートの台頭
私利私欲や偏った政治思想を満たす為だけの政治家や官僚が力をもっていないか?
また、権力闘争や政治的な争いが起き、政治運営に支障を来していないか?
アイコンは対立し合う2人。
日本は2.6点。
日本の政治家も多々批判されているが、利己的なエリートとはみなされていない。
訳の分からないことを言って選挙に出る人たちもいて、そういった人々が当選する事も無くはないが、それでも国会で有力な勢力を取ったりはしていない(というかこれに限らず複数の項で「選挙、民選制度でなければリーダーである理由付けが混乱なく・正当なものとして成立しているか」が基準ラインになっている)。
与野党の大論戦をみていて「どこが?」と思う人もいるかもしれないが、高得点をとっている国は与野党が議会で怒鳴り合いどころか、&bold(){銃で命の取り合いをする世界}である。
**3.不満分子の存在
選挙などで選ばれておらず正統性を持たないテロリストや革命組織が力を持っていないか?
アイコンは握り拳。
日本は1.6点。
日本では野党の議員も選挙で選ばれているし、選挙で負ければ与党もちゃんと政権を明け渡す。
その政党や議員がポンコツであるケースもなくはないが、そういう政党・議員にしたって次回選挙で負けるなりクビになるなりして立場を失えば大人しく姿を消す。そこが日本が点数が低い所以である。
[[オウム真理教]]や革マルの様な選挙に基づかない過激派組織自体は無くもないが、力を持っているとまでは言えない。
ここ5年近く点数が下がり続けており、2022年には安倍晋三前総理大臣が遊説中に射殺されるという大事件が起き、その9ヶ月後には岸田首相が演説中に爆弾を投げ込まれているが、それでも点数は下がっている。((裁判は未だ始まっていないが、犯人の動機が政治目的ではないと報じられているのも影響している可能性がある。))
そもそもこのランキングが始まったのは2005年で、[[オウム真理教]]の幹部らは前年に死刑判決を言い渡されている。
もしオウムらがテロを起こした1994〜95年にこのランキングがあったら5〜7点程度になっていただろうか。
高得点を取っている国では&bold(){テロリストや反政府勢力が国内に跋扈し、それを抑え込めずに政府軍とドンパチしたり、頻繁にテロや要人暗殺事件が起こる}とかそんなレベルである。
**4.経済状況の悪化と貧困
経済の低迷によって貧困や失業にあえぐ者が増えていないか?また、[[麻薬>覚せい剤]]や人身売買などといった違法なビジネスが横行していたり、単一の産品や産業に依存していないか?
アイコンは落ちるチャート。
日本は3.4点。
さまざまな貧困は日本国内でもかなり問題になっているが、それでも国家が責務を果たしていないという程の状態ではない。
2020年代以降は物価上昇で苦しんでいる人も多いと思われるが、実は先進国の中では一番インフレを押さえ込んでいる((2023年のIMF消費者物価上昇率では3.27で、G7と呼ばれる国では一番低い。))と評価されている。
政治上の経済・金利政策の失策や増える子ども食堂を見てこれでも?と思うかもしれないが、高得点を取っている国は多くの国民がその日暮らしを余儀なくされ、そもそも子ども食堂のような社会インフラがほとんどなく、失業率も特に若年層は2桁%が多く、いわばモノカルチャー経済でその産品の国際価格次第で国民の生活が大きく左右される((これが資源とかだったりするとそれこそどこかの先進国で画期的な代替素材が開発・普及しようものなら即座に壊滅しかねないわけで、故に産油国などは開発力のある国(日本とか)を怒らせたくないとも言われる。))とかそんなレベルである。
例えば先進国の中でも高い失業率に苦しんでいるイタリアは5.2点、スペインは4.5点、労働環境などで高い評価を得ているフランスも一貫してほとんど日本と同得点だったりする。これもモノカルチャー経済とかそのレベルでの問題を抱えているわけではないため。
**5.不均一な経済発展
国民全体が経済発展の恩恵にあずかれているか?一部の権力者や都市部の住民にばかり富が集中していないか?
アイコンは円グラフ。
日本は3.2点。
日本全国物価はさほど変わらないし、どこに行っても公的サービスが受けられる。
均一性はかなり高いと言えるだろう。
ただ近年は賃上げ対象の不均一が指摘されているためか点数が上昇している。
無論アメリカは日本よりやや高得点となっている(このへんの国になってくると、新自由主義そのものの正当性・妥当性とかも絡むので判断が難しくはあるが)((自由な経済活動を許容する、要するに「民間の金儲けに介入しない」の自体はむしろ資本主義の国であるならば当然の判断である。この採点はそれに失敗したような層にどう対応するかの話も多分にあり、日本の場合は公的システムとしての生活保護や国民皆保険制度(による医療費向けの富の分配)で最低限の富はなんとかしてもらえるのなどがあると思われる))。
高得点をとっている国ではこうした富が都市部にしか行き届かず、地方の住民は&bold(){もはや無政府状態での暮らしを余儀なくされているケースもあり}、空から航空写真を撮ると富裕層と貧民層の住居がまるで別世界かのようにくっきり分かれていることもしばしばである。
**6.人材及び頭脳流出
国内で育った人材が海外に逃げていないか?
アイコンは飛行機とカバン。
日本は2.4点。
現段階ではどうという訳ではない。日本が島国であることに加えて、[[日本語]]が日本国内でしか通じないという点もあるだろう。
ただ、近年は大学などの研究者や優れた人材が安い賃金に耐えかねて逃げているという指摘が多くなってきている。
高得点をとっている国だと、教育水準が高く国を支える人材になれる人たちほど国を見捨てて海外に職を求めて渡航、&bold(){場合によっては亡命してしまう}のである。
**7.国家の正統性
現在の権力者は国家の正統な代表者と言えるか?
政権が政治プロセスを透明にし、国民の支持を受けているか?((民主制であることが基本だが、民主制でなくとも政権が国民の支持を受けていれば高得点にはなりにくい))
アイコンは投票箱。
日本は0.3点。日本の指標で最も点数が低い。
皇室も幅広く支持されているし、選挙はさほどの混乱なく適正に行われ、そのような選挙で与党は国民的支持を受けている。
選挙区毎の一票の格差や供託金の高さを指摘する向きはあるものの、裏を返せばその程度のことを問題にできる程度に選挙制度はしっかりしていると言うことである。
[[政見放送]]で珍妙な主張をするネタ候補者が話題になるのも、「そう言う候補者であっても供託金さえ出せば立候補そのものはでき、政見放送などで有権者に支持を訴える機会が与えられている」ことの証拠と言える。
失敗国家や高得点を取っている国だと一つの政党からしか出馬者が出ない名ばかりの翼賛選挙だったり、野党関係者が不当に弾圧されていて公正な選挙が実施されていなかったり、選挙結果を不正だと攻撃する等の形で堂々と無視して政権に居座ろうとする権力者がいたり、&bold(){そもそも選挙が行われず、政権はクーデターで奪取されているケースさえある。}
**8.公共サービス
医療・教育・水と公衆衛生・輸送インフラ・電気などといった国民にとって不可欠な公共サービスが整っているか?
アイコンは道路。
日本は1.5点。
人が住んでいればどこの地域にも学校や病院、水道局などの公共設備がしっかりある。
抜けがない訳ではないが、それでもかなり整っている部類だ((舗装路から石畳荒れ地沼地と問わず世界各地の「公道」を爆走する世界ラリー選手権を観たことがある人なら分かると思うが、そもそも人里離れた山奥にまで舗装された道路が整備されている日本がおかしいのである。))。
東日本震災直後は5.0点まで急上昇したがその後しっかり点数を落とした。
**9.人権及び法の支配
国民に表現や報道(言論)の自由や信仰の自由、裁判を受ける権利などの基本的人権が法律で保障されているか?
国内のどこに行ってもそれらの保障がきちんと機能しているか?
アイコンはテミス((右手に剣、左手に天秤を持った、正義や司法の女神))像。
失敗国家や高得点を取っている国の場合、言論(報道)や表現&s(){&bold(){後}}の自由は容赦なく弾圧される。
処罰も裁判なしであいまいな法律に基づいて行われる。あるいは裁判とは名ばかりであり、本人の言い分も聞かれず、弁護人もいないようなケースがしばしばだ。ネット上では大変厳しいネット検閲を敷いたり((国境なき記者団による政府のネット検閲レーティングで、最も厳しい検閲を実施しているとされるレーティングのこと。通称「インターネットの敵」))、政府に都合の悪いニュースを揉み消すこともザラにある。
また&bold(){特定の宗教の教義や地域の不合理な因習に基づいて政治が行われ}、結果として女性等が爪はじきにされる例も多々ある。[[ブラジャー>下着]]をした女性を鞭打ち刑((鞭打ちといっても我々日本人が想像する革ムチでビシバシやるようなSM的な物ではなく、角棒のような硬鞭で滅多打ちにするような代物。むろん死刑ではないため、鞭打ちが刑罰として法で定められている国では受刑者の命までは奪わないよう配慮がなされる訳なのだが、私刑が横行しているような無法地帯の連中に相手の命を気遣う倫理観など当然あるはずも無く…))に処したり、[[レイプ]]被害者を死刑に処すなどの行為が横行している。((そうした国では、婚姻外交渉は厳罰の対象となり、レイプ被害さえも「婚姻外交渉」とみなされ、被害者まで死刑とすることが容認されてしまうことがある。国家権力は処罰しなくとも、民間で「婚前交渉をするなんて我が家の恥なので殺すしかない!」という「名誉殺人」が支持されてしまい、国家権力の取り締まりむなしく横行ということもある。中には海外に移民してまで名誉殺人の風習を持ち込んで問題を起こしてしまうケースも。))
もちろん特定の宗教が国教として組み込まれ、それに沿った政治が行われている国家(例としてイスラム世界の国々((ただし当てはまる国の数の多さからどうしても程度はあり、失敗国家の定義に近いイスラム法の運用がなされている国も存在する。というか上で挙げた女性関連のは「本当に教義に書いてあることだけを説明するのなら」イスラム教の聖典に沿ってはおり、事実上そういった系統の失敗国家の事例でもある。もちろんムスリム全体をそういったことしてると扱ってはならないのは言うまでもない)))、歴史的な経緯から特定宗教の信徒が有権者の多数を占め、結果として事実上その宗教に沿った人物が選挙で当選しやすい国(例えば[[アメリカ合衆国]]における[[キリスト教]]やイスラエルにおける[[ユダヤ教]]((特に同性愛の扱いや堕胎を認めるかどうかは大統領選の焦点となることが多い。最も近年は過剰にこれらを否定する層が問題視されるようになった(いわゆるポリコレ規定も本来はこれの制止も目的のひとつである。日本だとそもそもそこまで問題視されるような層が稀なだけ)ことから教義離れを提案した人物の当選も普通にある)))は存在する。
ただ、そういった国家でも大半は「合理性や現実性のある」解釈に沿って宗教と折り合いをつけた政策が実施されており、宗教国家すなわち失敗国家となるわけではない。((厳格な宗教政策の実施は、他宗教がメインの諸外国との国交や観光の誘致などの諸点でも問題になりやすいため、宗教的な禁制を意図的に緩めているような国も存在している。実際にイスラム世界やそれ寄りの国家でも観光地の色が強いところでは「明らかに信徒でなければ…」だとか「一応は配慮してねと伝えたうえで提供する」という形で飲用酒を出す・扱うのをokとしているケースもあるようだ。))
むしろ大半のそういった国は「失敗していない」国家であるからこそ、これが宗教によるものでも点数がつけられる((性質上本来は「この宗教は我々の社会通念と異なるから」として社会を維持できていないと断じるのは反差別や文化多様性の観点で絶対にやってはならない論法である。そうも言っていられないレベルで法や人権解釈が崩壊しているケースがあるから例外とはならないという話))と考えるべきか。
日本は2.8点。
男女平等・労働者・犯罪被害者・難民に代表される外国人の権利保障など、国際的に十分でないとみなされている権利保障も少なくない。
それでも、裁判は誰でも訴えられ、裁判なく刑罰に処されることはないし、生存権や表現の自由など、幅広い権利が実効的に保障されている部類である。
良くも悪くも安定していて15年間点数の上下が0.5点に収まっている。((日本では実感がわきにくいが、国によっては法制度が政権交代などによって目まぐるしく変わることがある。))
ちなみに余談であるが、死刑制度は先進国目線では肩身の狭い制度であり、死刑存置国はほぼ必ず点数が3点以上になるという特徴がある((むろん、死刑そのものだけで低評価という訳ではなく、マンパワー不足などから人権保障ができず、結果として死刑を使わざるを得ないような国もある))((またそういった国では「凶悪犯の(場合によっては特殊部隊を投入しての)その場での射殺」を認めざるを得なくなっているケースも存在し、必ずしも「犯罪者をそのまま殺すのはアウト」という理論に沿いきれているわけではない。このあたりについては価値観の相違がまだ埋め切れていない面も存在するだろう))。
死刑存置国ながら3点未満の日本はやはり高評価であると言えるだろう。((死刑存置国の中では2.6点のバルバドスに次ぐ第2位である。))
[[オウム真理教]]のメンバーなど15人の刑を執行した2008・2018年とその翌年のランキングでも大きな上昇は無かった。
なお上記で触れた大変厳しいネット検閲を実施していると見做されている国は12ヵ国あり、それらの国々の平均点は&bold(){8.2点}である。
**10.人口構成圧力の増大
人口が多すぎたり、人口構成が高齢者や未成熟者ばかりで労働人口や社会保障が持たなかったりしていないか?
また、国民が平等に食料品を手に入れられ、安全な水にアクセスできているか?
病気が蔓延していたり、自然災害に対して脆弱になっていないか?
アイコンは大人と子どもの男女。
日本は5.6点。
唯一まずい事になっている。主な原因はいわゆる少子高齢化。
なお震災直後は&bold(){8.3点}と本項目の失敗国家とタメをはれる状態にまでなっていた。
**11.難民および国内避難民の大量移動
戦乱や大災害などで難民がキャパシティを越えてやってきたり、避難民が国内を移動し、不安定になっていないか?
アイコンは難民テントと難民。
日本は2.7点。
当初は1.0前後だったが、東日本大震災で4.0点になって以降3~4点前後で、近時は下降傾向である。
島国と言うこともあって国外からの難民流入などは少数だが、震災後の点数上昇は震災そのものより原発問題が大きいのだろう。
とはいえ災害については日本の自然環境上ある程度諦めざるを得ないものはあるし、難民に関しても日本に限らず&bold(){現在の国際法規では無条件での受け入れを義務としている}((難民条約の送り返し・第三国への移送を禁止する規定。実際に上手くいっているかは別として、そもそもキャパシティを超えるから無理と言ってられない状態が前提になっているためこういった規定が存在する。本来はナチ党のような国家規模での民族浄化からの難民に対応できるようにするための条約であるためのものなのは留意するべき部分であろう))ため当該の国だけではどうしようもない部分もどうしてもある。
このあたりに関してはむしろ東日本大震災による多数の避難者が出たときですら5点(半分)を越えなかったのが失敗していないと判断できる材料か。
**12.他の国家又は外部の主体の介入
外国から侵略もしくは政府に反発する組織に対する外国の援助や経済制裁などの深刻な政治的圧力を受けていないか?また、国連や他の国からの支援に依存していないか?
アイコンは降り注ぐ矢印。
日本は2.3点。
島国である日本は外部からの圧力にはかなり強い。
北朝鮮からの[[ミサイル]]や北方領土、尖閣諸島等の領土問題こそあるものの、紛争となっているのも離島などで、人口密集地や軍事拠点が脅威にさらされているというような状況にはない。
震災直後を除けば国際的な支援も特に必要とはしていない((2012年は4点まで上がっていた。これも環境を考えるとどうしても避けられないためもあったと思われる))。
在日米軍との関係も一部軋轢があるものの基本的には良好であるし、かといって完全に依存している状態ではない。
ウクライナなどは、ロシア侵攻によって2022年の7.5点から2023年は10.0点まで跳ね上がってしまった。((全体ランキングも92位から18位まで急騰。単年でのポイント増加ワースト記録(27.3点)である。ちなみに日本も単年でのポイント増加歴代3位の記録を持つ(2011年、東日本大震災が原因)が、それでも12.5点である。))
無論世界最強国ことアメリカはこの指標が最も点数が低く、世界でもトップクラスである。
2023年は3,4,5,9には10点の国家は存在しない。
これらの点数が
・90点~120点だと&bold(){&color(red){「警報」}}
・60点~89.9点だと&bold(){&color(orange){「要注意」}}
・30点~59.9点だと&bold(){&color(green){「安定」}}
・それ以下だと&bold(){&color(Blue){「持続可能」}}
と評価される。
日本は最盛期は持続可能の域に入っていた事もあったが、現在は持続可能に限りなく近い「安定」ランクである。
G7各国は軒並み「安定」以下だが、G20まで広げると「持続可能」〜「要注意」まで千差万別となる。下はカナダの173位(18.9点)、上はトルコの52位(81.2点)。
また「国民にせよ政府にせよ、国家機能を自力で維持できるか」という観点からつけられたランキングであり、当該国家やその政府をつるし上げることが目的のランキングではない。
外国からの侵略を受けてしまった、大規模な天災が発生してしまったなど、「当該国の政府などの落ち度とは言えない場合であっても、国家の維持可能性に疑問が生じた以上は点数が下がる」という仕組みである。((採点基準そのものの問題点・妥当性については、後述する「独裁国家の採点基準」の話も読んでほしい))。
実際にはランキング以外の情報や指標と合わせて読んだ方が実情を理解しやすいことにも注意するべきだろう。
*◆失敗国家と普通の国家の違い
指標だけ見せられてもイメージが湧きにくいかもしれないので、もう少し簡易で一般に見やすい基準を考えてみよう。
分かりやすい失敗国家と普通の国家の違いとしては
-&bold(){警官と軍人に給料が払えている}
-&bold(){教師に給料が払えている}
この二つが大きなポイントであるらしい。
警官と軍人は国家権力の象徴にして国の統治の手足となる。例え反乱が起きたり、外国から侵略があったり、犯罪が起きても彼らがしっかりしていればとりあえずは鎮圧できる。
末期の[[カダフィ>カダフィ大佐]]政権のように&font(#ff0000,b){「逆らう市民をカラシニコフで掃討するだけの簡単なお仕事です。日給一万円」}とか募集しているようでは、そこにまともな人材が集まっていない証拠であり、国がマズいというのは簡単に想像がつく。
警官も軍人も武器を所持している。給料を払うのがおそくなったり、払えません、なんてなったら仕事拒否なんて平和的すぎるもので、大抵は簡単に反乱を起こされたり、無法者に武器を与えただけという結果になってしまう。
失敗国家にありがちな「軍部・軍隊出身者のクーデター」からもそれがわかるだろう。
さらに警察も軍人も、法や政府に従い命令を遂行する為にはそれなりの頭脳がいる。
訓練を受けた専門家である[[民間軍事会社>PMC(民間軍事会社)]]ならまだしも、そこらへんの市民をろくに教育もせず警官や軍人にするのは人員に困っている証拠なのだ。
そして国家にとって&bold(){「暴力の独占((一定の領域内において武力の使用を国家が独占すること。日本の場合、警察は規則に則って犯罪者を拘束したり何十年も監禁して労働させたり、場合によっては「死刑」という形で殺すことができる。これを国家組織以外の個人や組織が実行した上、それを国家組織が認知したのに法律に従った裁判にかけることすらできないような状態になると「失敗国家」となるわけだ。))」というのは非常に重要な要素}である。
暴力を独占できていないという事は&bold(){政府以外に武力・暴力を持つ勢力がいるという事で、その勢力が国家権力に成り代わりうる}という事だからだ。
そんな状況では治安維持もできないので、自警団や民兵が出現する。彼らは国家からの法律の統制も無い為、略奪や残虐行為も行う無法者集団同然になってしまう事が多い。
ろくな教育も受けていない末端の兵にまで統制を行き渡らせるのは至難である。他の自警団との諍いで更に治安が悪化してしまう事もある。
行き着く所は&bold(){軍閥による群雄割拠}である。
もう片方の教師というのは、教育によって国の方針を子どもに伝える存在であり、また人材育成の点からも極めて重要な存在である。(旧西側諸国は北欧諸国や東欧諸国に比べて教師の社会的地位が低い為分かりづらいが)
というか、&bold(){教師に給料を払えている=学校が維持できている}という事であり、すなわち&bold(){国内各地にある学校の維持管理が出来ている}という事になる。
つまり&bold(){統一された政府が国内各地をきちんと統治している証拠}にもなるのだ。
教育施設というのは割と切り捨てられ易い部門((日本ですら、教育予算や研究予算を巡って教員の増員予算を求める文科省と、予算には効果が無い、少子化なんだから削減しろと主張する財務省の熾烈なバトルが恒例行事になっている。))なので、そこがしっかりしているという事は政府が安定している事の証明になる。
政治家が多少駄目だったり政権がすぐに交代してしまうような国でも、それを支える各種の専門知識を持つ官僚組織がしっかりし、政治家が官僚の言う事にある程度でも従っていれば安定した国になる。
失敗国家の多くは、&font(#ff0000,b){「官僚組織?何それ美味しいの?」}レベルの国である事は忘れてはならない。
そういう国家では国内にまともな産業が無い事が多く、国家組織=国内最高の就職先であり、支持者に職を与える為に官僚の地位をばらまいている事すら多い。
そうして官僚になった者に力量など望めない為、&bold(){情実による気まぐれ政治や賄賂が横行する}事になる。
*◆独裁国家と失敗国家
強権的な独裁政治体制は日本や先進国目線からすれば妥当な政治体制ではないと取られがちである。
だが、失敗国家かどうかという観点からすると&bold(){深刻な経済破綻でもやらかさない限り失敗国家ランキングの上位に食い込むことは少ない面がある。}
指標のうち「国家の正統性」は低評価になるし、統治体制によっては「人権及び法の支配」等は低評価になりやすい(いわゆる一党独裁の場合2023年度では点数は最低でもシンガポールのそれぞれ4.3、4.1点である)。
一方で、独裁者もそこまでバカではないケースが多いし、国民の自由は保障されない代わりに強力な統治が敷きやすくなり、ある程度政治&bold(){は}安定する為だと思われる。
たとえば強力な一党独裁でおなじみの中国は「国家の正当性」が8.1点、「人権及び法の支配」は9.4点とかなりの低評価だが、国内の統制が取れているため総得点は64.4点で全体99位である。
不満分子の抑圧や経済不均一、国内の有能人材確保、急速な公共サービスの整備などもある程度強権で対処可能である。
[[血が流れない分平和>モンキー・D・ガープ]]と割り切れる限りは国民的な支持も得やすい。
北朝鮮が一線を越えないで済んでいるのもこれが理由であろう。
ルーマニアではチャウシェスク独裁政権が[[ルーマニア革命>ルーマニア革命(1989年)]]によって倒れた後、一時的とはいえ国民生活は逆に苦しくなったとも言われている。
「独裁国家かつ失敗国家」というケース自体は確かにありうるが、「統治能力など元々ない名ばかり独裁者で、有力者がお飾りとして祭り上げただけ」「元々失敗国家を何とかしようと仕方なく強烈な独裁に頼っているが、それでも立て直せない」というタイプも多い。
あるいは独裁で持ちこたえていた国でも独裁者の死亡等で強権力が誰にも引き継がれずに瓦解し、そのまま失敗国家一直線という事もある。
例としては、現在は失敗国家ではないものの、チトー死後のユーゴスラビアがわかりやすいだろうか。民族紛争の火種があるとこうなり易い。
*◆代表的な失敗国家
以下、スコアと順位、偏差値は2023年のものとする。また、上記の失敗国家の例示から人間開発指数、民主主義指数、腐敗認識指数(データは2021年)、平均寿命、乳児死亡率を掲載する。
-人間開発指数:各国がどのくらい発展しているか、どのくらい貧困しているかを評価したもの。0~1で、高いほど発展している。
-民主主義指数:各国の民主主義の状態を評価したもの。0~10で、4以下はいわゆる「独裁政治」とされる。
-腐敗認識指数:各国の公共部門がどの程度腐敗していると認識されているかを評価したもの。0~100で、高いほど清潔な状態。
**○参考:日本
スコア:30.2点(160位、偏64.3)
|人間開発指数|BGCOLOR(#003C00):COLOR(#FFFFFF):0.920|
|民主主義指数|BGCOLOR(#2f5cd5):COLOR(#FFFFFF):8.40|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#66BD63):COLOR(#FFFFFF):73/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#66BD63):COLOR(#FFFFFF):84.45歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#66BD63):COLOR(#FFFFFF):1.8/1000人|
**○参考:G7平均
スコア:32.5点(偏63.5)
|人間開発指数|BGCOLOR(#003C00):COLOR(#FFFFFF):0.926|
|民主主義指数|BGCOLOR(#2f5cd5):COLOR(#FFFFFF):8.25|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#66BD63):COLOR(#FFFFFF):71/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#66BD63):COLOR(#FFFFFF):81.02歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#66BD63):COLOR(#FFFFFF):3.4/1000人|
**○イエメン
スコア:106.6点(6位、偏32.7)
|人間開発指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):0.442|
|民主主義指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):1.95|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):16/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#2F4F4F):COLOR(#FFFFFF):66.13歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#FF7F50):45.7/1000人|
インド洋と紅海を繋ぐバル・エル・マンデブ海峡の東側でアラビア半島の端っこにある国。&font(#ff0000,b){2019年〜2021年失敗国家ランキング1位}。
その立地から古代ローマ時代より海上交易の中心地、物資集散地として大いに栄え、また香料の産地でもあった事からローマからは「幸福のアラビア(Arabia Felix)」とまで呼ばれ、その取引での資金流出がローマ衰退の原因になったとすら。
だが裏を返すと大国の勢力争いに巻き込まれやすく、名目上の宗主国だったオスマン帝国とイエメン王家その他の土着勢力が小競り合い、19世紀になるとエジプト(ムハンマド・アリー朝)、[[イギリス]]も参戦。
結果南北分断に陥って冷戦期も北はサウジアラビア、南はソ連の庇護下に入り、1990年代に入りようやく悲願の統一となる。
しかし統一や[[湾岸危機>湾岸戦争]]による混乱が収まると、北イエメン時代から大統領という名の独裁者であったサーレハによる支配がイエメン全土に拡大しただけという始末。なおかつ土着勢力が相変わらず実権を持つ部族主義的社会に宗教対立も抱えた国情にお決まりの国内格差で内部の不満は拡大する。
そこに「アラブの春」の影響でサーレハは退陣。南部出身のハーディ副大統領が暫定大統領になるも、復権を狙うサーレハはあろうことかかつては迫害したザイド派((シーア派の一派で、代々のイエメン王家が指導者であるイマームに就いていたが、現在のイエメンでは少数派。なおイランは同じシーア派でも別派閥の12イマーム派を「国教」とする))系反政府宗教勢力のフーシ派((北部の国境地帯から起こった宗教運動組織。大体反アメリカ、反イスラエル、反スンニ派))と接近した。
ハーディ暫定政権がパッとしない中で徐々に勢力を拡大させていたフーシ派は軍や政界の支持・影響力の強いサーレハが味方になったことで2015年にクーデターを起こし、同時にアル・カイーダやISILといったイスラム過激派も勢力を拡大させ内戦に至る。
一時はボートで脱出する羽目に陥ったハーディ暫定大統領がサウジアラビアの主導するスンナ派アラブ諸国の軍事支援によりなんとか挽回したり、そのハーディー政権寄りだった南部暫定評議会がUAEの支持を得て独自路線を打ち立てたり、スンニ派諸国の動きが面白くないイランがフーシ派を支援したり、和平を仄めかしたサーレハ前大統領をフーシ派が暗殺したり……と平和的解決の目が見えぬまま紛争は続き、
2019年時点で
・ハーディ政権派・有志連合
・フーシ派
・AQAPやISILなどのイスラム過激派
・南部再独立派の南部暫定評議会
による&bold(){4勢力入り乱れるこれまでで最悪の状況}となっていた。
2022年には各勢力の消耗で一度は一時停戦に至るも半年ほどで終了、小康状態のまま対立は続いていた。
しかし2023年にイスラエルとハマスの衝突による情勢悪化を機として、フーシ派が親イスラエルとみなした紅海上の民間船舶に対艦ミサイル等を用いた攻撃を開始。これに対してアメリカを筆頭とした多国籍軍が船舶の護衛に回ることに。
翌2024年にはアメリカと[[イギリス]]が船舶護衛にあたっていた自国の軍艦がフーシ派による攻撃を受けたとして自衛権を発動、フーシ派の拠点を攻撃した。今後の動向によっては変動が考えられる。
**○[[ソマリア]]
スコア:111.3点 (1位、偏30.7)
|人間開発指数|N/A|
|民主主義指数|N/A|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):13/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#0000FF):COLOR(#FFFFFF): 57.4歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):72.7/1000人|
失敗国家ランキング&bold(){6年連続1位}。2023年〜2024にも1位になり、その間も2位と1位を行ったり来たりしている&bold(){絶対強者}。
リアル[[GTA>Grand Theft Auto III]]カオスモードマニアック。権力の及ぶ範囲が首都を中心として&bold(){半径数百メートル}なんて事もあった。
あの最強国・[[アメリカ合衆国]]が諦めた国でもある。
詳しくは項目で。
**○シリア
スコア:108.1点(4位、偏32)
|人間開発指数|BGCOLOR(#FF7F50):0.543|
|民主主義指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):1.43|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):13/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#006400):COLOR(#FFFFFF):72.7歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#006400):COLOR(#FFFFFF):18.4/1000人|
地中海東岸の一角にあり、かつては「肥沃な三日月地帯」とも呼ばれる古代オリエントの中心地帯の一角で、かつ地中海交易やシルクロード交易の要衝だった。
なのでオリエントの覇権を握らんとする国家が&bold(){太古よりぶつかり合い}、加えて途中からエルサレムとかいう係争地が南に出来る始末。
それでもオスマン帝国が中東一帯の覇権国家として君臨していた時期は良かったが、第一次大戦で帝国が崩壊すると雲行きが怪しくなる。
[[イギリス]]やハシーム家との紆余曲折の末に地中海東岸を勢力圏とするフランスの委任統治領(という名の植民地)となるが、多彩な宗教や部族民族を利用した分割統治を敷いたものだから社会的な亀裂が発生。
でもってフランスへの反発心は収まらなかったので戦間期から独立が取りざたされており、1946年にフランスから独立。
しかし独立直後から7回もクーデターや反乱が発生し、非常にゴタゴタしていた。
1963年3月8日に革命によりバアス党が政権を握るが、握った後も党内でも対立が発生し1966年と1970年にクーデターが発生。ハーフィズ・アル=アサドが大統領となるもその後も虐殺が発生した。
そのハーフィズ・アル=アサドは2000年に死去し、後を継いだ息子のバッシャール・アル=アサドは最初は民主化を進めていたが、アメリカのフセイン政権打倒を受けて独裁政治に転身して、言論統制や権力強化をしてしまう。
2011年にアラブの春が起きると政府に対する不満によって内戦が勃発。
主義主張が噛み合わない反政府組織が乱立して泥沼の戦況となり、対抗する政権側は政権側で市民の虐殺や拷問を繰り返し国際的な批判を浴びた。
さらに混乱に乗じたISILによって国の一部を支配されてしまう。これによって大量の難民が発生しトルコなどに流れ込んだ。
また、これに伴いパルミラを筆頭とした各種遺跡の破壊行為が行われ、いわゆる危機遺産に認定される状態に。
ロシアやイランによる政府への援助でISILは壊滅し国土を奪い返したものの、反政府勢力が掌握していた北部や南部では激戦が続き、解決のめども立っていなかった。また、2022年には反政府デモが再燃。死傷者も出すなど予断を許さない状態になり、衛生状況も悪くハイチと並ぶ[[コレラ]]蔓延地帯と化した。これに追い討ちをかけるように、2023年年明け早々にはトルコにまたがる広範囲の大地震が発生、シリア側の被災地は反政府勢力の縄張りなこともあり支援が行き届かない状態になった。
そして2024年末、北西部に陣取る反政府勢力が一斉に攻勢を開始。国内第二の都市アレッポを数日で陥落させると、その他の反政府勢力、反乱軍が一斉に蜂起。これに対し政権側は敗走を繰り返し、攻勢開始からたったの12日で首都ダマスカスが陥落。アサド政権は崩壊した。
大統領は当初、飛行機が撃墜されたため死亡したとの情報も流れたが、後に家族と共にロシアへと逃亡した事が判明している。
アサド政権の崩壊後は複数の反政府勢力が新政府を構成する事となった((ちなみに権力移譲自体は新旧政権いずれも協調路線を明示したため平和裏に済み、アフガニスタンのタリバン政権などと異なり国際的にも正当な政権と見なされる傾向となっている。))ものの、内戦が終結したわけではなく、現在も主にトルコの支援を受けている新政府の一派と東北部のクルド人勢力との間での戦闘が継続中。
また南部では政権崩壊の混乱に乗じてイスラエルが地上侵攻を行い一部地域を占領し、更にシリア各地で空爆を繰り返すなど、まだまだ混迷は続いている。
//以下のブロックの内容は無断で分割された「シリア」の項目の文章です。
//分割先の項目は削除されますが、本項目に記述のない情報もあるため、今後の追記・修正の参考になる可能性があるため、こちらに残しておきます
#co(){
シリアとは、西アジアに位置する国である。
北にトルコ、東にイラク、南にヨルダン、西にレバノン、南西にイスラエルと国境を接し、北西は東地中海に面する。首都はダマスカス。
*歴史
かつては「肥沃な三日月地帯」とも呼ばれる古代オリエントの中心地帯の一角で、かつ地中海交易やシルクロード交易の要衝だった。
なのでオリエントの覇権を握らんとする国家が&bold(){太古よりぶつかり合い}、加えて途中からエルサレムとかいう係争地が南に出来る始末。
それでもオスマン帝国が中東一帯の覇権国家として君臨していた時期は良かったが、第一次大戦で帝国が崩壊すると雲行きが怪しくなる。
*概要
面積は約18万5000平方キロメートル、人口は約2100万人。
9割をシリア系アラブ人が占め、残りはクルド人等が住んでいる。
公用語はアラビア語。ごく一部ではフランス語も使われてる。
正式名称は、アラビア語でالجُمهُورِيّةُ العَرَبِيّةُ السُّورِيَّةُ
日本ではシリア・アラブ共和国と呼ばれる。
発展途上国ではあるものの2011年より前は識字率95%、治安も他の中東諸国に比べて悪くはなく、大学まで授業料無償だったり、他の途上国に比べて幾分マシな部類だった。
そう、あることが起きるまでは…
*シリア内戦
イギリスやハシーム家との紆余曲折の末に地中海東岸を勢力圏とするフランスの委任統治領(という名の植民地)となるが、多彩な宗教や部族民族を利用した分割統治を敷いたものだから社会的な亀裂が発生。
でもってフランスへの反発心は収まらなかったので戦間期から独立が取りざたされており、1946年にフランスから独立。
しかし独立直後から7回もクーデターや反乱が発生し、非常にゴタゴタしていた。
1963年3月8日に革命によりバアス党が政権を握るが、握った後も党内でも対立が発生し1966年と1970年にクーデターが発生。ハーフィズ・アル=アサドが大統領となるもその後も虐殺が発生した。
そのハーフィズ・アル=アサドは2000年に死去し、後を継いだ息子のバッシャール・アル=アサドは最初は民主化を進めていたが、アメリカのフセイン政権打倒を受けて独裁政治に転身して、言論統制や権力強化をしてしまう。
2011年にアラブの春が起きると政府に対する不満によって内戦が勃発。
さらに混乱に乗じたISILによって国の一部を支配されてしまう。これによって大量の難民が発生しトルコなどに流れ込んだ。
また、これに伴いパルミラを筆頭とした各種遺跡の破壊行為が行われ、いわゆる危機遺産に認定される状態に。
ロシアやイランによる政府への援助でISILは壊滅し国土を奪い返したものの、反政府勢力が掌握していた北部や南部では激戦が続き、解決のめども立っていなかった。また、2022年には反政府デモが再燃。死傷者も出すなど予断を許さない状態になり、衛生状況も悪くハイチと並ぶコレラ蔓延地帯と化した。これに追い討ちをかけるように、2023年年明け早々にはトルコにまたがる広範囲の大地震が発生、シリア側の被災地は反政府勢力の縄張りなこともあり支援が行き届かない状態になった。
そして2024年末、北西部に陣取る反政府勢力が一斉に攻勢を開始。国内第二の都市アレッポを数日で陥落させると、その他の反政府勢力、反乱軍が一斉に蜂起。これに対し政権側は敗走を繰り返し、攻勢開始からたったの12日で首都ダマスカスが陥落。アサド政権は崩壊した。
大統領は当初、飛行機が撃墜されたため死亡したとの情報も流れたが、後に家族と共にロシアへと逃亡した事が判明している。
アサド政権の崩壊後は複数の反政府勢力が新政府を構成する事となったものの、内戦が終結したわけではなく、現在も主にトルコの支援を受けている新政府の一派と東北部のクルド人勢力との間での戦闘が継続中。
また南部では政権崩壊の混乱に乗じてイスラエルが地上侵攻を行い一部地域を占領し、更にシリア各地で空爆を繰り返すなど、まだまだ戦闘状態は続いている。
*内戦による被害
21世紀最大の人道危機とも呼ばれるシリア内戦だが、内戦によって他国へ避難した難民数は600万人以上。40万人以上の死亡者を生み出した。
また識字率も大きく下がり現在は50%程度。
}
**○[[南スーダン]]
スコア:109点(3位、偏31.7)
|人間開発指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):0.388|
|民主主義指数|N/A|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):11|
|平均寿命|BGCOLOR(#0000FF):COLOR(#FFFFFF):57.85歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):63.3/1000人|
2011年に住民投票によりスーダンから独立。
建国から現在まで内戦・紛争、ハイパーインフレ等政経共に数多くの問題を抱えている、&bold(){近年における失敗国家の代表格}。
登場直後に失敗国家ランキング4位に入ると、&font(#ff0000,b){ソマリアのランキング1位の連続記録を2014年に止めた}挙げ句、2015、2017、2018年も1位になってしまった。
2019年にはイエメンが1位になったが、情勢が大きく変わった訳ではない。&bold(){2020年まで続けて3位だし、2023年も同じく3位。}
**○[[コンゴ民主共和国]]
スコア:106.7点(5位、偏32.6)
|人間開発指数|BGCOLOR(#ff0000):0.462|
|民主主義指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):1.4|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):19/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#0000FF):COLOR(#FFFFFF):60.68歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF): 63.8/1000人|
かつてのザイール。
[[レオポルド二世>レオポルド二世(ベルギー王)]]の私有地「コンゴ自由%%(嘘だッ!!)%%国」のなれの果て。やっぱり内戦の繰り返し。
こと1998年から2003年の第二次コンゴ内戦は&bold(){「アフリカ大戦」}の異名を持つ、周辺諸国が派兵と介入と諸勢力支援を繰り広げた大戦争だった。
2018年にようやく選挙で決着がついた…か?%%けど19年のランキングは中央アフリカを抜き去り5位、23年はさらに4位に上昇%%
なんもかんも宗主国のベルギーが悪いといえば悪いが、独立から内乱まで1週間も持たなかった辺り、独立を性急に行ってしまった事((コンゴの独立運動に圧され独立が決定してからの準備期間は僅か半年だった))も原因かもしれない。
なお、よく間違われるお隣コンゴ共和国も相対的にマシとはいえ近年20位台に定着しており、「経済状況の悪化と貧困」ではこちらをしのぐ9.2点(世界ワースト8位タイ、2024年)をとるなど、お世辞にも良いとは言えない状況である…
**○中央アフリカ共和国
スコア:103.7点(7位、偏33.7)
|人間開発指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):0.372|
|民主主義指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):1.43|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#ff0000):24/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#0000FF):COLOR(#FFFFFF):53.28歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):77.5/1000人|
20世紀の[[袁術]]、皇帝[[ボカサ1世]]を産んだ国。
元々クーデターや宗教対立で治安がよくなかったが、2013年に国内のゴタゴタにより一時期無政府状態に陥ってしまい経済もガタガタに。
資源に乏しい為それを目当てにした大国の介入も見込めず、キリスト教徒を中心としたアンチバラカとイスラム教徒を中心としたセレカの抗争が今なお続き、難民の増加にも歯止めがきかない。
2014年から17年まで4年連続失敗国家ランキング&bold(){第3位}を堅持し続け、その後も5位6位と上位の一角。
国民の約9割が&bold(){1日2ドル未満}で暮らさなければならないと言えばヤバさが分かるだろう。
また、上記でも触れた通り公共サービスの提供もままならず、テロによって学校や病院が襲撃される事件も多発していること、極貧層が多いことから2021年現在平均寿命は約53歳と世界最下位である。
「1日2ドル未満」というのは&bold(){「世界貧困線」}という、&font(#ff0000,b){最低限の生活を行えるか否かのボーダーライン}である。
経済状況を打破するために2022年には世界で二番目にビットコインを法定通貨として導入…するも、そもそも&bold(){仮想通貨に必要な大量の電源を確保できず}失敗に終わっている((なお、世界で初めてビットコインを通貨に採用したのは中米のエルサルバドル。経済学者だったブケレ大統領が主導したがIMFとの対立で同国側が折れ、ビットコインの使用は必須ではなく任意となっている。))。
**○[[チャド]]
スコア:102.3点(10位、偏差値34.3)
|人間開発指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):0.403|
|民主主義指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):1.67|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):20/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#0000FF):COLOR(#FFFFFF):54.24歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):67.4/1000人|
リビアの南、[[スーダン]]の西隣。
例によってトップの政権基盤偏重による国内対立が起こり、カダフィが油を注いで独立後5年で内戦突入。
それ以来&bold(){大統領が変わる時は毎回クーデター}という惨状で、7代目のデビ大統領も[[世界の独裁者ランキング]]上位であった。
2020年には死刑制度を廃止したりもしているが、それでも「人権及び法の支配」も含めて点数はほとんど下がっていない。
…そして2021年には前線を視察中に負傷し死亡。何と軍人である息子と彼が率いる暫定軍事評議会が跡を継いだ。
デビ政権はクーデターで政権を獲得した後に「一応」選挙を行っており、憲法も制定している。そして憲法に従えば本来は「国会議長が暫定大統領→大統領選挙」という流れになるという。
それに逆らった……つまり&bold(){またクーデター}である。
でもって反政府勢力はまだまだ絶賛活動中。
[[霊圧が消える人>茶渡泰虎(チャド)]]ではないが、テロと[[地雷]]で霊圧(命)が消えかねない。
近くに死神がたくさんいそうである。友達になりたくねえな!
地味に失敗国家ランキングで2023年まで2桁になった事が無かったという有難くない実績があったが、2024年に遂に10位へとランクダウンを果たした。
**○スーダン
スコア:103.9点(7位、偏33.8)
|人間開発指数|BGCOLOR(#FF7F50):0.505|
|民主主義指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):2.47|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):20|
|平均寿命|BGCOLOR(#2F4F4F):COLOR(#FFFFFF):65.31歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#FF7F50):39.9/1000人|
エジプトの南隣、[[南スーダン]]の北側。
2006年、2007年失敗国家ランキング1位。その後ずっと3位だったが、最近は徐々に落ちてきている。
しかしダルフール紛争が長期化しているうえに南部で採掘していた石油が南スーダンの独立によって無くなり&font(#ff0000,b){どう考えても紛争フラグが立っている}。
というか&bold(){上記の南スーダンと一緒に、内戦と国境紛争の真っ最中である}。
また、刑法の27条に、被害者と同じ方法で死刑に処すと言うハンムラビ法典ばりの刑罰が存在している(余談だが、そのような趣旨の日本の漫画、助太刀09が存在する)。
2023年には遂に軍人達が率いる暫定政権と民兵組織が停戦を破り全面衝突。日本を含めた多くの外国人が安全の為スーダンを離れることに。
2024年現在も首都ハルツームは空港が閉鎖されており、実質的な鎖国状態に。
結果点数は大きく上昇し、2位まで返り咲いた。
**○アフガニスタン
スコア:103.9点(7位、偏33.7)
|人間開発指数|BGCOLOR(#FF7F50):0.[[502]]|
|民主主義指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):&bold(){0.32}|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):16/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#0000FF):COLOR(#FFFFFF):64.83歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#FF7F50):45/1000人|
20世紀に入り[[イギリス]]から独立、王政を敷くも内情は部族主義的で、急進的改革派によるクーデターが起きてからは一気に政情不安定化。
親ソ派が政権を得るも内部対立が絶えず、見限ったソ連は1979年に侵攻・直接介入し支配を行うも、各地で反ソ連を掲げる勢力がゲリラ戦を展開していた。[[あのラジー賞映画>ランボー3/怒りのアフガン(映画)]]で描かれたのはこの時期のこと。
1989年にソ連がアフガニスタンから撤退すると、その直後から各勢力が戦後の主導権を握ろうと国内で紛争が多発する様になる。
イスラム神学校出身者による非軍閥のタリバン政権が一時はアフガニスタンの九割を掌握したものの、&bold(){サウジアラビアを放逐された札付きの反米テロ組織アル・カイーダを匿い続けたのが運の尽き。}
2001年にアル・カイーダによる同時多発テロでブチ切れたアメリカがアフガニスタンに侵攻しタリバン政権は崩壊。
アメリカはハーミド・カルザイを首班とするカルザイ暫定政権を成立させるも、タリバンを始めとする反政府勢力はカルザイ暫定政権をアメリカの傀儡政権と見做して従わず、また暫定政権自身も汚職の横行などで国民の支持を得られず各地でテロを繰り返される。
結果的に国内の治安は急速に悪化し、首都カブールの周辺以外はカルザイ政権の支配が及ばず無政府状態に陥った。
一応2019年9月にアメリカとタリバンが和平基本合意をした。ただ&bold(){このまま落ち着くとは誰も思っていなかったが}。
2021年、米軍撤退と時を同じくして、予想通りと言うべきかタリバンの攻勢が始まり、首都カブール、および国土のほぼ全域を制圧。ガニ大統領は国外脱出。再びタリバンがアフガンの政権に戻るという結果に……。
よりによって8月15日。&bold(){つまり第二次世界大戦が終わった日}の出来事である。&footnote(ただしこの認識は日本のみで、日本がポツダム宣言に調印した9月2日を終戦記念日とする国が多い)
報道ではアフガンの民衆が群がるのを無視してアメリカの飛行機が飛び立つ映像が流れ、「アメリカはアフガンを見捨てた」と非難する声や「戦う気のないアフガン政府にこれ以上アメリカ軍が肩入れする義理はない」など、様々な意見が飛び交っている。((ちなみに飛び立つ飛行機の中には限界までアフガニスタン難民を押し込んでいた機もいた。))
なお、タリバンの全土掌握により国内の反タリバン勢力はほとんどが壊滅状態に追い込まれたのだが、過激派イスラム原理主義組織ISIL(イスラム国)の一派であるISKPが勢力を伸ばし、タリバンに対するテロ攻撃を繰り返している。
もっともタリバン以外の全勢力も敵に回すスタンスのため、米軍撤退時には米軍に対する自爆テロ攻撃を行っていたり、後にロシアで銃乱射事件を起こしていたりもするのだが。
さらに2023年10月7日には北西部ヘラート州で非常に珍しいM6.3の四つ子地震が発生。シリアと同じくかなりの被害が出ており、予断を許さない状態となっている。
**○ジンバブエ
スコア:95.7点(18位、偏差値37.1)
|人間開発指数|BGCOLOR(#FF7F50):0.573|
|民主主義指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):2.92|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#ff0000):23/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#0000FF):COLOR(#FFFFFF):61.49歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#FF7F50):37.9/1000人|
旧ローデシア時代((旧ローデシアの内、北はザンビア、南はジンバブエとして独立した))は&bold(){「南アフリカ以上」}とも呼ばれたアパルトヘイトと白人による土地寡占で悪名を馳せていたが、黒人反政府ゲリラとの内戦の末に改名・独立し、黒人への参政権付与後は融和路線に成功。
農業に有利な国土に支えられたローデシア経済((長期間に渡る世界中からの全面経済制裁や反政府ゲリラとの内戦にしばらくは耐えられる程度の経済力はあった。[[南アフリカ共和国]]とポルトガル領モザンビークの支援もあったが))もあってアフリカでも屈指の安定した国を実現した。
……そのはずだったが2000年代辺りからムガベ長期政権のひずみが見え始め、第二次コンゴ内戦への介入や白人地主の土地強制徴用などやらかした末に[[ハイパーインフレ>インフレーション]]を起こす。
何度通貨切り下げをやってもインフレが止まらず、&bold(){2009年には&font(#ff0000){100兆ジンバブエ・ドル}なんて紙幣が出る}始末。
もはや外貨でないと商取引が成立せず、国民からもいらねえと言われ、[[ゴルゴ13>ゴルゴ13(漫画)]]の『標的は陽気な悪魔』の題材になり、イグ・ノーベル賞のネタにもされた末に2015年6月11日についにジンバブエ・ドルは廃止された。
しかしムガベは政権に居座り続け、&bold(){「いつまでやるんだ、てかいい加減寿命が近いだろう」}と誰もが思っていた2017年に後継争いからクーデターが発生。&bold(){93歳}の老独裁者はようやく政権から追放された。
そして、2019年9月6日にシンガポールの病院で死去。享年95歳。
その豹変っぷりと寿命の長さから「[[本人は既に暗殺されていて、替え玉がやっていたのでは?>死亡説]]」などとも言われた。
2019年6月にRTGSドルが制定され外貨の使用が禁止されたが、あっという間にインフレ率300%に達してしまい、2020年3月にUSドルの使用が認められるようになった。かつてほどではないにせよまた超インフレの兆しが見え始めている。
現在は国内で採掘される豊富な金資源をもとに金本位制への改革が行われており、通貨の安定化が期待されるところだが、肝心の金資源の大半が汚職などで政府の管理から漏れてしまっている。
**○ナイジェリア
スコア:96.6点(15位、偏36.8)
|人間開発指数|BGCOLOR(#FF7F50):0.525|
|民主主義指数|BGCOLOR(#DAA520):4.11|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):24/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#0000FF):COLOR(#FFFFFF):54.69歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):72.2/1000人|
アフリカ最大の人口とGDPを誇り、最近は石油に頼る経済からの脱却を進めているアフリカの大国。タレントのボビー・オロゴンや、関口メンディー、巨人のオコエ瑠偉選手の父親の出身国であり、日本からの出稼ぎ労働者なども多いため、割と日本とも馴染みの深い国でもある。
しかし徴税機構がザルなので政府の歳入は未だ石油に大きく依存しており、さらに政治の汚職により&bold(){石油収入150億ドルのうち100億ドルが使途不明のまま消えていく}。
経済大国であるため国内の市場そのものは大きいが、&bold(){国民の半分が貧困層}なため購買力が低く、市場を活かしきれていない。
学校教育の水準は比較的高くIT教育も盛んだが、学卒者の4分の1は失業状態で、&bold(){それらがインターネット詐欺等に関わる高度な教育を受けた犯罪者と化している}(所謂『ナイジェリアの手紙』が有名)。
国内は多数の民族・言語・宗教が入り乱れる闇鍋で、特にイスラム教徒の多い北部では『ナイジェリアのタリバン』ことボコ・ハラム((あのISILと並び称される程の凶悪なイスラム教過激派組織。自爆テロは勿論の事、警察署や学校を襲撃して多数の死傷者を出したり、2014年にはとある女学校の生徒らほぼ全員を奴隷として売り飛ばすとの名目で拉致、強制結婚や性的暴行を行っている。))が跳梁跋扈している。
&bold(){GDPが高ければ豊かという訳ではない}というのがよく分かる悪い例といえる。
**○ハイチ
スコア:103.5点(9位、偏33.9)
|人間開発指数|BGCOLOR(#FF7F50):0.501|
|民主主義指数|BGCOLOR(#DAA520):3.48|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):20/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#0000FF):COLOR(#FFFFFF):64歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#FF7F50):46.7/1000人|
&bold(){失敗国家中南米代表}のような国。
[[アメリカ合衆国]]に次いで南北アメリカ大陸で独立を達成し、「世界初の黒人による共和制国家」という輝かしい肩書を持つ。日本だと、[[テニス]]の大坂なおみ選手の父の出身国である。
大航海時代、&bold(){コロンブス}と&bold(){スペイン}によってイスパニョーラ島が「発見」されると、元々住んでいた人達が&font(#ff0000,b){文字通り「絶滅」させられた}のが受難の始まり。
でもって17世紀に入ると絶賛衰退中のスペインは大同盟戦争で占領された本土やネーデルランドの代わりにハイチを割譲し、&bold(){フランスの植民地}になる。
その後フランス革命の機運に乗って独立する(ハイチ革命)……が、この時すでに深刻な人種間地域間対立を抱えており、ナポレオンにより一度鎮圧されたり、独立達成後も内紛に突入したり、スペイン系住民の手でイスパニョーラ島の東側が分離独立、ドミニカ共和国を建国したりとちっとも安定しない。
加えて革命時に旧体制回帰防止%%と往時の報復%%として奴隷解放や統治層であった白人の処刑や農地を接収したのが見事に裏目に出て、独立承認と引き換えにフランスから巨額の賠償金を課せられ、重くのしかかる返済負担が不幸を決定づける。
更に&bold(){ドイツ帝国}がちょっかいかけるわ、それを警戒した&bold(){アメリカ}に1915年に占領されるわと大国に振り回され続けている。
おまけにそのアメリカが首都への権力と産業の集中や軍部の強化((現在まで続く地方の衰退や、後の軍事独裁政権成立は大体このせい))と失敗国家[[フラグ]]を一通り立てた結果、
安定した政権が少なく、&font(#ff0000,b){独裁政権すら続くことが難しい}有様で、建国以来&bold(){混乱が200年ほど続いている状態}に近い。
1958年から1986年の間のデュヴァリエ父子による独裁は、当時&bold(){「北半球最悪」}とも謳われた。
それも軍事クーデターによって倒されるものの、その後も軍事クーデターと反政府組織の武装蜂起が度々起こっている。
&bold(){そしてそのほとんどにアメリカの関与が判明、もしくは疑われている。}本当にこの国は…
2010年にはM7.0の地震と津波に襲われており、首都に直撃したことと社会インフラの脆弱さもあって死者・行方不明者数&font(#ff0000,b){約32万人}という近代では類を見ない甚大な被害を被った上、国会議事堂の倒壊により政治機能が麻痺((首相ですらホームレス状態に陥るという有様だった。))、更には&bold(){よりによって国連の救助隊がコレラを持ち込み大流行}。ダメ押しの如く&font(#ff0000,b){1万人以上の病死者を出した}。
ハイチの情勢が現在まで不安定を極めているのは、この大規模災害と復興の遅れのせいだからという見方も強い。
2021年7月、&bold(){現職であったモイーズ大統領が自宅で武装集団の襲撃を受けて暗殺される事件が発生。}2月にもクーデター未遂が発生していた中での出来事であった。
追い打ちをかけるかの如く翌月にはM7.2の地震が発生し、再び大きな被害を受けている。結果スコアと順位が大方の予想通り大幅に上昇した。
案の定地震の復興はろくに進んでおらず複数のギャング組織が跋扈。一般庶民の家に押し入り強盗やみかじめ料要求、石油基地を占領して流通が止まったり、老若男女問わず輪姦して撮影し脅迫など無茶苦茶に拍車がかかっている。
医療体制も完全に崩壊しており、前述の通り[[コレラ]]などの感染症が蔓延しまくっている。
そして2024年、&bold(){アンリ首相が治安改善のためケニアへ協力要請に行くも、}&font(#ff0000,b){ギャングからの殺害予告で帰国不能}&bold(){に。刑務所が襲撃され&font(#ff0000,b){4000人の受刑者が脱獄}する非常事態の中、ケニアに留まったままでの辞職を余儀なくされる。}現在は暫定評議会が発足し、2026年まで大統領に代わり統治を行うとしている。
ちなみに上述したドミニカ共和国は失敗国家ランキングでは108位(60.2点、偏51.9)。つまり、問題点はそれなりにあるものの国家運営としては成功している部類。
&bold(){リアル環境テロリスト}ことホアキン・バラゲール大統領の独裁政治による強引な環境保護政策((違法伐採業者のキャンプを軍用ヘリで襲撃し壊滅させる、環境保護政策に反対した政治家にあらゆる圧力をかけて辞任に追い込む、貧しさから止む無く国立公園内に住んでいた人々に銃を突き付けて立ち退かせる、等々))により、自然保護とそれらを基盤とする産業の振興にも成功し、一時は「ドミニカの奇跡」と持て囃された。
国境線における豊かな森林が残るドミニカ側と&bold(){不毛のハゲ山と化した}ハイチ側の印象的なコントラストは『不都合な真実』でも取り上げられた。
まあドミニカはドミニカで米軍占領や軍部独裁、内戦と波乱に満ちた歴史で、軍部独裁の流れを汲むバラゲール政権も格差の拡大や対立する革新派の非合法な排除などなど後ろ暗い面が多いのも事実ではあるが……
いずれにせよハイチよりは遥かにマシな状況の国家であるため、ハイチからドミニカへの(不法入国含む)人口流出にも歯止めがかからない状況となっている。
**○イラク
スコア:88.6点(31位、偏40.1)
|人間開発指数|BGCOLOR(#006400):COLOR(#FFFFFF):0.697|
|民主主義指数|BGCOLOR(#DAA520):3.51|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#B22222):COLOR(#FFFFFF):23/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#006400):COLOR(#FFFFFF):70.6歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#006400):COLOR(#FFFFFF):21.3/1000人|
チグリス・ユーフラテスという大河に恵まれた「肥沃な三日月地帯」の一角でメソポタミア文明発祥の地。
とはいえオリエントの諸勢力が切り取り、ぶつかり合う場所なのはシリアと大差ない。
第一次大戦で宗主国だったオスマン帝国の崩壊後、委任統治を任された[[イギリス]]は、アラブの名族ハシーム家のファイサルを王位につけイラク王国を樹立させる。
が、元々スンニ派、シーア派、クルド人を内包した立地(([[イギリス]]の名誉のために付け加えると、シーア派はともかくクルド人までもを纏め上げる事を危惧する声もあったのだが、親スンニ派の専門家に押し切られた))に加えて親英反英勢力の対立があり、第二次大戦頃にはクルド人反乱や反英クーデターが起きたりしていた。
そして第二次大戦後に「反英・汎アラブ」なナセル率いるエジプトと「中東の狂犬」イスラエルがブイブイ言わせ始めるとクーデター(7月14日革命)により王国は崩壊。
その後もクーデターが4回も発生する不安定さで、クルド人との戦争で功を挙げたバアス党員で軍部のフセインが実権を握る。
そのフセイン政権も[[イラン・イラク戦争]]辺りから狂い始め、[[湾岸戦争]]でアメリカから危険視された末に2003年のイラク戦争で政権崩壊。
2004年にイラク暫定政権が成立したものの、フセイン政権で主流派だったスンニ派はこれに反発。
隣国シリアからイスラム国家樹立運動が起こると旧フセイン政権の残党がこの運動に合流。イラク、シリア両国の国境付近を武力制圧して「国家」樹立を宣言した。
この[[ISIL>ISIL(イスラム過激派)]]((別名ISIS。『イスラム国』と呼ばれていたこともあったが、誤解の原因となるためこのように表記される))は一時は両国のかなりの部分を制圧したものの、アメリカ主導で有志連合からの集中攻撃を受け消滅した。
これを受けてか順位やスコアは概ね一貫して右肩下がりになっており、後述のコートジボワール同様2022年には上位20位から消えた。2024年には上位30位からも消えている。
だが政情は相変わらず安定はしておらず、現政権は政治の汚職の蔓延によって国民の支持を得ているとはお世辞にも言えないため、
「フセイン時代の方が良かった」と漏らす国民も相当おり、若年層の失業率は約35%ほどと雇用問題も非常に深刻な状態で、安定の道はまだまだ遠い。
**○コートジボワール
スコア:85.3点(36位、偏41.5)
|人間開発指数|BGCOLOR(#FF7F50):0.498|
|民主主義指数|BGCOLOR(#DAA520):4.22|
|腐敗認識指数|BGCOLOR(#FF7F50):36/100|
|平均寿命|BGCOLOR(#0000FF):COLOR(#FFFFFF):57.78歳|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#ff0000):57.9/1000人|
昔は独裁者の下で発展を続けており、西アフリカでも安定した国だったが、独裁者が死んでから迷走開始。
クーデターと内戦をやった挙げ句、失敗国家ランキングが始まった2005年度では1位を獲得。つまり&bold(){失敗国家ランキング初代チャンピオン}。
2010年の&font(#ff0000,b){前大統領と現大統領との内戦}というどっかのRPGのような展開があったが、前大統領の失脚・拘束で収束した後は順調に順位を落としていき、2016年には上位20位から消えた。2022年にはいよいよ30位からも消えている。
なお、これらの情勢の推移には同国のサッカー代表選手・ディディエ・ドログバ((折しもランキング1位となった2005年にW杯本選へコートジボワールが初出場を決める事となった当時28歳の立役者であり、今なお国民的英雄と讃えられている))の尽力によるものも大きな要因となっている。
**○[[ナウル>ナウル共和国]]
|人間開発指数|N/A|
|民主主義指数|N/A|
|腐敗認識指数|N/A|
|平均寿命|N/A|
|乳児死亡率|BGCOLOR(#006400):COLOR(#FFFFFF):23.8/1000人|
詳しくは個別項目参照。
1990年代前半までは、島から算出するリン鉱石の輸出で世界有数の富める国であり、国民は無税・医療と教育無料、更には全年齢に年金支給…と
政治家と公務員と医療関係者以外働く必要がなく(公務員ですら、外国人が3割ほどいたり…)、
毎日の食事に至るまでその辺の外国人経営の飯屋で適当に済ます、&bold(){国民総[[ニート]]状態の国家}であった。
しかし、1990年代後半に事態は一変する。
リンが枯渇して輸出産業の衰退により経済崩壊、財政破綻、インフラ崩壊と外国からの援助がなければ明日の食事にも事欠きかねない状態へと突入。一応海外資産運用などリン枯渇対策はしていたのだが、運用に失敗してしまい全く役に立たない有様だった。
更には1世紀近くまともに働いた事がない国民が大半な為、そもそも&bold(){「働くって何?」}状態。(国内の労働者はほぼ中国を中心とする出稼ぎ労働者が担っていた)
一応政府が[[小学校]]の高学年で働き方を教える授業を行い、将来の国を担う子供たちの労働意欲を与えようという対策がなされていた。
しかし、労働意欲を育んだ所で&bold(){国内には働く場所がない}。国の産業構造がリン産業に頼り切っていたためそもそも他の雇用などなく、&bold(){国内失業率も2011年で&font(#ff0000){90%}。}
更には
-&bold(){マネーロンダリングで儲けようとして}アメリカから怒られる
-ならばと&bold(){国籍やパスポートを格安で、しかも誰でも簡単に取得できるようにして人を呼び込もうとしたらテロリストの格好の隠れ蓑に利用される。}かの9.11にも関与したとしてまたアメリカに怒られ、銀行取引を停止された。
-突如連絡が取れなくなり「太平洋の島国が消息不明」「クーデターが起こったか?!」などと情報が錯綜するも、&bold(){情報インフラの維持費が払えずに死んでいただけ}だった
-中国と台湾に国家承認と断交とを繰り返して手玉に取り援助を引き出す
-&s(){ナウル共和国政府観光局日本事務所のTwitter公式アカウントのフォロワーが人口より1桁多い}
-&s(){ナウル共和国政府観光局日本事務所の公式サイトの開くスピードが阿部寛のホームページと肩を並べるほど速い}
と、話題に事欠かない国家である。
そして失敗国家的にこの国最大の特徴と言えるのは、&bold(){あまりに情報が無い為に失敗国家ランキングに載ってすらいない}事だろう((ナウルだけではなく、国家規模の非常に小さいミニ国家15カ国は情報が足りないため上記の通り評価対象外。))。
既に挙がっている国々と異なり、島国ということもあって戦争や暴動、外圧と言った物騒な方面の問題は特に生じておらず、治安自体ならかなりマシなため、「深刻な経済破綻」とそれによる影響だけならば40位前後と予想はされるが。
元はと言えばオーストラリアとかがリン鉱石の無計画な採掘を行ったのが原因なので、オーストラリア政府は支援を続けている。
リン鉱石の無計画な採掘のせいで土壌の大半が石灰岩で覆われているのも発展を阻害しているし。
なお、リン鉱石の更なる採掘のおかげで現在の経済はある程度回復基調にあるが、こちらも尽きるのは時間の問題と見られ予断を許さないのが現状である。
*◆フィクションにおける失敗国家
フィクションでは「失敗国家」を舞台とする作品は結構な人気がある。韓国映画「モガディシュ 脱出までの14日間」などが有名か。
理由は単純で、街中でドンパチやっても世界観的に全く問題なく、&bold(){街中で派手な銃撃戦シーンを展開}できたり、
コイツさえ倒せれば国は平和になるんだ!と主人公が独裁者に挑む&bold(){勧善懲悪なヒーロー的作品}&s(){や、それに見せかけて必死に崩れかけた国を支えていた独裁者を倒してしまって国を崩壊させてしまう作品}が作れたり、
主人公が平和主義者であっても、生きるのに市民から襲われる恐怖を描けたり、破綻した国家の中でも愛を育む&bold(){人間ドラマ}を展開出来たりする。
相手国が失敗国家になり、破れかぶれに主人公の住む国に進軍してきた…なんて作品もある。そして「国際的に孤立している」「略奪前提なので[[焦土作戦]]で詰む」など失敗国家ならではの弱点を突かれて叩きのめされるのもお約束である。
そして、[[超越的な力を手に入れてしまった主人公や>ウルトラ・スーパー・デラックスマン]][[知り合いがやらかし、日本が失敗国家になってしまった>AKIRA(大友克洋)]]なんて作品もある。
一方で、「失敗国家を運営する、または建て直す」作品は上記の「悪の独裁者を打ち倒す」作品に比べると少なめ。全くないわけではないが、どうしても粛清や血で血を洗う権力戦争などダークな物語になるからではないだろうか。
しかしweb小説、主に[[小説家になろう]]では、そんなどうしようもない中世ヨーロッパレベルの国々を&bold(){「現代日本の知識」または「チート」で解決してしまう}のが、一種の人気コンテンツと化している。
例を挙げると、「数字で救う弱小国家」という作品では、異世界ナーロッパな世界で周辺を強国に囲まれて詰んでいる小国を、数学マニアな高校生が関数電卓片手に現代数学理論を総動員して救うという物語である。
ただ舞台となる国家が現代ベースの作品は少なく、またどう考えても上記一覧より遥かにマシな国を主人公が失敗国家と言い張ったり、そもそも文明レベルが異なっていた上で引き合いに出すのが主人公の故郷である現代日本だったりと、作者の価値観の違いにより描写にモヤっとする作品もあるので注意が必要である。
*◆余談
チャベス政権末期から大統領死去後にかけて政治の混乱と常軌を逸した貧富の格差とインフラ崩壊が取り沙汰され、
地元の犯罪集団ですら&bold(){「必要な備品を確保できない」「あまりにも物がなく、何をやっても何も盗めないため、強盗をする意味が無くなってしまった」「というか、強盗に必要な弾丸などの支出と強盗によって得られる物の収入のバランス的に、強盗をするだけ赤字になる」}と
コメントするまでに荒れまくった近年話題の&bold(){ベネズエラ}であるが、2024年現在は90.5点(偏39.7)でトップ20には入っていないが、上にあげたいくつかの国より高いケースもあり、非常に深刻である。
またミャンマーも近年ではロヒンギャ族虐殺や軍事クーデターにより予断を許さない状況になった。案の定2022年にはスコアが大幅に上昇して100点台になり、2023年現在は11位(100点、偏35.4)となっており、((これは同年の北朝鮮(84.9点)より悪く、東アジアで一番不安定な国家と言える))過去最高順位だった08・09年の13位を塗り替えてしまった。
追記・修正は失敗しないようお願いします。
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